JP4423882B2 - ポリ乳酸繊維 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐加水分解性が向上し、かつ色調が良好なポリ乳酸繊維に関するものであって、繊維製品に加工する際に、カルボジイミド化合物に由来する熱分解生成物による刺激性の不快臭の発生を伴わず、取り扱い性に優れたポリ乳酸繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球的規模での環境に対する意識向上に伴い、自然環境の中で分解する繊維素材の開発が切望されている。例えば、従来の汎用プラスチックは石油資源を主原料としていることから、石油資源が将来枯渇すること、また石油資源の大量消費により生じる地球温暖化が大きな問題として採り上げられている。
【0003】
このため近年では脂肪族ポリエステル等、様々なプラスチックや繊維の研究・開発が活発化している。その中でも微生物により分解されるプラスチック、即ち生分解性プラスチックを用いた繊維に注目が集まっている。
【0004】
また、二酸化炭素を大気中から取り込み成長する植物資源を原料とすることで、二酸化炭素の循環により地球温暖化を抑制できることが期待できるとともに、資源枯渇の問題も解決できる可能性がある。そのため、植物資源を出発点とするプラスチック、すなわちバイオマス利用のプラスチックに注目が集まっている。
【0005】
これまで、バイオマス利用の生分解性プラスチックは、力学特性や耐熱性が低いとともに、製造コストが高いといった課題があり、汎用プラスチックとして使われることはなかった。一方、近年では力学特性や耐熱性が比較的高く、製造コストの低い生分解性のプラスチックとして、でんぷんの発酵で得られる乳酸を原料としたポリ乳酸が脚光を浴びている。
【0006】
ポリ乳酸は、例えば手術用縫合糸として医療分野で古くから用いられてきたが、最近は量産技術の向上により価格面においても他の汎用プラスチックと競争できるまでになった。そのため、繊維としての商品開発も活発化してきている。
【0007】
ポリ乳酸繊維の開発は、生分解性を活かした農業資材や土木資材等が先行しているが、それに続く大型の用途として衣料用途、カーテン、カーペット等のインテリア用途、車両内装用途、産業資材用途への応用も期待されている。しかしながら、衣料用途や産業資材用途に適応する場合には、ポリ乳酸の加水分解性が高いことが大きな問題となる。ポリ乳酸繊維の衣料用途では、ほとんどの場合において染色されるが、濃色に染めることが難しい。そのため、吸尽率を高めるのに110℃以上の染色温度が必須となる。しかしながら、110℃以上の温度で染色すると、ポリ乳酸の加水分解が急激に進んで分子量低下が起こるため、布帛の引裂強力が実用レベルを満たさないという問題があった。
【0008】
また、使用環境下においても加水分解が進むため、特に高い強度保持率が要求される産業資材用途においては、製品寿命が短いという問題があった。
【0009】
この問題を解決するため、モノカルボジイミド化合物を添加して耐加水分解性を向上させたポリ乳酸繊維が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、モノカルボジイミド化合物は高価であるとともに、ブリードアウトにより高濃度マスター化が困難であるという問題があった。一方、比較的安価なカルボジイミド化合物として、ポリカルボジイミドを添加して耐加水分解性を向上させた樹脂およびフィルムが開示されている(特許文献2および特許文献3参照)。しかしながら、ポリカルボジイミド化合物はポリ乳酸への分散性が低いとともに、ゲル化が発生しやすく、耐加水分解性向上が不充分なばかりか、製糸安定性が不安定となり工業的な繊維生産に適用しがたいものであった。さらに、本発明者らの検討によれば耐熱性が悪いことに起因し、ポリカルボジイミド化合物を添加したポリマを溶融紡糸すると、カルボジイミド化合物に由来した刺激性の分解ガスが発生するために作業環境が悪化するとともに、得られたポリ乳酸繊維をバインダーとして溶融成形する場合にも同様な問題が発生することがわかった。さらには、該ポリ乳酸繊維は色調が悪く、色調の指標であるb*値が10を越える黄味の強いものしか得られていない。
【0010】
以上のような問題から、依然として耐加水分解性に優れたポリ乳酸繊維を安定して製造することができておらず、用途展開に大きな制限があった。このため、耐熱性および耐加水分解性が向上し、かつ色調も良好なポリ乳酸繊維が望まれていた。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−261797号公報(第2〜4頁)
【0012】
【特許文献2】
特開平9−296097号公報(第5〜6頁)
【0013】
【特許文献3】
特開平11−80522号公報(第2〜4頁)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶融成形時の耐熱性が向上し、不快な刺激臭の発生を伴わず、耐加水分解性および色調が良好なポリ乳酸繊維およびそれからなる繊維製品を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、カルボジイミド化合物によりポリ乳酸のカルボキシル基末端の少なくとも一部が封鎖されてなるポリ乳酸繊維であって、該ポリ乳酸の残存ラクチド量が1000ppm以下であり、該カルボジイミド化合物が式1
【0016】
【化4】
Figure 0004423882
【0017】
で表される4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、および、式2
【0018】
【化5】
Figure 0004423882
【0019】
で表されるイソホロンジイソシアネート、および、式3
【0020】
【化6】
Figure 0004423882
【0021】
