JP3964497B2 - ポリエステル組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的特性や耐熱性が良好で、外観、特に色調に優れた成形品とすることができるポリエステル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートに代表される熱可塑性ポリエステルは、優れた耐熱性や加工性などを有しているため、成形品、フィルム、繊維など様々な用途に用いられている。また、これらポリエステルをガラス繊維や炭素繊維などの繊維状強化材やタルクなどの無機質で強化した樹脂組成物も広く知られている。しかし、十分な機械的特性や耐熱性をもたせるには前記した無機質を多量に添加する必要があり、そのため比重が増加したり、加工性が低下するという問題があった。
【0003】
前記問題点を解消するものとして、近年、層状珪酸塩を分子レベルで樹脂中に分散させ、少ない強化材量で耐熱性や機械的特性を向上させた複合材料が種々提案されている。例えばポリアミド複合材料については、特開昭62− 74957号公報に、ポリアミド中に層状粘土鉱物が均一に分散された強度、剛性、耐熱性に優れた複合材料とその製造方法が開示され、少量の層状粘土鉱物の添加で、機械的特性や耐熱性が大きく向上すると同時に靭性の低下の少ない複合材料が得られている。この複合材料は層状粘土鉱物を膨潤化剤で前処理したのち、ポリアミドを形成するモノマーと混合し、次いで前記モノマーを重合させて製造するものであるが、この方法をポリエステルに適用しても、ポリアミドの場合のように層状粘土鉱物が均一に分散された複合体は得られない。そこで、特開平3− 62846号公報においては、相溶化剤の添加により、前記した層状粘土鉱物の分散性を改良する試みがなされているが十分でなく、機械的特性や耐熱性の向上が小さく、靭性の低下が大きい成形品しか得られない。また、特開平7−166036号公報には、陽イオン交換容量が30ミリ当量/100g以上の層状珪酸塩をホストとし、4級アンモニウムイオンをゲストとする層間化合物を含有する芳香族ポリエステル組成物が提案されている。
【0004】
上記の各公報に記載の方法は、いずれの場合も、層状珪酸塩の層間の無機金属イオンを有機陽イオン(膨潤化剤)と置換することにより層状珪酸塩の表面極性を変え、ポリエステル樹脂との相溶性を向上させることを目的とするものであり、通常は有機陽イオンとして4級アンモニウムイオンが用いられている。
【0005】
上記した4級アンモニウムイオンを用いた複合材料を得るには、このアンモニウムイオンをポリエステル重縮合時のいずれかの段階に添加するか、もしくは得られたポリエステルを成形加工する際に添加する方法などが用いられているが、このイオンは一般的に耐熱性があるものではなく、これらのプロセスにおける熱負荷によって容易に熱分解を起こし、着色したり臭いが発生したりして、製造上のトラブルの原因となる。さらに、重縮合時のいずれかの段階で添加した場合には、理由は定かではないが、熱分解物による熱物性の低下や高分子量のものができないなどの好ましくない結果をまねく。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解消し、色調、熱物性、生産性の改善されたポリエステル組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムまたは2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウムが層間にイオン結合した層状珪酸塩と熱可塑性ポリエステルとを含有し、色差計で測定したL値が30以上であることを特徴とするポリエステル組成物を要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のポリエステル組成物は、熱可塑性ポリエステルと、有機ホスホニウムイオンがイオン結合した層状珪酸塩(以下「有機化珪酸塩」という。)とを含有するものである。
【0009】
本発明に用いる熱可塑性ポリエステルとしては、主鎖にエステル結合を有する熱可塑性ポリエステルなら特に制限はなく、結晶性ポリエステルであっても非晶性ポリエステルであってもよい。具体的には、ジカルボン酸またはそのエステル誘導体からなるジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合体、ヒドロキシカルボン酸の重縮合体、環状ラクトン化合物の開環重合体などが挙げられる。
【0010】
ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4'- ビフェニルジカルボン酸、2,2'- ビフェニルジカルボン酸、4,4'- ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'- ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'- ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4'- ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2-ビス(4ーカルボキシフェノキシ)エタン、5-ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
