JP2003012899A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2003012899A
JP2003012899A JP2001200593A JP2001200593A JP2003012899A JP 2003012899 A JP2003012899 A JP 2003012899A JP 2001200593 A JP2001200593 A JP 2001200593A JP 2001200593 A JP2001200593 A JP 2001200593A JP 2003012899 A JP2003012899 A JP 2003012899A
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ion
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resin composition
organic onium
layered silicate
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JP2001200593A
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English (en)
Inventor
Masaki Mitsunaga
正樹 光永
Katsuhiko Hironaka
克彦 弘中
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 層状珪酸塩を微分散させて良好な剛性を有し
つつ、ポリエステル系樹脂の熱劣化を改良した樹脂組成
物を提供する。 【解決手段】 (A)エステル結合及び/または炭酸エ
ステル結合を繰返し単位にもつポリエステル系樹脂(A
成分)100重量部あたり、(B)75〜150ミリ当
量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ有機オニ
ウムイオンが該交換容量の40〜95%の割合でイオン
交換されてなる層状珪酸塩(B成分)0.1〜50重量
部からなる樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、層状珪酸塩を微分
散させてなるポリエステル系樹脂組成物に関する。より
詳しくは、該層状珪酸塩の有する陽イオン交換当量のう
ち、特定割合を有機オニウムイオンでイオン交換してな
る層状珪酸塩とポリエステル系樹脂とからなる樹脂組成
物であり、その熱安定性を大幅に向上させた樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートや芳香族ポリエ
ステルに代表されるエステル結合及び/または炭酸エス
テル結合を繰返し単位にもつポリエステル系樹脂は、一
般に優れた耐熱性、機械特性、耐衝撃性、寸法安定性を
有しており、OA機器分野や自動車分野、電気・電子部
品分野などといった用途に広く用いられているが、近年
の軽薄短小といった技術動向により、更に高い剛性が求
められている。従来、剛性を改良するためには、ガラス
繊維などの繊維状補強材や無機充填剤を混合する方法が
用いられてきたが、製品の比重が大きくなったり、また
製品の表面外観が損なわれるという欠点を有していた。
【0003】これらの課題に対応できる技術として、無
機充填剤として粘土鉱物、特に層状珪酸塩を用い、その
層間イオンを各種の有機オニウムイオンにイオン交換さ
せ樹脂中への分散を容易にすることにより、成形品の表
面外観や比重を良好に保ったまま、機械特性を改良する
試みが、特にポリアミド系樹脂やポリオレフィン系樹脂
において多くなされており、それらにおいては実用例も
見ることができる。
【0004】芳香族ポリカーボネート樹脂組成物におい
ても、特開平03−215558号、特開平07−20
7134号、特開平07−228762号、特開平07
−331092号、特開平09−143359号、およ
び特開平10−60160号公報などが、また芳香族ポ
リエステル樹脂組成物についても、特開平07−166
036号公報などが開示され、使用する有機オニウムイ
オンや混合方法を工夫することにより、芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物中における分散性を改良しようとす
る方法が提案されている。しかしながら、層状珪酸塩な
どを微分散させたポリエステル系樹脂は、ポリアミド系
樹脂やポリオレフィン系樹脂とは異なり、加水分解を生
じやすく、熱安定性に劣るという課題を有するため、実
用性が十分とはいえないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を鑑みた上で、層状珪酸塩を微分散させて良好な
剛性を有しつつ、ポリエステル系樹脂の熱劣化を改良し
た樹脂組成物を提供することにある。
【0006】本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭
意検討した結果、ポリエステル系樹脂、および有機オニ
ウムイオン化合物が特定の割合でイオン交換してなる層
状珪酸塩からなる組成物が、層状珪酸塩の微分散を達成
し、かつ熱劣化も改良されるものであることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)エステ
ル結合及び/または炭酸エステル結合を繰返し単位にも
つポリエステル系樹脂(A成分)100重量部あたり、
(B)75〜150ミリ当量/100gの陽イオン交換
容量を有し、かつ有機オニウムイオンが該交換容量の4
0〜95%の割合でイオン交換されてなる層状珪酸塩
(B成分)0.1〜50重量部からなる樹脂組成物にか
かるものである。
【0008】以下本発明の詳細を説明する。
【0009】本発明に用いられるA成分のエステル結合
及び/または炭酸エステル結合を繰返し単位にもつポリ
エステル系樹脂の代表例としては、芳香族ポリカーボネ
ート、芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルカーボ
ネート、およびポリアリレートなどが挙げられる。
【0010】本発明に用いられる(A)成分のエステル
結合及び/または炭酸エステル結合を繰返し単位にもつ
ポリエステル系樹脂の代表例のひとつである芳香族ポリ
カーボネートは、二価フェノールとカーボネート前駆体
とを反応させて得られるものであり、反応の方法として
は界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプ
レポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネ
ート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
【0011】二価フェノールの代表的な例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキ
シ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−
ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フル
オレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げること
ができる。特に、ビスフェノールAの単独重合体を挙げ
ることができる。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂
は、耐衝撃性が優れる点で好ましい。
【0012】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0013】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させて芳香族ポリカーボネートを製造するに当っては、
必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化
するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよ
い。また芳香族ポリカーボネートは三官能以上の多官能
性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであ
ってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
【0014】分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化
合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネー
ト全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.00
5〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モ
ル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反
応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構
造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.
