JP4254351B2 - ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のチタン化合物及び粗大粒子の存在確率が極めて低くい多段階シード乳化重合法で得られた架橋有機高分子粒子を含有したポリエステル樹脂組成物によって、従来品に比べて、フィルム製造時、キャストドラム・予熱ロール汚れが少なく、表面傷、表面粗大突起が少ないフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは、結晶性、強度、耐薬品性、透明性に優れ、フィルム、繊維、ボトル、押出成形品など様々な用途に使用されている。中でも、フィルム用途ではその優れた機械的特性と経済性のため、磁気記録用、農業用、包装用、コンデンサー用、建材用などの大量に需要のある分野で用いられている。
【0003】
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0004】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融製膜してフィルムとするときに、アンチモン触媒の残渣が口金周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィルム表面に欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
【0005】
また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、製膜の際のフイルムの表面欠点やひどい場合はフィルム破れの原因になる。さらに、滑り性等の理由から粒子を含有させる場合においても、粒子の安定性を損ない、凝集を起こすなどの好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。
【0006】
上記のような背景からアンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合ゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は非常に高価であり汎用的に用いることは難しい。
【0007】
これに対し重合用触媒としてチタン化合物をポリエステル重合用触媒として用い、補色剤としてコバルトを併用すること等が記載されている(特許文献1参照)。この方法によれば、得られるポリマーの色調を改善できるものの、非常に厳しいフィルム表面性が要求される磁気記録媒体用途などの極薄フィルム等においては、フィルム表面の粗大突起などの表面性においては十分なものではない。また、磁気記録媒体用のフィルム等においては、フィルムの滑り性向上やフィルムの表面性のため一般的に粒子を含有させ、ポリエステルとの親和性に優れる有機高分子粒子が好ましく使用されることが記載されている(特許文献2参照)。しかし、フィルム表面の粗大突起においては十分なものでない。近年、高級磁気記録媒体用のフィルムは、ますます、フィルム表面性に対する要求が厳しくなってきており、アンチモン触媒残差や用いる有機高分子粒子の平均粒径の2倍程度の単一の球状粗大粒子や粒子2個程度の凝集粒子等の粗大粒子が微量含有されただけでも、フィルム表面の粗大突起となり、磁気記録媒体とした際に記録抜け等の問題が起こる。従って、チタン化合物、また、用いられる有機高分子粒子のさらなる改善が求められている。
【0008】
そこで、本発明では上記の問題点を改良し、重合触媒としてある特定のチタン化合物と上記、粗大粒子の極めて少ない有機高分子粒子を併用することで、すなわち、クエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜50ppm、リン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜50ppm、アンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有し、かつ、動的光散乱法による平均粒径が0.05〜3μm、全粒子個数に対する平均粒径の2倍以上の粗大粒子の個数の存在確率が0.01%以下である多段階シード乳化重合法で得られた架橋有機高分子粒子を0.1〜5重量%含有したポリエステル組成物とすることにより本発明の目的を達成できるという知見を得た。
【0009】
【特許文献1】
特表2001−524536号公報(第1頁)
【0010】
【特許文献2】
特開昭59−217755号公報(第1頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来の問題を解消し、ポリエステルフィルムの製造時においてろ圧上昇がなく、滑り性が良好であり、かつ従来品に比べてフィルム表面のキズや粗大突起が少ないポリエステルフィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のポリエステル樹脂組成物は、主として次の構成を有する。すなわち、クエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜50ppm、リン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜50ppm、アンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有し、かつ、動的光散乱法による平均粒径が0.05〜3μm、全粒子個数に対する平均粒径の2倍以上の粗大粒子の個数の存在確率が0.01%以下である多段階シード乳化重合法で得られた架橋有機高分子粒子を0.1〜5重量%含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーである。フィルム、ボトル、繊維等の成形品として用いることができるものが好ましい。
【0014】
このようなポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体において好適である。
【0015】
また、これらのポリエステルには、ジエチレングリコール以外に共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等が共重合されていてもよい。
【0016】
本発明のポリエステルにおいて、重合用触媒としてのチタン化合物は、クエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物である。
【0023】
クエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物は、ポリマーの熱安定性及び色調に優れる。
【0026】
なお、本発明の触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反
【0027】
本発明におけるクエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物は得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.5〜50ppm含有されていることが必要である。1〜30ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましく、更に好ましくは3〜10ppmである。
【0028】
本発明のポリエステルは、クエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物と共にリンがポリエステルに対してリン原子換算で0.1〜50ppm含有されていることが必要である。なお、製膜時におけるポリエステルの熱安定性や色調の観点からリン含有量は、1〜35ppmが好ましく、さらに好ましくは3〜20ppmである。
【0029】
