JP2006257597A - 産業資材用ポリエステル繊維および産業資材用織編物 - Google Patents

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慎太郎 嶋田
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Abstract

【課題】モジュラス、寸法安定性及び低摩擦性が向上した、ウェビング、シートベルト、魚網、ロープなどに好適な産業資材用ポリエステル繊維を提供すること。
【解決手段】ポリエステル100重量部に対して、層状珪酸塩からなる無機成分を0.1〜15重量部含有し、総繊度が1.5〜3000dtexであることを特徴とする。さらには、層状珪酸塩が有機オニウムイオンで60〜100%イオン交換されていること、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートであること、ポリエステル繊維の強度が5cN/dtex以上であることが好ましい。シートベルト、エアバッグ、ロープ、ネット、ドライヤーキャンバス、コンテナバック、樹脂コンテナシート、ターポリンに好適に用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は産業資材用ポリエステル繊維に関し、さらに詳しくは、モジュラス、寸法安定性及び低摩擦性が向上した、ウェビング、シートベルト、魚網、ロープなどに好適な産業資材用ポリエステル繊維およびそれを用いた産業資材用織編物に関する。
ポリエステルは、物理化学的特性に優れることから、繊維、フィルム、樹脂等に幅広く用いられている。今後もその用途の拡大が期待され、それに伴う物性向上が求められている。特に繊維用途では、強度、モジュラス、寸法安定性や耐熱温度の向上などによる使用温度範囲や耐摩擦性などの耐久性を向上させるというニーズが各種産業用途において求められている。中でもポリエチレンテレフタレート繊維やポリエチレンナフタレート繊維はその優れた汎用性、機械特性や耐熱性から産業資材用繊維としても広範に用いられており、更なる物性の向上が期待されている。
そういった背景のもと、熱可塑性樹脂の機械特性向上のために様々な取組みが提案されている。中でも、熱可塑性樹脂へ無機充填剤を添加することによる弾性率、寸法安定性や耐熱性の向上などについて、射出成形用樹脂等で盛んに研究がなされ、主にガラス繊維を使用した樹脂の補強が行われてきた。さらに近年では、繊維径0.4μm、繊維長15〜28μm、アスペクト比7〜10の繊維状チタン酸カリウムや繊維状珪酸カルシウムを利用した樹脂組成物なども開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、繊維用途として利用する為には、これらの粒子は大きすぎ、繊維製造時の糸切れや物性低下の原因となるために良好なポリエステル繊維を得ることは困難であった。
また、例えば特許文献2などにトルマリンなどの微粒子を含有する繊維が開示されているが、特に強度が要求される産業資材用繊維においては、一般に無機物を添加すると強度や弾性率が低下してしまうと考えられていた。
特開2001−131409号公報 特開2004−124269号公報
本発明は、モジュラス、寸法安定性及び低摩擦性が向上した、ウェビング、シートベルト、魚網、ロープなどに好適な産業資材用ポリエステル繊維および産業繊維用織編物を提供することにある。
本発明の産業資材用ポリエステル繊維は、ポリエステル100重量部に対して、層状珪酸塩からなる無機成分を0.1〜15重量部含有し、総繊度が1.5〜3000dtexであることを特徴とする。
さらには、層状珪酸塩が有機オニウムイオンで60〜100%イオン交換されていることや、有機オニウムイオンが下記式(1)で表されることが好ましい。
Figure 2006257597
(式中、Mは窒素原子またはリン原子である。R,R,R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基またはヘテロ原子を含む炭化水素基、また任意のR,R,R及びRは環を形成していても良い。)
また、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートであることや、ポリエステル繊維の強度が5cN/dtex以上であることが好ましい。
またもう一つの本発明の産業資材用織編物は、上記産業資材用ポリエステル繊維を用いることを特徴とする。この産業資材用織編物は、シートベルト、エアバッグ、ロープ、ネット、ドライヤーキャンバス、コンテナバック、樹脂コンテナシート、ターポリンの群から選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
本発明によれば、モジュラス、寸法安定性及び低摩擦性が向上した、ウェビング、シートベルト、魚網、ロープなどに好適な産業資材用ポリエステル繊維および産業資材用織編物が提供される。
