JPH07207003A - ダイレクトブローボトル用共重合ポリエステル - Google Patents

ダイレクトブローボトル用共重合ポリエステル

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JPH07207003A
JPH07207003A JP208594A JP208594A JPH07207003A JP H07207003 A JPH07207003 A JP H07207003A JP 208594 A JP208594 A JP 208594A JP 208594 A JP208594 A JP 208594A JP H07207003 A JPH07207003 A JP H07207003A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオ
ール成分としてエチレングリコールを主成分とする共重
合ポリエステルであって、(1)ジオール成分としてシ
クロヘキサンジメタノール0.5〜10モル%及びジエ
チレングリコール1〜4モル%を含み、(2)ゲルマニ
ウム原子の含有量が20〜60ppm、(3)末端カル
ボキシル基が18当量/トン以下、(4)環状3量体が
0.40重量%以下、(5)極限粘度が0.65〜1.
50dl/g、(6)結晶化温度(Tc1 )および結晶
化発熱量(ΔHc)がそれぞれ170≦Tc1 ≦195
℃、0.5≦ΔHc≦15mj/mg、であることを特
徴とするダイレクトブローボトル用共重合ポリエステ
ル。 【効果】 本発明の共重合ポリエステルは、高い生産性
で製造することができる。また、通常のボトル用ポリエ
チレンテレフタレートに比べ低温成形が可能であり、耐
ドローダウン性が高いため、ダイレクトブロー成形に好
適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイレクトブローボト
ルに有用な共重合ポリエステルに関する。詳しくは、成
形したボトルの透明性、機械的強度、耐熱性に優れ、ま
た、ボトル成形時の低温成形性、耐ドローダウン性に優
れ、更に、共重合ポリエステル中のオリゴマー含量が少
なく、成形時のオリゴマー副生量も少ないために金型な
どの汚染が少ない、等の性質を有するダイレクトブロー
ボトルの原料として有用な共重合ポリエステルに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(以下、
「PET」という。)は機械的強度、化学的安定性、透
明性、衛生性などに優れており、また軽量、安価である
ために、各種のシート、容器として幅広く包装材料に用
いられ、特に、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用
油、酒、ワイン用の容器としての伸びが著しい。
【0003】このようなPETは、例えば、ボトルの場
合、射出成形機で中空成形体用のプリフォームを成形
し、このプリフォームを所定形状の金型内で延伸ブロー
する。また、果汁飲料のように熱充填を必要とする内溶
液の場合には、そのブロー金型中、あるいは別途設けた
金型中でさらに、熱固定してボトルに成形されるのが一
般的である。
【0004】また、近年ではPET系樹脂の安全衛生性
や易焼却性、さらにはリサイクルの可能性の高さに由来
し、ポリ塩化ビニル(以下、「PVC」という。)の代
替やその他の目的でダイレクトブロー成形によりボトル
化され使用される用途も増えつつある。しかし、成形に
用いる従来のPET中には、オリゴマーが主成分の環状
3量体の量として、溶融重合後のプレポリマーで通常1
〜2重量%、固相重合ポリマーでも通常0.5〜1重量
%含有されており、これらオリゴマー類が、成形時に金
型などの装置類に付着し、汚染する。この金型などの汚
染は、成形品の表面肌荒れや白化などの原因となる。そ
こで、金型などをなるべく頻繁に清掃する必要がある。
【0005】そこで、従来、固相重合時間を延長した
り、触媒量を多くして、低オリゴマー化が試みられてい
るが、このような方法によるオリゴマーの低減には限度
があり、かつ、経済的な方法ではない。一方、PETに
類似した性質を有する共重合ポリエステル、例えば、ジ
カルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を用
いた共重合ポリエステルや、ジオール成分としてエチレ
ングリコールとジエチレングリコールあるいはシクロヘ
キサンジメタノールを用いた共重合ポリエステルなども