001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル
%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるもの
が好ましい。尚、かかる割合については1H−NMR測
定により算出することが可能である。
【0015】更に芳香族または脂肪族の二官能性カルボ
ン酸を共重合したポリエステルカーボネートであっても
よい。脂肪族の二官能性カルボン酸としては、例えば炭
素数8〜20、好ましくは10〜12の脂肪族の二官能
性カルボン酸が挙げられる。かかる脂肪族の二官能性の
カルボン酸は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであって
もよい。脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジ
カルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸
としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン
二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン
二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましく挙げら
れる。
【0016】更にポリオルガノシロキサン単位を共重合
した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重
合体の使用も可能である。
【0017】芳香族ポリカーボネートは、上述した各種
二価フェノールの異なるポリカーボネート、分岐成分を
含有するポリカーボネート、各種のポリエステルカーボ
ネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共
重合体など各種の芳香族ポリカーボネートの2種以上を
混合したものであってもよい。更に下記に示す製造法の
異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカー
ボネートなど各種についても2種以上を混合したものが
使用できる。
【0018】芳香族ポリカーボネートの重合反応におい
て界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホ
スゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在
下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物また
はピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒と
しては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロ
ゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために
例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニ
ウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロ
マイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、
第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもでき
る。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は1
0分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好
ましい。
【0019】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert
−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソ
オクチルフェノールが挙げられる。また、末端停止剤は
単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0020】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0021】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好まし
い。
【0022】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物などの触媒を用いることができる。更にアル
カリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)
金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合
物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニ
ウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換
反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単
独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用し
てもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フ
ェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×1
-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量
の範囲で選ばれる。
【0023】溶融エステル交換法による反応ではフェノ
ール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期ある
いは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカー
ボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカ
ーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェ
ニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
【0024】さらに溶融エステル交換法では触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活
剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜
50モルの割合で用いるのが好ましい。また重合後のポ
リカーボネートに対し、0.01〜500ppmの割
合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ま
しくは0.01〜100ppmの割合で使用する。失活
剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチル
ホスホニウム塩などのホスホニウム塩、テトラエチルア
ンモニウムドデシルベンジルサルフェートなどのアンモ
ニウム塩なとが好ましく挙げられる。
【0025】芳香族ポリカーボネートの分子量は特定さ
れないが、分子量が10,000未満であると強度など
が低下し、50,000を超えると成形加工性が低下す
るようになるので、粘度平均分子量で表して10,00
0〜50,000のものが好ましく、12,000〜3
0,000のものがより好ましく、更に好ましくは1
5,000〜25,000である。この場合粘度平均分
子量が上記範囲外であるポリカーボネートとを混合する
ことも当然に可能である。
【0026】本発明でいう粘度平均分子量はまず次式に
て算出される比粘度を20℃で塩化メチレン100ml
に芳香族ポリカーボネート0.7gを溶解した溶液から
オストワルド粘度計を用いて求め、 比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0 [t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下
秒数] 求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量M
を求める。
【0027】ηSP/c=[η]+0.45×[η]2
(但し[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7 尚、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物におけ
る粘度平均分子量を測定する場合は次の要領で行う。す
なわち、該組成物を、その20〜30倍重量の塩化メチ
レンに溶解し、かかる可溶分をセライト濾過により採取
した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可
溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン
100mlに溶解した溶液から、上式により算出される
20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて
求めることにより測定する。
【0028】同じく、本発明に用いられる(A)成分の
エステル結合及び/または炭酸エステル結合を繰返し単
位にもつポリエステル系樹脂の代表例のひとつである芳
香族ポリエステルは、ジカルボン酸成分およびジオール
成分を反応させて得られるものである。ジカルボン酸成
分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;
メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸等のフタル酸
誘導体;2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナ
フタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン
酸等のナフタレンジカルボン酸およびその誘導体を例示
することができる。ジオール成分としてはエチレングリ
コール、プロピプレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール等の脂肪族ジオールを例示することができる。
【0029】芳香族ポリエステルとしては、ポリテトラ
メチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリテトラメ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ま
しく、中でも特性と成形加工性のバランスに優れること
からポリテトラメチレンテレフタレートが特に好まし
い。
【0030】また芳香族ポリエステルとしては上述のポ
リエステルの一部を共重合成分で置換したものでもよい
が、それら成分の共重合割合は全ジカルボン酸成分に対
して10モル%以下であることが好ましい。
【0031】本発明に用いられる芳香族ポリエステルの
極限粘度数は、o−クロロフェノールを用い35℃で測
定したとき、0.5以上のものを用いることができる
が、0.6〜1.2のものが好ましく、0.7〜1.0
のものが特に好ましい。
【0032】本発明の(A)成分のエステル結合及び/
または炭酸エステル結合を繰返し単位にもつポリエステ
ル系樹脂は、上記のもののうち、2種以上のものを併用
して使用しても構わない。
【0033】ポリアリレートとしては、芳香族ジカルボ
ン酸またはその誘導体と二価フェノールまたはその誘導
体とから得られるものが挙げられる。ポリアリレートの
調製に用いられる芳香族ジカルボン酸としては、二価フ
ェノールと反応し満足な重合体を与えるものであればい
かなるものでもよく、1種または2種以上を混合して用
いられる。
【0034】好ましい芳香族ジカルボン酸成分として、
テレフタル酸、イソフタル酸が挙げられる。またこれら
の混合物であってもよい。
【0035】二価フェノール成分の具体例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’−
ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロ
パン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ハイドロ
