JP2005298751A - ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2005298751A
JP2005298751A JP2004119975A JP2004119975A JP2005298751A JP 2005298751 A JP2005298751 A JP 2005298751A JP 2004119975 A JP2004119975 A JP 2004119975A JP 2004119975 A JP2004119975 A JP 2004119975A JP 2005298751 A JP2005298751 A JP 2005298751A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layered silicate
ion
ion exchange
polyester
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004119975A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005298751A5 (ja
Inventor
Kazuteru Kono
一輝 河野
Nobuaki Kido
伸明 城戸
Rei Nishio
玲 西尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2004119975A priority Critical patent/JP2005298751A/ja
Publication of JP2005298751A publication Critical patent/JP2005298751A/ja
Publication of JP2005298751A5 publication Critical patent/JP2005298751A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 粗大な凝集物が残存することなく層状珪酸塩が好適に分散されたポリエステル樹脂組成物、およびそれからなるフィルムを提供する。
【解決手段】 蛍光X線測定によって測定されるカルシウム含有率が元素比率として0.5%以下であり、かつ下記式(1)
【化1】
Figure 2005298751

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜600の炭化水素基またはヘテロ原子を含む炭化水素基、Mは窒素原子またはリン原子である。また任意のR、R、R及びRは環を形成していても良い。)
で表される有機オニウムイオンが層状珪酸塩のイオン交換能対比60〜100%交換されている層状珪酸塩を灰分量として0.1〜20重量%含有する事を特徴とするポリエステル組成物、およびそれからなるポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、イオン交換された層状珪酸塩を含むポリエステル組成物、およびそれからなるポリエステルフィルム、ならびにイオン交換された層状珪酸塩の製造方法に関する。
ポリエステル樹脂は、その優れた機械特性、成形性、耐熱性、耐侯性、耐光性、耐薬品性等の特性を生かし、様々な用途で使用されている。しかしながら、近年、技術の進展に伴い、使用される用途に応じて樹脂に対してより高度な特性が要求されるようになってきた。このような要求特性を満たす技術の一つとして、熱可塑性樹脂に層状化合物をナノスケールで分散させた組成物、所謂ナノコンポジットが最近注目されている。ナノコンポジットを形成することにより、高耐熱化、高弾性化、難燃化、ガスバリア性能の向上等、様々な特性の向上が実現している(例えば、非特許文献1参照)。ナノコンポジットを形成するためには、層状化合物をナノスケールで分散させる必要があり、様々な方法が試みられている。特にポリエステルを使用したナノコンポジットではポリアミドと同程度に分散させることが困難であり,ナノコンポジットでの効果発現のための各種提案がなされている。例えば、層状化合物が単層レベルで分散したポリエステルの複合材料を製造する際に、ポリエステルのモノマーとの反応性のある官能基を有する有機カチオンを層状化合物の有機変性体に使用することが開示されている(特許文献1参照)。また、層間距離が15〜35Åである層状珪酸塩をポリエステル樹脂に溶融混合して5〜20層の層構造を保持しながら均一に分散させたポリエステル樹脂組成物の記載がある(特許文献2参照)。一般に、ポリエステル系のように層状珪酸塩が分散しにくい系で良好な分散性を実現するためには、混合される樹脂への相溶性を向上させる有機修飾基が工夫された層状珪酸塩や層間の開いた層状珪酸塩が使用される。さらに、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属が1重量%以下である層状粘土物質を使用したポリマー−粘土ナノ複合体の記載がある(特許文献3参照)。ここでは、アルカリイオンあるいはアルカリ土類金属イオンをオニウムイオンでイオン交換することにより得られた層状珪酸塩をポリマー−粘土ナノ複合体に使用することは記載されているが、カルシウムイオンを積極的の除去したものに関する記載はない。また特許文献4には層状珪酸塩に一旦アンモニウムイオンを含んだ溶液でイオン交換した後、他の有機カチオンにイオン交換する記述が見られる。この場合カルシウムイオンはプロセス中のいかなる時点においても存在してもいいし、かつ導入されてもよいとの記述がある(特許文献4)。
特開平9−48908号公報 2頁 特開2001−261947号公報 2頁 特表2003−535204号公報 2頁 特開平10−218617号公報 中条 澄 著「ナノコンポジットの世界」、工業調査会、2000年
本発明は、層状珪酸塩を均一に分散させるのが困難であるポリエステル樹脂に対しても、粗大な凝集物が残存することなく均一に層状珪酸塩の分散したポリエステル樹脂組成物または、分散に好適な層状珪酸塩の製造方法、ならびにそれからなるフィルムを提供する。さらに表面平滑性が良好なフィルムを提供する。
本発明は蛍光X線測定によって測定されるカルシウム含有率が元素比率として0.5%以下であり、かつ下記式(1)
Figure 2005298751
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜600の炭化水素基またはヘテロ原子を含む炭化水素基、Mは窒素原子またはリン原子である。また任意のR、R、R及びRは環を形成していても良い。)
で表される有機オニウムイオンが層状珪酸塩のイオン交換能対比60〜100%交換されている層状珪酸塩を灰分量として0.1〜20重量%含有する事を特徴とするポリエステル組成物である。
ここで有機オニウムイオンがホスフォニウムイオン、またはイミダゾリウムイオンであることが好ましい。
さらに本発明は上記記載のポリエステル組成物からなるポリエステルフィルムである。ここでポリエステルフィルムの断面方向からのX線回折における層状珪酸塩の層間の回折ピーク強度について下記式(I)
Figure 2005298751
(φはフィルムの面内方向に対する方位角であり、Ic(φ)は方位角φにおける散乱強度)
を満足することが好ましい。
またポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)、またはポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)であることが好ましい。
また本発明は、層状珪酸塩のイオン交換能対比1.0〜10.0当量の水溶性アンモニウムでイオン交換反応を行った後、層状珪酸塩のイオン交換能対比1.0〜10.0当量の上記式(1)で表せる有機オニウムイオンを含有する塩でイオン交換反応する工程からなることを特徴とする層状珪酸塩の製造方法である。
また本発明は、層状珪酸塩のイオン交換能対比1.0〜10.0当量の水溶性アンモニウムでイオン交換反応を行った後、層状珪酸塩のイオン交換能対比1.0〜10.0当量のアルカリ金属塩でイオン交換反応を行い、引き続いて層状珪酸塩のイオン交換能対比1.0〜10.0当量の式(1)で表せる有機オニウムイオンを含有する塩でイオン交換反応する工程からなる事を特徴とする層状珪酸塩の製造方法である。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、層状珪酸塩の分散性が高く、弾性、靭性等に優れ、種々の成形体、特にフィルムとして使用場合には表面平滑性の高いものを得ることができるため、磁気用途、包装用途、保護フィルム等各種工業用途に使用可能である。
以下本発明の好ましい態様について詳述する。
本発明で使用する層状珪酸塩は、カルシウム含有率が元素比率として0.5%以下であり、かつ式(1)で表される有機オニウムイオンが層状珪酸塩のイオン交換能対比60〜100%交換されている層状珪酸塩である。
本発明で使用する層状珪酸塩は、Al,Mg,Li等を含む八面体シート構造を2枚のSiO四面体シート構造が挟んだ形の2:1型が好適であり、具体的には、サポナイト,ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、モンモリロナイト,バイデライト、スチブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母、バーミキュライト、フッ素バーミキュライト、ハロサイト、膨潤性マイカ等を挙げることができる。またこれらは、天然のものでも、合成のものでも構わない。これらのうち、陽イオン交換容量などの点から、モンモリロナイト,ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母等を好適に使用することができる。
本発明で使用する層状珪酸塩は、上述の天然あるいは合成の層状珪酸塩から、カルシウム元素が除去され、蛍光X線測定によって測定されるカルシウム含有率が元素比率として0.5%以下になっていることを特徴とする。天然に算出されるモンモリロナイトにはナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属の他に、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属を層間に有しているため、天然の層状珪酸塩を使用する場合には、本発明のカルシウムイオンを除去するための工程を実施することが必要である。カルシウムイオンを層間に有しているシリケート層が0.5%を越える場合には粗大な凝集異物が副生しやすくなり、例えば、フィルムなどのように表面平滑性を必要とする用途には問題が生じる。粗大な凝集異物とはシリケート層が50層以上積み重なったものを指す。フィルムなどの用途で用いる場合には50層以上の粗大凝集物の存在は好ましくない。カルシウム含有率が元素比率としては、少ないほど好ましく、カルシウム含有率は元素比率として0.3%以下がさらに好ましく、0.1%以下がより好ましい。
カルシウムイオンを除去する方法としては、1)水溶性アンモニウムで処理し、完全に層間に含まれるイオン交換性陽イオンを交換し、然る後に式(1)で表せるオニウムイオンで処理する事である。もう一つは2)水溶性アンモニウムで処理し、完全に層間に含まれるイオン交換性陽イオンを交換し、次に塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩で処理し層間にアルカリ金属を担持させる。その然る後に(1)で表せるオニウムイオンで処理する事である。このようにして層状珪酸塩の層間に存在するカルシウムを完全に除去する事ができる。カルシウムイオンが完全に除去されているかは蛍光X線分析によって確認する事ができる。
なお水溶性アンモニウムには特にこれに限定されるものではないが、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭素化アンモニウムなどを例示する事ができる。好ましくは汎用性から酢酸アンモニウム、塩化アンモニウムが好ましい。より好ましくは酢酸アンモニウムである。これらの水溶性アンモニウムは単一で用いる事が好ましいが、組み合わせて使用してもよい。具体的には出発原料である層状珪酸塩をイオン交換水に分散させる。この場合層状珪酸塩の濃度は0.1wt%〜10wt%の範囲である。好ましくは1wt%〜5wt%、より好ましくは1.5wt%〜3wt%の範囲である。その層状珪酸塩分散溶液に脂肪族アンモニウム塩、または脂肪族アンモニウム塩を含んだ溶液を添加していく。その後式(1)で表せる有機オニウムイオンで処理を行ってもよいし、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩で一旦層間の脂肪族アンモニウムイオンをアルカリ金属イオンで置換し、式(1)で表せる有機オニウムイオンで処理を行ってもよい。どちらのプロセスで行っても良いが、カルシウムを蛍光X線測定において検知できない程度に除去する事が必要である。
アルカリ金属塩で処理する場合には、層間に脂肪族アンモニウムイオンを有した層状珪酸塩をイオン交換水に分散・懸濁し、そこに層状珪酸塩のイオン交換容量に対し1.0倍〜10倍当量の範囲で添加して行う。好ましくは1.0倍〜5.0倍、より好ましくは1.0倍〜2.0倍の範囲である。添加後ろ過してイオン交換水でよく洗浄する。この時、洗浄が行われるに従ってイオン交換水中に分散するようになる。この状態で式(1)で表せる有機オニウム塩を添加して層状珪酸塩の層間に有機オニウムイオンを担持させる。有機オニウム塩は層状珪酸塩のイオン交換容量に対し1.0倍〜10倍当量の範囲で添加して行う。好ましくは1.0倍〜5.0倍、より好ましくは1.0倍〜2.0倍の範囲である。
本発明で使用する層状珪酸塩はこうした層状珪酸塩を有機オニウムイオンによりイオン交換能対比60〜100%イオン交換されたものである。有機オニウムイオンとしては、ホスホニウム、アンモニウム、等の4級オニウムイオンであり、ヘテロ原子は環構造の一部を構成していても良い。具体的には、有機オニウムイオンが下記式(1)で示されるものを挙げることができる。
Figure 2005298751
(式中、Mは窒素原子またはリン原子である。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基またはヘテロ原子を含む炭化水素基、また任意のR、R、R及びRは環を形成していても良い。)