で表されるテトラメチルキシリレンジイソシアネートの少なくとも1種に由来し、分子中に2以上のカルボジイミド基を有し、かつそのイソシアネート末端がカルボン酸で封止されてなるポリカルボジイミド化合物であって、色調の指標であるb値が5以下、トータルカルボキシル末端濃度が10当量/ton以下、粘度保持率が75%以上であることを特徴とするポリ乳酸繊維により達成される。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明でいうポリ乳酸とは、−(O-CHCH3-CO)n−を繰り返し単位とするポリマーであり、乳酸やラクチド等の乳酸のオリゴマーを重合したものをいう。乳酸にはD−乳酸とL−乳酸の2種類の光学異性体が存在するため、その重合体もD体のみからなるポリ(D−乳酸)とL体のみからなるポリ(L−乳酸)および両者からなるポリ乳酸がある。ポリ乳酸中のD−乳酸、あるいはL−乳酸の光学純度は、それらが低くなるとともに結晶性が低下し、融点降下が大きくなる。そのため、耐熱性を高めるために光学純度は90%以上であることが好ましい。
【0023】
ただし、上記のように2種類の光学異性体が単純に混合している系とは別に、前記2種類の光学異性体をブレンドして繊維に成形した後、140℃以上の高温熱処理を施してラセミ結晶を形成させたステレオコンプレックスにすると、融点を飛躍的に高めることができるためより好ましい。
【0024】
また、ポリ乳酸中には低分子量残留物として残存ラクチドが存在するが、これら低分子量残留物は、延伸や仮撚加工工程での加熱ヒーター汚れや染色加工工程での染め斑等の染色異常を誘発する原因となる。また、繊維や繊維成型品の加水分解を促進し、耐久性を低下させる。そのため、残存ラクチド量は1000ppm以下、好ましくは300ppm以下である。
【0025】
また、ポリ乳酸の性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していてもよい。共重合する成分としては、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル、ポリブチレンサクシネートやポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル、ポリエチレンイソフタレートなどの芳香族ポリエステル、及びヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸、ジオールなどのエステル結合形成性の単量体が挙げられる。ただし、バイオマス利用、生分解性の観点から、ポリ乳酸繊維を構成する重合体中の乳酸モノマー比率は50重量%以上とすることが必要である。重合体を構成する乳酸モノマー比率は好ましくは75重量%以上、より好ましくは96重量%以上である。また、ポリ乳酸以外の熱可塑性重合体をブレンドしたり、両成分を複合(芯鞘型、バイメタル型、海島型)してもよい。さらに改質剤として粒子、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、抗酸化剤や紫外線吸収剤等の添加物を含有していてもよい。また、ポリ乳酸重合体の分子量は、重量平均分子量で5万〜35万であると、繊維の力学特性と成形性のバランスがよく好ましく、10万〜25万であると、より好ましい。
【0026】
本発明のポリ乳酸の製造方法は、特に限定されない。具体的には、特開平6−65360号公報に開示されている方法が挙げられる。すなわち、乳酸を有機溶媒及び触媒の存在下、そのまま脱水縮合する直接脱水縮合法である。また、特開平7−173266号公報に開示されている少なくとも2種類のホモポリマーを重合触媒の存在下、共重合並びにエステル交換反応させる方法である。さらには、米国特許第2,703,316号明細書に開示されている方法がある。すなわち、乳酸を一旦脱水し、環状二量体とした後に、開環重合する間接重合法である。
【0027】
本発明では、耐加水分解安定剤として特定のポリカルボジイミド化合物をポリ乳酸に添加混合し、ポリ乳酸に含まれるカルボキシル基末端を封鎖することが重要である。
【0028】
本発明者らは、ポリ乳酸中でのポリカルボジイミド化合物の挙動を詳細に検討した結果、反応活性末端と反応していない、いわゆる未反応のポリカルボジイミド化合物が、ポリ乳酸の溶融紡糸温度やバインダーとして用いるときの成形温度である200〜250℃で急激に熱分解するため、それが製糸性や色調に悪影響を与え、さらには発生する不快な刺激臭によって、作業環境の悪化を招くことを突き止めた。これらの問題を解決するためは、後述する特定のポリカルボジイミド化合物を用い、さらにその化合物の添加量、および混練や紡糸時の溶融温度と滞留時間の制御が重要であることを見出した。
【0029】
ポリ乳酸繊維に混合されるポリカルボジイミド化合物は、上記式1で表される4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、HMDIと略記)、又は、上記式2で表されるイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、又は、上記式3で表されるテトラメチルキシリレンジイソシアネート(以下、TMXDIと略記)のいずれか1種に由来するカルボジイミド、もしくは上記化合物の2種混合物、又は3種混合物のいずれかの混合物に由来するカルボジイミドで、分子中に2以上のカルボジイミド基、好ましくは5以上のカルボジイミド基を有するものを主成分とする。なお、ポリカルボジイミド中のカルボジイミド基の上限は20である。このようなカルボジイミドは、HMDI、又はIPDI、又はTMXDI又は上記化合物の2種混合物、又は3種混合物を原料とする脱二酸化炭素反応を伴うカルボジイミド化反応により製造することができる。なお、この中でも、得られた繊維の力学的特性が優れているという点で、HMDIを50重量%以上用いたカルボジイミドが好ましく、HMDIを80重量%以上用いたカルボジイミドがより好ましい。
【0030】
上記カルボジイミド化反応は適当なカルボジイミド化触媒の存在下で行うもので、使用し得るカルボジイミド化触媒としては、有機リン系化合物が好適であり、特に活性の面でフォスフォレンオキシド類が好ましい。具体的には、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−フォスフォレン−1−オキシドおよびこれらの二重結合異性体を例示することができ、中でも工業的に入手が容易な3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドが特に好ましい。
