JP2010121080A - ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 低屈折率、熱安定性に優れたポリエステルを効率よくポリエステルを製造する方法であって、それを多層積層フィルムとした際に、光弾性係数が小さく、光反射性に優れたフィルムを提供する。
【解決手段】 ジカルボン酸構成単位に少なくとも脂環族ジカルボン酸アルキルエステルおよびジオール構成単位に少なくとも脂環族ジオールを用い、エステル交換反応を経た後の反応物をステル交換反応容器から重縮合反応容器へ移行し重縮合してなるポリエステルを製造する方法において、非リン系酸化防止剤およびアルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として5〜500ppm添加してエステル交換反応を行い、該反応終了から重縮合反応前の工程において、リン化合物、次いでチタン化合物を添加し、さらに全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が1.65〜2.3の低重合体を重縮合反応容器にて昇温しながら、60〜180分かけて減圧して重縮合反応とすることを特徴とするポリエステルの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 ジカルボン酸構成単位に少なくとも脂環族ジカルボン酸アルキルエステルおよびジオール構成単位に少なくとも脂環族ジオールを用い、エステル交換反応を経た後の反応物をステル交換反応容器から重縮合反応容器へ移行し重縮合してなるポリエステルを製造する方法において、非リン系酸化防止剤およびアルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として5〜500ppm添加してエステル交換反応を行い、該反応終了から重縮合反応前の工程において、リン化合物、次いでチタン化合物を添加し、さらに全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が1.65〜2.3の低重合体を重縮合反応容器にて昇温しながら、60〜180分かけて減圧して重縮合反応とすることを特徴とするポリエステルの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、脂環族成分含有ポリエステルの生産安定性および熱安定性に優れたポリエステルの製造方法である。詳しくは、脂環族成分の分解抑制を目的に、反応工程における添加物・触媒さらには重縮合反応条件を選択することにより、脂環族成分の分解を抑制し、生産安定性および熱安定性に優れたポリエステルの製造方法である。また、該ポリエステルは光学等方性や光反射性に優れた光学ポリエステルフィルムを提供することができる。
脂環族成分を含有するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)などの芳香族ポリエステルとは異なった光学特性、結晶化特性、機械特性を有しており、該ポリエステル単独、または芳香族ポリエステルと組み合わせて使用される。
例えば、特許文献1では、ポリエチレンナフタレート(以下PEN)に共重合ポリエステル樹脂組成物を積層した光反射性フィルムが、特許文献2ではポリエステル樹脂組成物にナイロン樹脂組成物やアクリル樹脂組成物を積層した光反射性繊維が、特許文献3ではPENと共重合ポリエステル樹脂組成物を積層した多層光学フィルムが、特許文献4では透明性に優れたPEN共重合ポリエステル樹脂組成物からなる写真用フィルムが提案されている。
しかしながら、特許文献1、3に記載のポリエステル樹脂組成物はTgが異なるポリエステル同士を積層しているために加工性に劣り、特許文献2のポリマーの組み合わせはポリマー同士の接着性が劣るために積層フィルムに転用することは不適当であり、さらに特許文献1、3、4に記載のポリエステルは光弾性係数が大きく、液晶ディスプレイ等には使用することができない。
また、特許文献5、6には、耐熱性を向上させるために、環状アセタール骨格を有するジカルボン酸、ジオール等を共重合することが記載されており、例えば剛直な分子鎖を有するスピログリコール等を共重合することでガラス転移点を高くすることが例示されている。しかし、仮に、該樹脂組成物を多層積層フィルムに使用した場合も、Tgが通常のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して高いためフィルム化する際にそれぞれ結晶性が異なることから積層ムラの発生等、加工性に劣ることが予想される。また、スピログリコールだけでは、十分に屈折率を下げることができず、多層積層フィルムとした際に、反射率が低くなることが予想される。
特許文献7では、環状アセタール骨格を有したポリエステル樹脂製造後にリン系酸化防止剤等の酸化防止剤をブレンド・混練により配合したポリエステル樹脂を得る製造方法が示されている。しかしながら、ポリエステル樹脂製造中における熱劣化には対応できず効果が不十分である。
特許文献8では、反応性、耐熱性を向上させるために、重縮合触媒としてチタン化合物を用いることで、安定的に製造するといった方法が提案されている。しかしながら、該製造方法では環状アセタール骨格を有するジオールを効率良く反応できず、高分子化工程である重縮合反応において環状アセタール骨格を有するジーオル成分が架橋する傾向や十分な耐熱性が得られない。
特開2000−141567号公報(第2項)
WO98/46815号パンフレット(第2〜5項)
特表平9−506837号公報(第2〜6項)
特開平6−295014号公報(第2項)
特開2005−314643号公報
特開2004−67829号公報
特開2004−67830号公報
特開2008−63417号公報
本発明の目的は、上記した従来の課題を解決し、脂環族成分含有ポリエステルの生産安定性および得られるポリエステルが熱安定性に優れたポリエステルの製造方法であり、かつ光弾性係数が低く、さらに積層フィルムとした際に優れた反射性を示すポリエステルの製造方法およびそれを用いたポリエステルフィルムを提供することにある。
前記した本発明の目的は、ジカルボン酸構成単位に少なくとも脂環族ジカルボン酸アルキルエステルおよびジオール構成単位に少なくとも脂環族ジオールを用い、エステル交換反応を経た後の反応物をエステル交換反応容器から重縮合反応容器へ移行し重縮合して、下記特性(1)〜(3)を満足するポリエステルを製造する方法において、非リン系酸化防止剤およびアルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として5〜500ppm添加してエステル交換反応を行い、該反応終了から重縮合反応前の工程において、リン化合物、次いでチタン化合物を添加し、さらに全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が1.65〜2.3の低重合体を重縮合反応容器にて昇温しながら、60〜180分かけて減圧して重縮合反応することを特徴とするポリエステルの製造方法で達成できる。
示差走査熱量測定によるガラス転移点温度:65〜90℃・・・(1)
ナトリウムD線での屈折率:1.500〜1.570・・・(2)
ゲル化率:窒素下5%以下・・・(3)
(ゲル化率とは、ポリエステル組成物を窒素下、285℃×2.5時間の条件で加熱処理した後のオルソ−クロロフェノール不溶分量の全体に対する割合である。)
また、本発明のポリエステルの製造方法で得られたポリエステルとPETとを交互に積層する積層ポリエステルフィルムにより、光反射率90%以上の特性が達成される。
ナトリウムD線での屈折率:1.500〜1.570・・・(2)
ゲル化率:窒素下5%以下・・・(3)
(ゲル化率とは、ポリエステル組成物を窒素下、285℃×2.5時間の条件で加熱処理した後のオルソ−クロロフェノール不溶分量の全体に対する割合である。)
また、本発明のポリエステルの製造方法で得られたポリエステルとPETとを交互に積層する積層ポリエステルフィルムにより、光反射率90%以上の特性が達成される。
本発明によれば、脂環族成分の化合物を共重合するに際し、非リン系酸化防止剤およびアルカリ金属存在下でエステル交換反応を行うことで、脂環族成分の分解を抑制し、エステル交換反応終了後にリン化合物を添加することによりポリエステルの耐熱性が向上し、またチタン化合物は反応活性が高いため脂環族成分の反応性が向上し、さらに特定の重縮合反応条件を採用することで、脂環族成分の分解を抑制し、生産安定性および熱安定性に優れたポリエステルを製造することができる。
また、本発明により得られたポリエステルは、液晶ディスプレイに好適な低光弾性係数を有し、光反射性に優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明のポリエステルの製造方法は、ジカルボン酸構成単位に少なくとも脂環族ジカルボン酸アルキルエステルおよびジオール構成単位に少なくとも脂環族ジオールを用い、エステル交換反応を経た後の反応物をエステル交換反応容器から重縮合反応容器へ移行し重縮合して、下記特性(1)〜(3)を満足するポリエステルを製造する方法において、非リン系酸化防止剤およびアルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として5〜500ppm添加してエステル交換反応を行い、該反応終了から重縮合反応前の工程において、リン化合物、次いでチタン化合物を添加し、さらに全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が1.65〜2.3の低重合体を重縮合反応容器にて昇温しながら、60〜180分かけて減圧して重縮合反応することを特徴とするポリエステルの製造方法である。
示差走査熱量測定によるガラス転移点温度:65〜90℃・・・(1)