炭素数1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、芳香族基を挙げることができる。アルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、およびn−オクタデシルを例示することができる。また、芳香族基としては、フェニル基、ビフェニル基、ベンジル基、トシル基などを例示することができる。R〜Rは、それらの熱安定性に影響を及ぼさないメチル、エチル、弗素、塩素などのような置換基を有してもよい。Mが窒素原子である四級アンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリブチルメチルアンモニウム、トリブチルドデシルアンモニウム、トリブチルオクタデシルアンモニウム、トリオクチルエチルアンモニウム、トリブチルヘキサデシルアンモニウム、メチルトリフェニルアンモニウム、エチルトリフェニルアンモニウム等の各種のテトラアルキルアンモニウムを好適なものとして挙げられる。また、Mが有機ホスホニウムの具体例としてはテトラエチルホスホニウム、トリエチルベンジルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリメチルデシルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルオクタデシルホスホニウム、トリオクチルエチルホスフォニウム、トリブチルヘキサデシルホスフォニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、ジフェニルジオクチルホスホニウム、トリフェニルオクタデシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、トリブチルアリルホスフォニウムなどが挙げられる。
さらに、上記式(1)がヘテロ原子を含む炭化水素基の場合、上述の炭素数1〜30の炭化水素基R、R、R及びRの少なくとも一部が、炭素数1〜30のヒドロキシ置換炭化水素基、アルコキシ置換炭化水素基、フェノキシ置換炭化水素基、イミド置換炭化水素基、からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。好適には、下記置換基およびその異性体を例示することができる。
以下にヘテロ原子を含む置換基を有する炭化水素基の例を列挙する。(ここで下記式中、aおよびbは1以上29以下の整数であり、置換基中での炭素数が30以下になる整数である。また、cは3以上30以下の整数である。)
ヒドロキシ置換炭化水素基:
Figure 2005298751
アルコキシ置換炭化水素基:
Figure 2005298751
フェノキシ置換炭化水素基:
Figure 2005298751
イミド置換炭化水素基:
Figure 2005298751
さらにR、R、R及びRが環を形成する場合にはピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、ジメチルピリジン、ヒドロキシピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン誘導体、イミダゾール、メチルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、エチルイミダゾール、ベンズイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピラゾール、メチルピラゾール、ジメチルピラゾール、エチルピラゾール、ベンズピラゾール等のピラゾール誘導体からなる有機オニウムイオンを挙げることができる。
イミダゾール誘導体としては、N−メチルイミダゾリニウム、N−エチルイミダゾリニウム、N−ヘキシルイミダゾリニウム、N−オクチルイミダゾリニウム、N−ドデシルイミダゾリニウム、N−ヘキサデシルイミダゾリニウム等のアルキル置換イミダゾリウム、上記[化3]〜[化6]で示される構造でN置換されたイミダゾリウム及びそれらのアルキル置換体を例示することができる。
上述した有機オニウムは、単独でも組み合わせて用いることができる。有機オニウムイオンとしては、膨潤性層状珪酸塩の耐熱性の点からホスフォニウム、イミダゾリウム構造を有するものが好ましい。さらに好ましい有機オニウムとして、具体的には、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムなどのアルキルホスホニウムやN−メチルイミダゾリニウム、N−エチルイミダゾリニウム、N−ヘキシルイミダゾリニウム、N−オクチルイミダゾリニウム、N−ドデシルイミダゾリニウム、N−ヘキサデシルイミダゾリニウム等のアルキル置換イミダゾリウム、そして、アルキル基の一部がイミド置換炭化水素基で置換された以下のオニウムを例示することができる。
Figure 2005298751
(aは、3〜22の整数。)
Figure 2005298751
(aは、3〜22の整数。)
本発明で使用する層状珪酸塩は、こうした有機オニウムにより、層状珪酸塩の陽イオン交換能に対して60〜100%イオン交換されている。層状珪酸塩の陽イオン交換能は、従来公知の方法で測定可能であるが、本発明で使用される層状珪酸塩のイオン交換能としては、先述の層状珪酸塩の内、0.2〜3ミリグラム当量/g程度のものが好適に使用可能である。陽イオン交換能が、0.2ミリグラム当量/g以上であるほうが、有機オニウムの導入率が高くなるために分散性の点で有利である。逆に3ミリグラム当量/g以下のものの方が、有機オニウムの導入が容易となるために本発明の層状珪酸塩を製造する上で好ましい。陽イオン交換能としては、0.8〜1.5ミリグラム当量/gであることがさらに好ましい。本発明の層状珪酸塩は、こうした陽イオン交換能のうち、50〜100%が上述の有機オニウムによりイオン交換されているものである。こうした陽イオンの交換率は、下記式(2)によって算出することができる。
カチオン交換率(%)={Wf/(1−Wf)}/(Morg/Msi)×100
(2)
(Wfは20℃/minの昇温速度で120℃から800℃まで測定した層状珪酸塩の示差熱天秤による重量減少率、Morgは該オニウムイオンの分子量、Msiは層状珪酸塩の陽イオン部分における1電荷あたりの分子量を表す。層状珪酸塩の陽イオン部分における1電荷あたりの分子量は、層状珪酸塩の陽イオン交換容量(単位:グラム当量/g)の逆数で算出される値である。)
さらに、本発明の層状珪酸塩に対して陽イオン交換に関与しなかったオニウムの残留の有無は、蛍光X線や、原子吸光分析などの従来公知の方法で、原料に使用したオニウム化合物の対イオンの有無を測定することなどから確認することが可能である。
本発明においては、陽イオン交換率は60〜100%である。陽イオン交換率が60%以上であることが、層状珪酸塩に対する有機オニウムの導入率が高くなるために分散性の点で有利である。陽イオン交換率は100%以下であることが、原料に使用したオニウム化合物の対イオンが存在しないために熱安定性の点で有利である。陽イオン交換率としては、65〜99%であることがより好ましく、70〜97%であることがさらに好ましい。さらに好ましくは70〜95wt%の範囲である。この場合有機オニウムの以外のオニウムイオンはカルシウムイオン以外のアルカリ金属、アルカリ土類金属を含んでいてもよい。具体的にはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなどの化合物から誘導させられるアルカリ土類金属カチオンを含んでいてもよい。