本発明はポリエステルに対して層状珪酸塩からなる無機成分を含有する総繊度が1.5〜3000dtexの産業資材用ポリエステル繊維である。
本発明で使用するポリエステルは、従来公知の方法でカルボン酸及び/またはその誘導体とジオールを重縮合したもの、あるいは、ヒドロキシカルボン酸からなるもの、あるいは、さらにこれらの共重合体を指す。
ポリエステルを構成するカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸及びフマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの環状脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコールなどの脂肪族ジオールや、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA等のジフェノール類が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、p-ヒドロキシ安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
かかるポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(1,3-トリメチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート-テレフタレート共重合体、ポリブチレンイソフタレート-テレフタレート共重合体、ポリシクロヘキシレンジメチレンイソフタレート-テレフタレート共重合体などが挙げられる。
さらに本発明では、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートであることが好ましい。特にこれらのポリエステルが分子鎖中にエチレンテレフタレートあるいはエチレンナフタレート繰返単位を90モル%以上、好ましくは95モル%以上を含有するポリエステルであることが、結晶性の良好な繊維が得られるため,弾性率や強度の点で好ましい。かかるポリエステルはポリエチレンテレフタレートあるいはポリ(エチレン2,6−ナフタレート)で構成されているが、10モル%未満、好ましくは5モル%未満の割合で他の共重合成分を含んでも差し支えない。このような共重合成分としては例えばイソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、p−オキシ安息香酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、トリメリット酸、ペンタエリスリトール等が挙げられる。また、これらのポリエステル中には、二酸化チタンなどの艶消剤、リン酸、亜リン酸、それらのエステル化合物などの安定剤、着色剤等の添加剤を含んでも差し支えない。
本発明の産業資材用ポリエステル繊維は、ポリエステル100重量部に対して、層状珪酸塩からなる無機成分を0.1〜15重量部含有するものである。ここで本発明で使用する層状珪酸塩は、Al、Mg、Li等を含む八面体シート構造を2枚のSiO四面体シート構造が挟んだ形の2:1型が好適であり、具体的には、サポナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、モンモリロナイト、バイデライト、スチブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li系フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母、バーミキュライト、ハロサイト、膨潤性マイカ等を挙げることができる。また、これらは、天然のものでも、合成のものでも構わない。これらのうち、陽イオン交換容量などの点から、モンモリロナイト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母等を好適に使用することができる。
本発明の層状珪酸塩はこうした層状珪酸塩を有機オニウムイオンによりイオン交換能対比60〜100%イオン交換されたものを好ましく使用することができる。
有機オニウムイオンとしては、ホスホニウム、アンモニウム等の4級オニウムイオンであり、へテロ原子が環構造の一部を構成していても良い。具体的には、有機オニウムイオンが下記式(1)で示されるものを挙げることができる。
Figure 2006257597
(式中、Mは窒素原子またはリン原子である。R,R,R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基またはヘテロ原子を含む炭化水素基、また任意のR,R,R及びRは環を形成していても良い。)
