JP5228476B2 - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性及び耐圧性に優れた成形体を得ることができ、特に果汁入り炭酸飲料等の容器に使用される耐熱圧性ボトルの成形に好適なポリエステル樹脂の製造方法に関する。
従来、ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂は、機械的強度、化学的安定性、ガスバリア製、保香性、衛生性等に優れ、又、比較的安価で軽量であるために、各種飲食品等の包装容器等として広く用いられている。中で、果汁入り炭酸飲料等の、炭酸成分を含有し、高温での殺菌を要する用途では、ボトルの口栓部にキャップを装着後、内容物を60〜70℃ 程度の熱水シャワーで殺菌する方法がとられているため、ボトルのガラス転移温度近傍の温度にて内圧が高くなり、それによってボトル、特にボトル底部に変形が生じ、ボトルの自立性が損なわれてしまうという問題があった。
そこで、このような耐熱圧強度を改良するため、ポリエチレンテレフタレート樹脂の原料成分に、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの共重合成分を添加することが提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、かかる方法では耐熱圧強度は改良されるものの、保香性や成形特性が不十分であり、また、比較的多量の共重合成分量が必要であることから、樹脂の製造コスト面でも満足されたものではなかった。
一方、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、吸湿すると水分子の可塑化効果によりガラス転移温度が低下することが知られている(例えば非特許文献1)。そのため、ガラス転移温度以下の熱水シャワー温度であっても、内圧によるボトル底部の変形を受けやすくなる。
ポリエステル樹脂の吸湿によるガラス転移温度の低下を抑制する方法として、水酸基等の親水性末端基を、1価のカルボン酸やアルコールにより封鎖して、吸水性を低下させることが提案されている(例えば特許文献2)。しかしながら、かかる方法では、溶融重縮合工程で末端封鎖を行うため、引き続き実施されるボトル用ポリエステル樹脂の製造に必要な固相重縮合工程の生産性が低下するという問題があった。
ポリエステル樹脂の吸湿性を抑制するためには、親水性末端基を封鎖する以外に、ポリエステル主鎖の疎水性を向上することが考えられ、例えば、グリコール共重合成分の1種であるジエチレングリコール単位の含有量を低減することや、疎水性官能基成分を導入することが挙げられる。ジエチレングリコールはポリエチレンテレフタレート樹脂の製造時に副生するものもあり、特に、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応を行う直接エステル化によるポリエステルの製造方法においては、ジエチレングリコールの副生量を低く抑えることが困難であるという問題がある。また、ヒドロキシアンモニウム類等のジエチレングリコール抑制剤を添加することで、ジエチレングリコール副生量を低減することは可能であるが、得られるポリエステル樹脂の色調が悪化するという問題があった。さらに、ジエチレングリコール成分量を低減すると、射出成形時に成形体のヘーズが悪化しやすいという問題もあった。
特開平9−208679号公報 特開平1−268719号公報 Polymer Eng. Sci., 26. 620 (1983)
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたもので、耐熱性及び耐圧性に優れた成形体を得ることができ、特に果汁入り炭酸飲料等の容器に使用される耐熱圧性ボトルの成形に好適なポリエステル樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリエステル樹脂の吸湿性を抑制し耐熱性及び耐圧性に優れた成形体を形成し得るポリエステル樹脂の製造方法につき、鋭意検討した結果、特にエステル化反応工程における反応条件を制御することにより、所望の優れた物性を有するポリエステル樹脂を取得し得ることを見出し、本発明を達成した。
本発明の要旨は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、前者成分に対する後者成分のモル比を1.0〜2.0として混合する原料混合工程、次いで、その原料混合物を、エステル化反応槽において、常圧〜加圧下、加熱下でエステル化反応させるエステル化反応工程、引き続いて、得られたエステル化反応生成物を、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で重縮合触媒を用い溶融重縮合反応させる溶融重縮合工程、更に加熱下で固相重縮合反応させる固相重縮合工程を経てポリエステル樹脂を製造するにおいて、該エステル化反応槽が複数備えられており、重縮合触媒としてチタン化合物を使用し、エステル化反応工程でのリン化合物に由来するリン原子としての含有量をポリエステル樹脂1トン当たり0.300モル以下となし、且つ、第1段目のエステル化反応槽内の圧力を相対圧力10kPa〜40kPaG、反応温度250〜270℃とし最終段における圧力を、相対圧力0〜10kPaG、反応温度255〜275℃とすることを特徴とする耐熱圧性ボトル用ポリエステル樹脂の製造方法に存する。
本発明の製造方法よれば、耐熱性及び耐圧性に優れた成形体に適したポリエステル樹脂を得ることができ、特に果汁入り炭酸飲料等の容器に使用される耐熱圧性ボトルの成形に好適なポリエステル樹脂を容易に製造することが出来るので、本発明方法は、工業的に極めて有用である。
