JP2014058630A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粗大な粒子および異物を抑制するとともに、色調が良好であるポリエステルの製造方法の提供。
【解決手段】脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分と、複素環ジオールを含むジオール成分とを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを添加し、エステル交換反応させた後、重縮合触媒の存在下で重縮合反応してポリエステルを製造するに際して、酢酸マンガンを、得られるポリエステルに対して金属原子換算で120〜170ppm添加し、重縮合触媒としてテトラ−n−ブトキシチタンを、得られるポリエステルに対して金属原子換算で10〜50ppm添加し、エステル交換反応終了までに、アンチモン化合物、マグネシウム化合物、コバルト化合物およびカルシウム化合物から選ばれる、少なくとも一種の金属化合物を、得られるポリエステルに対して金属原子換算の合計で0.25〜6.00ppm添加することを特徴とするポリエステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は透明性および色調に優れ、異物の発生を抑制した、エステル交換反応触媒として酢酸マンガンを、重縮合触媒としてテトラ−n−ブトキシチタンを用いた、脂肪族ジカルボン酸成分および複素環ジオール成分含有ポリエステルの製造方法である。更に詳しくは、特定の金属化合物を添加することにより粗大粒子の生成を抑制したポリエステルの製造方法に関する。
脂環族成分を含有するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルとは異なった光学特性、結晶化特性、機械特性を有しており、各種光学用フィルム、例えば液晶ディスプレイの部材のプリズムシート、光拡散シート、反射板、タッチパネル等のベースフィルム、反射防止用ベースフィルムやディスプレイの防爆用ベースフィルム、PDPフィルター用フィルム等の各種用途に用いられており、また、光反射性に優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができることから、金属光沢調フィルム、熱線反射フィルムとしても好適に用いられている。
しかしながら、複素環ジオールは高温、水分および酸により分解し、架橋によるポリエステルの高粘度化が発生したり、また、未反応の複素環ジオールによる重縮合反応時の真空回路が閉塞するという問題が生じる。
複素環ジオールの分解および未反応を抑制する方法としては、エステル交換反応触媒として酢酸マンガンを、重縮合触媒としてチタン触媒を使用し、チタン触媒としては、入手の容易性および得られるポリエステルの色調が良好となることから、テトラ−n−ブトキシチタンを使用する方法が挙げられる。しかしながら、ポリエステル中で酢酸マンガンが粗大な粒子および異物を形成し、ポリエステルの透明性が悪化するという問題がある。
ポリエステル中の粗大異物を抑制する方法として、例えば特許文献1では、塩基性化合物と共に3価のリン化合物を添加する方法が提案されている。
しかしながら、前述の方法では、酢酸マンガンによる粗大な粒子の形成を抑制できず、得られるポリエステルの透明性は不十分である。
特開2009−179659号公報
本発明の目的は、上記した従来の課題を解決し、酢酸マンガンにより形成される粒子を微細化することにより透明性を向上し、粗大な粒子および異物を抑制するとともに、色調が良好であるポリエステルの製造方法を提供することにある。
前記した本発明の目的は、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分と、複素環ジオールを含むジオール成分とを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを添加し、エステル交換反応させた後、重縮合触媒の存在下で重縮合反応してポリエステルを製造するに際して、酢酸マンガンを、得られるポリエステルに対して金属原子換算で120〜170ppm添加し、重縮合触媒としてテトラ−n−ブトキシチタンを、得られるポリエステルに対して金属原子換算で10〜50ppm添加し、エステル交換反応終了までに、アンチモン化合物、マグネシウム化合物、コバルト化合物およびカルシウム化合物から選ばれる、少なくとも一種の金属化合物を、得られるポリエステルに対して金属原子換算の合計で0.25〜6.00ppm添加することを特徴とするポリエステルの製造方法によって達成できる。
本発明によれば、特定の金属化合物を添加することより、酢酸マンガンにより形成される粒子を微細化することにより透明性を向上し、粗大な粒子および異物を抑制するとともに、色調が良好であるポリエステルを製造することができる。
本発明のポリエステルとは、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分および複素環ジオールを含むジオール成分からなるポリエステルである。
本発明における脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸やデカリンジカルボン酸等を挙げることができる。特に入手の容易性や重縮合反応性の観点からはシクロヘキサンジカルボン酸成分が好ましい。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体が挙げられ、これらの2種以上を混合して用いても良い。なお、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分とは、スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、ホスホニウム塩、さらにそれらの誘導体のことを指し、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−(テトラアルキル)ホスホニウムスルホイソフタル酸、およびその誘導体である5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−(テトラアルキル)ホスホニウムスルホイソフタル酸ジメチルが挙げられる。
本発明における複素環ジオールとしては、スピログリコールやイソソルビド等を挙げることができる。特に得られるポリエステルの色調の観点からスピログリコール成分が好ましい。ここでスピログリコールとは3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを指す。