多く知られている。しかしながら、オリゴマー量がある
程度以上に低減され、かつ、ダイレクトブロー用として
PETと同等ないしはそれ以上の物性を有する共重合ポ
リエステルは具体的には知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、オリ
ゴマー含量が少なく、成形時のオリゴマーの副生も少な
いために、成形時に金型などの汚染を起こしにくいう
え、PETと比較して固相重合時の重合速度およびオリ
ゴマー低減化速度が速いために生産性が高く、他の共重
合PETと比較しても、透明性や低温落下強度などでよ
り優れた性能を有するダイレクトブローボトルを供し得
る、共重合ポリエステルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、PETの構成成分
中に一定割合のシクロヘキサンジメタノールおよびジエ
チレングリコールを含有させた特定の物性を有する共重
合ポリエステルがダイレクトブローボトル用として適し
た共重合ポリエステルであることを見いだし、本発明に
到達した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、ジカルボン酸
成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレン
グリコールを主成分とする共重合ポリエステルであっ
て、(1)ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノ
ール0.5〜10モル%及びジエチレングリコール1〜
4モル%を含み、(2)ゲルマニウム原子の含有量が2
0〜60ppm、(3)末端カルボキシル基が18当量
/トン以下、(4)環状3量体が0.40重量%以下、
(5)極限粘度が0.65〜1.50dl/g、(6)
結晶化温度(Tc1 )および結晶化発熱量(ΔHc)が
それぞれ170≦Tc1 ≦195℃、0.5≦ΔHc≦
15mj/mg、であることを特徴とするダイレクトブ
ローボトル用共重合ポリエステル、ならびに、その共重
合ポリエステルをダイレクトブローしてなる共重合ポリ
エステル製ボトルに存する。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
共重合ポリエステルは、主成分のテレフタル酸、エチレ
ングリコールについては、公知のPETで用いられる原
料を用いればよい。また、本発明のシクロヘキサンジメ
タノール原料としては、1,2− 1,3−および1,
4−シクロヘキサンジメタノールがあげられ、そのシ
ス、トランス体比は任意の割合の混合物でよい。このう
ち、通常は、1,4−シクロヘキサンジメタノールで、
シス/トランス比が(20〜80)/(80〜20)の
割合のものが特に好ましく使用される。
【0010】また、ジエチレングリコール(以下、「D
EG」という。)については、重合反応中にエチレング
リコールより一部副生してくるため、DEGまたはその
エステル形成性誘導体の所定量を重合原料として用いる
場合のほか、反応条件、添加剤などを適宜選択すること
のみでDEG成分の含有量を制御することができる。特
に、本発明の共重合ポリエステルの場合、シクロヘキサ
ンジメタノールを添加した効果によって、溶融重合温度
を下げることができ、DEG成分含有量を低く抑えるこ
とが容易である。また、添加剤としては、例えば、トリ
エチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメ
チルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルア
ンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化
トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級ア
ンモニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添
加し、DEGの生成を抑制することができる。一方、硫
酸などの無機酸を重合原料中に少量添加すれば、DEG
の生成を促進し、含有量を増加させることもできる。こ
れらのDEGの生成量をコントロールする添加剤は、必
要に応じ、通常、全重合原料の0.001〜10重量
%、好ましくは、0.005〜1重量%の範囲で使用さ
れる。
【0011】本発明の共重合ポリエステルは、全ジオー
ル成分中のシクロヘキサンジメタノールの割合が、0.