ナトリウムD線での屈折率:1.500〜1.570・・・(2)
ゲル化率:窒素下5%以下・・・(3)
(ゲル化率とは、ポリエステル組成物を窒素下、285℃×2.5時間の条件で加熱処理した後のオルソ−クロロフェノール不溶分量の全体に対する割合である。)
本発明のポリエステルの製造方法により得られたポリエステルは、ガラス転移点温度(以下、Tg)が65〜90℃の範囲にあることが必要である。Tgが65℃未満の場合、耐熱性が不足するためにポリエステルまたはその成形体の光学特性が経時変化しやすく、またPET等と積層して製膜する際には積層樹脂間のTg差が大きくなるために積層ムラ等が発生し、製膜安定性が損なわれる。積層フィルムとする場合、本発明のポリエステルのTgを積層ポリマーのTgと合致させることが好ましく、積層ポリマーのTg(Tg1)と本発明のポリエステルのTg(Tg2)の差(|Tg1−Tg2|)が10℃以内、さらには5℃以内であることが好ましい。一方、Tgが90℃を超える場合には、PET等を積層する際にTg差が大きくなりすぎるために、上記同様、積層ムラ等発生し、製膜安定性が損なわれ、またポリエステルフィルムの屈折率を低くすることが困難となる。よって、本発明のポリエステルのTgは、70〜87℃の範囲が好ましく、さらには75〜85℃の範囲が好ましい。
ナトリウムD線での屈折率:1.500〜1.570・・・(2)
ゲル化率:窒素下5%以下・・・(3)
(ゲル化率とは、ポリエステル組成物を窒素下、285℃×2.5時間の条件で加熱処理した後のオルソ−クロロフェノール不溶分量の全体に対する割合である。)
本発明のポリエステルの製造方法により得られたポリエステルは、ガラス転移点温度(以下、Tg)が65〜90℃の範囲にあることが必要である。Tgが65℃未満の場合、耐熱性が不足するためにポリエステルまたはその成形体の光学特性が経時変化しやすく、またPET等と積層して製膜する際には積層樹脂間のTg差が大きくなるために積層ムラ等が発生し、製膜安定性が損なわれる。積層フィルムとする場合、本発明のポリエステルのTgを積層ポリマーのTgと合致させることが好ましく、積層ポリマーのTg(Tg1)と本発明のポリエステルのTg(Tg2)の差(|Tg1−Tg2|)が10℃以内、さらには5℃以内であることが好ましい。一方、Tgが90℃を超える場合には、PET等を積層する際にTg差が大きくなりすぎるために、上記同様、積層ムラ等発生し、製膜安定性が損なわれ、またポリエステルフィルムの屈折率を低くすることが困難となる。よって、本発明のポリエステルのTgは、70〜87℃の範囲が好ましく、さらには75〜85℃の範囲が好ましい。
本発明のポリエステルの屈折率は、1.500〜1.570の範囲であることが必要である。屈折率を1.500未満とすることはポリエステル樹脂では困難であり、1.570を超える場合には、積層ポリマーとの屈折率差が小さくなるため、得られた積層フィルムの光反射性が小さくなる。本発明のポリエステルの屈折率は、1.510〜1.560の範囲であることが好ましい。なお、本発明における屈折率は、23℃の条件にてナトリウムD線を用いて測定した屈折率を指す。
本発明のポリエステルの製造方法では、前記した特性を与えるためには、ポリエステルはジカルボン酸構成単位に少なくとも脂環族ジカルボン酸アルキルエステルおよびジオール構成単位に脂環族ジオールを用いることが必要である。ポリエステルに含まれる芳香環は、Tgを高める効果があるが、同時に屈折率を高め、光弾性係数を高める効果がある。
光弾性係数が大きい場合、フィルムに応力が作用した際に位相差が大きく変化するため、液晶ディスプレイ用途のフィルムには不適当である。
光弾性係数が大きい場合、フィルムに応力が作用した際に位相差が大きく変化するため、液晶ディスプレイ用途のフィルムには不適当である。
そこで、本発明のポリエステルは、この芳香族ジカルボン酸成分の一部を脂環族ジカルボン酸成分やジオール成分の一部を脂環族ジオール成分で置換することにより、屈折率や光弾性係数を低減させている。
本発明における脂環族ジカルボン酸アルキルエステルとしては、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルやデカリンジカルボン酸ジメチル等を挙げることができる。特に、入手の容易性や重縮合反応性の観点からシクロヘキサンジカルボン酸ジメチルが好ましい。
なお、シクロヘキサンジカルボン酸アルキルエステルなどの脂環族成分には立体異性体として、シス体、トランス体が存在するが、本発明ではトランス体比率が40%以下であることが好ましい。トランス体比率が高いと光弾性係数が大きくなるため劣る傾向にある。また、トランス体は、シス体に比べ、融点が高いため、トランス体比率が高くなると、室温程度で保管、または、輸送中等に、容易に凝固し、沈降してしまい、不均一となり反応性が悪くなるだけでなく、取り扱い上においても作業性が悪くなる。よって、トランス体比率は、好ましくは、35%以下、より好ましくは、30%以下である。
本発明における脂環族ジオールとしては、スピログリコールやイソソルビドが好ましく、特に得られるポリエステルの色調の観点からスピログリコールが好ましい。ここで、スピログリコールとは、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを指す。
本発明において、例えばPETの場合、テレフタル酸成分(芳香環成分)をシクロヘキサンジカルボン酸成分等で置換するとTgが低下する。一方、エチレングリコール成分をスピログリコール成分やイソソルビド成分など脂環族ジオール成分に置換することでTgが上昇し、結果として本発明の積層フィルムに用いる通常のPETと同程度のTgに調整することができる。Tgを上昇させる効果は、スピログリコール成分やイソソルビド成分において顕著である。
本発明のポリエステルは、屈折率や光弾性係数を低下させるために、ポリエステル1kg中に含有される芳香環モル数を4.8モル以下とすることが好ましい。4.8モルを超える場合には、屈折率や光弾性係数が増大する傾向にあるため好ましくない。なお、本発明における芳香環モル数とはベンゼン環モル数を基本単位としている。本発明における定義をPETとPENを例にして説明する。
PETの場合、基本繰り返し単位の分子量は192であるため、ポリエステル1kg当たりの基本繰り返し単位数は5.2となる。基本繰り返し単位中にテレフタル酸成分(ベンゼン環1個相当)は1モル含まれるため、PETの芳香環モル数は5.2と計算される。一方、PENの場合、基本繰り返し単位の分子量は242であり、ポリエステル1kg当たりの基本繰り返し単位数は4.1である。基本繰り返し単位中にナフタレンジカルボン酸成分は1モル含まれるが、ナフタレン環はベンゼン環2個に相当するため、PENの芳香環モル数は8.2モルと計算する。
本発明のポリエステルは、少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含むが、その他ジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分から選択される。少なくとも、一種のジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して20〜95モル%添加することが好ましい。またグリコール成分については、エチレングリコール成分をグリコール成分として20〜95モル%添加することが好ましい。前記した芳香族ジカルボン酸成分が20モル%未満の場合、Tgを65℃以上にすることが難しく、例えばPETやPENと積層する際にはこれらの樹脂との層間接着性が悪化する傾向にある。同様にエチレングリコール成分が20モル%未満の場合、PETやPENと積層した際、これらの樹脂との層間接着性が悪化してくる。一方、芳香族ジカルボン酸成分が95モル%を超える場合、屈折率や光弾性係数を低減することが難しくなり、エチレングリコール成分が95モル%を超える場合にはTgを65℃以上にすることが難しくなる。
本発明のポリエステルにおいて、脂環族ジカルボン酸アルキルエステル、脂環族ジオールの添加量は、前記記載よりそれぞれ5〜80モル%の範囲が好ましく、さらに8〜50モル%が好ましい。
本発明のポリエステルは、窒素下熱処理後のゲル化率が5%以下であることが必要であり、好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下である。特に、スピログリコールを共重合したポリエステルは、熱により分解しゲル化する特徴がある。
よって、窒素下熱処理後のゲル化率が5%を越えた場合、ポリエステルが著しくゲル化しやすいポリマーであることを意味し、例えば、重縮合後、ストランド状に吐出する際に、形状がフシ糸状となりカッターでカッティングできなくなることや製膜する際のフィルター濾過工程で多量のゲルにより濾圧が異常に上昇したり、積層フィルムの表面欠点が増加したり、多層積層フィルムの積層厚みが変動する等の問題を生じることがある。
本発明のポリエステルの製造方法では、脂環族成分、特にスピログリコールは特に酸性下や水分含有下において加熱すると分解が促進しやすく官能基が増加する傾向となり、反応中に分子量分布が広がり、ゲル化が促進することからエステル交換反応から重縮合反応を進めることが必要である。
本発明のポリエステルの製造においては、エステル交換反応容器にポリエステル原料成分と同時に非リン系酸化防止剤とアルカリ金属化合物を添加することが必要である。非リン系酸化防止剤とアルカリ金属化合物添加により反応系内の酸化防止とアルカリ化により、スピログリコールの分解を抑制することができ、反応系内のゲル化、吐出安定性などの生産安定性に優れたものとなる。
