JP5726002B2 - ポリエステル樹脂組成物及び同樹脂組成物の製造方法と、同樹脂組成物からなるポリエステル繊維並びにその繊維製品 - Google Patents
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Description
特開昭59−126456号公報(特許文献6)によれば、ホウ素化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物で内部粒子を形成させる製造方法が提案されている。また、特開2004−300268号公報(特許文献7)においては、内部粒子の粒子径範囲を制限することで、紡糸フィルターの圧力上昇を防ぐことが提案されている。
主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであり、共重合モノマーの含有量が15モル%以下から構成されるポリエステル樹脂に下記式(a)〜(c)を満足するように、カルボン酸のアルカリ土類金属塩及びリン酸エステルから形成された平均粒子径0.01〜3μmの粒子とゲルマニウム酸化物とを含んでなるポリエステル樹脂組成物にある。
(a)100≦M1≦500
(b)0.5×M1≦P≦1.5×M1
(c)20≦G≦150
ただし、M1、P及びGは、それぞれ出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する、アルカリ土類金属原子の含有量(ppm)、リン原子の含有量(ppm)及びゲルマニウム原子の含有量(ppm)を示す。
下記式(a’)、(b’)及び(c)を満足するように、カルボン酸のアルカリ金属塩
又はアルカリ金属の水酸化物とリン酸エステルとから形成された平均粒子径0.01〜3μmの粒子をさらに含んでいる。
(a’)100≦M1+M2≦500
(b’)0.5×(M1+M2)≦P≦1.5×(M1+M2)
(c)20≦G≦150
ただし、M2は、それぞれ出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する、アルカリ金属原子の含有量(ppm)を示す。
ポリエステル樹脂として、下記式(d)及び(e)を満足するようにスルホイソフタル酸のアルカリ金属塩単位及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸単位が共重合されてなるポリエステル樹脂を用いる。
(d)0.8≦S≦5
(e)2≦A≦15
ただし、S及びAは、それぞれポリエステル樹脂中のスルホイソフタル酸単位の共重合率(モル%)及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率(モル%)を示す。
ポリエステル樹脂として、下記式(d)及び(e)を満足するようにスルホイソフタル酸のアルカリ金属塩単位及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸単位が共重合されてなるポリエステル樹脂を用いる。
(d)0.8≦S≦5
(e)2≦A≦15
ただし、S及びAは、それぞれポリエステル樹脂中のスルホイソフタル酸単位の共重合率(モル%)及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率(モル%)を示す。
テレフタル酸とエチレングリコールとのポリエステルオリゴマーに、共重合モノマーの出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する含有量が15モル%以下を満足するように、共重合モノマーを添加し、アルカリ土類金属原子、リン原子及びゲルマニウム原子の出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する含有量が下記式(a)〜(c)を満足するように、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸エステル及びゲルマニウム酸化物を添加剤として添加し、重縮合を行うポリエステル樹脂組成物の製造方法にある。
(a)100≦M1≦500
(b)0.5×M1≦P≦1.5×M1
(c)20≦G≦150
ただし、M1、P及びGは、それぞれ出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する、アルカリ土類金属原子の含有量(ppm)、リン原子の含有量(ppm)およびゲルマニウム原子の含有量(ppm)を示す。
(a’)100≦M1+M2≦500
(b’)0.5×(M1+M2)≦P≦1.5×(M1+M2)
(c)20≦G≦150
ただし、M2は、出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する、アルカリ金属原子の含有量(ppm)を示している。
下記式(d)及び(e)を満足するようにモノマーとしてスルホイソフタル酸のエチレングリコールエステルのアルカリ金属塩及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸を添加することもできる。
(d)0.8≦S≦5
(e)2≦A≦15
ただし、SおよびAは、それぞれポリエステル樹脂中のスルホイソフタル酸単位の共重合率(モル%)および炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率(モル%)を示す。
