JP4428317B2 - 静電荷像現像用トナー用結着樹脂、静電荷像現像用トナー用結着樹脂分散液及び、静電荷像現像用トナー並びにそれらの製造方法 - Google Patents
静電荷像現像用トナー用結着樹脂、静電荷像現像用トナー用結着樹脂分散液及び、静電荷像現像用トナー並びにそれらの製造方法 Download PDFInfo
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Description
例えば、特許文献2及び特許文献3には多価カルボン酸成分としてシクロヘキセンジカルボン酸(シクロヘキシレンジカルボン酸)の無水物ないしシクロヘキサンジカルボン酸無水物と、ビスフェノール構造を有する多価アルコールから常圧重合法により得られるポリエステル樹脂を用いた電子写真用トナー組成物に関する提案がある。この発明は、ポリエステル樹脂のガラス転移点を高め、トナーの保存安定性を改善することを目的としているが、この製法では脂環族多価カルボン酸を用いた場合、常圧重合法においては、分子量を上げることが困難で、低分子量の樹脂しか得ることができず、かえって保存安定性を損なう場合がある。
同様に、特許文献5には、透明性の改善を目的として、多価アルコールが少なくともシクロヘキサン骨格を有する水素化ビスフェノールからなることを特徴とするポリエステル樹脂が提案されている。
また、特許文献6には、耐加水分解性向上を目的として、ポリエステルの構成成分のうち、ジカルボン酸成分の主成分が脂環式ジカルボン酸成分であり、ジオール成分の80〜99.95モル%が脂環式ジオール成分、0.05〜20モル%が炭素数2〜10のアルキレンジオール成分であり、ある固有粘度と、ポリマー末端酸価を有するポリエステルが開示されている。
<1> ポリカルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるトナー用結着樹脂であって、該ポリカルボン酸の50mol%以上100mol%以下が式(1)及び/又は式(2)で表される化合物よりなり、該ポリオールの50mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物よりなり、かつ樹脂中の触媒由来の金属元素が100ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像トナー用結着樹脂、
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXhYjXkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:ビスフェノール骨格基、1≦h+k≦10、1≦j≦3)
<2> 式(1)に記載の芳香族炭化水素基が、ベンゼン及び/又はナフタレン環状構造である<1>に記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂、
<3> 式(2)に記載の脂環式炭化水素基が、シクロブタン、シクロヘキサン及びシクロヘキセン構造よりなる群から選択される少なくとも1つを含む<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂、
<4> 該結着樹脂のガラス転移温度が30℃〜75℃である<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂、
<5> ポリカルボン酸とポリオールを重縮合反応させる工程を含む静電荷像現像用トナー用結着樹脂の製造方法であって、該ポリカルボン酸の50mol%以上100mol%以下が式(1)及び/又は式(2)で表される化合物よりなり、該ポリオールの50mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物よりなり、かつ樹脂中の触媒由来の金属元素が100ppm以下であることを特徴とする<1>〜<4>いずれか1つに記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法、
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXhYjXkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:ビスフェノール骨格基、1≦h+k≦10、1≦j≦3)
<6> 重縮合反応の際にブレンステッド酸系触媒を使用する<5>に記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂の製造方法、
<7> 重縮合反応が70℃以上、150℃以下の温度で行われる<5>又は<6>に記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂の製造方法、
<8> <1>〜<4>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂を分散した静電荷像現像用トナー用結着樹脂分散液、
<9> 少なくとも結着樹脂分散液を含む分散液中で該結着樹脂を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、該凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記結着樹脂分散液が請求項7に記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂分散液であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法、
<10> <9>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像用トナー、
<11> <1>〜<4>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂を混練粉砕して作製した静電荷像現像用トナー、
<12> <10>又は<11>に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤、
<13> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして<10>又は<11>に記載の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤として<12>に記載の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXhYjXkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:ビスフェノール骨格基、1≦h+k≦10、1≦j≦3)
