JPH11181257A - ポリエステル樹脂組成物及び該組成物からなる成形品 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物及び該組成物からなる成形品

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JPH11181257A
JPH11181257A JP35681997A JP35681997A JPH11181257A JP H11181257 A JPH11181257 A JP H11181257A JP 35681997 A JP35681997 A JP 35681997A JP 35681997 A JP35681997 A JP 35681997A JP H11181257 A JPH11181257 A JP H11181257A
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JP
Japan
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polyester resin
resin
molding
temperature
resin composition
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JP35681997A
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Inventor
Megumi Komiyama
恵 小見山
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 長期連続成形においてもボトル胴部の透明性
の経時的な悪化がないポリエステル樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 1.エチレンテレフタレート単位を主体
とし、極限粘度が0.70〜0.90dl/g、ジエチ
レングリコール単位の割合が全ジオール単位中1.0〜
3.0モル%、樹脂中の環状三量体量が0.4重量%以
下且つ290℃で65分溶融保持後の環状三量体の含有
量が0.5重量%以下であるポリエステル樹脂にポリエ
チレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリアミド樹脂か
ら選ばれた少なくとも一種を0.1〜45ppb配合し
てなり、該ポリエステル樹脂を280℃の成形温度で射
出成形して得られた成形品の示差走査熱量計にて測定し
た際の昇温時の結晶化温度が155〜168℃且つ、冷
却時の結晶化温度が165〜180℃の範囲であること
を特徴とするポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂
組成物及び該組成物からなる成形品に関するものであ
る。詳しくは、微量のポリエチレン等を配合してなるポ
リエステル樹脂組成物の結晶性の改良に関するものであ
る。本発明のポリエステル樹脂組成物は、透明性を損な
うことなく、結晶化速度を制御することができ、且つ長
期間の連続成形性に優れているので、特にボトル成形に
有用である。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(以下「P
ET」ということがある)は、機械的強度、化学的安定
性、透明性、衛生性、ガスバリヤー性等に優れており、
また、軽量且つ安価であるため、各種のシート及び容器
として、幅広く包装材料に使用され、特に、炭酸飲料、
果汁飲料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用等の容器
としての伸びが著しい。この様なPETは、例えば、ボ
トルの場合、射出成形機で中空成形体用のプリフォーム
を成形し、このプリフォームを所定形状の金型内で延伸
ブローする。また、果汁飲料等の様に熱充填を必要とす
る内容液の場合には、一般的に、プリフォーム又は成形
されたボトルの口栓部を熱処理して結晶化させることに
より耐熱性を付与する方法が提案されている(特開昭5
5−79237号公報、特開昭58−110221号公
報)。
【0003】上記の様な、口栓部や肩部を熱処理して耐
熱性を向上させる方法においては、結晶化処理の時間が
生産性に大きく影響するため、短時間で処理できる結晶
化速度の速いポリエステル樹脂が要求される。一方、胴
部については、充填物の色調を悪化させない様に、かか
る熱処理を行った後でも白化しないことが要求されてい
る。従って、口栓部と胴部では相反する特性が必要であ
る。
【0004】しかしながら、透明性に優れたポリエステ
ル樹脂は、通常、結晶化が遅いため、成形物の透明性や
強度を犠牲にし、樹脂の極限粘度を低下させることによ
り結晶化速度を改良するか、または、生産性を犠牲に
し、高温且つ長時間の熱処理を行う必要がある。短時間