炭素数1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、芳香族基を挙げることができる。アルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、及びn−オクタデシルを例示することができる。また、芳香族基としては、フェニル基、ビフェニル基、ベンジル基、トシル基などを例示することができる。R〜Rは、それらの熱安定性に影響を及ぼさないメチル、エチル、フッ素、塩素などのような置換基を有してもよい。
Mが窒素原子である四級アンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリブチルドデシルアンモニウム、トリブチルオクタデシルアンモニウム、トリオクチルエチルアンモニウム、トリブチルヘキサデシルアンモニウム、メチルトリフェニルアンモニウム、エチルトリフェニルアンモニウム等の各種のテトラアルキルアンモニウムを好適なものとして挙げられる。
また、Mがリンである有機ホスホニウムの具体例としてはテトラエチルホスホニウム、トリエチルベンジルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリメチルデシルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルオクタデシルホスホニウム、トリフェニルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、ジフェニルジオクチルホスホニウム、トリフェニルオクタデシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、トリブチルアリルホスホニウムなどが挙げられる。
さらに、上記式(1)のR,R,R及びRのいずれかがヘテロ原子を含む炭化水素基の場合、上述の炭素数1〜30の炭化水素基R,R,R及びRの少なくとも一部が、炭素数1〜30のヒドロキシ置換炭化水素基、イミド置換炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。更に好ましくは、下記置換基およびその異性体を例示することができる。
ヒドロキシ置換炭化水素基:
Figure 2006257597
イミド置換炭化水素基:
Figure 2006257597
(ここで上記式中、aは1〜29の整数である。)
さらに、R,R,R及びRが環を形成する場合にはピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、ジメチルピリジン、ヒドロキシピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン誘導体、イミダゾール、メチルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、ベンズイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピラゾール、メチルピラゾール、ジメチルピラゾール、エチルピラゾール、ベンズピラゾール等のピラゾール誘導体からなる有機オニウムイオンを挙げることができる。イミダゾール誘導体としては、N−メチルイミダゾリニウム、N−エチルイミダゾリニウム、N−ヘキシルイミダゾリニウム、N−オクチルイミダゾリニウム、N−ドデシルイミダゾリニウム、N−ヘキサデシルイミダゾリニウム等のアルキル置換イミダゾリウムの一部が、イミド置換炭化水素基で示される構造でN置換されたイミダゾリウム及びそれらのアルキル置換体を例示することができる。
上述した有機オニウムは、単独でも複数の組み合わせでも用いることができる。有機オニウムイオンとしては、層状珪酸塩の耐熱性の点からホスホニウム、イミダゾリウム構造を有するものが好ましい。更に好ましくは、有機オニウムとして具体的には、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスホニウムなどのアルキルホスホニウムやN−メチルイミダゾリニウム、N−エチルイミダゾリニウム、N−ヘキシルイミダゾリニウム、N−オクチルイミダゾリニウム、N−ドデシルイミダゾリニウム、N−ヘキサデシルイミダゾリニウム等のアルキル置換イミダゾリウム、そして、アルキル基の一部がイミド置換炭化水素基で置換された下記のオニウムを例示することができる。
Figure 2006257597
Figure 2006257597
上述のような置換基において、分散させるクレイや熱可塑性樹脂の種類、あるいは組み合わせにより好適なaの値が変わりうる。