本発明ではこの金属の量を制御することによって、従来制御が困難であった細線のエッジ部の乱れを制御し、同時に従来のポリエステルに比較して製造に消費されるエネルギー量を低下させたポリエステルを得るものである。
触媒由来の金属元素量は100ppm以下であり、75ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。触媒由来の金属元素量は、トナー用結着樹脂を成型したものを試料とし、蛍光X線分析装置で測定することができる。
非結晶性ポリエステルは、常温での高い硬度を有するために流動性が高く、オフセット抑制、低温定着性、画像品質等の面でも、トナーに非常に適した特性を有する。主に直鎖状重縮合成分より構成される結晶性ポリエステルは、結晶性に起因するシャープメルト性を有し、低温定着性へのメリットは大きいが、粉体流動性や画像強度に劣るという欠点がある。
本発明者らはこの機構を十分検討し、低温でも反応し得る非結晶性ポリエステル用重縮合成分を設計をし、本発明の課題を解決するに至った。
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
ここで、1価の炭化水素基とは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭化水素基、又は複素環基を表し、これらの基は任意の置換基を有していても良い。R1、R1'、R2及びR2'としては、水素原子又は低級アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましく、水素原子が最も好ましい。
また、式(1)中の芳香族炭化水素基及び式(2)中の脂環式炭化水素基は、置換されていても良い。
式(1)で表されるジカルボン酸は、少なくとも一つの芳香族炭化水素基B1を有するが、その構造は特に限定されない。芳香族炭化水素基B1としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、フルオランセン、ピレン、ベンゾフルオレン、ベンゾフェナントレン、クリセン、トリフェニレン、ベンゾピレン、ペリレン、アントラスレン、ベンゾナフタセン、ベンゾクリセン、ペンタセン、ペンタフェン、コロネン骨格等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの構造にはさらに置換基が付加していてもよい。
主骨格の炭素数が6以上であると、モノマーの製造が容易であるので好ましい。また、主骨格の炭素数が18以下であると、モノマー分子の大きさが適当で、分子運動の制限による反応性の低下が生じないので好ましい。さらに、モノマー分子中における反応性官能基の割合が適切であり、反応性が低下することがないので好ましい。
メチレン基A1の数は、分子内の合計m+lとして、少なくとも1個以上12個以下である。好適にはm+lが2個以上、6個以下であり、mとlは同数であることが更に好ましい。m+lが0個である場合、つまり式(1)で表されるジカルボン酸中にメチレン基を有さない場合、芳香族炭化水素と両末端のカルボキシル基が直接結合する構造となる。この場合、触媒と式(1)で表されるジカルボン酸とが形成する反応中間体が共鳴安定化し、反応性が低下することとなる。また、m+lが12個より大きい場合、式(1)で表されるジカルボン酸に対し直鎖部分が大きくなりすぎるため、製造されるポリマーが結晶性の特性を有したり、ガラス転移温度Tgが低下することがある。
式(1)で表されるジカルボン酸としては、1,4−フェニレンジ酢酸、1,4−フェニレンジプロピオン酸、1,3−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジプロピオン酸,1,2−フェニレンジ酢酸、1,2−フェニレンジプロピオン酸等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。好適には、1,4−フェニレンジプロピオン酸、1,3−フェニレンジプロピオン酸、1,4−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸であり、よりトナーに適するものとしては、1,4−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸を挙げることができる。
式(2)で表されるジカルボン酸は脂環式炭化水素基B2を含む。脂環式炭化水素構造には特に限定はなく、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ノルボルネン、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、アイセアン、ツイスタン、ノルボルネン骨格等を挙げることができるが、これに限定されない。またこれらの物質には置換基が付加していてもよい。その構造の安定性、分子の大きさや嵩高さなどを考慮すると、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルネン、アダマンタンなどが好ましい。
このモノマー中に含まれる脂環式炭化水素基の数は、少なくとも1個以上、3個以下である。1個未満であると、製造されるポリエステルの非結晶性が失われ、3個を超えて脂環式炭化水素基を有する場合は、式(2)で表されるジカルボン酸の融点の上昇や分子の大きさや嵩高さにより、反応性が低下する。
複数の脂環式炭化水素基を含む場合は、芳香族炭化水素基同士が直接結合する構造、間に他の飽和脂肪族炭化水素等の骨格を有する構造のどちらもとることができる。前者の例としては、ジシクロヘキシル骨格等であり、後者の例としては、水素添加ビスフェノールA骨格などを挙げることができるがこれに限定されない。
メチレン基A2数は、p、rがそれぞれ6以下である。p,rのいずれか、又は両方が6より大きい場合、式(2)で表されるジカルボン酸に対し直鎖部分が大きくなりすぎるため、製造されるポリマーが結晶性の特性を有したり、ガラス転移温度Tgが低下することがある。