本発明のポリエステル樹脂、即ち、耐熱圧性ボトル用ポリエステル樹脂の製造方法は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、前者成分に対する後者成分のモル比を1.0〜2.0として混合する原料混合工程、次いで、その原料混合物を、エステル化反応槽において、常圧〜加圧下、加熱下でエステル化反応させるエステル化反応工程、引き続いて、得られたエステル化反応生成物を、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で重縮合触媒を用い溶融重縮合反応させる溶融重縮合工程、更に加熱下で固相重縮合反応させる固相重縮合工程を経てポリエステル樹脂を製造するにおいて、重縮合触媒としてチタン化合物を使用し、エステル化反応工程でのリン化合物に由来するリン原子としての含有量をポリエステル樹脂1トン当たり0.300モル以下となし、且つ、エステル化反応槽内の圧力を相対圧力40kPaG以下とするものである。
本発明の上記ポリエステル樹脂の製造方法としては、以下の(a)〜(d)工程を順次行うことより構成されるものである。
(a)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、所定割合でスラリー調製槽に投入して攪拌下に混合して原料スラリーとなす原料混合工程、(b)次いで、その原料混合物をエステル化反応槽に移送し、そこで常圧〜加圧下、加熱下で、エステル化反応させるエステル化反応工程、(c)引き続いて、得られたエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体を重縮合反応槽に移送し、重縮合触媒等の存在下に、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で、溶融重縮合反応させる溶融重縮合工程、(d)更に、加熱下で固相重縮合反応させる固相重縮合工程。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応を経て、溶融重縮合、及び固相重縮合させることよりなるが、ここでテレフタル酸を主成分とするとは、テレフタル酸が全ジカルボン成分の95モル%以上であることをいい、エチレングリコールを主成分とするとは、エチレングリコールが全ジオール成分の95モル%以上であることをいう。テレフタル酸が全ジカルボン成分の96モル%以上、好ましくは99モル%以上を占めるジカルボン酸成分と、エチレングリコールが全ジオール成分の96モル%以上、更には97モル%以上を占めるジオール成分の重縮合体であるのが好ましい。テレフタル酸及びエチレングリコールがこれらの範囲を満足すると得られる樹脂のボトル等の成形体において、機械的強度、耐熱圧性等が良好となるが、これらの範囲未満では所望の効果が得られ難い傾向となる。
本発明のポリエステル樹脂においては、エチレングリコール単位の含有量が全ジオール成分に対して97.0モル%以上であるのが好ましい。エチレングリコール以外のジオール単位としては、反応系内で副生するジエチレングリコール、及び共重合成分として系外から添加されるジエチレングリコールに基づくジエチレングリコール単位が挙げられ、そのジエチレングリコール単位の含有量は、全ジオール成分に対して1.0〜2.0モル%であるのが好ましく、1.3〜1.7モル%であるのが特に好ましい。ジエチレングリコール単位の含有量が前記範囲超過では、ガラス転移温度が低下する場合があり、また成形体としての水分率が高くなる傾向となり、水分の可塑化効果による一層のガラス転移温度の低下を促進することとなり、結果として耐熱圧強度が低下する。前記範囲未満では、ボトルのヘーズが悪化する傾向がある。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の耐熱圧強度を向上させるためには、樹脂中の含水率を低下させ、ガラス転移温度の低下を抑制することが課題であるが、本発明では、樹脂中のジエチレングリコール単位の含有量と含水率が関連しており、ジエチレングリコールの量を低減させることが含水率を低下させ、それによってガラス転移温度の低下を抑制し、耐熱圧強度を向上させ得ること、並びにジエチレングリコール単位の含有量を低減すると、ガラス転移温度は高くなるが、他方射出成形時に成形体のヘーズが悪化することから、所定量のジエチレングリコールの存在が必要とされるとの観点に基づき、上記の所定範囲量のジエチレングリコールを含有させるのが好ましいのである。
ここで、ジカルボン酸成分に含まれるテレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、等が挙げられる。中で、本発明においてはイソフタル酸が好ましい。
又、ジオール成分に含まれるエチレングリコール以外のジオール成分としては、前述のジエチレングリコールの他、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物、等が挙げられる。中で、成形体の水分率を抑制し、耐熱圧強度を向上するという観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0〜1.0モル%共重合させることが好ましい。尚、得られるポリエステル樹脂中の1,4−シクロヘキサンジメタノール単位の含有量は、後述するジエチレングリコール単位の含有量の測定方法と同様の手法により測定することが出来る。
更に、共重合成分として、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ヘネイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能成分、等が用いられてもいてもよい。
