JP2017008190A - 吸湿繊維用ポリエステル組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とジオールを重縮合して吸湿繊維用ポリエステルを製造するに際し、数平均分子量6000〜20000のポリエチレングリコール6〜16重量%とアルカリ金属水酸化物を添加し、かつ重縮合開始後90分以降にフェノール系酸化防止剤を0.15〜0.25重量%添加する吸湿繊維用ポリエステル組成物の製造方法。
【選択図】なし
Description
そこでこのような欠点を解消すべく、ポリエステル繊維へ親水性化合物であるポリエチレングリコールを添加する検討が数多く行われている。しかし、ポリエチレングリコールは酸化分解しやすいという課題があった。
なお、本発明の効果を損ねない範囲内で共重合成分として、ジオール類を併用して用いることもできる。具体的には、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
チタン化合物としては、チタン錯体、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマーなどのチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアセチルアセトナート等が挙げられる。
実施例によって得られたペレットを試料とし、石英ガラス製の容器に充填した状態でハンター型色差計(スガ試験機(株)製SMカラーコンピュー型式SM−3)を用いてb値を測定した。なお、測定は1試料につき3回行い、その平均値をb値とした。b値が3.0以下であれば色調が優れているとした。
実施例によって得られたペレットを試料とし、150℃で12時間減圧乾燥させた後、20mm径の一軸押出機にて、渡辺製作所製の5μmダイナロイフィルターを用いて、温度280℃、通過量10g/分で溶融押出を行い、フィルターの1次圧と2次圧の差をろ圧として測定した。溶融押出開始時の濾圧(P1)と6時間経過時点の濾圧(P2)から下記式によって濾圧上昇(ΔP)を算出した。ΔPが5.0MPa以下であれば濾圧上昇が小さいとした。
実施例によって得られた延伸糸を試料とし、試料5mgをアルミニウム容器に入れ、セイコーインスツルメント社製TG−DTAにて、窒素:酸素=80vol%:20vol%の混合ガス雰囲気下、混合ガス流量200mL/分、昇温速度30℃/分で室温から160℃まで昇温後、160℃で360分保持した。その後、解析ソフト(セイコーインスツルメント製、Muse)を用いて熱重量分析(TG)を行い、160℃に到達した時間を0分とし、0.5重量%減少する時間(min)を測定した。
実施例によって得られた延伸糸を試料とし、温度20℃、湿度65%RHの環境下において、島津製作所製オートグラフAG−50NISMS型を用いて、初期試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で引張試験を行い、最大荷重を示す点の応力を繊度で除して強度(cN/dtex)を算出した。試料作製直後の強度(S0)と作製から6ヵ月後の強度(S6)より下記式によって強度保持率(%)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を強度とした。強度保持率が85%以上であれば耐酸化分解性能が良好であるとした。
強度保持率(%)=S6/S0×100 。
実施例によって得られた延伸糸を試料とし、JIS L 0855:1967(窒素酸化物に対する染色堅ろう度試験用方法)に準じて処理した。始めに、3cm×3.5cmの針金の枠に試料を長辺方向に巻きつける。その後、酸化窒素ガス試験機の試料はさみに試験片と標準染色布をとりつける。試料片をとりつけた枠の上に容量500mLの蒸発皿を置き、その中に蒸留水375mLと85%リン酸6.7mLを入れて混合し、さらに1%亜硝酸ナトリウム溶液25mLを添加したのち試験機のふたをして回転羽根を80回/分の速さで回転させた。標準変色布が変退色グレースケールの3号に達したら羽根の回転を止め、装置のふたを開けガス発生液を取り出し試験片をつり下げた枠ごと新鮮な空気にあてる。その後、5gの尿素と1gのスルホこはく酸ジオクチルナトリウムを含む1Lの常温水に浸漬し5分間放置し、蒸留水ですすぎ自然乾燥する。処理前の試験片と3回処理後の試験片を用いてミノルタ製分光測色計CM−3700d型にて黄変度(YI)を測定した。処理前の試験片の黄変度(YI0)と3回処理後の試験片の黄変度(YI3)から下記式によって黄変度差(ΔYI)を算出した。ΔYIが5.0以下であれば酸化窒素ガスによる黄変が抑制されているとした。
黄変度差(ΔYI)=YI3−YI0 。
吸湿率(%)は、JIS L1096:2010(織物及び編物の生地試験方法)8.10の水分率に準じて算出した。始めに、実施例によって得られた延伸糸を試料とし、英光産業製丸編機NCR−BL(釜径3インチ半、27ゲージ)を用いて筒編み約2g作製後、筒編みを110℃で24時間真空乾燥し、絶乾時の筒編みの重量(W0)を測定した。次いで、温度20℃、湿度65%RHに調湿されたエスペック製恒温恒湿機LHU−123内に筒編みを24時間静置し、筒編みの重量(W1)を測定後、温度30℃、湿度90%RHに調湿された恒温恒湿機内に筒編みを24時間静置し、筒編みの重量(W2)を測定した。筒編みの重量W0、W1により絶乾状態から温度20℃、湿度65%RH雰囲気下に24時間静置したときの吸湿率MR1(%)を算出し、筒編みの重量W0、W2により絶乾状態から温度30℃、湿度90%RH雰囲気下に24時間静置したときの吸湿率MR2(%)を算出し、下記式によって吸湿率差(△MR)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を吸湿率差(△MR)とした。ΔMR値が1.5%以上であれば吸湿性が良好であるとした。