【0031】
前記カルボジイミド化反応は、従来より知られている方法により行うことができ、例えばHMDI、又はIPDI、又はTMXDI又は上記化合物の2種混合物、又は3種混合物を、それに対し不活性な溶媒に溶解し又は無溶媒で、窒素等の不活性気体の気流下又はバブリング下、上記触媒を全イソシアネートに対し0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%加え、150〜200℃反応温度範囲内で加熱及び攪拌することにより脱二酸化炭素反応を伴うカルボジイミド化反応を進めればよい。
【0032】
上記反応の反応時間は、反応温度、触媒種や量等により変化するが、通常は、例えばHMDIを原料とし、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドを全イソシアネートに対し1重量%加え、反応温度を180℃として反応させると、約20時間程度でHMDI由来のカルボジイミド化合物を得ることができ、IPDIやTMXDIを原料とした場合も同様である。
【0033】
なお、反応の進行は、赤外線吸収スペクトルにおいて2258cm-1に観察されるイソシアネート基の吸収をみても、滴定法により確認してもよい。
【0034】
上記反応において、HMDI、又はIPDI、又はTMXDI又は上記化合物のいずれか2種の混合物を用いると、次の式で表されるカルボジイミドを得ることができる。
【0035】
OCN−(R1−NCN)n−R2−NCO
なお、上記の式において、R1およびR2は反応に使用したHMDI、又はIPDI、又はTMXDIのNCO基を除く残基で、その重合の態様はランダムでもブロックでもよく、またR1とR2が同一物質でもよい。nは2以上の整数を示す。
【0036】
また、本発明のポリ乳酸に混合するポリカルボジイミド化合物としては、上記の方法で得られた末端イソシアネートのカルボジイミドを、カルボン酸を用いて末端を封止したものであることが必要である。好ましく用いられるカルボン酸はモノカルボン酸であり、例えばシクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、無水トリメリット酸、2−ナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2−フル酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、メタクリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ケイ皮酸、グリセリン酸、アセト酢酸、ベンジル酸、アントラニル酸等が挙げられ、この中で最も好ましいのはシクロヘキサンカルボン酸である。
【0037】
カルボジイミドの末端のイソシアネートを、これらカルボン酸により封止することで、ポリ乳酸中に未反応のポリカルボジイミド化合物が存在しても、熱安定性に優れるために上記の製糸性の悪化や色調不良、さらには刺激性ガスの発生を抑えることができるのである。末端イソシアネートのカルボジイミドを、カルボン酸を用いて末端を封止した場合、脱二酸化炭素反応により、次の式で表されるカルボジイミドを得ることができる。
【0038】
3−CONH−(R1−NCN)n−R2−CONH−R4
なお、上記の式において、R3及びR4はイソシアネート基と反応したカルボン酸の残基、nは2以上の整数であり、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよい。
【0039】
上記のように、カルボジイミドの末端をカルボン酸で封止する場合、イソシアネートとこれらカルボン酸との反応は、カルボジイミド化の前に行っても、或いは適当な重合度までカルボジイミド化させた後に残存イソシアネートに対し当量の封止剤を加えることにより行ってもよい。
【0040】
本発明は、ポリ乳酸ポリマーおよびそれに含まれるオリゴマーの反応活性末端を、上記のポリカルボジイミド化合物で封鎖することにより、ポリマー中の反応活性末端を不活性化し、ポリ乳酸の加水分解を抑制するものである。この反応活性末端は水酸基、カルボキシル基があるが、カルボジイミド化合物はカルボキシル基の封鎖性に優れている。
【0041】
また、上記ポリカルボジイミド化合物の添加量は、ポリ乳酸の重量に対して決めるよりも、カルボキシル基末端に対して決めることが重要である。さらに、残存モノマー及び残存オリゴマーも加水分解によりカルボキシル基末端を生じることから、ポリマーのカルボキシル基末端だけでなく、残存オリゴマーやモノマー由来のものも併せたトータルカルボキシル基末端量が重要である。ポリカルボジイミド化合物を添加し、ポリ乳酸繊維のトータルカルボキシル基末端濃度がポリ乳酸繊維全体に対し10当量/ton以下になることで、目的とする耐熱性と耐加水分解性が得られるのである。ポリカルボジイミド化合物により末端を封止した後のトータルカルボキシル基末端濃度は、好ましくは8当量/ton以下であり、より好ましくは5当量/ton以下である。
【0042】
なお、未反応のポリカルボジイミド化合物の熱劣化によって生じる熱分解ガスの発生量を減じるため、ポリカルボジイミド化合物の添加量を、カルボジイミド基当量としてポリ乳酸のトータルカルボキシル基末端量の2倍当量以下にすることが好ましい。ポリカルボジイミド化合物の添加量は、より好ましくはトータルカルボキシル基末端量の1.5倍当量以下であり、さらに好ましくは1.2倍当量以下である。
【0043】
本発明のポリ乳酸繊維は、黄味の色調の指標であるb値が以下である。これにより、衣料用途等の色調が重要な用途にも使用可能となる。bは好ましくは3.5以下である。
【0044】
ポリ乳酸繊維のb*値の改善については、汎用ポリエステルで用いられているような酢酸コバルト等の青味付け化合物や、着色剤を併用したりすることも可能であるが、あまり多量に用いると耐熱性が低下するために製糸性が損なわれるばかりか、染色時に色が濁り、ポリ乳酸繊維の特徴である鮮明な発色性が損なわれる。そのため、併用するにしても添加量はポリ乳酸重量に対し500ppm以下にすることが好ましい。