ここで、原料混合工程における原料スラリーの調製は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分、及び必要に応じて用いられる共重合成分等とを、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比を1.0〜2.0とし、1.03〜1.7とするのが好ましい。ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比が前記範囲未満では、重縮合反応性が低下することとなり、一方、前記範囲超過では、ジエチレングリコールの生成量が増加することとなる。
次いで、調製した原料スラリーを、エステル化反応槽を備えたエステル化反応工程に移送し、常圧〜加圧下、加熱下で、エステル化反応させてポリエステル低分子量体とする。複数のエステル化反応槽を備えたエステル化工程を用いない場合、即ち単数のエステル化反応槽のみを備えたエステル化工程を用いる場合には、末端カルボキシル基濃度が高い原料スラリーがエステル化反応槽に常に流入していることになり、末端カルボキシル基の酸触媒作用によりエチレングリコール同士が脱水縮合し、ジエチレングリコールが生成しやすい傾向となるので、エステル化工程は複数のエステル化反応槽を備えているのが好ましく、これら複数のエステル化反応槽を直列に接続するのが、反応制御等の点で好ましい。
例えば、複数のエステル化反応槽を直列に接続して使用する場合、エステル化反応における反応条件としては、第1段目のエステル化反応槽における圧力を相対圧力40kPaG以下(ここで、Gは大気圧に対する相対圧力であることを示す)とすることが必須であり、好ましくは10〜40kPaGとし、反応温度を、通常240〜270℃、好ましくは250〜270℃とし、最終段における圧力を、相対圧力40kPaG以下とすることが必須であり、好ましくは0〜10kPaGとし、反応温度を、通常250〜280℃、好ましくは255〜275℃とする。エステル化反応圧力は、前記範囲超過であると、エステル化反応液中のエチレングリコール量が過剰となり、副生するジエチレングリコール成分量が増加する傾向となる。一方、前記範囲未満であると、エステル化反応液中のエチレングリコール量が不足し、引き続き行う重縮合性が低下する傾向となる。
なお、エステル化反応においては、反応系内に例えば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができるが、得られるポリエステル樹脂の色調や成形体のヘーズが悪化する傾向となるため、添加しないことが好ましい。
又、本発明において、得られるポリエステル樹脂の熱安定性を高めるため、燐化合物を添加することが好ましいが、エステル化反応工程における燐化合物の量は、燐原子としての含有量Pがポリエステル樹脂1トン当たり0.300モル以下であるのが必須である。また、原料混合工程から溶融重縮合工程の開始までの間にリン化合物を添加するのが好ましく、ポリエステル樹脂1トン当たりに含まれるリン原子の量(モル)は下記式(4)を満足することが好ましく、下記式(4−1)を満足するのが更に好ましく、下記式(4−2)を満足するのが特に好ましい。燐化合物に由来する燐原子としての含有量Pが、右辺値超過であると、燐化合物の酸触媒としての作用により、ジエチレングリコールの副生量が増加する傾向となり、また固相重縮合における重縮合速度が低下する傾向となり、一方、下記式の左辺値未満であると、ポリエステル樹脂としての熱安定性が悪化する傾向となる。
(4) 0.020≦P≦0.300
(4−1) 0.050≦P≦0.200
(4−2) 0.080≦P≦0.180
ここで、Pは得られるポリエステル樹脂中のリン化合物に由来するリン原子としての含有量をモル/樹脂トンで表したものである。
添加する燐化合物としては、具体的には、例えば、正燐酸、ポリ燐酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等の燐酸エステル等の5価の燐化合物、並びに、亜燐酸、次亜燐酸、及び、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、エチルジエチルホスホノアセテート、トリフェニルホスファイト等の亜燐酸エステル、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩等の3価の燐化合物等が挙げられ、中で、重縮合速度制御性の面から、5価の燐化合物の燐酸エステルが好ましく、トリメチルホスフェート、エチルアシッドホスフェートがより好ましく、エチルアシッドホスフェートが特に好ましい。
本発明において、エステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体のエステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)は、95%以上とするのが好ましい。又、ポリエステル低分子量体の数平均重合度は3.0〜10.0とするのが好ましく、4.0〜8.0とするのが更に好ましく、5.0〜7.0とするのが特に好ましく、エステル化率と数平均重合度がこの範囲であることにより、比較的低い温度、低い圧力の条件下で、後述するジエチレングリコールを追加添加することができ、得られるポリエステル樹脂中のジエチレングリコールの共重合量を調節しやすくなる。
引き続いて、得られたエステル化反応生成物を、単数又は複数の重縮合反応槽を備えた溶融重縮合工程に移送し、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で溶融重縮合反応させる。
