JP6236946B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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本発明のポリエステルの製造方法は、原料として例えばテレフタル酸ジメチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールを所定のポリマー組成となるように、エステル交換反応器へ仕込む。この際には、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加すれば反応性が良好となる。これらを150℃程度で溶融したのち酢酸マンガンをエステル交換反応触媒として、スピログリコールの分解抑制の点から水酸化カリウム等のアルカリ化合物を添加する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステルの金属元素量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用いて、各元素に対する蛍光X線強度を求め、あらかじめ作成しておいた検量線より求めた。
(2)ポリエステルの溶液ヘイズ
ポリエステル2gをo−クロロフェノール20mlに溶解し、光路長20mmの石英セルおよびヘイズメーター(スガ試験機社製、HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法によって溶液のヘイズ値を測定した。
(3)ポリエステル中の粒子の最大粒子径
チップからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザで処理する。SEMの倍率は、5000倍を選択する。観察箇所を変えて20視野測定を行い、最大粒子径を求めた。
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを63.4重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.060重量部(金属原子換算で135ppm)、水酸化カリウム0.005重量部をそれぞれ計量し、エステル交換反応器に仕込んだ。酢酸マンガンを添加した際のジカルボン酸成分に対する、複素環ジオールを含まないジオール成分のモル比は2.35であった。次いで内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
酢酸マンガンの添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表1、2に示す。実施例2、3においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。実施例4、5においては、酢酸マンガンの添加量を低減したことによりエステル交換反応時間の遅延が見られたが問題ないレベルであり、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。
トリエチルホスホノアセテートの添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表1、2に示す。実施例6〜9においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。
トリエチルホスホノアセテートの添加をエステル交換反応器で実施した後、低重合体を重縮合反応器に以降した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表1、2に示す。実施例10においては、1回目の重合でのポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。リン化合物をエステル交換反応器で添加したことにより、5回目の重合でヘイズおよび最大粒子径の上昇が見られたものの問題ないレベルであった。
装置としてオートクレーブを1基使用して、エステル交換反応および重縮合反応を同一装置で連続して実施した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表1、2に示す。実施例11においては、1回目の重合でのポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。エステル交換反応を実施する装置とリン化合物を添加する装置が同一であることにより、5回目の重合でヘイズおよび最大粒子径の上昇が見られたものの問題ないレベルであった。
トリエチルホスホノアセテートを添加する際の温度を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表1、2に示す。実施例12〜15においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。
エステル交換反応器に仕込むエチレングリコールの量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表1、2に示す。実施例16はリン化合物を添加する際のモル比が1.5および1.6となったことにより、若干ヘイズが高く、最大粒子径が大きくなったものの問題ないレベルであった。実施例18、19においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。また、エステル交換反応時のジカルボン酸成分に対する、複素環ジオールを含まないジオール成分のモル比が2.3および1.9となったことによりエステル交換反応の若干の遅延が見られ、リン化合物を添加する際のモル比が1.4および1.0となったことにより、エステル交換反応終了後、エチレングリコールの留出を完了させるまでの時間に若干の遅延が見られたものの、いずれも問題ないレベルであった。実施例20〜22においては、酢酸マンガンを添加する際とリン化合物を添加する際のジカルボン酸成分に対する、複素環ジオールを含まないジオール成分のモル比の差が0.7、0.4および0.2であることから、エステル交換反応時のジカルボン酸成分に対する、複素環ジオールを含まないジオール成分のモル比が低くなったことにより、エステル交換反応に若干の遅延が見られたものの問題ないレベルであった。
テトラ−n−ブトキシチタンの添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。実施例23〜26においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。
トリエチルホスホノアセテートを添加してからテトラ−n−ブトキシチタンを添加するまでの間隔を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。実施例27、28においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。実施例29、30においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。また、リン化合物を添加してからチタン化合物を添加するまでの間隔を15分および5分としたことにより、重縮合反応が完了するまでの時間に若干の遅延が見られたものの問題ないレベルであった。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルの代わりに、デカリンジカルボン酸ジメチル20モル%に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。実施例31においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。