【0045】
本発明における耐加水分解性は、繊維の粘度保持率や強度保持率で評価することが可能である。本発明においては繊維試料30gと水300gを圧力容器に入れ、120℃で60分間熱水処理を行い、熱処理前の粘度に対する粘度保持率が75%以上である。粘度保持率は、好ましくは85%以上である。また、上記した熱水処理前後の繊維の強度保持率は70%以上が好ましい。強度保持率は、より好ましくは85%以上である。
【0046】
本発明のポリ乳酸繊維は、工程通過性や製品の力学的強度を実用性のあるものにするために、強度2cN/dtex以上とすることが好ましい。より好ましくは3cN/dtex以上である。また、本発明の繊維の伸度は15〜70%であると、工程通過性が向上するため好ましい。伸度は、より好ましくは25〜50%である。
【0047】
本発明のポリ乳酸繊維は、沸騰水収縮率が0〜20%であれば繊維および繊維製品の寸法安定性がよく好ましい。より好ましくは2〜10%である。
【0048】
本発明のポリ乳酸繊維の断面形状は、丸断面、三角断面、マルチローバル断面、中空断面、偏平断面、W断面およびX型断面その他の異形断面のいずれであってもよい。また、繊維の形態は、長繊維、短繊維等特に制限はなく、長繊維の場合はマルチフィラメントであっても、モノフィラメントでもよい。
【0049】
本発明のポリ乳酸繊維の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下のような方法を採用することができる。
【0050】
まず、上記の方法によりポリカルボジイミド化合物およびポリ乳酸を製造する。なお、残存ラクチド量を減ずる具体的方法としては、例えば特表平7−504939号公報記載のように、金属不活性化剤や酸化防止剤等を使用したり、重合温度の低温化、触媒添加率の抑制を行うことが好ましい。また、ポリマーを減圧処理したり、クロロホルム等で抽出することによっても、残存ラクチド量を大幅に低減することができる。
【0051】
次に、得られたポリ乳酸のトータルカルボキシル基末端濃度を、特開2001−261797号公報記載の方法を参考にして求める。すなわち、秤量した試料をo−クレゾールに溶解し、ジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定のKOHメタノール溶液で滴定する。この時、乳酸の環状2量体であるラクチド等のオリゴマーは加水分解し、カルボキシル基末端を生じるため、ポリマーのカルボキシル基末端およびモノマー由来のカルボキシル基末端、オリゴマー由来のカルボキシル基末端の全てを合計したトータルカルボキシル基末端濃度が求められる。
【0052】
次に、ポリ乳酸とポリカルボジイミド化合物を溶融混練し、溶融紡糸によって繊維に成型する。混練および溶融紡糸の際、ポリカルボジイミド化合物とポリ乳酸との末端封止反応を促進させ、かつ未反応のポリカルボジイミド化合物の熱分解を抑制することが重要となる。そのため、混練時および溶融紡糸時の温度T及び溶融滞留時間ptから求められる溶融滞留指数T*は下式の範囲で制御することが好ましい。ここで、溶融滞留時間ptとは、実質的に190〜250℃に加熱された部分を通過する時間であるが、これは混練機や溶融部の温度設定および配管サイズ、紡糸パック内の寸法と、ポリ乳酸の溶融状態における密度から見積もることができる。また、ポリカルボジライト化合物とポリ乳酸とを混練する工程と、溶融紡糸する工程とが分かれている場合は、別々に溶融滞留指数を計算し、合算した値を溶融滞留指数T*とする。
【0053】
溶融滞留指数T*=pt×(T−100)1.5
190≦T≦250
(単位 T:℃、pt:分)
10,000≦T*≦40,000
溶融滞留指数T*を10,000以上にすることで、ポリカルボジイミド化合物とポリ乳酸との末端封止反応を促進させることができ、好ましい。一方、溶融滞留指数T*を40,000以下にすることで、未反応のポリカルボジイミド化合物の熱分解を抑制することができ、好ましい。なお、未反応のポリカルボジイミド化合物の分解を抑制するため、溶融混練温度Tの上限は好ましくは240℃であり、より好ましくは230℃である。
【0054】
ポリカルボジイミド化合物の混合方法は、前記した様にポリ乳酸とポリカルボジイミド化合物をそれぞれ別々に乾燥した後、混練機により一旦マスターチップを作成しておき、マスターチップとポリ乳酸とをチップブレンドして乾燥を行い、溶融紡糸してもよいし、溶融紡糸時に乾燥したポリカルボジイミド化合物を直接添加してもよい。直接添加する場合は、ポリ乳酸の溶融部でポリカルボジイミド化合物を添加したり、別々に溶融したポリカルボジイミド化合物とポリ乳酸とを紡糸パック内で静止混練器やサンド濾層等により混練する方法がある。また、混練および溶融紡糸の際にはポリ乳酸の酸化分解を抑制するため、チップ配管および溶融部に供給する部分を窒素でシールすることが好ましい。
【0055】
この時、ポリカルボジイミド化合物の添加量は前記したように、トータルカルボキシル基末端量の2倍当量以下とすると、ポリカルボジイミド化合物とポリ乳酸との末端封止反応を促進させつつ、未反応のポリカルボジイミド化合物の熱分解を抑制することができる。ここで、ポリ乳酸のトータルカルボキシル基末端量に対して添加量を決めることが重要であり、例えばポリ乳酸の全重量に対しては少量添加であっても、ポリカルボジイミド化合物を添加する前のポリ乳酸のトータルカルボキシル基末端量が少なければ未反応のポリカルボジイミド化合物が増加してしまい、熱劣化によって生じる熱分解ガスの発生量が増加してしまう。一方、ポリカルボジイミド化合物を添加する前のポリ乳酸のトータルカルボキシル基末端量が多ければ、末端封止が不充分となり、耐加水分解性の向上効果が小さいものとなってしまう。また、紡糸機内でのポリカルボジイミド化合物の溶融滞留時間は、前記したように混練工程と合わせて設定することが好ましい。
【0056】
紡糸口金から紡出された糸条は、チムニーにより冷却固化させた後、給油装置により紡糸油剤が付与され、ゴデットロール等を用いて引き取られる。
