JP3427202B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JP3427202B2
JP3427202B2 JP10343696A JP10343696A JP3427202B2 JP 3427202 B2 JP3427202 B2 JP 3427202B2 JP 10343696 A JP10343696 A JP 10343696A JP 10343696 A JP10343696 A JP 10343696A JP 3427202 B2 JP3427202 B2 JP 3427202B2
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諭 徳重
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一也 中道
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂
組成物に関するものであり、詳しくは、連続成形性およ
び透明性を損なうことなく結晶化速度を制御したポリエ
ステル樹脂組成物であって、特に、ボトル成形に有用な
ポリエステル樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(以下「P
ET」という。)は、機械的強度、化学的安定性、透明
性、衛生性、ガスバリヤー性などに優れており、また、
軽量かつ安価であるため、各種のシート及び容器とし
て、幅広く包装材料に使用され、特に、炭酸飲料、果汁
飲料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用などの容器と
しての伸びが著しい。この様なPETは、例えば、ボト
ルの場合、射出成形機で中空成形体用のプリフォームを
成形し、このプリフォームを所定形状の金型内で延伸ブ
ローする。
【0003】また、果汁飲料などの様に熱充填を必要と
する内液の場合は、一般的に、プリフォーム又は成形
されたボトルの口栓部を熱処理して結晶化する(特開昭
55−79237号公報、特開昭58−110221号
公報)。
【0004】上記の様な公知の方法、すなわち、口栓部
や肩部を熱処理して耐熱性を向上させる方法において
は、結晶化処理の時間や温度が生産性に大きく影響する
ため、低温でかつ短時間で処理出来る、結晶化速度の速
いポリエステル樹脂が要求される。一方、胴部について
は、充填物の色調を悪化させない様に、斯かる熱処理を
行った後でも白化しないことが要求されている。従っ
て、口栓部と胴部では相反する特性が必要である。
【0005】しかしながら、透明性に優れたポリエステ
ル樹脂は、通常、結晶化が遅いため、成形物の透明性や
強度を犠牲にし、樹脂の極限粘度を低下させることで結
晶化速度を改良するか、または、生産性を犠牲にし、高
温かつ長時間の熱処理を行う必要がある。
【0006】これに対し、特公平5−76974号公報
には、ポリエステル樹脂に0.05〜500ppmのポ
リエチレンを均一に混合することにより、透明性を損な
うことなく結晶化速度を改善する方法が提案されてい
る。
【0007】しかしながら、本発明者らの検討結果によ
れば、上記範囲でポリエチレンを添加した場合、ボトル
成形品の透明性は良好であるものの、口栓部および肩部
に熱処理を施すと、僅かではあるが白化傾向が見られ、
結晶性と透明性の両方の物性を同時に満足させることは
困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、連続成形性に優
れ、しかも、成形物またはその前駆体であるプリフォー
ムを熱処理して耐熱性を付与する際に、透明性を損なう
ことなく結晶化速度のみを制御することが出来るポリエ
ステル樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、驚くべき事に、
特定のポリエステル樹脂を使用するならば、特公平5−
76974号公報記載発明では効果が見られなかった極
微量のポリエチレンを配合することにより、ボトル製造
時の必須要件である透明性と結晶化速度という相反する
特性を同時に満足でき、更に、連続成形性の改良された
ポリエステル樹脂組成物が得られることを見い出し、本
発明に到達した。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、エチレンテレ
フタレート単位を主体とし、ジエチレングリコール単位
の割合が全ジオール単位中1.0〜2.5モル%であり
且つ環状三量体の含有量が0.5重量%以下であるポリ
エステル樹脂に0.1〜45ppbのポリエチレンを配
合して成ることを特徴とするポリエステル樹脂組成物に
存する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、PETとは、全構成繰り返し単位に対
するテレフタル酸およびエチレングリコールから成るオ
キシエチレンオキシテレフタロイル単位(以下「ET単