下記式(d)及び(e)を満足するようにモノマーとしてスルホイソフタル酸エチレングリコールエステルのアルカリ金属塩及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸を添加してよい。
(d)0.8≦S≦5
(e)2≦A≦15
ただし、SおよびAは、それぞれポリエステル樹脂中のスルホイソフタル酸単位の共重合率(モル%)および炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率(モル%)を示す。
こうして得られたポリエステル樹脂組成物からなる本発明のポリエステル繊維の単繊維繊度が0.6〜3dtexであることが好ましく、かかるポリエステル繊維はマルチフィラメントとして繊維製品の少なくとも一部に用いられる。
≪主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されたポリエステル樹脂≫
本発明のポリエステル樹脂組成物におけるポリエステル樹脂は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されていることが必要である。これは、15モル%を限度に共重合モノマーを含んでもよいということである。
(d)0.8≦S≦5
(e)2≦A≦15
ただし、SおよびAは、それぞれポリエステル樹脂中のスルホイソフタル酸単位の共重合率(モル%)および炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率(モル%)を示す。
。また、Sが5モル%以下であれば重合時においてポリマーの溶融粘度が上昇することもなく、適切な重合度のポリマーを得ることができ、その結果、繊維強度が低下するという問題がないので好ましい。スルホイソフタル酸の金属塩の例としては、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩)等が挙げられる。また必要に応じてこれら化合物のマグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類塩を併用しても良い。中でも、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩が最もよく使われる。
ポリエステル樹脂を形成するエチレングリコール以外のグリコールモノマーとしては、特に限定はしない。
本発明では、ポリエステル樹脂の重縮合は、以下のiからiiiの工程からなる公知の方法で行えばよい。
iエステル化工程
テレフタル酸をエチレングリコールでエステル化して得られるビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートとポリエステルオリゴマーとが存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールとのスラリーを連続的に供給し、250℃の温度で3〜8時間程度反応させて、エステル化反応率95%付近のポリエステルオリゴマーを連続的に得る。これを重縮合反応缶に移送する。
この重縮合反応缶に、重縮合触媒のエチレングリコール溶液を添加し、必要に応じて、共重合モノマーや着色防止剤(一般的にはトリエチルホスフェート)等の添加剤をエチレングリコール溶液又は分散液として添加する。
このとき添加剤及びモノマーをあらかじめエチレングリコールに溶解または分散して添加することが均一分散のため好ましい。
エチレングリコールを留去(減圧下でエチレングリコールを除去)することによって重縮合反応を開始し、引き続き留去しながら予め決めた攪拌停止トルクになるまで反応を行った後、常法によってストランドを払い出し、チップ化する。
タル酸エチレングリコールエステル等のアルキレングリコールエステルの分散液または溶液として添加する方法が一般的である。なお、ポリエステル樹脂には、必要に応じて少量の添加剤、例えば艶消し剤、顔料、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤等が含有されていてもよい。
本発明では、カルボン酸のアルカリ土類金属塩を使用する。カルボン酸のアルカリ土類金属塩の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、シュウ酸マグネシウム、プロピン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸カルシウム、酢酸マンガン等が挙げられる。
したがって、カルボン酸のアルカリ土類金属塩として酢酸マグネシウムが最適である。
本発明において、カルボン酸のアルカリ土類金属塩は、エチレングリコール溶液として重縮合反応缶に添加することが好ましく、溶液の濃度は特に制限はないが、完全に溶解する濃度であることが好ましい。
カルボン酸のアルカリ土類金属塩と後述のリン酸エステルとをそれぞれエチレングリコール溶液として前記ii重縮合触媒の添加工程で重縮合反応缶に添加し、両者を反応させて粒子を形成する。この反応は、ii重縮合触媒の添加工程で両者が添加されてから開始する。その後、iii重縮合工程においてエチレングリコールが留去されるにつれ、両者の反応物の溶解度が低下し、反応物が粒子として析出する。一旦析出した粒子は、さらに重縮合の進行とともに凝集し、二次粒子となることもある。
本発明では、この粒子や二次粒子(以下、併せて単に粒子という。)が製糸安定性に寄与する。