【0057】
長繊維の場合は、引き取った糸条を一旦チーズ状パッケージに巻き取った後、延伸及び/または仮撚を行ってもよいし、直接紡糸延伸装置を用いて1工程で延伸糸としてもよい。この時、第1ゴデットロール(直接紡糸延伸の場合は第1ホットロール)の周速度(以下、紡糸速度という)は2500〜7000m/分とすると、繊維の配向結晶化により延伸性や仮撚加工性が向上し、好ましい。また、延伸する際の延伸温度は80〜150℃とすると糸の均一性が向上し、好ましい。特に高強度のために残留伸度を15〜25%程度まで延伸する場合には、失透現象と呼ばれる不連続構造を抑制するために、110〜150℃で延伸することが好ましい。また、熱処理温度はポリ乳酸繊維の沸騰水収縮率に合わせて変えればよいが、製品の寸法安定性を高くするためには熱処理温度は110〜150℃、より好ましくは130〜150℃である。なお、延伸は1段で行ってもよいし、多段で行ってもよい。また、必要に応じ仮撚加工や押し込み加工、機械捲縮を行うこともできる。
【0058】
短繊維の場合は、引き取った糸条を合糸し、一旦バンカーに受けた後、さらにこれらを合糸してトウとした後、延伸、機械捲縮を施し、次工程に適した油剤を付与した後に所望の長さに切断する。延伸の際は、トウが太く熱伝達が悪いことを考慮し、スチーム延伸や液浴延伸を採用することが好ましく、この時の液浴温度は75〜100℃とすることが好ましい。
【0059】
また、不織布の場合は、上記した短繊維を用いてもよいし、いわゆるスパンボンドやメルトブロー等の紡糸と不織布形成工程が連続した方法を採用してもよい。
【0060】
本発明のポリ乳酸繊維は、織物、編物、不織布の他、繊維ボード等の成形体のように様々な繊維製品の形態を採ることができる。
【0061】
また、本発明のポリ乳酸繊維は、植物由来原料からなる素材と混用されていてもよい。例えば絹、綿、麻等の天然繊維やレーヨンやアセテート等の再生繊維と混繊したり、交織や交編したものが挙げられる。
【0062】
また、本発明のポリ乳酸は溶融時の耐熱性に優れ、従来問題となっていた刺激性のガスの発生がほとんどないことから、バインダー繊維として好ましく用いることができる。特にポリ乳酸の生分解性を活かしてパルプや天然繊維等の生分解性を有する素材と混用し、不織布や成形体に用いることが好ましい。
【0063】
本発明のポリ乳酸繊維は、シャツやブルゾン、パンツといった衣料用途のみならず、カップやパッド等の衣料資材用途、カーテンやカーペット、マット、壁紙、家具等のインテリア用途や車両部材用途、ベルト、ネット、ロープ、重布、袋類、縫い糸の産業資材用途、フェルト、不織布、フィルター、人工芝等に好適に用いることができる。
【0064】
【実施例】
以下、本発明のポリ乳酸繊維について実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例における物性等の測定と評価方法には、以下の方法を用いた。
A.ポリ乳酸の溶液比粘度(ηr)
o−クロロフェノール100mlに対し、秤量した試料3gを溶解し、溶液を調整した。次に、25℃でオストワルド式粘度計を用いて、これの比粘度を測定した。
B.トータルカルボキシル基末端濃度
精秤した試料をo−クレゾール(水分5%)に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより求めた。この時、乳酸の環状2量体であるラクチド等のオリゴマーが加水分解し、カルボキシル基末端を生じるため、ポリマーのカルボキシル基末端およびモノマー由来のカルボキシル基末端、オリゴマー由来のカルボキシル基末端の全てを合計したカルボキシル基末端濃度が求まる。
C.残存ラクチド量
試料1gをジクロロメタン20mlに溶解し、この溶液にアセトン5mlを添加する。さらにシクロヘキサンで定容して析出させ、島津社製GC17Aを用いて液体クロマトグラフにより分析し、絶対検量線にてラクチド量を求めた。
D.ポリカルボジイミド化合物の重量減少率
マックサイエンス(MAC SCIENCE)社製“TG-DTA2000S”TG-DTA測定器により、試料重量約10mg、窒素雰囲気下にて昇温速度20℃で昇温し、240℃に到達後、60分間保持したときの重量減少率を求めた。
E.熱水処理後のηr保持率(Rηr)
試料30gと水300gを圧力容器に入れ、120℃、60分間熱水処理を行った。そして、これのηrを測定し、以下の式によりRηrを求めた。なお、試料が繊維の場合は糸カセを作製し、これの熱水処理を行った。
【0065】
Rηr(%)=(熱水処理後サンプルのηr/熱水処理前のηr)×100
F.熱水処理後の強度保持率(RT)
Dと同様に試料の熱水処理を行い、以下の式によりRTを求めた。なお、熱水処理前のポリ乳酸繊維の強度および熱水処理後のポリ乳酸繊維の強度はH項に示す測定方法で測定を行った。
【0066】
RT(%)=(熱水処理後サンプルの強度/熱水処理前の強度)×100
G.色調(b*値)
精練上がりの織編物を、下地の白色板が無視できる程度まで積層し、ミノルタ社製「スペクトロフォトメーターCM−3700d」を用いてb*値を測定した。このとき、光源としてはD65(色温度6504K)を用い、10°視野で測定を
H.強度および伸度
試料をオリエンテック(株)社製テンシロン(TENSILON)UCT-100でJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法)に示される定速伸長条件で測定した。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
I.沸騰水収縮率
JIS L 1013(化学繊維フィラメント糸試験方法)に準じて測定した。 未延伸糸パッケージから検尺機でカセを採取し、90×10-3cN/dtexの実長測定荷重を架けてカセ長L1を測定し、引き続いて実長測定荷重をはずし、沸騰水中に15分間投入した後取り出し、風乾し、再び実長測定荷重を架けてカセ長L2を測定し、次式により沸騰水収縮率を算出した。
【0067】
沸騰水収縮率(%)=[(L1−L2)/L1]×100
ポリ乳酸の製造
