JP2009062450A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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雅典 伊藤
Haruichiro Yoshida
治一郎 吉田
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Abstract

【課題】 環境負荷が低く実用強度に優れる難燃性熱可塑性樹脂組成物の提供。
【解決手段】デンプンおよび/または熱可塑性デンプン(A)1〜99重量%および熱可塑性ポリウレタン(B)1〜99重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部あたり、難燃剤(D)1〜70重量部を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物、さらにデンプンおよび/または熱可塑性デンプン(A)1〜98重量%、熱可塑性ポリウレタン(B)1〜98重量%および他の熱可塑性樹脂(C)90〜1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部あたり、難燃剤(D)1〜70重量部を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。詳しくは、デンプンおよび/または熱可塑性デンプン(以下、単にデンプンと記す)と熱可塑性ポリウレタン、またはさらに他の熱可塑性樹脂からなる環境負荷が低く実用強度に優れる難燃性熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ABS樹脂やポリスチレン、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂は、家電製品や自動車部品等広範な分野で様々な成形品に使用されているが、石油資源から製造されるものであり環境負荷を下げるための様々な試みがなされている。そのための改善手段として、例えば、植物であるとうもろこしや芋類を原料として得られる乳酸からなるポリ乳酸樹脂の利用があり、上記石油資源を原料としない環境対応型の樹脂として知られている。しかしながら、ポリ乳酸樹脂は、その生分解性から、特に高湿度環境下において長期使用に耐え得る耐久性が懸念されており、難燃性が要求されるOA機器等においては、実用強度を犠牲にすることなく難燃性にも優れた植物由来材料が望まれていた。
特開2000−327847号公報 特開2004−269720号公報 特開2006−45485号公報 特開2006−45486号公報 特開2006−137908号公報
本発明の目的は、植物由来ポリマーであるデンプンと熱可塑性ポリウレタンおよび他の熱可塑性樹脂をアロイ化してなる、環境負荷が低く実用強度に優れる難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らはかかる課題に鑑み鋭意検討を行った結果、デンプンと熱可塑性ポリウレタンまたはさらに他の熱可塑性樹脂を特定割合でアロイ化してなる組成物に特定の難燃剤を配合することにより、上記課題を達成することを見出し本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、(1)デンプンおよび/または熱可塑性デンプン(A)1〜99重量%および熱可塑性ポリウレタン(B)1〜99重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部あたり、難燃剤(D)1〜70重量部を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物、(2)デンプンおよび/または熱可塑性デンプン(A)1〜98重量%、熱可塑性ポリウレタン(B)1〜98重量%および他の熱可塑性樹脂(C)90〜1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部あたり、難燃剤(D)1〜70重量部を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
本発明にて得られた難燃性熱可塑性樹脂組成物は、環境負荷を大きく下げることが可能であり、更に従来の植物由来樹脂と石油系樹脂とのアロイに比べて実用物性に優れ、難燃性に優れることから、各種包材や工業製品用材料をはじめ、OA・家電分野、電気・電子分野、建材分野、サニタリー分野、更には車両分野等に非常に有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における熱可塑性樹脂組成物を構成するデンプン(A)としては、トウモロコシやじゃがいも、小麦、タピオカ等の植物を原料にした平均粒子径が1〜300μmのものを使用することが可能であり、また、例えばヒドロキシアルキルデンプン、アセチルデンプンまたはカルバメートデンプン等のデンプンやデンプンに含まれるメチルヒドロキシル基を反応させて変性させたり、高温で加水分解することにより熱可塑性を付与された熱可塑性デンプンを使用することが可能である。
本発明におけるデンプン(A)の重量平均分子量は1000〜5000000、好ましくは10000〜1000000である。分子量が低いデンプンは機械的物性が低い傾向があり、分子量が高いデンプンは、流動性が低く、成形性に劣る傾向にある。
さらに、本発明のデンプン(A)には脂肪族有機酸およびそのグリセリドなどの可塑剤を加えることにより、更に熱可塑性を向上させることも可能である。
本発明における熱可塑性ポリウレタン(B)とは、ポリイソシアネート化合物(イソシアネート成分)とポリヒドロキシル化合物(高分子ポリオールおよび/または低分子量ポリオール)とを反応して得られるものである。
本発明で用いられるポリイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートおよびこれらのジイソシアネートの変性物が挙げられる。このようなジイソシアネートの具体例としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ピリジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートおよびこれらの混合物が挙げられる。
本発明で用いられるポリヒドロキシル化合物としての高分子ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオールおよびこれらの混合物が好ましい。