エステル交換反応前に添加する非リン系酸化防止剤量は、ポリエステルに対して0.01〜1.0重量%が好ましい。非リン系酸化防止剤の添加量が1.0重量%を超えると重縮合反応時に泡立ちが顕在化し液面上昇による減圧回路の閉塞を招く恐れが発生したり、得られたポリエステルの着色が顕著となり、また熱安定性に劣る傾向となり好ましくない。一方、0.01重量%未満ではゲル化の促進、吐出ガットに太細が発生、さらに黒色異物が発生する傾向にあり、また得られたポリエステルを成形加工した際にゲル化の発生により成形不良や物性低下をまねき好ましくない。よって、非リン系酸化防止剤の添加量は、好ましくは0.03〜0.5重量%、より好ましくは0.05〜0.3重量%である。
本発明に用いる非リン系酸化防止剤は、特に限定されるものではないが、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤または芳香族アミン系酸化防止剤を挙げることができる。本発明のポリエステルの製造においては、エステル交換反応から重縮合反応における反応系を採用するためポリエステルとの親和性、さらに得られるポリエステルの特性や熱安定性および色調等を悪化させることの少ない非リン系酸化防止剤を用いることが大切であり、中でもフェノール系酸化防止剤が好適である。
フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。また、2種類以上のフェノール系酸化防止剤を併用してもよい。
中でも、ポリエステルとの親和性、酸化劣化抑制効果の観点から、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−〔5.5〕ウンデカンが好ましい。
さらには、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]より好ましい。
また、エステル交換反応前に添加するアルカリ金属化合物のアルカリ金属元素量は、ポリエステルに対して5〜500ppm添加することが必要である。アルカリ金属元素の添加量が、500ppmを越えると著しく重縮合反応性に劣り、ポリエステルが濁化傾向にあり、さらにエステル結合の分解が起こり分子量の低下やゲル化により機械的物性の低下が起こり好ましくない。一方、5ppm未満ではゲル化の促進、吐出ガットに太細が発生、さらに黒色異物が発生する傾向にあり、また得られたポリエステルを成形加工する際に分解やゲル化の発生により成形不良や物性低下をまねき好ましくない。よって、アルカリ金属元素としての添加量は、好ましくは10〜300ppm、より好ましくは20〜200ppmである。
本発明に用いる、アルカリ金属元素は、特に限定されるものではないが、カリウム、ナトリウムおよびリチウムを挙げることができ、2種以上を併用してもよい。アルカリ金属化合物としては、水酸化物、酢酸塩およびリン酸塩が好ましい。また、ナトリウム、リチウム化合物は、ポリエステル樹脂を黄色く着色し易い傾向にあり、リン酸塩はポリエステル樹脂を若干濁化させる傾向にある。中でも、着色、濁化抑制の点からカリウムの水酸化物が好適である。
また、本発明のポリエステルの製造方法における、エステル交換反応触媒としてアルカリ土類金属、Zn、CoおよびMnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物を金属元素としてポリエステルに対して30〜300ppm添加することが好ましい。
なお、アルカリ土類金属のCaは異物を形成し易く、Mgがよい。Zn、Co、MnではMnが異物や色調の点から好ましい。この中でも、MgとMnが樹脂の透明性の観点から好ましい。また、該金属を2種類以上併用してもよい。
前記した金属化合物は、ポリエステルに可溶なものが好ましく、水酸化物や塩化物、酢酸塩が好ましく、特に酢酸塩が好ましい。
本発明のポリエステルの製造方法において、ゲル化や黒色異物抑制のための熱安定性の観点から、エステル交換反応終了から重縮合反応前の工程において、リン化合物を添加することが必要である。リン化合物の添加量とは、着色防止剤として用いる5価のリン化合物中のリン元素量と3価のリン化合物のリン元素量の和で、ポリエステルに対して、リン元素として10〜500ppm添加することが好ましい。リン元素量が、500ppmを越えると重縮合反応性に劣ることや、ゲル化や黒色異物抑制に対する顕著な効果が得られず、経済的にも無駄である。一方、10ppm未満では反応時のゲル化促進、吐出ガットに太細が発生する傾向にあり、さらには熱安定性に対する効果が得られないため黒色異物が発生する傾向にあり好ましくない。また得られたポリエステルを成形加工した際に耐熱安定性やゲル化の発生により成形不良や物性低下をまねき好ましくない。
リン化合物中のリン元素の添加量は、好ましくは30〜400ppm、より好ましくは70〜300ppmである。
前記したリン化合物については、特に限定されないが、リン化合物としては、例えばリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系化合物等を挙げることができ、これらのエステル化合物が異物形成抑制の観点から好ましい。
着色防止剤として用いる5価のリン化合物としては、リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、のいずれか1種または2種であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等のホスホン酸系、次亜リン酸、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸等のホスフィン酸系、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系が挙げられ、これらのいずれか1種または2種であることが好ましい。特に熱安定性及び色調改善の観点から、リン酸系及び/またはホスホン酸系であることが好ましい。中でも、リン酸トリメチル、ジエチルホスホノ酢酸エチルが好ましい。
3価のリン化合物の添加量は、リン化合物中のリン元素量としてポリエステルに対して0〜300ppm添加することが好ましく、より好ましくは10〜200ppm、さらに好ましくは20〜100ppmである。
3価のリン化合物とは、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、ホスフィナイト系化合物、ホスフィン系化合物およびそれらのアルキルエステルまたはアリールエステルを挙げることができ、これら3価のリン化合物は、副反応により発生する過酸化物(R−O−OH:副反応をさらに促進する)をアルコール(R−OH)に変換し、自らは5価のリン化合物に変わることで、酸化防止剤としての効果やポリエステルの副反応を抑制する効果がある。
また、3価のリン化合物として具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(4−モノノニルフェニル)ホスファイト、トリ(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ビス[2,4−(ビス1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、3,9―ビス(2,4−ジクミルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、フェニル−ネオペンチレングリコール−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4―ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラ(C12〜C15アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
リン化合物の添加に次いで、チタン化合物を添加する必要がある。チタン化合物添加時期をリン化合物添加前の工程で添加すると、リン化合物によってチタンの反応活性が失われる可能性がある。また、リン化合物添加直後ではリン化合物とエステル交換反応触媒との反応が十分に行われず未反応のリン化合物がチタン化合物と反応する可能性があるため好ましくない。添加する間の時間としては、10〜60分程度が好ましい。
また、チタン化合物は低温反応活性が高いため脂環族ジオールであるスピログリコール等の反応性が向上するため、反応系外へ飛散する未反応のスピログリコールが抑制され生産安定性が得られる。さらに、ゲル化や黒色異物抑制のための熱安定性の観点から、チタン元素としてポリエステルに対して3〜100ppm添加することが好ましい。チタン元素の添加量が、100ppmを越えると著しく重縮合反応性高くなりゲル化や黒色異物化が促進され、さらに色調が悪化し好ましくない。一方、3ppm未満の場合は重縮合活性が十分に得られないため重縮合時間の延長や十分な高重合度のポリエステルが得られないため好ましくない。また、ゲル化が促進されるため好ましくない。よって、チタン元素の添加量は好ましくは5〜80ppm、より好ましくは8〜50pmである。
前記したチタン化合物ついては、特に限定されないが、チタン化合物の置換基がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基、水酸基の少なくとも1種であるチタン化合物が好ましく用いられる。
具体的なアルコキシ基には、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系官能基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系官能基、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系官能基が挙げられ、テトラブトキシド、乳酸、クエン酸が好ましく、特に乳酸、クエン酸が好ましい。また、フェノキシ基には、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。また、アシレート基には、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系官能基、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸系官能基が挙げられ、特に脂肪族アシレート基が好ましい。また、アミノ基には、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