本発明で使用する層状珪酸塩は、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で示差熱天秤によって測定した5重量%重量減少時の温度が、310℃以上であることが好ましい。5重量%重量減少時の温度が310℃より低いと、熱可塑性樹脂と溶融混合する際の分解が大きく層状珪酸塩の再凝集が起ったり、分解ガスが発生するなど樹脂特性を低下させるため好ましくない。こうした点から5重量%重量減少時の温度は、高いほど好ましいが,本発明の層状珪酸塩では、良好な分散性を与えるオニウムの構造を勘案すると、好ましくは330℃以上、より好ましくは340℃以上、さらに好ましくは350℃以上である。
このようにして作製された有機修飾層状珪酸塩はその後乾燥される。乾燥方法は比表面積の大きなものが得られる方法が好ましい。例えば凍結乾燥法、熱風乾燥法、ドラム式乾燥法、噴霧乾燥機などを使用することができるが、凍結乾燥法によって得られるものは、比表面積が大きいので、後述のルーダー、ニーダ−などを使用して有機修飾層状珪酸塩をポリエステルと直接溶融混合する場合には大変有利である。凍結乾燥はイオン交換水に対して層状珪酸塩が0.1〜80重量%で実施するのが好ましい。好ましくは5〜50wt%、より好ましくは比表面積と効率の点から10〜25wt%の範囲で実施するのが好ましい。
イオン交換された層状珪酸塩としては比表面積が2.0〜200m/gの範囲であることが好ましい。比表面積の範囲としては、さらに好ましくは3,0〜50m/gの範囲である。より好ましくは4.0〜10m/gの範囲である。比表面積は窒素下BET法を用いて測定することが可能である。
本発明のポリエステル組成物は、カルシウム含有率が元素比率として0.5%以下であり、かつ上記式(1)で表される有機オニウムイオンが層状珪酸塩のイオン交換能対比60〜100%交換されている層状珪酸塩を灰分量として0.1〜20重量%含有する。
灰分量とは、空気中で800℃までの熱重量分析を行った際の残渣であるとする。無機成分としての含有量が0.1重量部以上を占める方が樹脂、フィルムの力学特性、熱的特性などの物性を発現する上で好ましい。また、20重量部以下であることが、良好に層状珪酸塩が分散したポリエステル組成物を得る上で好ましく、得られた組成物での溶融成形を行う上でも好ましい。無機成分としての含有量はこうした点から、ポリエステル組成物中での灰分量として0.5〜12重量%であることがさらに好ましく、1〜8重量%であることがより好ましい。
本発明で使用するポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸及び/またはその誘導体とジオールを重縮合したもの、あるいは、ヒドロキシカルボン酸からなるもの、あるいは、さらにこれらの共重合体を指す。ポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、マレイン酸及びフマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの環状脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの脂肪族ジオールや、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA及び2,2−ビス(2’−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等のジフェノール類が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシ−ビフェニル−4−カルボン酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
好ましいポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート−テレフタレート共重合体、p−ヒドロキシ安息香酸−6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸共重合体などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物を構成する該層状珪酸塩が有機オニウムイオンによりイオン交換能対比50〜100%イオン交換されているが、これは本発明の層状珪酸塩を原料として、熱可塑性樹脂を後述のように溶融混合することにより製造することができる。
本発明のポリエステル樹脂は、本発明の有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩をポリエステル樹脂に混合することによって製造可能である。層状珪酸塩を熱可塑性樹脂に混合する方法としては、1軸あるいは2軸押し出し機やラボプラストミルを使用して、層状珪酸塩をポリエステルと共に溶融混合する方法、層状珪酸塩の存在下で、ポリエステル重合反応を行い、組成物を得る方法などを例示することができる。いずれの方法でも分散体を得ることが可能であるが、イオン交換された層状珪酸塩の熱履歴をできる限り少なくする上で、層状珪酸塩をポリエステルと共に溶融混合する方法が好ましい。
押し出し機を使用して層状珪酸塩をポリエステル樹脂と混練する場合には、特に限定はしないが温度200℃以上〜400℃の範囲において層状珪酸塩の分散液、または層状珪酸塩を溶融樹脂中に添加することで行う事ができる。好ましくは200℃〜350℃、より好ましくは200℃〜300℃の範囲である。いずれの温度範囲においても用いるポリエステル樹脂が熱劣化を抑制するような温度域で行う事が重要である。混練時間は好ましくは0.5〜10分程である。生産性と樹脂の劣化抑制の観点から1.0〜5分、より好ましくは1.0〜3分の範囲である。押し出し機のシェアレートは高いほど好ましいが、高いシェアレート場合には用いるポリエステル樹脂が発生する熱に起因して劣化したり、シェアレートによってポリマー鎖が物理的に切断されたりして分子量低下を引き起こし好ましくない。特に限定はしないが概ね50〜2000(1/s)の範囲である。
本発明の樹脂組成物は、従来公知の方法に従って溶融成形することができる。溶融成形温度としては、ポリエステル樹脂の融点以上350℃以下が好ましく、(融点+5)℃以上330℃以下がより好ましく、(融点+10)℃以上320℃以下がさらに好ましい。温度が流動開始温度より低すぎると溶融成形が困難になるため好ましくなく、また、温度が350℃より高すぎるとポリエステルやイオン交換された層状珪酸塩の分解が起こるため好ましくない。
本発明のポリエステル組成物は表面性が問題となるような用途、例えば、繊維、フィルム、各種成形用樹脂材料として好適に使用することが可能である。特にフィルムとして使用する場合には、表面平滑性が良好なものが得られるため好ましい。フィルム状の場合には溶融製膜後にさらに延伸を行うことが好ましい。フィルム状の場合の延伸方法としては、好適には一軸または二軸方向に逐次または同時に延伸する方法を挙げることができる。高耐熱性、高強度の点でニ軸延伸を行うことが好ましい。延伸温度は好ましくはポリエステル組成物のガラス転移点以上ガラス転移点+90℃以下、より好ましくは樹脂組成物のガラス転移点以上ガラス転移点+70℃以下、さらに好ましくはガラス転移点以上ガラス転移点+60℃以下である。延伸温度が低すぎても高すぎても均一なフィルムを製造することが困難であり好ましくない。また、延伸倍率としては、面倍率として、好ましくは2倍以上100倍以下、より好ましくは4倍以上70倍以下、さらに好ましくは6倍以上50倍以下である。