【0011】
ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10- デカンジオールなどの脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSなどのビスフェノール類またはそれらのエチレンオキサイド付加体、ハイドロキノン、レゾルシノールなどの芳香族ジオールなどが挙げられる。
【0012】
ヒドロキシカルボン酸としては、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、6-ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸が挙げられ、ラクトン化合物としては、δ- バレロラクトン、γ- ブチロラクトン、ε- カプロラクトンなどが挙げられる。
【0013】
ポリエステルの具体的な例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンイソフタレート/テレフタレート、p-ヒドロキシ安息香酸/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられが、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0014】
本発明で用いる有機化珪酸塩は、下記構造式(2) で示される層状珪酸塩と有機ホスホニウムイオンとのイオン交換反応で得られるものであり、その製法については特に限定されるものではない。また、式(2) で示される層状珪酸塩は天然品であっても合成品であってもよい。
【0015】
【化2】
〔ただし、Xは層間のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを表し、K+ 、Na+ 、Li+ 、Ca2+、Mg2+からなる群より選ばれた少なくとも1種のイオンである。Yは8面体位置のイオンであり、Li+ 、Mg2+、Fe2+、Ni2+、Mn2+、Al3+、Fe3+からなる群より選ばれた少なくとも1種のイオンである。Zは4面体位置のイオンであり、Si4+またはその一部をGe4+、 Al3+、Fe3+、B3+からなる群より選ばれた少なくとも1種のイオンで置換したものである。QはOH- 、F- から選ばれた少なくとも1種のイオンである。〕
【0016】
式(2) の層状珪酸塩の具体的な例としては、天然品としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、ヘクトライト、スチブンサイトなどのスメクタイト族に含まれる鉱物や、バーミキュライトなどが挙げられる。また、合成品としては、ナトリウム型フッ素四珪素雲母、ナトリウム型テニオライト、リチウム型ヘクトライト、リチウム型テニオライト、ナトリウム型ヘクトライトなどの膨潤性雲母やスメクタイトに分類されるものが挙げられる。合成品の製造方法としては、溶融法、インターカレーション法、水熱法などが挙げられが、いずれの方法であってもよい。
【0017】
また、これら層状珪酸塩は水ひ処理等の操作により精製されていてもよい。さらに、これらの層状珪酸塩はホスホニウムイオンで有機化処理する必要があるため、陽イオン交換容量をもっている必要があるが、有機ホスホニウムイオンを層状珪酸塩に導入することができるものなら、この値は特に限定されるものではない。
【0018】
本発明に用いる有機ホスホニウムイオンの具体例としては、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム、2-ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウムが特に好ましい。
【0019】
本発明における有機化珪酸塩を製造するに際しては、前記式(2) の層状珪酸塩を溶媒中に分散した後に、前記ホスホニウムイオンと混合し、式(2) 中でXで表されるイオンの一部または全部をホスホニウムイオンで置換する必要があり、この際、溶媒として水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールなどが用いられる。
【0020】
本発明のポリエステル組成物における熱可塑性ポリエステル樹脂と有機化珪酸塩の構成比は、組成物中における、後述する方法で求めた無機物含有率が 0.5〜15重量%となるよう配合することが好ましく、特に好ましくは1〜5重量%である。この無機物含有率が0.5重量%未満では補強の効果が小さく、15重量%を超えると層状珪酸塩の分散が低下する傾向がある。
【0021】