で熱処理する為に更に高温処理を実施した場合、結晶化
促進による白化を回避できたとしても、ブロー金型内部
で環状三量体を主とするオリゴマーの発生量が著しく増
加する為に、ブロー金型表面にオリゴマーが付着して金
型汚れを起こし、成形ボトル表面荒れによる白化が発生
する。その対策として頻繁に金型掃除を行う必要が有
り、結果として生産性の向上には繋がらないのが実状で
あった。このため、本発明者らは特開平9−15130
8号公報に、ポリエステル樹脂に0.1〜45ppbの
ポリエチレンを含有することにより、透明性を損なうこ
となく結晶化速度を改善する方法を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ボトル
メーカーにおいては、超高速化のために更に熱処理温度
を上げて短時間処理が行われることになり、前記ポリエ
ステル樹脂組成物を用いたボトル成形品については、初
期の成形品の口栓部結晶化、胴部透明性は良好であるも
のの、長期連続成形した場合、胴部透明性が経時的に悪
化傾向が見られる結果となった。本発明は、成形物を熱
処理して耐熱性を付与する際に、透明性を損なうことな
く結晶化速度のみを制御することができ、しかも長期連
続成形においてもボトル胴部の透明性の経時的な悪化が
ないポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことに、
特定のポリエステル樹脂を使用することにより、前記ポ
リエステル樹脂組成物では解決できなかった、ボトル製
造時の必須要件である透明性と結晶化速度という相反す
る特性を同時に満足し、且つ長期連続成形性の改良され
たポリエステル樹脂組成物が得られることを見い出し、
本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明の要旨は、 1.エチレンテレフタレート単位を主体とし、極限粘度
が0.70〜0.90dl/g、ジエチレングリコール
単位の割合が全ジオール単位中1.0〜3.0モル%、
樹脂中の環状三量体が0.4重量%以下且つ290℃で
65分溶融保持後の環状三量体の含有量が0.5重量%
以下であるポリエステル樹脂にポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂及びポリアミド樹脂から選ばれた少なく
とも一種を0.1〜45ppb配合してなり、該ポリエ
ステル樹脂を280℃の成形温度で射出成形して得られ
た成形品の示差走査熱量計にて測定した際の昇温時の結
晶化温度が155〜168℃、且つ冷却時の結晶化温度
が165〜180℃の範囲であることを特徴とするポリ
エステル樹脂組成物、 2.1項に記載のポリエステル樹脂組成物を射出成形し
てなるプリフォーム、 3.2項に記載のプリフォームの口栓部を加熱・結晶化
させた後に、少なくとも一軸延伸されてなるブローボト
ル、にある。以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるPETとは、
全構成繰り返し単位に対するテレフタル酸及びエチレン
グリコールからなるオキシエチレンオキシテレフタロイ
ル単位(以下「ET単位」という)の比率が80当量%
以上であるポリエチレンテレフタレートを言い、本発明
におけるPETは、ET単位以外の構成繰り返し単位を
20当量%以下の範囲で含んでいてもよい。本発明にお
けるPETは、テレフタル酸又はその低級アルキルエス
テルとエチレングリコールとを主たる原料として製造さ
れるが、前述の通り、他の酸成分及び/又は他のグリコ
ール成分を併せて原料として用いてもよい。
【0009】テレフタル酸以外の酸成分としては、フタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4′−ビ
フェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸及びこれら
の構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジ
カルボン酸及びその誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸、
グリコール酸等のオキシ酸又はその誘導体が挙げられ
る。
【0010】また、エチレングリコール以外のジオール
成分としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチ
レングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペン
チルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサン
ジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物誘
導体等が挙げられる。
【0011】上記の様なテレフタル酸又はそのエステル
