JP2004027136A - ポリ乳酸系樹脂組成物、その製造方法及びポリ乳酸系樹脂組成物を素材とする加工品 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリ乳酸系樹脂に層状珪酸塩を微分散させるポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法及びその製造方法によって得られる生分解性、耐熱性、機械的物性及び成形性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂と水又は水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩とを、せん断混練装置に加え、0℃以上であって前記ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満に調整された温度範囲において混練する製造方法である。かかる製造方法により所望特性を備えた層状珪酸塩を含有するポリ乳酸系樹脂組成物が得られる。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂と水又は水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩とを、せん断混練装置に加え、0℃以上であって前記ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満に調整された温度範囲において混練する製造方法である。かかる製造方法により所望特性を備えた層状珪酸塩を含有するポリ乳酸系樹脂組成物が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸系樹脂と層状珪酸塩を含有するポリ乳酸系樹脂組成物からなる、耐熱性および機械的物性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物、その製造方法ならびにポリ乳酸系樹脂組成物を素材とする加工品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自然環境保護の見地から、生分解性または自然環境下で分解するポリマーが注目されている。既に、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクトン等の脂肪族ポリエステル系樹脂を中心に生分解性を有するポリマーは多数見出されている。その中でも、ポリ乳酸や乳酸単位を主構成単位とするポリ乳酸系樹脂は、融点が150〜180℃と比較的高く、成形性、剛性、透明性、防カビ性等に優れると共に、トウモロコシやジャガイモ等の再生産可能な植物資源から得られるデンプンを出発原料としている点、及びこれを発酵して得られる乳酸が生態的に極めて安全な物質であるという点から、使用後生分解されて自然界で循環される樹脂としてはもっとも好ましい樹脂の一つとして有望視されている。さらには、近年、原料の乳酸が発酵法により大量かつ安価に製造されるようになってきたことから、現行の汎用樹脂の代替原材料として、種々の分野での実用化が待ち望まれている。
【0003】
乳酸には、光学活性を有する炭素原子に由来してL体およびD体の光学異性体が存在し、それぞれL−乳酸、D−乳酸と呼ばれている。一般的に、発酵法にて低コストで得られるものはL−乳酸が多く、また使用後の微生物による分解の容易さ等からL−乳酸の方が好んで用いられている。ポリ乳酸には、乳酸の構造単位がL−乳酸であるポリ−L−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリ−D−乳酸、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ−DL−乳酸があり、これらの混合物もある。
【0004】
ポリ乳酸がL−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する構造単位だけからなる場合には、重合体は結晶性で高融点を有する。共重合体では、L−乳酸とD−乳酸の割合によって非晶性となる。すなわち、共重合体中のL−乳酸とD−乳酸の割合が、94:6〜6:94の範囲内のものは非晶性を示し、アニール処理を行っても結晶化しないか、結晶化してもその結晶化度が低すぎて耐熱性を満足しない。逆に、結晶性のポリ乳酸は、重合体中のL−乳酸とD−乳酸の割合が、100:0〜94:6もしくは6:94〜0:100の範囲内で得られ、アニール処理等によって結晶化度を上げれば、耐熱性は向上する。したがって、通常、耐熱性の向上を図るためには、ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の割合は、この結晶性を示す範囲にあることが必要となる。
【0005】
しかしながら、前記結晶性のポリ乳酸を用いても、ポリ乳酸の結晶化速度が遅いため、かつ、ガラス転移温度が60℃前後と低いため、その射出成形等による容器や成形品は耐熱性に劣り、その溶融温度以下の50〜100℃程度の比較的低温でも容易に熱変形してしまうという問題点があった。そのため、ポリ乳酸は、例えば、熱湯を注ぎ込むための容器や、電子レンジで使用するための容器等、高温で使用する用途には適していなかった。耐熱性を向上させるには成形加工時に金型を高温に保ち冷却時間を長くするか、また、成形後に成形品をガラス転移温度から溶融温度までの温度域でアニール処理して高度に結晶化する必要があった。しかし、成形時に長時間の冷却工程を要することは実用的でなく、かつ、結晶化が不十分となり易く、また、アニールによる後結晶化は成形品が結晶化する過程で変形しやすい欠点がある。勿論、非晶性のポリ乳酸に至っては、このような高温金型成形やアニール処理による耐熱性の向上は望むべくもなかった。
【0006】
一方、従来から、結晶性、非晶性を問わず、ゴムやプラスチックなどの高分子材料の機械物性や耐熱性を改良するために、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維などの繊維状無機フィラー、針状メタケイ酸カルシウム、針状チタン酸カリウム、針状酸化チタンなどの針状無機フィラー、タルク、雲母、カオリン、クレー、炭酸カルシウムなどの板状および粒状の無機フィラーなどを混合・混練することが行われてきている。一般に、繊維状フィラーは機械的強度、剛性及び耐熱性の向上効果が最も高いが、成形加工性や成形品の表面外観が悪く、また、針状フィラーは機械的強度と耐衝撃性のバランス及び表面外観の点で優れるが、耐熱性の改良効果は充分ではない。板状及び粒状フィラーの場合は、成形品の表面外観や成形性は良好であるが、機械的強度や耐熱性の向上効果は最も低い。ただし、タルク、カオリン、クレーの中には、結晶核剤として作用するものもあり、結晶化速度の比較的速い結晶性樹脂においては、結晶化を促進させ、機械的強度や耐熱性の向上に寄与する場合もある。
【0007】
近年、これらの無機フィラーの中でも、クレーの一種で層状構造を有する水膨潤性の高い層状珪酸塩の活用が注目を浴びてきている。例えば、膨潤性層状珪酸塩の代表例として、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物を挙げることができるが、これらは水和性を有しているので、水分子の進入によって無限に膨潤し、特に希薄水溶液中では、大部分が単位層にまで分離することが知られている。このように、層状構造の層間が剥がれ、数層単位または単位層に分離すれば、アスペクト比および比表面積が著しく大きくなり、これらを樹脂中に微分散させることによって、顕著な補強効果が期待できる。しかし、これらの層状珪酸塩は多くの場合、マトリックスを形成する高分子化合物との親和性が弱いために、単に樹脂と溶融混練するだけでは、多数の単位層が積層固着したブロック状粒子として分散するに過ぎず、少量の配合割合では機械的強度や耐熱性の改善など、補強効果が充分に得られない。
【0008】
1nm程度の厚さの単位層が数百から数千程度積層凝集した構造を有する層状珪酸塩を、熱可塑性樹脂と溶融混練することにより、単位層またはそれに近い状態で分散させる技術として、例えば、モンモリロナイトの層間イオンを有機オニウムイオンで置換することにより、芳香族炭化水素やラクタム類による膨潤能を付与した有機化粘土を、水、エタノールまたはラクタム類中で膨潤状態としたのち、ポリアミド樹脂と混合および/または溶融混練することによってポリアミド複合材料を製造する方法(特公平7−47644号公報)、また、非晶性熱可塑性樹脂と層状珪酸塩を溶融混練する際に有機溶媒を加え、混練装置のベント口を減圧状態に保持することにより、有機溶媒を除去することによって非晶性熱可塑性樹脂組成物を製造する方法(特開平8−151449号公報)などが開示されている。しかし、これらの方法を熱可塑性ポリエステル樹脂に適用した場合、加水分解などによって、ポリエステル樹脂の低分子量化が起こり、強度、靭性などが著しく低下するという問題があった。
【0009】
熱可塑性ポリエステル樹脂に層状珪酸塩を溶融混練法により分散させる技術としては、例えば、熱可塑性芳香族ポリエステルと有機オニウムイオンが結合した層状粘土鉱物とを、ラクトン、ラクタム類、それらの重合体などの相溶化剤の存在下に混合及び/又は溶融混練する方法(特開平3−62846号公報)が開示されているが、この技術では、まだ樹脂中における有機オニウムイオンで有機化した層状粘土鉱物の分散性が不十分であり、また、樹脂相の加水分解劣化が避けられないため、物性の改善効果が顕著ではない。このポリエステルの加水分解による低分子量化を補完する技術として、ポリアルキレンテレフタレート樹脂とシラン系表面処理剤で処理したケイ酸塩化合物およびジオール化合物の混和物とを溶融混練した後、この混練物中の低分子量化したポリアルキレンテレフタレート樹脂を固相重合処理する方法(特開平11−140286号公報)が提案されている。また、層状珪酸塩の分散性を改良する技術として、層状珪酸塩をエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基などを有するシラン系表面処理剤等で処理し層間間隔を拡大化した後、分散安定化剤として、ポリオキシアルキレン鎖、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基などが結合したシリコーン系界面活性剤等を層間挿入処理し、熱可塑性樹脂(ポリエステル系樹脂も包含する)と溶融混練する方法(特開平10−259017号公報)などが開示されている。しかし、これらの方法は工程が煩雑であるため、経済性および実用性に欠けるという問題点があった。
【0010】