光学純度99.5%のL乳酸から製造したラクチドを、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触媒モル比=10000:1)を存在させて窒素雰囲気下180℃で220分間重合を行った。引き続いて180℃減圧下で脱ラクチド処理した。なお、重合時に安定剤としてGE社製“Ultranox 626”をラクチド対比0.2重量%加えた。得られたポリ乳酸のηrは11.4、トータルカルボキシル基末端濃度は25当量/ton、残存ラクチド量は240ppmであった。
【0068】
カルボジイミドの合成例1〜3
HMDIを2kgに、末端封止剤としてシクロヘキサンカルボン酸180gを加え、カルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドを10gを加えて窒素をバブリングしながら190℃で12時間反応させ、重合度8のカルボジイミド化合物(合成例1)を得た。また、末端封止剤を安息香酸に変えた以外は合成例1と同様にして重合度8のカルボジイミド化合物(合成例2)を得た。また、末端封止剤を無水トリメリット酸に変えた以外は合成例1と同様にして重合度8のカルボジイミド化合物(合成例3)を得た。合成例1〜3の耐熱性(重量減少率)を表1に示す。
【0069】
カルボジイミドの合成例4〜6
末端封止剤をシクロヘキシルアミンに変えた以外は合成例1と同様にして重合度8のカルボジイミド化合物(合成例4)を得た。また、末端封止剤をジブチルアミンに変えた以外は合成例1と同様にして重合度8のカルボジイミド化合物(合成例5)を得た。また、末端封止剤を無水フタル酸に変えた以外は合成例1と同様にして重合度8のカルボジイミド化合物(合成例6)を得た。合成例4〜6の耐熱性(重量減少率)を表1に示す。
【0070】
カルボジイミドの合成例7及び8
IPDIを2kgに、末端封止剤としてシクロヘキサンカルボン酸180gを加え、カルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドを18gを加え、窒素をバブリングしながら190℃で16時間反応させ、IPDI由来のカルボジイミド化合物(重合度8)を得た。
【0071】
また、TMXDIを2kgに、末端封止剤としてシクロヘキサンカルボン酸180gを加え、カルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドを21gを加え、窒素をバブリングしながら190℃で21時間反応させ、TMXDI由来のカルボジイミド(重合度8)を得た。
【0072】
合成例7及び8の耐熱性(重量減少率)を表1に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004423882
【0074】
実施例1
ポリ乳酸の製造で得られたηr11.4のポリ乳酸と、合成例1で得たHMDI由来のポリカルボジイミド化合物(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物272g)を重量比で99.3:0.7(トータルカルボキシル基末端量に対し1.0倍当量)で混合してホッパー1に仕込み、2軸押出混練機2に導き、溶融温度T1:220℃で溶融混練し、引き続き紡糸温度T2:220℃に加温されたスピンブロック3に内蔵された紡糸パック4に溶融ポリマーを導き、吐出孔径0.3mm、孔深度0.6mm、孔数36孔の口金5から紡出した(図1参照)。なお、このときの溶融滞留時間ptは、混練工程5分、溶融紡糸工程7分であり、合計12分であった。このとき、口金下10cmの位置に吸引装置7を設置し、吸引速度25m/分にて昇華するモノマー及びオリゴマーを取り除いた。紡出した糸条は冷却チムニー6により風速25m/分で冷却固化させた後、口金下2mに設置された給油装置8により給油した。紡糸油剤には、平滑剤として脂肪酸エステルを70重量%、その他の添加剤(乳化剤、制電剤、抗酸化剤、防錆剤)を30重量%の比率で調整し、さらにこの油剤を濃度15重量%になるように水エマルジョンとして調整し、繊維に対して6重量%付着した(純油分として0.9重量%付着)。
【0075】
次に、0.1MPaにて交絡ノズル9により交絡を付与し、周速度3000m/分の第1ゴデットロール10にて引き取り、続いて第2ゴデットロール11を介して巻取装置12で巻き取り、170dtex、36フィラメントの未延伸糸(チーズ状パッケージ13)を得た。口金直下での紡出糸条からの刺激臭は全く感じられず、紡糸時の糸切れ、毛羽の発生もなく、紡糸性は良好であった。
【0076】
さらにこの糸を第1ホットロール温度95℃で予熱した後、1.3倍に延伸し、第2ホットロール温度130℃で熱セットを行い、非加熱の冷ロールを介して巻き取り、130dtex、36フィラメントの延伸糸を得た。ここでの延伸性にも全く問題がなく、1kg巻を5本サンプリングしたが、糸切れはゼロであった。
【0077】
得られた延伸糸のb*値は3.2であり、衣料用として制限無く使用できる優れた色調を示した。また、トータルカルボキシル基末端濃度は4.5当量/tonであり、優れた耐加水分解性を示した。
【0078】
実施例2
ポリカルボジイミド化合物として合成例2で得たポリカルボジイミド化合物(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物271g)を用いた以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。実施例2の紡糸では若干の発煙があったが、刺激臭はほとんど感じられなかった。また、紡糸性、延伸性ともに良好であり、実施例1と同様に糸切れはゼロであった。
【0079】
得られた延伸糸のb*値は3.8であり、衣料用として制限無く使用できる優れた色調を示した。また、トータルカルボキシル基末端濃度は4.8当量/tonであり、優れた耐加水分解性を示した。
【0080】
実施例3