本発明のポリエステルの製造方法において、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が1.65〜2.3の低重合体を重縮合反応容器にて昇温しながら、60〜180分かけて減圧し、重縮合反応することが必要である。60〜180分かけて減圧しとは、常圧〜133Pa以下までに要する時間であり、減圧速度と称す。1.65未満のモル比で減圧速度60分未満と急速な減圧速度により重縮合反応すると、脱エチレングリコールが急速に進むため重縮合反応時にゲル化が促進する傾向となり好ましくない。一方、モル比2.3を超え、減圧速度60分未満と急速な減圧速度で重縮合反応を進めると脱エチレングリコール量が多いため重縮合反応時に低重合体が反応の減圧回路に飛散する突沸といった現象が発生し好ましくない。また、減圧速度180分を超えると重縮合反応時間が延長しゲル化が起こったり、反応中に生成するジエチレングリコールの生成量が多くなりポリエステルの特性や色調を悪化させたり、熱安定性に劣るものとなる。好ましい、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が1.7〜2.1の低重合体を重縮合反応容器にて昇温しながら、80〜160分かけて減圧する。より好ましくは、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が1.8〜2.0の低重合体を重縮合反応容器にて昇温しながら、100〜140分かけて減圧する。
昇温とは、重縮合反応初期温度から重縮合温度までに要する時間であり、重縮合時における低重合体の飛散を考慮し、60〜180分かけて昇温することが好ましい。
また、ゲル化や黒色異物化抑制の観点から、重縮合温度を270〜290℃のできるだけ低温で実施することが好ましい。重縮合温度とは、225〜240℃から徐々に昇温し、ある目標の温度に到達した後は一定の温度で重縮合するため、その最終の一定温度のことである。290℃より高い場合は、重縮合反応は促進されるものの、熱劣化によるゲル化の促進や黒色異物が発生する傾向にあり好ましくない。一方、270℃より低い場合は、十分な重縮合活性が得られず、重縮合時間が遅延することで同様にゲル化が促進されるため好ましくない。従って、重縮合温度は、好ましくは、270〜288℃、より好ましくは275〜285℃である。
かくして得られた本発明のポリエステルは、固有粘度が0.60〜1.0の範囲であることが好ましい。固有粘度が、0.60未満の場合、ポリエステルが脆くなるために好ましくなく、固有粘度が1.0を超える場合にはその溶融粘度が高くなるため、精度の良い積層が困難になる。
本発明のポリエステルは、非晶性であることが好ましく、また前記した共重合範囲では実質的に非晶性である。本発明における非晶性とは、DSC測定において融解熱量が4J/g以下であることをいう。このような非晶性のポリエステル樹脂組成物はフィルム製造においてその光学特性が変化しにくく、好ましい。
本発明の製造方法により得られた、非晶性ポリエステルは乾燥によって熱融着し、塊を作りやすい傾向がある。そこで、結晶性ポリエステルを5〜50重量%含ませることで乾燥による塊形成を抑制することができる。そのような結晶性ポリエステルとしては、示差走査熱量測定における結晶融解熱量が4J/g以上であることが好ましい。
結晶性ポリエステルを含ませる方法としては、ベント式押出機による溶融混練が好ましい。すなわち、結晶性ポリエステルと本発明のポリエステルをベント式押出機で溶融混練してペレットを得る方法である。結晶性ポリエステルとしてはPETやポリブチレンテレフタレート、PENやこれらの共重合体を挙げることができ、中でもPETが一番好ましい。
本発明のポリエステルに含有される芳香族ジカルボン酸成分は、前記した種類から少なくとも選択されるが、屈折率や光弾性係数の観点からテレフタル酸成分やイソフタル酸成分が好ましく、これらは、同時に使用してもかまない。特にテレフタル酸成分は、その他ポリエステルとの接着性等の観点から主に使用することが好ましい。その他、ジカルボン酸成分としては、特性の許す限り従来公知のものを共重合しても構わない、グリコール成分についても同様である。このような成分としては、例えばアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸やそのエステル、4,4’−ビスフェニレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸やそのエステル、ジエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコール成分を挙げることができる。さらに、無機粒子、有機粒子、染料、顔料、帯電防止剤、ワックス等を含有させても構わない。
本発明のポリエステルフィルムは、前記した本発明のポリエステルを含むものであり、ゲル化率が低く、光弾性係数、屈折率が小さく、液晶ディスプレイ用途等に好適に使用できる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、屈折率の異なるポリエステルと積層することで優れた光反射性を発揮するものである。本発明の積層ポリエステルフィルムは、本発明のポリエステルを少なくとも1層含むポリエステルフィルムであるが、優れた光反射性を得るためには、本発明のポリエステルとPET樹脂とを交互に積層することが好ましい。
本発明のポリエステルは、屈折率がPET樹脂よりも低く、非晶性であるためにフィルムを延伸しても屈折率はほとんど変化しない。そのため、本発明のポリエステルとPET層との界面で光を効率良く反射するのである。
光反射率は、高い方がもちろん好ましいが、90%以上であれば光反射性フィルムとして好ましい。優れた光反射性を得るためには、総積層数を250層以上とすることが好ましい。
このような積層フィルムを得る方法は、2台以上の押出機を用いて、異なる流路から送り出されたポリマーを多層積層装置に送り込むことで実現する。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を挙げることができる。特に積層厚みの精度から、マルチマニホールドダイやフィードブロックを用いることが好ましい。このようにして積層されたポリエステルは口金からシート状に押し出され、冷却ドラムなどによって冷却され、未延伸シートを得ることができる。厚みムラや表面状態の良好な未延伸シートを得るには、静電印加法によることが好ましい。
得られた未延伸シートは、次いで一軸または二軸延伸することができる。二軸延伸では同時二軸延伸や逐次二軸延伸を行うことができる。
次に本発明のポリエステルの製造方法およびフィルムの製造方法について詳しく説明する。
本発明のポリエステルは、脂環族ジオール成分であるスピログリコールは酸性下や水分含有下において加熱すると分解されやすいため、非リン系酸化防止剤およびアルカリ金属化合物含有下でジカルボン酸アルキルエステルとジオールとをエステル交換反応し、エステル交換反応によって得られた低重縮合体にリン化合物を添加し、次いでチタン化合物を添加した後、エステル交換反応容器から重縮合反応容器へ移行し、低重縮合体を特定重縮合反応条件下で重縮合する方法を用いる。
原料として、例えばテレフタル酸ジメチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールを所定のポリエステル組成となるようにエステル交換反応容器へ仕込む。この際、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比がして1.8〜2.3添加することによりエステル交換反応性が良好となる。
前記原料からなるポリエステルに対して、酢酸マンガン・四水塩等の金属元素含有金属化合物をエステル交換反応触媒として仕込み、またカリウム元素を含有した水酸化物である水酸化カリウムのアルカリ金属元素化合物および非リン系酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤を添加し、150℃程度でモノマー成分は均一な溶融液体となる。次いで、反応缶内を230℃まで4時間かけて徐々に昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施する。このようにして、エステル交換反応が終了し、エステル交換反応触媒の失活剤としてリン酸トリメチルやジエチルホスホノ酢酸エチルなどの5価のリン化合物および/またはビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどの3価のリン化合物を添加する。次いで、余剰のエチレングリコールを留出させた後、クエン酸キレートチタン化合物やテトラ−n−ブチルチタネート等のチタン化合物を重縮合反応触媒として添加する。そして、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が1.65〜2.3となるよう必要に応じて、余剰のエチレングリコールを留出させたり、またはエチレングリコールを添加し目標モル比の低重合体を得る。その後、エステル交換反応容器から低重縮合体を235℃の重縮合反応容器へ移行する。その後、昇温と同時に減圧を開始し、昇温は235〜285℃まで90分かけて徐々に昇温し、重縮合温度を285℃とする。また、常圧〜133Pa以下まで120分かけ減圧する。重縮合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定のポリエステル粘度は、撹拌トルクを目安に重縮合反応を終了し、終了と同時に反応系内を窒素で常圧とし、攪拌機を停止し重縮合容器の吐出口金孔よりポリエステルを水槽へ吐出する。吐出されたポリエステルは、水槽で急冷し、カッターでチップとする。