スピログリコールの代わりに、イソソルビド15モル%に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表2に示す。実施例32においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。
リン化合物の種類を表3に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。結果を表4に示す。実施例24、25においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。
テトラ−n−ブトキシチタンの代わりに、テトラ−i−プロポキシチタンに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。実施例35においては、ポリエステルのヘイズおよび最大粒子径は良好であった。
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色のクエン酸キレートチタン化合物(Ti含有量3.85重量%)であるチタン触媒Aを得た。
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の乳酸キレートチタン化合物(Ti含有量6.54重量%)であるチタン触媒Bを得た。
酢酸マンガンの添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。比較例1においては、酢酸マンガンの添加量が規定の範囲を超えたため、ポリエステルのヘイズが高く、最大粒子径が大きくなり不良であった。比較例2においては、酢酸マンガンの添加量が規定の範囲を下回ったため、エステル交換反応が完結せず、反応を中断し目的のポリエステルを得ることができなかった。
トリエチルホスホノアセテートの添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。比較例3においては、リン化合物の添加量が規定の範囲を超えたため、重縮合反応の遅延が発生し、ポリエステルのヘイズが高く、最大粒子径が大きくなり不良であった。比較例4においては、リン化合物の添加量が規定の範囲を下回ったため、ポリエステルのゲル化が発生し、目的のポリエステルを得ることができなかった。
エステル交換反応器に仕込むエチレングリコールの量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。比較例5においては、リン化合物を添加する際のジカルボン酸成分に対する、複素環ジオールを含まないジオール成分のモル比が規定の範囲を超えたため、ポリエステルのヘイズが高く、最大粒子径が大きくなり不良であった。比較例6においては、リン化合物を添加する際のジカルボン酸成分に対する、複素環ジオールを含まないジオール成分のモル比が規定の範囲を下回ったため、エステル交換反応終了からリン化合物を添加するまでの間隔が長期化することでポリエステルのゲル化が発生し、目的のポリエステルを得ることができなかった。
テトラ−n−ブトキシチタンの添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。比較例7においては、チタン化合物の添加量が規定の範囲を超えたため、ポリエステルのヘイズが高く、最大粒子径が大きくなり不良であった。比較例8においては、チタン化合物の添加量が規定の範囲を下回ったため、重縮合反応が完結せず、反応を中断し目的のポリエステルを得ることができなかった。
トリエチルホスホノアセテートの添加を、重縮合反応開始から30分経過した時点に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。比較例9においては、チタン化合物を添加した後にリン化合物を添加したため、重縮合反応が完結せず、反応を中断し目的のポリエステルを得ることができなかった。
エステル交換反応器に仕込むエチレングリコールの量をジカルボン酸成分に対する、複素環ジオールを含まないジオール成分のモル比が3.2となるように変更し、かつトリエチルホスホノアセテートの添加をエステル交換反応器で実施した後、低重合体を重縮合反応器に以降した以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。その条件および結果を表3、4に示す。比較例10においては、リン化合物を添加する際のジカルボン酸成分に対する、複素環ジオールを含まないジオール成分のモル比が規定の範囲を超えたため、1回目の重合でのポリエステルのヘイズが高く、最大粒子径が大きくなり不良であった。更に、リン化合物をエステル交換反応器で添加したため、5回目の重合でヘイズおよび最大粒子径の大幅な上昇が見られ不良であった。
Claims (3)
- 脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分と、複素環ジオールを含むジオール成分とを原料とするポリエステルの製造法において、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、得られるポリエステルに対して金属原子換算で100〜200ppm添加し、エステル交換反応させた後、低重合体へリン化合物を、得られるポリエステルに対して原子換算で75〜150ppm添加し、更にチタン化合物を、得られるポリエステルに対して金属原子換算で10〜50ppm添加した後に重縮合反応させるに際して、リン化合物を添加する際の低重合体のジカルボン酸成分に対する、複素環ジオールを含まないジオール成分のモル比が1.0〜1.5であることを特徴とするポリエステルの製造方法。
- 酢酸マンガンを添加する際の複素環ジオールを含まないジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比が、リン化合物を添加する際の複素環ジオールを含まないジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比より0.4以上高いことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
- エステル交換反応器および重縮合反応器を用いてポリエステルを製造し、低重合体をエステル交換反応器から重縮合反応器へ移行した後であり、減圧、昇温による重縮合反応を開始する前にリン化合物を添加することを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
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