なお、本発明のポリエステルに含有されるリンは、ポリエステルの製造過程でリン化合物として添加される。このようなリン化合物としてはリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系のいずれか1種または2種であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等のホスホン酸系化合物、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、メチルホスフィン酸メチルエステル、ジメチルホスフィン酸メチルエステル、メチルホスフィン酸エチルエステル、ジメチルホスフィン酸エチルエステル、エチルホスフィン酸メチルエステル、ジエチルホスフィン酸メチルエステル、エチルホスフィン酸エチルエステル、ジエチルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸メチルエステル、フェニルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸フェニルエステル、ジフェニルホスフィン酸メチルエステル、ジフェニルホスフィン酸エチルエステル、ジフェニルホスフィン酸フェニルエステル、ベンジルホスフィン酸メチルエステル、ベンジルホスフィン酸エチルエステル、ベンジルホスフィン酸フェニルエステル、ビスベンジルホスフィン酸メチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸エチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸フェニルエステル等のホスフィン酸系、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリイソプロピルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等の亜ホスホン酸系、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等の亜ホスフィン酸系、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メエルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系が挙げられ、これらのいずれか1種または2種であることが好ましい。特に熱安定性及び色調改善の観点から、リン酸系及び/またはホスホン酸系であることが好ましい。
【0030】
本発明のポリエステルにおいてはアンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有することが必要である。この範囲とすることで、成形加工時の口金汚れの発生等が少なく、かつ比較的安価なポリマーを得ることができる。より好ましくは、10ppm以下、特には実質的に含有しないことが好ましい。
【0031】
また、クエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物のチタン原子に対してリン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20であるとポリエステルの熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜10であり、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
【0032】
本発明で用いられるクエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物 及びリン化合物は、ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予めエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じてクエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物またはリン化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。この場合、クエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物とリン化合物が接触することによる触媒の失活を抑制するために、異なる反応槽に添加する方法や、同一の反応槽においてクエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物とリン化合物の添加間隔を1〜15分とする方法や添加位置を離す方法がある。
【0033】
また、本発明においてクエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物を予めリン化合物と反応させたものを触媒として用いることもできる。この場合には、(1)クエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液にリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。(2)前記のクエン酸および/または乳酸をチタン化合物の配位子として用いる場合は、チタン化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に配位子化合物またはチタン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。また、この混合溶液にさらにリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下すると、熱安定性及び色調改善の観点から好ましい。上記の反応条件は0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは20〜100℃の温度で2〜100分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でも良い。また、ここで用いる溶媒としては、チタン化合物、リン化合物及びクエン酸および/または乳酸含有化合物の一部または全部を溶解し得るものから選択することができるが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼン、キシレンから選ばれる。
【0034】
また、本発明のポリエステルの製造方法において任意の時点でさらにコバルト化合物を添加すると得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。この場合に用いるコバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。
【0035】
また、得られるポリマーの色調やポリマーの耐熱性を向上させる目的で、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を添加してもよい。
【0036】
本発明における架橋有機高分子粒子は、架橋ポリスチレン(架橋したビニルベンゼン重合体)等が挙げられる。
【0037】
架橋有機高分子粒子の形状は球状、更に好ましくは真球状であるものが良く、フィルムでの滑り性付与に効果的である。
【0038】
前出の架橋有機高分子粒子は多段階シード乳化重合で得られる
【0039】
架橋有機高分子粒子は、動的光散乱法による平均粒径が0.05〜3μmであることが必要であり、より好ましくは0.1〜2μm、更に好ましくは0.3〜1μmである。平均粒径が3μmを越えると、フィルターでの濾過において、目詰まりが発生しやすくなり好ましくなく、0.05μm未満ではフィルム化後の巻き取り性付与が劣り好ましくない。
【0040】
また、架橋有機高分子粒子のポリエステル樹脂組成物に対する添加量は、0.1〜5重量%とする必要があり、好ましくは0.5〜3重量%、より好ましくは1〜2重量%である。
【0041】