本発明における樹脂から得られるフィルムは原子間力顕微鏡(AFM)による表面粗さRa(nm)が30nm以下である事が好ましい。このような用途としては例えば磁気記録用フィルムのような用途を例示できる。
さらに、本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの断面に、垂直方向からX線を照射した際のX線回折において観察される層状珪酸塩由来の散乱のうち、強度が最大の散乱ピークに関する配向因子fcが下記式(I)
Figure 2005298751
(fcは配向係数、φは方向角(度)であり、Ic(φ)は方向角φにおける散乱強度である)
を満足したフィルムであることが好ましい。
式(I)中において、fcはこうした層状珪酸塩の層に垂直方向の散乱に由来する配向係数であり、<cosφ>cより算出することができる。さらにこれは式(I)に従い、フィルムの断面に垂直方向からX線を照射した際のX線回折において、フィルム面に垂直な方向に対する方位角φに対して、層状珪酸塩の層間の散乱強度Ic(φ)を測定することにより、算出することができる。
本発明のポリエステルフィルムでは、こうして得られる層状珪酸塩の層間の散乱に由来する配向係数fcが、0.8以上であることが好ましい。配向係数fcが0.8に満たない場合には、層状珪酸塩のフィルム面内の配向が充分でなく、高弾性率のフィルムを実現する上で好ましくない。また、配向係数fcの上限はその定義から1である。配向係数fcとしては、0.85以上であることがさらに好ましく、0.88以上であることがさらに好ましく、0,9以上であることがより好ましい。
さらにフィルムの延伸配向後、熱処理により結晶化を促進し熱固定することが好ましい。熱処理の温度はポリエステル樹脂のガラス転移温度以上、融点以下で行う事が好ましい。
以下に実施例により本発明を詳述する。但し、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。
(1)層状珪酸塩:モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製 クニピアF(ナトリウム交換容量109ミリグラム当量/100g)を使用した。層間距離は12.6Åだった。
(2)カチオン交換率:(株)リガク製示差熱天秤TG8120を用いて空気雰囲気下20℃/minで800℃まで加熱した際の重量減少率から次式を用いて求めた。
カチオン交換率(%)={Wf/(1−Wf)}/(Morg/Msi)×100
(Wfは20℃/minの昇温速度で120℃から800℃まで測定した層状珪酸塩の示差熱天秤による重量減少率、Morgは該オニウムイオンの分子量、Msiは層状珪酸塩の陽イオン部分における1電荷あたりの分子量を表す。層状珪酸塩の陽イオン部分における1電荷あたりの分子量は、層状珪酸塩の陽イオン交換容量(単位:eq/g)の逆数で算出される値である。)
(3)樹脂組成物中の熱可塑性樹脂と層状珪酸塩の無機成分との重量比:(株)リガク製示差熱天秤TG8120を用いて窒素雰囲気下20℃/minで800℃まで加熱した際の重量減少率から求めた。
(4)熱分解温度:(株)リガク製示差熱天秤TG8120を用いて窒素中で20℃/minで800℃まで加熱した際の5重量%重量減少した温度を求めた。
(5)層状珪酸塩の層間距離および配向係数の算出:(株)リガク製粉末X線回折装置RAD−Bを用いてCuKα1線を用いて、回折ピーク位置から算出した。配向係数はフィルムの断面のX線測定から算出した。
(6)還元粘度(ηsp/C):還元粘度はフェノール/テトラクロロエタン(重量比4:6)の溶液を使用し、濃度 1.2g/dL 温度35℃で測定した。
(7)中心面平均粗さRa:Veeco社製非接触3次元粗さ計(NT−2000)を用いて測定倍率25倍、測定面積188um×247μmの条件にて測定を行った。測定モードはPSIモードを使用した。それぞれ2箇所測定し、平均して求めた。
(8)TEM/EDS測定:TEMは日本電子(株)JEM−2010 加速電圧200kV、EDSはTRACOR NORTHERN社 NORAN でProbe径15nmでEDS分析した。
[参考例1]10−ブロモデカメチレンフタルイミドの合成
フラスコにフタルイミドカリウム85重量部、1,10−ジブロモデカン1008重量部、ジメチルホルムアミド(十分脱水したもの)430重量部を入れ、攪拌し、100℃で20時間加熱した。加熱後、揮発性成分を全て除去し、残渣をキシレンで抽出した。抽出した溶液から揮発性成分を留去し、残渣を室温で放置することで10−ブロモデカメチレンフタルイミドの結晶を得た。
[参考例2]N−フタルイミドデカメチレン−2−ヘプタデシルイミダゾールブロミドの合成
2−ヘプタデシルイミダゾール20重量部、参考例1で得られたフタルイミドデカメチレンイミダゾリウムブロミド24重量部を攪拌し、約100℃で8〜10h攪拌反応しN−フタルイミドデカメチレン−2−ヘプタデシルイミダゾールブロミドを得た。(下記式)
Figure 2005298751
[参考例3]N−フタルイミドデカメチレン−トリオクチルホスホニウムブロミドの合成
フラスコにトリオクチルホスフィン20重量部、参考例1で得られたフタルイミドデカメチレンイミダゾリウムブロミド20重量部を入れ攪拌し、約100℃で8〜10h攪拌反応し、N−フタルイミドデカメチレン−トリオクチルホスホニウムブロミドを得た。(下記式)
Figure 2005298751
[実施例1]
セパラブルフラスコにクニピアF109重量部、水3000重量部を入れ、80℃で加熱攪拌した。それとは別容器に酢酸アンモニウム141重量部をイオン交換水300重量部添加して溶解させた溶液を作製し、層状珪酸塩分散液に加えた。その後約2h攪拌し、沈殿物をろ過した。
別容器に酢酸アンモニウム77重量部をイオン交換水2Lに溶解させた溶液を作成する。この溶液中に前記のろ過物を入れさらに約1h攪拌後ろ過した。以降この操作をもう一度行った後イオン交換水1500重量部で3回洗浄した。さらに、塩化ナトリウム200重量部をイオン交換水2000重量部に溶解させ(すなわち溶液濃度1.7M)、この液にろ過物を入れて温度80℃で約1h攪拌した。その後遠心分離機にかけ上澄み液を除去した。この操作をさらに2回行った。ここに83重量部の日本化学製PX416B(下記式)
Figure 2005298751
を水300重量部で溶解させた溶液を加え、さらに80℃で3時間攪拌した。混合物から固体を濾別し、メタノールで3回、水で3回洗浄したのち、凍結乾燥することによりカチオン交換された層状珪酸塩を得た。イオン交換率は84%であった。このようにして得られたものを固形分が20重量%の水分散液から凍結乾燥することにより、比表面積は6.5m/gのイオン交換された層状珪酸塩を得た。さらに蛍光X線測定によってカルシウムが除去されているのを確認したところ、カルシウムは元素比率として0.1%未満であった。次にポリ(エチレン−2,6―ナフタレンジカルボキシレート)(還元粘度が0.78、以下PENと略す)のペレット、得られた層状珪酸塩を同方向型ニ軸押し出し機(Werner社ZSK−25)を用いて押し出し温度280℃、吐出量10kg/hr、スクリュー回転速度280rpmの条件下で混練し、ポリエステル組成物を得た。この時に得られた樹脂組成物の結果を下記の表1に示す。また透過型電子顕微鏡で樹脂組成物を観察した(図1)。層状珪酸塩は、粗大な凝集なく、良好に分散していることが分かる。ここでTEM/EDS測定を行った所、カルシウムは測定されなかった。