ここで、本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、チタン化合物を重縮合触媒として使用することが必須であるが、前記好ましい態様である直列につながれた複数のエステル化反応槽を備えたエステル化工程の場合は、チタン化合物の添加をエステル化率が90%以上となった段階以降に行うのが好ましく、具体的工程の例としては、多段反応装置における最終段のエステル化反応槽、又はエステル化槽から溶融重縮合工程への移送段階のエステル化反応生成物に添加するのが好ましく、中でもエステル化槽から溶融重縮合工程への移送段階のエステル化反応生成物に添加するのがより好ましい。
さらに、前記原料混合工程から溶融重縮合工程までの間に、マグネシウム化合物を添加し、更にポリエステル樹脂中のジエチレングリコール(DEG)共重合量を1.0≦DEG≦2.0モル%、好ましくは1.3≦DEG≦1.7モル%となるようにジエチレングリコールをエステル化反応工程に追加添加することが出来る。
本発明において、ジエチレングリコールの追加添加は、温度が250℃以上265℃未満で、圧力が常圧〜相対圧力10kPaGの加圧下の反応生成物に対してなすのが好ましく、温度は255℃以上265℃未満であるのが更に好ましく、圧力は、常圧〜相対圧力5kPaGの加圧下であるのが更に好ましい。
温度が前記範囲未満では、ジエチレングリコールの追加添加により系内が冷却されて反応生成物が固化する虞があり、一方、前記範囲超過では、追加添加するジエチレングリコールの蒸発、揮散が激しい傾向となり、ポリエステル樹脂中のジエチレングリコールの共重合量を調節することが困難となる。又、圧力が前記範囲未満では、追加添加するジエチレングリコールの蒸発、揮散が激しく、一方、前記範囲超過では、エチレングリコールが脱水縮合してジエチレングリコールが生成し易くなり、共重合量を調節することが困難な傾向となる。
添加するチタン化合物としては、具体的には、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物等が挙げられ、中で、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタンアルコキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましい。尚、有機溶媒又は水に不溶性の固体系チタン化合物は不適である。
添加するマグネシウム化合物としては、具体的には、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、中で、酢酸マグネシウムが好ましい。
追加添加するジエチレングリコールの添加形態としては、純粋のジエチレングリコールの外、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの共重合成分の溶液、触媒の溶液、その他の添加剤等の溶液としてであってもよい。
各化合物の各工程への具体的添加方法としては、例えば、複数のエステル化反応槽を直列に接続して使用する場合、チタン化合物は、多段エステル化反応装置における最終段のエステル化反応槽、又は、エステル化反応槽から溶融重縮合工程への移送段階の配管等に、マグネシウム化合物は、多段エステル化反応装置における最終段のエステル化反応槽に、それぞれ添加するのが好ましく、又、両者の添加順序を、マグネシウム化合物、次いでチタン化合物とするのが好ましい。又、燐化合物は、原料混合工程のスラリー調製槽、又は、第1段目のエステル化反応槽に添加するのが好ましく、スラリー調製槽に添加するのが特に好ましい。
本発明において、原料混合工程から溶融重縮合工程開始までの間に、ポリエステル樹脂1トン当たりに含まれる各原子の量(モル)が下記式(2)乃至(4)を満たすように、チタン化合物、マグネシウム化合物、リン化合物を添加することが好ましい。
(2)0.020≦T≦0.200
(3)0.040≦M≦0.400
(4)0.020≦P≦0.300
ここで、T,M,Pはそれぞれ得られるポリエステル樹脂中のチタン原子、マグネシウム原子、リン原子の量をモル/樹脂トンで表したものである。
さらに、ポリエステル樹脂1トン当たりに含まれる各原子の量(モル)が下記式(7)乃至(8)を満たすように、チタン化合物、マグネシウム化合物、リン化合物を添加することが更に好ましい。
(7) 0.50≦M/P≦3.00
(8) 0.20≦M/T≦4.00
又、本発明において、ポリエステル樹脂1トン当たりに含まれるチタン化合物に由来するチタン原子としての含有量(モル)Tが、下記式(2) を満足するのが好ましいが、下記式(2−1)を満足するのが更に好ましく、下記式(2−2) を満足するのが特に好ましい。チタンの金属原子としての含有量Tが、下記式の左辺値未満であると、固相重縮合における重縮合速度が低下する傾向となり、一方、右辺値超過であると、ポリエステル樹脂としての色調が黄味がかったものとなり、又、成形体中のアセトアルデヒド含有量が多い傾向となる。
(2) 0.020≦T≦0.200
(2−1) 0.060≦T≦0.100
(2−2) 0.070≦T≦0.090
又、本発明において、ポリエステル樹脂1トン当たりに含まれるマグネシウム化合物に由来するマグネシウム原子としての含有量M(モル)が、下記式(3)を満足するのが好ましいが、下記式(3−1) を満足するのが更に好ましく、下記式(3−2)を満足するのが特に好ましい。マグネシウム化合物に由来するマグネシウム原子としての含有量Mが、下記式の左辺値未満であると、固相重縮合における重縮合速度が低下する傾向となり、一方、右辺値超過であっても、固相重縮合における重縮合速度が低下する外、ポリエステル樹脂としての色調や熱安定性も悪化する傾向となる。