本発明で使用される層状珪酸塩は、こうした有機オニウムにより、層状珪酸塩の陽イオン交換能に対して60〜100%イオン交換されているものであることが好ましい。層状珪酸塩のイオン交換能は、従来公知の方法で測定可能であるが、本発明で使用される層状珪酸塩のイオン交換能としては、先述の層状珪酸塩のうち、20〜300当量/100g程度のものが好適に使用できる。陽イオン交換能が、20当量/100g以上あるほうが、有機オニウムの導入率が高くなるために層状珪酸塩のポリエステルへの分散性の点で有利である。逆に、300当量/100g以下のもののほうが、有機オニウムのイオン交換が容易となるために本発明の層状珪酸塩を製造する上で好ましい。更に好ましくは、陽イオン交換能としては80〜150当量/100gである。本発明で使用する層状珪酸塩は、こうした陽イオン交換能のうち、60〜100%が上述の有機オニウムによりイオン交換されているものである。こうした陽イオンの交換率(カチオン交換率)は、下記式(2)によって算出することができる。
カチオン交換率(%)={Wf/(1−Wf)}/(Morg/Msi)×100・・・・(2)
(Wfは20℃/minの昇温速度で120℃から800℃まで測定した層状珪酸塩の示差熱天秤による重量減少率、Morgは該イミダゾリウムイオンの分子量、Msiは層状珪酸塩の陽イオン部分における1電荷あたりの分子量を表す。層状珪酸塩の陽イオン部分における1電荷あたりの分子量は、層状珪酸塩の陽イオン交換容量(単位:グラム当量またはeq/100g)の逆数で算出される値である。)
さらに、本発明の層状珪酸塩に対して陽イオン交換に関与しなかったオニウムの有無は、蛍光X線や、原子吸光分析などの従来公知の方法で、原料に使用したオニウム化合物の対イオンの有無を測定することなどから確認することが可能である。
本発明においては、イオン交換率は60〜100%が好ましい。イオン交換率は低いと、ポリエステルと混合した際に層状珪酸塩の分散性が低くなることがある。また、イオン交換率が高すぎると陽イオン交換された層状珪酸塩に占める有機オニウムイオンの割合が高くなりすぎ、例えば耐熱性や分子量の低下など、ポリマーの特性がかえって損なわれることがある。イオン交換率は70〜98%がより好ましく、75〜96%がさらに好ましく、77〜95%が最も好ましい。
さらに本発明で用いる層状珪酸塩は、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で示差熱天秤によって測定した5重量%重量減少時の温度が、310℃以上であることが好ましい。5重量%重量減少時の温度が310℃より低いと、ポリエステルと溶融混合する際の分解が大きく、層状珪酸塩の再凝集が起こったり、分解ガスが発生するなどポリマー特性を低下させる傾向にある。こうした点から5重量%重量減少時の温度は高いほど好ましいが、本発明の層状珪酸塩では、良好な分散性を与えるオニウムの構造を勘案すると、好ましくは330℃以上、より好ましくは340℃以上、さらに好ましくは350℃以上である。
有機オニウムで層状珪酸塩の陽イオンを交換する方法としては、従来公知の方法が可能である。具体的には水、エタノール、メタノールなどの極性溶媒に原料となる層状珪酸塩を分散させておき、そこへ有機オニウムを添加する、あるいは、有機オニウムを含む溶液を添加する方法である。修飾反応に好ましい濃度としては、層状珪酸塩の濃度として、0.1〜5重量%で、溶解した有機オニウムと反応させることが好ましい。0.1重量%よりも濃度が低い場合には、溶液全体の量が多くなり過ぎ取扱う上で好ましくない。一方、5重量%を超える場合には、層状珪酸塩の分散液の粘度が高くなり過ぎるため、陽イオン交換率が低下する傾向にある。層状珪酸塩の濃度としては、0.5〜4.5重量%がより好ましく、1〜4重量%がさらに好ましい。反応時の温度としては、層状珪酸塩の分散液を攪拌するのに充分低い粘度を有すればよく、例えば、水の場合には、概略20〜80℃程度で陽イオン交換反応を行うことが好ましい。
本発明の産業資材用ポリエステル繊維は、ポリエステル100重量部に対して、層状珪酸塩を無機成分として0.1〜15重量部含有するものである。このとき層状珪酸塩は有機オニウムイオンで60〜100%イオン交換されたものであることが好ましい。無機成分とは、空気中で800℃までの熱重量分析を行った際の残渣であるとする。無機成分としての含有量が0.1重量部以上を占める方が層状珪酸塩の添加による機械物性向上の点で好ましい。また、15重量部以下であることが、得られたポリエステル繊維の溶融成型、延伸を行う上で好ましい。無機成分としての含有量はこうした点から、ポリエステル100重量部に対して、無機成分として0.5〜12重量部であることがさらに好ましく、1〜8重量部であることがより好ましい。
こうしたポリエステルと層状珪酸塩からなる組成物は、ポリエステルの重合のいずれかの段階で、層状珪酸塩を添加する、二軸押出機などを利用してポリマーの溶融状態で混練する、また、ポリマーと実質的に反応しない溶剤に分散させたものを、二軸押出機などを利用してポリマーの溶融状態で混合する、といった方法で製造可能である。