位」という。)の比率が80当量%以上であるポリエチ
レンテレフタレートを言い、本発明におけるPETは、
ET単位以外の構成繰り返し単位を20当量%未満の範
囲で含んでいてもよい。
【0012】本発明におけるPETは、テレフタル酸ま
たはその低級アルキルエステルとエチレングリコールと
を主たる原料として製造されるが、前述の通り、他の酸
成分および/または他のグリコール成分を併せて原料と
して用いてもよい。
【0013】テレフタル酸以外の酸成分としては、フタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビ
フェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸およびこれ
らの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸など
のジカルボン酸およびその誘導体、p−ヒドロキシ安息
香酸、グリコール酸などのオキシ酸またはその誘導体が
挙げられる。
【0014】また、エチレングリコール以外のジオール
成分としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチ
レングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペン
チルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサン
ジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物誘
導体などを挙げられる。
【0015】上記の様なテレフタル酸またはそのエステ
ル形成性誘導体とエチレングリコールとを含む原料は、
エステル化触媒またはエステル交換触媒の存在下のエス
テル化反応またはエステル交換反応により、ビス(β−
ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はそのオリ
ゴマーを形成させ、その後、重縮合触媒および安定剤の
存在下で高温減圧下に溶融重縮合を行ってポリマーとさ
れる。
【0016】エステル化触媒は、テレフタル酸がエステ
ル化反応の自己触媒となるため、特に使用する必要はな
い。また、エステル化反応は、エステル化触媒と後述す
る重縮合触媒の共存下に実施することも可能であり、ま
た、少量の無機酸などの存在下に実施することが出来
る。エステル交換触媒としては、ナトリウム、リチウム
等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のア
ルカリ土類金属塩、亜鉛、マンガン等の金属化合物が好
ましく使用されるが、透明性の観点からマンガン化合物
が特に好ましい。
【0017】重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合
物、アンチモン化合物、チタン化合物、コバルト化合
物、錫化合物などの反応系に可溶な化合物が単独または
組み合わせて使用される。重縮合触媒としては、色調お
よび透明性などの観点から二酸化ゲルマニウムが特に好
ましい。
【0018】安定剤としては、トリメチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェー
ト等のリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、
トリスドデシルホスファイト等の亜リン酸エステル類、
メチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、
モノブチルホスフェート酸性リン酸エステル、リン酸、
亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸などのリン化合物が
好ましい。
【0019】上記の触媒の使用割合は、全重合原料中、
触媒中の金属の重量として、通常5〜2000ppm、
好ましくは10〜500ppmの範囲とされ、安定剤の
使用割合は、全重合原料中、安定剤中のリン原子の重量
として、通常10〜1000ppm、好ましくは20〜
200ppmの範囲とされる。触媒および安定剤の供給
は、原料スラリー調製時の他、エステル化反応またはエ
ステル交換反応の任意の段階において行うことが出来
る。更に、重縮合反応工程の初期に供給することも出来
る。
【0020】エステル化反応またはエステル交換反応時
の反応温度は、通常240〜280℃であり、反応圧力
は通常1〜3kg/cm2 Gである。また、重縮合反応
時の反応温度は、通常250〜300℃であり、反応圧
力は通常500〜0.1mmHgである。この様なエス
テル化またはエステル交換反応および重縮合反応は、1
段階で行なっても、複数段階に分けて行なってもよい。
この様にして得られるポリエステルは、極限粘度が通常
0.45〜0.70dl/gであり、常法によりチップ
化される。ポリエステルチップの平均粒径は、通常2.
