JP5273646B2 - 難燃性ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents

難燃性ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリ乳酸系難燃共重合体やドリップ防止成分を含有する難燃性ポリ乳酸系樹脂組成物に関するものである。
一般に、成形用の原料としては、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド(PA6、PA66など)、ポリエステル(PET、PBTなど)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が使用されている。しかしながら、このような樹脂から製造された成形体は、成形性、機械的強度に優れているが、廃棄する際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解されないために、埋設処理しても半永久的に地中に残留する。
一方、近年、環境保全の見地から生分解性ポリエステル樹脂が注目されている。生分解性ポリエステル樹脂の中でもポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどは、大量生産可能なためコストも安く、有用性が高い。そのうち、ポリ乳酸は既にトウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として工業生産が可能となっており、使用後に焼却されても、これらの植物の生育時に吸収した二酸化炭素を考慮すると、炭素の収支として中立であることから、特に、地球環境への負荷の低い樹脂とされている。
すでに、雑貨や使い捨て用途などでは、ポリ乳酸樹脂の適用がかなり進められており、さらに、一定レベル以上の樹脂性能が求められる電子機器筐体などの用途にもポリ乳酸樹脂の展開が図られ、一部実用化されている。
これらの電気関係の製品への適用においては、多くの場合、高いレベルの難燃性、すなわちUL94規格V−1以上が求められることが多い。しかしながら、ポリ乳酸樹脂の燃焼性は高く、ポリ乳酸樹脂に一定レベル以上の難燃性を付与することは容易ではない。
UL94規格V−1以上の難燃性を得るためには、ドリップによる綿着火が生じてはならない。接炎時にほとんど着火せずに溶融落下することでV−1以上の難燃性が得られている場合でも、耐熱性などの他の物性を改良すると、溶融粘性が変わり、その結果、当初の難燃性が失われることがある。
ポリ乳酸樹脂に難燃性を付与する方法としては、例えば、特許文献1や特許文献2で開示されているように、各種難燃剤を配合することが一般的である。しかしながら、これら文献においては、V−1以上の高い難燃性を得るためには、20質量部以上の高い割合で、難燃剤を配合するか、あるいは、芳香族ポリカーボネート樹脂などのポリ乳酸樹脂に比べて燃焼性が低い樹脂を配合することが必要となっている。
一方、ポリ乳酸樹脂そのものに難燃性を付与する方法としては、例えば、特許文献3で開示されているように、ポリ乳酸と難燃成分の共重合体を用いる方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、難燃性は3.1mm厚のみを検討しており、電子機器筐体などで実際に求められる、2mm厚以下での難燃性については検討されておらず、厚みによるドリップ状況の差異が大きいことから考えて、2mm厚以下では、充分な難燃性が得られない可能性がある。
さらに、特許文献4では、ガラス繊維を配合して難燃性を付与することが開示されている。しかしながら、V−1以上の高い難燃性が得られている組成では、シリコーン系化合物や他樹脂が配合されているため、ポリ乳酸の比率が極めて低くなっており、その結果、当然、環境面での貢献度が低いものであった。
このように、環境面から樹脂組成物におけるポリ乳酸樹脂の含有比率を高めるとともに、これにV−1以上の高度の難燃性を付与させることは困難なことであった。
特開2006−016446号公報 特開2007−056247号公報 特開2004−277575号公報 特開2004−250500号公報
本発明は、前記の問題点を解決しようとするものであり、高い難燃性を持ち、かつ、ポリ乳酸樹脂含有比率の高い難燃性ポリ乳酸系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂に、特定
のポリ乳酸系難燃共重合体とドリップ防止成分とを含有させた樹脂組成物が前記課題を解
決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)と、ドリップ防止成分(C)とを含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)が、単量体成分として、乳酸成分とリン元素を含有するジオール成分とを含有し、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)におけるリン元素の含有量が2.0質量%以上であり、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との質量比(A/B)が、70/30〜95/5であり、ドリップ防止成分(C)が、フッ素樹脂系ドリップ防止剤または無機繊維であり、フッ素樹脂系ドリップ防止剤を含有する場合は、その含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.05〜0.5質量部であり、無機繊維を含有する場合は、その含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、3〜25質量部であることを特徴とする難燃性ポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)とを構成する全ポリ乳酸成分
量に対して、D−乳酸成分量が0.6%以下であるか、または99.4%以上であること