ポリエステルポリオールとは、多価アルコールと多塩基性カルボン酸の縮合物、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等が挙げられ、多価アルコールとしては例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等のグリコール単独あるいは混合物が挙げられる。多塩基性カルボン酸としては、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の2塩基酸が例示される。ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールの縮合物としては、ひまし油、ひまし油とエチレングリコール、プロピレングリコール等の反応物も使用できる。
低分子ポリオールとしては、前記多価アルコールが使用できる。
さらに、ポリエステルポリオールとしては、ε−カプロラクトン等の環状エステルをグリコール等の存在下で開環付加重合したポリカプロラクトンジオール類も用いることができる。このカプロラクトンジオール類としては、先に述べた多価アルコール類にε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン等の1種または2種以上を付加重合させたものを使用することができる。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を、2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合させた生成物であり、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリメチレングリコール等が例示される。ここで2個以上の活性水素を有する化合物としては例えば先に述べた多価アルコール、多塩基性カルボン酸の他、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミン類、レゾルシン、ビスフェノール等の多価フェノール類、ひまし油等が挙げられる。
ポリブタジエンジオールとは数平均分子量500〜25000の炭素数4〜12のジエン系重合体、共重合体で、更にはこれらのジエンモノマーと炭素数2〜22のオレフィン性付加重合体モノマーとの共重合体があり、例えばポリブタジエンホモポリマー、ポリイソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコール例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオールとホスゲン、クロル酢酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリルカーボネートとの縮合により得られる数平均分子量300〜15000程度のものである。
本発明における他の熱可塑性樹脂(C)とは、(ゴム強化)スチレン系樹脂(例えばポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、AAS樹脂等)、(ゴム強化)アクリル樹脂(例えばPMMA樹脂、ゴム強化PMMA樹脂等)、ポリエステル樹脂(例えばポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂等)、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド樹脂(例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等)、ポリ塩化ビニル系樹脂等から選ばれた樹脂、あるいはこれらの樹脂を組み合わせて得られたアロイであり、特に(ゴム強化)スチレン系樹脂単独または(ゴム強化)スチレン系樹脂と(ゴム強化)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂とのアロイが最終製品に要求される物性、例えば成形性や衝撃強度の点から好ましい。
さらに、特に(ゴム強化)スチレン系樹脂としては、ゴム状重合体として共役ジエン系ゴム、非共役ジエン系ゴム、シリコン系ゴムから選ばれた少なくとも1種のゴム状重合体を含有するゴム強化スチレン系樹脂であることが好ましく、またその構造、分子量および分子量分布、ゴム状重合体の含有量やグラフト率、グラフト側鎖の組成や分子量等には特に制限は無く、最終製品の要求性能によって任意の組成・構造のものを使用することが可能である。
また、上記熱可塑性樹脂(C)中には、必要に応じてデンプン(A)と反応性を有する官能基を含有する単量体を0.0001〜20重量%含有することができる。(熱可塑性)デンプン(A)と反応性を有する官能基としては、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、オキサゾリン基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基等が例示されるが、中でも(熱可塑性)デンプンとの反応性の点からエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、オキサゾリン基、イソシアネート基が好ましい。
上記熱可塑性樹脂(C)中にこれら官能基を含有する単量体を導入する方法については特に制限は無く、官能基を含有する単量体を熱可塑性樹脂(C)の重合時に添加することにより共重合させることが可能であり、またこれら官能基を含有する熱可塑性樹脂と他の熱可塑性樹脂を混合すること、さらには熱可塑性樹脂と官能基を含有する単量体とを押出機内で溶融混練する際にラジカル開始剤(例えば、t−ブチルー2−エチルーパーペキサノエート等)を添加して反応させる方法等を採用することが可能である。
なお、上記の官能基を含有する単量体として、エポキシ基を有する単量体としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が、カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が、水酸基を有する有単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレート等が、オキサゾリン基を有する単量体としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が、アミノ基を有する単量体としては、アミノメチルアクリレート、アミノメチルメタクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等が、アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられ、それぞれ一種または二種以上用いることができる。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂(C)のpHは5〜8の範囲であることがデンプン(A)の分解を防止する点から好ましい。