[実施例2〜3]
実施例1における日本化学製PX416Bを、参考例2で得られたイミダゾリウム塩、および参考例3で得られたホスホニウム塩に変えて同様な操作で有機修飾クレイを作成しポリエステル組成物を作成した。得られたものの物性を表1に示す。
[実施例4]
セパラブルフラスコにクニピアF109重量部、水3000重量部を入れ、80℃で加熱攪拌した。それとは別容器に酢酸アンモニウム141重量部をイオン交換水300重量部添加して溶解させた溶液を作製し、層状珪酸塩分散液に加えた。その後約2h攪拌し、沈殿物をろ過した。
別容器に酢酸アンモニウム77重量部をイオン交換水2Lに溶解させた溶液を作成した。この溶液中に前記のろ過物を入れさらに約1h攪拌後ろ過した。さらにこの操作をもう一度行った後、イオン交換水1500重量部で3回洗浄した。ここに日本化学製PX416B100重量部を水300重量部で溶解させた溶液を加え、さらに80℃で3時間攪拌した。混合物から固体を濾別し、メタノールで3回、水で3回洗浄したのち、固形分率が約20%の分散液を凍結乾燥することによりカチオン交換された層状珪酸塩を得た。イオン交換率は82%であった。このようにして得られたものの比表面積は7.0m/gであった。さらに蛍光X線測定によって測定した結果、カルシウムは、元素比率で0.1%未満であった。次にPENと共に、得られた層状珪酸塩を同方向型ニ軸押し出し機(Werner社ZSK−25)を用いて押し出し温度280℃、吐出量10kg/hr、スクリュー回転速度280rpmの条件下で混練し、ポリエステル組成物を得た。この時に得られた樹脂組成物の結果を下記の表1に示す。
[実施例5]
実施例1で得られたストランド状チップを170℃で5時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度300℃で溶融し、1.3mmのスリット状ダイを通して表面温度80℃の回転冷却ドラム上に押出し、未延伸フィルムを得た。このようにして得られた未延伸フィルムを温度150℃でMD×TD=4.0×4.0倍に同時2軸延伸を行い、厚み15μmのニ軸延伸フィルムを得た。さらに得られたニ軸延伸フィルムを205℃で1分熱固定し、ポリ(エチレン−2,6―ナフタレンジカルボキシレート)/層状珪酸塩コンポジットフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表2に示す。
[実施例6]
実施例2で得られたポリエステル組成物を使用する他は、実施例5と同様にして延伸フィルムを得た。フィルムの物性を表2に示す。
[比較例1]
フラスコにクニピアF100重量部、水3000重量部を入れ、80℃で加熱攪拌した。ここに日本化学製PX416B83重量部を水300重量部で溶解させた溶液を加え、さらに80℃で3時間攪拌した。混合物から固体を濾別し、メタノールで3回、水で3回洗浄したのち、固形分率が約20%の分散液の凍結乾燥を行った。比表面積を測定したところ5.3m/gであった。さらに蛍光X線測定によってカルシウム量を測定したところ、カルシウム元素比率は0.6(%)であった。次にポリ(エチレンナフタレート)(還元粘度が0.78)のペレット、得られた層状珪酸塩を同方向型ニ軸押し出し機(Werner社ZSK−25)を用いて押し出し温度280℃、吐出量10kg/hr、スクリュー回転速度280rpmの条件下で混練し、ポリエステル組成物を得た。この時に得られた樹脂組成物の結果を下記の表1に示す。また透過型電子顕微鏡で樹脂組成物を観察した(図2)。層状珪酸塩の分散状況は高かったものの、粗大な珪酸塩が確認された。TEM/EDSにより、厚い層状珪酸塩の元素構成を測定したところ、カルシウム元素を多く含み、リンはほとんど検出されなかった。
[比較例2]
比較例1で得られたストランド状チップを実施例5〜6に示す操作と同様な手続きで延伸フィルムを得た。フィルムの平坦性の尺度であるRaは48nmであり表面性の荒れが2倍程度あった。フィルムの物性を表2に示す。さらにこのフィルムをTEMで観察したところ凝集部分が見られた(図1)。この凝集部分をEDSによって組成分析を行った所カルシウムが検出された(図2)。このようにカルシウムが層状珪酸塩中に残存すると凝集の原因になることがわかる。
Figure 2005298751
Figure 2005298751
比較例2のTEM写真である。 比較例2のEDS分析である。

Claims (7)

  1. 蛍光X線測定によって測定されるカルシウム含有率が元素比率として0.5%以下であり、かつ下記式(1)
    Figure 2005298751
    (式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜600の炭化水素基またはヘテロ原子を含む炭化水素基、Mは窒素原子またはリン原子である。また任意のR、R、R及びRは環を形成していても良い。)
    で表される有機オニウムイオンが層状珪酸塩のイオン交換能対比60〜100%交換されている層状珪酸塩を灰分量として0.1〜20重量%含有する事を特徴とするポリエステル組成物。
  2. 有機オニウムイオンがホスフォニウムイオン、またはイミダゾリウムイオンである請求項1のポリエステル組成物。
  3. 請求項1記載のポリエステル組成物からなるポリエステルフィルム。
  4. ポリエステルフィルムの断面方向からのX線回折における層状珪酸塩の層間の回折ピーク強度について下記式(I)
    Figure 2005298751
    (式(I)中でfcは配向係数、φはフィルムの面内方向に対する方位角であり、Ic(φ)は方位角φにおける散乱強度)
    を満足する請求項3に記載のポリエステルフィルム。
  5. ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)、またはポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)である請求項4に記載のポリエステルフィルム。
  6. 層状珪酸塩のイオン交換能対比1.0〜10.0当量の水溶性アンモニウムでイオン交換反応を行った後、層状珪酸塩のイオン交換能対比1.0〜10.0当量の下記式(1)
    Figure 2005298751
    (式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜600の炭化水素基またはヘテロ原子を含む炭化水素基、Mは窒素原子またはリン原子である。また任意のR、R、R及びRは環を形成していても良い。)
    で表せる有機オニウムイオンを含有する塩でイオン交換反応する工程からなることを特徴とする層状珪酸塩の製造方法。
  7. 水溶性アンモニウムでイオン交換反応を行った後、有機オニウムイオンを含有する塩でイオン交換反応する工程の前に、層状珪酸塩のイオン交換能対比1.0〜10.0当量のアルカリ金属塩でイオン交換反応を行う事を特徴とする請求項6に記載の層状珪酸塩の製造方法。