を特徴とする(1)記載の樹脂組成物。
(3)ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部が、(
メタ)アクリル酸エステル化合物0.01〜5質量部と、過酸化物0.02〜10質量部
とともに溶融混練されてなることを特徴とする(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)結晶核剤(D)をさらに含有し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系
難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.03〜5質量部であることを特
徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)結晶核剤(D)が、有機アミド化合物、有機ヒドラジド化合物、カルボン酸エステ
ル系化合物、有機スルホン酸塩、フタロシアニン系化合物、メラミン系化合物、および有
機ホスホン酸塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする(4)記載の樹脂組成物。
(6)カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる1種以
上の加水分解抑制剤(E)をさらに含有し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳
酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.05〜8質量部であること
を特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、高い難燃性を持ち、かつポリ乳酸樹脂比率の高い難燃性ポリ乳酸系樹脂組成物を提供することができる。この樹脂組成物を電気製品の筐体などに用いることで、低環境負荷材料であるポリ乳酸樹脂の使用範囲を大きく広げることができ、産業上の利用価値はきわめて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の難燃性ポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)と、ドリップ防止成分(C)とを含有する樹脂組成物である。
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A)としては、耐熱性、成形性の面から、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、およびこれらの混合物または共重合体を用いることができ、生分解性および成形加工性の観点からは、ポリ(L−乳酸)を主体とすることが好ましい。
また、ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸樹脂(A)の融点は、光学純度によってその融点が異なるが、本発明においては、成形体の機械的特性や耐熱性を考慮すると、融点を160℃以上とすることが好ましい。ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸樹脂(A)において、融点を160℃以上とするためには、D−乳酸成分の割合を約3モル%未満とすればよい。
ポリ乳酸樹脂(A)の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレート(例えば、JIS規格K−7210(試験条件4)による値)は通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分、最適には0.5〜10g/10分である。メルトフローレートが50g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて成形体の機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。また、メルトフローレートが0.1g/10分未満の場合は成形加工時の負荷が高くなって、操業性が低下する場合がある。
ポリ乳酸樹脂(A)は公知の溶融重合法で、あるいは、さらに固相重合法を併用して製造される。また、生分解性樹脂(A)のメルトフローレートを所定の範囲に調節する方法として、メルトフローレートが大きすぎる場合は、少量の鎖長延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いて樹脂の分子量を増大させる方法が挙げられる。逆に、メルトフローレートが小さすぎる場合はメルトフローレートの大きなポリエステル樹脂や低分子量化合物と混合する方法が挙げられる。
本発明において、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)は、単量体成分として、乳酸成分とリン元素を含有するジオール成分とを含み、共重合体(B)におけるリン元素の含有量が2.0質量%以上である共重合体である。
ポリ乳酸系難燃共重合体(B)を構成する乳酸成分としては、前記ポリ乳酸樹脂(A)を構成する乳酸成分が例示される。
また、リン元素を含有するジオール成分としては、その化学構造は、特に限定されないが、難燃効果の点から、リン原子−酸素原子が存在する構造や、ベンゼン環をはじめとする芳香環が存在する構造を有するものが好ましい。リン原子−酸素原子が存在する構造では、燃焼時のスムーズな遊離リン酸生成による脱水・炭化促進効果があり、また、ベンゼン環をはじめとする芳香環が存在する構造でも、炭化促進効果がある。
リン元素を含有するジオール成分として、例えば、難燃性ポリエチレンテレフタレート樹脂製造の際の重合時添加用に市販されている各種ジオールを用いることが可能である。