(3) 0.040≦M≦0.400
(3−1) 0.060≦M≦0.300
(3−2) 0.110≦M≦0.220
又、本発明において、ポリエステル樹脂1トン当たりに含まれる燐化合物に由来する燐原子としての含有量P(モル)は、前記の如く式(4) を満足するのが好ましいが、前記式(4−1)を満足するのが更に好ましく、前記式(4−2) を満足するのが特に好ましい。
溶融重縮合は、単一の重縮合反応槽、又は、複数の重縮合反応槽を直列に接続して行われ、例えば、第1段目が攪拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が攪拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に、生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行われるのが好ましい。
溶融重縮合における反応条件としては、単一の重縮合反応槽の場合、通常250〜290℃程度の温度、反応圧力を常圧から漸次減圧として、最終的に、絶対圧力で、通常1.3〜0.013kPa程度とし、攪拌下に1〜20時間程度の反応時間とする。又、複数の重縮合反応槽の場合は、第1段目の重縮合反応槽における反応温度を、通常250〜290℃、好ましくは260〜280℃、反応圧力を絶対圧力で、通常65〜1.3kPa、好ましくは26〜2kPaとし、最終段における反応温度を、通常265〜300℃、好ましくは270〜295℃、反応圧力を絶対圧力で、通常1.3〜0.013kPa、好ましくは0.65〜0.065kPaとする。中間段における反応条件としては、それらの中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置においては、第2段における反応温度を、通常265〜295℃、好ましくは270〜285℃、反応圧力を絶対圧力で、通常6.5〜0.13kPa、好ましくは4〜0.26kPaとする。
前記溶融重縮合により得られるポリエステル樹脂は、固有粘度(〔η1〕)が、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)を混合として30℃で測定した値として、0.35〜0.75dl/gであるのが好ましく、0.60〜0.67dl/gであるのが更に好ましい。固有粘度(〔η1 〕)が前記範囲未満では、後述する固相重縮合工程の生産性が悪くなる傾向となり、一方、前記範囲超過では、得られる樹脂中のアセトアルデヒド含有量の低減化が困難な傾向となる。
前記溶融重縮合により得られた樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断してペレット状、チップ状等の粒状体とするが、更に、本発明においては、この溶融重縮合後の粒状体を、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、大気圧に対する相対圧力として、通常100kPaG以下、好ましくは20kPaG以下の加圧下で通常5〜30時間程度、或いは、絶対圧力として、通常6.5〜0.013kPa、好ましくは1.3〜0.065kPaの減圧下で通常1〜20時間程度、通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃の温度で加熱することにより、固相重縮合させる。この固相重縮合により、更に高重合度化させ得ると共に、環状三量体、アセトアルデヒド等の副生量を低減化することもできる。
その際、固相重縮合に先立って、不活性ガス雰囲気下、又は、水蒸気雰囲気下或いは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で、通常120〜200℃、好ましくは130〜190℃で、1分〜4時間程度加熱することにより、樹脂粒状体表面を結晶化させることが好ましい。中で、水蒸気雰囲気下で行うことは、樹脂粒状体の結晶化速度を向上させたり、得られるポリエステル樹脂のアセトアルデヒド含有量を更に低減化させたりし得るので、好ましい。
又、更に、固相重縮合により得られた樹脂を、通常、40℃以上の温水に10分以上浸漬させる水処理、或いは、60℃以上の水蒸気又は水蒸気含有ガスに30分以上接触させる水蒸気処理等の処理を施すとか、又は、有機溶剤による処理、或いは、各種鉱酸、有機酸、燐酸等の酸性水溶液による処理、或いは、第1A族金属化合物、第2A族金属化合物、及びアミンにより調製されたアルカリ性水溶液若しくは有機溶剤溶液による処理を施すことにより、重縮合に用いた触媒を失活させることもできる。
以上の製造方法により得られる本発明の耐熱圧性ボトル用ポリエステル樹脂は、固有粘度(〔η2 〕)が0.83〜0.90dl/gであることが好ましい。固有粘度が前記範囲未満では、ボトルとしての耐熱圧強度が不足することとなり、一方、前記範囲超過では、溶融成形性が劣り、成形時のアセトアルデヒド等の副生を抑制することが困難となる。
又、本発明のポリエステル樹脂は、成形体としての黄味がかる色調を抑えるため、JIS Z8730の参考1に記載される、Lab表色系によるハンターの色差式の色座標b値が4.0以下であるのが好ましく、3.0以下であるのが更に好ましく、2.0以下であるのが特に好ましい。又、明度指数L値が85以上であるのが好ましく、88以上であるのが更に好ましい。