本発明のポリエステル組成物の製造方法としては、色差計で測定したL値が30以上の値を満足するものなら特に制限はされないが、例えば (i)層状珪酸塩の層間カチオンとホスホニウムイオンとのイオン交換による有機処理工程を経て得られた有機化珪酸塩と、熱可塑性ポリエステル樹脂との溶融混合をおこなうコンパウンド法や、(ii)前記した有機化珪酸塩をポリエステルの重合工程で添加する方法などが好適に採用される。また後者の方法では重合工程のいずれの段階で有機化珪酸塩を添加してもよい。
【0022】
また、上記2種類の製造法のうちでは、(ii)の方法が好ましく、この方法で製造されたポリエステル組成物においては、有機化珪酸塩の各珪酸塩層は樹脂中に均一に微分散している。ここでいう微分散状態とはX線回折で測定した珪酸塩層の層間距離が20Å以上であることをいう。また、ここでいう均一とは層状珪酸塩の一枚一枚がもしくは平均的な重なりが5層以下の多層物が平行にまたはランダムに、もしくは平行とランダムが混在した状態で、その50%以上が、好ましくは70%以上が塊を形成することなく分散している状態をいう。
【0023】
さらに、本発明のポリエステル組成物はその色調が優れていることを特徴とし、色差計で測定したL値が30以上の値をとることが必要であり、30〜70の値をとるものがより好ましい。このL値が30未満では商品価値が少ないものとなる。なお、ここでいうL値とは、ハンターのLab表色系におけるL軸の数値をいう。Lab表色系とは、色調をL、a、bの3つの直行軸を用いて表したものであり、Lは明度であり数値が大きいほど白色度が高く、a軸の+側は赤、−側は緑の領域、b軸の+側は黄、−側は青の領域を示す。
【0024】
本発明のポリエステル組成物には、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびジリジン化合物などのポリエステルの耐加水分解性を向上せしめるような化合物を併用してもよい。
【0025】
本発明のポリエステル組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の添加剤、例えば紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離型剤、染料および顔料を含む着色剤、核化剤および難燃剤などの1種または2種以上をさらに含有することができる。
【0026】
また少量の他の樹脂を含有することもでき、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイドなどが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。また、軟質熱可塑性樹脂としてエチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエステルエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/1-ブテン共重合体などを含有することもできる。
【0027】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
〔各種測定法〕
(a) 色調(L値)
日本電色工業社製の色差計Z−Σ90を用いた。試料としてはポリエステル組成物を融解したのち、0℃の氷水中で急冷して作成した非晶状態のものを使用した。
(b) 融点
パーキンエルマー社製DSC−7を用い、窒素雰囲気下、10℃/分で室温から280 ℃まで定速昇温した時の吸熱ピークの極大値を与える温度をもって融点とした。
(c) 極限粘度
ポリエステル組成物をフェノール/テトラクロロエタンの等重量混合溶媒に溶し、20℃で測定した。
(d) 無機物含有率
有機化珪酸塩およびポリエステル組成物について、パーキンエルマー社製TA−7を用い、窒素雰囲気下、20℃/分で室温から 900℃まで昇温した時の重量残存率を無機物含有率とした。
(e) 珪酸層の層間距離
広角X線回折装置(理学電機社製、RAD-rB型)を用い、ポリエステル組成物の層状珪酸塩の (001)面の底面反射に由来する回折ピークより層間距離を求めた。
(f) 引張り強度および引張り弾性率
ASTM D-638に基づいて測定した。
(g) 曲げ強度および曲げ弾性率
ASTM D-790に基づいて測定した。
(h) 熱変形温度
ASTM D-648に基づいて、荷重1.86MPa で測定した。
【0028】
参考例1
(有機化珪酸塩の合成)
合成フッ素雲母(商品名:ME-100、コープケミカル社製)200gを攪拌機付き反応容器にとり、純水20リットルを加えスラリーを作成した。これに臭化テトラブチホスホニウム 80gを加え1時間攪拌した。内容物を遠心分離したのち乾燥、粉砕し、有機化珪酸塩(A) を得た。この有機化珪酸塩(A) の無機物含有率は87%であった。
(ポリエステル組成物の製造)