形成性誘導体とエチレングリコールとを含む原料は、エ
ステル化触媒又はエステル交換触媒の存在下におけるエ
ステル化反応又はエステル交換反応により、ビス(β−
ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はそのオリ
ゴマーを形成させ、その後、重縮合触媒及び安定剤の存
在下で高温減圧下に溶融重縮合を行ってポリマーとされ
る。
【0012】エステル化触媒は、テレフタル酸がエステ
ル化反応の自己触媒となるため、特に使用する必要はな
い。また、エステル化反応は、エステル化触媒と後述す
る重縮合触媒の共存下に実施することも可能であり、ま
た、少量の無機酸等の存在下に実施することができる。
エステル交換触媒としては、ナトリウム、リチウム等の
アルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカ
リ土類金属塩、亜鉛、マンガン等の金属化合物が好まし
く使用されるが、透明性の観点からマンガン化合物が特
に好ましい。
【0013】重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合
物、アンチモン化合物、チタン化合物、コバルト化合
物、錫化合物等の反応系に可溶な化合物が単独又は組み
合わせて使用される。重縮合触媒としては、色調及び透
明性等の観点から二酸化ゲルマニウムが特に好ましい。
安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチル
ホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エ
ステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシル
ホスファイト等の亜リン酸エステル類、メチルアシッド
ホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホス
フェート酸性リン酸エステル、リン酸、亜リン酸、次亜
リン酸、ポリリン酸等のリン化合物が好ましい。
【0014】上記の触媒の使用割合は、全重合原料中、
触媒中の金属の重量として、通常5〜2000ppm、
好ましくは10〜500ppmの範囲とされ、安定剤の
使用割合は、全重合原料中、安定剤中のリン原子の重量
として、通常10〜1000ppm、好ましくは20〜
200ppmの範囲とされる。触媒及び安定剤の供給
は、原料スラリー調製時の他、エステル化反応又はエス
テル交換反応の任意の段階において行うことができる。
更に、重縮合反応工程の初期に供給することもできる。
【0015】エステル化反応又はエステル交換反応時の
反応温度は、通常240〜280℃であり、反応圧力は
通常1〜3kg/cm2 Gである。また、重縮合反応時
の反応温度は、通常250〜300℃であり、反応圧力
は通常500〜0.1mmHgである。この様なエステ
ル化又はエステル交換反応及び重縮合反応は、一段階で
行っても、複数段階に分けて行ってもよい。この様にし
て得られるポリエステルは、極限粘度が通常0.45〜
0.70dl/gであり、常法によりチップ化される。
ポリエステルチップの平均粒径は、通常2.0〜5.5
mm、好ましくは2.2〜4.0mmの範囲とされる。
【0016】次に、上記の様に溶融重縮合により得られ
るポリマーは、通常、固相重合に供される。固相重合に
供されるポリマーチップは、予め、固相重合を行う温度
より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重
合に供してもよい。この様な予備結晶化は、(a)乾燥
状態のポリマーチップを、通常120〜200℃、好ま
しくは130〜180℃の温度で1分間〜4時間加熱す
る方法、(b)乾燥状態のポリマーチップを、水蒸気又
は水蒸気含有不活性ガス雰囲気下、通常120〜200
℃の温度で1分間以上加熱する方法、(c)水、水蒸気
又は水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で吸湿させ調湿した
ポリマーチップを、通常120〜200℃の温度で1分
間以上加熱する方法等によって行うことができる。
【0017】ポリマーチップの調湿は、その含水率が通
常100〜10000ppm、好ましくは1000〜5
000ppmの範囲となる様に実施される。調湿したポ
リマーチップを結晶化や固相重合に供することにより、
PETに含まれるアセトアルデヒドや微量含まれる不純
物の量を一層低減化することが可能である。固相重合工
程は、少なくとも一段からなり、通常190〜230
℃、好ましくは195〜225℃の重合温度、通常1k
g/cm2 G〜10mmHg、好ましくは0.5kg/
cm2 G〜100mmHgの重合圧力の条件下、窒素、
アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス流通下で実施され