上記以外の方法として、例えば、ポリエステル形成能を有するモノマーあるいはオリゴマーに対して、グリコール類で膨潤処理した層状無機化合物を所定量存在させた状態で重合することによって、ポリエステル中に無機化合物を均一に分散させる、いわゆる重合法が知られている(特開平7−26123号公報、特開平7−268188号公報、特開平8−73710号公報など)。しかしながら、かかる重合法においては、重合度の制御が難しく、また、重合工程中に無機物が混入してしまい、重合材料の切り替え時などに大量の切り替えロスが生じるなどの問題があり、効率的且つ経済的に製造することができなかった。特に、層状無機化合物の含有量が高くなると、製造効率はますます低くなり、分散性も不均一化する傾向があった。
【0011】
以上のように、溶融混練法および重合法では、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩を均一に微分散させるために、層状珪酸塩の層間を膨潤させ、さらに、樹脂との親和性を図るべく有機化合物で前処理する必要があり、結果として、製造プロセスが複雑になり、コストおよび時間がかかるという問題があった。しかも、熱可塑性樹脂の種類によっては、適当な膨潤化剤および有機化剤がなく層状珪酸塩を均一に微分散させるのが困難なものもあり、広く全般の熱可塑性樹脂に適用できる技術ではなかった。熱可塑性ポリエステル樹脂の場合も、加水分解性と相まって、層状珪酸塩を配合してなる組成物の機械物性や耐熱性はまだ十分なものではなく、なかでも生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂においては、実用的な性能を有する層状珪酸塩配合の樹脂組成物を得ることが極めて困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ポリ乳酸系樹脂に層状珪酸塩を微分散させる製造方法及びその製造方法によって得られる生分解性、耐熱性、機械的物性及び成形性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物ならびに前記ポリ乳酸系樹脂組成物を素材とする加工品を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
一般に、押出機等を用いた樹脂の混練は、樹脂を溶融温度以上の高温下で溶融させた状態で行う、いわゆる溶融混練を指すのが常識であるが、本発明者らは、すでに、特願2001−390058号において、ポリエチレンテレフタレート(以下PETという。)製の廃棄ボトルの粉砕品を用いた押出混練方法として、PETの溶融温度未満の温度域(固相温度領域)でせん断混練する技術を提案している。この混練技術によれば、PETの結晶化処理、脱水処理及び加水分解抑制処理が一挙に行えるという特徴を有し、吸湿性フィラーとの混練においても、加水分解による物性低下の少ない高品質である再生品が得られる。その実施例には、PETボトルの粉砕品と層状珪酸塩の一種であるベントナイトを、二軸押出機を用いて、PETの溶融温度未満の温度(80℃)でせん断混練した事例を挙げているが、PETの結晶性およびベントナイトの分散性が向上し、その射出成形品は、優れた耐熱性及び機械的物性を示した。
【0014】
前記ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合物である芳香族ポリエステルの一種で、ガラス転移温度が70〜80℃、再結晶化温度が120〜130℃、融点が260〜270℃付近にあり、その結晶化速度は緩慢で、水分の存在下では加水分解劣化を起し易いという熱的な特徴を有する。一方、例えばL−乳酸を構成単位とするポリ乳酸は、その融点はPETには及ばないものの(160〜180℃)、ガラス転移温度(60℃前後)及び再結晶化温度(110〜130℃)はPETに近いこと、また、結晶化速度が比較的緩慢な点及び加水分解劣化を起こし易い点など、本発明者らは、その熱的挙動がPETに類似していることに着目し、PETの低温押出混練で得られた知見をポリ乳酸に応用することによって、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の本発明に従えば、ポリ乳酸系樹脂と水または水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩とを、せん断混練装置を用いて、0℃以上でかつ前記ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満の温度で混練する製造方法を特徴とするものである。かかる製造方法によって、層状珪酸塩がマトリックス中に均一分散し、優れた耐熱性、機械的物性及び成形性を具備したポリ乳酸系樹脂組成物が提供される。
【0016】
また、請求項3に記載の本発明に従えば、ポリ乳酸系樹脂と水又は水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩とを、せん断混練装置を用いて、0℃以上であってかつ前記ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満の温度範囲で混練されたポリ乳酸系樹脂組成物を特徴とするものである。このような特徴を有するポリ乳酸系樹脂を素材として、良く知られている成形方法又は加工方法を適用することにより優れた機械的強度と耐熱性を有し、かつ生分解性を示す多くの成形品、加工品等が得られる。
【0017】
また、このようにして得られるポリ乳酸系樹脂組成物を素材として請求項9以降に示すように射出成形品、押出成形品、真空成形品、ブロー成形品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、多孔質成形品、各種部品、その他の加工品を得ることができる。このようにして得られる加工品は充分な機械的強度と耐熱性を有し、かつ優れた生分解性を示す。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂は、構造単位がL−乳酸であるポリ−L−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリ−D−乳酸、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸であるポリ−DL−乳酸共重合体、もしくはこれらの混合物を主成分とするものであり、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他のエステル形成能を有するモノマー成分を共重合してもよく、また、ポリ乳酸以外の他の脂肪族ポリエステルや芳香族ポリエステル等を単独又は2種以上混合してもよい。
【0019】
共重合可能なモノマー成分の具体例としては、例えば、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。また、ポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステルや芳香族ポリエステルとしては、例えばポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバゲート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバゲート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサンアジペート、ポリヘキサンセバゲート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートなどを挙げることができる。
【0020】
このようにポリ乳酸を共重合や混合によって変性する目的は、結晶性や融点の低減、溶融流動性、強靭性、耐衝撃性、柔軟性の改良、摩擦係数、表面粗さ、接着性、混合性、耐熱性やガラス転移温度の向上または低減、ガスバリア性、透湿性、親水性や撥水性の改良、分解性の向上または抑制などが挙げられ、目的に応じて、変性ポリ乳酸を本発明に応用することができる。一般に、前記ポリ乳酸以外の成分の共重合比率や混合比率は、ポリ乳酸系樹脂全重量の50重量%未満、特に1〜30重量%が多く用いられ、2〜20重量%が最も多く用いられる。
【0021】
本発明にかかるポリ乳酸系樹脂組成物の構成成分であるポリ乳酸系樹脂の製造方法は特に限定されず、公知の任意の方法を採用することができる。例えば、乳酸を加熱減圧下で直接脱水して縮重合する縮重合法や、乳酸から環状2量体であるラクチドを経由して開環重合することにより製造する開環重合法など、目的に応じて適宜選択すればよい。また、分子量の増大や分岐、架橋を目的として、重合の際に少量の鎖延長剤、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物、有機過酸化物などを使用することもできる。
【0022】
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能で、実用的な機械物性を示すものであれば特に制限されないが、一般的には、重量平均分子量で、1〜100万が好ましく、3〜70万がより好ましく、5〜50万がさらに好ましい。重量平均分子量が1万より小さい場合、機械物性が十分ではなく、逆に分子量が100万を超える場合には、溶融粘度が高すぎ成形加工が困難となる。
【0023】
本発明においては、ポリ乳酸系樹脂の形状はペレット状、粒子状、粉状、フレーク状、チップ状など、特に制限はないが、ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満の温度で混練させることから、その形状が低せん断力でも効率よく変形を受け易い扁平なフレーク状やチップ状などであるものが好ましい。さらに、結晶性のポリ乳酸系樹脂を用いる場合は、結晶化度の低い透明な状態にして使用するのが好ましい。すなわち、混練効率を高め、かつ混練装置への負荷を低減するためには、扁平形状でかつ非晶状態にあるポリ乳酸系樹脂を用いるのがもっとも好ましい。このような性状に加工する方法に特に制限はなく、例えば、結晶性ポリ乳酸系樹脂の原体が結晶化度の高い白濁または白色のペレット状態にある場合、予め押出機等で一旦溶融させたのち、吐出した溶融ストランドを冷却水中においてローラー等で押し潰しながら冷却し、これを通常のペレタイザーでカッティングすることによって、あるいは、ダイ孔形状が長方形または長楕円形状の扁平形状を有する押出機等で溶融押出し、水冷及びペレタイズすることによって、扁平形状でかつ非晶状態にある様態に容易に変えることができる。また、これらの大きさは、ブレンドおよび供給のしやすさなどから、一般に10mm以下であるのが好ましい。
【0024】
本発明に用いられる層状珪酸塩としては、結晶構造が実質的に酸化ケイ素の四面体シートおよび金属水酸化物の八面体シートからなり、水または水を主成分とする分散溶媒中で膨潤する性質を有するものであれば、特に限定されず、例えば、スメクタイト系粘土鉱物や、カオリン系粘土鉱物、膨潤性雲母およびバーミキュライトなどが挙げられる。スメクタイト系粘土鉱物の具体例としては、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト、ベントナイトなど、また、カオリン系粘土鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ハロサイトなどを挙げることができる。膨潤性雲母としては、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、ナトリウム型四フッ素ケイ素雲母などが挙げられ、バーミキュライトは、八面体のイオン比率によって、3八面体型バーミキュライト及び2八面体型バーミキュライトに分類される。これらの層状珪酸塩はその置換体や誘導体であってもよく、また、天然、合成品、加工処理品のいずれでもよい。さらに、これらを単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