0〜5.5mm、好ましくは2.2〜4.0mmの範囲
とされる。
【0021】次に、上記の様に溶融重縮合により得られ
たポリマーは、通常、固相重合に供される。固相重合に
供されるポリマーチップは、予め、固相重合を行う温度
より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重
合に供してもよい。この様な予備結晶化は、(a)乾燥
状態のポリマーチップを、通常120〜200℃、好ま
しくは130〜180℃の温度で1分間〜4時間加熱す
る方法、(b)乾燥状態のポリマーチップを、水蒸気ま
たは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下、通常120〜20
0℃の温度で1分間以上加熱する方法、(c)水、水蒸
気または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で吸湿させ調湿
したポリマーチップを、通常120〜200℃の温度で
1分間以上加熱する方法などによって行うことが出来
る。
【0022】ポリマーチップの調湿は、その含水率が通
常100〜10000ppm、好ましくは1000〜5
000ppmの範囲となる様に実施される。調湿したポ
リマーチップを結晶化や固相重合に供することにより、
PETに含まれるアセトアルデヒドや微量含まれる不純
物の量を一層低減化することが可能である。
【0023】固相重合工程は、少なくとも1段から成
り、通常190〜230℃、好ましくは195〜225
℃の重合温度、通常1kg/cm2 G〜10mmHg、
好ましくは0.5kg/cm2 G〜100mmHgの重
合圧力の条件下、窒素、アルゴン、二酸化炭素などの不
活性ガス流通下で実施される。固相重合時間は、温度が
高いほど短時間でよいが、通常1〜50時間、好ましく
は5〜30時間、更に好ましくは10〜25時間であ
る。固相重合により得られたポリマーの極限粘度は、通
常0.72〜0.85dl/gの範囲である。
【0024】本発明においては、上記方法により、最終
的に得られるポリエステル樹脂を構成するジエチレング
リコール単位(以下「DEG」と略称する。)の含有量
およびポリエステル樹脂中の環状三量体(以下「CT」
と略称する。)の含有量が特定の範囲内にあることを必
須とする。斯かる条件を満足することにより、本発明の
目的とする、連続成形性に優れ且つ透明性を損なうこと
なく結晶化速度を制御し、特にボトル用として好適なポ
リエステル樹脂組成物を得ることが出来る。
【0025】本発明において、最終的に得られるポリエ
ステル樹脂を構成するDEG量は、ポリエステルを構成
する全ジオール単位に対し、1.0〜2.5モル%、好
ましくは1.2〜2.2モル%である。DEG量が少な
過ぎる場合は、成形後のボトルの胴部の透明性が悪化す
る、また、多過ぎる場合は、耐熱性が低下し、更に、結
晶化促進効果が小さくなる。
【0026】上記範囲内にDEG量を調節する方法とし
ては、ジエチレングリコールを重合原料として使用する
他、主原料として使用するエチレングリコールからジエ
チレングリコールが一部副生するため、反応条件、添加
剤などを適宜選択することによってその副生成量を調節
する方法が挙げられる。
【0027】上記の添加剤としては、例えば、トリエチ
ルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチル
アミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニ
ウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化トリメ
チルベンジルアンモニウム等の水酸化第4級アンモニウ
ム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢
酸ナトリウム等の塩基性化合物が挙げられる。これらの
少量添加により、DEGの生成を抑制することが出来
る。一方、硫酸などの無機酸、安息香酸などの有機酸を
重合原料中に少量添加すれば、DEGの生成が促進し、
その含有量を増加させることも出来る。DEGの生成量
をコントロールする上記の添加剤は、必要に応じ、通
常、全重合原料の0.001〜10重量%、好ましく
は、0.005〜1重量%の範囲で使用される。
【0028】また、最終的に得られるポリエステル樹脂
中のCT含有量は、0.5重量%以下、好ましくは0.