リン元素を含有するジオール成分の具体的な市販品としては、例えば、日本化学工業製n−ブチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスファイトオキシド『ヒシコーリンPO−4500』、三光製芳香族含リンジオール『ME100』、北興化学製ジフェニルホスフィニルハイドロキノン『PPQ』などが挙げられる。
これらのうち、フェノール類やハイドロキノン類については、アルキレングリコール類をヒドロキシル基部位に縮合させて、芳香環とヒドロキシル基の直結を回避することにより、ポリ乳酸への導入がより円滑におこなわれる場合がある。
ポリ乳酸系難燃共重合体(B)の製造法としては、乳酸、ラクチド、乳鎖オリゴマーなどと、リン元素を含有するジオールとを原料として、重合によって製造することが可能である。また、市販のポリ乳酸樹脂に、リン元素を含有するジオール成分を導入することによって、製造することも可能である。ポリ乳酸樹脂に、リン元素を含有するジオール成分を導入する方法としては、例えば、ポリ乳酸の解重合および該ジオール成分のポリ乳酸への結合をおこなう操作と、分子鎖を延長して分子量を確保する操作とからなる方法が挙げられる。リン元素を含有するジオール成分をポリ乳酸へ結合せしめた後の分子鎖延長操作としては、例えば、鎖延長効果を持つ化合物を用いる方法が挙げられる。鎖延長効果を持つ化合物としては、種々のものを用いることができるが、例えば、イソシアネート基を持つ化合物を用いることができる。具体的な化合物名としては、例えば、シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
本発明において、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)におけるリン元素の含有量は2.0質量%以上であることが必要である。リン元素の含有量が2.0質量%未満の場合、ポリ乳酸樹脂(A)に対してポリ乳酸系難燃共重合体(B)配合量を多くしなければ、充分な難燃性を得ることができず、またそのような配合量においては、耐衝撃性等の物性性能が不充分となり、いずれも、本発明の目的を達することができない。
本発明の樹脂組成物は、ドリップ防止成分(C)を含有することが必要であり、ドリップ防止成分(C)として、フッ素樹脂系ドリップ防止剤または無機繊維を使用することができる。
フッ素樹脂系ドリップ防止剤は、特に限定されず、種々のものを用いることができる。市販のもとしては、例えば、ダイキン製『ポリフロンFA』、あるいは三菱レーヨン製『メタブレンA3700』、『メタブレンA3800』などが挙げられる。
無機繊維も特に限定されず、種々のものを用いることができ、具体的には、例えば、ガラス繊維などを用いることができる。無機繊維の形態は特に限定されないが、例えば、100mm以下の長さに切断されたものは、樹脂組成物への混合・分散の点で好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物において、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)の質量比(A/B)は、70/30〜95/5の範囲であることが必要であり、70/30〜90/10であることが好ましく、75/25〜85/15であることがさらに好ましい。ポリ乳酸樹脂(A)が、70質量%未満であると、耐衝撃性や耐久性が低下することがあり、一方、95質量%を超えると、難燃性が低下することがある。
本発明の樹脂組成物において、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)は、それらを構成する全ポリ乳酸成分量に対して、D−乳酸成分の含有量が0.6%以下であるか、または99.4%以上であることが好ましい。また、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物ともに溶融混練されていることが好ましい。さらに、樹脂組成物は、結晶核剤を含有していることが好ましい。これらいずれかの条件が満足されると、樹脂組成物の結晶化が促進され、良好な成形性を得ることができる。
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A)やポリ乳酸系難燃共重合体(B)と溶融混練する(メタ)アクリル酸エステル化合物は、樹脂組成物の結晶化を促進し、耐熱性を改善することを目的として配合される。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体的な化合物としては、ポリ乳酸樹脂との反応性が高く、モノマーが残りにくく、かつ、毒性が少なく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または、1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。具体的な化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシ(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジアクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジアクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジメタクリレート、または、これらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体、ブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の添加量は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.01〜5質量部であることが好ましく、0.05〜1質量部であることがより好ましい。添加量が0.01質量部未満では、目的とする耐熱性が得られず、また、過剰に添加すると、混練時の操業性が低下することがある。