前記層状珪酸塩のなかでも、スメクタイト系粘土鉱物が膨潤しやすい点から好ましく使用され、そのなかでもモンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトが好ましく、層間にナトリウムイオンを有するモンモリロナイト、ベントナイトがより好ましい。
【0026】
本発明においては、さらに、層状珪酸塩の層間を膨潤させ層間剥離を助長しポリ乳酸系樹脂への分散性を向上させるため、層状珪酸塩に水または水系溶媒を含ませて使用するのがよい。層状珪酸塩に占める必要な水または水系溶媒の量は5重量%以上、好ましくは10重量%以上である。水または水系溶媒の量が5重量%より少ないと、混練した時に層状珪酸塩の剥離が起こり難く、マトリックスへの分散が不均一になるため好ましくない。水または水系溶媒の添加方法に特に制限はなく、層状珪酸塩をミキサーで攪拌しながら、所定量の水または水系溶媒を少量ずつ滴下添加したり、噴霧器等を用いて霧状にして添加したり、水蒸気で蒸らす方法を用いてもよい。さらには、水または水系溶媒に層状珪酸塩を添加攪拌し、水または水系溶媒中に層状珪酸塩を分散させた水溶液にしておくのもよい。この場合もその分散処理方法に特に制限はなく、水または水系溶媒中に層状珪酸塩を添加し加熱攪拌する方法、あるいは超音波処理、震とう処理など任意の方法を用いることができる。また、この水溶液中における層状珪酸塩の固体分散濃度は、層状珪酸塩が充分に分散可能な濃度範囲であるならば自由に設定し得るが、概ね30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。下限は特に限定されないが、0.05重量%、さらに0.1重量%が望ましい。
【0027】
前記水系溶媒は、水と水に可溶な溶媒の混合溶媒であれば特に制限はなく、例えば、水と極性溶媒の混合溶媒が挙げられる。極性溶媒の具体例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
さらに、前記水系溶媒に次のような有機化合物を加えることによって、層状珪酸塩のアルカリ、アルカリ土類金属イオン等をこの有機化合物で置換し、ポリ乳酸系樹脂への親和性を高めることもできる。このような有機化合物としては、分子中にオニウムイオン基を有するオニウム塩、例えばアンモニウム塩、ビリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩などを挙げることができる。具体的には、オクタデシルアンモニウムイオン、モノメチルオクタデシルアンモニウムイオン、ジメチルオクタデシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、6−アミノ−n−酪酸イオン、6−アミノ−n−カプロン酸イオン、12−アミノドデカン酸イオンなどのイオンを有するものを例示することができる。
【0029】
層状珪酸塩のポリ乳酸系樹脂への配合量は、水分を除いた実質的な層状珪酸塩の重量割合で、0.05〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。配合量が0.05重量%より少ないと、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐熱性および機械物性の向上効果が十分ではなく、配合量が50重量%より多くなると、組成物の流動性が極端に低下し成形加工性が損なわれるばかりでなく、混練時の装置にかかる負荷が過大となり装置が停止してしまう恐れがあるので好ましくない。
【0030】
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法を説明する。本発明で用いられる混練装置としては、上記成分をせん断混練りできるものであれば特に制限はなく、一軸押出機、二軸押出機などのスクリュー式押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができるが、中でもニーディングディスク部を有し、また、脱気効率のよいベント(脱気口)を1つ以上備える二軸押出機が好ましい。
【0031】
本発明に係る樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂と水または水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩を、前記混練装置を用いて、0℃以上、ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満の温度で混練することによって得られる。ここで溶融温度とは、結晶性ポリ乳酸系樹脂ではその融点(Tm)のことをいう。一方、非晶性ポリ乳酸系樹脂においては、一般に明確な溶融転移点がないためにその定義は難しいが、本発明においては、非晶性ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度(Tg)+100℃を指すこととする。ここでTm及びTgはJIS−K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)による測定において、そのサーモグラフから求められる転移温度である。本発明において、好ましい混練温度は20℃(室温)〜Tg+50℃の範囲である。一般的に、通常の溶融混練機においては室温以下の冷却温調が困難であるため、室温以上が適当であるが、冷温温調装置を備えた混練装置であればこの限りではない。混練温度が0℃未満では層状珪酸塩に含まれた水分が凍結固化していまい、そのため混練装置に過大な負荷が加わり、装置が停止する事態や損傷を被る恐れがあるため好ましくない。ポリ乳酸系樹脂の溶融温度以上では、層状珪酸塩が剥離薄層化し難く分散が均一でなくなるため、耐熱性や剛性の向上作用が十分ではなく、また、層状珪酸塩が含有する水分によって、ポリ乳酸系樹脂の加水分解劣化反応が急速に進行するので好ましくない。
【0032】
本発明によれば、例えば二軸押出機を用いた場合、スクリューのデザイン設計及びベントの位置関係を適宜設定することによって、原材料投入から混練、脱水、乾燥の工程を、押出機の上流から下流方向に沿って、連続的かつ効果的に行うことができる。すなわち、ポリ乳酸系樹脂と層状珪酸塩は、押出機内部の混練部で低温せん断混練されることにより、樹脂側が冷延伸作用により結晶化が誘発されるとともに、珪酸塩側はせん断作用により層間剥離が誘発され、結果として後者が前者に微分散することになり、同時に、混練に伴うせん断発熱や機械的な搾り出し作用によって、混練物からの脱水処理も行える。さらに混練後の搬送部の温度設定を適宜設定することにより、脱水分を蒸気としてベントから蒸散させることができる。脱水分量が多い場合には、押出機筒内底部に適宜排水溝や排水用の孔を設けることによって排水効率を高めることができる。なお、原材料の供給は、その様態に応じて適宜任意の方法を選択することができる。例えば、層状珪酸塩が含水率の低い(30重量%以下程度)粉体状にある場合には、ポリ乳酸系樹脂と層状珪酸塩をヘンシェルミキサー等でブレンドして混練機に一括供給してもよいし、また、水分の多い粘土状にある場合や層状珪酸塩の分散水溶液を用いるような場合には、ギヤポンプやリキッドインジェクション装置、フラッシング装置等を用いて、ポリ乳酸系樹脂と別途供給してもよい。
【0033】
押出機を用いて低温混練する場合、混練物が大きさや形状が不規則な未溶融もしくは半溶融の状態で吐出されるため、押出しは先端部のダイヘッドを開放した状態で行うのが好ましい。この場合、その吐出物を粉砕機に通すことで容易に射出成形等が可能な細破片状に変えることができる。例えば、押出機先端の吐出口直下に粉砕機を設置することによって、連続的に破片化処理まで行うことができる。また、ダイヘッドを閉めた状態でも、ダイヘッドを含む吐出部付近の温度をポリ乳酸系樹脂の溶融温度近傍の高温側に設定することで、混練物を一時的に溶融させてストランドとして引くことが可能であり、これを公知の方法でペレット化することができる。
【0034】
また、バンバリーミキサー等のバッチ式の混練装置を用いて混練する場合は、例えばポリ乳酸系樹脂と水又は水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩を100℃未満の低温側で混練を開始し、引き続き100℃又はそれ以上の温度まで適宜温度勾配をかけながら混練することによって、層状珪酸塩をマトリックス中に微分散させつつ、脱水分を蒸気として容易に散逸させることができる。混練物は粉砕機にかけることによって、容易に射出成形等が可能な細破片状に変えることができる。
【0035】
上記の方法で混練された樹脂組成物は、公知の方法により、射出成形品、押出成形品、真空成形品、ブロー成形品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、多孔質成形品、各種部品、その他の加工品を得ることができる。かかる加工品は、衣料・非衣料用品、ボトル類、包装材、家庭用品、家具部品、機械部品、電気・電子部品、自動車部品、工業製品の部材、建築材料、農業用品、園芸用品、林業用品、医療用品、衛生用品、介護用品などの広範な用途に有用である。
【0036】
本発明におけるポリ乳酸系樹脂組成物には、その目的に応じて、原材料の混合時または混練時に、もしくは成形時に、従来公知の可塑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、天然繊維、各種無機粒子、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、架橋剤、結晶核剤、結晶化促進剤、難燃剤、発泡剤、防腐剤、抗菌・抗カビ剤等の各種添加剤を配合しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリ乳酸系樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合することもできる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の理解を容易にするため実施例及び比較例を開示するが、本発明の精神と技術範囲を越えない限り、これら実施例によってその技術的範囲が限定されるものではない。
【0038】
まず、使用した原材料は次の通りである。
ポリ乳酸系樹脂
