JP2006001973A - ポリ乳酸樹脂組成物、並びに、成型体及びその製造方法、及びoa機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有するポリ乳酸樹脂組成物を、金型温度60℃以下で成型してなる成型体である。成型が射出成型である態様が好ましい。前記成型体を有してなるOA機器である。
【選択図】 なし
Description
しかし、この場合、前記ポリ乳酸のガラス転移点が60℃前後であるため、前記金型からの取り出し時における剛性が不足し、成型体に変形が生じてしまうという問題がある。一方、前記金型を冷却してから前記成型体を取り出そうとすると、冷却のための時間と特別な設備とが必要となり、生産性が低下してしまうという問題がある。
本発明の成型体は、D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有するポリ乳酸樹脂組成物を、金型温度60℃以下で成型してなることを特徴とする。
本発明の成型体の製造方法は、D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有するポリ乳酸樹脂組成物を、金型温度60℃以下で成型することを特徴とする。
本発明の成型体乃至本発明の成型体の製造方法により得られた成型体は、前記ポリ乳酸を含むため、生分解性に優れ、環境への負荷が小さく、また、前記ポリ乳酸におけるD体及びL体の含有率が所定の範囲内であり、所定の金型温度で成型されるため、前記ポリ乳酸の結晶化が抑制された状態で金型から容易に取り出すことができ、ウエルド部分の強度に優れ、良好なエンジニアプラスチック特性を示す。このため、各種分野に好適に使用することができ、電気・電子・OA分野等の分野にも好適に使用することができ、例えば、パーソナルコンピュータ部品(例えば外装部品)等にも好適に使用することができる。
本発明のOA機器は、本発明の前記成型体を有してなることを特徴とする。該成型体は、本発明の前記成型体により形成されているので、生分解性に優れ、環境への負荷が小さく、ウエルド部分の強度に優れ、良好なエンジニアプラスチック特性を示す。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有し、金型温度60℃以下で成型されることを特徴とする。
該ポリ乳酸樹脂組成物においては、前記ポリ乳酸を含むため、生分解性に優れ、環境への負荷が小さく、また、前記ポリ乳酸におけるD体及びL体の含有率が所定の範囲内であり、所定の金型温度で成型されるため、前記ポリ乳酸の結晶化が抑制された状態で金型から容易に取り出すことができ、そして、ウエルド部分の強度に優れ、良好なエンジニアプラスチック特性を示し、電気・電子・OA分野等をはじめとした各種分野に好適に使用可能な成型体等の製造に用いることができる。
本発明の成型体は、本発明の成型体の製造方法により製造することができる。
前記成型体は、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を用いて好適に形成することができ、また、本発明の成型体の製造方法は、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を用いて実施することができる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなり、金型温度60℃以下で成型される。
以下、本発明のポリ乳酸樹脂組成物、並びに、成型体及びその製造方法について説明する。
前記D体の含有率が、5質量%未満であると、前記ウエルド部分の強度が該ウエルド以外の部分の約1/2〜1/3程度にまで低下してしまうことがあり、30質量%を超えると、ガラス転移点が50℃未満となり、金型から取り出すのに冷却が必要となる上、長時間を要し、しかも得られた成型体は、30〜40℃程度の温度でも著しく軟化してしまい、エンジニアプラスチックの特性を示さず、いずれも問題がある。
前記D体の含有量が、70質量%未満であると、ガラス転移点が50℃未満となり、金型から取り出すのに冷却が必要となる上、長時間を要し、しかも得られた成型体は、30〜40℃程度の温度でも著しく軟化してしまい、エンジニアプラスチックの特性を示さず、95質量%を超えると、前記ウエルド部分の強度が該ウエルド以外の部分の約1/2〜1/3程度にまで低下してしまうことがあり、いずれも問題がある。
前記合成品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、その合成の方法としては、例えば、ポリ乳酸前駆体を重合等する方法、などが挙げられる。前記ポリ乳酸前駆体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、L−ラクタイド、D−ラクタイド、などが挙げられる。
前記ポリ乳酸の分子量としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。
これらは、本発明の効果を害しない範囲内で適宜選択した量を使用することができ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記天然物由来生分解性樹脂としては、例えば、キチン・キトサン、アルギン酸、グルテン、コラーゲン、ポリアミノ酸、バクテリアセルロース、プルラン、カードラン、多糖類系副産物、デンプン、変性デンプン、微生物産生ポリエステル(バイオポリエステル)、などが挙げられる。
前記化学合成生分解性樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族・芳香族ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、などが挙げられる。
また、前記脂肪族ポリエステルとしては、例えば、特開2001-335623号公報、特開2002-167497号公報等において開示されているような、乳酸とジカルボン酸とジオールとを共重合したものなども挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1、3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどが挙げられる。
前記充填材の具体例としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、セルロース繊維、キチン繊維、キトサン繊維、タルク、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ワラスナイト、ベントナイト、炭素繊維、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸石灰、珪酸石灰、炭素、二硫化モリブデン、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化珪素、二酸化珪素、などが好適に挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ガラス繊維、ガラスフレーク、セルロース繊維、キチン繊維、キトサン繊維、タルク、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ワラスナイト、ベントナイト、炭素繊維、シリカ、炭酸カルシウムなどが好ましい。
前記微生物のタンパク質の生合成を阻害するものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ピューロマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、ストレプトマイシンなどが挙げられる。