ポリカルボジイミド化合物として合成例3で得たポリカルボジイミド化合物(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物289g)を用いた以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。実施例3は実施例1と同様、刺激臭はほとんど感じられなかった。また、紡糸性、延伸性ともに良好であった。 得られた延伸糸のb*値は3.5であり、衣料用として制限無く使用できる優れた色調を示した。また、トータルカルボキシル基末端濃度は7.2当量/tonであり、優れた耐加水分解性を示した。
【0081】
比較例1
ポリカルボジイミド化合物を添加することなく、実施例1と同様に紡糸、延伸を行い130dtex、36フィラメントの延伸糸を得た。
【0082】
得られた延伸糸のb*値は1.7であり、優れた色調を示した。しかしながら、カルボキシル基末端濃度は35当量/tonであり、耐加水分解性が著しく劣っていた。
【0083】
比較例2
ポリカルボジイミド化合物として合成例4で得たポリカルボジイミド化合物(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物276g)を用いた以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。比較例2は溶融紡糸工程で刺激性ガスの発生が酷く、作業環境が極めて悪いものであった。また、得られた延伸糸のb*値は5.2であり、衣料用として用途限定すれば使用できる色調を示した。
【0084】
比較例3
ポリカルボジイミド化合物として合成例5で得たポリカルボジイミド化合物(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物284g)を用いた以外は実施例1と同様に紡糸、延伸を行い、延伸糸を得た。比較例3は、比較例2と同様、溶融紡糸工程で刺激性ガスの発生が酷く、作業環境が極めて悪いものであった。
【0085】
比較例4
ポリカルボジイミド化合物として合成例6で得たポリカルボジイミド化合物(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物277g)を用いた以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。比較例4は、比較例1よりは刺激性ガスの発生は少ないものの、得られた繊維は耐熱性が悪いためにb*値が8.1であり、衣料用としては用途がかなり限定されてしまうものであった。
【0086】
比較例5
ポリ乳酸とポリカルボジイミド化合物との混合比率を98.8:1.2(トータルカルボキシル基末端量に対し1.8倍当量)で混合した以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。
【0087】
得られた延伸糸のb*値は5.5であり、衣料用として用途限定すれば使用できる色調を示した。また、カルボキシル基末端濃度は3.8当量/tonであり、優れた耐加水分解性を示した。
【0088】
実施例
ポリ乳酸とポリカルボジイミド化合物との混合比率を99.5:0.5(トータルカルボキシル基末端量に対し0.7倍当量)で混合した以外は実施例1と同様に紡糸、延伸を行い、延伸糸を得た。
【0089】
得られた延伸糸のb*値は2.6であり、衣料用として制限無く使用できる優れた色調であった。また、カルボキシル基末端濃度は8当量/tonであり、優れた耐加水分解性を示した。
【0090】
比較例
ポリ乳酸とポリカルボジイミド化合物との混合比率を98:2(トータルカルボキシル基末端量に対し3.0倍当量)で混合した以外は実施例1と同様に紡糸、延伸を行い、延伸糸を得た。
【0091】
比較例5の溶融紡糸では、未反応のポリカルボジイミド化合物の熱分解により、紡糸・延伸とも糸切れが発生した。また、得られた延伸糸のb*値は8.8であり、衣料用としては用途がかなり限定されてしまうものであった。
【0092】
【表2】
Figure 0004423882
【0093】
実施例、実施例
ポリカルボジイミド化合物として、合成例7で得たポリカルボジイミド化合物(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物227g)を用いた以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た(実施例)。また、ポリカルボジイミド化合物として合成例8で得たポリカルボジイミド化合物(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物252g)を用いた以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た(実施例)。実施例及び実施例で得られた延伸糸は、いずれも実施例1よりも低強度であるが、色調および耐加水分解性は実施例1と同様、優れたものであった。
【0094】
比較例7
溶融温度T1及び紡糸温度T2を245℃にした以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。比較例7の溶融紡糸では、未反応のポリカルボジイミド化合物の熱分解により若干の刺激性ガスが発生した。また、紡糸性は良好であったが、延伸でホットロール上に単糸巻きが発生した。
【0095】
得られた延伸糸のb*値は6.1であり、用途は限定されるものの、衣料用として十分使用できるものであった。
【0096】
実施例
溶融温度T1及び紡糸温度T2を200℃にした以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。実施例は溶融紡糸での刺激臭の発生はなく、紡糸性、延伸性ともに良好であった。また、得られた延伸糸のb値は2.5であり、実施例1よりも優れていた。また、耐加水分解性も十分実用に耐えうるレベルであった。
【0097】
比較例
紡糸温度T2を255℃にした以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。未反応のポリカルボジイミド化合物の熱分解により刺激性ガスが多量に発生した。また、紡糸、延伸で頻繁に糸切れが発生した。
【0098】