結晶性ポリ乳酸 : L−乳酸のラクチドを開環重合して得られたガラス転移点60℃、融点168℃、重量平均分子量が約24万のポリ乳酸で、白色のペレット状のものを用いた。性状は白色のペレット。
非晶性ポリ乳酸 : L−乳酸からなる構造単位とD−乳酸からなる構造単位の割合がおよそ90:10で、ガラス転移点56℃、重量平均分子量が約22万のポリ乳酸で、透明なペレット状のものを用いた。性状は透明なペレットである。
層状珪酸塩
モンモリロナイト:クニミネ工業(株)製のクニピアFを用いた。
ベントナイト:クニミネ工業(株)製で、ベントナイト原鉱をピンミルで粉砕したのち、空気分級機で分級されたもので、平均粒径が約4μmのものを用いた。
タルク(比較例)
層状珪酸塩以外の無機フィラーとして、松村産業(株)製のハイフィラー5000PJ(平均粒径2〜3μm)を用いた。
【0039】
混練装置は、(株)日本製鋼所製の二軸押出機TEXα30(口径32mm、L/D=42)を用いた。この装置のシリンダ部はC1〜C12の12ブロックから成り、C1部(スロート)及びC4部(サイド)に原材料供給口を、C3及びC8部にベントを設置し、また、スクリューの混練部(ニーディングゾーン)をC5及びC10の位置になるように配置した。
【0040】
また、実施例及び比較例における各種評価は次の方法にて行った。
(1)射出成形品の物性
得られた樹脂組成物の粉砕細片またはペレットを乾燥したのち、型締圧55tの射出成形機(J55EL2、(株)日本製鋼所製)を用い、シリンダ設定温度200℃、金型温度40℃で射出成形して、JIS規格に準じた物性評価用試験片を作成し、この試験片について曲げ弾性率、曲げ強度および荷重たわみ温度(HDT)を下記の測定法に準拠して測定した。
曲 げ 弾 性 率 : JIS−K7171
曲 げ 強 度 : JIS−K7171
荷重たわみ温度 : JIS−K7191
【0041】
(2)灰分率
得られた樹脂組成物の層状珪酸塩またはタルクに由来する無機灰分率をJIS−K7052に準拠して測定した。
(3)フィラー分散性
射出成形品の表面および割断面(液体窒素中で割断)を目視観察し、さらに電界放出形走査型電子顕微鏡(S−4500、(株)日立製作所製)を用いて、下記判断基準にて層状珪酸塩の分散状態を評価した。
◎:走査型電子顕微鏡を用いても積層凝集物の存在が殆ど確認できない。
○:大きさ0.1〜0.2μm程度の凝集物が若干確認できる。
×:100μm以上の目視レベルで確認できる凝集物が散在している。
【0042】
実施例1
結晶性ポリ乳酸を200℃の温度で溶融押出して、この溶融ストランドを冷却水槽中でローラー通しをして押し潰し、これをペレタイザーでカッティングすることによって、大きさが約1mm×5mm×8mmの透明なフレーク状ポリ乳酸を得た。次に、モンモリロナイトをミキサーで攪拌しながら噴霧器を用いて水を添加し、モンモリロナイトの含有水分率が約30重量%になるように水膨潤モンモリロナイトを調合した。さらに、結晶性ポリ乳酸95重量%、実質的なモンモリロナイトの割合が5重量%になるように、前記結晶性ポリ乳酸とこの水膨潤モンモリロナイトを攪拌混合し、押出機へ投入する原材料とした。押出機のダイヘッド及びベント口を開放状態にして、前記原材料をスロート供給口から供給し、シリンダ設定温度を50℃フラット、スクリュー回転数を200rpmに設定して押出しを行った。得られた固形かつ不定形の混練吐出物を粉砕機にかけ、大きさ5mm以下の細片としたのち、射出成形機を用いて物性評価用試験片を作成した。なお、上記水分含有率は、水膨潤モンモリロナイト100gを真空オーブンで150℃、6時間乾燥後の重量減率から求めた。
【0043】
実施例2
層状珪酸塩としてベントナイトを用いた以外は、実施例1と同様の原材料処理、混練及び射出成形を行った。
【0044】
実施例3
水および実質的なモンモリロナイトの重量比が95:5の割合になるように攪拌混合してモンモリロナイトの分散水溶液を調合した。次いで、押出機のダイヘッド及びC8のベント口を開放状態にして、結晶性ポリ乳酸95重量%、実質的なモンモリロナイトの割合が5重量%になるように、実施例1で用いた扁平化処理を施した結晶性ポリ乳酸と前期モンモリロナイト分散水溶液を、それぞれ定量フィーダーおよび定量送液ギヤポンプを用いて、結晶性ポリ乳酸はC3の位置に設けたベント口から、モンモリロナイト分散水溶液はサイド供給口から供給し、シリンダ設定温度を50℃フラット、スクリュー回転数を200rpmに設定して押出しを行った。このとき、スロート供給口に排水管を挿入し、吸引ポンプを用いて混練で絞り出された水分を排水できるようにした。得られた固形かつ不定形の混練吐出物を粉砕機にかけ、大きさ5mm以下の細片としたのち、射出成形機を用いて物性評価用試験片を作成した。
【0045】
実施例4
ポリ乳酸系樹脂として扁平化処理を施した非晶性ポリ乳酸を用いた以外は、実施例3と同様の原材料処理、混練及び射出成形を行った。
【0046】
比較例1〜2
押出混練は行わず、バージンペレットをそのまま用いて射出成形を行った。
【0047】
比較例3
結晶性ポリ乳酸バージンペレットと十分に乾燥させたモンモリロナイトを重量比で95:5となるように混合して、常法の溶融混練押出を行った。原材料はスロート供給口から供給し、押出機のダイヘッド及びベントを閉めた状態にして、真空減圧下、シリンダ設定温度を200℃フラット、スクリュー回転数を200rpmに設定して押出しを行った。ダイヘッドから吐出した溶融ストランドを冷却水槽に浸漬したのち、ペレタイザーを通してペレット化した。このペレットを用いて射出成形を行い、物性評価用試験片を作成した。
【0048】
比較例4
ポリ乳酸系樹脂として非晶性ポリ乳酸を用いた以外は、比較例3と同様にして混練及び射出成形を行った。
【0049】
比較例5
無機フィラーとして層状珪酸塩の代わりにタルクを用いた以外は、比較例4と同様にして混練及び射出成形を行った。
【0050】
以上の評価結果を表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
結晶性ポリ乳酸バージン材(比較例1)及び従来の溶融混練法による樹脂組成物(比較例3)に比較して、本発明に従う樹脂組成物(実施例1〜3)の曲げ弾性率及び耐熱性が著しく向上しているのがわかる。バージン材(比較例1)に対し、最大で曲げ弾性率が2倍、耐熱性が85℃向上している。モンモリロナイトを使用した方(実施例1)がベントナイトを使用した方(実施例2)よりも曲げ弾性率、耐熱性ともに高めの値を示しているが、これはベントナイトが主成分であるモンモリロナイトの他に、石英、長石、雲母、沸石などの雑多な成分を含むためと考えられる。このように、本発明によれば、不純物成分を含む安価なベントナイトを用いても十分な実用耐熱性が得られることが判った。また、実施例1と実施例3の比較から、層状珪酸塩に対する水分量の多い方が、マトリックスへの分散効率が良く、物性及び耐熱性の向上効果が高いことも判った。
【0053】
また本発明に従えば、実施例4と比較例2及び4との比較から明らかなように、非晶性ポリ乳酸を用いた場合においても、曲げ弾性率及び耐熱性の向上効果は充分に高く、バージン材(比較例2)に対し、曲げ弾性率で約1.5倍、耐熱性で約20℃も向上している。さらに、実施例4、比較例2及び4の各試験片を100℃のオーブンで加熱後、腕力による簡便な引き裂き実験を試みたところ、比較例2及び4の試験片が簡単に引き裂けるのに対し、実施例4の試験片のほうは強い引き裂き抵抗力とゴム状弾性を示した。これは、モンモリロナイトが剥離薄層化して非晶性ポリ乳酸中に均一微分散し、かつこれらの微分散モンモリロナイトを介して、マトリックスとの間に一種の架橋構造を形成していることを示唆するものである。
【0054】
結晶性ポリ乳酸のほうが非晶性ポリ乳酸よりも物性及び耐熱性の向上効果が高いのは、フィラーの分散補強効果に加えて、マトリックスの結晶化が促進されるためであり、結晶性ポリ乳酸を用いた場合、微細化した珪酸塩の結晶核剤としての作用とせん断混練時のマトリックスの延伸配向作用の相乗効果で、マトリックスが高度に結晶化した状態になるためと考えられる。
【0055】
比較例5は層状珪酸塩以外のフィラーとして、微粉タルクを従来の溶融混練法によりポリ乳酸に混練して成る樹脂組成物であるが、物性及び耐熱性の向上効果は低い。
【0056】
【発明の効果】
本発明の低温混練方法に従う混練メカニズムは、現段階では明らかではないが、次のように推定される。すなわち、マトリックスが固相場でせん断変形を受けるため、溶融場に比べより強力なせん断力を受けることになり、水膨潤した層状珪酸塩は容易に剥がれ易くなるものと考えられ、また、層状珪酸塩に含まれていた水分が適度な可塑剤の役割を果たし、分散を均一化させているものと考えられる。しかも、混練後も固相状態にあるため、とくに有機化処理を施さなくても、微分散した層状珪酸塩は二次凝集することもなく、均一な分散状態が保持できるものと考えられる。さらに、低温で混練が行われることから、加水分解の進行も抑制され、かつ、せん断発熱や機械的な搾り出し作用によって水分が排出される。
【0057】
かくして、本発明に従うポリ乳酸系樹脂組成物は、層状珪酸塩が単位層及び/又は薄層状態で微分散した様態となり、優れた機械物性と耐熱性を発現するものと考えられる。さらに、本発明に従えば、特別な混練装置を必要とするわけでもなく、従来の押出機を利用することができ、また、層状珪酸塩を煩雑な前処理をすることなく水分を含んだままの状態でも使用することができる。したがって、層状珪酸塩の精製工程(乾燥工程)も簡素化することができ、従来技術に比べ、遥かに効率的かつ経済的に製造できるという利点を有する。即ち、ポリ乳酸系樹脂の生分解性を生かしつつ、低コストで高品位の組成物を得ることができ、よって本発明はポリ乳酸系樹脂の普及に著しく寄与する。
【0058】
本発明に係るポリ乳酸系樹脂組成物は、成形加工性に優れ、射出成形品、押出成形品、真空成形品、ブロー成形品、繊維、モノフィラメント、マルチフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、各種部品、その他の成形加工品を得るのに好適であり、得られる成形加工品は充分な機械的強度と耐熱性を有する。また、これらは生分解性を有するので、従来のプラスチックのような廃棄物処理問題も軽減される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸系樹脂と層状珪酸塩を含有するポリ乳酸系樹脂組成物からなる、耐熱性および機械的物性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物、その製造方法ならびにポリ乳酸系樹脂組成物を素材とする加工品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自然環境保護の見地から、生分解性または自然環境下で分解するポリマーが注目されている。既に、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクトン等の脂肪族ポリエステル系樹脂を中心に生分解性を有するポリマーは多数見出されている。その中でも、ポリ乳酸や乳酸単位を主構成単位とするポリ乳酸系樹脂は、融点が150〜180℃と比較的高く、成形性、剛性、透明性、防カビ性等に優れると共に、トウモロコシやジャガイモ等の再生産可能な植物資源から得られるデンプンを出発原料としている点、及びこれを発酵して得られる乳酸が生態的に極めて安全な物質であるという点から、使用後生分解されて自然界で循環される樹脂としてはもっとも好ましい樹脂の一つとして有望視されている。さらには、近年、原料の乳酸が発酵法により大量かつ安価に製造されるようになってきたことから、現行の汎用樹脂の代替原材料として、種々の分野での実用化が待ち望まれている。