5〜10モル%、好ましくは1〜7モル%、さらに好ま
しくは2〜4.5モル%の範囲であり、かつ、全ジオー
ル成分中のDEGの割合が、1〜4モル%、好ましくは
1.5〜3.5モル%、さらに好ましくは2〜3.5モ
ル%の範囲である。
【0012】以上の共重合成分が各々、上記の範囲に満
たない場合には、本発明の共重合ポリエステルを製造す
る際の固相重合工程でのオリゴマー低減化速度が遅く、
また、成形時に金型に付着するオリゴマーの低減効果が
少なく、従来のPET以上の優位性が認められない。一
方、上記範囲を越える場合には、結晶性が著しく低下
し、固相重合時に融着の問題を引き起こしたり固相重合
温度を高くすることができず、生産性が低下する。
【0013】特にダイレクトブロー成形時において、シ
クロヘキサンジメタノールが少なすぎると低温成形がで
きないために耐ドローダウン性が悪く、ボトル成形に必
要なパリソン長が得られず好ましくない。以上の原料組
成において、ダイレクトブロー成形に適し、かつオリゴ
マーの主成分である環状三量体が0.40重量%以下の
共重合ポリエステルを容易に得ることができる。
【0014】本発明の共重合ポリエステルのゲルマニウ
ム原子の含有量は、20〜60重量ppm、好ましくは
25〜55重量ppmである。ゲルマニウム原子の含有
量が該範囲に満たない場合には、共重合ポリエステルの
製造において、オリゴマーの低減が遅いうえ、固相重合
速度も遅いために実用的でない。また、該範囲を越える
場合には、成形時のオリゴマーの副生量が多くなるため
に、金型汚れの改良効果が十分でないので好ましくな
い。このゲルマニウム原子は、本発明の共重合ポリエス
テルの重合触媒として用いられるゲルマニウム化合物由
来のものが、ポリマー中に取り込まれたものである。
【0015】本発明の共重合ポリエステルの末端カルボ
キシル基は、18当量/トン以下、好ましくは、15当
量/トン以下、である。末端カルボキシル基の濃度が該
範囲を超える場合には、成形時に金型等に付着するオリ
ゴマーの低減効果が少なく、耐湿性、熱安定性なども低
下するため好ましくない。本発明の共重合ポリエステル
の環状3量体の含有量は0.40重量%以下、好ましく
は0.35重量%以下である。環状3量体が該範囲を超
える場合には、成形時に金型等に付着するオリゴマーの
低減効果が少なく、好ましくない。
【0016】本発明の共重合ポリエステルの極限粘度
は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)
の混合溶媒中で30℃で測定して、0.65〜1.50
dl/g、好ましくは0.75〜1.35dl/g、さ
らに好ましくは0.90〜1.25dl/gの範囲であ
る。0.65dl/g未満では溶融粘度が十分に高くな
いため、得られた共重合ポリエステルをダイレクトブロ
ー成形する際に耐ドローダウン性が悪く正常な成形品が
得られない。また、1.50dl/gを越える場合は、
固相重合時間がかかりすぎるため、生産性が悪くなり、
好ましくない。
【0017】本発明の共重合ポリエステルは、下記の測
定方法により求めた結晶化温度(Tc1 )および結晶化
発熱量(ΔHc)が、特定の範囲のものであることが必
要である。すなわち、セイコー電子(株)製の示差走査
熱量計「DSC220C」を用い、8〜11mgのサン
プル量を計量して、20℃/minの昇温速度で室温か
ら285℃まで昇温してさらに285℃で3分間溶融保
存した後、サンプルを取り出して液体窒素中に投入急冷
し、取り出し風乾後、改めて20℃/minの昇温速度
で室温から285℃まで昇温し、その時に観察される結
晶化ピークのピークトップ温度(いわゆる低温結晶化温
度)を結晶化温度(Tc1 )とし、ピーク面積から求め
られる発熱量を結晶化発熱量(ΔHc)とする。
【0018】本発明の共重合ポリエステルの、Tc1
よびΔHcは、それぞれ170≦Tc1 ≦195℃、
0.5≦ΔHc≦15mj/mgである。Tc1 が17
0℃以下であるか、またはΔHcが15mj/mg以上
では、結晶化速度が高いためにダイレクトブロー成形時
に押出しパリソンが白化しやすくなり、好ましくない。
また、本発明の共重合ポリエステルは、通常公知の技術
である溶融重合によって得られたポリマー(以下、プレ
ポリマーという)を固相重合することにより得られる。
このプレポリマーの、Tc1 およびΔHcは、それぞれ
160≦Tc1≦185℃、10≦ΔHc≦25mj/
mgである。Tc1 が160℃以下であるか、またはΔ
Hcが25mj/mg以上では、固相重合によって極限
粘度を高くしても、共重合ポリエステルのTc1 が17
0℃以下であるか、またはΔHcが15mj/mg以上
になりやすく、本発明の共重合ポリエステルとなすこと
が困難である。Tc1 が185℃以上であるか、または
ΔHcが10mj/mg以下では、結晶化速度が低いた