る。固相重合時間は、温度が高いほど短時間でよいが、
通常1〜50時間、好ましくは5〜30時間、更に好ま
しくは10〜25時間である。固相重合により得られた
ポリマーの極限粘度は、通常0.70〜0.90dl/
gの範囲である。
【0018】本発明においては、上記方法により、最終
的に得られるポリエステル樹脂を構成するジエチレング
リコール単位(以下「DEG」と略記する)の含有量及
び290℃で65分溶融保持後のポリエステル樹脂中の
環状三量体(以下「CT」と略記する)の含有量が特定
の範囲内にあることを必須とする。かかる条件を満足す
ることにより、本発明の目的とする、長期連続成形性に
優れ且つ透明性を損なうことなく結晶化速度を制御し、
特にボトル用として好適なポリエステル樹脂組成物を得
ることができる。
【0019】本発明において、最終的に得られるポリエ
ステル樹脂を構成するDEG量は、ポリエステルを構成
する全ジオール単位に対し、1.0〜2.5モル%、好
ましくは1.2〜2.2モル%である。DEG量が少な
過ぎる場合は、成形後のボトルの胴部の透明性が悪化す
る。また、多過ぎる場合は、耐熱性が低下し、更に、結
晶化促進効果が小さくなる。上記範囲内にDEG量を調
節する方法としては、ジエチレングリコールを重合原料
として使用する他、主原料として使用するエチレングリ
コールからジエチレングリコールが一部副生するため、
反応条件、添加剤等を適宜選択することによってその副
生成量を調節する方法が挙げられる。
【0020】上記の添加剤としては、例えば、トリエチ
ルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチル
アミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニ
ウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化トリメ
チルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウ
ム塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
酢酸ナトリウム等の塩基性化合物が挙げられる。これら
の少量添加により、DEGの生成を抑制することができ
る。一方、硫酸等の無機酸、安息香酸等の有機酸を重合
原料中に少量添加すれば、DEGの生成が促進され、そ
の含有量を増加させることもできる。DEGの生成量を
制御する上記の添加剤は、必要に応じ、通常、全重合原
料の0.001〜10重量%、好ましくは、0.005
〜1重量%の範囲で使用される。
【0021】また、290℃で65分溶融保持後のポリ
エステル樹脂中のCT含有量は、0.5重量%以下、好
ましくは0.45重量%以下、更に好ましくは0.40
重量%以下、最も好ましくは0.35重量%以下であ
る。0.5重量%を超える場合は、金型等の汚染が顕著
に認められ、長期連続成形時に成形体の胴部が白化し易
くなる。上記範囲にする為には、固相重合温度を高く
し、更に、重合時間を長くすることが必要で、溶融保護
前の樹脂中CT含有量を0.4重量%以下、好ましくは
0.35重量%以下、更に好ましくは0.30重量%、
最も好ましくは0.25重量%以下に低減することが必
須である。これは、該樹脂を65℃以上の水蒸気、又は
水蒸気含有ガスに30分以上接触させることにより達成
できる。
【0022】更に、CTの低減効果を高めるため、固相
重合に供される溶融重縮合後のポリマー中の末端カルボ
キシル基の濃度は、10〜30eq/トンの範囲にする
ことが好ましく、15〜25eq/トンの範囲にするこ
とが特に好ましい。末端カルボキシル基の濃度が上記範
囲に満たない場合は、固相重合性が悪くて極限粘度を大
きくするのに長時間を要することがあり、一方、上記範
囲を超える場合は、固相重合に供した場合のCT等のオ
リゴマーの低減効果が少ないことがある。
【0023】本発明は、上記の様な特定のポリエステル
樹脂にポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリ
アミド樹脂から選択される樹脂(以下「結晶化改良樹
脂」と総称する)を含有することを特徴とする。ポリエ
チレン樹脂(以下「PE」と略記する)の種類として
は、特に限定されず、高密度ポリエチレン、低密度ポリ
エチレン、線状低密度ポリエチレン等の何れであっても
よい。また、ポリプロピレン樹脂(以下「PP」と略記
する)の種類は低密度ポリプロピレン、高密度ポリプロ
ピレンのいずれの種類であっても良い。ポリアミド樹脂
の種類としては、6−ナイロン、6,6−ナイロン等が
挙げられる。
【0024】上記の様な特定のポリエステル樹脂を使用
することにより、結晶化改良樹脂は極めて微量の含有量
でその効果を十分に発揮することができる。該樹脂の具
体的な配合量は、0.1〜45ppb、好ましくは1.