実施例によって得られた延伸糸を試料とし、英光産業製丸編機NCR−BL(釜径3インチ半、27ゲージ)を用いて筒編み約2g作製後、処理温度80℃、処理時間20分の条件で炭酸ナトリウム2g/L、日華化学製界面活性剤サンモールBK−80を含む水溶液中で精練し、筒編みに付着している油剤を除去し、60℃の熱風乾燥機内で60分間乾燥した。次いで、浴比1:100、処理温度130℃、処理時間30分の条件で熱水処理し、処理した筒編みを、60℃の熱風乾燥機内で60分間乾燥した。
エステル化反応槽へビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート約10kgを投入し、温度250℃に保持した後、高純度テレフタル酸(三井化学製)7.6kgとエチレングリコール(日本触媒製)3.3kgのスラリーを順次供給し、245℃で水を流出しつつエステル化反応を行い、エステル化反応生成物を得た。続いて、70℃に加熱して溶融した数平均分子量8300、のポリエチレングリコール(三洋化成社製、PEG6000S)1.2kg、[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF製、Irganox1010)15g、消泡剤としてシリコン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、TSF433)10gを重縮合槽へ投入した後、エステル化反応槽と重縮合槽を連結する移行配管を通じて、上記で得られたエステル化反応生成物9.2kgを250℃に加温された重縮合槽へ移行した。移行完了後、250℃で20分撹拌し、水酸化カリウム(和光純薬製)0.57gを添加した。5分攪拌後、熱安定剤としてリン酸トリメチル(和光純薬製)2.5gを添加して10分撹拌した。その後、重合触媒として三酸化アンチモン2.5g、酢酸コバルト(II)四水和物0.56gを加えて5分撹拌した。続いて、60分かけて重縮合槽内の温度を250℃から285℃まで昇温するとともに、重縮合槽内の圧力を大気圧から25Paまで減圧した後、重縮合反応を100分行った。その後、ポリエチレンテレフタレートシートを射出成形して作製した厚さ0.2mm、内容積500cm3の容器に、Irganox1010を20g入れ、反応缶上部より添加した。重縮合槽内を窒素パージして常圧に戻して10分攪拌した後、重縮合反応生成物を冷水中へストランド状に吐出して冷却し、直ちにカッティングしてペレット状の重縮合反応生成物を得た。
強度保持率およびΔYIは良好であり、耐酸化分解性能が良好かつ酸化窒素ガス堅牢度試験による黄変が抑制されていた。ΔMRは1.5%以上あり、吸湿性能は良好であった。また、熱水処理後もΔMRが1.5%以上あり、吸湿性能を維持していた。
ポリエチレングリコールの数平均分子量を表1の通り変更した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表1に示す通りである。実施例2では数平均分子量6000のポリエチレングリコール(Aldrich社)、実施例3では数平均分子量14000のポリエチレングリコール(エーエムアル株式会社製ポリエチレオキシド))、実施例4では数平均分子量20000のポリエチレングリコール(三洋化成社製PEG20000)を用いた。いずれも強度保持率およびΔYIは良好であり、耐酸化分解性能が良好かつ酸化窒素ガス堅牢度試験による黄変が抑制されていた。また、熱水処理前も熱水処理後もΔMRが1.5%以上であり吸湿性能も良好であった。
ポリエチレングリコールの添加率を変更した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表1に示す通りである。実施例5では添加率を6重量%、実施例6では添加率を8重量%、実施例7では添加率を14重量%、実施例8では添加率を16重量%、にした。いずれも強度保持率およびΔYIは良好であり、耐酸化分解性能が良好かつ酸化窒素ガス堅牢度試験による黄変が抑制されていた。また、熱水処理前も熱水処理後もΔMRが1.5%以上であり吸湿性能も良好であった。
重縮合開始後100分に添加するIrganox1010の添加率を変更した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表2に示す通りである。実施例9では添加率を0.15重量%、実施例10では添加率を0.25重量%にした。いずれも強度保持率およびΔYIは良好であり、耐酸化分解性能が良好かつ酸化窒素ガス堅牢度試験による黄変が抑制されていた。また、熱水処理前も熱水処理後もΔMRが1.5%以上であり吸湿性能も良好であった。
添加するアルカリ金属水酸化物を水酸化ナトリウムに変更した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表2に示す通りである。いずれも強度保持率およびΔYIは良好であり、耐酸化分解性能が良好かつ酸化窒素ガス堅牢度試験による黄変が抑制されていた。また、熱水処理前も熱水処理後もΔMRが1.5%以上であり吸湿性能も良好であった。