得られた延伸糸は耐加水分解性には優れるもののb*値は10.2であり、衣料等としてはかなり用途限定を受けるものであった。
【0099】
実施例
紡糸パック4の濾層を縮小したものに変更し、溶融紡糸工程の溶融滞留時間を4.5分(合計の溶融滞留時間pt:9.5分)にした以外は実施例と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。実施例は溶融紡糸での刺激臭の発生はなく、紡糸性、延伸性ともに良好であった。また、得られた延伸糸のb値は2.3であり、実施例よりも優れていた。
【0100】
比較例
紡糸パック4の濾層を拡大したものに変更し、合計の溶融滞留時間ptを32分にした以外は実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、延伸糸を得た。比較例9は耐加水分解性には優れるものの、b値は7.3であり、衣料用としては用途がかなり限定されてしまうものであった。
【0101】
実施例
ポリ乳酸の製造で得られたηr11.4のポリ乳酸を固相重合し、ηrを14とした。さらに紡糸速度を5000m/分として実施例1と同様に紡糸を行い、未延伸糸を得た。さらにこの未延伸糸を3本合糸し、第1ホットロール温度90℃、第2ホットロール温度120℃、第3ホットロール温度150℃とし、第1ホットロールと第2ホットロールの間で1.3倍に延伸し、さらに第2ホットロールと第3ホットロールの間で1.2倍で延伸し、第3ホットロールと非加熱の冷ロールの間を3%の弛緩処理とし、延伸速度は800m/分で巻き取った。得られた205dtex、108フィラメントの延伸糸のb値は3.5であった。また、カルボキシル基末端濃度は4.6当量/tonであり、優れた耐加水分解性を示した。実施例は強度が5.8cN/dtexと極めて高く、寸法安定性に優れるため、高強力が要求される衣料用途に最適であった。
【0102】
実施例10
ポリ乳酸の製造で得られたηr11.4のポリ乳酸と、合成例1で得たポリカルボジイミド化合物とを重量比で80:20で混合して溶融温度210℃で2軸押出機に導き、ポリカルボジイミド化合物のマスターチップを作製した。なお、このときの溶融滞留時間は5分であった。さらにポリ乳酸とこのマスターチップを19:1で混合して1軸押出機に導き、溶融温度T1:225℃で溶融混練し、引き続き紡糸温度T2:225℃で紡糸を行った。なお、このときの溶融滞留時間は10分であった。この糸条を周速度1500m/分の第1引取ロールにて未延伸糸を引き取り、合糸した後、バンカーに受けた。そして、バンカーに受けた糸条をさらに合糸し、120,000dtexのトウとした。これを90℃熱水中で2.6倍に延伸した。そして、クリンパーを通した後、給油し、繊維長52mmにカットした。
【0103】
得られた短繊維は、単繊維繊度5dtex、捲縮数22個/mであった。また、b*値は4.0であり、衣料用として使用できる優れた色調であるとともに、カルボキシル基末端濃度は5当量/tonであり、優れた耐加水分解性を示した。
【0104】
なお、b*値、耐加水分解性等の繊維物性評価は、クリンパー/給油間の糸を一部サンプリングして行った。
【0105】
【表3】
Figure 0004423882
【0106】
実施例11
実施例1で得られた糸を経糸および緯糸に用い、平織りを作製した。得られた平織りを常法に従い70℃で精練した後、140℃で中間セットを施した。さらに常法に従い120℃で染色した。得られた布帛は、きしみ感、ソフト感があり、衣料用として優れた風合いを有するとともに、鮮やかな発色を示した。
【0107】
比較例10
比較例1で得られた糸を経糸および緯糸に用い、実施例10と同様に平織りを作製し、120℃で染色を行った。得られた布帛は引裂強力が極めて低いものであり、実用に耐えないものであった
【0108】
実施例12
実施例10で得られた短繊維と、繊維長58mmにカットしたラミーとを重量比で50:50で混綿、開繊してシート状にしたものを積層、圧縮して積層体を得た。さらにこの積層体を235℃、3MPaで加熱・加圧してポリ乳酸とラミーからなる厚さ6mmの繊維成形体を得た。
【0109】
この成形体は、適度な堅さと吸音性、衝撃吸収性を備えており、住宅用壁材や床材等に最適なものであった。
【0110】
【発明の効果】
本発明の耐熱性、耐加水分解性および色調に優れたポリ乳酸繊維により、ポリ乳酸繊維を衣料用途に拡大展開することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で好ましく用いられる紡糸装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1:ホッパー
2:エクストルーダー
3:紡糸ブロック
4:紡糸パック
5:紡糸口金
6:吸引装置
7:冷却チムニー
8:給油装置
9:交絡ノズル
10:第1ゴデットロール
11:第2ゴデットロール
12:巻取装置
13:チーズ状パッケージ

Claims (2)

  1. カルボジイミド化合物によりポリ乳酸のカルボキシル基末端の少なくとも一部が封鎖されてなるポリ乳酸繊維であって、該ポリ乳酸の残存ラクチド量が1000ppm以下であり、該カルボジイミド化合物が式1
    Figure 0004423882
    で表される4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、および、式2
    Figure 0004423882
    で表されるイソホロンジイソシアネート、および、式3
    Figure 0004423882
    で表されるテトラメチルキシリレンジイソシアネートの少なくとも1種に由来し、分子中に2以上のカルボジイミド基を有し、かつそのイソシアネート末端がカルボン酸で封止されてなるポリカルボジイミド化合物であって、色調の指標であるb値が5以下、トータルカルボキシル末端濃度が10当量/ton以下、粘度保持率が75%以上であることを特徴とするポリ乳酸繊維。
  2. 請求項1記載のポリ乳酸繊維を少なくとも一部に用いた生分解性の繊維製品。
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