このようにして得られた無機充填物とポリエステルの組成物は、例えば常法に従いポリマーの流動温度で溶融して紡糸口金より吐出し、紡糸することによって本発明の産業資材用ポリエステル繊維とすることができる。延伸する際には、細化点を固定するための加熱帯及び冷却チムニーを通じ、引き続いて油剤を付与したのちに3000m/min以下の紡糸速度にて引取り、一旦捲取後に延伸に供する、あるいは一旦捲取ることなく引き続き延伸に供することが好ましい。さらには全延伸倍率3.5〜8倍にて2段以上の多段延伸をすることや、融点以下の温度にて熱処理を施したのちにパッケージに捲取ることが好ましい。このとき繊度が大きすぎる場合には紡糸口金よりポリマーを吐出したのちに冷却チムニーでの冷却が不充分となり易く、単糸間の膠着が起きることによって安定した繊維の製造が困難となる傾向にある。
また、本発明の産業資材用ポリエステル繊維は、総繊度が1.5〜3000dtexであることが必須である。1.5dtexより小さい場合は生産性が低下するとともに、単繊維の強度が低下するために毛羽が発生する問題がある。逆に3000dtexより繊度が大きい場合は太くなりすぎて柔軟性が得られない問題や、紡糸時に単糸間の膠着が起こりやすく安定した繊維の製造が困難である。繊維は糸条を構成しているが、総繊度が上記の範囲にあれば、糸条を構成する各単繊維の繊度には特に制限は無く、単一の繊維からなるモノフィラメントであっても構わないが、柔軟性の観点からは多数の繊維から構成されたマルチフィラメントであることが好ましい。フィラメント数としては50〜200本が好ましく、さらにそのようなマルチフィラメントの繊維を合糸して用いることも好ましい。さらには、本発明の産業資材用ポリエステル繊維が糸条を構成する場合の総繊度は、250〜2500dtexの範囲であることが好ましく、さらには500〜2000dtexであることが好ましい。
本発明の産業資材用ポリエステル繊維の強度は5cN/dtex以上であることが好ましい。高強度であるほど好ましく、強度が5cN/dtex未満の場合には、産業資材用繊維として耐久性が低下する傾向にある。さらには5.5〜11cN/dtexの範囲が好ましく、6〜9.5cN/dtexの範囲が最も好ましい。
このような強度とするためには本発明の産業資材用ポリエステル繊維は、その極限粘度が0.60〜1.20であることが好ましい。更に好ましくは0.70〜1.10である。極限粘度が0.60未満では強度、タフネスが低下する傾向にある。一方、極限粘度が1.20以上の繊維は溶融粘度が非常に高く溶融紡糸が不良となり易く、ポリエステル繊維を製造しにくい傾向にある。
また本発明のポリエステル繊維は、紡糸時に油剤を0.05〜2重量%付着したものであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%である。このような油剤の付与方法としては、ストレート(原油もしくは溶剤希釈など非含水)油剤又はエマルジョン(水での乳化)油剤を、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等公知の方法により付与することで得ることができる。付与する工程は、紡出糸条が固化した時点以降いずれの時点でも良いが、通常は引取ローラーより前の時点で繊維糸条に付与することが好ましい。
本発明の産業資材用ポリエステル繊維に付与する油剤としては、特に制限されるものでなく、公知のものを製糸・加工工程や用途に応じて用いても良いが、平滑性に優れ、製糸時あるいは製織加工時の毛羽発生や生産性低下のないものが好ましく、例えば、ウェビングやシートベルト用途には脂肪族エステル化合物を油剤の主体成分として好適に用いることができる。ここで、脂肪族エステル化合物とは、1価の高級アルコールと1価又は2価の脂肪族カルボン酸とから得られるエステル化合物であって、例えば、炭素数20〜34の高級アルコールと炭素数16〜18の高級脂肪酸又はアジピン酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸等の2価カルボン酸とのエステル化合物、具体的にはイソエイコシルステアレート、イソペンタコシルパルミテート、イソペンタコシルオレート、イソペンタコシルエルシネート等のモノエステル、及びジオレイルアジペート、イソステアリルチオジプロピオネート、ジイソステアリルセバケート等のジエステルを1種もしくは2種以上を組み合わせて油剤の主成分として用いることができる。
また、油剤組成物として、必要に応じて乳化剤、高分子活性剤、制電剤、酸化防止剤、耐光剤、微量のシリコーン系やフッ素系の表面張力低下剤等の成分を1種あるいは2種以上組み合わせて適時調整して用いることができることは言うまでも無い。
本発明の産業資材用ポリエステル繊維は、繊維軸方向に配向しナノ分散した層状珪酸塩により補強され、高強度、高モジュラス、かつ寸法安定性及び低摩擦特性に優れた産業資材用繊維として好適に使用することができる。