本発明において、粒子の平均粒子径は、0.01μm以上3.0μm以下である。より好ましくは0.02μm以上1.5μm以下である。平均粒子径が0.01μm以上であれば、粒子が微細過ぎることもなく、繊維の易滑性や走行性を向上させることができ、工程通過性向上に寄与する。また、平均粒子径が3.0μm以下であれば、ポリエステル繊維を紡糸する際に溶融ポリマーをろ過するフィルターが目詰まりすることもなく、圧力が上昇したり、糸切れを生じたりするなどの工程通過性の低下がない。
本発明でカルボン酸のアルカリ土類金属塩としてポリエステル樹脂組成物中に含まれるアルカリ土類金属原子の含有量(M1)は、100〜500ppmとすることが必要であり、より好ましくは100〜300ppmである。M1が100ppm以上とすることで、ポリエステル繊維の製糸工程の安定性を良好とするのに十分な粒子が得られる。500ppm以下に抑えることで、粗大粒子の発生を抑制できるので、紡糸する際に溶融したポ
リエステル樹脂組成物をろ過するフィルターの目詰まりが発生せず、ポリエステル繊維の製糸工程の安定性を良好に保つことができる。
本発明におけるリン酸エステルは、前述のように、カルボン酸のアルカリ土類金属塩と反応して粒子を形成し、ポリエステル繊維の製糸工程の安定性に寄与する。リン酸、亜リン酸、ホスホン酸類、ホスフィン酸類等でも反応することが知られているが、本発明ではリン酸エステルを使用する。その理由は、粒子の粒子径が比較的小さいので結果としてポリエステル繊維の製糸工程の安定性が良好となるし、粒子の屈折率とポリエステル樹脂の屈折率が近くなるので、粒子を含んでなるポリエステル樹脂組成物の透明度が高くなるため好ましい。リン酸エステルの中でもトリエチルホスフェートが最適である。本発明において、リン酸エステルは、エチレングリコール溶液として重縮合反応缶に添加することが好ましく、溶液の濃度は特に制限はないが、完全に溶解する濃度であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物中のリン原子の含有量(P)は、M1の0.5〜1.5倍とする必要がある。PをM1の0.5倍以上とすることで、ポリエステル繊維の製糸工程の安定性を良好とするのに十分な粒子が得られるとともに、金属アンチモンの析出によるくすみを抑制でき、ポリエステル繊維の品位を保つことができる。
PをM1の1.5倍以下とすることで、繊維の熱安定性を低下させるジエチレングリコールの副生が抑えられ好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ゲルマニウム酸化物を含む。
得られたポリエステル繊維6mgを270℃に加熱した2枚のカバーガラスの間にはさみ、溶融プレス後急冷し、薄膜状の試料とする。これを透過型電子顕微鏡(H−7600、日立製作所製)を用いてTEM観察を実施する。解析ソフトウェアとして日本ローパー(株)Image−ProPLUS用いて、TEM観察された画像の粒子計測を5回実施し、粒子数をそれぞれ計数する。粒子数の平均値を100%とし、それぞれの粒子計測で得られた粒子数を%で表した。そのうち一番大きく平均値からずれているものを最大変動幅とした。
ゲルマニウム酸化物もエチレングリコール溶液として前記ii重縮合触媒の添加工程で重縮合反応缶に添加する。
本発明におけるゲルマニウム酸化物の添加量(G)は、ポリエステル樹脂組成物に対してゲルマニウム原子の量として、20ppm以上、150ppm以下とすることが必要であり、より好ましくは30ppm以上、120ppm以下である。添加量が20ppm以上の場合は、内部粒子の分散性が保たれ、0.6dtex以上3dtex以下の単繊維繊度となるマルチフィラメントの製糸性が確保される。例えば、単繊維繊度が上記範囲内で、かつ総繊度が84dtex以下の場合にも製糸性が保たれる。また、添加量が増加するにつれて粒子数の最大変動幅は小さくなるが、添加量が120ppmを超えると分散性に及ぼす効果は頭打ちになるので、ゲルマニウム金属が希少金属で資源性に乏しく、高価であることから、150ppm以下とすれば添加によるコストアップを避けられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物では、カルボン酸のアルカリ土類金属塩の一部に代えてカルボン酸のアルカリ金属塩を用い、それとリン酸エステルとから形成された平均粒子径0.01〜3μmの粒子をさらに分散することが好ましい。カルボン酸のアルカリ金属塩は、粒子形成の他にもポリエステル樹脂の重縮合中のジエチレングリコールの副生を抑制する。
カルボン酸のアルカリ金属塩は、エチレングリコール溶液として重縮合反応缶に添加することが好ましく、溶液の濃度は特に制限はないが、完全に溶解する濃度であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物では、カルボン酸のアルカリ土類金属塩の一部に代えてアルカリ金属の水酸化物を用い、それとリン酸エステルとから形成された平均粒子径0.01〜3μmの粒子をさらに分散してもよい。アルカリ金属の水酸化物も、粒子形成の他にもポリエステル樹脂の重縮合中のジエチレングリコールの副生を抑制する。
アルカリ金属の水酸化物は、エチレングリコール溶液として重縮合反応缶に添加することが好ましく、溶液の濃度は特に制限はないが、完全に溶解する濃度であることが好ましい。
本発明では、カルボン酸のアルカリ金属塩の場合もアルカリ金属の水酸化物の場合も、出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対するアルカリ金属原子の含有量(M2)が以下の二式を同時に満足することが好ましい。
(a’)100≦M1+M2≦500
(b’)0.5×(M1+M2)≦P≦1.5×(M1+M2)