このようなポリエステルの製造方法により、本発明のポリエステルを得ることができるが、上記は一例であって、モノマーや触媒および重縮合条件はこれに限定されるわけではない。
次にポリエステルフィルムの製膜について説明する。
製膜方法には、厚みムラが良好なT−ダイ法を好ましく用いることができる。ポリエステルの製造方法により得られたポリエステルを真空乾燥する。溶融押し出しには単軸あるいは二軸押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。積層フィルムとするには、2台以上の押出機を用い、マルチマニホールドダイやフィードブロック等で溶融ポリエステルを積層し、押し出すことで製造することができる。
キャスト方法は、溶融したポリエステルをギヤーポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、それ自体公知の密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸のフィルムを得ることが好ましい。特に平面性や均一な厚みを得るには、静電印加法が好ましく用いられる。
得られた未延伸フィルムは、さらに一軸延伸または二軸延伸することができる。二軸延伸の延伸方式は特には限定されず、逐次二軸延伸方式、同時二軸延伸方式などの方法を用いることができる。逐次二軸延伸により延伸する場合は、得られた未延伸フィルムをポリエステルの(ガラス転移温度Tg−30℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下に加熱されたロール群上で接触昇温させて、長手方向に1.1〜4.0倍延伸し、これを一旦冷却した後に、テンタークリップに該フィルムの端部を噛ませて幅方向にポリエステルの(ガラス転移温度Tg+5℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下の温度雰囲気下の中で1.1〜4.0倍延伸し、二軸配向したポリエステルフィルムを得る。
延伸の終了した二軸配向フィルムはさらにTg+50℃〜Tg+150℃の範囲の温度で熱処理すると寸法安定性が向上する。
このようにして得られたポリエステルフィルムは、光弾性係数が低く、液晶ディスプレイ用フィルムとして好適である。また、PET等を交互に積層したフィルムは光反射性に優れ、反射材用途に好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステルの熱特性(ガラス転移点温度、結晶融解熱量)
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC7型)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温した後液体窒素を用いて急冷し、再び窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温する。この2度目の昇温過程でガラス転移点温度を測定した。
また、結晶融解熱量は、2度目の昇温過程で現れる結晶融解ピークの面積から算出した。
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC7型)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温した後液体窒素を用いて急冷し、再び窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温する。この2度目の昇温過程でガラス転移点温度を測定した。
また、結晶融解熱量は、2度目の昇温過程で現れる結晶融解ピークの面積から算出した。
(2)ポリエステルの屈折率
ポリエステルを溶融押し出しすることで厚さ100μmの未延伸シートを得る。ついで光源としてナトリウムD線を用い23℃の温度条件にて株式会社アタゴ製「アッベ式屈折率計 NAR−4T」で屈折率を測定した。
ポリエステルを溶融押し出しすることで厚さ100μmの未延伸シートを得る。ついで光源としてナトリウムD線を用い23℃の温度条件にて株式会社アタゴ製「アッベ式屈折率計 NAR−4T」で屈折率を測定した。
(3)固有粘度
固有粘度はオルトクロロフェノール(以下、OCP)を溶媒とし、25℃で測定した。
固有粘度はオルトクロロフェノール(以下、OCP)を溶媒とし、25℃で測定した。
(4)ゲル化率
測定するポリエステルサンプルを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状にして真空乾燥する。この試料1gを、窒素下のオーブン中で、285℃で2.5時間熱処理する。これを、50mlのOCP中、160℃の温度で40分間溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル重量(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
測定するポリエステルサンプルを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状にして真空乾燥する。この試料1gを、窒素下のオーブン中で、285℃で2.5時間熱処理する。これを、50mlのOCP中、160℃の温度で40分間溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル重量(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
(5)シクロヘキサンジカルボン酸のシス、トランス体比率
試料をメタノールで5〜6倍に希釈し、その希釈溶液を0.4μlを液体クロマトグラフィーで下記条件にて測定した。
装置:島津製LC−10ADvp
カラム:キャピラリーカラム Agilent Technologies社製DB−17(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)
昇温条件:初期温度110℃、初期時間25分、昇温速度6℃/min、最終温度200℃
(6)光弾性係数(×10−12Pa−1)
短辺1cm長辺7cmのサンプルを切り出した。このサンプルの厚みをd(μm)とする。このサンプルを(株)島津製作所社製TRANSDUCER U3C1−5Kを用いて、上下1cmずつをチェックに挟み長辺方向に1kg/mm2(9.81×106Pa)の張力(F)をかけた。この状態で、ニコン(株)社製偏光顕微鏡5892を用いて位相差R(nm)を測定した。光源としてはナトリウムD線(589nm)を用いた。これらの数値を光弾性係数=R/(d×F)にあてはめて光弾性係数を計算した。
試料をメタノールで5〜6倍に希釈し、その希釈溶液を0.4μlを液体クロマトグラフィーで下記条件にて測定した。
装置:島津製LC−10ADvp
カラム:キャピラリーカラム Agilent Technologies社製DB−17(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)
昇温条件:初期温度110℃、初期時間25分、昇温速度6℃/min、最終温度200℃
(6)光弾性係数(×10−12Pa−1)
短辺1cm長辺7cmのサンプルを切り出した。このサンプルの厚みをd(μm)とする。このサンプルを(株)島津製作所社製TRANSDUCER U3C1−5Kを用いて、上下1cmずつをチェックに挟み長辺方向に1kg/mm2(9.81×106Pa)の張力(F)をかけた。この状態で、ニコン(株)社製偏光顕微鏡5892を用いて位相差R(nm)を測定した。光源としてはナトリウムD線(589nm)を用いた。これらの数値を光弾性係数=R/(d×F)にあてはめて光弾性係数を計算した。
光弾性係数が100×10−12Pa−1未満の場合を合格とした。
(7)反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotometer)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率のピーク値を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のBaSO4板を用いた。なお、本評価法では相対反射率となるため、反射率は100%以上となる場合もある。
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotometer)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率のピーク値を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のBaSO4板を用いた。なお、本評価法では相対反射率となるため、反射率は100%以上となる場合もある。
(8)剥離性
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。また、試験フィルムの厚みが100μmより薄い場合には、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(東レ製“ルミラー”T60)に試験フィルムを接着剤で強固に貼りあわせしたサンプルを剥離試験に用いた。この際には、試験サンプルを貫通しないように試験サンプルの面に格子を切り込んでテストを実施した。剥離個数が4個以下を合格とした。