0〜40ppbの範囲とされる。配合量が0.1ppb
未満の場合は、結晶化促進効果が不充分であり、45p
pbを超える場合は、結晶化促進効果が大き過ぎ、口栓
部の結晶化及びボトルの熱処理時に肩部及び胴部が白濁
して透明性が損なわれる。
【0025】ポリエステル樹脂に結晶化改良樹脂を含有
させる方法については、ポリエステル製造工程中での添
加、製造後のポリエステルとのドライブレンド等、均一
に混合し得る限り如何なる方法でもよいが、ポリエステ
ル製造工程中、具体的には、原料スラリー調製時、エス
テル化反応又はエステル交換反応の任意の段階及び重縮
合反応工程の初期の何れかの時点で添加することが好ま
しい。
【0026】また、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、280℃の成形温度で射出成形して得られた成形品
について示差走査熱量計にて測定した際の昇温時の結晶
化温度(以下「TC1」と略称する)が155〜168℃
であり、冷却時の結晶化温度(以下「Tc2」と略称す
る)が160〜180℃であることが必須である。
【0027】TC1が上記範囲未満の場合は、成形して得
られたボトルの口栓部の結晶化及びボトルの熱処理の
際、肩部や胴部が白化して透明性を損なうことがある。
一方、TC1が上記範囲を超える場合は、結晶化速度の充
分な改良効果が得難い。また、Tc2が上記範囲未満の場
合は、透明性が悪化して好ましくなく、Tc2が上記範囲
を越える場合、透明性は問題ないが結晶化が遅い為、生
産性を向上させる目的を達成出来ず好ましくない。上記
のTC1及びTc2の両方の条件を満足することにより、成
形品の結晶性及び透明性の両方の物性を同時に充分満足
することができる。
【0028】ところで、本発明においては、前述した様
に、ポリエステルの製造中又は製造後に結晶改良樹脂を
添加するが、結晶化改良樹脂の添加によってポリエステ
ルのTC1が低下する。従って、ポリエステル製造後に結
晶化改良樹脂を添加する場合は、TC1の上記の条件を満
足させるため、結晶化改良樹脂添加前のTC1が155℃
以上のポリエステルを使用する必要がある。また、結晶
化改良樹脂の添加量が過剰である場合は、ポリエステル
樹脂のTC1が低下し過ぎ、TC1が上記の条件を外れるこ
とがある。
【0029】本発明のポリエステル樹脂組成物は、一般
的に使用される溶融成形法を採用してボトルに成形する
ことができる。具体的には、例えば、射出成形又は押出
成形で一旦パリソンを成形し、そのまま又は口栓部及び
底部を加工後、再加熱し、ホットパリソン法又はコール
ドパリソン法等の延伸ブロー成形法を適用する。この場
合の成形温度(具体的には試験機のシリンダー各部及び
ノズルの温度)は、通常260〜300℃、延伸温度
は、通常70〜120℃である。延伸倍率は、通常、縦
方向に1.5〜3.5倍、円周方向に2〜5倍の範囲で
ある。得られたボトルは、そのまま使用できるが、特
に、果汁飲料、ウーロン茶等の様に熱充填を必要とする
内容液の場合は、一般に、ブロー金型内で熱固定し、更
に耐熱性を付与して使用される。熱固定は、通常、圧空
等による緊張下、100〜200℃で数秒〜数分間行わ
れる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、本実施例で使用
した種々の測定方法を以下に示す。 (1)極限粘度(以「IV」という) フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混
合溶媒中30℃で測定した。 (2)ヘーズ シリンダー各部及びノズルヘッドの温度を280℃、ス
クリュー回転数を200rpm、射出時間を60秒、金
型冷却水温度を10℃に設定した射出成形機(名機製作
所(株)製「M−70A」)で得られた段付成形板の、
厚み4mm及び5mmの部分をヘーズメーター(日本電
色(株)社製「NDH−300A」)で測定した。
【0031】(3)結晶化温度 示差走査熱量計(セイコー電子(株)社製「DSC22
0C」)を使用し、サンプルとして段付成形板の厚み5
mmの部分を使用した。室温から285℃までの20℃
/分の速度で昇温している途中で観察される結晶化ピー
クのトップ温度を昇温結晶化温度(TC1)とした。更に
昇温を続け285℃に達した時点から3分間保持した
後、10℃/分の速度で冷却した。この時に観察される
結晶化ピークのトップ温度を冷結晶化温度(Tc2)とし
た。
【0032】(4)ボトルの透明性 シリンダー各部及びノズルヘッドの温度を280℃、ス
クリュー回転数を100rpm、射出時間を10秒、金
型冷却水温度を10℃に設定した射出成形機(東芝
(株)社製「IS−60B」)でプリフォームを成形
し、次いで、予熱炉温度を90℃、ブロー圧力を20k
g/cm2 、成形サイクルを6秒に設定した延伸ブロー
成形機で成形し、胴部平均肉圧400μm、内容積0.