尚、前記色座標b値を前記範囲とするために、所謂、有機系調色剤を添加してもよく、その有機系調色剤としては、例えば、ソルベントブルー104、ソルベントレッド135、ソルベントレッド179、ソルベントバイオレット36、ピグメントブルー29、同15:1、同15:3、ピグメントレッド187、同263、ピグメントバイオレット19等の染顔料等が挙げられ、その添加量は、前記明度指数L値の低下を抑えることから、3.0ppm以下とするのが好ましく、2.0ppm以下とするのが更に好ましく、1.5ppm以下とするのが特に好ましく、1.0ppm以下とするのが殊更好ましい。尚、この有機系調色剤の添加時期は、ポリエステル樹脂の製造段階から成形段階に到るまでのいずれでもよい。この有機系調色剤の添加により、前記明度指数L値を好ましくは80以上、更に好ましくは83以上に維持した上で、前記色座標b値を1.0以下とすることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、280℃で射出成形した厚さ2mmの射出成形体を、23℃の純水に72時間浸漬したときの水分率が0.28重量%以下であるのが好ましい。水分率が高いと、耐熱圧性ボトルとしたときの熱水シャワーによる殺菌時に、ガラス転移温度低下により、ボトルが変形しやすくなる。
更に、本発明のポリエステル樹脂は、280℃で射出成形した厚さ5mmの成形板におけるヘーズが5.0%以下であるのが好ましく、3.0%以下であるのが更に好ましい。また、270℃で射出成形した厚さ5mmの成形板におけるヘーズが40%以下であるのが好ましく、20%以下であるのが更に好ましく、10%以下であるのが特に好ましい。
又、本発明のポリエステル樹脂は、ボトル等の成形体としての内容物の風味、香り等への悪影響を抑える等の面から、アセトアルデヒド含有量が3.0ppm以下であるのが好ましく、2.0ppm以下であるのが更に好ましい。又、280℃で射出成形した成形体におけるアセトアルデヒド含有量が23ppm以下であるのが好ましく、20ppm以下であるのが更に好ましく、18ppm以下であるのが特に好ましく、15ppm以下であるのが殊更好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
< エステル化率>
エステル化反応物試料を乳鉢で粉砕し、その1.0gをビーカーに精秤し、これにジメチルホルムアミド40mlを加えて攪拌しながら180℃ で20分間加熱して溶解させた後、180℃のジメチルホルムアミド10mlでビーカー壁を洗浄し、室温まで冷却する。この溶液を、メトローム社製ポテンショグラフ「E−536型」自動滴定装置にて、複合pH電極「EA−120」を用い、0.1N 水酸化カリウム/メタノール溶液で滴定した。尚、0.1N 水酸化カリウム/メタノール溶液は、JIS K8006の方法により調製、標定した。得られた滴定曲線の変曲点から求めた滴定量〔A(ml)〕と、前記方法により調製、標定し、算出した、0.1N 水酸化カリウム/メタノール溶液のファクター〔f1〕、及び試料重量〔W(g)〕とから、下式により、遊離の末端カルボキシル基量〔AV(meq/g)〕を求めた。
AV(meq/g)={A×f1×(1/10)}/W
次いで、乳鉢で粉砕した試料0.3gを三角フラスコに精秤し、これに0.5N 水酸化カリウム/エタノール溶液をホールピペットで20ml加え、更に純水10mlを加えて還流冷却器をセットし、表面温度を200℃ にしたプレートヒーター上で、時々攪拌しながら2時間加熱還流して試料を加水分解した。このときの試料液は透明となっている。放冷後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N 塩酸水溶液で滴定した。尚、ここで、0.5N 水酸化カリウム/エタノール溶液と0.5N 塩酸水溶液は、JIS K8006の方法により調製、標定した。又、フェノールフタレインは、1gをエタノール90mlに溶解し、純水で100mlに定容したものを用いた。又、同一条件で試料を入れないブランクの状態においても滴定した。その際の、試料の滴定量〔Vs(ml)〕、ブランクの滴定量〔Vb(ml)〕、前記方法により調製、標定し、算出した、0.5N 塩酸水溶液のファクター〔f2〕、及び試料重量〔W(g)〕とから、下式により、全カルボン酸由来のカルボキシル基量〔SV(meq/g)〕を求めた。
SV(meq/g)={(Vb−Vs)×f2×(1/2)}/W
次いで、得られたAV(meq/g)、及びSV(meq/g)とから、下式により、エステル化率(%)を求めた。
エステル化率(%)={(SV−AV)/SV}×100
<固有粘度[η]>
チップ状ポリエステルを凍結粉砕した試料0.25gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、濃度(c)を1.0g/dLとして、溶融重縮合ポリエステルの場合は110℃で30分間、固相重縮合ポリエステルの場合は120℃で30分間保持することにより溶解させた。得られた溶液につき、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、溶媒との相対粘度(ηrel )を測定し、この相対粘度(ηrel )−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求めた。同様にして濃度(c)を0.5g/dL、0.2g/dL、0.1g/dLとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度[η](dL/g)として求めた。
<ポリエステル樹脂中の各金属及びリン原子の含有量>
ポリエステル試料5gを、硫酸存在下に過酸化水素で常法により灰化、完全分解後、蒸留水にて50mlに定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP−AES「JY46P型」)を用いて定量し、ポリエステル樹脂1トン中のモル量に換算した。
<ジエチレングリコール単位の含有量>