45重量%以下、更に好ましくは0.4重量%以下、最
も好ましくは0.35重量%以下である。0.5重量%
を超える場合は、金型などの汚染が顕著に認められ、し
かも、成形体の胴部が白化し易くなる。CT量は、固相
重合温度を高くし、更に、重合時間を長くすることによ
り、低減することが可能である。
【0029】更に、CTの低減効果を高めるため、固相
重合に供される溶融重縮合後のポリマー中の末端カルボ
キシル基の濃度は、10〜30eq/トンの範囲にする
ことが好ましく、15〜25eq/トンの範囲にするこ
とが特に好ましい。末端カルボキシル基の濃度が上記範
囲に満たない場合は、固相重合性が悪くて極限粘度を大
きくするのに長時間を要することがあり、一方、上記範
囲を超える場合は、固相重合に供した場合のCT等のオ
リゴマーの低減効果が少ないことがある。
【0030】本発明は、上記の様な特定のポリエステル
樹脂にポリエチレンを配合することを特徴とする。ポリ
エチレン(以下「PE」と略記する。)の種類として
は、特に限定されず、高密度ポリエチレン、低密度ポリ
エチレン、線状低密度ポリエチレン等の何れであっても
よい。
【0031】上記の様な特定のポリエステル樹脂を使用
する結果、PEは、極めて微量の配合量でその効果を十
分に発揮することが出来る。PEの具体的な配合量は、
0.1〜45ppb、好ましくは1.0ppb〜40p
pbの範囲とされる。配合量が0.1ppb未満の場合
は、結晶化促進効果が不充分であり、45ppbを超え
る場合は、結晶化促進効果が大き過ぎ、口栓部の結晶化
およびボトルの熱処理時に肩部および胴部が白濁して透
明性が損なわれる。
【0032】ポリエステル樹脂にPEを配合する方法
は、ポリエステル製造工程中での添加、製造後のポリエ
ステルとのドライブレンド等、均一に混合し得る限り如
何なる方法でもよいが、ポリエステル製造工程中、具体
的には、原料スラリー調製時、エステル化反応またはエ
ステル交換反応の任意の段階および重縮合反応工程の初
期の何れかの時点で添加することが好ましい。
【0033】また、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、280℃の成形温度で射出成形して得られた成形品
について示差走査熱量計にて測定した際の昇温時の結晶
化温度(以下「TC1」と略称する。)が、155℃〜1
72℃であることが好ましく、160〜170℃である
ことが特に好ましい。TC1が上記範囲未満の場合は、成
形して得られたボトルの口栓部の結晶化およびボトルの
熱処理の際、肩部や胴部が白化して透明性を損なうこと
がある。一方、TC1が上記範囲を超える場合は、結晶化
速度の充分な改良効果が得難い。上記のTC1の条件を満
足することにより、成形品の結晶性および透明性の両方
の物性を同時に充分満足することが出来る。
【0034】ところで、本発明においては、前述した様
に、ポリエステルの製造中または製造後にPEを添加す
るが、PEの添加によってポリエステルのTC1が低下す
る。従って、ポリエステル製造後にPEを添加する場合
は、TC1の上記の条件を満足させるため、PE添加前の
C1が155℃以上のポリエステルを使用する必要があ
る。また、PEの添加量が過剰である場合は、ポリエス
テル樹脂のTC1が低下し過ぎ、TC1が上記の条件を外れ
ることがある。
【0035】本発明のポリエステル樹脂組成物は、一般
的に使用される溶融成形法を採用してボトルに成形する
ことが出来る。具体的には、例えば、射出成形または押
出成形で一旦パリソンを成形し、そのまま又は口栓部お
よび底部を加工後、再加熱し、ホットパリソン法または
コールドパリソン法などの延伸ブロー成形法を適用す