ここで、M1及びPは、それぞれ出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対するアルカリ土類金属原子の含有量(ppm)及びリン原子の含有量(ppm)を示す。
本発明のポリエステル樹脂組成物からなるポリエステル繊維の好ましい単繊維繊度は、0.3dtex以上3.0dtex以下であり、より好ましくは0.6dtex以上2.0dtex以下である。本発明のポリエステル樹脂組成物は、粒子の分散性が良好であるため、上記のような単繊維繊度が小さい場合に、易滑性や走行性が向上し、延伸時の毛羽の発生を抑制することができる。特に、総繊度が84dtex以下の場合には、製糸性、後加工工程通過性の向上に対する効果が顕著である。本発明のポリエステル樹脂組成物からなるポリエステル繊維にカチオン可染性を付与し、比較的強度が低いポリエステル繊維とした場合は、上記効果が顕著である。
また、ポリエステル繊維の断面形状は特に限定されないが、粒子の形成により、異形断面での毛羽の発生の抑制に効果がある。
本発明では、紡糸温度270〜300℃、紡糸速度1000〜2000m/分、延伸温度70〜90℃、熱セット温度120〜160℃、延伸速度400〜1000m/分、延伸倍率は未延伸糸の最大延伸倍率の0.65〜0.85倍程度が好ましい。最大延伸倍率とは、延伸温度80℃、熱セット温度145℃、延伸速度600m/分の条件下で未延伸糸が切断されるまで延伸した時の倍率をいう。
なお、紡糸及び延伸の製糸条件は上記具体例に制限されるものではなく、2000m/分以上の高速紡糸により、半未延伸糸として巻き取るPOY法、あるいは2000m/分以上で高速紡糸し、一旦、巻き取ることなく、続けて延伸するスピンドロー法等により得たものであってもよい。
本発明のポリエステル繊維の用途である水着、スポーツインナー、ランジェリー、ファンデーション、エンブロイダリーレース等の繊維製品には、本発明のポリエステル繊維を
単独で用いても、他の繊維を含んでいてもよい。他の繊維と複合することにより、例えば、光沢感、清涼感、シャリ感、ウェット感といった風合いを繊維製品に付与することができる。
実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
溶媒:フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物
温度:20℃
手順:0.5質量%溶液となるようポリエステル樹脂組成物のサンプルに20℃の溶媒を加え、加熱して溶解する。室温まで冷却し、これを全自動粘度計( サン電子製AVS−6型) を用いて相対粘度ηr を測定する。この測定した相対粘度から極限粘度〔η〕を算出した。
得られたポリエステル樹脂組成物をアルカリ加水分解した。所定量の加水分解物をガスクロマトグラフGC−9A(島津製作所製)を用いて、その中のエチレングリコール(以下、EGと略記する)とジエチレングリコール(以下、DEGと略記する)のモル数を定量し、EGとDEGのモル数の和に対するDEGのモル数の割合(%)として求めた。
ポリエステル繊維6mgを270℃に加熱した2枚のカバーガラスの間にはさみ、溶融プレス後急冷し、薄膜状の試料とした。これを透過型電子顕微鏡H−7600(日立製作所製)を用いてTEM観察及びEDS分析を実施した。TEM観察画像内の粒子の平均粒子径を測定した。平均粒子径によって次の4ランクに分けた。なお、平均粒子径の測定には、解析ソフトウェアとして日本ローパー(株)Image−ProPLUSを用いた。
A:平均粒子径0.01μm以上3.0μm未満
B:平均粒子径3.0μm以上5.0μm未満
C:平均粒子径0.01μm未満
D:平均粒子径5.0μm以上
E:内部粒子が確認できない。
得られたポリエステル繊維6mgを270℃に加熱した2枚のカバーガラスの間にはさみ、溶融プレス後急冷し、薄膜状の試料とする。これを透過型電子顕微鏡(H−7600、日立製作所製)を用いてTEM観察を実施する。解析ソフトウェアとして日本ローパー(株)Image−ProPLUS用いて、TEM観察された画像の粒子計測を5回実施
し、粒子数をそれぞれ計数する。粒子数の平均値を100%とし、それぞれの粒子計測で得られた粒子数を%で表した。そのうち一番大きく平均値からずれているものを最大変動幅とした。表1には、最大変動幅を示した。
延伸糸を用い、整経機を用いて毛羽数を測定した。なお測定長は3×108 mとし、毛羽数(個/108 m)を表1に示した。2個/108 m以下を合格とした。
JIS L 1013に準拠し、テンシロンUTM−4−100型(オリエンテック社製)を用いて測定した。
得られたポリエステル繊維を筒編地とし、以下の染色原液、染色条件で染色した。染色後の染残液を、分光光度計BPS−3T型(日立製作所製)を用いて、波長λ=590μmで吸光度Uを測定した。Uと染色原液の吸光度U0とから、次式で吸尽率を求めた。表1に吸尽率を示した。
染色原液:Astrazon Blue FRR(バイエル社製カチオン染料)1.5%o.w.f、
助剤:酢酸0.6ml/l、酢酸ナトリウム0.6g/l
染色条件
浴比:1/100中
常圧沸騰状態で30分
吸尽率90%以上を合格とした。
(1)ポリエステルゴマーの存在するエステル化反応缶にテレフタル酸(以下、TPAと略記する)とEGとのモル比が1/1.6のスラリーを連続的に供給した。エステル化反応缶内を温度250℃、圧力0.1MPaに保ち、滞留時間8時間となるようにエステル化反応を行った。その結果、反応率95%のポリエステルオリゴマーを連続的に得た。得られたポリエステルオリゴマー46.5kgを重縮合反応缶に移送した。