複素環ジオール以外のジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオールが挙げられ、これらの2種以上を混合して用いても良い。また、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
本発明のポリエステルは、エステル交換反応触媒として酢酸マンガンを添加し、エステル交換反応させた後、重縮合触媒の存在下で重縮合反応することにより得られるポリエステルである。エステル交換反応触媒として酢酸マンガンを用いることにより、エステル交換反応で未反応となった複素環ジオールによる、重縮合反応時の真空回路の閉塞を抑制することが可能となる。
本発明の製造方法では、酢酸マンガンを、得られるポリエステルに対して金属原子換算で120〜170ppm添加することが必要である。好ましい添加量は125〜165ppmであり、より好ましくは130〜160ppmである。170ppmを超えるとポリエステルの色調が悪化し、酢酸マンガンにより形成される粒子の粗大化および異物の形成により、ポリエステルの透明性が損なわれる。120ppm未満ではエステル交換反応が不良となり、複素環ジオールの未反応分が増加する。
本発明の製造方法では、酢酸マンガンにより形成される粒子を微細化することにより透明性を向上し、粗大な粒子および異物を抑制する目的で、アンチモン化合物、マグネシウム化合物、コバルト化合物およびカルシウム化合物から選ばれる、少なくとも一種の金属化合物を添加する必要がある。前記された特定の金属化合物を添加することにより、酢酸マンガンにより形成される粒子が微細化され、ポリエステルの透明性が向上し、粗大な粒子および異物を抑制することが可能となる。
本発明に用いられる特定の金属化合物としては、三酸化アンチモンのような金属の酸化物、および酢酸マグネシウム、酢酸コバルト、酢酸カルシウムのような酢酸化合物等を挙げることができる。特に粒子の微細化およびポリエステルの透明性の観点から、酢酸マグネシウムを用いることが好ましい。
本発明における特定の金属化合物の添加量は、0.25〜6.00ppmであることが必要である。粒子の微細化の観点から、好ましくは0.40〜3.00ppm、より好ましくは0.50〜2.00ppmである。0.25未満および6.00ppmを超えると、特定の金属化合物による粒子の微細化の効果が得られなくなる。
本発明の製造方法では、特定の金属化合物を、エステル交換反応終了までに添加することが必要である。特に粒子の微細化の観点から、酢酸マンガンと同時に添加することが好ましい。特定の金属化合物と酢酸マンガンとを同時に添加する方法としては、酢酸マンガンの粉体に特定の金属化合物を均等に混合して添加する方法や、酢酸マンガンと特定の金属化合物をジオールの溶液またはスラリーとして混合した状態で添加する方法が挙げられる。
本発明の製造方法では、重縮合触媒としてテトラ−n−ブトキシチタンを用いることが必要である。重縮合触媒としてテトラ−n−ブトキシチタンを用いることにより、複素環ジオールの分解を抑制することが可能となり、更にポリエステルの色調が良好となる。
本発明に置けるテトラ−n−ブトキシチタンの添加量は、10〜50ppmであることが必要である。重縮合反応性、ポリエステルの色調および粒子の微細化の観点から、好ましくは20〜40ppm、より好ましくは25〜35ppmである。50ppmを超えるとポリエステルの色調が悪化し、また粗大な粒子および異物を形成してポリエステルの透明性を損なう。10ppm未満では重縮合反応が不良となり、反応時間が遅延することにより色調が悪化する。
本発明の製造方法では、テトラ−n−ブトキシチタンの加水分解の抑制および異物を抑制する観点から、テトラ−n−ブトキシチタンを、本発明方法で得られる重合体と実質的に同一成分の重合体からなる容器に充填して投入することが好ましい。容器に充填することで、テトラ−n−ブトキシチタンが、高温に加熱されている添加ノズルや重縮合反応装置の缶壁および撹拌翼に付着し、長時間高温にさらされることで劣化して異物が発生することを抑制し、一層異物を抑制する効果が得られる。
本発明でいう容器とは、得られる重合体と実質的に同一成分の重合体からなる容器であり、テトラ−n−ブトキシチタンを充填してポリエステルの製造工程に投入できるものであり、かつ密閉することが可能であればその形状などに特に制限はなく、例えば、ふたや栓を有する射出成形容器が挙げられる。この容器の厚さは、厚すぎると溶解、溶融時間が長くかかるため厚さは薄いほうがよいが、テトラ−n−ブトキシチタンの封入・投入作業の際に破裂しない程度の厚さを確保する。そのためには10〜500μm厚さで均一で偏肉のないものが好ましい。
本発明の製造方法では、異物を抑制する観点から、重縮合反応装置の撹拌機を停止した後にテトラ−n−ブトキシチタンを充填した容器を投入し、次いで撹拌を再開することが好ましい。
容器の投入時に撹拌機を停止することで、容器が撹拌翼と接触して破損し、テトラ−n−ブトキシチタンが飛散することを防ぎ、一層異物を抑制する効果が得られる。
また、テトラ−n−ブトキシチタンを充填した容器の投入終了後に撹拌を再開することで、ポリエステルの低重合体と気相部の界面でテトラ−n−ブトキシチタンが局所的に滞留し、高温で高濃度のテトラ−n−ブトキシチタンによる局所的な分解反応による異物の発生を防止できるとともに、テトラ−n−ブトキシチタンを短時間で均一に分散することが可能となるので、かかる点からも一層異物を抑制する効果が得られる。
撹拌翼の停止および容器投入後の撹拌再開までの時間については特に限定されないが、ポリエステルの熱分解による劣化を抑制する観点から、撹拌翼を停止して1分以内にテトラ−n−ブトキシチタンを充填した容器を投入し、容器を投入した後から1分以内に撹拌を再開することが好ましい。
次に本発明のポリエステルの製造方法についてさらに詳しく説明する。
本発明のポリエステルの製造方法は、原料として例えばテレフタル酸ジメチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールを所定のポリマー組成となるように、反応缶へ仕込む。この際には、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加すれば反応性が良好となる。これらを150℃程度で溶融したのち酢酸マンガンをエステル交換反応触媒として、ポリエステルの透明性向上の点から酢酸マグネシウム等の特定の金属化合物を、スピログリコールの分解抑制の点から水酸化カリウム等のアルカリ化合物を添加する。