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A)やポリ乳酸系難燃共重合体(B)と溶融混練する過酸化物は、(メタ)アクリル酸エステル化合物とポリ乳酸樹脂との反応を促進し、耐熱性を改善することを目的として配合される。過酸化物の具体的な化合物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメンなどが挙げられる。
過酸化物の添加量は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.02〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。添加量が0.02質量部未満では、目的とする効果が得られず、また、過剰に添加すると、混練時の操業性が低下することがある。
上述のように、本発明においては、ポリ乳酸樹脂(A)やポリ乳酸系難燃共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物とともに溶融混練することが好ましい。これらを溶融混練したのち、ドリップ防止成分(C)を加えて本発明の樹脂組成物を製造してもよい。また、後述するように、ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)と、ドリップ防止成分(C)とを溶融混練して樹脂組成物を製造する際に、(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物とを共存させて、ポリ乳酸樹脂(A)、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)と、(メタ)アクリル酸エステル化合物、過酸化物との溶融混練や、ドリップ防止成分(C)との混合を同時に実施してもよい。
本発明の樹脂組成物は、結晶核剤(D)を含有していることが好ましい。結晶核剤(D)の含有により、樹脂組成物の結晶化が促進され、良好な成形性を得ることができる。
結晶核剤(D)としては、種々のものを用いることができ、具体的な市販品としては、新日本理化製『TF−1』、トヨタ製マスターバッチ『KX238B』、などが挙げられる。
また、結晶核剤(D)としては、有機アミド化合物、有機ヒドラジド化合物、カルボン酸エステル系化合物、有機スルホン酸塩、フタロシアニン系化合物、メラミン系化合物、および有機ホスホン酸塩、から選ばれる1種以上を用いることで、より優れた成形性が得られる。
有機アミド化合物、有機ヒドラジド化合物としては、一般式(1)〜(3)で表される化合物が好ましい。
−(CONH−R (1)
[式中、Rは炭素数2〜30の飽和あるいは不飽和の脂肪鎖、飽和あるいは不飽和の脂肪環、あるいは、芳香環を表す。Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基あるいはシクロアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、あるいは、式(a)〜(d)のいずれかで表される基を表し、1つ以上の水素原子がヒドロキシル基で置換されていても構わない。aは2〜6の整数を表す。]
[式中、Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、フェニル基、あるいは、ハロゲン原子を表す。lは1〜5の整数を表す。]
[式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状、あるいは、分岐鎖状のアルキレン基を表す。Rは前記のRと同義である。mは0〜5の整数を表す。]
[式中、Rは前記のRと同義である。nは1〜5の整数を表す。]
[式中、Rは前記のRと、Rは前記のRとそれぞれ同義である。oは0〜6の整数を表す。]
−(NHCO−R10 (2)
[式中、Rは炭素数2〜30の飽和あるいは不飽和の脂肪鎖、不飽和の脂肪環、あるいは、芳香環を表す。R10は前記のRと同義である。fは2〜6の整数を表す。]
11−(CONHNHCO−R12 (3)
[式中、R11は炭素数2〜30の飽和あるいは不飽和の脂肪鎖、不飽和の脂肪環、あるいは、芳香環を表す。R12は前記のRと同義である。hは2〜6の整数を表す。]
一般式(1)〜(3)で表される具体的な化合物としては、例えば、ヘキサメチレンビス−9、10−ジヒドロキシステアリン酸ビスアミド、p−キシリレンビス−9、10ジヒドロキシステアリン酸アミド、デカンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、ヘキサンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアニリド、N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアニリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N,N’−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N′−ジシクロヘキサンカルボニル−1,5−ジアミノナフタレン、エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、オクタンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジドなどが挙げられる。
このうち、樹脂中への分散性および耐熱性の面から、N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、N,N’−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、オクタンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジドが好ましく、さらに、N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、N,N′−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミドが特に好ましい。