キノンなどが挙げられる。これら二価フェノール成分は
パラ置換体であるが、他の異性体を使用してもよく、さ
らに二価フェノール成分にエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ネオペンチルグリコールなどを併用し
てもよい。
【0036】上記の中でも好ましいポリアリレートとし
ては、芳香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸およびイ
ソフタル酸からなり、二価フェノール成分として2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェ
ノールA)からなるものが挙げられる。テレフタル酸と
イソフタル酸との割合は、テレフタル酸/イソフタル酸
=9/1〜9/1(モル比)が好ましく、特に溶融加工
性、性能バランスの点で7/3〜3/7が望ましい。
【0037】他の代表的なポリアリレートとしては、芳
香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸からなり、二価フ
ェノール成分がビスフェノールAおよびハイドロキノン
からなるものが挙げられる。かかるビスフェノールAと
ハイドロキノンとの割合は、ビスフェノールA/ハイド
ロキノン=50/50〜70/30(モル比)が好まし
く、55/45〜70/30がより好ましく、60/4
0〜70/30が更に好ましい。
【0038】本発明におけるポリアリレートの粘度平均
分子量は約7,000〜100,000の範囲が物性お
よび押出加工性から好ましい。またポリアリレートは界
面重縮合法およびエステル交換反応法のいずれの重合方
法も選択できる。
【0039】本発明で用いられるB成分の層状珪酸塩
は、SiO2連鎖からなるSiO4四面体シート構造とA
l、Mg、Li等を含む八面体シート構造との組み合わ
せからなる層からなり、その層間に交換性陽イオンの配
位した珪酸塩(シリケート)または粘土鉱物(クレー)
である。これらは例えば、スメクタイト系鉱物、バーミ
キュライト、ハロイサイト、および膨潤性雲母などに代
表される。具体的には、スメクタイト系鉱物としては、
モンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライ
ト、サポナイト、バイデライト、スチブンサイト等が、
膨潤性雲母としては、Li型フッ素テニオライト、Na
型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li
型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母等が挙げられ
る。これら層状珪酸塩は、天然のものおよび合成された
もののいずれも使用可能である。合成品は、例えば水熱
合成、溶融合成、固体反応によって得ることができる。
【0040】本発明に用いられる層状珪酸塩の陽イオン
交換容量は、75〜150ミリ当量/100gである必
要があるが、好ましくは80〜150ミリ当量/100
g、さらに好ましくは100〜150ミリ当量/100
gである。陽イオン交換容量は、土壌標準分析法として
国内の公定法となっているショーレンベルガー改良法に
よってCEC値として測定される。層状珪酸塩の陽イオ
ン交換容量は、ポリエステル系樹脂への良好な分散性を
得るためには、75ミリ当量/100g以上の陽イオン
交換容量が必要であるが、150ミリ当量/100gよ
り大きくなると、ポリエステル系樹脂の熱劣化への影響
が大きくなってくる。
【0041】本発明に用いられる層状珪酸塩は、そのp
Hの値が7〜10であることが好ましい。pHの値が1
0より大きくなると、ポリエステル系樹脂の熱安定性を
低下させる傾向が現れてくる。
【0042】これらの層状珪酸塩の中でも、陽イオン交
換容量などの点から、モンモリロナイト、ヘクトライト
等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライ
ト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲
母等の膨潤性合成雲母が好適に用いられ、ベントナイト
を精製して得られるモンモリロナイトや膨潤性フッ素雲
母が、純度などの点からより好適である。更に、良好な
機械特性が得られる膨潤性フッ素雲母が特に好ましい。
【0043】本発明で用いられるB成分の層状珪酸塩に
イオン交換されて挿入される有機オニウムイオンは、通
常ハロゲンイオンとの塩として取り扱われる。かかる有
機オニウムイオンが層状珪酸塩の層間にイオン交換され
ることにより、ポリエステル系樹脂への配合時のせん断
による層剥離を容易にし、良好な分散を促進する。ここ
で有機オニウムイオンとしては、例えばアンモニウムイ
オン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、複素
芳香環由来のオニウムイオン等が挙げられ、オニウムイ
オンとしては1級、2級、3級、4級のいずれも使用で
きるが、4級オニウムイオンが好ましい。またオニウム
イオンとしてホスホニウムイオンを用いると、ポリエス
テル系樹脂の熱劣化が小さいという利点を得ることがで
きる。
【0044】該イオン化合物には各種の有機基が結合し
たものが使用できる。有機基としてはアルキル基が代表
的であるが、芳香族基をもったものでもよく、またエー
テル基、エステル基、二重結合部分、三重結合部分、グ
リシジル基、カルボン酸基、酸無水物基、水酸基、アミ
ノ基、アミド基、オキサゾリン環など各種官能基を含有
したものでもよい。
【0045】有機オニウムイオンの具体例としては、テ
トラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等
の同一のアルキル基を有する4級アンモニウム、トリメ
チルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニ
ウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテ
トラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアン
モニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、およ
びトリメチルイコサニルアンモニウム等のトリメチルア