150℃では、これらのモノマー成分は均一な溶融液体となる。次いで反応容器内を235℃まで昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施する。このようにしてエステル交換反応が終了した後トリメチルリン酸等のエステル交換反応触媒失活剤を添加する。
エステル交換反応触媒失活剤の添加が終了したら反応物を重合装置へ仕込み、次いでテトラ−n−ブトキシチタンを重縮合触媒として、ポリエチレンテレフタレート等の容器に充填し、撹拌機を停止した状態で添加した後、撹拌機を運転開始する。装置内温度をゆっくり285℃まで昇温しながら装置内圧力を常圧から133Pa以下まで減圧する。重縮合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置からポリエステルを水槽へ吐出する。吐出されたポリエステルは水槽で急冷して、カッターでチップとする。
このようにしてポリエステルを得ることができるが、上記は一例であって、モノマーや触媒および重合条件はこれに限定されるわけではない。
このようにして得られたポリエステルは、透明性および色調に優れ、粗大な粒子や異物が抑制されており、液晶ディスプレイ用フィルムとして好適である。またポリエチレンテレフタレート等を交互に積層したフィルムは光反射性に優れ、金属光沢調フィルムや熱線反射フィルムとして好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステルの金属元素量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用いて、各元素に対する蛍光X線強度を求め、あらかじめ作成しておいた検量線より求めた。
(2)ポリエステルの溶液ヘイズ
ポリエステル2gをo−クロロフェノール20mlに溶解し、光路長20mmの石英セルおよびヘイズメーター(スガ試験機社製、HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法によって溶液のヘイズ値を測定した。
(3)ポリエステルの粗大粒子個数
フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザで処理する。SEMの倍率は、5000倍を選択する。観察箇所を変えて20視野測定を行い、粒径を求め、1μm以上の粒子個数を確認し、粒子個数および測定した視野面積から5000μm当たりの粒子個数を求めた。
(4)ポリエステルの異物個数
ポリエステルチップ300gを倍率10倍のルーペで観察して、ポリエステル中にある異物(最大直径100μm以上)の個数を確認した。
(5)ポリエステルのb値
ポリエステルチップを色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピューター型式SM−T45)を用いて、ハンター値(b値)として測定した。
実施例1
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを54重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.060重量部(金属原子換算で135ppm)、酢酸マグネシウムを0.00265重量部(金属原子換算で3.00ppm)、水酸化カリウムを0.005重量部をそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。尚、酢酸マンガンと酢酸マグネシウムの仕込みは同時に実施した。次いで内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールを留出した後、トリエチルホスホノアセテートを0.085重量部添加しエステル交換反応を終了した。トリエチルホスホノアセテートを添加した後10分間撹拌した。その後エステル交換反応物を重縮合反応装置に移行した。
ポリエチレンテレフタレートシートを用いて厚さ200μmの容器およびそのふたを射出成形して、テトラ−n−ブトキシチタンをチタン原子として30ppmとなる量に充填した。重縮合反応装置の撹拌機を停止して30秒後にテトラ−n−ブトキシチタンを充填した容器を投入し、容器の投入終了から30秒後に撹拌を再開した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重縮合反応を行った。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。
重縮合反応装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重縮合反応装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重縮合反応装置下部のバルブを開けてガット状のポリエステルを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップを得た。
得られたポリエステルの特性を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.5%と低く透明性に優れ、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例2
酢酸マグネシウムの代わりに、三酸化アンチモン0.00036重量部(金属原子換算で3.00ppm)添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.6%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例3
酢酸マグネシウムの代わりに、酢酸コバルト0.00127重量部(金属原子換算で3.00ppm)添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.7%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例4
酢酸マグネシウムの代わりに、酢酸カルシウム0.00132重量部(金属原子換算で3.00ppm)添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.6%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例5