JP2004119975A 2004-04-15 2004-04-15 ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム Pending JP2005298751A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004119975A JP2005298751A (ja) 2004-04-15 2004-04-15 ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004119975A JP2005298751A (ja) 2004-04-15 2004-04-15 ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005298751A true JP2005298751A (ja) 2005-10-27
JP2005298751A5 JP2005298751A5 (ja) 2007-05-31

Family

ID=35330682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004119975A Pending JP2005298751A (ja) 2004-04-15 2004-04-15 ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005298751A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005314523A (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Sumitomo Chemical Co Ltd 組成物、組成物溶液ならびに成形物
WO2008002886A2 (en) * 2006-06-26 2008-01-03 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Phosphonium salts for polymer composites and their preparation
US7915332B2 (en) 2006-06-26 2011-03-29 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Compositions and methods for polymer composites
US7928155B2 (en) 2006-06-26 2011-04-19 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Compositions and methods for polymer composites
WO2013036766A1 (en) * 2011-09-09 2013-03-14 University Of Georgia Research Foundation, Inc. Small molecule naphthoquinone- and phthalimide-based lipocations as anti-parasitic agents
US8545975B2 (en) 2006-06-26 2013-10-01 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Articles comprising a polyimide solvent cast film having a low coefficient of thermal expansion and method of manufacture thereof
US8568867B2 (en) 2006-06-26 2013-10-29 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Polyimide solvent cast films having a low coefficient of thermal expansion and method of manufacture thereof
EP2746261A1 (en) 2008-09-03 2014-06-25 SABIC Innovative Plastics IP B.V. Process for synthesis of imidazolium and benzimidazolium surfactants and their use in clays and nanocomposites
US9161440B2 (en) 2006-06-26 2015-10-13 Sabic Global Technologies B.V. Articles comprising a polyimide solvent cast film having a low coefficient of thermal expansion and method of manufacture thereof

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08199048A (ja) * 1995-01-23 1996-08-06 Mitsubishi Chem Corp ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物
JPH1095915A (ja) * 1996-09-24 1998-04-14 Asahi Chem Ind Co Ltd 結晶性ポリアミド樹脂複合材料
JPH11171532A (ja) * 1997-12-05 1999-06-29 Unitika Ltd アルカリ金属含有量の低い層状珪酸塩及びその製造方法
JP2001261947A (ja) * 2000-03-14 2001-09-26 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物
JP2003012899A (ja) * 2001-07-02 2003-01-15 Teijin Chem Ltd 樹脂組成物
WO2004024820A1 (ja) * 2002-09-11 2004-03-25 Teijin Limited 熱可塑性フィルム、熱可塑性樹脂組成物および層状珪酸塩
WO2005085349A1 (ja) * 2004-03-05 2005-09-15 Teijin Limited ポリエステル樹脂組成物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08199048A (ja) * 1995-01-23 1996-08-06 Mitsubishi Chem Corp ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物
JPH1095915A (ja) * 1996-09-24 1998-04-14 Asahi Chem Ind Co Ltd 結晶性ポリアミド樹脂複合材料
JPH11171532A (ja) * 1997-12-05 1999-06-29 Unitika Ltd アルカリ金属含有量の低い層状珪酸塩及びその製造方法
JP2001261947A (ja) * 2000-03-14 2001-09-26 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物
JP2003012899A (ja) * 2001-07-02 2003-01-15 Teijin Chem Ltd 樹脂組成物