また、別の本発明は上記本発明の産業資材用ポリエステル繊維を用いた産業資材用織編物である。本発明の織編物は、常法により前述のポリエステル繊維から作成することができる。得られた織編物は、産業資材用途等に広範に用いることができ、たとえばその用途としてはシートベルト、エアバック、ロープ、ネット、ドライヤーキャンバス、樹脂コンテナシート、コンテナバック、ターポリン等に代表される産業資材、及びその基布、各種織物、各種編物、短繊維不織布、長繊維不織布用、等の各種繊維用途が挙げられ、本発明の効果を顕著に発現させることができる。
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。ただし、これらの実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
(1)層状珪酸塩
モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製 クニピアF(陽イオン交換容量0.1当量/100g)を使用した。層間距離は1.3nmであった。この層状珪酸塩の陽イオン部分における1電荷あたりの分子量は909である。
(2)カチオン交換率
(株)リガク製示差熱天秤TG8120を用いて窒素雰囲気下20℃/minで800℃まで加熱した際の120〜800℃までの重量減少率から次式(2)を用いて用いた。
カチオン交換率(%)={Wf/(1−Wf)}/(Morg/Msi)×100・・・・(2)
(Wfは20℃/minの昇温速度で120℃から800℃まで測定した層状珪酸塩の示差熱天秤による重量減少率、Morgは該イミダゾリウムイオンの分子量、Msiは層状珪酸塩の陽イオン部分における1電荷あたりの分子量を表す。)
(3)樹脂組成物中のポリマーと層状珪酸塩の無機成分との重量比
(株)リガク製示差熱天秤TG8120を用いて窒素雰囲気下20℃/minで800℃まで加熱した際の重量減少率から求めた。
(4)熱分解温度:
(株)リガク製示差熱天秤TG8120を用いて窒素雰囲気下20℃/minで800℃まで加熱した際の5重量%重量減少した温度を求めた。
(5)層状珪酸塩の層間距離
(株)リガク製粉末X線回折装置RAD−Bを用いて回折ピーク位置から算出した。
(6)極限粘度([η])
(a)ポリエチレンナフタレート繊維0.6gをフェノールとオルトジクロロベンゼンとの混合溶液(容積比6:4)50cmに溶解し、オストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件にて常法に従って測定した粘度から算出した。
(b)ポリエチレンテレフタレート繊維0.6gをオルトクロロフェノール50cmに溶解し、オストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件にて常法に従って測定した粘度から算出した。
(7)繊維の強伸度及びモジュラス(中間荷伸、ヤング率)
引張荷重測定器((株)島津製作所製オートグラフ)を用い、JIS L−1013に従って測定した。尚、中間荷伸は強度4cN/dtex時の伸度を表した。
(8)乾熱収縮率
JIS−L1013に従い、20℃、65%RHの温湿度管理された部屋で24時間放置後、無荷重状態で、乾燥機内で177℃×30min熱処理し、熱処理前後の試長差より算出した。
(9)フィラメント間の摩擦係数
DuPont法(特開昭48−35112に詳細に記載)に従って、20℃で測定し算出した。
(10)製糸性
紡糸・延伸工程における製糸性について、以下の3段階評価で表した。毛羽発生・糸切れが無く非常に良好(○)、やや毛羽の発生があるものの糸切れが無く良好(△)、毛羽・糸切れが発生(×)。
(11)ベルト強力利用率
原糸段階と、染色後のシートベルトの段階での強力をそれぞれ測定し、染色後のベルトの強力、経糸構成本数及び原糸強力より、ベルト強力利用率を以下の式から算出した。
ベルト強力利用率: X={Y/(S×経糸構成本数)}×100
ここで、Yはシートベルトの引張破断強力(N)、Sは原糸の引張破断強力(N)を表す。
[有機オニウム化合物及び層状珪酸塩の調整]
フラスコにフタルイミドカリウム85重量部、1,10−ジブロモデカン1008重量部、無水ジメチルホルムアミド430重量部を入れ、攪拌し、100℃で20時間加熱した。加熱後、揮発性成分を全て除去し、残渣をキシレンで抽出した。抽出した溶液から揮発性成分を留去し、残渣を室温で放置することで10−ブロモデカメチレンフタルイミドの結晶を得た。
フラスコにトリオクチルホスフィン20重量部、フタルイミドデカメチレンイミダゾリウムブロミド20重量部を入れ攪拌し、約100℃で8〜10時間攪拌し、N−フタルイミドデカメチレントリイオクチルホスホニウムブロミドを得た。(下記式)
Figure 2006257597
続いて、フラスコにクニピアF100重量部、水3000重量部、メタノール500重量部を入れ、80℃で加熱攪拌した。ここにN−フタルイミドデカメチレントリオクチルホスホニウムブロミド120重量部をメタノール300重量部で溶解させた溶液を加え、さらに80℃で3時間攪拌した。混合物から固体を濾別し、メタノールで3回、水で3回洗浄したのち、陽イオン交換された層状珪酸塩を得た。陽イオン交換率は65%、熱分解温度は374℃、層間距離は24.7Åであった。