添加する水酸化カリウムのカリウム原子量を変更した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表2に示す通りである。実施例12ではカリウム原子量を10ppm、実施例13では添加率を20ppm、実施例14では添加率を100ppm、実施例15では120ppmにした。いずれも強度保持率およびΔYIは良好であり、耐酸化分解性能が良好かつ酸化窒素ガス堅牢度試験による黄変が抑制されていた。また、熱水処理前も熱水処理後もΔMRが1.5%以上であり吸湿性能も良好であった。
重縮合開始後90分にIrganox1010を20g添加した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表2に示す通りである。いずれも強度保持率およびΔYIは良好であり、耐酸化分解性能が良好かつ酸化窒素ガス堅牢度試験による黄変が抑制されていた。また、熱水処理前も熱水処理後もΔMRが1.5%以上であり吸湿性能も良好であった。
数平均分子量3400のポリエチレングリコール(三洋化成工業製PEG4000S)を用い、かつ水酸化カリウムを添加しなかった以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表3に示すとおりである。ΔMRが1.1%と吸湿性能が低かった。
数平均分子量30000のポリエチレングリコール(明成化学工業製アルコックスR−150)を用いた以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表3に示す通りである。熱水処理後のΔMRが1.2%であり、熱水処理により吸湿性能が低下した。
ポリエチレングリコールの添加率を変更した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表3に示す通りである。比較例3では添加率を4重量%、比較例4では添加率を18重量%にした。添加率が4重量%の場合、ΔMRが0.72%と吸湿性能が低かった。添加率が18重量%の場合、組成物の色調b値が3.6と悪化した。
重縮合開始後100分にIrganox1010を20g添加するのではなく、重縮合開始前にIrganox1010を15g添加するときにさらに20g増量して35g添加した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表3に示す通りである。強度保持率が55%であり、耐酸化分解性能が不良であった。
重縮合開始後60分にIrganox1010を20g添加した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表3に示す通りである。強度保持率が71%であり、耐酸化分解性能が不良であった。
水酸化カリウムを添加しなかった以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表4に示す通りである。強度保持率が60%であり、耐酸化分解性能が不良であった。
水酸化カリウムを添加せず、さらに重縮合開始後100分に添加するIrganox1010の添加率を0.30重量%に変更したこと以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表4に示す通りである。ΔYIが6.1であり、酸化窒素ガスにより黄変した。
重縮合開始後100分に添加するIrganox1010の添加率を変更した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表4に示す通りである。比較例9では添加率を0.10重量%、比較例10では添加率を0.30重量%にした。添加率が0.10重量%の場合、強度保持率が68%であり、耐酸化分解性能が不良であった。添加率が0.30重量%の場合、ΔYIが6.3であり、酸化窒素ガスにより黄変した。
添加するアルカリ金属化合物を変更した以外は実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた組成物、延伸糸、布帛の特性は表4に示す通りである。比較例11では酢酸カリウム、比較例12で硫酸カリウムを添加した。いずれも強度保持率が85%よりも低く、耐酸化分解性能が不良であった。
Claims (3)
- ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体とジオールを重縮合してポリエステル組成物を製造するに際して、数平均分子量6000〜20000のポリエチレングリコールを6〜16重量%とアルカリ金属水酸化物を添加し、かつ重縮合開始後90分以降にフェノール系酸化防止剤を0.15〜0.25重量%添加することを特徴とする吸湿繊維用ポリエステル組成物の製造方法。
- 添加するアルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1記載の吸湿繊維用ポリエステル組成物の製造方法。
- 添加するカリウム量が20〜100ppmであることを特徴とする請求項1、または2記載の吸湿繊維用ポリエステル組成物の製造方法。
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WO2020095910A1 (ja) * | 2018-11-06 | 2020-05-14 | 東レ株式会社 | スパンボンド不織布、スパンボンド繊維、および積層不織布 |
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