WO2004024820A1 (ja) * 2002-09-11 2004-03-25 Teijin Limited 熱可塑性フィルム、熱可塑性樹脂組成物および層状珪酸塩
WO2005085349A1 (ja) * 2004-03-05 2005-09-15 Teijin Limited ポリエステル樹脂組成物

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005314523A (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Sumitomo Chemical Co Ltd 組成物、組成物溶液ならびに成形物
WO2008002886A2 (en) * 2006-06-26 2008-01-03 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Phosphonium salts for polymer composites and their preparation
WO2008002886A3 (en) * 2006-06-26 2008-03-13 Gen Electric Phosphonium salts for polymer composites and their preparation
US7915332B2 (en) 2006-06-26 2011-03-29 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Compositions and methods for polymer composites
US7928155B2 (en) 2006-06-26 2011-04-19 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Compositions and methods for polymer composites
US8545975B2 (en) 2006-06-26 2013-10-01 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Articles comprising a polyimide solvent cast film having a low coefficient of thermal expansion and method of manufacture thereof
US8568867B2 (en) 2006-06-26 2013-10-29 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Polyimide solvent cast films having a low coefficient of thermal expansion and method of manufacture thereof
US9161440B2 (en) 2006-06-26 2015-10-13 Sabic Global Technologies B.V. Articles comprising a polyimide solvent cast film having a low coefficient of thermal expansion and method of manufacture thereof
EP2746261A1 (en) 2008-09-03 2014-06-25 SABIC Innovative Plastics IP B.V. Process for synthesis of imidazolium and benzimidazolium surfactants and their use in clays and nanocomposites
WO2013036766A1 (en) * 2011-09-09 2013-03-14 University Of Georgia Research Foundation, Inc. Small molecule naphthoquinone- and phthalimide-based lipocations as anti-parasitic agents

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6552113B2 (en) Polymer-clay nanocomposite comprising an amorphous oligomer
AU758550B2 (en) A high barrier amorphous polyamide-clay nanocomposite and a process for preparing same
JP2005298751A (ja) ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルム
JP2009263539A (ja) ポリエステル樹脂組成物および成形体
JPWO2005085349A1 (ja) ポリエステル樹脂組成物
US7189782B2 (en) Thermoplastic film, thermoplastic resin composition, and phyllosilicate
JP2006328210A (ja) ポリエステル樹脂組成物および成形体
JP3964497B2 (ja) ポリエステル組成物
JP2010024370A (ja) ポリエステル樹脂組成物
WO2005028366A1 (ja) 層状珪酸塩、およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物
JP3967101B2 (ja) ポリエステル組成物
JP2009108311A (ja) ポリエステル樹脂組成物および成形体
JP2005298649A (ja) ポリ(エチレン−2、6−ナフタレンジカルボキシレート)フィルム
JP2006022421A (ja) ポリエステル繊維
JPH11130951A (ja) ポリエステル複合材料及びその製造方法
JP2006028241A (ja) ポリエステルフィルム
KR100788498B1 (ko) 폴리에스테르 반응성 유기점토 및 이를 포함하는폴리에스테르 나노복합재
JP3706534B2 (ja) ポリエステル複合材料
JP2004083750A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP3706532B2 (ja) ポリエステル複合材料
US20070292644A1 (en) Process for Producing a Composite Material
JP2004256572A (ja) 樹脂組成物およびその製造法
JP2006248870A (ja) 樹脂組成物
JP2001247304A (ja) 無機フィラー
JP2009155446A (ja) ポリエステル樹脂組成物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070405

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070405

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100629