なお、このpHは、樹脂約1gをアセトン40mlに溶解させた後、メタノール40mlと純水40mlを加えた溶液のpHを測ることにより測定可能である。
本発明で用いられる難燃剤(D)としては、例えば赤燐、ポリ燐酸塩、燐酸エステル、ホスファゼン等の燐系化合物、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化芳香族トリアジン等のハロゲン系化合物、シリコーン樹脂、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーン系化合物、メラミン、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等の窒素含有化合物、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機化合物、その他カーボンファイバー、グラスファイバー、膨張黒鉛が挙げられるが、特に下記一般式(1)で表されるハロゲン化芳香族トリアジン化合物および/または下記一般式(2)で表される重量平均分子量が327以上である燐酸エステル系難燃剤が特に好ましく、これらを1種または2種以上混合して用いることができる。
(R1、R2、R3は、異種または同種の炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基又はハロゲン化アルキルアリール基を表す。)
燐酸エステル系難燃剤としては、例えば特開昭47−25232号公報および特開平3−34972号公報に詳しく記載されている。特に、特開平3−34972号公報に記載されているトリス−(トリブロモフェノキシ)−S−トリアジン”2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン”が好ましい。
(R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、水素原子または1価の有機基を表わすが、R、R、R及びRの中の少なくとも1つは1価の有機基である。Xは2価の有機基であり、k、l、m及びnはそれぞれ互いに独立して0又は1であり、Nは0〜10の整数である)。
上記一般式化2において一価の有機基とは、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、シクロアルキル基が挙げられ、置換されている場合の置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基等が挙げられ、またこれら置換基を組み合わせた基(アリールアルコキシアルキル基等)、またはこれらの置換基を酸素、硫黄、窒素原子等により結合して組み合わせた基(アリールスルホニルアリール基等)が置換基であってもよい。また2価の有機基とは、例えばアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、多価フェノール類、多核フェノール類(ビスフェノール類等)から誘導される基が挙げられる。特に2価の有機基として好ましいものはヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニロールメタン、ジフェニロールジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらはぞれぞれ1種または2種以上使用することができる。但し、重量平均分子量が327以上の燐酸エステルであることが必要である。重量平均分子量が327未満では耐熱性が低下するため好ましくない。
これら燐酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、さらには、各種の縮合リン酸エステルが挙げられる。
本発明における難燃性熱可塑性樹脂組成物は、(1)デンプンおよび/または熱可塑性デンプン(A)1〜99重量%および熱可塑性ポリウレタン(B)1〜99重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部あたり、難燃剤(D)1〜70重量部を配合してなるもの、または(2)デンプンおよび/または熱可塑性デンプン(A)1〜98重量%、熱可塑性ポリウレタン(B)1〜98重量%および他の熱可塑性樹脂(C)90〜1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部あたり、難燃剤(D)1〜70重量部を配合してなるものであり、この組成の範囲外では本発明の目的とする最終製品で要求される実用強度に優れた樹脂組成物が得られないため好ましくない。
また本発明における熱可塑性樹脂組成物には、上記各成分の他に、その物性を損なわない限りにおいて、安定剤、顔料、染料、補強剤(タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維等の無機系添加剤、木粉、竹粉、セルロース、ケナフ等の植物繊維、液晶ポリマー等)、着色剤(カーボンブラック、酸化チタン等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、無機および有機系抗菌剤等の公知の添加剤を配合することができる
本発明における上記デンプン(A)、熱可塑性ポリウレタン(B)、他の熱可塑性樹脂(C)および難燃剤(D)の混合方法としては特に制限は無く、バンバリーミキサー、押出機等公知の混練機を用いる方法が挙げられる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物の成形方法には特に制限は無く目的に応じて公知の成形方法、例えば射出成形、シート成形、異型押出し成形、パイプ成形、インフレーション成形、T−ダイ押出し成形等を用いることが可能である。
また、最終製品における目的に応じて、多色成形機あるいは多層押出機を使用して、本発明における熱可塑性樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂からなる多色成形品あるいは多層成形品を成形することも可能である。