ルキルアンモニウム、トリメチルオクタデセニルアンモ
ニウム等のトリメチルアルケニルアンモニウム、トリメ
チルオクタデカジエニルアンモニウム等のトリメチルア
ルカジエニルアンモニウム、トリエチルドデシルアンモ
ニウム、トリエチルテトラデシルアンモニウム、トリエ
チルヘキサデシルアンモニウム、およびトリエチルオク
タデシルアンモニウム等のトリエチルアルキルアンモニ
ウム、トリブチルドデシルアンモニウム、トリブチルテ
トラデシルアンモニウム、トリブチルヘキサデシルアン
モニウム、およびトリブチルオクタデシルアンモニウム
等のトリブチルアルキルアンモニウム、ジメチルジオク
チルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジ
メチルジテトラデシルアンモニウム、ジメチルジヘキサ
デシルアンモニウム、およびジメチルジオクタデシルア
ンモニウム等のジメチルジアルキルアンモニウム、ジメ
チルジオクタデセニルアンモニウム等のジメチルジアル
ケニルアンモニウム、ジメチルジオクタデカジエニルア
ンモニウム等のジメチルジアルカジエニルアンモニウ
ム、ジエチルジドデシルアンモニウム、ジエチルジテト
ラデシルアンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモ
ニウム、およびジエチルジオクタデシルアンモニウム等
のジエチルジアルキルアンモニウム、ジブチルジドデシ
ルアンモニウム、ジブチルジテトラデシルアンモニウ
ム、ジブチルジヘキサデシルアンモニウム、およびジブ
チルジオクタデシルアンモニウム等のジブチルジアルキ
ルアンモニウム、メチルベンジルジヘキサデシルアンモ
ニウム等のメチルベンジルジアルキルアンモニウム、ジ
ベンジルジヘキサデシルアンモニウム等のジベンジルジ
アルキルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウ
ム、トリドデシルメチルアンモニウム、およびトリテト
ラデシルメチルアンモニウム等のトリアルキルメチルア
ンモニウム、トリオクチルエチルアンモニウム、および
トリドデシルエチルアンモニウム等のトリアルキルエチ
ルアンモニウム、トリオクチルブチルアンモニウム、お
よびトリデシルブチルアンモニウム等のトリアルキルブ
チルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等
の芳香環を有する4級アンモニウム、トリメチルフェニ
ルアンモニウム等の芳香族アミン由来の4級アンモニウ
ム、メチルジエチル[PEG]オニウム。メチルジエチ
ル[PPG]等のトリアルキル[PAG]アンモニウ
ム、メチルジメチルビス[PEG]アンモニウム等のジ
アルキルビス[PAG]アンモニウム、エチルトリス
[PEG]アンモニウム等のアルキルトリス[PAG]
アンモニウム、および上記アンモニウムイオンの窒素原
子がリン原子に置き換わったホスホニウムイオンが挙げ
られる。これらの有機オニウムイオンは、単独の使用お
よび2種以上の組合せの使用のいずれも選択できる。
尚、上記“PEG”の表記はポリエチレングリコール
を、“PPG”の表記はポリプロピレングリコールを
“PAG”の表記はポリアルキレングリコールを示す。
ポリアルキレングリコールの分子量としては100〜1
500が好ましくあげられる。
【0046】これら有機オニウムイオン化合物の分子量
は、100〜600であることがより好ましい。より好
ましくは150〜500である。分子量が600より多
いときには、場合によってはポリエステル系樹脂の熱劣
化を促進したり、樹脂組成物の耐熱性を損なってしまう
傾向が現れる。尚、かかる有機オニウムイオンの分子量
は、ハロゲンイオン等のカウンターイオン分を含まない
有機オニウムイオン単体の分子量を指す。
【0047】有機オニウムイオンの好ましい態様として
は、トリメチルオクチルホスホニウム、トリエチルオク
チルホスホニウム、トリブチルオクチルホスホニウム、
ジメチルジオクチルホスホニウム、ジエチルジオクチル
ホスホニウム、ジブチルジオクチルホスホニウム、メチ
ルトリオクチルホスホニウム、エチルトリオクチルホス
ホニウム、ブチルトリオクチルホスホニウム等が挙げら
れる。
【0048】本発明で用いられるB成分の層状珪酸塩へ
の有機オニウムイオンのイオン交換は、極性溶媒中に分
散させた層状珪酸塩に、有機オニウムイオンを添加し、
析出してくるイオン交換化合物を収集することによって
作製することができる。通常、このイオン交換反応は、
有機オニウムイオン化合物を層状珪酸塩のイオン交換容
量に対して、1当量以上を加えて、ほぼ全量の金属イオ
ンを有機オニウムイオンで交換させるのが一般的である
が、この交換割合をより低い水準に抑えることにより、
ポリエステル系樹脂の熱劣化を抑制できることを見出し
た。本発明の層状珪酸塩が、有機オニウムイオンでイオ
ン交換される割合は、層状珪酸塩の陽イオン交換容量
(ミリ当量/100g)に対して40〜95%、好まし
くは40〜80%、更に好ましくは50〜70%であ
る。この交換割合が40%より小さいと、イオン交換化
合物の合成が困難になり、また95%より大きいと、本
発明の効果であるポリエステル系樹脂の熱劣化の抑制が
見られない。尚、ここで例えば交換割合40%とは、1
00ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有する層
状珪酸塩の場合、40ミリ当量/100g分を有機オニ
ウムイオンでイオン交換することをいう。
【0049】更に、本発明のB成分は中でも、100〜
150ミリ当量/100gの陽イオン交換容量に対し
て、40〜95ミリ当量/100gの割合で有機オニウ
ムイオンがイオン交換されている層状珪酸塩が好まし
く、40〜80ミリ当量/100gが有機オニウムイオ
ンでイオン交換されているものがより好ましい。
【0050】有機オニウムイオンの交換割合は、交換後
の化合物について、熱重量測定装置を用いて、有機オニ
ウムイオンの熱分解による重量減少を求めることにより
算出することができる。
【0051】本発明で用いられるB成分の層状珪酸塩
の、A成分との組成割合は、A成分100重量部あた
り、0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量
部、更に好ましくは1〜15重量部である。この配合割
合が0.1重量部より小さいときにはポリエステル系樹
脂の機械特性の改良効果が見られず、また50重量部よ