カルボン酸エステル系化合物としては、種々のものを用いることができるが、例えば、脂肪族ビスヒドロキシカルボン酸エステル等が好ましい。
有機スルホン酸塩としては、スルホイソフタル酸塩など、種々のものを用いることができるが、中でも、5−スルホイソフタル酸ジメチル金属塩が、結晶化促進効果の点から好ましい。さらに、バリウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩などが好ましい。
フタロシアニン系化合物としては、種々のものをも用いることができるが、遷移金属錯体を用いることが好ましく、中でも、銅フタロシアニンが結晶化促進効果の点から好ましい。
メラミン系化合物としては、種々のものを用いることができるが、結晶化促進効果の点から、メラミンシアヌレートを用いることが好ましい。
有機ホスホン酸化合物としては、フェニルホスホン酸塩が、結晶化促進効果の点から好ましい。そのうち、特にフェニルホスホン酸亜鉛が好ましい。
結晶核剤(D)としては、これらのものを単独、あるいは、2種以上を併用して配合することができる。
これら有機系の結晶核剤に対して、無機系の各種結晶核剤を併用しても構わない。
結晶核剤(D)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.03〜5質量部であることが好ましく、0.1〜4質量部であることがより好ましい。含有量が0.03質量部未満であると、配合することの効果が乏しい。一方、5質量部を超えて配合すると、結晶核剤としての効果が飽和し、経済的に不利であるだけでなく、生分解後の残渣分が増大するため、環境面でも好ましくない。
本発明において加水分解抑制剤(E)は、樹脂組成物の耐久性を向上させ、その難燃性、および、耐熱性を長期間、安定的に維持することを目的として配合される。加水分解抑制剤(E)としては、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる1種以上が挙げられる。
具体的な物質としては、種々のものを用いることができるが、特に、イソシアネート基を含有するカルボジイミド化合物を用いることが好適である。イソシアネート基を含有するカルボジイミド化合物としては、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物にイソシアネート基が導入された構造であれば特に限定されず、そのカルボジイミド骨格としては、N,N′−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N′−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N′−シクロヘキシルカルボジイミド、N−トリイル−N′−フェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−トリイルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリイルカルボジイミド、4,4′−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、N,N−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどが例示される。
加水分解抑制剤(E)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.05〜8質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。含有量が0.05質量部未満では目的とする耐久性が得られない場合があり、また、8質量部を超えて添加すると、色調が大きく損なわれる場合がある。
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)、ドリップ防止成分(C)を含有し、好ましくは、結晶核剤(D)、加水分解抑制剤(E)を含有するものである。これらを混合する手段は、特に限定されないが、一軸あるいは二軸の押出機を用いて溶融混練する方法を挙げることができる。また、この溶融混練に際して、(メタ)アクリル酸エステル化合物、過酸化物を添加してもよい。混練状態をよくする意味で二軸の押出機を使用することが好ましい。混練温度は(ポリ乳酸樹脂の融点+5℃)〜(ポリ乳酸樹脂の融点+100℃)の範囲が、また、混練時間は20秒〜30分が好ましい。この範囲より低温や短時間であると、混練や反応が不充分となったり、逆に、高温や長時間であると樹脂の分解や着色が起きる場合があり、ともに好ましくない。
本発明の樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填材、植物繊維、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等を添加することができる。熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物などが例示される。無機充填材としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、マグネシア、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維などが例示される。植物繊維としては、例えば、ケナフ繊維などが例示される。なお、本発明のポリエステル樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、および、シート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の成形方法により、各種成形体とすることができる。