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。また、試験フィルムの厚みが100μmより薄い場合には、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(東レ製“ルミラー”T60)に試験フィルムを接着剤で強固に貼りあわせしたサンプルを剥離試験に用いた。この際には、試験サンプルを貫通しないように試験サンプルの面に格子を切り込んでテストを実施した。剥離個数が4個以下を合格とした。
(9)黒色異物
同一水準のポリエステルを連続して、2回バッチ重縮合し、この2バッチ目のガット状ポリマーを水槽へ吐出、カッテイングチップ化してから10分後のポリエステルチップ1kgを採取して、このチップ中に含まれる大きさ1ミリ以上の黒色異物数を目視でカウントする。なお、黒色異物の大きさとは、この異物を囲む最も小さな長方形の短辺の長さとする。
同一水準のポリエステルを連続して、2回バッチ重縮合し、この2バッチ目のガット状ポリマーを水槽へ吐出、カッテイングチップ化してから10分後のポリエステルチップ1kgを採取して、このチップ中に含まれる大きさ1ミリ以上の黒色異物数を目視でカウントする。なお、黒色異物の大きさとは、この異物を囲む最も小さな長方形の短辺の長さとする。
黒色異物が0〜3個/kg(ポリマー)以下の場合・・・○
黒色異物が4〜9個/kg(ポリマー)の場合・・・△
黒色異物が10個/kg(ポリマー)以上の場合・・×
なお、大きさが5ミリ以上の黒色異物が観察されれば、異物の個数に関係なく×とした。
以下に触媒の合成方法を記す。
黒色異物が4〜9個/kg(ポリマー)の場合・・・△
黒色異物が10個/kg(ポリマー)以上の場合・・×
なお、大きさが5ミリ以上の黒色異物が観察されれば、異物の個数に関係なく×とした。
以下に触媒の合成方法を記す。
参考例1(チタン触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留・留去した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、その溶液を撹拌しながらNaOHの32重量%水溶液380gを滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、8.1モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留・留去した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、その溶液を撹拌しながらNaOHの32重量%水溶液380gを滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、8.1モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
参考例2(チタン触媒B.乳酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応混合物を15分間撹拌し、その反応フラスコに乳酸アンモニウムの85重量%水溶液252gを加え、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応混合物を15分間撹拌し、その反応フラスコに乳酸アンモニウムの85重量%水溶液252gを加え、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。
参考例3(チタン触媒C.チタンアルコキシド化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.0モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応フラスコに、NaOHの32重量%水溶液125gを滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量5.2重量%)。
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.0モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応フラスコに、NaOHの32重量%水溶液125gを滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量5.2重量%)。
実施例1
(ポリエステルの合成)
テレフタル酸ジメチル(以下、DMT)を67.6重量部、シス/トランス体比率が75/25であるシクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(以下、CHDC)を17.4重量部、スピログリコール(以下、SPG)を19.9重量部、エチレングリコール(以下、EG)を50.4重量部をエステル交換反応(以下、EI反応)容器に仕込み、EI反応触媒として酢酸マンガン・四水塩(以下、酢酸Mn)0.06重量部/EG1.0重量部のEG溶液、非リン系酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・ジャパン(株)製“IRGANOX 1010”)(以下、IR1010)0.1重量部/EG2.0重量部のEGスラリーとアルカリ金属化合物として水酸化カリウム(和光純薬工業(株)製“水酸化カリウム”含有量85%以上)(以下、水酸化K)0.01重量部(実施例、比較例表中のカリウム元素量は純度100%換算で記載)/EG2.0重量部のEG溶液を添加し、内容物を150℃で溶解させて撹拌した(原料、触媒、添加剤のEGとSPGを含めた全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が2.2でEI反応を開始した)。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃まで4時間かけてゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールを留出させ、EI反応を終了した。その後、リン化合物として、ジエチルホスホノ酢酸エチル(以下、TEPA)を0.04重量部とビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト((株)アデカ製“PEP36”)(以下、PEP36)0.05重量部/EG1.0重量部のEGスラリーを添加した。TEPA等を添加した後、余剰なEGを30分間撹拌しながら留出させた後、チタン化合物として、チタン触媒Aをチタン元素として30ppm/EG1.0重量部のEG溶液添加した後、余剰なEGを撹拌しながら留出させながら、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が2.0となった時点で反応終了させた。その後、該低重合体を重縮合反応容器に移行した。続いて、1バッチ目同様に2バッチ目のEI反応を進めた。
(ポリエステルの合成)
テレフタル酸ジメチル(以下、DMT)を67.6重量部、シス/トランス体比率が75/25であるシクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(以下、CHDC)を17.4重量部、スピログリコール(以下、SPG)を19.9重量部、エチレングリコール(以下、EG)を50.4重量部をエステル交換反応(以下、EI反応)容器に仕込み、EI反応触媒として酢酸マンガン・四水塩(以下、酢酸Mn)0.06重量部/EG1.0重量部のEG溶液、非リン系酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・ジャパン(株)製“IRGANOX 1010”)(以下、IR1010)0.1重量部/EG2.0重量部のEGスラリーとアルカリ金属化合物として水酸化カリウム(和光純薬工業(株)製“水酸化カリウム”含有量85%以上)(以下、水酸化K)0.01重量部(実施例、比較例表中のカリウム元素量は純度100%換算で記載)/EG2.0重量部のEG溶液を添加し、内容物を150℃で溶解させて撹拌した(原料、触媒、添加剤のEGとSPGを含めた全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が2.2でEI反応を開始した)。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃まで4時間かけてゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールを留出させ、EI反応を終了した。その後、リン化合物として、ジエチルホスホノ酢酸エチル(以下、TEPA)を0.04重量部とビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト((株)アデカ製“PEP36”)(以下、PEP36)0.05重量部/EG1.0重量部のEGスラリーを添加した。TEPA等を添加した後、余剰なEGを30分間撹拌しながら留出させた後、チタン化合物として、チタン触媒Aをチタン元素として30ppm/EG1.0重量部のEG溶液添加した後、余剰なEGを撹拌しながら留出させながら、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が2.0となった時点で反応終了させた。その後、該低重合体を重縮合反応容器に移行した。続いて、1バッチ目同様に2バッチ目のEI反応を進めた。