る。この場合の成形温度(具体的には試験機のシリンダ
ー各部およびノズルの温度)は、通常260〜300
℃、延伸温度は、通常70〜120℃である。延伸倍率
は、通常、縦方向に1.5〜3.5倍、円周方向に2〜
5倍の範囲である。
【0036】得られたボトルは、そのまま使用できる
が、特に、果汁飲料、ウーロン茶などの様に熱充填を必
要とする内液の場合は、一般に、ブロー金型内で熱固
定し、更に耐熱性を付与して使用される。熱固定は、通
常、圧空などによる緊張下、100〜200℃で数秒〜
数分間行われる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、本実施例で使用
した種々の測定方法を以下に示す。
【0038】(1)極限粘度(以下「IV」という。) フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混
合溶媒中30℃で測定した。
【0039】(2)ヘーズ シリンダー各部およびノズルヘッドの温度を280℃、
スクリュー回転数を200rpm、射出時間を60秒、
金型冷却水温度を10℃に設定した射出成形機(名機製
作所(株)製「M−70A」)で得られた段付き成形板
の、厚み4mm及び5mmの部分をヘーズメーター(日
本電色(株)社製「NDH−300A」)で測定した。
【0040】(3)結晶化温度 示差走査熱量計(セイコー電子(株)社製「DSC22
0C」)を使用し、サンプルとして段付き成形板の厚み
5mmの部分を使用した。室温から285℃までの20
℃/分の速度で昇温している途中で観察される結晶化ピ
ークのトップ温度を昇温結晶化温度(TC1)とした。更
に昇温を続け285℃に達した時点から3分間保持した
後、10℃/分の速度で降温した。この時に観察される
結晶化ピークのトップ温度を冷結晶化温度(TC2)とし
た。
【0041】(4)ボトルの透明性 シリンダー各部およびノズルヘッドの温度を280℃、
スクリュー回転数を100rpm、射出時間を10秒、
金型冷却水温度を10℃に設定した射出成形機(東芝
(株)社製「IS−60B」)でプリフォームを成形
し、次いで、予熱炉温度を90℃、ブロー圧力を20k
g/cm2 、成形サイクルを10秒に設定した延伸ブロ
ー成形機で成形し、胴部平均肉圧300μm、内容積1
リットルの瓶とし、目視により透明性を判断した。
【0042】(5)環状3量体量(以下「CT量」とい
う。) PET試料200mgをクロロホルム/ヘキサフルオロ
イソプロパノール(容量比3/2)混液2mlに溶解
し、更に、クロロホルム20mlを加えて希釈した。こ
れにメタノール10mlを加えて試料を再析出させ、次
いで、濾過して濾液を得た。当該濾液を乾固後、残渣を
ジメチルホルムアミド25mlに溶解した液について液
体クロマトグラフで分析定量した。
【0043】(6)ジエチレングリコール(以下「DE
G量」という。) PET試料5.0gに4N−KOHメタノール溶液50
ml加え、撹拌しながら加熱還流し加水分解した。該操
作により生成したジオール体成分をガスクロマトグラフ
で定量した。
【0044】実施例1〜3 テレフタル酸13.0kg及びエチレングリコール5.
82kgのスラリーを調製し、予め、0.30kgのビ
ス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを添加して
250℃の温度に保持したエステル化槽に4時間かけて
順次供給した。
【0045】供給終了後、1時間エステル化反応を進行
させた後、半量を重縮合槽に移し、リン酸0.91g
(対ポリマー120ppm)、二酸化ゲルマニウム0.