ジメチルテレフタル酸1.94kgとエチレングリコール0.93kgと有機化珪酸塩(A)70g とをエステル製造用5リットルのオートクレーブ中で混合し、エステル交換触媒として 0.15gの酢酸亜鉛を添加し、窒素雰囲気下200〜280 ℃でエステル交換反応を行った。反応開始から3時間後、メタノールの発生が終了したのち、0.58g の三酸化アンチンモンを添加した。引き続いて温度280℃に保ち、毎分19mmHgの速度で反応缶内を0.1mmHg まで40分かけて徐々に減圧した。系内の温度、減圧度をそのまま維持して0.1mmHg 到達から3時間後に減圧から常圧に戻し、内容物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してポリエステル組成物のペレットを得た。この組成物の融点は 254℃、極限粘度は0.63dl/g、色差計で測定したL値は55であった。また無機物含有率は 3.0%、珪酸塩層の層間距離は40Åであった。
【0029】
参考例2
(有機化珪酸塩の合成)
合成ナトリウムヘクトライト(商品名:SWN、コープケミカル社製)200gを攪拌機付き反応容器にとり、純水20リットルを加えスラリーを作成した。これに臭化テトラブチルホスホニウム 85gを加え1時間攪拌した。内容物を遠心分離したのち乾燥、粉砕し、有機化珪酸塩(B) を得た。この有機化珪酸塩(B) の無機物含有率は81%であった。
(ポリエステル組成物の製造)
有機化珪酸塩(A) 70g の代わりに、有機化珪酸塩(B) 75g を用いた他はすべて参考例1と同様の操作を行って、ポリエステル組成物を製造しペレットを得た。この組成物の融点は 255℃、極限粘度は0.68dl/g、色差計で測定したL値は54であった。また無機物含有率は 3.1%、珪酸塩層の層間距離は85Åであった。
【0030】
実施例3
(有機化珪酸塩の合成)
合成ナトリウムヘクトライト(商品名:SWN、コープケミカル社製)200gを攪拌機付き反応容器にとり、純水20リットルを加えスラリーを作成した。これに臭化2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム100gを加え1時間攪拌した。内容物を遠心分離したのち乾燥、粉砕し、有機化珪酸塩(C) を得た。この有機化珪酸塩(C) の無機物含有率は75%であった。
(ポリエステル組成物の製造)
有機化珪酸塩(A) 70g の代わりに、有機化珪酸塩(C) 120gを用いた他はすべて参考例1と同様の操作を行って、ポリエステル組成物を製造しペレットを得た。この組成物の融点は 252℃、極限粘度は0.65dl/g、色差計で測定したL値は48であった。また無機物含有率は 4.5%、珪酸塩層の層間距離は70Åであった。
【0031】
実施例4
(有機化珪酸塩の合成)
山形産モンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業社製)200gを攪拌機付き反応容器にとり、純水20リットルを加えスラリーを作成した。これに硫酸テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム80%水溶液 60gを加え1時間攪拌した。内容物を遠心分離したのち乾燥、粉砕し、有機化珪酸塩(D) を得た。この有機化珪酸塩(D) の無機物含有率は86%であった。
(ポリエステル組成物の製造)
有機化珪酸塩(A) 70g の代わりに、有機化珪酸塩(D) 100gを用いた他はすべて参考例1と同様の操作を行って、ポリエステル組成物を製造しペレットを得た。この組成物の融点は 253℃、極限粘度は0.64dl/g、色差計で測定したL値は38であった。また無機物含有率は 4.3%、珪酸塩層の層間距離は60Åであった。
【0032】
参考例5
(有機化珪酸塩の合成)
山形産モンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業社製)200gを攪拌機付き反応容器にとり、純水20リットルを加えスラリーを作成した。これに臭化テトラブチルホスホニウム100gを加え1時間攪拌した。内容物を遠心分離したのち乾燥、粉砕し、有機化珪酸塩(E) を得た。この有機化珪酸塩(E) の無機物含有率は83%であった。
(ポリエステル組成物の製造)
有機化珪酸塩(A) 70g の代わりに、有機化珪酸塩(E) 100gを用いた他はすべて参考例1と同様の操作を行って、ポリエステル組成物を製造しペレットを得た。この組成物の融点は 253℃、極限粘度は0.70dl/g、色差計で測定したL値は40であった。また無機物含有率は 4.1%、珪酸塩層の層間距離は50Åであった。
【0033】
比較例1
ジメチルテレフタル酸1.94kgとエチレングリコール0.93kgとをエステル製造用5ットルのオートクレーブ中で混合し、エステル交換触媒として 0.15gの酢酸亜鉛を添加し、窒素雰囲気下200〜280 ℃でエステル交換反応を行った。反応開始から3時間後、メタノールの発生が終了したのち、0.58g の三酸化アンチンモンを添加した。引き続いて温度280℃に保ち、毎分19mmHgの速度で反応缶内を0.1mmHg まで40分かけて徐々に減圧した。系内の温度、減圧度をそのまま維持して0.1mmHg 到達から3時間後に減圧から常圧に戻し、内容物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してポリエステル樹脂のペレットを得た。このポリエステル樹脂の融点は253 ℃、極限粘度は0.68dl/g、色差計で測定したL値は53であった。