り大きくなると、組成物の成型加工性が劣ってくるため
好ましくない。
【0052】本発明のポリエステル系樹脂組成物は、ト
リメチルホスフェート等のリン酸エステル、トリフェニ
ルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、
ジステアリルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビ
ス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、トリス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブ
チルフェニル)オクチルホスファイト、およびビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル、テト
ラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等の亜ホスホン
酸エステルを全組成物に対して、0.001〜1重量%
を含むことにより、さらに熱安定性が向上するので、該
リン化合物を該所定量含むことが好ましい。
【0053】さらに本発明の目的を損なわない範囲で、
他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド、ポリアセター
ル、変性ポリフェニレンエーテル、ABS樹脂等のスチ
レン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、
ポリフェニレンサルファイド等)、難燃剤(例えば、臭
素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカ
ーボネート、臭素化ポリアクリレート、モノホスフェー
ト化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネー
トオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物等)、難
燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アン
チモン等)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポ
リテトラフルオロエチレン等)、核剤(例えば、ステア
リン酸ナトリウム、エチレン−アクリル酸ナトリウム
等)、酸化防止剤(例えば、ヒンダ−ドフェノ−ル系化
合物等)、衝撃改良剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型
剤、滑剤、着色剤等を配合してもよい。
【0054】更に本発明は、使用目的に応じて、ガラス
繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ワラストナイト、カ
オリンクレー、マイカ、およびタルクといった一般に知
られている各種フィラーを併用することができる。ガラ
ス繊維、炭素繊維およびガラスフレークなどは樹脂組成
物の強度や耐衝撃性の向上のためには好適である。フィ
ラーの形状は繊維状、フレーク状、球状、中空状を自由
に選択できる。
【0055】本発明の樹脂組成物を製造するには、任意
の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の
成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する
方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、
ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサ
ー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げること
ができる。予備混合においては場合により押出造粒器や
ブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うことも
できる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される
溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器に
よりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリ
ーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げるこ
とができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。他に、
各成分、並びに任意に他の成分を予備混合することな
く、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機
に供給する方法も取ることもできる。
【0056】
【実施例】以下に実施例を示し本発明を具体的に説明す
る。本発明はこれに限定されるものではない。なお、評
価は下記の(1)〜(4)の方法により行った。
【0057】(1)層状珪酸塩の含有量 試験片を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150
EN)によりシリンダー温度260℃、金型温度80
℃、成形サイクル40秒で成形し、成形した試験片を切
削してるつぼに入れて秤量し、600℃まで昇温し、そ
のまま6時間保持した後で放冷し、るつぼに残った灰化
残渣を秤量することで珪酸塩量を測定した。
【0058】(2)分子量および固有粘度 試験片を(1)と同条件で成形し、試験片の粘度平均分
子量または固有粘度を本文中記載の方法にて測定した。
【0059】(3)曲げ強度及び曲げ弾性率 曲げ試験片を(1)と同条件にて成形し、ASTM−D
790に準拠の方法にて測定した。
【0060】(4)外観評価 厚み2mmの平板を(1)と同条件にて成形し、成形品
の表面外観を目視評価した。
【0061】珪酸塩の凝集体が全く見られず、表面光沢
に優れる場合を○、珪酸塩の凝集体が若干見られ、表面
光沢がやや劣る場合を△、珪酸塩の凝集体が見られ、表
面光沢に劣る場合を×として評価した。
【0062】[実施例1〜7、比較例1〜8]A成分と