5リットルの瓶とし、目視により透明性を判断した。
【0033】(5)環状三量体量(以下「CT量」とい
う) PET試料200mgをクロロホルム/ヘキサフルオロ
イソプロパノール(容量比3/2)混液2mlに溶解
し、更に、クロロホルム20mlを加えて希釈した。こ
れにメタノール10mlを加えて試料を再析出させ、次
いで、濾過して濾液を得た。当該濾液を乾固後、残渣を
ジメチルホルムアミド25mlに溶解した液について液
体クロマトグラフで分析定量した。尚、290℃で65
分溶融保持したサンプルは、枝付き試験管にレジン5.
0gを入れ、160℃で2時間真空乾燥した後、窒素流
通下でオイルバス中で加熱溶融して抜出したサンプルを
用いてCTを測定した。
【0034】(6)ジエチレングリコール(以下「DE
G量」という) PET試料5.0gに4N−KOHメタノール溶液50
mg加え、撹拌しながら過熱還流し加水分解した。該操
作により生成したジオール体成分をガスクロマトグラフ
で定量した。 実施例1〜3 テレフタル酸1300.0kg及びエチレングリコール
582.0kgのスラリーを調製し、予め、30.0k
gのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを添
加して250℃の温度に保持したエステル化槽に4時間
かけて順次供給した。
【0035】供給終了後、1時間エステル化反応を進行
させた後、半量を重縮合槽に移し、リン酸91.0g
(対ポリマー120ppm)、二酸化ゲルマニウム9
2.0g(対ポリマー120ppm)、表1に示す量の
ポリエチレン樹脂(日本ポリケム製「UE320」)を
仕込み、250℃から278℃まで漸次昇温すると共
に、常圧から漸次減圧し、0.5mmHgに保持した。
【0036】反応を3時間行った後、生成したポリマー
を重縮合槽の底部に設けた抜出口よりストランド状に抜
出して水冷した後、チップ状にカットした。次に、撹拌
結晶化機(Bepex社式)により、上記のポリマーチ
ップ表面を150℃で結晶化させた後、静置固相重合塔
に移し、20リットル/kg/hの窒素流通下、約14
0℃で3時間乾燥後、210℃で20時間固相重合を行
った。固相重合終了後、該ポリマーを製品タンク中で6
5℃の水蒸気処理を15hr実施した。上記のポリマー
チップを使用し、供給射出成形機(名機製作所(株)製
「M−70A」)で段付各板状成形物を成形した。この
成形板の物性値を表1に示す。
【0037】また、上記の固相重合チップを使用し、射
出成形機(東芝(株)製「IS−60B」)でプリフォ
ームを成形した。このプリフォームの口栓部を自製結晶
化機で加熱結晶化させた後、延伸ブロー成形機でブロー
成形し、胴部平均肉厚400μm、内容積0.5リット
ルの瓶とし、引続き、160℃に設定した金型内で圧空
緊張下、3秒間熱固定した。このボトルの物性値を表1
に示す。
【0038】また、上記の固相重合チップを使用し、1
0000本の瓶を連続成形したが、射出成形、延伸ブロ
ー成形、熱固定の何れの金型にも汚染は認められなかっ
た。更に、90℃で殺菌し、85℃まで冷却したオレン
ジ果汁液を上述の瓶に充填し、密栓後15分間倒置した
が、口栓部、肩部及び胴部等の変形や液洩れは全く認め
られなかった。また、上記の固相重合チップを使用し、
シリンダー及びノズルの各部温度を275℃、スクリュ
ー回転数を40rpm、押出量を80g/分に設定した
30mm径の押出機で肉厚300μmのシートを成形し
た。連続的に24時間押出成形を継続したが、冷却ドラ
ムの汚染は殆ど認められなかった。
【0039】実施例4 実施例2において、重縮合工程中でPEを添加しないこ
と以外は、実施例2と同様の条件で重縮合反応を行って
ポリマーを得た。次に、実施例2と同様にして、210
℃で20時間固相重合を行って固相重合チップを得た。
当該固相重合チップに粉砕したPEを10ppbドライ
ブレンドしてポリエステル樹脂組成物を得た。このチッ
プより、実施例2と同様にして、内容積0.5リットル
の熱固定瓶を得たが、口栓部の変形、胴部の白濁は見ら
れず良好であった。また、上記のポリエステル樹脂組成