【0034】
比較例2
(有機化珪酸塩の合成)
合成フッ素雲母(商品名:ME-100、コープケミカル社製)200gを攪拌機付き反応容器にとり、純水20リットルを加えスラリーを作成した。これに塩化ジメチルジステアリルアンモニウム100gを加え1時間攪拌した。内容物を遠心分離したのち乾燥、粉砕し、有機化珪酸塩(F) を得た。この有機化珪酸塩(F) の無機物含有率は65%であった。
(ポリエステル組成物の製造)
有機化珪酸塩(A) 70g の代わりに、有機化珪酸塩(F) 100gを用いた他は参考例1と同様の操作を行って、ポリエステル組成物を製造しペレットを得た。この組成物の融点は230℃、極限粘度は0.47dl/g、色差計で測定したL値は22であり、目視でも著しい着色が確認できた。また無機物含有率は3.2 %、珪酸塩層の層間距離は60Åであった。
【0035】
比較例3
(有機化珪酸塩の合成)
合成ナトリウムヘクトライト(商品名:SWN、コープケミカル社製)200gを攪拌機付き反応容器にとり、純水20リットルを加えスラリーを作成した。これに12−アミノドデカン酸 50gと濃塩酸(12N)12mlとを加え1時間攪拌した。内容物を遠心分離したのち乾燥、粉砕し、有機化珪酸塩(G) を得た。この有機化珪酸塩(G) の無機物含有率は80%であった。
(ポリエステル組成物の製造)
有機化珪酸塩(A) 70g の代わりに、有機化珪酸塩(G) 100gを用いた他は参考例1と同様の操作を行って、ポリエステル組成物を製造しペレットを得た。この組成物の融点は230℃、極限粘度は0.40dl/g、色差計で測定したL値は22であり、目視でも著しい着色が確認できた。また無機物含有率は3.0 %、珪酸塩層の層間距離は20Åであった。
【0036】
比較例4
(有機化珪酸塩の合成)
山形産モンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業社製)200gを攪拌機付き反応容器にとり、純水20リットルを加えスラリーを作成した。これに塩化ジメチルベンジルステアリルアンモニウム120gを加え1時間攪拌した。内容物を遠心分離したのち乾燥、粉砕し、有機化珪酸塩(H) を得た。この有機化珪酸塩(H) の無機物含有率は63%であった。
(ポリエステル組成物の製造)
有機化珪酸塩(A) 70g の代わりに、有機化珪酸塩(H) 100gを用いた他は参考例1と同様の操作を行って、ポリエステル組成物を製造しペレットを得た。この組成物の融点は230℃、極限粘度は0.41dl/g、色差計で測定したL値は20であり、目視でも著しい着色が確認できた。また無機物含有率は3.2 %、珪酸塩層の層間距離は40Åであった。
【0037】
参考例1、2、5、実施例3、4および比較例1〜4の結果を表1と表2にまとめた。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
次に、参考例1、2、5、実施例3、4のポリエステル組成物について、乾燥したペレットを射出成形機に供給し、シリンダー温度 285℃、金型温度90℃で射出成形を行い、厚み 3.2mmの試験片を作成し、物性試験をおこなった。これらの組成物を用いた試験片の引張り強度、引張り弾性率、曲げ強度、曲げ弾性率および熱変形温度の値は、非強化のポリエステル樹脂(比較例1)を用いた場合に較べて、いずれもその数値を10〜20%上回るものであった。
【0041】
【発明の効果】
表1と表2の結果から分かるように、層状珪酸塩の有機イオンとしてアンモニウムイオンを用いた場合には、得られるポリエステル組成物の色調は著しく損なわれる。さらに加えて、同一の重縮合時間で払い出したとき、アンモニウムイオンを使用している場合には、ポリエステルの極限粘度の低下が著しく高分子量のものが得られない。また融点の低下も大きい。これに対してホスホニウムイオンを用いる本発明では色調、融点等の物性を損ねることなく、組成物の製造が可能であり、成形品、フィルム、繊維などとして電気・電子部品、自動車部品、機械部品などの種々の用途に利用できる。
Claims (1)
- テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムまたは2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウムが層間にイオン結合した層状珪酸塩と熱可塑性ポリエステルとを含有し、色差計で測定したL値が30以上であることを特徴とするポリエステル組成物。
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