して(A−1)粘度平均分子量23,700の芳香族ポ
リカ−ボネ−ト(帝人化成(株)製;パンライトL−1
250)、または(A−2)固有粘度1.05のポリテ
トラメチレンテレフタレート(帝人(株)製;C700
0)を、B成分として種々の層状珪酸塩を、また部分的
にリン酸トリメチル(大八化学(株)製;TMP)を試
験に用いた。
【0063】B成分の詳細については、それらの内容を
表1に示す。層状珪酸塩の陽イオン交換容量は本文中に
示すショーレンベルガー法により測定した方法である。
これら層状珪酸塩への有機オニウムイオンのイオン交換
は次の方法により行った。
【0064】[層間化合物の作製方法]層状珪酸塩約1
00gを精秤しこれを室温の水10リットルに撹拌分散
し、ここにオニウムイオンのクロライドまたはブロマイ
ドを種々当量にて添加して6時間撹拌した。生成した沈
降性の固体を濾別し、次いで30リットルの脱塩水中で
撹拌洗浄後再び濾別した。この洗浄と濾別の操作を3回
行った。得られた固体は3〜7日の風乾後乳鉢で粉砕
し、更に50℃の温風乾燥を3〜10時間行い(ゲスト
のオニウムイオンの種類により異なる)、再度乳鉢で最
大粒径が100μm程度となるまで粉砕した。かかる温
風乾燥により窒素気流下120℃で1時間保持した場合
の熱重量減少で評価した残留水分量が2〜3重量%とし
た。オニウムイオンのイオン交換割合については、イオ
ン交換された層状珪酸塩の、窒素気流下500℃で3時
間保持した場合の残渣の重量分率を測定することにより
求めた。
【0065】
【表1】 各成分を表2記載の配合割合でドライブレンドした後、
径30mmφ、L/D=33.2、混練ゾーン2箇所の
スクリューを装備したベント付き二軸押出機[神戸製鋼
所(株)製:KTX30]を用い、シリンダー温度26
0℃にて溶融混練し、押出し、ストランドカットしてペ
レットを得、得られたペレットを100℃で5時間熱風
循環式乾燥機により乾燥した。乾燥後上記のとおり射出
成形機により評価用の試験片を作成した。
【0066】
【表2】 表2の結果から明らかなように、有機オニウムイオンを
イオン交換させない層状珪酸塩では、ポリエステル系樹
脂への微分散が困難であり(比較例1、3、5、7)、
また層状珪酸塩のイオン交換容量のほとんどを有機オニ
ウムイオンでイオン交換させると、ポリエステル系樹脂
への分散性が改良され、その剛性が向上するもののポリ
エステル系樹脂の分子量低下を大きく促進するという問
題があるが(比較例2、4、5、6、8)、有機オニウ
ムイオンによるイオン交換の程度を制御した組成物で
は、ポリエステル系樹脂組成物の分散性、剛性の水準を
低下させることなく、熱安定性を改良することができる
(実施例1〜7)。
【0067】
【発明の効果】本発明のポリエステル系樹脂組成物は、
高い剛性、製品の表面外観性と熱安定性を有しており、
電気電子部品分野、ハウジング、機構部品などのOA機
器部品分野、自動車部品分野などといった幅広い用途に
有用であり、その奏する工業的効果は格別である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CF041 CF051 CF071 CF081 CG001 CG011 CG021 CG041 DJ006 FB086 FD066

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エステル結合及び/または炭酸エ
    ステル結合を繰返し単位にもつポリエステル系樹脂(A
    成分)100重量部あたり、(B)75〜150ミリ当
    量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ有機オニ
    ウムイオンが該交換容量の40〜95%の割合でイオン
    交換されてなる層状珪酸塩(B成分)0.1〜50重量
    部からなる樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記B成分は、有機オニウムイオンが該
    交換容量の40〜80%の割合でイオン交換されてなる
    層状珪酸塩である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記B成分は、100〜150ミリ当量
    /100gの陽イオン交換容量を有し、かつ有機オニウ
    ムイオンが該交換容量の40〜80%の割合でイオン交
    換されてなる層状珪酸塩である請求項1に記載の樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 上記B成分は、100〜150ミリ当量
    /100gの陽イオン交換容量を有し、かつ有機オニウ
    ムイオンが40〜95ミリ当量/100gの割合でイオ
    ン交換されている層状珪酸塩である請求項1に記載の樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 上記B成分は、100〜150ミリ当量
    /100gの陽イオン交換容量を有し、かつ有機オニウ
    ムイオンが40〜80ミリ当量/100gの割合でイオ
    ン交換されている層状珪酸塩である請求項1に記載の樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 上記B成分における有機オニウムイオン
    の分子量が100〜600である請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載の樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 上記B成分における有機オニウムイオン
    が有機ホスホニウムイオンである請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 上記A成分は、芳香族ポリカーボネート
    である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】 上記A成分は、芳香族ポリエステルであ
    る請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 上記A成分は、ポリテトラメチレンテ
    レフタレートである請求項9に記載の樹脂組成物。
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