次いで、重縮合反応容器内容物を撹拌しながら昇温および減圧を開始し、EGを留出させながら重縮合反応を行った。なお、減圧速度は120分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温速度は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。重縮合反応の間に減圧回路不良の発生はなく、重縮合反応時間220分で撹拌トルクが所定の値に達し重縮合反応容器内を窒素ガスにて常圧へ戻し、また攪拌翼を停止し、重縮合反応容器下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップ化した。1バッチ目の重縮合反応が完了した後、重縮合反応容器の温度を初期状態に戻し、チップ化終了後、重縮合反応容器内の残ポリマーを約30分間垂れ流しした後、重縮合反応容器下部のバルブを閉じ、ポリマーの酸化防止のために吐出孔周辺に微量の窒素を流した。2バッチ目の重縮合反応を実施した。また、重縮合反応容器の減圧回路を解体したところ、回路への飛沫付着物は観察されなかった。
このようにして得られたポリエステルの組成および特性、さらにフィルム特性を表1〜3に示す。なお、得られたポリエステルの特性は、1バッチ目の特性である。但し、黒色異物については2バッチ目の結果である。
(単層2軸延伸フィルムの製膜)
1バッチ目のポリエステルチップを真空乾燥したが、一部に塊状物が見られたため、これを崩してから、押出機に供給した。押出機に供給されたポリエステルは280℃で溶融されて金属不織布フィルターによって濾過されたのち、Tダイから溶融シートとして押し出した。溶融シートは静電印加法(電極は直径0.15ミリのタングステンワイヤーを使用)によって表面温度が25℃に制御された鏡面ドラム上で冷却固化され、未延伸シートとなった。該未延伸シートを用いて、屈折率および光弾性係数を測定した。
屈折率は1.551、光弾性係数は85×10−12Pa−1であった。
1バッチ目のポリエステルチップを真空乾燥したが、一部に塊状物が見られたため、これを崩してから、押出機に供給した。押出機に供給されたポリエステルは280℃で溶融されて金属不織布フィルターによって濾過されたのち、Tダイから溶融シートとして押し出した。溶融シートは静電印加法(電極は直径0.15ミリのタングステンワイヤーを使用)によって表面温度が25℃に制御された鏡面ドラム上で冷却固化され、未延伸シートとなった。該未延伸シートを用いて、屈折率および光弾性係数を測定した。
屈折率は1.551、光弾性係数は85×10−12Pa−1であった。
(積層ポリエステルフィルムの製膜)
前記ポリエステルおよびPET樹脂をそれぞれ真空乾燥した後、2台の押出機にそれぞれ供給した。
前記ポリエステルおよびPET樹脂をそれぞれ真空乾燥した後、2台の押出機にそれぞれ供給した。
ポリエステルおよびPET樹脂は、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤーポンプおよびフィルターを介した後、101層のフィードブロックにて合流させた。このとき、積層フィルムの両表層がPET樹脂層となるようにし、積層厚みはポリエステル層/PET樹脂層が1/2となるように交互に積層した。すなわちポリエステル層は50層、PET層は51層となるように交互に積層した。
このようにして得られた101層からなる積層体を、ダイに供給し、シート状に押し出し、静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、ロール式縦延伸機に導き、90℃に加熱されたロール群によって加熱し、周速の異なるロール間で長手方向に3倍に延伸した。縦方向に延伸が終了したフィルムは、次いでテンター式横延伸機に導いた。フィルムはテンター内で100℃の熱風で予熱し、横方向に3.3倍に延伸した。延伸されたフィルムはそのままテンター内で200℃の熱風にて熱処理した。このようにして厚さ50μmのフィルムを得ることができた。得られたフィルムの特性を表4に示す。
以上、本発明のポリエステルを用いた単層フィルムは光弾性係数が100−12Pa−1未満であり、積層フィルムとした際、剥離性に問題なく、光反射率は100%と優れていた。
実施例2〜12
実施例2、3は、実施例1の非リン系酸化防止剤の種類および添加量、実施例4〜12は、アルカリ金属化合物の種類および添加量、チタン化合物の種類および添加量、リン化合物の種類および添加量を適宜変更した。その中で、実施例10〜12は重縮合条件である、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比や減圧速度変更した以外は、実施例1と同様にして行った。なお、実施例12については、チタン触媒Aを添加すると同時に、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が2.5となるようエチレングリコールを加え、余剰なEGを撹拌しながら留出させながら、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が2.2となった時点で反応終了させた。また、ポリエステルおよびフィルムを得た。特性を表1〜3に示す。
実施例2、3は、実施例1の非リン系酸化防止剤の種類および添加量、実施例4〜12は、アルカリ金属化合物の種類および添加量、チタン化合物の種類および添加量、リン化合物の種類および添加量を適宜変更した。その中で、実施例10〜12は重縮合条件である、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比や減圧速度変更した以外は、実施例1と同様にして行った。なお、実施例12については、チタン触媒Aを添加すると同時に、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が2.5となるようエチレングリコールを加え、余剰なEGを撹拌しながら留出させながら、全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が2.2となった時点で反応終了させた。また、ポリエステルおよびフィルムを得た。特性を表1〜3に示す。
実施例13〜16
実施例13〜16は実施例1のDMT、CHDC、EG、SPGの量比を変更すると同時にアルカリ金属化合物量、5価および3価のリン化合物量、チタン量を変更した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。なお、実施例13、14は、TgがPETよりもそれぞれ10℃程度異なるため積層フィルムを2軸延伸する際に若干のムラが発生したが本発明の範囲内にあった。また、実施例15は、芳香環モル数が大きいために光弾性率が若干増加した。実施例16は、芳香環モル数が小さいため屈折率が低下し優れた光反射性を示したが、共重合成分量が増加したためにPETとの相溶性が若干低下し、層間剥離性が弱くなった。特性を表1〜3に示す。
実施例13〜16は実施例1のDMT、CHDC、EG、SPGの量比を変更すると同時にアルカリ金属化合物量、5価および3価のリン化合物量、チタン量を変更した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。なお、実施例13、14は、TgがPETよりもそれぞれ10℃程度異なるため積層フィルムを2軸延伸する際に若干のムラが発生したが本発明の範囲内にあった。また、実施例15は、芳香環モル数が大きいために光弾性率が若干増加した。実施例16は、芳香環モル数が小さいため屈折率が低下し優れた光反射性を示したが、共重合成分量が増加したためにPETとの相溶性が若干低下し、層間剥離性が弱くなった。特性を表1〜3に示す。
実施例17〜18
実施例17〜18は、実施例1の固有粘度を変更したものであり、実施例17は固有粘度が0.65であり、製膜時の積層性に若干のムラが見られ、屈折率の割に反射率は大きくはなかった。実施例18は、固有粘度が0.90と高いために製膜時の積層性に若干のムラが見られ、屈折率の割に反射率は大きくなかった。特性を表1〜3に示す。
実施例17〜18は、実施例1の固有粘度を変更したものであり、実施例17は固有粘度が0.65であり、製膜時の積層性に若干のムラが見られ、屈折率の割に反射率は大きくはなかった。実施例18は、固有粘度が0.90と高いために製膜時の積層性に若干のムラが見られ、屈折率の割に反射率は大きくなかった。特性を表1〜3に示す。
実施例19
実施例1のCHDCのシス/トランス比率が60/40であるCHDCを用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。実施例1に比較してCHDCのトランス比率が高いため、光弾性係数は実施例1よりも高い値となった。特性を表1〜3に示す。
実施例1のCHDCのシス/トランス比率が60/40であるCHDCを用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。実施例1に比較してCHDCのトランス比率が高いため、光弾性係数は実施例1よりも高い値となった。特性を表1〜3に示す。
実施例20
実施例1の積層総数101層を積層総数251層に変更した以外は実施例1同様にしフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの厚みは50μmであり、積層増加により光反射層が増え、優れた光反射性を示した。特性を表1〜3に示す。
実施例1の積層総数101層を積層総数251層に変更した以外は実施例1同様にしフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの厚みは50μmであり、積層増加により光反射層が増え、優れた光反射性を示した。特性を表1〜3に示す。
比較例1
実施例1のSPGを含まず、さらにCHDC成分の代わりにイソフタル酸ジメチル(以下、DMI)を15mol%共重合した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。脂環族ジカルボン酸成分、脂環族ジオール成分のいずれも含有しないために屈折率、光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も小さいものであった。特性を表4〜6に示す。