式(2)で表されるジカルボン酸としては、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,1−シクロペンテンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。この中で好ましく用いられるのは、シクロブタン、シクロヘキサン、シクロヘキサン骨格を有する物質であり、特に好ましくは、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。
また、式(2)で表されるジカルボン酸は、その構造のいずれかに各種官能基が付加していてもよい。また、重縮合反応性官能基であるカルボン酸基は、酸無水物、酸エステル化物、酸塩化物であってもよい。しかし、酸エステル化物とプロトンとの中間体が安定化しやすく、反応性を抑制する傾向があるため、好適には、カルボン酸、又はカルボン酸無水物、カルボン酸塩化物が使用される。
式(1)及び/又は式(2)で表される化合物の割合が50mol%未満であると、低温重縮合での反応性が十分に発揮できないために、分子量が伸長せず、重合度が低いポリエステルとなったり、残留重縮合成分が多数混在することがある。これにより、結着樹脂が常温でべたつく等、粉体の流動性が悪化したり、トナー用結着樹脂に適する粘弾性やガラス転移温度を得られないことがある。上記式(1)及び/又は式(2)で表される化合物を60〜100mol%含むことが好ましく、上記式(1)及び/又は式(2)で表される化合物を80〜100mol%含むことがより好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナー用結着樹脂は、ポリカルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるトナー用結着樹脂であり、該ポリオールの50mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物(ジオール)よりなる。
HOXhYjXkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:ビスフェノール骨格基、1≦h+k≦10、1≦j≦3)
上記式(3)で表されるジオールは、少なくとも1つのビスフェノール骨格Yを含む。ビスフェノール骨格とは、2つのフェノール基より構成される骨格であれば特に限定はなく、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールS、ビスフェノールZ等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。好適に使用される骨格としては、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールS、ビスフェノールZが例示でき、より好適には、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールFである。
ビスフェノール骨格の数jは、1個以上3個以下である。式(3)で表されるジオールがビスフェノール骨格を有さない場合、製造されるポリエステルは結晶性ポリエステルの特性を有することがあり、目的にそぐわない。一方、3個を越えて含有する場合は、そのようなジオールの製造が困難であり、効率・費用の面から実用的ではないだけでなく、分子が大きく、嵩高くなるために、粘度や融点の上昇等により、反応性が低くなる。
アルキレンオキサイド基数h+kは1分子中に1個以上10個以下である。アルキレンオキサイドが1個未満、即ちアルキレンオキサイド基が付加されていない場合、水酸基とビスフェノール骨格中の芳香環との共鳴安定化により電子が非局在化し、式(3)で表されるジオールによるポリカルボン酸への求核攻撃性が弱められ、分子量の伸長や重合度の進展が抑制される。一方、アルキレンオキサイド基が10個を超えて付加されていると、式(3)で表されるジオール中の直鎖部分が長くなりすぎ、製造されるポリエステルが結晶性の性質を有する他、式(3)で表されるジオール中の反応性官能基数が減り、反応確率が減少する。
hとkが同数であることが、均等な反応を促進する上で好ましい。また、アルキレンオキサイド基数h+kが6以下であることが好ましく、より好ましくはアルキレンオキサイド基数h,kが各2、又は各1である場合である。また、2個以上のアルキレンオキサイド基を有する場合は、2種以上のアルキレンオキサイド基を1分子中に有することもできる。
本発明では、重縮合反応の際に触媒を使用することが好ましい。
本発明では、これらの中でもブレンステッド酸系重縮合用触媒を使用することが好ましい。ブレンステッド酸系触媒の例としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸、などのアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸などの高級脂肪酸硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、ナフテニルアルコール硫酸、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、各種脂肪酸、スルホン化高級脂肪酸、高級アルキルリン酸エステル、樹脂酸、樹脂酸アルコール硫酸、ナフテン酸、ニオブ酸、及びこれらすべての塩化合物などが使用できるが、これに限定されない。またこれらの触媒は、構造中に官能基を有していてもよい。これらの触媒は必要に応じて複数を組み合わせることもできる。好ましく使用されるブレンステッド酸系触媒としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、しょうのうスルホン酸等を挙げることができる。
金属触媒としては以下のものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。例えば、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物、希土類金属触媒を挙げられる。
希土類含有触媒としては具体的には、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド元素として、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などを含むものが有効である。これらは、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、トリフラート構造を有するものが有効であり、前記トリフラートとしては、構造式では、X(OSO2CF3)3が例示できる。ここでXは、希土類元素であり、これらの中でも、Xは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)などであることが好ましい。