物でのボトルの連続成形性、熱充填試験結果も全く問題
なく良好であった。
【0040】実施例5 実施例2において、PE樹脂をPP樹脂(日本ポリケム
製「FD3D」)に変更したこと以外は、実施例2と同
様の条件で重縮合反応を行ってポリマーを得た。このチ
ップより、実施例2と同様にして、内容積0.5リット
ルの熱固定瓶を得たが、口栓部の変形、胴部の白濁は見
られず良好であった。また、上記のポリエステル樹脂組
成物でのボトルの連続成形性、熱充填試験結果も全く問
題なく良好であった。
【0041】実施例6 実施例2において、PE樹脂をナイロン樹脂(三菱エン
ジニアプラスチック社製「ノバミッド1030」)に変
更したこと以外は、実施例2と同様の条件で重縮合反応
を行ってポリマーを得た。このチップより、実施例2と
同様にして、内容積0.5リットルの熱固定瓶を得た
が、口栓部の変形、胴部の白濁は見られず良好であっ
た。また、上記のポリエステル樹脂組成物でのボトルの
連続成形性、熱充填試験結果も全く問題なく良好であっ
た。
【0042】比較例1 固相重合後の水蒸気処理を実施しなかった以外は実施例
2と同様の条件で重縮合反応、固相重合を実施してチッ
プを得た。このチップより、実施例2と同様にして段付
成形板を成形した。得られた成形板の物性値を表2に示
す。また、このチップより、実施例2と同様にプリフォ
ームを成形し、実施例2と同様にして内容積0.5リッ
トルの熱固定瓶を得たが、口栓部の変形、胴部の白濁は
見られず良好であった。更に、90℃で殺菌し、85℃
まで冷却したオレンジ果汁液を充填し、密栓後15分間
倒置したが、肩部及び胴部に変形等は全く認められなか
った。しかしながら、上記の固相重合チップで1000
0本のボトルを連続成形したところ、金型の汚染が認め
られ、ボトル表面の荒れ、白化が認められ。
【0043】比較例2 PEの添加量を200ppbとしたこと以外は、実施例
1と同様の条件で重縮合反応を行ってポリマーを得た。
次に、実施例1と同様にして、210℃で20時間固相
重合を行った後、水蒸気処理を実施したポリエステルチ
ップを得た。このチップより、実施例1と同様にして段
付成形板を成形した。得られた成形板の物性値を表2に
示す。また、上記のチップを使用し、実施例1と同様に
プリフォームを成形したが、プリフォームは白化が生じ
た為、その後の評価を中止した。
【0044】比較例3 実施例2において、製品中のDEG量が6%になる様に
追添した以外は、実施例2と同様の条件でポリエステル
チップを得た。このチップより、実施例1と同様にして
段付成形板を成形した。得られた成形板の物性値を表2
に示す。また、上記のポリエステルチップより、実施例
2と同様にして内容積0.5リットルの熱固定瓶を得た
が、口栓部の変形、胴部の白濁は見られず良好であり、
連続成形においても金型の汚染は見られなかった。しか
しながら、90℃で殺菌し、85℃まで冷却したオレン
ジ果汁液を充填し、密栓後15分間倒置したところ、肩
部及び胴部に僅かに変形が認められた。
【0045】比較例4 水蒸気処理後のレジンをエンボス付きSUS配管で移送
したこと以外は、実施例5と同様の条件でポリエステル
チップを得た。このチップより、実施例1と同様にして
段付成形板を成形した。得られた成形板の物性値を表2
に示す。また、上記の固相重合チップを使用し、実施例
1と同様にプリフォームを成形したが、プリフォームの
白化が生じた為、その後の評価を中止した。
【0046】比較例5 PP樹脂の添加量を0.04ppbとしたこと以外は、
実施例5と同様の条件でポリエステルチップを得た。こ
のチップより、実施例1と同様にして段付成形板を成形
した。得られた成形板の物性値を表2に示す。また、上
記のポリエステルチップを使用し、実施例1と同様にプ
リフォームを成形した。プリフォームの口栓部を自製結
晶化装置で加熱結晶化をしようとしたが、結晶化が遅く
口栓部端面に僅かに変形が認められた。
【0047】実施例2において、製品中のDEG量が5
%になる様に追添した以外は、実施例2と同様の条件で
重縮合反応を行いポリマーを得た。次に、実施例2と同