【0003】
乳酸には、光学活性を有する炭素原子に由来してL体およびD体の光学異性体が存在し、それぞれL−乳酸、D−乳酸と呼ばれている。一般的に、発酵法にて低コストで得られるものはL−乳酸が多く、また使用後の微生物による分解の容易さ等からL−乳酸の方が好んで用いられている。ポリ乳酸には、乳酸の構造単位がL−乳酸であるポリ−L−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリ−D−乳酸、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ−DL−乳酸があり、これらの混合物もある。
【0004】
ポリ乳酸がL−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する構造単位だけからなる場合には、重合体は結晶性で高融点を有する。共重合体では、L−乳酸とD−乳酸の割合によって非晶性となる。すなわち、共重合体中のL−乳酸とD−乳酸の割合が、94:6〜6:94の範囲内のものは非晶性を示し、アニール処理を行っても結晶化しないか、結晶化してもその結晶化度が低すぎて耐熱性を満足しない。逆に、結晶性のポリ乳酸は、重合体中のL−乳酸とD−乳酸の割合が、100:0〜94:6もしくは6:94〜0:100の範囲内で得られ、アニール処理等によって結晶化度を上げれば、耐熱性は向上する。したがって、通常、耐熱性の向上を図るためには、ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の割合は、この結晶性を示す範囲にあることが必要となる。
【0005】
しかしながら、前記結晶性のポリ乳酸を用いても、ポリ乳酸の結晶化速度が遅いため、かつ、ガラス転移温度が60℃前後と低いため、その射出成形等による容器や成形品は耐熱性に劣り、その溶融温度以下の50〜100℃程度の比較的低温でも容易に熱変形してしまうという問題点があった。そのため、ポリ乳酸は、例えば、熱湯を注ぎ込むための容器や、電子レンジで使用するための容器等、高温で使用する用途には適していなかった。耐熱性を向上させるには成形加工時に金型を高温に保ち冷却時間を長くするか、また、成形後に成形品をガラス転移温度から溶融温度までの温度域でアニール処理して高度に結晶化する必要があった。しかし、成形時に長時間の冷却工程を要することは実用的でなく、かつ、結晶化が不十分となり易く、また、アニールによる後結晶化は成形品が結晶化する過程で変形しやすい欠点がある。勿論、非晶性のポリ乳酸に至っては、このような高温金型成形やアニール処理による耐熱性の向上は望むべくもなかった。
【0006】
一方、従来から、結晶性、非晶性を問わず、ゴムやプラスチックなどの高分子材料の機械物性や耐熱性を改良するために、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維などの繊維状無機フィラー、針状メタケイ酸カルシウム、針状チタン酸カリウム、針状酸化チタンなどの針状無機フィラー、タルク、雲母、カオリン、クレー、炭酸カルシウムなどの板状および粒状の無機フィラーなどを混合・混練することが行われてきている。一般に、繊維状フィラーは機械的強度、剛性及び耐熱性の向上効果が最も高いが、成形加工性や成形品の表面外観が悪く、また、針状フィラーは機械的強度と耐衝撃性のバランス及び表面外観の点で優れるが、耐熱性の改良効果は充分ではない。板状及び粒状フィラーの場合は、成形品の表面外観や成形性は良好であるが、機械的強度や耐熱性の向上効果は最も低い。ただし、タルク、カオリン、クレーの中には、結晶核剤として作用するものもあり、結晶化速度の比較的速い結晶性樹脂においては、結晶化を促進させ、機械的強度や耐熱性の向上に寄与する場合もある。
【0007】
近年、これらの無機フィラーの中でも、クレーの一種で層状構造を有する水膨潤性の高い層状珪酸塩の活用が注目を浴びてきている。例えば、膨潤性層状珪酸塩の代表例として、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物を挙げることができるが、これらは水和性を有しているので、水分子の進入によって無限に膨潤し、特に希薄水溶液中では、大部分が単位層にまで分離することが知られている。このように、層状構造の層間が剥がれ、数層単位または単位層に分離すれば、アスペクト比および比表面積が著しく大きくなり、これらを樹脂中に微分散させることによって、顕著な補強効果が期待できる。しかし、これらの層状珪酸塩は多くの場合、マトリックスを形成する高分子化合物との親和性が弱いために、単に樹脂と溶融混練するだけでは、多数の単位層が積層固着したブロック状粒子として分散するに過ぎず、少量の配合割合では機械的強度や耐熱性の改善など、補強効果が充分に得られない。
【0008】
1nm程度の厚さの単位層が数百から数千程度積層凝集した構造を有する層状珪酸塩を、熱可塑性樹脂と溶融混練することにより、単位層またはそれに近い状態で分散させる技術として、例えば、モンモリロナイトの層間イオンを有機オニウムイオンで置換することにより、芳香族炭化水素やラクタム類による膨潤能を付与した有機化粘土を、水、エタノールまたはラクタム類中で膨潤状態としたのち、ポリアミド樹脂と混合および/または溶融混練することによってポリアミド複合材料を製造する方法(特公平7−47644号公報)、また、非晶性熱可塑性樹脂と層状珪酸塩を溶融混練する際に有機溶媒を加え、混練装置のベント口を減圧状態に保持することにより、有機溶媒を除去することによって非晶性熱可塑性樹脂組成物を製造する方法(特開平8−151449号公報)などが開示されている。しかし、これらの方法を熱可塑性ポリエステル樹脂に適用した場合、加水分解などによって、ポリエステル樹脂の低分子量化が起こり、強度、靭性などが著しく低下するという問題があった。
【0009】
熱可塑性ポリエステル樹脂に層状珪酸塩を溶融混練法により分散させる技術としては、例えば、熱可塑性芳香族ポリエステルと有機オニウムイオンが結合した層状粘土鉱物とを、ラクトン、ラクタム類、それらの重合体などの相溶化剤の存在下に混合及び/又は溶融混練する方法(特開平3−62846号公報)が開示されているが、この技術では、まだ樹脂中における有機オニウムイオンで有機化した層状粘土鉱物の分散性が不十分であり、また、樹脂相の加水分解劣化が避けられないため、物性の改善効果が顕著ではない。このポリエステルの加水分解による低分子量化を補完する技術として、ポリアルキレンテレフタレート樹脂とシラン系表面処理剤で処理したケイ酸塩化合物およびジオール化合物の混和物とを溶融混練した後、この混練物中の低分子量化したポリアルキレンテレフタレート樹脂を固相重合処理する方法(特開平11−140286号公報)が提案されている。また、層状珪酸塩の分散性を改良する技術として、層状珪酸塩をエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基などを有するシラン系表面処理剤等で処理し層間間隔を拡大化した後、分散安定化剤として、ポリオキシアルキレン鎖、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基などが結合したシリコーン系界面活性剤等を層間挿入処理し、熱可塑性樹脂(ポリエステル系樹脂も包含する)と溶融混練する方法(特開平10−259017号公報)などが開示されている。しかし、これらの方法は工程が煩雑であるため、経済性および実用性に欠けるという問題点があった。
【0010】
上記以外の方法として、例えば、ポリエステル形成能を有するモノマーあるいはオリゴマーに対して、グリコール類で膨潤処理した層状無機化合物を所定量存在させた状態で重合することによって、ポリエステル中に無機化合物を均一に分散させる、いわゆる重合法が知られている(特開平7−26123号公報、特開平7−268188号公報、特開平8−73710号公報など)。しかしながら、かかる重合法においては、重合度の制御が難しく、また、重合工程中に無機物が混入してしまい、重合材料の切り替え時などに大量の切り替えロスが生じるなどの問題があり、効率的且つ経済的に製造することができなかった。特に、層状無機化合物の含有量が高くなると、製造効率はますます低くなり、分散性も不均一化する傾向があった。
【0011】
以上のように、溶融混練法および重合法では、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩を均一に微分散させるために、層状珪酸塩の層間を膨潤させ、さらに、樹脂との親和性を図るべく有機化合物で前処理する必要があり、結果として、製造プロセスが複雑になり、コストおよび時間がかかるという問題があった。しかも、熱可塑性樹脂の種類によっては、適当な膨潤化剤および有機化剤がなく層状珪酸塩を均一に微分散させるのが困難なものもあり、広く全般の熱可塑性樹脂に適用できる技術ではなかった。熱可塑性ポリエステル樹脂の場合も、加水分解性と相まって、層状珪酸塩を配合してなる組成物の機械物性や耐熱性はまだ十分なものではなく、なかでも生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂においては、実用的な性能を有する層状珪酸塩配合の樹脂組成物を得ることが極めて困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ポリ乳酸系樹脂に層状珪酸塩を微分散させる製造方法及びその製造方法によって得られる生分解性、耐熱性、機械的物性及び成形性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物ならびに前記ポリ乳酸系樹脂組成物を素材とする加工品を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
一般に、押出機等を用いた樹脂の混練は、樹脂を溶融温度以上の高温下で溶融させた状態で行う、いわゆる溶融混練を指すのが常識であるが、本発明者らは、すでに、特願2001−390058号において、ポリエチレンテレフタレート(以下PETという。)製の廃棄ボトルの粉砕品を用いた押出混練方法として、PETの溶融温度未満の温度域(固相温度領域)でせん断混練する技術を提案している。この混練技術によれば、PETの結晶化処理、脱水処理及び加水分解抑制処理が一挙に行えるという特徴を有し、吸湿性フィラーとの混練においても、加水分解による物性低下の少ない高品質である再生品が得られる。その実施例には、PETボトルの粉砕品と層状珪酸塩の一種であるベントナイトを、二軸押出機を用いて、PETの溶融温度未満の温度(80℃)でせん断混練した事例を挙げているが、PETの結晶性およびベントナイトの分散性が向上し、その射出成形品は、優れた耐熱性及び機械的物性を示した。