また、架橋有機高分子粒子の全粒子個数に対する平均粒径の2倍以上の粗大粒子の個数の存在確率は、0.01%以下であることが必要であり、好ましくは0.005%以下であり、より好ましくは0.001%以下である。粗大粒子の存在確率が0.01%を越えると、フィルム表面と粗大突起数が多くなり、磁気記録媒体用のテープとした際、記録抜け等が発生するため好ましくない。
【0042】
また、架橋有機高分子粒子は耐熱性が求められるため、架橋度は、50%以上であることが好ましく、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは80%以上である。
【0043】
本発明では、架橋有機高分子粒子をポリエステル中に単分散させることが好ましい。このようなポリマーを得るためには、ベント式成型機においてポリエステルに架橋有機高分子粒子の水および/又は沸点200℃以下の有機化合物を除去し、溶融混練することにより得られる。ベント式成形機は少なくとも1つのベント口を設けた溶融成形機で、例えば押出成形機であっても射出成形機であってもよい。水および/又は沸点200℃以下の有機化合物を除去するためのベント口の少なくとも1つは減圧下に保持する必要がある。また、ベント口の減圧度は13KPa以下に保持することが好ましく、より好ましくは7KPa以下、更に好ましくは4KPa以下である。
【0044】
一方、架橋有機高分子粒子は水および/又は沸点200℃以下の有機化合物スラリーとしてポリエステルに添加することが必要である。沸点200℃以下の有機化合物の例としてはメタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素化合物、その他としてエステル類、ケトン類、アミン類などが挙げられるが、特に制限されない。中でもハンドリング性、除去性などの観点から水が好ましい。
【0045】
また、架橋有機高分子粒子のスラリー中には、粒子製法上必要なドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレートなどのノニオン系界面活性剤が含まれる。
【0046】
また、架橋有機高分子粒子の分散性の向上のため、水溶性高分子として、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース等が用いられ、特にピロリドン残基を有するポリビニルピロリドンが好ましく使用される。
【0047】
水溶性高分子の添加量は、架橋有機高分子粒子に対して0.1〜5重量%含むことが好ましく、より好ましくは0.4〜3重量%、更に好ましくは0.8〜2重量%である。添加量が5重量%を越えるとフィルム表面の粗大突起の原因となり、また、0.1重量%未満では粒子の分散性が悪化するため好ましくない。
【0048】
さらに、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カーボンブラック等の顔料のほか、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有しても差支えない。
【0049】
本発明のポリエステルの製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するがこれに限定されるものではない。
【0050】
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、本発明のクエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、通常既知の、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の化合物や本発明のクエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物を用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
【0051】
本発明の製造方法は、(1)または(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)または(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、各種の添加物を添加した後、重縮合触媒として前述のチタン化合物を添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。
【0052】
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式に適応し得る。
【0053】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステル中のチタン元素、リン元素、アンチモン元素及びマンガン元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。
(2)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(3)架橋有機高分子粒子の平均粒径
大塚電子社製PAR−IIIを用いて動的光散乱法により測定した。
(4)架橋有機高分子中の平均粒径の2倍以上の粗大粒子の個数の存在確率
架橋有機高分子粒子の20%水スラリーを1000倍に純水で希釈し、Sysmex社製FPIA−2100を用いて平均粒径の2倍以上の粗大粒子個数を測定した。測定に用いたサンプル量から粒子総重量を計算し、粒子比重1として総粒子個数を求め、前述の粗大粒子個数を総粒子個数で除することで架橋有機高分子粒子中の平均粒径の2倍以上の粗大粒子の存在確率とした。
(5)フィルムの表面粗大突起の数
測定面100cm2同士を2枚重ね合わせて静電気力(印加電圧5.4kV)で密着させた後、2枚のフィルム間で粗大突起の光の干渉によって生じるニュートン環から粗大突起の高さを判定した。2重環以上の粗大突起を突起高さ0.5μm以上の表面粗大突起として判定し、その数を数えた。尚、光源はハロゲンランプに564nmのバンドパスフィルターをかけて用いた。
(6)キャストドラム、予熱ロール汚れ
キャストドラム、予熱ロール上の触媒起因の汚れは、製膜開始前にロールを十分に清掃し、製膜開始後48時間後の汚れ状態をそれぞれ目視で観察し、製膜前と変わらずきれいなものを「◎」、一見してほとんど汚れが見られないものを「○」、ごく薄く汚れが確認できるが使用を続けて問題のないものを「△」、汚れがかなり厚く付着し、清掃または交換が必要なものを「×」と評価した。
(7)フィルム表面傷
実際に製膜を行い、48時間後の二軸延伸フィルムを採取し、それぞれ透過光にてフィルムを観察する。このとき、テンターにて横延伸・熱処理を行った幅165cmの二軸延伸フィルムの20m長を採り、目視で確認できた表面傷の個数を計測した。表面傷の個数が、それぞれ10個以上で、使用に耐えられない場合を「×」、3〜9個でかなり表面は悪化しているが使用可能な場合を「△」、1〜2個とほとんど傷がなく表面性が良好な場合を「○」、傷がまったく認められない場合を「◎」として評価した。
【0054】
なお、以下に触媒の合成方法を記す。
【0055】
参考例1
触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
【0056】
参考例2
触媒B.乳酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。
【0058】
実施例1
A.ポリエチレンテレフタレートの製造方法
高純度テレフタル酸100重量部とエチレングリコール43重量部のスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約120部が仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の120部を重縮合槽に移送した。
【0059】