とりわけ、射出成形法を採ることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。本発明の樹脂組成物に適した射出成形条件の一例を挙げれば、シリンダ温度を樹脂組成物の融点または流動開始温度以上、好ましくは170〜250℃、最適には170〜230℃の範囲とし、また、金型温度は樹脂組成物の(融点−20℃)以下とするのが適当である。成形温度が低すぎると成形品にショートが発生するなど操業性が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に、成形温度が高すぎると樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生しやすく、ともに好ましくない場合がある。
本発明の樹脂組成物は、成形の際に結晶化を促進させることにより、その耐熱性をさらに高めることができる。このための方法としては、例えば、射出成形時に金型内で結晶化を促進させる方法があり、その場合には、樹脂組成物の(ガラス転移温度+20℃)以上、(融点−20℃)以下に保たれた金型内で、一定時間、成形品を保持した後、金型より取り出す方法が好適である。また、このような方法をとらずに金型より取り出された成形品であっても、あらためて、ガラス転移温度以上、(融点−20℃)以下で熱処理することにより、結晶化を促進することができる。
本発明の樹脂組成物を用いた成形体の具体例としては、パソコン筐体部品および筐体、携帯電話筐体部品および筐体、その他OA機器筐体部品等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インストルメントパネル、コンソールボックス、ガーニッシュ、ドアトリム、天井、フロア、エンジン周りのパネル等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。また、フィルム、シート、中空成形品などとすることもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)難燃性:
UL94に準拠して測定した。試験片は1.6mm厚のものを用いた。難燃性は、V−1以上であることが好ましい。
(2)耐衝撃性:
ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃値を測定し、20J/m以上を○とし、15J/m以上、20J/m未満を△とし、15J/m未満を×とした。
(3)耐久性:
60℃95%RH×20日間の高温高湿処理をおこない、ASTM D790に準拠して曲げ強度を測定し、高温高湿処理前の曲げ強度の測定値を基準にして、曲げ強度の保持率を求めた。85%以上を○とし、70%以上、85%未満を△とし、70%未満を×とした。
(4)成形性:
樹脂組成物を、東芝機械社製IS−80G型射出成形機を用いて、金型表面温度を105℃に調整しながら、一般物性測定用試験片(ASTM型)を作製した。このとき、充填・保圧時間を30秒に固定し、試験片が充分硬化し取り出し可能となる冷却時間を見極めた。冷却時間が45秒未満を◎とし、45秒以上、55秒未満を○とし、55秒以上、65秒未満を△とし、65秒以上を×とした。
(5)耐熱性:
ASTM D648に準拠し、荷重0.45MPaで熱変形温度を測定し、80℃以上を○とし、70℃以上、80℃未満を△とし、70℃未満を×とした。
また、実施例、比較例に用いた各種原料は次の通りである。
(1)ポリ乳酸樹脂(A):
・トヨタ製『S−12』(D体含有量0.1%、メルトフローレート(190℃、21.2N)8g/10分、融点180℃)
・カーギルダウ製『3001D』(D体含有量1.4%、メルトフローレート(190℃、21.2N)10g/10分、融点170℃)
(2)リン元素を含有するジオール:
・日本化学工業製n−ブチル−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスファイトオキシド『PO−4500』
(3)ポリ乳酸系共重合体
・ポリ乳酸系難燃共重合体(B):
ポリ乳酸樹脂(S−12)60gと、リン元素を含有するジオール(PO−4500)40gとをガラス製重合管に入れ、窒素ガスで置換した後、攪拌しながら230℃まで加熱した。このまま、2時間反応した後、190℃に降温してシクロヘキシルジイソシアネート30gをゆっくり加えた。30分間攪拌反応した後、真空ポンプを用いて5hPaまで減圧して30分間後、窒素ガスを用いて常圧に戻し、ガラス管内の重合物を払い出して回収・粉砕し、リン元素の含有量が4.3質量%であるポリ乳酸系難燃共重合体(B)を得た。
・リン元素低含有ポリ乳酸系共重合体:
ポリ乳酸樹脂(S−12)を85gに、リン元素を含有するジオール(PO−4500)を15gに変更した以外は、上記(B)と同様にして、リン元素の含有量が1.6質量%であるリン元素低含有ポリ乳酸系共重合体を得た。
(4)ドリップ防止成分(C):
・ダイキン製フッ素樹脂系ドリップ防止剤『FA500C』
・オーエンスコーニング製ガラス繊維『03JAFT592』(以下、「FT592」と称す。)
(5)(メタ)アクリル酸エステル化合物:
・日本油脂製エチレングリコールジメタクリレート『ブレンマーPDE−50』
(6)過酸化物:
・日本油脂製ジ−t−ブチルパーオキサイド『パーブチルD』
(7)結晶核剤(D):
・新日本理化製N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド『TF−1』
(8)加水分解抑制剤(E):
・日清紡製イソシアネート変性カルボジイミド『LA−1』(イソシアネート基含有率1〜3%)
(9)芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤:
・大八化学製芳香族縮合リン酸エステル『PX200』
実施例1