酢酸マグネシウムの添加量を0.00022重量部(金属原子換算で0.25ppm)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.9%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例6
酢酸マグネシウムの添加量を0.00529重量部(金属原子換算で6.00ppm)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.8%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例7
酢酸マグネシウムの添加時期を、エステル交換反応終了直前(トリエチルホスホノアセテート添加直前)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.7%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例8
テトラ−n−ブトキシチタンの添加量をチタン原子として10ppmとなる量に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.6%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は6と良好であった。
実施例9
テトラ−n−ブトキシチタンの添加量をチタン原子として50ppmとなる量に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.9%、粗大粒子が1個/5000μm、異物が2個/300g、ポリエステルのb値は6と良好であった。
実施例10
酢酸マンガン四水塩の添加量を0.054重量部(金属原子換算で120ppm)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.5%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は6と良好であった。
実施例11
酢酸マンガン四水塩の添加量を0.076重量部(金属原子換算で170ppm)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.9%、粗大粒子が1個/5000μm、異物は確認されず、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例12
テトラ−n−ブトキシチタンを容器に充填せずに重縮合反応装置に添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.7%、粗大粒子は確認されず、異物が1個/300g、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例13
重縮合反応装置の撹拌機を停止せずにテトラ−n−ブトキシチタンを充填した容器を添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.9%、粗大粒子は確認されず、異物が3個/300g、ポリエステルのb値は5と良好であった。
実施例14
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルの代わりに、デカリンジカルボン酸ジメチル25mol%に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.5%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は6と良好であった。
実施例15
スピログリコールの代わりに、イソソルビド10mol%に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示す。本発明のポリエステルはヘイズが0.6%、粗大粒子および異物は確認されず、ポリエステルのb値は6と良好であった。
比較例1
実施例1のポリエステルの重合において、酢酸マンガン四水塩の添加量を0.040重量部(金属原子換算で90ppm)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示すが、酢酸マンガンの添加量が規定の範囲外であったため、重縮合反応が完結せず、重縮合反応を中断し目的のポリエステルを得ることができなかった。
比較例2
実施例1のポリエステルの重合において、酢酸マンガン四水塩の添加量を0.089重量部(金属原子換算で200ppm)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示すが、酢酸マンガンの添加量が規定の範囲外であったため、ポリエステルのヘイズは8.6%、粗大粒子は12個、異物は17個、b値は12と不良であった。
比較例3
実施例1のポリエステルの重合において、テトラ−n−ブトキシチタンの添加量をチタン原子として5ppmとなる量に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示すが、テトラ−n−ブトキシチタンの添加量が規定の範囲外であったため、重縮合反応が完結せず、重縮合反応を中断し目的のポリエステルを得ることができなかった。
比較例4
実施例1のポリエステルの重合において、テトラ−n−ブトキシチタンの添加量をチタン原子として70ppmとなる量に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示すが、テトラ−n−ブトキシチタンの添加量が規定の範囲外であったため、ポリエステルのヘイズは7.1%、粗大粒子は10個、異物は26個、b値は14と不良であった。
比較例5
実施例1のポリエステルの重合において、酢酸マグネシウムの添加量を0.00018重量部(金属原子換算で0.20ppm)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示すが、特定の金属化合物の添加量が規定の範囲外であったため、ポリエステルの異物は1個/300g、b値は6と良好であったが、ヘイズは3.4%、粗大粒子は6個/5000μmと不良であった。
比較例6