めに、固相重合の工程中の結晶化の段階で融着を起こし
やすく、取扱いが困難である。Tc1 が185℃以下で
あり、かつΔHcが10mj/mg以上のプレポリマー
を固相重合し、本発明の共重合ポリエステルとなしたと
き、Tc1 が195℃以下であり、かつΔHcが0.5
mj/mg以上となる。
【0019】以上の本発明の共重合ポリエステルは、P
ETについて従来から公知の方法で、溶融重合およびそ
れに引き続く固相重合を行うことにより製造される。以
下、製造方法について詳細に述べる。溶融重合法として
は、例えば、テレフタル酸、エチレングリコールおよび
シクロヘキサンジメタノールを用いて加圧下で直接エス
テル化反応を行った後、必要に応じてジエチレングリコ
ールを添加し、触媒の存在下、更に昇温するとともに次
第に減圧とし重縮合反応させる方法がある。あるいは、
テレフタル酸のエステル誘導体、例えば、テレフタル酸
ジメチルエステルと、エチレングリコールおよびシクロ
ヘキサンジメタノールを用いて、触媒の存在下エステル
交換反応を行い、その後得られた反応物を、上記の直接
エステル化反応物と同様に重縮合反応させる方法があ
る。なお、シクロヘキサンジメタノールも場合により重
縮合反応初期に加えることができる。
【0020】このような重縮合反応は、1段階で行って
も、複数段階に分けて行ってもよい。複数段階で行う場
合、重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度
が通常250〜290℃、好ましくは260〜280℃
であり、圧力が通常500〜20トール、好ましくは2
00〜30トールであり、また、最終段階の重縮合反応
の温度が通常265〜300℃、好ましくは270〜2
95℃であり、圧力が通常10〜0.1トール、好まし
くは5〜0.5トールである。
【0021】重縮合反応を2段階で実施する場合には、
第1段階目および第2段階目の重縮合反応条件は、それ
ぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合に
は、第2段階目から最終段階目の1段前までの重縮合反
応の反応条件は上記1段階目の反応条件と最終段階目の
反応条件との間の条件である。たとえば、重縮合反応が
3段階で実施される場合には、第2段階目の重縮合反応
の反応温度は通常260〜295℃、好ましくは270
〜285℃であり、圧力は通常50〜2トール、好まし
くは40〜4トールの範囲である。これらの重縮合反応
工程の各々において、到達される極限粘度は特に制限は
ないが、各段階における極限粘度の上昇の度合が滑らか
に分配されることが好ましく、さらに最終段階目の重縮
合反応機から得られる共重合ポリエステルプレポリマー
の極限粘度は、通常0.45〜0.80dl/g、好ま
しくは0.50〜0.75dl/gである。
【0022】このようにして得られた共重合ポリエステ
ルプレポリマーは、通常ストランド状に溶融押出しし、
カッターによって粒状のチップにカットされる。このよ
うな粒状のプレポリマーチップは、通常2〜5.5m
m、好ましくは2.2〜4.5mmの平均粒径を有する
ことが望ましい。これらの直接エステル化反応、エステ
ル交換反応および重縮合反応では、エステル化触媒、エ
ステル交換触媒、重縮合触媒などを使用することが好ま
しい。
【0023】エステル交換触媒としては、公知の化合
物、例えば、カルシウム、マンガン、マグネシウム、亜
鉛、チタン、ナトリウム、およびリチウム化合物等の1
種以上を用いることができるが、透明性の観点からマン
ガン、マグネシウム、またはチタン化合物が特に好まし
い。重合触媒としては無色透明性の観点からゲルマニウ
ム化合物が用いられる。具体例としては、二酸化ゲルマ
ニウム、四塩化ゲルマニウム等が挙げられるが、二酸化
ゲルマニウムの微粉末、水溶液やエチレングリコール溶
液等の二酸化ゲルマニウム溶液が特に好ましく用いられ
る。また、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、ア
ンチモン、チタン、コバルト化合物等の他の重合触媒の
1種以上を併用してもさしつかえない。ゲルマニウム化
合物の添加量は、最終的な共重合ポリエステル中のゲル
マニウム原子の含有量が、20〜60ppmになるよう
に調節することが必要である。
【0024】また、本発明ではその他の公知の安定剤を
加えてもよく、例えば、トリメチルホスフェート、トリ
エチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、
トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類
トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイ
ト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸
エステル類、メチルアシッドホスフェート、イソプロピ
ルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、
ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステルおよ
びリン酸、亜リン酸、ポリリン酸などのリン化合物が用
いられる。安定剤は、安定剤中のリン原子の重量とし
て、共重合ポリエステル中、通常0.001〜0.1重
量%、好ましくは0.002〜0.02重量%の範囲で
用いられる。
【0025】更に、前述した本発明の構成要件を逸脱し
ない限りにおいては、テレフタル酸以外のジカルボン酸
成分、およびエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分を
少量含んでいてもよく、オキシ酸成分を少量含んでいて
もよい。これらのジカルボン酸成分としては、フタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ
ルスルホンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカル
ボン酸およびこれらの構造異性体、マロン酸、コハク
酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げら
れ、ジオール成分としては、1,2−プロパンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオールや
ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒ
ドロキシ化合物などを挙げることができる。オキシ酸ま
たはその誘導体としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p
−ヒドロキシ安息香酸エステル、グリコール酸などが挙
げられる。
【0026】また、本発明の構成要件を逸脱しない限り
においては、単官能化合物や3官能以上の多官能化合物
を少量含んでも良い。単官能化合物としては、安息香
酸、メチル安息香酸やt−ブチル安息香酸等のアルキル
フェニルカルボン酸、ベンゾイル安息香酸等のアリルフ
ェニルカルボン酸、およびこれら単官能カルボン酸類の
低級アルキルエステル、ないしこれら単官能化合物の核
置換体が挙げられる。3官能以上の多官能化合物として
は、トリメリット酸、トリメシン酸、およびこれらの構
造異性体、ピロメリット酸およびその構造異性体、ない
し、これら多官能化合物の無水物や核置換体、さらに
は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
グリセリン、ペンタエリスリトール等の多ヒドロキシ化
合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のグリシジルエーテ
ル、たとえばビスフェノールAジグリシジルエーテルの
ような多官能化合物等が挙げられる。これら単官能化合
物および3官能以上の多官能化合物は、通常、ポリマー
を構成する繰り返し単位に対して、5モル%以下、好ま
しくは0.001〜2.0モル%の範囲で用いられる。
特に、3官能以上の多官能化合物を用いることによっ
て、ダイレクトブロー成形時のドローダウン性の改良を
行うことができる。
【0027】次に、本発明の共重合ポリエステルを得る
ためには、上記のように溶融重合により得られた粒状の
共重合ポリエステルプレポリマーチップを、さらに固相
重合処理を施す必要がある。この固相重合の条件を選定
することにより、上述の本発明で規定する物性値を有す
る共重合ポリエステルを得ることができる。固相重合に
供給される共重合ポリエステルチップは、予め固相重合
を行う温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った
後、固相重合工程中に供給してもよい。このような予備
結晶化工程は、共重合ポリエステルチップを乾燥状態
で、通常120〜200℃、好ましくは130〜180
℃の温度に1分〜4時間加熱して行うこともでき、ある
いは該チップを水蒸気または水蒸気含有不活性ガス雰囲
気下で、通常120〜200℃の温度に1分間以上加熱
して行うこともできる。
【0028】上記のような粒状共重合ポリエステルチッ
プが供給される固相重合工程は少くとも1段からなり、
重合温度が190〜230℃、好ましくは195〜23
5℃であり、1kg/cm2 G〜0.01トールの任意
の圧力において、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活
性ガスの流通下、または流通なしの雰囲気下で実施され
る。重合時間は、温度が高いほど短時間で所望の物性に