(ポリエチレンテレフタレート繊維)
[実施例1]
フラスコにテレフタル酸ジメチル200重量部、エチレングリコール140重量部の混合物を入れ、前述の方法で得た層状珪酸塩3重量部、酢酸カルシウム一水和物0.128重量部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、窒素で0.07MPaに加圧し140℃から240℃まで昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート0.07重量部を添加してエステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物を重合容器に移し、三酸化アンチモン0.04重量部を添加し、290℃で1時間かけて常圧から0.5Torrまで減圧し、そのまま1時間重合反応し、ポリエチレンテレフタレートと層状珪酸塩の組成物(ポリエチレンテレフタレートと無機成分の重量比=100:1)を得た。この組成物の融点は254℃、極限粘度は0.63であった。得られたポリマーをペレット状に成形後、窒素雰囲気下160℃にて3時間の乾燥、予備結晶化し、さらに230℃真空下にて固相重合反応を行い、極限粘度0.98のポリエチレンテレフタレートと層状珪酸塩の組成物ペレットを得た。
これを溶融温度296℃にて口径直径0.5mm、120孔数の紡糸口金より紡出、冷却し、脂肪族エステル化合物を主体成分とするエマルジョン油剤を、繊維の油剤付着量が0.5%となるようにローラー式油剤付与装置で油剤付与したのち、500m/minの速度で引取り、引き続いて90℃で表1に示す延伸倍率で2段延伸を行い、最終ローラで220℃熱セットしたのちに繊維を捲き取り、産業資材用ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の特性を表1にまとめて示す。
さらに得られた産業資材用ポリエステル繊維を2本合糸し、それを経糸として360本用い、また、緯糸として500デニール/96フィラメントのポリエステル糸を用い、織密度19本/2.54cm(1インチ)で51mm巾のシートベルト用生機となした。この生機に下記処方のパッド染色剤を付与し、温度250℃染色時間1分間の条件で染色した。
Dianix―Blue(三菱化成(株)製):100g/リットル
Disper TL(明成化学(株)製):1g/リットル
アルギン酸Na:0.5g/リットル
酢酸(PH4に調整):0.1ml/リットル、及び水
水洗後、ポリエステル系ウレタン樹脂の水分散液ポンティック1620(日本ライヒホールド(株)製;10重量%)に浸漬し、絞ったのち温度180℃で2分間熱処理を施し、49mm巾の産業資材用織編物であるシートベルト製品を得た。得られたベルトの強力利用率を表1に併せて示した。
[実施例2]
トータル延伸倍率を実施例1の4.7倍から4.9倍に変更した以外は実施例1と同様に行い、産業資材用ポリエステル繊維および産業資材用織編物を得た。得られた測定値を表1に併せて示す。
[比較例1]
層状珪酸塩を添加しない以外は実施例1と同様にして、極限粘度0.98のポリエチレンテレフタレートのペレットを得た。
さらに実施例1と同様に紡糸、延伸を行い、産業資材用ポリエステル繊維および産業資材用織編物を得た。得られた測定値を表1に併せて示す。
[比較例2]
比較例1と同じく、層状珪酸塩を添加しない以外は実施例1と同様にして、極限粘度0.98のポリエチレンテレフタレートのペレットを得た。
さらに実施例1と同様に紡糸を行い、中間荷伸を実施例に合わせるべくトータル延伸倍率を実施例1の4.7倍から5.2倍に上げてポリエステル繊維を得たが、糸切れが多く織編物の製造はできなかった。得られた測定値を表1に併せて示す。
Figure 2006257597
(ポリエチレンナフタレート繊維)
[実施例3]
フラスコに2,6−ビス(ヒドロキシエチル)ナフタレンジカルボキシレート250重量部、前述の方法で得た層状珪酸塩4.5重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気下、常圧にて230℃から290℃まで2時間かけて昇温した。さらに290℃で1時間かけて常圧から0.5Torrまで減圧し、そのまま1時間重合反応し、ポリエチレンナフタレートと層状珪酸塩の組成物(ポリエチレンナフタレートと無機成分の重量比=100:1.5)を得た。この組成物の融点は265℃、極限粘度は0.53であった。得られたポリマーをペレット状に成形後、窒素雰囲気下160℃にて3時間の乾燥、予備結晶化し、さらに230℃真空下にて固相重合反応を行い、極限粘度0.78のポリエチレンナフタレートと層状珪酸塩の組成物ペレットを得た。