[実施例]
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
デンプン(A)
A−1:ゴールデンスターチ(E−ラボ社製)
A−2:バイオプラスHSC(林商事(株))
熱可塑性ポリウレタン(B
B−1:パンデックス T−1180(DICバイエルポリマー製)
B−2:パンデックス T−2190(DICバイエルポリマー製)
B−3:パンデックス T−1575(DICバイエルポリマー製)
B−4:パンデックス T−8166D(DICバイエルポリマー製)
B−5:パンデックス T−9280(DICバイエルポリマー製)
熱可塑性樹脂(C)
C−1−1:ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製 サンタックAT−08)
C−1−2:AES樹脂(日本エイアンドエル(株)製 ユニブライトUB−311)
C−1−3:ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製 クララスチックST−100)
C−1−4:ASA樹脂 公知の乳化重合法により、ブチルアクリレートゴムラテックス40重量部(ゴム状重合体の平均粒子径0.2μm、固形分50%)、アクリロニトリル20重量部、スチレン60重量部を重合し、ASA樹脂を得た。
C−1−5:ゴム強化PMMA樹脂(住友化学(株)製 スミペックスHT55X)
C−1−6:ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製 レイシアH400)
難燃剤(D)
D−1:2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン(第一工業製薬製;SR−245)
D−2:縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製 PX−200 重量平均分子量:686)
D−3:水酸化アルミニウム
〔実施例1〜9、比較例1〜5〕
上記各成分につき、表1〜3に示す配合割合で混合し、40mm単軸押出機を用いて180℃で溶融混合しペレット化した後、200℃に設定された射出成形機(山城精機製SAV−100)を用いて試験片を作成し評価した結果を表1および表2に示した。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
難燃性:UL94規格に準じて、1.6mm試験を用い評価した。全てのV試験規格に適合しない場合は、不合格とした。
引張り伸び率:AGS−500(島津製作所製)を用いてISO527に準じ引張り破断伸び率を測定した。単位%
層状剥離:JIS K5400に準じ、碁盤目試験を行いセロハンテープ剥離後の100マス中で剥がれたマス目を測定した。
○:剥がれたマス目が10マス未満
△:剥がれたマス目が10〜20
×:剥がれたマス目が21以上
以上のように、本発明によれば、環境負荷が低く、実用強度に優れる難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られるものであり、本発明による樹脂組成物は各種包材や工業用部品用材料をはじめ、OA・家電分野、電気・電子分野、建材分野、サニタリー分野、更には車両分野等に最適に使用することが可能である。

Claims (7)

  1. デンプンおよび/または熱可塑性デンプン(A)1〜99重量%および熱可塑性ポリウレタン(B)1〜99重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部あたり、難燃剤(D)1〜70重量部を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  2. デンプンおよび/または熱可塑性デンプン(A)1〜98重量%、熱可塑性ポリウレタン(B)1〜98重量%および他の熱可塑性樹脂(C)90〜1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部あたり、難燃剤(D)1〜70重量部を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  3. デンプンおよび/または熱可塑性デンプン(A)の重量平均分子量が1000〜5000000であることを特徴とする請求項1又は2何れかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂(C)が(ゴム強化)スチレン系樹脂、(ゴム強化)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 熱可塑性樹脂(C)が(ゴム強化)スチレン系樹脂単独または(ゴム強化)スチレン系樹脂と(ゴム強化)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂とのアロイであることを特徴とする請求項2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  6. (ゴム強化)スチレン系樹脂が、ゴム状重合体として共役ジエン系ゴム、非共役ジエン系ゴム、シリコン系ゴムから選ばれた少なくとも1種のゴム状重合体を含有するゴム強化スチレン系樹脂であることを特徴とする請求項4または5何れかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  7. 難燃剤(D)が、下記一般式(1)で表されるハロゲン化芳香族トリアジン化合物および/または下記一般式(2)で表される重量平均分子量が327以上である燐酸エステル系難燃剤であることを特徴とする請求項1〜6何れかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
    (R1、R2、R3は、異種または同種の炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基又はハロゲン化アルキルアリール基を表す。)
    (R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立して、水素原子または1価の有機基を表わすが、R、R、R及びRの中の少なくとも1つは1価の有機基である。Xは2価の有機基であり、k、l、m及びnはそれぞれ互いに独立して0又は1であり、Nは0〜10の整数である)。
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