【0014】
前記ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合物である芳香族ポリエステルの一種で、ガラス転移温度が70〜80℃、再結晶化温度が120〜130℃、融点が260〜270℃付近にあり、その結晶化速度は緩慢で、水分の存在下では加水分解劣化を起し易いという熱的な特徴を有する。一方、例えばL−乳酸を構成単位とするポリ乳酸は、その融点はPETには及ばないものの(160〜180℃)、ガラス転移温度(60℃前後)及び再結晶化温度(110〜130℃)はPETに近いこと、また、結晶化速度が比較的緩慢な点及び加水分解劣化を起こし易い点など、本発明者らは、その熱的挙動がPETに類似していることに着目し、PETの低温押出混練で得られた知見をポリ乳酸に応用することによって、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の本発明に従えば、ポリ乳酸系樹脂と水または水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩とを、せん断混練装置を用いて、0℃以上でかつ前記ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満の温度で混練する製造方法を特徴とするものである。かかる製造方法によって、層状珪酸塩がマトリックス中に均一分散し、優れた耐熱性、機械的物性及び成形性を具備したポリ乳酸系樹脂組成物が提供される。
【0016】
また、請求項3に記載の本発明に従えば、ポリ乳酸系樹脂と水又は水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩とを、せん断混練装置を用いて、0℃以上であってかつ前記ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満の温度範囲で混練されたポリ乳酸系樹脂組成物を特徴とするものである。このような特徴を有するポリ乳酸系樹脂を素材として、良く知られている成形方法又は加工方法を適用することにより優れた機械的強度と耐熱性を有し、かつ生分解性を示す多くの成形品、加工品等が得られる。
【0017】
また、このようにして得られるポリ乳酸系樹脂組成物を素材として請求項9以降に示すように射出成形品、押出成形品、真空成形品、ブロー成形品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、多孔質成形品、各種部品、その他の加工品を得ることができる。このようにして得られる加工品は充分な機械的強度と耐熱性を有し、かつ優れた生分解性を示す。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂は、構造単位がL−乳酸であるポリ−L−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリ−D−乳酸、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸であるポリ−DL−乳酸共重合体、もしくはこれらの混合物を主成分とするものであり、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他のエステル形成能を有するモノマー成分を共重合してもよく、また、ポリ乳酸以外の他の脂肪族ポリエステルや芳香族ポリエステル等を単独又は2種以上混合してもよい。
【0019】
共重合可能なモノマー成分の具体例としては、例えば、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。また、ポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステルや芳香族ポリエステルとしては、例えばポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバゲート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバゲート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサンアジペート、ポリヘキサンセバゲート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートなどを挙げることができる。
【0020】
このようにポリ乳酸を共重合や混合によって変性する目的は、結晶性や融点の低減、溶融流動性、強靭性、耐衝撃性、柔軟性の改良、摩擦係数、表面粗さ、接着性、混合性、耐熱性やガラス転移温度の向上または低減、ガスバリア性、透湿性、親水性や撥水性の改良、分解性の向上または抑制などが挙げられ、目的に応じて、変性ポリ乳酸を本発明に応用することができる。一般に、前記ポリ乳酸以外の成分の共重合比率や混合比率は、ポリ乳酸系樹脂全重量の50重量%未満、特に1〜30重量%が多く用いられ、2〜20重量%が最も多く用いられる。
【0021】
本発明にかかるポリ乳酸系樹脂組成物の構成成分であるポリ乳酸系樹脂の製造方法は特に限定されず、公知の任意の方法を採用することができる。例えば、乳酸を加熱減圧下で直接脱水して縮重合する縮重合法や、乳酸から環状2量体であるラクチドを経由して開環重合することにより製造する開環重合法など、目的に応じて適宜選択すればよい。また、分子量の増大や分岐、架橋を目的として、重合の際に少量の鎖延長剤、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物、有機過酸化物などを使用することもできる。
【0022】
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能で、実用的な機械物性を示すものであれば特に制限されないが、一般的には、重量平均分子量で、1〜100万が好ましく、3〜70万がより好ましく、5〜50万がさらに好ましい。重量平均分子量が1万より小さい場合、機械物性が十分ではなく、逆に分子量が100万を超える場合には、溶融粘度が高すぎ成形加工が困難となる。
【0023】
本発明においては、ポリ乳酸系樹脂の形状はペレット状、粒子状、粉状、フレーク状、チップ状など、特に制限はないが、ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満の温度で混練させることから、その形状が低せん断力でも効率よく変形を受け易い扁平なフレーク状やチップ状などであるものが好ましい。さらに、結晶性のポリ乳酸系樹脂を用いる場合は、結晶化度の低い透明な状態にして使用するのが好ましい。すなわち、混練効率を高め、かつ混練装置への負荷を低減するためには、扁平形状でかつ非晶状態にあるポリ乳酸系樹脂を用いるのがもっとも好ましい。このような性状に加工する方法に特に制限はなく、例えば、結晶性ポリ乳酸系樹脂の原体が結晶化度の高い白濁または白色のペレット状態にある場合、予め押出機等で一旦溶融させたのち、吐出した溶融ストランドを冷却水中においてローラー等で押し潰しながら冷却し、これを通常のペレタイザーでカッティングすることによって、あるいは、ダイ孔形状が長方形または長楕円形状の扁平形状を有する押出機等で溶融押出し、水冷及びペレタイズすることによって、扁平形状でかつ非晶状態にある様態に容易に変えることができる。また、これらの大きさは、ブレンドおよび供給のしやすさなどから、一般に10mm以下であるのが好ましい。
【0024】
本発明に用いられる層状珪酸塩としては、結晶構造が実質的に酸化ケイ素の四面体シートおよび金属水酸化物の八面体シートからなり、水または水を主成分とする分散溶媒中で膨潤する性質を有するものであれば、特に限定されず、例えば、スメクタイト系粘土鉱物や、カオリン系粘土鉱物、膨潤性雲母およびバーミキュライトなどが挙げられる。スメクタイト系粘土鉱物の具体例としては、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト、ベントナイトなど、また、カオリン系粘土鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ハロサイトなどを挙げることができる。膨潤性雲母としては、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、ナトリウム型四フッ素ケイ素雲母などが挙げられ、バーミキュライトは、八面体のイオン比率によって、3八面体型バーミキュライト及び2八面体型バーミキュライトに分類される。これらの層状珪酸塩はその置換体や誘導体であってもよく、また、天然、合成品、加工処理品のいずれでもよい。さらに、これらを単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
前記層状珪酸塩のなかでも、スメクタイト系粘土鉱物が膨潤しやすい点から好ましく使用され、そのなかでもモンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトが好ましく、層間にナトリウムイオンを有するモンモリロナイト、ベントナイトがより好ましい。
【0026】
本発明においては、さらに、層状珪酸塩の層間を膨潤させ層間剥離を助長しポリ乳酸系樹脂への分散性を向上させるため、層状珪酸塩に水または水系溶媒を含ませて使用するのがよい。層状珪酸塩に占める必要な水または水系溶媒の量は5重量%以上、好ましくは10重量%以上である。水または水系溶媒の量が5重量%より少ないと、混練した時に層状珪酸塩の剥離が起こり難く、マトリックスへの分散が不均一になるため好ましくない。水または水系溶媒の添加方法に特に制限はなく、層状珪酸塩をミキサーで攪拌しながら、所定量の水または水系溶媒を少量ずつ滴下添加したり、噴霧器等を用いて霧状にして添加したり、水蒸気で蒸らす方法を用いてもよい。さらには、水または水系溶媒に層状珪酸塩を添加攪拌し、水または水系溶媒中に層状珪酸塩を分散させた水溶液にしておくのもよい。この場合もその分散処理方法に特に制限はなく、水または水系溶媒中に層状珪酸塩を添加し加熱攪拌する方法、あるいは超音波処理、震とう処理など任意の方法を用いることができる。また、この水溶液中における層状珪酸塩の固体分散濃度は、層状珪酸塩が充分に分散可能な濃度範囲であるならば自由に設定し得るが、概ね30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。下限は特に限定されないが、0.05重量%、さらに0.1重量%が望ましい。
【0027】