実施例1のポリエステルの重合において、酢酸マグネシウムの添加量を0.00882重量部(金属原子換算で10.00ppm)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示すが、特定の金属化合物の添加量が規定の範囲外であったため、ポリエステルの異物は3個/300g、b値は6と良好であったが、ヘイズは4.0%、粗大粒子は6個/5000μmと不良であった。
比較例7
実施例1のポリエステルの重合において、酢酸マグネシウムの添加時期を重縮合反応開始直前(テトラ−n−ブトキシチタン添加後)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示すが、特定の金属化合物をエステル交換反応終了直前までに添加しなかったため、ポリエステルの異物は2個/300g、b値は6と良好であったが、ヘイズは4.2%、粗大粒子は7個/5000μmと不良であった。
比較例8
実施例1のポリエステルの重合において、特定の金属化合物を添加しないように変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表1、2に示すが、特定の金属化合物を添加しなかったため、ポリエステルの異物は2個/300g、b値は6と良好であったが、ヘイズは10.3%、粗大粒子は8個/5000μmと不良であった。
比較例9
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色のクエン酸キレートチタン化合物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを54重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.060重量部(金属原子換算で135ppm)、酢酸マグネシウムを0.00265重量部(金属原子換算で3.00ppm)、水酸化カリウムを0.005重量部をそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。尚、酢酸マンガンと酢酸マグネシウムの仕込みは同時に実施した。次いで内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールを留出した後、トリエチルホスホノアセテートを0.085重量部添加しエステル交換反応を終了した。トリエチルホスホノアセテートを添加した後10分間撹拌して、前記のクエン酸キレートチタン化合物をチタン原子として30ppmとなるように添加した。その後エステル交換反応物を重縮合反応装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重縮合反応を行った。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。
重縮合反応装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重縮合反応装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重縮合反応装置下部のバルブを開けてガット状のポリエステルを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップを得た。
得られたポリエステルの特性を表1、2に示すが、特定の金属化合物を添加しなかったため、ポリエステルのヘイズは2.0%、粗大粒子は4個と不良であり、異物は1個と良好であったが、重縮合触媒としてテトラ−n−ブトキシチタンを使用しなかったため、b値は8と不良であった。
Figure 2014058630
Figure 2014058630

Claims (5)

  1. 脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分と、複素環ジオールを含むジオール成分とを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを添加し、エステル交換反応させた後、重縮合触媒の存在下で重縮合反応してポリエステルを製造するに際して、酢酸マンガンを、得られるポリエステルに対して金属原子換算で120〜170ppm添加し、重縮合触媒としてテトラ−n−ブトキシチタンを、得られるポリエステルに対して金属原子換算で10〜50ppm添加し、エステル交換反応終了までに、アンチモン化合物、マグネシウム化合物、コバルト化合物およびカルシウム化合物から選ばれる、少なくとも一種の金属化合物を、得られるポリエステルに対して金属原子換算の合計で0.25〜6.00ppm添加することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. 脂環族ジカルボン酸がシクロヘキサンジカルボン酸であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
  3. 複素環ジオールがスピログリコールであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
  4. アンチモン化合物、マグネシウム化合物、コバルト化合物およびカルシウム化合物から選ばれる、少なくとも一種を、酢酸マンガンと同時に添加することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  5. テトラ−n−ブトキシチタンを、エステル化反応終了から重縮合反応開始までの間に、重縮合反応系に溶解または溶融可能であり、得られる重合体と実質的に同一成分の重合体からなる容器に充填して、重縮合反応装置の撹拌機を停止した後にテトラ−n−ブトキシチタンを充填した容器を投入し、容器の添加終了後に撹拌を再開する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
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JP2017160325A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 東レ株式会社 ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法
JP2021502427A (ja) * 2017-11-09 2021-01-28 エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド 高耐熱性ポリカーボネートエステルから製造される成形物

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