このとき、M1(マグネシウム原子)=120ppm、M2(リチウム原子)=55ppmとなるようにした。
(4)さらに、重縮合反応缶に、リン酸エステルであるトリエチルホスフェート、ゲルマニウム酸化物である二酸化ゲルマニウム及びスルホイソフタル酸である5−ナトリウムスルホイソフタル酸(以下、SIPと略記する)のEGエステルの濃度が35重量%となるように調整されたEG溶液5.6kgを添加した。
このとき、P=140ppm、G=30ppmとなるようにした。
(6)さらに、重縮合反応缶に、重縮合触媒として三酸化アンチモンを出来上がりのポリ
エステル樹脂組成物に対して化合物として340ppm添加した。
ADのEG分散液の添加量を14kg(A=10モル%)に、SIPのEGエステルのEG溶液の添加量を7.5kg(S=3モル%)に変更し、二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を60ppmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
酢酸マグネシウム、酢酸リチウム及びトリエチルホスフェートの添加量を、M1=150ppm、M2=60ppm、P=230ppmとなるよう変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂組成物を紡糸するに際して、12ホールの円形断面の紡糸口金を用い、紡糸速度を1400m/分で紡糸すること以外は実施例1と同様に行い、ポリエステル繊維(33dtex/12f)を得た。評価結果を表1に示した。
酢酸マグネシウム、酢酸リチウム及びトリエチルホスフェートの添加量を、M1=200ppm、M2=80ppm、P=390ppmとなるよう変更し、二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を90ppmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂組成物を紡糸するに際して、96ホールの円形断面の紡糸口金を用い、紡糸速度を1400m/分で紡糸すること以外は実施例1と同様に行い、ポリエステル繊維(66dtex/96f)を得た。評価結果を表1に示した。
二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を150ppmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂組成物を紡糸するに際して、48ホールの円形断面の紡糸口金を用い、紡糸速度を1400m/分で紡糸すること以外は実施例1と同様に行い、ポリエステル繊維(56dtex/48f)を得た。評価結果を表1に示した。
二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を20ppmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
(1)実施例1と同様。
(2)重縮合反応缶に、カルボン酸のアルカリ土類金属塩である酢酸マグネシウム及びカルボン酸のアルカリ金属塩である酢酸リチウムを添加した。
このとき、M1(マグネシウム原子)=120ppm、M2(リチウム原子)=55ppmとなるようにした。
(4)さらに、重縮合反応缶に、リン酸エステルであるトリエチルホスフェート及びゲルマニウム酸化物である二酸化ゲルマニウムを添加した。
このとき、P=140ppm、G=60ppmとなるようにした。
(6)実施例1と同様。
(7)重縮合反応缶内の温度を280℃まで昇温しながら、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で撹拌しながら、予め決めた攪拌停止トルクになるまで重縮合反応を行い、常法により払い出してチップ化した。得られたポリエステル樹脂組成物におけるポリエステル樹脂は、スルホイソフタル酸単位の共重合率S(モル%)=0、炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率A(モル%)=0であった。さらに、色調が良好で、極限粘度〔η〕=0.73、D%=2.1モル%であった。また、粒子の平均粒子径はAランク、最大変動幅は±3%であった。
予め決めた攪拌停止トルクを変更した以外は、実施例7と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物(極限粘度〔η〕=0.67、D%:2.3モル%)及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
予め決めた攪拌停止トルクを変更した以外は、実施例7と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物(極限粘度〔η〕=0.62、D%:2.3モル%)を得た。評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂組成物を紡糸するに際して、ポリエステル樹脂組成物の吐出量を変更した以外は実施例7と同様に行い、ポリエステル繊維(40dtex/96f)を得た。評価結果を表1に示した。
二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を30ppmとなるように変更したこと以外は、実施例9と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