到達するが、通常1〜50時間、好ましくは5〜30時
間、さらに好ましくは10〜25時間である。
【0029】以上の固相重合処理の条件を適当に選択す
ることにより、本発明の共重合ポリエステルを得ること
ができる。このようにして得られた本発明の共重合ポリ
エステルは、ダイレクトブロー成形によってボトル(中
空容器)を製造するにあたって、好ましく用いられる。
ダイレクトブロー法とは、押出成形機または射出成形機
で成形されたパリソン(またはプリフォーム)が、まだ
軟らかく可塑性を失わないうちにブロー成形を完了させ
てしまうものである。成形機は、従来からポリスチレン
やポリ塩化ビニルのブロー成形に用いられている装置を
そのまま用いることができる。この場合、成形温度はシ
リンダー各部やノズルの温度を通常250〜280℃の
範囲で、一般のボトル用PETに比べ5〜20℃低く設
定でき、熱劣化を低く抑えることが容易である。さら
に、副生するオリゴマーやアセトアルデヒドの量も低く
抑えることが容易である。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。また、本実施例で用いた
種々の測定法および評価法を以下に示す。なお、極限粘
度の測定方法と、DSCのTc1 とΔHcの測定法は前
述の通りである。
【0031】(1)シクロヘキサンジメタノール量およ
びジエチレングリコール量 常法により粉砕微粉化した共重合ポリエステルを水酸化
カリウムのメタノール溶液で加熱アルカリ分解し、生成
したジオール成分を、中和後、ガスクロマトグラフで定
量した。 (2)ゲルマニウム原子の含有量 常法により、共重合ポリエステルを硫酸の存在下分解灰
化し、蒸留水で一定量に定容したものについて発光分光
分析法により定量した。
【0032】(3)アンチモン原子の含有量 ゲルマニウム原子含有量の分析法と同様にして、発光分
光分析法により定量した。 (4)末端カルボキシル基濃度 粉砕微粉化した共重合ポリエステル100mgをベンジ
ルアルコール5mlに加熱溶解し、これにクロロホルム
5mlを加えて希釈した後、フェノールレッドを指示薬
とし、0.1N−水酸化ナトリウム/ベンジルアルコー
ル溶液により滴定し、定量した。
【0033】(5)環状3量体の含有量 共重合ポリエステル200mgをクロロホルム/1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノー
ル混合液(容量比3/2)2mlに溶解し、さらにクロ
ロホルム20mlを加えて希釈した。これにメタノール
10mlを加えてポリマー成分を再析出させ、濾過した
後の濾液を得た。この濾液を、エバポレーターで蒸発乾
固し残渣にジメチルホルムアミド25mlを加えて溶解
した液について、液体クロマトグラフを用いて定量し
た。
【0034】(6)ダイレクトブロー成形評価 日本製鋼所製ダイレクトブロー成形機「電動式小型中空
成形機JEB−7/P50/WS60S」を用い、所定
の温度条件とし、約15kg/時間の押出速度で、13
秒前後の成形サイクルで、容量700mlのボトルをダ
イレクトブロー成形した。金型温度は15℃に制御し
た。実施例中の成形温度は、成形機のアダプター部のヒ
ーターの設定温度を示す。評価用のポリマーは、すべて
常法により十分乾燥して成形に供した。
【0035】成形評価項目として、耐ドローダウン性の
指標であるブロー可能なパリソン長、成形ボトルの目視
観察、合計50時間成形時の金型汚れ、の評価を行っ
た。なお、ドローダウンとは、ブロー成形において、押
し出しされたパリソン(またはプリフォーム)が自重に
よって垂れ下がる現象のことである。
【0036】実施例1 あらかじめ318kg(1.56キロモル)のビス(2
−ヒドロキシエチル)テレフタレート主体のPETオリ
ゴマーが撹拌下約250℃に溶融保持されたエステル化
槽に、259kg(1.56キロモル)のテレフタル酸
と116kg(1.87キロモル)のエチレングリコー
ルで調製したスラリーを、6時間かけて順次供給した。
供給終了後、さらに30分エステル化反応を進行させた
後、半量を重縮合槽に移し、撹拌下1,4−シクロヘキ
サンジメタノール(シス/トランス比=30/70)
8.74kg(0.06キロモル)、ジエチレングリコ
ール2.43kg(0.02キロモル)、リン酸45g
(対ポリマー150ppm)および二酸化ゲルマニウム
36g(対ポリマー120ppm)それぞれを、適当な
濃度のエチレングリコール溶液として順次添加した。続
いて、250℃から280℃まで漸次昇温するとともに
常圧から漸次減圧し、0.5トールに保持した。反応を
3時間30分行った後、生成したプレポリマーを重縮合
槽の底部に設けた抜き出し口よりストランド状に抜き出
し、水冷後、チップ状にカットした。該プレポリマーチ
ップの分析結果を表−1に示す。
【0037】次に、該プレポリマーチップ40kgを、