様にして、210℃で20時間固相重合を行って固相重
合チップを得た。このチップより、実施例1と同様にし
て段付成形板を成形した。得られた成形板の物性値を表
2に示す。
【0048】また、上記の固相重合チップより、実施例
2と同様にして内容積1リットルの熱固定瓶を得たが、
口栓部の変形、胴部の白濁は見られず良好であり、連続
成形においても金型の汚染は見られなかった。しかしな
がら、90℃で殺菌し、85℃まで冷却したオレンジ果
汁液を充填し、密栓後15分間倒置したところ、肩部及
び胴部に僅かに変形が認められた。
【0049】比較例6 ナイロンの添加量を200ppbとしたこと以外は、実
施例6と同様の条件で重縮合反応を行ってポリマーを得
た。次に、実施例1と同様にして、固相重合、水蒸気処
理を実施したポリエステルチップを得た。このチップよ
り、実施例1と同様にして段付成形板を形成した。得ら
れた成形板の物性値を表2に示す。また、上記のチップ
を使用し、実施例1と同様にプリフォームを成形した
が、プリフォームは白化が生じた為、その後の評価を中
止した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、長期間連続成形性に優
れ、しかも、成形物を熱処理して耐熱性を付与する際
に、透明性を損なうことなく結晶化速度のみを制御する
ことができるポリエステル樹脂組成物が提供され、この
組成物は、特に、ボトル成形に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 77:00) B29K 67:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレート単位を主体と
    し、極限粘度が0.70〜0.90dl/g、ジエチレ
    ングリコール単位の割合が全ジオール単位中1.0〜
    3.0モル%、樹脂中の環状三量体量が0.4重量%以
    下且つ290℃で65分溶融保持後の環状三量体の含有
    量が0.5重量%以下であるポリエステル樹脂にポリエ
    チレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリアミド樹脂か
    ら選ばれた少なくとも一種を0.1〜45ppb配合し
    てなり、該ポリエステル樹脂を280℃の成形温度で射
    出成形して得られた成形品の示差走査熱量計にて測定し
    た際の昇温時の結晶化温度が155〜168℃、且つ冷
    却時の結晶化温度が165〜180℃の範囲であること
    を特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリエステル樹脂組成
    物を射出成形してなるプリフォーム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のポリエステル樹脂組成
    物を射出成形してなるプリフォームの口栓部を加熱・結
    晶化させた後に、少なくとも一軸延伸されてなるブロー
    ボトル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6392005B1 (en) 2001-03-19 2002-05-21 Nan Ya Plastics Corporation Manufacturing method for decreasing the cyclic oligomer content in polyester
JP2006076446A (ja) * 2004-09-09 2006-03-23 Meiwa Ind Co Ltd 乗り物用フロアボードと、その端末処理方法

Cited By (3)

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JP4500139B2 (ja) * 2004-09-09 2010-07-14 盟和産業株式会社 乗り物用フロアボード

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