粉砕機(吉田製作所製ウィレー型「1029−A」)を用いて1.5mm穴の目皿により粉砕した樹脂試料5.00gに、4N水酸化カリウム/メタノール溶液50mlを加えて還流冷却器をセットし、マグネチックスターラ付きホットプレート(表面温度200℃)上で攪拌しながら、2時間加熱還流し、加水分解する。放冷後、高純度テレフタル酸約20gを加え、十分振とうして中和しpHを9以下としたスラリーを、11G−4グラスフィルターを用いて濾過した後、メタノール2mlで2回洗浄して濾液と洗液を合わせ、それを供試液として、その1μlをマイクロシリンジにて、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製「GC−14APF」)に注入し、各ジオール単位のピーク面積から全ジオール成分に対するジエチレングリコール単位の含有量を、下式に従い算出した。
ジエチレングリコール単位の含有量(モル%)=(ACO×CfCO )/〔Σ(A×Cf )〕×100
〔ここで、ACOはジエチレングリコール単位の面積(μV・秒)、CfCO はそのジオール単位の補正係数、Aは各ジオール単位の面積(μV・秒)、Cf は各ジオール単位の補正係数である。〕
尚、ガスクロマトグラフィーの使用条件は、以下の通りである。
カラム:J&W社製「DB−WAX」(0.53mm×30mm)
設定温度:カラム;160〜220℃
気化室;230℃
検出器;230℃
ガス流量:キャリア(窒素);5ml/min
水素;0.6kg/cm2
空気;0.6kg/cm2
検出器:FID
感度:102 MΩ
<2mm厚成形板評価>
・射出成形
ポリエステル樹脂を棚段式真空乾燥機内で145℃にて16時間乾燥し水分量を50ppm以下とした後、露点が−50℃以下の常温乾燥窒素を20L/分の流速で流通させた射出成形機上部に設置されたホッパーに移し、射出成形機(日精樹脂工業(株)製FE-80S)にて、シリンダー各部及びノズルヘッドの温度280℃、スクリュー回転数120rpm、射出時間10秒、冷却時間40秒、充填時間1.0秒、成形サイクル約56秒、保圧2〜4MPa(油圧、成形品外観見合いで調整)、スクリュー背圧0.5MPa(油圧)、金型冷却水温度15℃になるように設定し、図1に示される形状の成形板を射出成形した。
尚、射出成形は、エアショットを10ショット行った後、30枚連続で成形を行い 21〜30枚目を評価用サンプルとした。
・調湿後の水分率
2mm厚成形板を真空乾燥機にて40℃で3日間乾燥させたものの重量(W1)と、23℃の純水に72時間浸漬し、その表面をガーゼにてふき取った後に測定した重量(W2)の差から、調湿後水分率(飽和水分率)を算出した。
調湿後水分率(重量%)=(W2−W1)/W1×100
・tanδ極大温度
2mm厚成形板から40mm×2mm×2mmの大きさで切り出した試料を用い、粘弾性スペクトロメーター(SII社製 「DMS200」)を用いて、25℃から120℃まで2℃/分の速度で昇温させ、測定周波数100Hzにて引っ張り測定を行い、tanδが極大となる温度を求めた。尚、tanδ極大温度が高いほど、高温での強度に優れる樹脂であり、耐熱圧性に優れるという指標となる。
また、2mm厚成形板を真空乾燥機にて40℃で3日間乾燥させたもののtanδ極大温度(tanδ1)と、25℃の純水に72時間浸漬し、その表面をガーゼにてふき取った後に測定したtanδ極大温度(tanδ2)をそれぞれ測定した。
<段付成形板評価>
・射出成形
ポリエステル樹脂を、露点が−50℃以下の窒素を40L/分の流速で流通させたイナートオーブン(ESPEC社製「IPHH−201型」中で、160℃で4時間乾燥し水分量を50ppm以下とした後、射出成形機(名機製作所社製「M−70AII−DM」)にて、シリンダー温度280℃、背圧5×105Pa(油圧)、射出率40cc/秒、保圧力35×105Pa(油圧)、金型温度25℃、成形サイクル約75秒で、図2に示される形状の、縦50mm、横100mmで、横方向に6mmから3.5mmまで段差0.5mmの6段階の厚みを有する段付成形板を射出成形した。尚、図2において、Gはゲート部である。
・ヘーズ測定
段付成形板における厚み5.0mm部(図2におけるC部)について、ヘーズメーター(日本電色社製「NDH−300A」)を用いて測定した。
実施例1
スラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、及び2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールをそれぞれ毎時865重量部、485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量% エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1トン当たりの燐原子としての含有量P が0.194モル/樹脂トンとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で264℃ 、相対圧力38kPaG、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で252 ℃ 、相対圧力5kPaG、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。又、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6重量% エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのマグネシウム原子としての含有量M が0.247モル/樹脂トンとなる量で連続的に添加すると共に、第2段目のエステル化反応槽に設けた別の上部配管を通じてジエチレングリコールを得られるポリエステル樹脂1トン当たりのジエチレングリコールとしての含有量が0.2mol%となる量で連続的に追加添加した。そのとき、前述の方法により測定したエステル化率は、第1段目においては82% 、第2段目においては95%であった。