これを溶融温度320℃にて口径直径0.5mm、120孔数の紡糸口金より紡出・冷却し、脂肪族エステル化合物を主体成分とするエマルジョン油剤を、繊維の油剤付着量が0.5%となるようにローラー式油剤付与装置で油剤付与したのち、500m/minの速度で引取り、引き続いて140℃で表2に示す延伸倍率で2段延伸を行い、最終ローラで220℃熱セットしたのちに繊維を捲き取り、産業資材用ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の特性を表2にまとめて示す。
さらに得られた産業資材用ポリエステル繊維から、実施例1と同じく、49mm巾の産業資材用織編物であるシートベルト製品を得た。得られたベルトの強力利用率を表2に併せて示した。
[実施例4]
トータル延伸倍率を実施例3の5.1倍から5.4倍に変更した以外は実施例3と同様に行い、産業資材用ポリエステル繊維および産業資材用織編物を得た。得られた測定値を表2に併せて示す。
[比較例3]
層状珪酸塩を添加しない以外は実施例3と同様にして、極限粘度0.78のポリエチレンナフタレートのペレットを得た。
さらに実施例3と同様に紡糸、延伸を行い、産業資材用ポリエステル繊維および産業資材用織編物を得た。得られた測定値を表2に併せて示す。
[比較例4]
比較例3と同じく、層状珪酸塩を添加しない以外は実施例3と同様にして、極限粘度0.78のポリエチレンナフタレートのペレットを得た。
さらに実施例3と同様に紡糸を行い、中間荷伸を実施例に合わせるべくトータル延伸倍率を実施例3の5.1倍から5.4倍に上げてポリエステル繊維を得たが、糸切れが多く織編物の製造はできなかった。得られた測定値を表2に併せて示す。
Figure 2006257597
表1、2に示した結果から、本発明における層状珪酸塩を分散せしめたポリエステル繊維(実施例1〜4)は、層状珪酸塩を含有しない比較例1〜4で得られた繊維に比べて高強度を維持しつつモジュラスが高く、さらに低収縮であることが明らかであり、本発明における層状珪酸塩によってポリエステル繊維が効果的に補強され、モジュラス及び寸法安定性が向上したことを示すものである。
比較例2、4はそれぞれ実施例1、3に対して、トータル延伸倍率を上げることによって、実施例1、3と同レベルの中間荷伸、ヤング率を得ようと試みたものであるが、いずれの繊維もヤング率が本発明における実施例より低く、さらに糸切れが発生し製糸性が低下した。
また、特筆すべきは、本発明の産業資材用ポリエステル繊維(実施例1〜4)は、フィラメント間の摩擦係数が低くなることを見出した。表1、2における本発明における実施例のベルト強力利用率が比較例対比で向上しているのは、層状珪酸塩をナノ分散することによって繊維が低摩擦化され、製織加工時の強力ロスやダメージが軽減されたものと考えられる。ちなみに、実施例1〜4で得られたベルトは毛羽欠点や染色斑はなく、ベルト品位も問題ないものであった。
また、得られたポリエステル繊維の透過型電子顕微鏡写真では、本発明におけるポリエステル繊維中に含有する層状珪酸塩はナノスケールで均一に繊維ポリマー中に分散しており、かつその層状珪酸塩は繊維軸方向に配向していた。

Claims (7)

  1. ポリエステル100重量部に対して、層状珪酸塩からなる無機成分を0.1〜15重量部含有し、総繊度が1.5〜3000dtexであることを特徴とする産業資材用ポリエステル繊維。
  2. 層状珪酸塩が有機オニウムイオンで60〜100%イオン交換されている請求項1記載の産業資材用ポリエステル繊維。
  3. 有機オニウムイオンが下記式(1)
    Figure 2006257597
    (式中、Mは窒素原子またはリン原子である。R,R,R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基またはヘテロ原子を含む炭化水素基、また任意のR,R,R及びRは環を形成していても良い。)
    で表される請求項2記載の産業資材用ポリエステル繊維。
  4. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の産業資材用ポリエステル繊維。
  5. 該ポリエステル繊維の強度が5cN/dtex以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の産業資材用ポリエステル繊維。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル繊維を用いることを特徴とする産業資材用織編物。
  7. 産業資材用織編物が、シートベルト、エアバッグ、ロープ、ネット、ドライヤーキャンバス、コンテナバック、樹脂コンテナシート、ターポリンの群から選ばれるいずれか一つである請求項6項記載の産業資材用織編物。




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