また、ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54)に詳しい。
上記のエステラーゼのうち、グリセロールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が高く、収率良くエステル合成反応を触媒し、さらに安価に入手できることなどの利点がある。したがって、本発明においても、収率やコストの面からリパーゼを用いることが望ましい。
リパーゼには種々の起源のものを使用できるが、好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、カンジダ(Candida)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、さらに、パンクレアチン、ステアプシン等を挙げることができる。このうち、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属の微生物由来のリパーゼを用いることが望ましい。
また、アルコール性水酸基との化合物やアセチルアセトンとのキレート化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
反応温度が70℃以上であると、モノマーの溶解性、触媒活性度の低下に起因する反応性の低下が生じず、分子量の伸長が抑制されることがないので好ましい。また、反応温度が150℃以下であると、低エネルギーで製造することができるので好ましい。また、樹脂の着色や、生成したポリエステルの分解等を生じることがないので好ましい。
ガラス転移温度は、より好ましくは35〜70℃であり、さらに好ましくは45〜65℃である。ガラス転移温度は、結着樹脂の分子量や、結着樹脂のモノマー構成、架橋剤の添加等により制御することができる。
また、ガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法で測定することができ、示差走査熱量計(DSC)により測定される。
重量平均分子量は、例えばゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)等により測定することができる。
ポリカルボン酸としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する多価カルボン酸を用いることができる。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、イタコン酸、グルタコン酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマール酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、ビフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸等を挙げることができる。また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
また、これらの酸無水物あるいは酸塩化物、酸エステル化物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
さらに本発明の結着樹脂は、上述した重縮合成分の単独重合体、上述した重合性成分を含む2種以上の単量体を組み合せた共重合体、又はそれらの混合物、グラフト重合体、一部枝分かれや架橋構造などを有していても良い。
溶融混練された混練物は十分に冷却した後、ボールミル、サンドミル、ハンマーミル等の機械的粉砕方法、気流式粉砕方法等の公知の方法で粉砕する。常法での冷却が充分できない場合は、冷却又は凍結粉砕法も選択できる。
自己乳化法、転相乳化法に関しては、「超微粒子ポリマーの応用技術」(シーエムシー出版)に記載されている。自己乳化法に用いる極性基としては、カルボキシル基、スルホン基等を用いることができるが、本発明において、トナー用非結晶性ポリエステル結着樹脂に適用する場合、カルボキシル基が好ましく用いられる。
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化し、1ミクロン以下の粒子の分散液を作製することができる。
GSDvは、粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対する体積について、それぞれ小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を体積D16v、累積84%となる粒径を体積D84vと定義する。これらを用いて、体積平均粒子分布(GSDv)は、下記式により算出される。
平均体積粒子分布GSDv=(D84v/D16v)0.5
GSDvが1.4以下であると、粒子径が均一となり、良好な定着性が得られ、また定着不良に起因する装置故障が生じないので好ましい。また、トナーの飛散による機内汚染や現像剤の劣化などを生じないので好ましい。
平均体積粒子分布GSDvはレーザー回折式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
本発明の静電荷像現像トナーは、静電荷像現像剤として使用される。この現像剤は、この静電荷像現像トナーを含有することの外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
キャリアとしては、特に限定されないが、通常、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子;磁性体粒子を芯材としてその表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などの樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる樹脂被覆キャリア;結着樹脂中に磁性体粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア等が挙げられる。中でも、樹脂被覆キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため特に好ましい。