92g(対ポリマー120ppm)、表1に示す量のポ
リエチレン(三菱化学製「UE320」)を仕込み、2
50℃から278℃まで漸次昇温すると共に、常圧から
漸次減圧し、0.5mmHgに保持した。
【0046】反応を3時間行った後、生成したポリマー
を重縮合槽の底部に設けた抜出口よりストランド状に抜
出して水冷した後、チップ状にカットした。次に、撹拌
結晶化機(Bepex社式)により、上記のポリマーチ
ップ表面を150℃で結晶化させた後、静置固相重合塔
に移し、20リットル/kg・hrの窒素流通下、約1
40℃で3時間乾燥後、210℃で20時間固相重合
し、固相重合チップを得た。上記の固相重合チップを使
用し、射出成形機(名機製作所(株)製「M−70
A」)で段付角板状成形物を得た。この成形板の物性値
を表1に示す。
【0047】また、上記の固相重合チップを使用し、射
出成形機(東芝(株)製「IS−60B」)でプリフォ
ームを成形した。このプリフォームの口栓部を自製結晶
化機で加熱結晶化させた後、延伸ブロー成形機でブロー
成形し、胴部平均肉厚300μm、内容積1リットルの
瓶とし、引続き、150℃に設定した金型内で圧空緊張
下、10秒間熱固定した。このボトルの物性値を表1に
示す。
【0048】また、上記の固相重合チップを使用し、1
000本の瓶を連続成形したが、射出成形、延伸ブロー
成形、熱固定の何れの金型にも汚染は認められなかっ
た。更に、90℃で殺菌し、85℃まで冷却したオレン
ジ果汁液を上述の瓶に充填し、密栓後15分間倒置した
が、口栓部、肩部および胴部などの変形や液洩れは全く
認められなかった。
【0049】また、上記の固相重合チップを使用し、シ
リンダー及びノズルの各部温度を275℃、スクリュー
回転数を40rpm、押出量を80g/分に設定した3
0mm径の押出機で肉厚300μmのシートを成形し
た。連続的に10時間押出成形を継続したが、冷却ドラ
ムの汚染は殆ど認められなかった。
【0050】実施例4 実施例2において、重縮合工程中でPEを添加しないこ
と以外は、実施例2と同様の条件で重縮合反応を行って
ポリマーを得た。次に、実施例2と同様にして、210
℃で20時間固相重合を行って固相重合チップを得た。
当該固相重合チップに粉砕したPEを10ppbドライ
ブレンドしてポリエステル樹脂組成物を得た。このチッ
プより、実施例2と同様にして、内容積1リットルの熱
固定瓶を得たが、口栓部の変形、胴部の白濁は見られず
良好であった。また、上記のポリエステル樹脂組成物で
のボトルの連続成形性、熱充填試験結果も全く問題なく
良好であった。
【0051】比較例1 実施例1において、PEの添加量を0.04ppbとし
たこと以外は、実施例1と同様の条件で重縮合反応を行
ってポリマーを得た。次に、実施例1と同様にして、2
10℃で20時間固相重合を行って固相重合チップを得
た。このチップより、実施例1と同様にして段付成形板
を成形した。得られた成形板の物性値を表2に示す。ま
た、上記の固相重合チップを使用し、実施例1と同様に
プリフォームを成形した。このプリフォームの口栓部を
自製結晶化しようとしたが、口栓部端面に変形が認めら
れた。
【0052】比較例2 実施例1において、PEの添加量を200ppbとした
こと以外は、実施例1と同様の条件で重縮合反応を行い
ポリマーを得た。次に、実施例3と同様にして、210
℃で20時間固相重合を行って固相重合チップを得た。
このチップより、実施例1と同様にして段付成形板を成
形した。得られた成形板の物性値を表2に示す。また、
上記の固相重合チップを使用し、実施例1と同様にプリ
フォームを成形したが、プリフォームは白化して正常な
成形が行えなかった。
【0053】比較例3 実施例2において、製品中のDEG量が全ジオール単位
中5モル%になる様に追添した以外は、実施例2と同様
の条件で重縮合反応を行いポリマーを得た。次に、実施
例2と同様にして、210℃で20時間固相重合を行っ
て固相重合チップを得た。このチップより、実施例1と
同様にして段付成形板を成形した。得られた成形板の物
性値を表2に示す。
【0054】また、上記の固相重合チップより、実施例
2と同様にして内容積1リットルの熱固定瓶を得たが、
口栓部の変形、胴部の白濁は見られず良好であり、連続
成形においても金型の汚染は見られなかった。しかしな
がら、90℃で殺菌し、85℃まで冷却したオレンジ果
汁液を充填し、密栓後15分間倒置したところ、肩部お
よび胴部に僅かに変形が認められた。
【0055】比較例4 実施例2と同様の条件で重縮合反応を行いポリマーを得
た。次に、実施例2と同様にして固相重合チップを得
た。但し、固相重合の温度は215℃、時間は14時間
とした。このチップより、実施例2と同様にして段付成
形板を成形した。得られた成形板の物性値を表2に示
す。また、このチップより、実施例2と同様にプリフォ