100リットルの容量を持つダブルコーンタイプの回転
式固相重合装置に投入し、減圧窒素置換を3回繰り返し
た後、0.5トール以下の減圧下、ジャケットの熱媒温
度で100℃×6時間+120℃×5時間+160℃×
6時間+215℃×44時間(各々設定温度への昇温時
間1時間を含む)の減圧固相重合を行い、冷却後、窒素
で復圧し固相重合ポリマーを得た。このとき、固相重合
装置内のポリマーの融着はなかった。温度が190℃に
達したところから冷却開始時までを固相重合時間とする
と、固相重合時間は41時間であり、主要な固相重合領
域での温度は207℃であった。得られた固相重合ポリ
マーの分析結果を表−2に示す。
【0038】該固相重合ポリマーを用い、前記の基準設
定温度の標準成形条件において、成形評価を行ったとこ
ろ、ブロー可能のパリソン長=30cm、成形ボトルの
目視透明性観察結果は無色透明であり良好、合計50時
間成形時の金型汚れは実質的認められなかった。なお、
表−1、表−2においてIVは極限粘度を、CHDMは
1,4−シクロヘキサンジメタノール成分量を、DEG
はジエチレングリコール成分量を、CTは環状3量体の
量を、AVは末端カルボキシル基量を、GeO2 は二酸
化ゲルマニウム量を、Sb2 3 は三酸化アンチモン量
を、Geはゲルマニウム原子の量を、Sbはアンチモン
原子の量を示す。
【0039】実施例2、比較例1〜3 表−1に示す原料などの仕込みとした以外は、実施例1
と同様の方法で各ポリマーを製造した。表−1にプレポ
リマーの品質、表−2に固相重合ポリマーの品質、表−
3にダイレクトブロー成形での評価結果を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明の共重合ポリエステルプレポリマ
ーを固相重合する際の融着などの問題がなく、高い生産
性で効率よく製造することができる。また、本発明の共
重合ポリエステルは、通常のボトル用PETに比べ低温
成形が可能であり、耐ドローダウン性が高いため、ダイ
レクトブロー成形が容易にできる。また、長時間の連続
成形を行っても金型汚れが少ないために、金型洗浄の頻
度を少なくすることができ、生産性が高い。本発明の共
重合ポリエステルから成る中空容器は、無色透明で外観
が優れており、商品価値の高いものである。以上の点か
ら、本発明の共重合ポリエステルならびにそれより成る
中空容器は、その工業的価値が高い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、
    ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とする
    共重合ポリエステルであって、 (1)ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノール
    0.5〜10モル%及びジエチレングリコール1〜4モ
    ル%を含み、 (2)ゲルマニウム原子の含有量が20〜60ppm、 (3)末端カルボキシル基が18当量/トン以下、 (4)環状3量体が0.40重量%以下、 (5)極限粘度が0.65〜1.50dl/g、 (6)結晶化温度(Tc1 )および結晶化発熱量(ΔH
    c)がそれぞれ170≦Tc1 ≦195℃、0.5≦Δ
    Hc≦15mj/mg、であることを特徴とするダイレ
    クトブローボトル用共重合ポリエステル。
  2. 【請求項2】 結晶化温度(Tc1 )および結晶化発熱
    量(ΔHc)がそれぞれ160≦Tc1 ≦185℃、1
    0≦ΔHc≦25mj/mg、である溶融重合により得
    られたプレポリマーを固相重合してなる請求項1のダイ
    レクトブローボトル用共重合ポリエステル。
  3. 【請求項3】 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、
    ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とする
    共重合ポリエステルであって、 (1)ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノール
    0.5〜10モル%及びジエチレングリコール1〜4モ
    ル%を含み、 (2)ゲルマニウム原子の含有量が20〜60ppm、 (3)末端カルボキシル基が18当量/トン以下、 (4)環状3量体が0.40重量%以下、 (5)極限粘度が0.65〜1.50dl/g、 (6)結晶化温度(Tc1 )および結晶化発熱量(ΔH
    c)がそれぞれ170≦Tc1 ≦195℃、0.5≦Δ
    Hc≦15mj/mg、である共重合ポリエステルをダ
    イレクトブローしてなるボトル。
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