二成分系の静電荷像現像剤における本発明のトナーとキャリアとの混合割合は、通常、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部である。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
また、本発明の静電荷像現像トナー及び静電荷像現像剤は、通常の静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができる。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして本発明の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として本発明の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用でき、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよく、例えば、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング工程等が好ましく挙げられる。本発明の画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され(定着工程)、最終的なトナー像が形成される。
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤が供給される。
(ジカルボン酸)
CHDA=1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
PDAA=1,4−フェニレンジ酢酸
PDPA=1,4−フェニレンジプロパン酸
TPA=テレフタル酸
(ジオール)
BisA1EO=ビスフェノールA 1エチレンオキサイド付加物
BisA2EO=ビスフェノールA 2エチレンオキサイド付加物
BisA5EO=ビスフェノールA 5エチレンオキサイド付加物
BisA1PO=ビスフェノールA 1プロピレンオキサイド付加物
BisA3PO=ビスフェノールA 3プロピレンオキサイド付加物
BisA=ビスフェノールA
(触媒)
DBSA=ドデシルベンゼンスルホン酸
p−TSA=p−トルエンスルホン酸
CHDA 17.5重量部
BisA1EO 31.0重量部
DBSA 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量のサンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 15,600
GPCによる数平均分子量 5,720
ガラス転移温度(オンセット) 57℃
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn=13.7×104
となることにより確認することができる。
また、GPCのカラムとしては、前記条件を満足するTSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等を用いた。
ポリエステルのガラス転移温度Tgの測定には、示差走査熱量計(島津製作所、DSC50)を用いた。
PDAA 19.5重量部
BisA2EO 12.0重量部(30mol%)
BisA1EO 22.0重量部(70mol%)
DBSA 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 17,300
GPCによる数平均分子量 6,180
ガラス転移温度(オンセット) 42℃
PDPA 22.2重量部
BisA1PO 34.4重量部
p−TSA 0.07重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 11,000
GPCによる数平均分子量 3,680
ガラス転移温度(オンセット) 39℃
CHDA 17.5重量部
BisA3PO 57.6重量部
硫酸 0.01重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 9,500
GPCによる数平均分子量 3,400
ガラス転移温度(オンセット) 35℃
CHDA 17.5重量部
BisA5EO 66.8重量部
DBSA 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 9,100
GPCによる数平均分子量 2,200
ガラス転移温度(オンセット) 30℃
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸モノメチル 18.0重量部
BisA1EO 31.0重量部
DBSA 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 6,700
GPCによる数平均分子量 2,050
ガラス転移温度(オンセット) 27℃
CHDA 17.5重量部
BisA1EO 31.0重量部
DBSA 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下60℃で24時間重縮合を実施したところ、白色の非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 6,300
GPCによる数平均分子量 1,820
ガラス転移温度(オンセット) 30℃
CHDA 17.5重量部
BisA1EO 31.0重量部
ジブチルスズオキシド 0.01重量部
DBSA 0.14重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 8,600
GPCによる数平均分子量 3,350
ガラス転移温度(オンセット) 35℃
TPA 16.5重量部
BisA1EO 31.0重量部
DBSA 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、白濁状態の低粘性液体を得、リアクター下部には白色の残留物があることを確認した。
少量サンプルを採取し、GPCにより分子量を測定したところ、重量平均分子量が374、数平均分子量が296であり、重合が進行していないことが確認された。
ビフェニルジカルボン酸 24.0重量部
BisA2EO 40.4重量部