ームを成形し、実施例2と同様にして内容積1リットル
の熱固定瓶を得たが、口栓部の変形、胴部の白濁は見ら
れず良好であった。更に、90℃で殺菌し、85℃まで
冷却したオレンジ果汁液を充填し、密栓後15分間倒置
したが、肩部および胴部に変形等は全く認められなかっ
た。しかしながら、上記の固相重合チップで1000本
のボトルを連続成形したところ、金型の汚染が認められ
た。
【0056】
【表1】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 1 2 3 4 PE含有量(ppb) 1 10 40 10 DEG量(モル%) 2.0 1.9 2.1 2.1 CT量(重量%) 0.38 0.41 0.39 0.42 極限粘度(dl/g) 0.79 0.78 0.78 0.78 段付成形板物性 DSC:TC1(℃) 164.2 162.9 163.2 163.3 :TC2(℃) 176.3 176.4 175.7 175.9 ヘーズ:4mm(%) 0.6 0.5 0.5 0.6 :5mm(%) 2.7 2.9 2.8 3.0 金型の汚染 ○ ○ ○ ○ ボトル外観 ○ ○ ○ ○ 耐熱性試験 ○ ○ ○ ○ ──────────────────────────────────── 金型の汚染・・・○:連続成形試験の前後において変化無し ×:連続成形試験後に付着物有り ボトル外観・・・○:変形、濁りが無く良好 △:透明であるが変形有り ×:結晶化時に白化有り 耐熱性試験・・・○:充填後のボトルに変形が無く良好 ×:充填後のボトルに変形有り
【0057】
【表2】 ──────────────────────────────────── 比 較 例 1 2 3 4 PE含有量(ppb) 0.04 200 10 10 DEG量(モル%) 1.9 2.0 5.2 2.1 CT量(重量%) 0.43 0.39 0.44 0.72 極限粘度(dl/g) 0.79 0.78 0.79 0.78 段付成形板物性 DSC:TC1(℃) 173.9 152.3 165.9 163.3 :TC2(℃) 175.1 185.4 174.1 176.4 ヘーズ:4mm(%) 0.4 7.8 0.4 0.6 :5mm(%) 2.7 24.4 2.2 2.9 金型の汚染 ○ ○ ○ × ボトル外観 △ × △ △ 耐熱性試験 ○ ○ × ○ ────────────────────────────────────
【0058】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、連続成形
性に優れ、しかも、成形物またはその前駆体であるプリ
フォームを熱処理して耐熱性を付与する際に、透明性を
損なうことなく結晶化速度のみを制御することが出来る
ポリエステル樹脂組成物が提供され、本発明のポリエス
テル樹脂組成物は、特に、ボトル成形に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中道 一也 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学 株式会社 四日市総合研究所内 (72)発明者 木代 修 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学 株式会社 四日市総合研究所内 (56)参考文献 特開 平7−207003(JP,A) 特開 平5−339351(JP,A) 特開 昭62−131055(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08L 67/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレート単位を主体と
    し、ジエチレングリコール単位の割合が全ジオール単位
    中1.0〜2.5モル%であり且つ環状三量体の含有量
    が0.5重量%以下であるポリエステル樹脂に0.1〜
    45ppbのポリエチレンを配合して成ることを特徴と
    するポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 280℃の成形温度で射出成形して得ら
    れた成形品について示差走査熱量計にて測定した際の昇
    温時の結晶化温度が155℃〜172℃である請求項1
    に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 極限粘度が0.72〜0.85dl/g
    である請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成
    物。
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