実施例1のSPGを含まず、さらにCHDC成分の代わりにイソフタル酸ジメチル(以下、DMI)を15mol%共重合した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。脂環族ジカルボン酸成分、脂環族ジオール成分のいずれも含有しないために屈折率、光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も小さいものであった。特性を表4〜6に示す。
比較例2
実施例1のCHDCを含まず、さらにSPG成分の代わりに1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を30mol%共重合した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。屈折率は低下したものの、若干光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も若干劣るものであった。特性を表4〜6に示す。
実施例1のCHDCを含まず、さらにSPG成分の代わりに1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を30mol%共重合した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。屈折率は低下したものの、若干光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も若干劣るものであった。特性を表4〜6に示す。
比較例3
実施例1のCHDCを含まず、さらにSPG成分の量を45mol%に変更した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。Tg、ゲル化率が非常に高く、積層フィルムの剥離性も劣るものであった。特性を表4〜6に示す。
実施例1のCHDCを含まず、さらにSPG成分の量を45mol%に変更した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。Tg、ゲル化率が非常に高く、積層フィルムの剥離性も劣るものであった。特性を表4〜6に示す。
比較例4
実施例1のSPGを含まず、CHDC成分の量を25mol%に変更した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。屈折率は目標範囲内であるが、Tgが下がり、積層フィルムの剥離性に劣り、反射率も小さいものであった。特性を表4〜6に示す。
実施例1のSPGを含まず、CHDC成分の量を25mol%に変更した以外は実施例1と同様ポリエステルおよびフィルムを得た。屈折率は目標範囲内であるが、Tgが下がり、積層フィルムの剥離性に劣り、反射率も小さいものであった。特性を表4〜6に示す。
比較例5
アルカリ金属化合物および非リン系酸化防止剤を添加せず、チタン触媒Aをチタン原子として30ppmをポリエステルの原料と同時に、エステル交換反応前に容器に仕込んだ以外は実施例1と同様に実施したが、チタン化合物が反応後に添加したリン化合物により反応活性が失われたためか重縮合反応時間が大幅に延長した。また、反応中に若干の真空度不良が認められた。ポリエステルおよびフィルムを得た。特性を表4〜6に示す。
アルカリ金属化合物および非リン系酸化防止剤を添加せず、チタン触媒Aをチタン原子として30ppmをポリエステルの原料と同時に、エステル交換反応前に容器に仕込んだ以外は実施例1と同様に実施したが、チタン化合物が反応後に添加したリン化合物により反応活性が失われたためか重縮合反応時間が大幅に延長した。また、反応中に若干の真空度不良が認められた。ポリエステルおよびフィルムを得た。特性を表4〜6に示す。
比較例6〜13
比較例6は、非リン系酸化防止剤用いない系、比較例7はアルカリ金属化合物を用いない系で、一方、比較例8〜13はアルカリ金属化合物を本発明範囲外に、また非リン系酸化防止剤、リン化合物およびチタン化合物を適宜変更添加した以外は実施例1同様に反応を行った。中でも、比較例10はリン化合物を多量に添加した系のため、重縮合反応触媒であるチタン化合物を多量に添加したが、目標のポリエステル粘度が得られず反応を中止した。また、比較例13はチタン化合物の添加量が少ないため、リン化合物の添加量を減量したが、目標のポリエステル粘度が得られず反応を中止した。特性を表4〜6に示す。
比較例6は、非リン系酸化防止剤用いない系、比較例7はアルカリ金属化合物を用いない系で、一方、比較例8〜13はアルカリ金属化合物を本発明範囲外に、また非リン系酸化防止剤、リン化合物およびチタン化合物を適宜変更添加した以外は実施例1同様に反応を行った。中でも、比較例10はリン化合物を多量に添加した系のため、重縮合反応触媒であるチタン化合物を多量に添加したが、目標のポリエステル粘度が得られず反応を中止した。また、比較例13はチタン化合物の添加量が少ないため、リン化合物の添加量を減量したが、目標のポリエステル粘度が得られず反応を中止した。特性を表4〜6に示す。
比較例14、15
比較例14は、重縮合反応条件である全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比を低く、短時間減圧と本発明範囲外で、一方、比較例15は全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比を高く、長時間減圧と本発明範囲外で実施した以外は、実施例1同様に反応を行った。特性を表4〜6に示す。
比較例14は、重縮合反応条件である全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比を低く、短時間減圧と本発明範囲外で、一方、比較例15は全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比を高く、長時間減圧と本発明範囲外で実施した以外は、実施例1同様に反応を行った。特性を表4〜6に示す。
Claims (12)
- ジカルボン酸構成単位に少なくとも脂環族ジカルボン酸アルキルエステルおよびジオール構成単位に少なくとも脂環族ジオールを用い、エステル交換反応を経た後の反応物をエステル交換反応容器から重縮合反応容器へ移行し重縮合して、下記特性(1)〜(3)を満足するポリエステルを製造する方法において、非リン系酸化防止剤およびアルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として5〜500ppm添加してエステル交換反応を行い、該反応終了から重縮合反応前の工程において、リン化合物、次いでチタン化合物を添加し、さらに全グリコール成分の全ジカルボン酸成分に対するモル比が1.65〜2.3の低重合体を重縮合反応容器にて昇温しながら、60〜180分かけて減圧して重縮合反応することを特徴とするポリエステルの製造方法。
示差走査熱量測定によるガラス転移点温度:65〜90℃・・・(1)
ナトリウムD線での屈折率:1.500〜1.570・・・(2)
ゲル化率:窒素下5%以下・・・(3)
(ゲル化率とは、ポリエステル組成物を窒素下、285℃×2.5時間の条件で加熱処理した後のオルソ−クロロフェノール不溶分量の全体に対する割合である。) - 非リン系酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- アルカリ金属化合物が水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
- リン化合物が3価および/または5価のリン化合物で、かつリン元素として10〜500ppm添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- チタン化合物がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有しており、チタン元素として3〜100ppm添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- チタン化合物のアルコキシ基がβ−ジケトン系官能基、ヒドロキシカルボン酸系官能基およびケトエステル系官能基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- 脂環族ジカルボン酸アルキルエステル成分がシクロヘキサンジカルボン酸ジメチルであり、全ジカルボン酸成分中5〜80モル%添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- シクロへキサンジカルボン酸ジメチルとして立体異性体のシス、トランス体を含有し、トランス体の含有量が40%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- 脂環族ジオール成分がスピログリコールであり、全ジオール成分中5〜80モル%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステル繰り返し単位に含まれる芳香環モル数がポリエステル樹脂1kg当たりに換算して4.8モル以下である請求項1〜9のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法で得たポリエステルと
ポリエチレンテレフタレートとを交互に積層した積層ポリエステルフィルム。 - 光反射率が90%以上である請求項11に記載の積層ポリエステルフィルム。
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