DBSA 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、白濁状態の非結晶性ポリエステル樹脂を得た。反応終了後のリアクターには白色沈殿物が認められた。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 1,280
GPCによる数平均分子量 660
ガラス転移温度(オンセット) 31℃
CHDA 17.5重量部
BisA 23.0重量部
DBSA 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、白濁状態の非結晶性ポリエステル樹脂を得た。反応終了後のリアクターには白色沈殿物が認められた。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 1,020
GPCによる数平均分子量 480
ガラス転移温度(オンセット) 25℃
CHDA 7.0重量部
TPA 10.0重量部
BisA1EO 31.0重量部
DBSA 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、白濁状態の非結晶性ポリエステル樹脂を得た。反応終了後のリアクターには白色沈殿物が認められた。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 1,375
GPCによる数平均分子量 996
ガラス転移温度(オンセット) 25℃
TPA 16.5重量部
BisA 22.8重量部
ジブチルスズオキシド 0.10重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、白濁状態の低粘性液体を得、リアクター下部には白色の残留物があることを確認した。少量サンプルを採取し、GPCにより分子量を測定したところ、重量平均分子量が401、数平均分子量が391であり、重合が進行していないことが確認された。
CHDA 17.5重量部
BisA1EO 31.0重量部
ジブチルスズオキシド 0.025重量部
DBSA 0.11重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 5,400
GPCによる数平均分子量 2,950
ガラス転移温度(オンセット) 25℃
CHDA 17.5重量部
BisA1EO 31.0重量部
ジブチルスズオキシド 0.1重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、白濁状態の非結晶性ポリエステル樹脂を得た。少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 870
GPCによる数平均分子量 715
ガラス転移温度(オンセット) 25℃
以上の樹脂の作製において、低温重縮合性の評価は、以下の通りとした。
○・・・重量平均分子量が10,000以上、または数平均分子量が3,000以上
△・・・重量平均分子量が3,000以上10,000未満、または数平均分子量が1,000以上3,000未満
×・・・重量平均分子量が3,000未満、または数平均分子量が1,000未満
上記のように作製したポリエステル樹脂を用いて、粉砕トナーを製造した。各ポリエステル樹脂96重量部とシアン顔料(シアニンブルー4933M、大日製化社製)4重量部とを75Lヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合撹拌し、エクストルーダ(TEM48BS、東芝機械社製)でバレル温度を100℃に設定して溶融混練し、混練物を圧延ロールで厚さ1cm程度の板状に成形し、フィッツミル型粉砕機で数ミリ程度まで粗粉砕し、IDS型粉砕機(超音速粉砕機、IDS−5型、日本ニューマチック工業(株)製)で微粉砕を順次行い、風力篩分機(ハイボルター300、新東京機械社製)にて篩分して未外添トナーを得た。尚、IDS−5型の粉砕条件は、圧縮空気量5.4nm3/min、原料フィード量100〜150g/minの条件とした。この未外添トナーの平均体積粒子分布GSDvをマルチサイザーIII(日科機社製)を用いて測定した。
このトナー粒子に、外添剤として、トナー重量に対して平均粒径40nmのヘキサメチルジシラザンで処理したシリカ0.5重量%、メタチタン酸をイソブチルトリメトキシシラン50重量%で処理後、焼成して得られたチタン化合物(平均粒径30nm)0.7重
量%を加え、75Lヘンシェルミキサーにて10分間混合し、その後風力篩分機(ハイボルター300、新東京機械社製)にて篩分してトナーを作製した。
粉砕性の評価は以下の通りとした。
◎・・・体積平均粒子径が8.0μm以下、かつGSDvが1.30以下
○・・・体積平均粒子径が9.0μm以下又はGSDvが1.40以下
△・・・体積平均粒子径が10.0μm以下又は、GSDvが1.50以下
×・・・体積平均粒子径が10.0μm以上かつGSDvが1.50以上
尚、樹脂15は粉砕トナーとして使用できる状態ではなかったため、評価を行わなかった。
(細線再現性評価試験)
感光体上に線幅50μmになるように細線の画像を形成し、それを転写材に転写及び定着した。転写材上の定着像の細線の画像をVH−6200マイクロハイスコープ(キーエンス社製)を用いて倍率175倍で観察した。
具体的な評価基準は以下の通りである。○を許容範囲とした。
○・・・細線のエッジ部乱れがほとんど観察されなかった。
△・・・細線のエッジ部の乱れが認識できる程度に発生した。
×・・・細線のエッジ部が大きく乱れていた。
上記樹脂1を撹拌機及び冷却管に付いた三口フラスコに投入し、95℃に保ち、1N NaOHを徐々に添加しながら撹拌を続けた。NaOH水溶液を総量で50g投入すると、樹脂はスラリー状を呈した。イオン交換水180gを85℃に調整したフラスコ中にこのスラリーを投入し、(以下同じ)ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で10分間乳化した後、さらに超音波バス中にて、10分乳化し、室温水にてフラスコを冷却した。
これにより樹脂メジアン径が420nmのポリエステル樹脂粒子分散液(1)を得た。
上記の樹脂2〜8、10〜12、14、15に対し、同様の方法で樹脂粒子分散液(2)〜(13)を作製した。これらの樹脂分散液の樹脂分散径を測定し、樹脂の乳化性を評価した。なお、樹脂微粒子のメジアン径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)を用いて測定した。
樹脂の乳化性は、次のように評価した。
◎・・・樹脂粒子分散液のメジアン径 600nm未満
○・・・樹脂粒子分散液のメジアン径 600nm以上1000nm未満