引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのチタン原子としての含有量Tが0.084モル/樹脂トンとなる量で連続的に添加しつつ、272℃ 、絶対圧力2.6kPaに設定された第1 段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃ 、絶対圧力0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の固有粘度(〔η1〕)が0.65dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体としたポリエステル樹脂を製造した。
引き続き、前記で得られた溶融重縮合ポリエステル樹脂チップ状粒状体を、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となる様に連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下、210℃ で、得られる樹脂の固有粘度(〔η2〕)が0.85dl/gとなる様に滞留時間を調節して固相重縮合させた。
固相重縮合樹脂の2mm厚成形板評価および段付成形板評価を前記方法で行い、その結果を表1に示した。
実施例2
実施例1において、第二段目のエステル化反応槽へのジエチレングリコールの追加添加をしなかったことの外は実施例1と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、その結果を表1に示した。
比較例1
実施例2において、第一段目のエステル化反応槽の温度を260℃、相対圧力を50kPaGとしたことの外は実施例2と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、その結果を表1に示した。
比較例2
実施例2において、重縮合時の触媒添加量を表1に示す量としたことの外は実施例2と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、結果を表1に示した。
比較例3
酢酸マグネシウム4水和物の代わりに三酸化アンチモンの1.8重量%エチレングリコール溶液を使用し、エチルアシッドホスフェート及びテトラ−n−ブチルチタネートを添加しないこと、得られる樹脂の固有粘度(〔η2〕)を0.80dl/gとしたことの外は、実施例2と同様にして固相重縮合樹脂を製造し、各種測定を行い、結果を表1に示した。ここで、段付成形板評価により透明な成形体を得ることが出来なかったため、2mm厚成形板評価は実施しなかった。
Figure 0005228476
実施例において成形した物性評価用の2mm厚成形板の平面図である。 実施例において成形した物性評価用の段付成形板であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
符号の説明
G:ゲート部
C:成形板における厚み5mm部

Claims (3)

  1. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、前者成分に対する後者成分のモル比を1.0〜2.0として混合する原料混合工程、次いで、その原料混合物を、エステル化反応槽において、常圧〜加圧下、加熱下でエステル化反応させるエステル化反応工程、引き続いて、得られたエステル化反応生成物を、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で重縮合触媒を用い溶融重縮合反応させる溶融重縮合工程、更に加熱下で固相重縮合反応させる固相重縮合工程を経てポリエステル樹脂を製造するにおいて、該エステル化反応槽が複数備えられており、重縮合触媒としてチタン化合物を使用し、エステル化反応工程でのリン化合物に由来するリン原子としての含有量をポリエステル樹脂1トン当たり0.300モル以下となし、且つ、第1段目のエステル化反応槽内の圧力を相対圧力10kPa〜40kPaG、反応温度250〜270℃とし、最終段における圧力を、相対圧力0〜10kPaG、反応温度255〜275℃とすることを特徴とする耐熱圧性ボトル用ポリエステル樹脂の製造方法。
  2. ポリエステル樹脂中の全ジオール成分に対するジエチレングリコール(DEG)の共重合量(モル%)が下記式(1)を満たすようにエステル化反応工程でDEGを添加することを特徴とする請求項1に記載の耐熱圧性ボトル用ポリエステル樹脂の製造方法。
    (1)1.0≦DEG≦2.0
  3. 原料混合工程から溶融重縮合工程開始までの間に、チタン化合物、マグネシウム化合物及びリン化合物を、ポリエステル樹脂1トン当たりに含まれる各原子の量(モル)が下記式(2)乃至(4)を満たすように添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱圧性ボトル用ポリエステル樹脂の製造方法。
    (2)0.020≦T≦0.200
    (3)0.040≦M≦0.400
    (4)0.020≦P≦0.300
    ここで、T,M,Pはそれぞれチタン原子、マグネシウム原子、リン原子の量をモル/樹脂トンであらわしたものである。
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