二軸押出機(東芝機械製TEM−37)を用い、ポリ乳酸樹脂(S−12)80質量部と、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)20質量部と、ドリップ防止成分(FA500C)0.5質量部と、結晶核剤0.5質量部と、加水分解抑制剤1質量部とをドライブレンドして押出機の根元供給口から供給し、バレル温度180℃、スクリュー回転数180rpm、吐出10kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出しを実施した。さらに、(メタ)アクリル酸エステル化合物0.1質量部と過酸化物0.2質量部とをシリンダ内に供給した。押出機先端から吐出された樹脂をペレット状にカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを70℃×24時間真空乾燥したのち、東芝機械社製IS−80G型射出成形機を用いて、金型表面温度を105℃に調整しながら、一般物性測定用試験片(ASTM型)を成形し、各種測定に供した。
実施例2〜7、および比較例1〜5
表1に示すように各成分の種類と量を変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物ペレットを得、これを射出成形して各種物性を測定した。
実施例1〜7、比較例1〜5の評価結果をまとめて表1に示す。
表1から明らかなように、実施例においては、難燃性、耐衝撃性、耐熱性、耐久性、成形性に優れた樹脂組成物が得られた。
なお、実施例1、4〜6においては、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との比率が好適であったため、実施例2〜3と比較して、難燃性、耐衝撃性、耐久性のバランスにおいて、特に優れた結果が得られた。また、実施例1〜4においては、D−乳酸成分の含有量が好適であるため、実施例5〜6と比較して、成形性において、特に優れた結果が得られた。実施例1、4、6においては、加水分解抑制剤の配合量が適当であったため、実施例3、5と比較して、耐久性、色調の点でより好適な結果が得られた。
一方、比較例1において、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)が用いずに、芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤を用いたところ、難燃剤の配合量が高いにもかかわらず、難燃性が得られなかった。比較例2においては、ドリップ防止成分(C)の含有量が少ないため、充分な難燃性が得られなかった。比較例3においては、リン元素の含有量が低いポリ乳酸系共重合体を用いたため、難燃性が得られず、比較例4、5においては、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)の配合比率が規定した範囲を超えため、耐衝撃性等に劣る結果となった。

Claims (7)

  1. ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)と、ドリップ防止成分(C)とを含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)が、単量体成分として、乳酸成分とリン元素を含有するジオール成分とを含有し、ポリ乳酸系難燃共重合体(B)におけるリン元素の含有量が2.0質量%以上であり、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との質量比(A/B)が、70/30〜95/5であり、ドリップ防止成分(C)が、フッ素樹脂系ドリップ防止剤または無機繊維であり、フッ素樹脂系ドリップ防止剤を含有する場合は、その含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.05〜0.5質量部であり、無機繊維を含有する場合は、その含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、3〜25質量部であることを特徴とする難燃性ポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)とを構成する全ポリ乳酸成分量に対して、D−乳酸成分量が0.6%以下であるか、または99.4%以上であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部が、(メタ)アクリル酸エステル化合物0.01〜5質量部と、過酸化物0.02〜10質量部とともに溶融混練されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 結晶核剤(D)をさらに含有し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.03〜5質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 結晶核剤(D)が、有機アミド化合物、有機ヒドラジド化合物、カルボン酸エステル系化合物、有機スルホン酸塩、フタロシアニン系化合物、メラミン系化合物、および有機ホスホン酸塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4記載の樹脂組成物。
  6. カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる1種以上の加水分解抑制剤(E)をさらに含有し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ乳酸系難燃共重合体(B)との合計100質量部に対して、0.05〜8質量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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