△・・・樹脂粒子分散液のメジアン径 1000nm以上1500nm未満
×・・・樹脂粒子分散液のメジアン径 1500nm以上
(離型剤粒子分散液(W1)の調製)
ポリエチレンワックス 30重量部
(東洋ペトロライト(株)製、Polywax725、融点103℃)
カチオン性界面活性剤(花王社製、サニゾールB50) 3重量部
イオン交換水 67重量部
上記成分をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で95℃に加熱しながら十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザー)で分散処理し、離型剤粒子分散液(W1)を調製した。得られた分散液中の離型剤粒子の数平均粒子径D50nは4600nmであった。その後イオン交換水を加えて、分散液の固形分濃度を30%に調整した。
シアン顔料(大日精化工業社製、PB15:3) 20重量部
アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 2重量部
イオン交換水 78重量部
上記成分を、ホモジナイザー(LKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、3,000rpmで2分間、顔料を水になじませ、さらに5,000rpmで10分間分散後、通常の攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで約1時間分散させてマゼンタ顔料分散液(MN1)を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは121nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15%に調整し、シアン顔料分散液を得た。
スチレン 460重量部
n−ブチルアクリレート 140重量部
アクリル酸 12重量部
ドデカンチオール 9重量部
前記成分を混合溶解して溶液を調製した。
他方、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)12重量部をイオン交換水250重量部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した。(単量体乳化液A)
さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)1重量部を555重量部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。
重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと撹拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持した。
過硫酸アンモニウム9重量部をイオン交換水43重量部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと撹拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
これにより粒子のメジアン径が520nm、ガラス転移点が61.0℃、重量平均分子量が36,000、固形分量が42%のアニオン性樹脂粒子分散液Aを得た。
(シアントナー(トナーC1)の作製)
樹脂粒子分散液(1) 120重量部
樹脂粒子分散液A 40重量部
離型剤微粒子分散液(W1) 33重量部
シアン顔料分散液(C1) 60重量部
ポリ塩化アルミニウム10重量%水溶液 15重量部
(浅田化学社製、PAC100W)
1%硝酸水溶液 3重量部
上記成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中で、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて5,000rpmで3分間分散した後、前記フラスコに磁力シールを有した撹拌装置、温度計とpH計を具備した蓋をしてから、加熱用マントルヒーターをセットし、フラスコ中の分散液全体が撹拌される最低の回転数に適宜調節して撹拌しながら62℃まで1℃/1minで加熱し、62℃で30分間保持し、凝集粒子の粒径をコールターカウンター(日科機社製、TA II)で確認した。昇温停止後ただちに樹脂粒子分散液(1)を50重量部追加し、30分間保持したのち、系内のpHが6.5になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えてから、1℃/1minで97℃まで加熱した。昇温後、硝酸水溶液を加えて系内のpHを5.0にして、10時間保持して凝集粒子を加熱融合した。この後系内を50℃まで降温、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを12.0に調節して10分間保持した。その後フラスコから取り出し、イオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄した後、さらに固形分量が10重量%となるようにイオン交換水中に分散し、硝酸を加えてpH3.0で10分間撹拌した後、再びイオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄して得られたスラリーを凍結乾燥してシアントナー(トナーC1)を得た。
このようにして作製したトナーの平均体積粒子径D50と平均体積粒子分布GSDvをレーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定した。また、ルーゼックスによる形状観察よりトナー粒子の形状係数(SF1)を求めた。
トナー実施例1において、樹脂粒子分散液1を、それぞれ樹脂粒子分散液2〜8に変えた以外は同様の方法でシアントナーを得、平均体積粒子径D50と平均体積粒子分布GSDv、形状係数(SF1)を測定した。本トナーにトナー実施例1と同様に外添剤を外添しシアン外添トナーを得た。
トナー実施例1において、樹脂粒子分散液1を、それぞれ樹脂分散液10〜12、14、15に変えた以外は同様の方法でシアントナーを得、平均体積粒子径D50と平均体積粒子分布GSDv、形状係数(SF1)を測定した。本トナーにトナー実施例1と同様に外添剤を外添しシアン外添トナーを得た。