SIPのEGエステルのEG溶液の添加量を1.2kg(S=0.5モル%)に変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル繊維を実施例2に記載した織製方法で織物を作成した。得られた織物の風合いを評価したところ、SIPの共重合量が少ないため、カチオン染料特有の鮮明性が乏しいもののその他の特性は良好であった。
SIPのEGエステルのEG溶液の添加量を1.2kg(S=0.5モル%)に変更し、二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を150ppmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示した。
主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートから構成されていない(A+S>15モル%)。
ADのEG分散液の添加量を24kg(A=17モル%)に、SIPのEGエステルのEG溶液の添加量を5.6kg(S=2モル%)に変更し、二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を60ppmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
酢酸マグネシウム、酢酸リチウム及びトリエチルホスフェートの添加量を、M1=50ppm、M2=30ppm、P=100ppmとなるよう変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂組成物を紡糸するに際して、8ホールの円形断面の紡糸口金を用い、紡糸速度を1600m/分で紡糸すること以外は実施例1と同様に行い、ポリエステル繊維(33dtex/8f)を得た。評価結果を表1に示した。
酢酸マグネシウム、酢酸リチウム及びトリエチルホスフェートの添加量を、M1=120ppm、M2=55ppm、P=300ppmとなるよう変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
酢酸マグネシウム及びトリエチルホスフェートを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に行った。ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を17ppmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を0ppmに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
二酸化ゲルマニウムの添加量(G)を0ppmに変更した以外は、実施例7と同様に行い、ポリエステル樹脂組成物及びポリエステル繊維を得た。評価結果を表1に示した。
ゲルマニウム酸化物は、著しく大きな粒子の発生を抑え、微細な粒子の均質な分散性が得られるので、ポリエステル繊維の製糸時の毛羽発生を抑制し、糸斑が軽減される。また、金属アンチモンの析出によるくすみが抑えられ、色調の良い樹脂組成物が得られる。その結果、得られるポリエステル繊維もくすみが抑えられ、光沢感が高く色調の良いポリエステル繊維が得られる。ゲルマニウム化合物の添加量を高くすると、粒子の最大変動幅が小さくなる。
Claims (15)
- 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであり、共重合モノマーの含有量が15モル%以下から構成されるポリエステル樹脂に下記式(a)〜(c)を満足するように、カルボン酸のアルカリ土類金属塩及びリン酸エステルから形成された平均粒子径0.01〜3μmの粒子とゲルマニウム酸化物とを含んでなるポリエステル樹脂組成物。
(a)100≦M1≦500
(b)0.5×M1≦P≦1.5×M1
(c)20≦G≦150
ただし、M1、P及びGは、それぞれ出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する、アルカリ土類金属原子の含有量(ppm)、リン原子の含有量(ppm)及びゲルマニウム原子の含有量(ppm)を示す。 - 下記式(a’)、(b’)及び(c)を満足するように、カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ金属の水酸化物とリン酸エステルとから形成された平均粒子径0.01〜3μmの粒子を含んでなる請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
(a’)100≦M1+M2≦500
(b’)0.5×(M1+M2)≦P≦1.5×(M1+M2)
(c)20≦G≦150
ただし、M2は、出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する、アルカリ金属原子の含有量(ppm)を示す。 - カルボン酸のアルカリ土類金属塩として、酢酸のアルカリ土類金属塩を用いる請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
- カルボン酸のアルカリ金属塩として、酢酸のアルカリ金属塩を用いる請求項2記載のポリエステル樹脂組成物。
- ポリエステル樹脂として、下記式(d)及び(e)を満足するようにスルホイソフタル酸のアルカリ金属塩単位及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸単位が共重合されてなるポリエステル樹脂を用いる請求項1又は3に記載のポリエステル樹脂組成物。