前記水系溶媒は、水と水に可溶な溶媒の混合溶媒であれば特に制限はなく、例えば、水と極性溶媒の混合溶媒が挙げられる。極性溶媒の具体例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
さらに、前記水系溶媒に次のような有機化合物を加えることによって、層状珪酸塩のアルカリ、アルカリ土類金属イオン等をこの有機化合物で置換し、ポリ乳酸系樹脂への親和性を高めることもできる。このような有機化合物としては、分子中にオニウムイオン基を有するオニウム塩、例えばアンモニウム塩、ビリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩などを挙げることができる。具体的には、オクタデシルアンモニウムイオン、モノメチルオクタデシルアンモニウムイオン、ジメチルオクタデシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、6−アミノ−n−酪酸イオン、6−アミノ−n−カプロン酸イオン、12−アミノドデカン酸イオンなどのイオンを有するものを例示することができる。
【0029】
層状珪酸塩のポリ乳酸系樹脂への配合量は、水分を除いた実質的な層状珪酸塩の重量割合で、0.05〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。配合量が0.05重量%より少ないと、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐熱性および機械物性の向上効果が十分ではなく、配合量が50重量%より多くなると、組成物の流動性が極端に低下し成形加工性が損なわれるばかりでなく、混練時の装置にかかる負荷が過大となり装置が停止してしまう恐れがあるので好ましくない。
【0030】
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法を説明する。本発明で用いられる混練装置としては、上記成分をせん断混練りできるものであれば特に制限はなく、一軸押出機、二軸押出機などのスクリュー式押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができるが、中でもニーディングディスク部を有し、また、脱気効率のよいベント(脱気口)を1つ以上備える二軸押出機が好ましい。
【0031】
本発明に係る樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂と水または水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩を、前記混練装置を用いて、0℃以上、ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満の温度で混練することによって得られる。ここで溶融温度とは、結晶性ポリ乳酸系樹脂ではその融点(Tm)のことをいう。一方、非晶性ポリ乳酸系樹脂においては、一般に明確な溶融転移点がないためにその定義は難しいが、本発明においては、非晶性ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度(Tg)+100℃を指すこととする。ここでTm及びTgはJIS−K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)による測定において、そのサーモグラフから求められる転移温度である。本発明において、好ましい混練温度は20℃(室温)〜Tg+50℃の範囲である。一般的に、通常の溶融混練機においては室温以下の冷却温調が困難であるため、室温以上が適当であるが、冷温温調装置を備えた混練装置であればこの限りではない。混練温度が0℃未満では層状珪酸塩に含まれた水分が凍結固化していまい、そのため混練装置に過大な負荷が加わり、装置が停止する事態や損傷を被る恐れがあるため好ましくない。ポリ乳酸系樹脂の溶融温度以上では、層状珪酸塩が剥離薄層化し難く分散が均一でなくなるため、耐熱性や剛性の向上作用が十分ではなく、また、層状珪酸塩が含有する水分によって、ポリ乳酸系樹脂の加水分解劣化反応が急速に進行するので好ましくない。
【0032】
本発明によれば、例えば二軸押出機を用いた場合、スクリューのデザイン設計及びベントの位置関係を適宜設定することによって、原材料投入から混練、脱水、乾燥の工程を、押出機の上流から下流方向に沿って、連続的かつ効果的に行うことができる。すなわち、ポリ乳酸系樹脂と層状珪酸塩は、押出機内部の混練部で低温せん断混練されることにより、樹脂側が冷延伸作用により結晶化が誘発されるとともに、珪酸塩側はせん断作用により層間剥離が誘発され、結果として後者が前者に微分散することになり、同時に、混練に伴うせん断発熱や機械的な搾り出し作用によって、混練物からの脱水処理も行える。さらに混練後の搬送部の温度設定を適宜設定することにより、脱水分を蒸気としてベントから蒸散させることができる。脱水分量が多い場合には、押出機筒内底部に適宜排水溝や排水用の孔を設けることによって排水効率を高めることができる。なお、原材料の供給は、その様態に応じて適宜任意の方法を選択することができる。例えば、層状珪酸塩が含水率の低い(30重量%以下程度)粉体状にある場合には、ポリ乳酸系樹脂と層状珪酸塩をヘンシェルミキサー等でブレンドして混練機に一括供給してもよいし、また、水分の多い粘土状にある場合や層状珪酸塩の分散水溶液を用いるような場合には、ギヤポンプやリキッドインジェクション装置、フラッシング装置等を用いて、ポリ乳酸系樹脂と別途供給してもよい。
【0033】
押出機を用いて低温混練する場合、混練物が大きさや形状が不規則な未溶融もしくは半溶融の状態で吐出されるため、押出しは先端部のダイヘッドを開放した状態で行うのが好ましい。この場合、その吐出物を粉砕機に通すことで容易に射出成形等が可能な細破片状に変えることができる。例えば、押出機先端の吐出口直下に粉砕機を設置することによって、連続的に破片化処理まで行うことができる。また、ダイヘッドを閉めた状態でも、ダイヘッドを含む吐出部付近の温度をポリ乳酸系樹脂の溶融温度近傍の高温側に設定することで、混練物を一時的に溶融させてストランドとして引くことが可能であり、これを公知の方法でペレット化することができる。
【0034】
また、バンバリーミキサー等のバッチ式の混練装置を用いて混練する場合は、例えばポリ乳酸系樹脂と水又は水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩を100℃未満の低温側で混練を開始し、引き続き100℃又はそれ以上の温度まで適宜温度勾配をかけながら混練することによって、層状珪酸塩をマトリックス中に微分散させつつ、脱水分を蒸気として容易に散逸させることができる。混練物は粉砕機にかけることによって、容易に射出成形等が可能な細破片状に変えることができる。
【0035】
上記の方法で混練された樹脂組成物は、公知の方法により、射出成形品、押出成形品、真空成形品、ブロー成形品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、多孔質成形品、各種部品、その他の加工品を得ることができる。かかる加工品は、衣料・非衣料用品、ボトル類、包装材、家庭用品、家具部品、機械部品、電気・電子部品、自動車部品、工業製品の部材、建築材料、農業用品、園芸用品、林業用品、医療用品、衛生用品、介護用品などの広範な用途に有用である。
【0036】
本発明におけるポリ乳酸系樹脂組成物には、その目的に応じて、原材料の混合時または混練時に、もしくは成形時に、従来公知の可塑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、天然繊維、各種無機粒子、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、架橋剤、結晶核剤、結晶化促進剤、難燃剤、発泡剤、防腐剤、抗菌・抗カビ剤等の各種添加剤を配合しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリ乳酸系樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合することもできる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の理解を容易にするため実施例及び比較例を開示するが、本発明の精神と技術範囲を越えない限り、これら実施例によってその技術的範囲が限定されるものではない。
【0038】
まず、使用した原材料は次の通りである。
ポリ乳酸系樹脂
結晶性ポリ乳酸 : L−乳酸のラクチドを開環重合して得られたガラス転移点60℃、融点168℃、重量平均分子量が約24万のポリ乳酸で、白色のペレット状のものを用いた。性状は白色のペレット。
非晶性ポリ乳酸 : L−乳酸からなる構造単位とD−乳酸からなる構造単位の割合がおよそ90:10で、ガラス転移点56℃、重量平均分子量が約22万のポリ乳酸で、透明なペレット状のものを用いた。性状は透明なペレットである。
層状珪酸塩
モンモリロナイト:クニミネ工業(株)製のクニピアFを用いた。
ベントナイト:クニミネ工業(株)製で、ベントナイト原鉱をピンミルで粉砕したのち、空気分級機で分級されたもので、平均粒径が約4μmのものを用いた。
タルク(比較例)
層状珪酸塩以外の無機フィラーとして、松村産業(株)製のハイフィラー5000PJ(平均粒径2〜3μm)を用いた。
【0039】
混練装置は、(株)日本製鋼所製の二軸押出機TEXα30(口径32mm、L/D=42)を用いた。この装置のシリンダ部はC1〜C12の12ブロックから成り、C1部(スロート)及びC4部(サイド)に原材料供給口を、C3及びC8部にベントを設置し、また、スクリューの混練部(ニーディングゾーン)をC5及びC10の位置になるように配置した。
【0040】
また、実施例及び比較例における各種評価は次の方法にて行った。
(1)射出成形品の物性
得られた樹脂組成物の粉砕細片またはペレットを乾燥したのち、型締圧55tの射出成形機(J55EL2、(株)日本製鋼所製)を用い、シリンダ設定温度200℃、金型温度40℃で射出成形して、JIS規格に準じた物性評価用試験片を作成し、この試験片について曲げ弾性率、曲げ強度および荷重たわみ温度(HDT)を下記の測定法に準拠して測定した。
曲 げ 弾 性 率 : JIS−K7171
曲 げ 強 度 : JIS−K7171
荷重たわみ温度 : JIS−K7191
【0041】
(2)灰分率
得られた樹脂組成物の層状珪酸塩またはタルクに由来する無機灰分率をJIS−K7052に準拠して測定した。
(3)フィラー分散性
射出成形品の表面および割断面(液体窒素中で割断)を目視観察し、さらに電界放出形走査型電子顕微鏡(S−4500、(株)日立製作所製)を用いて、下記判断基準にて層状珪酸塩の分散状態を評価した。
◎:走査型電子顕微鏡を用いても積層凝集物の存在が殆ど確認できない。
○:大きさ0.1〜0.2μm程度の凝集物が若干確認できる。