前記核酸の生合成を阻害するものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アゼセリン、アクリジン、アクチノマイシンD、バドマイシン、リファマイシンなどが挙げられる。
前記細胞膜のイオン透過性を変化させるものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、パリノマイシン、グラミシジンA、ノナクチン、モネンシン等のイオノフォアなどが挙げられる。
前記細胞膜を破壊するものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、クロロクレゾール、キシロール等のフェノール類、塩化ベンザルコニウム等の4級アンモニウム塩、クロロヘキシジン等のビグアニド類、チロシジン、グラミシジンS、ポリミキシン等の環状ペプチド、などが挙げられる。
前記金属イオン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、鉄イオン及びその錯体化合物などが挙げられる。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリエーテルなどが挙げられる。
前記成型の際の金型温度が、60℃を超えると、前記ポリ乳酸樹脂組成物を成型時に長時間、冷却保持することが必要となり、金型からの取り出しが容易ではなく、室温に近くない温度であるため、成型体の寸法収縮が大きくなってしまい、また、成型体の強度が低下してしまい、70℃以上、特に80℃以上になるとそれが顕著となるという問題がある。一方、前記金型温度が60℃以下であると、そのようなことはなく、金型から成型体を容易に取り出すことができ、長時間の冷却が不要であり、成型体の収縮寸法が小さく、精度良く成型体が得られる。
なお、前記金型温度は、金型の設定温度を意味する。
前記成型温度が、200℃を超えると、前記ポリ乳酸が分解され始め、変質乃至変色などが生じ、前記ポリ乳酸樹脂組成物の溶融粘度が著しく低下し、成型時にバリなどが発生し易くなり、高品質な成型体が得られないことがある。一方、200℃以下であると、そのようなことはなく、バリ等が生じない高品質な成型体が得られる点で有利である。
本発明のOA機器は、本発明の前記成型体を有してなること以外は、特に制限はなく、その形状、構造、大きさ等については適宜選択することができる。
前記OA機器の具体例としては、例えば、パソコンの外装部品、筐体等、配線基板、などが好適に挙げられる。
前記OA機器としては、樹脂で形成されている部分における前記成型体の占める割合が大きい程、廃棄等の面で好ましい。
得られた試験片としての成型体(No.1〜9)につき、前記ウエルド部分と、ウエルド以外の部分に対し、アイゾット衝撃試験(JIS−K6911試験法)及び曲げ試験(JIS−K7171試験法)を行い、強度を評価した。結果を表1に示した。
また、表1には示さなかったが、前記D体の含有量が65質量%であり、かつ前記L体の含有量が35質量%であるポリ乳酸からなるポリ乳酸樹脂組成物を用い、上記成型体No.1〜9と同様にして得た成型体No.10(比較例)、及び、前記D体の含有量が35質量%であり、かつ前記L体の含有量が75質量%であるポリ乳酸からなるポリ乳酸樹脂組成物を用い、上記成型体No.1〜9と同様にして得た成型体No.11(比較例)についても、成型体No.5(比較例)の場合と略同様の結果であり、成型体が40℃程度で大幅に軟化してしまい、使用不可であった。
(付記1) D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有するポリ乳酸樹脂組成物を、金型温度60℃以下で成型してなることを特徴とする成型体。
(付記2) 成型が射出成型である付記1に記載の成型体。
(付記3) ポリ乳酸樹脂組成物の成型温度が200℃以下である付記1から2のいずれかに記載の成型体。
(付記4) 充填材を含有する付記1から3のいずれかに記載の成型体。
(付記5) 充填材が、繊維状充填材、板状充填材、及び粒状充填材から選択される少なくとも1種である付記4に記載の成型体。
(付記6) 充填材が、無機材料、植物性材料、及び動物性材料から選択される少なくとも1種である付記4から5のいずれかに記載の成型体。
(付記7) 充填材が、ガラス繊維、ガラスフレーク、セルロース繊維、キチン繊維、キトサン繊維、タルク、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ワラスナイト、ベントナイト、炭素繊維、シリカ、及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種である付記4から6のいずれかに記載の成型体。
(付記8) 表面に配線が設けられ、電気回路基板として用いられる付記1から7のいずれかに記載の成型体。
(付記9) 筐体として用いられる付記1から8のいずれかに記載の成型体。
(付記10) D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有するポリ乳酸樹脂組成物を、金型温度60℃以下で成型することを特徴とする成型体の製造方法。
(付記11) 成型が射出成型である付記10に記載の成型体の製造方法。
(付記12) 付記1から9のいずれかに記載の成型体を有してなることを特徴とするOA機器。
(付記13) D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有し、金型温度60℃以下で成型されることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
(付記14) 成型が射出成型である付記13に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
本発明の成型体は、各種分野に好適に使用することができ、電気・電子・OA分野等の分野にも好適に使用することができ、例えば、パーソナルコンピュータ部品(例えば外装部品)等にも好適に使用することができる。
本発明の成型体の製造方法は、本発明の前記成型体の製造に好適に使用することができる。
本発明のOA機器は、パーソナルコンピュータ部品、例えば、外装部品、筐体、などとして好適に使用することができる。
Claims (5)
- D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有するポリ乳酸樹脂組成物を、金型温度60℃以下で成型してなることを特徴とする成型体。
- 成型が射出成型である請求項1に記載の成型体。
- D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有するポリ乳酸樹脂組成物を、金型温度60℃以下で成型することを特徴とする成型体の製造方法。
- 請求項1から2のいずれかに記載の成型体を有してなることを特徴とするOA機器。
- D体の含有率が5〜30質量%であり、かつL体の含有率が70〜95質量%であるポリ乳酸、及び、D体の含有率が70〜95質量%であり、かつL体の含有率が5〜30質量%であるポリ乳酸の少なくともいずれかを含有し、金型温度60℃以下で成型されることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
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