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、トリエチルホスホモノアセテートのエチレングリコール溶液をリン原子換算で10ppmとなるように加え、10分後に酢酸マグネシウム4水塩のエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してマグネシウム原子換算で39ppm、クエン酸キレートチタン化合物(触媒A)の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で5ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
【0060】
得られたポリマーはIV0.65であり、また、該ポリマーから測定したチタン触媒由来のチタン原子の含有量は5ppm、リン原子の含有量は10ppmであり、アンチモン原子の含有量は0ppmであることを確認した。
【0061】
上記、未乾燥ポリエチレンテレフタレートチップをベントタイプ2軸押出機を使用して該ポリマーチップを溶融状態とし、最終的なポリマー中の含有量を2重量%となるように架橋有機高分子粒子を添加した。該架橋有機高分子粒子は、シード乳化重合法において製造する際、段階でシード乳化することによって粒度分布が極めて狭いシード粒子を使用し、かつ、シード乳化重合後、平均粒径の2倍が絶対濾過精度であるポール製のフィルターで20パス循環濾過することによって、粗大粒子の存在確率を極めて低くした平均粒径0.3μm、架橋度80%、粗大粒子の存在確率0.001%のビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体架橋有機高分子粒子の水スラリーを用いた。粒子添加後、ベント口を1KPaの真空度に保持し樹脂温度280℃で溶融押出して架橋有機高分子粒子含有ポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリマーのIVは0.60であった。
【0062】
また、該ポリマーのペレットを20重量部、無粒子のポリエステル80重量部を乾燥混合後、2台の単軸押出機に投入し、2層積層すべくTダイで合流(積層比5/1)させ290℃で溶融押出しシート状にし、得られたシートを延伸温度120℃で二軸延伸することにより、厚さ6μmのフィルムを得た。 該フィルム特性を評価した結果、フィルム表面性は良好であった。この結果を表1に示す。
【0063】
【実施例2】
高純度テレフタル酸95重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸5重量部とし、触媒Aの添加量をTi元素比10ppmとした。また、架橋有機高分子粒子の水スラリーに対粒子1%のポリビニルピロリドンを添加し常温で3時間撹拌することで表面処理した後、ポリマーに添加した以外は実施例1と同様にポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0065】
【実施例4】
クエン酸キレートチタン化合物(触媒A)を乳酸キレートチタン化合物(触媒B)とし、リン元素量を20ppm、ビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体架橋有機高分子粒子の平均粒径を0.8μm、粗大粒子存在確率を0.005に変更する以外は実施例1と同様にポリエステル樹脂組成物およびフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0067】
比較例1
触媒に三酸化アンチモンを、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で200ppm添加したこと以外は実施例1と同様にして重合し、溶融製膜を行った。触媒を変更しても重合反応性は良好に推移するが、製膜時にキャストドラム・予熱ロールが汚れ、かつ、フィルム表面のキズと粗大突起が激増した。結果を表1に示す。
【0068】
【比較例2】
ビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合架橋有機高分子粒子の粗大粒子存在確率が0.02%のものを用いる以外は実施1と同様にして重合し、溶融製膜を行ったが、フィルム表面のキズが増え、特に粗大突起においては300個/100cm2と非常に高い値となった。結果を表1に示す。
【0069】
【比較例3】
リン元素量を20ppmに変更し、さらに、ビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体架橋有機高分子粒子の平均粒径が5μm、粗大粒子存在確率が0.005%のものを用いる以外は実施1と同様にして重合し、溶融製膜を行ったが、フィルム表面のキズが増え、特に粗大突起においては250個/100cm2と非常に高い値となった。結果を表1に示す。
【0070】
比較例4
リン元素量を60ppmに変更する以外は実施例1と同様に重合したが、粒子を混練加工、フィルム形成ができる重合度を有した樹脂を得ることができなかった。結果を表1に示す。
【0071】
比較例5
チタン元素量を100ppmに変更する以外は実施例1と同様としたが、フィルムとした際、粗大突起が200個/cmと非常に高い値となった。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004254351
【0073】
【発明の効果】
フィルム表面の粗大突起、キズが少なく、環境衛生性に優れたポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムを得ることができ、磁気記録媒体として好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. クエン酸キレートチタン化合物および/または乳酸キレートチタン化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜50ppm、リン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜50ppm、アンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有し、かつ、動的光散乱法による平均粒径が0.05〜3μm、全粒子個数に対する平均粒径の2倍以上の粗大粒子の個数の存在確率が0.01%以下である多段階シード乳化重合法で得られた架橋有機高分子粒子を0.1〜5重量%含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 架橋有機高分子粒子が架橋度50%以上のビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体であり、チタン化合物とリン化合物の比率が、チタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P=0.1〜20であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 架橋有機高分子粒子に対してピロリドン残基を有する水溶性高分子を0.1〜5重量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. リン化合物がリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. リン酸系リン化合物がリン酸及び/またはリン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項4記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物からなる層が少なくとも一層積層されてなる磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
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