×:100μm以上の目視レベルで確認できる凝集物が散在している。
【0042】
実施例1
結晶性ポリ乳酸を200℃の温度で溶融押出して、この溶融ストランドを冷却水槽中でローラー通しをして押し潰し、これをペレタイザーでカッティングすることによって、大きさが約1mm×5mm×8mmの透明なフレーク状ポリ乳酸を得た。次に、モンモリロナイトをミキサーで攪拌しながら噴霧器を用いて水を添加し、モンモリロナイトの含有水分率が約30重量%になるように水膨潤モンモリロナイトを調合した。さらに、結晶性ポリ乳酸95重量%、実質的なモンモリロナイトの割合が5重量%になるように、前記結晶性ポリ乳酸とこの水膨潤モンモリロナイトを攪拌混合し、押出機へ投入する原材料とした。押出機のダイヘッド及びベント口を開放状態にして、前記原材料をスロート供給口から供給し、シリンダ設定温度を50℃フラット、スクリュー回転数を200rpmに設定して押出しを行った。得られた固形かつ不定形の混練吐出物を粉砕機にかけ、大きさ5mm以下の細片としたのち、射出成形機を用いて物性評価用試験片を作成した。なお、上記水分含有率は、水膨潤モンモリロナイト100gを真空オーブンで150℃、6時間乾燥後の重量減率から求めた。
【0043】
実施例2
層状珪酸塩としてベントナイトを用いた以外は、実施例1と同様の原材料処理、混練及び射出成形を行った。
【0044】
実施例3
水および実質的なモンモリロナイトの重量比が95:5の割合になるように攪拌混合してモンモリロナイトの分散水溶液を調合した。次いで、押出機のダイヘッド及びC8のベント口を開放状態にして、結晶性ポリ乳酸95重量%、実質的なモンモリロナイトの割合が5重量%になるように、実施例1で用いた扁平化処理を施した結晶性ポリ乳酸と前期モンモリロナイト分散水溶液を、それぞれ定量フィーダーおよび定量送液ギヤポンプを用いて、結晶性ポリ乳酸はC3の位置に設けたベント口から、モンモリロナイト分散水溶液はサイド供給口から供給し、シリンダ設定温度を50℃フラット、スクリュー回転数を200rpmに設定して押出しを行った。このとき、スロート供給口に排水管を挿入し、吸引ポンプを用いて混練で絞り出された水分を排水できるようにした。得られた固形かつ不定形の混練吐出物を粉砕機にかけ、大きさ5mm以下の細片としたのち、射出成形機を用いて物性評価用試験片を作成した。
【0045】
実施例4
ポリ乳酸系樹脂として扁平化処理を施した非晶性ポリ乳酸を用いた以外は、実施例3と同様の原材料処理、混練及び射出成形を行った。
【0046】
比較例1〜2
押出混練は行わず、バージンペレットをそのまま用いて射出成形を行った。
【0047】
比較例3
結晶性ポリ乳酸バージンペレットと十分に乾燥させたモンモリロナイトを重量比で95:5となるように混合して、常法の溶融混練押出を行った。原材料はスロート供給口から供給し、押出機のダイヘッド及びベントを閉めた状態にして、真空減圧下、シリンダ設定温度を200℃フラット、スクリュー回転数を200rpmに設定して押出しを行った。ダイヘッドから吐出した溶融ストランドを冷却水槽に浸漬したのち、ペレタイザーを通してペレット化した。このペレットを用いて射出成形を行い、物性評価用試験片を作成した。
【0048】
比較例4
ポリ乳酸系樹脂として非晶性ポリ乳酸を用いた以外は、比較例3と同様にして混練及び射出成形を行った。
【0049】
比較例5
無機フィラーとして層状珪酸塩の代わりにタルクを用いた以外は、比較例4と同様にして混練及び射出成形を行った。
【0050】
以上の評価結果を表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
結晶性ポリ乳酸バージン材(比較例1)及び従来の溶融混練法による樹脂組成物(比較例3)に比較して、本発明に従う樹脂組成物(実施例1〜3)の曲げ弾性率及び耐熱性が著しく向上しているのがわかる。バージン材(比較例1)に対し、最大で曲げ弾性率が2倍、耐熱性が85℃向上している。モンモリロナイトを使用した方(実施例1)がベントナイトを使用した方(実施例2)よりも曲げ弾性率、耐熱性ともに高めの値を示しているが、これはベントナイトが主成分であるモンモリロナイトの他に、石英、長石、雲母、沸石などの雑多な成分を含むためと考えられる。このように、本発明によれば、不純物成分を含む安価なベントナイトを用いても十分な実用耐熱性が得られることが判った。また、実施例1と実施例3の比較から、層状珪酸塩に対する水分量の多い方が、マトリックスへの分散効率が良く、物性及び耐熱性の向上効果が高いことも判った。
【0053】
また本発明に従えば、実施例4と比較例2及び4との比較から明らかなように、非晶性ポリ乳酸を用いた場合においても、曲げ弾性率及び耐熱性の向上効果は充分に高く、バージン材(比較例2)に対し、曲げ弾性率で約1.5倍、耐熱性で約20℃も向上している。さらに、実施例4、比較例2及び4の各試験片を100℃のオーブンで加熱後、腕力による簡便な引き裂き実験を試みたところ、比較例2及び4の試験片が簡単に引き裂けるのに対し、実施例4の試験片のほうは強い引き裂き抵抗力とゴム状弾性を示した。これは、モンモリロナイトが剥離薄層化して非晶性ポリ乳酸中に均一微分散し、かつこれらの微分散モンモリロナイトを介して、マトリックスとの間に一種の架橋構造を形成していることを示唆するものである。
【0054】
結晶性ポリ乳酸のほうが非晶性ポリ乳酸よりも物性及び耐熱性の向上効果が高いのは、フィラーの分散補強効果に加えて、マトリックスの結晶化が促進されるためであり、結晶性ポリ乳酸を用いた場合、微細化した珪酸塩の結晶核剤としての作用とせん断混練時のマトリックスの延伸配向作用の相乗効果で、マトリックスが高度に結晶化した状態になるためと考えられる。
【0055】
比較例5は層状珪酸塩以外のフィラーとして、微粉タルクを従来の溶融混練法によりポリ乳酸に混練して成る樹脂組成物であるが、物性及び耐熱性の向上効果は低い。
【0056】
【発明の効果】
本発明の低温混練方法に従う混練メカニズムは、現段階では明らかではないが、次のように推定される。すなわち、マトリックスが固相場でせん断変形を受けるため、溶融場に比べより強力なせん断力を受けることになり、水膨潤した層状珪酸塩は容易に剥がれ易くなるものと考えられ、また、層状珪酸塩に含まれていた水分が適度な可塑剤の役割を果たし、分散を均一化させているものと考えられる。しかも、混練後も固相状態にあるため、とくに有機化処理を施さなくても、微分散した層状珪酸塩は二次凝集することもなく、均一な分散状態が保持できるものと考えられる。さらに、低温で混練が行われることから、加水分解の進行も抑制され、かつ、せん断発熱や機械的な搾り出し作用によって水分が排出される。
【0057】
かくして、本発明に従うポリ乳酸系樹脂組成物は、層状珪酸塩が単位層及び/又は薄層状態で微分散した様態となり、優れた機械物性と耐熱性を発現するものと考えられる。さらに、本発明に従えば、特別な混練装置を必要とするわけでもなく、従来の押出機を利用することができ、また、層状珪酸塩を煩雑な前処理をすることなく水分を含んだままの状態でも使用することができる。したがって、層状珪酸塩の精製工程(乾燥工程)も簡素化することができ、従来技術に比べ、遥かに効率的かつ経済的に製造できるという利点を有する。即ち、ポリ乳酸系樹脂の生分解性を生かしつつ、低コストで高品位の組成物を得ることができ、よって本発明はポリ乳酸系樹脂の普及に著しく寄与する。
【0058】
本発明に係るポリ乳酸系樹脂組成物は、成形加工性に優れ、射出成形品、押出成形品、真空成形品、ブロー成形品、繊維、モノフィラメント、マルチフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、各種部品、その他の成形加工品を得るのに好適であり、得られる成形加工品は充分な機械的強度と耐熱性を有する。また、これらは生分解性を有するので、従来のプラスチックのような廃棄物処理問題も軽減される。
Claims (13)
- ポリ乳酸系樹脂と水又は水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩とを、せん断混練装置を用いて、0℃以上であって前記ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満に調整された温度範囲において混練することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
- 前記混練装置が少なくとも1つ以上のベントを有する二軸混練押出機であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
- ポリ乳酸系樹脂と水又は水系溶媒で膨潤させた層状珪酸塩とを、せん断混練装置を用いて、0℃以上であってかつ前記ポリ乳酸系樹脂の溶融温度未満の温度範囲で混練されたことを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
- 前記層状珪酸塩の水又は水系溶媒の割合が5重量%以上であることを特徴とする請求項3に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 前記層状珪酸塩の水分を除いた実質的な層状珪酸塩の配合割合が0.05〜50重量%であることを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 前記ポリ乳酸系樹脂の形状が扁平なフレーク状又はチップ状であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 前記ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量が、1万〜100万であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 請求項3ないし7のいずれか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物を素材とすることを特徴とする加工品。
- 前記加工品が、該ポリ乳酸系樹脂組成物からなる繊維、モノフィラメント、マルチフィラメント、ロープ、網類であることを特徴とする請求項8に記載の加工品。
- 前記加工品が、該ポリ乳酸系樹脂組成物からなる織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート類であることを特徴とする請求項8に記載の加工品。
- 前記加工品が、該ポリ乳酸系樹脂組成物からなる発泡成形品、多孔質成形品類であることを特徴とする請求項8に記載の加工品。
- 前記加工品が、該ポリ乳酸系樹脂組成物からなる各種製品の構成部品類であることを特徴とする請求項8に記載の加工品。
- 前記加工品が、該ポリ乳酸系樹脂組成物からなる射出成形品、押出成形品、真空成形品、ブロー成形品等であることを特徴とする請求項8に記載の加工品。
Priority Applications (1)
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