体積平均粒子径40μmのCu−Znフェライト微粒子100重量部にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1重量部を含有するメタノール溶液を添加し、ニーダーで被覆した後、メタノールを留去し、さらに120℃で2時間加熱して上記シラン化合物を完全に硬化させた。この粒子に、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体(共重合比40:60)をトルエンに溶解させたものを添加し、真空減圧型ニーダーを使用してパーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体のコーティング量が0.5重量%となるように樹脂被覆型キャリアを製造した。
上述のように作製した各トナー4重量部を、得られた樹脂被覆型キャリア100重量部に混合して、静電荷像現像剤を作製した。これを以下に示す評価において現像剤として使用した。
上記のようにして作製した各シアン現像剤を用いて次のような画質評価、及びトナーを用いて粉体の熱保存性を評価した。
(細線再現性評価試験)
感光体上に線幅50μmになるように細線の画像を形成し、それを転写材に転写及び定着した。転写材上の定着像の細線の画像をVH−6200マイクロハイスコープ(キーエンス社製)を用いて倍率175倍で観察した。
具体的な評価基準は以下の通りである。○を許容範囲とした。
○ : 細線のエッジ部乱れがほとんど観察されなかった。
△ : 細線のエッジ部の乱れが認識できる程度に発生した。
× : 細線のエッジ部が大きく乱れていた。
(トナーの熱保存性(耐熱ブロッキング性)の評価)
トナー5gを40℃、50%RHのチャンバーに17時間放置した。室温にもどした後、トナー2gを目開き45μmのメッシュに投入し、一定の条件で振動させた。メッシュ上に残ったトナーの重量を測定し、仕込み量に対する重量比を算出した。この数値をトナーの耐熱ブロッキング指数とした。
評価基準は、耐熱ブロッキング指数が3%以下のとき◎、3%を超え5%以下のとき○、5を超え10%以下のとき△、10%を超えたのときを×とした。
Claims (10)
- ポリカルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるトナー用結着樹脂であって、
該ポリカルボン酸の50mol%以上100mol%以下が式(1)で表される化合物又は該ポリカルボン酸の100mol%が式(2)で表される化合物よりなり、
該ポリオールの50mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物よりなり、かつ
樹脂中に触媒由来の金属元素を含まないことを特徴とする
静電荷像現像トナー用結着樹脂。
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXhYjXkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:ビスフェノール骨格基、1≦h+k≦10、1≦j≦3) - 前記ポリカルボン酸の80mol%以上100mol%以下が前記式(1)で表される化合物又は該ポリカルボン酸の100mol%が前記式(2)で表される化合物よりなり、前記ポリオールの80mol%以上100mol%以下が前記式(3)で表される化合物よりなる、請求項1に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂。
- ポリカルボン酸とポリオールを重縮合反応させる工程を含む静電荷像現像用トナー用結着樹脂の製造方法であって、
該ポリカルボン酸の50mol%以上100mol%以下が式(1)で表される化合物又は該ポリカルボン酸の100mol%が式(2)で表される化合物よりなり、
該ポリオールの50mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物よりなり、かつ
樹脂中に触媒由来の金属元素を含まないことを特徴とする
請求項1又は2に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法。
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXhYjXkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:ビスフェノール骨格基、1≦h+k≦10、1≦j≦3) - 前記重縮合反応させる反応温度が、70℃以上150℃以下である、請求項3に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂を分散した静電荷像現像用トナー用結着樹脂分散液。
- 少なくとも結着樹脂分散液を含む分散液中で該結着樹脂を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、
該凝集粒子を加熱して融合させる工程
を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記結着樹脂分散液が請求項5に記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂分散液であることを特徴とする
静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 請求項6に記載の製造方法により製造された静電荷像現像用トナー。
- 請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー用結着樹脂を混練粉砕して作製した静電荷像現像用トナー。
- 請求項7又は8に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
- 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する工程と、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と
を含む画像形成方法であって、
前記トナーとして請求項7又は8に記載の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤として請求項9に記載の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする
画像形成方法。
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