(d)0.8≦S≦5
(e)2≦A≦15
ただし、S及びAは、それぞれポリエステル樹脂中のスルホイソフタル酸単位の共重合率(モル%)及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率(モル%)を示す。 - ポリエステル樹脂として、下記式(d)及び(e)を満足するようにスルホイソフタル酸のアルカリ金属塩単位及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸単位が共重合されてなるポリエステル樹脂を用いる請求項2又は4に記載のポリエステル樹脂組成物。
(d)0.8≦S≦5
(e)2≦A≦15
ただし、S及びAは、それぞれポリエステル樹脂中のスルホイソフタル酸単位の共重合率(モル%)及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率(モル%)を示す。 - テレフタル酸とエチレングリコールとのポリエステルオリゴマーに、共重合モノマーの出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する含有量が15モル%以下を満足するように、共重合モノマーを添加し、アルカリ土類金属原子、リン原子及びゲルマニウム原子の出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する含有量が下記式(a)〜(c)を満足するように、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸エステル及びゲルマニウム酸化物を添加剤として添加し、重縮合を行うポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(a)100≦M1≦500
(b)0.5×M1≦P≦1.5×M1
(c)20≦G≦150
ただし、M1、PおよびGは、それぞれ出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する、アルカリ土類金属原子の含有量(ppm)、リン原子の含有量(ppm)およびゲルマニウム原子の含有量(ppm)を示す。 - アルカリ土類金属原子、リン原子及びゲルマニウム原子の出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する含有量が下記式(a’)、(b’)及び(c)を満足するように、添加剤として、さらにカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ金属の水酸化物を添加する請求項7記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(a’)100≦M1+M2≦500
(b’)0.5×(M1+M2)≦P≦1.5×(M1+M2)
(c)20≦G≦150
ただし、M2は出来上がりのポリエステル樹脂組成物に対する、アルカリ金属原子の含有量(ppm)を示す。 - カルボン酸のアルカリ土類金属塩として、酢酸のアルカリ土類金属塩を用いる請求項7記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- カルボン酸のアルカリ金属塩として、酢酸のアルカリ金属塩を用いる請求項8記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 下記式(d)及び(e)を満足するようにモノマーとしてスルホイソフタル酸のエチレングリコールエステルのアルカリ金属塩及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸を添加する、請求項7又は9記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(d)0.8≦S≦5
(e)2≦A≦15
ただし、SおよびAは、それぞれポリエステル樹脂中のスルホイソフタル酸単位の共重合率(モル%)および炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率(モル%)を示す。 - 下記式(d)及び(e)を満足するようにモノマーとしてスルホイソフタル酸エチレングリコールエステルのアルカリ金属塩及び炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸を添加する、請求項8又は10記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(d)0.8≦S≦5
(e)2≦A≦15
ただし、SおよびAは、それぞれポリエステル樹脂中のスルホイソフタル酸単位の共重合率(モル%)および炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合率(モル%)を示す。 - テレフタル酸とエチレングリコールとのポリエステルオリゴマーに、添加する添加剤及びモノマーをあらかじめエチレングリコールに溶解または分散して添加する、請求項7〜12のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなり、単繊維繊度が0.6〜3dtexであるポリエステル繊維。
- 請求項14に記載のポリエステル繊維を少なくとも一部に用いてなる繊維製品。
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