JP6379643B2 - 改質ポリエステル繊維及びその混用品 - Google Patents

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Description

本発明は、オパール加工における抜蝕除去が容易なアルカリ易溶解性の改質ポリエステル繊維及びその混用品に関する。
抜蝕加工とも言われるオパール加工は、耐薬品性の異なる2種以上の繊維素材を用いた織物や編物の一部の組成繊維を薬品にて溶解除去して、透かし模様或いは高伸縮性部位を形成する加工である。
オパール加工においては、従来より、耐薬品性の異なる2種以上の繊維素材のうちの一つとして耐薬品性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が多用され、透かし模様の形成の際は、このポリエチレンテレフタレート繊維が、耐薬品性の低い綿、羊毛、絹、セルロース系繊維、アセテート繊維等と組み合わされる。また高伸縮性部位を形成の際は、耐薬品性の高いポリエチレンテレフタレート繊維には比較的耐薬品性の高いポリウレタン繊維が混用され耐薬品性の低い繊維と組み合わされる。
一方、分散染料により高圧高温染色されるポリエチレンテレフタレート繊維の染色性を改善し、常圧染色で分散染料及びカチオン染料によって染色可能とするために、ポリエチレンテレフタレートに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を0.4〜5モル%、及びアジピン酸を2〜15モル%を共重合させた改質ポリエステル繊維が知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
かかる改質ポリエステル繊維は、適用できる染料の広がりにより染色面での多様化のほかに、オパール加工における耐薬品性の高いポリエチレンテレフタレート繊維と、耐薬品性の低い繊維として組み合わされ用いられてもいる。しかしながら、従来の改質ポリエステル繊維では、オパール加工の際のアルカリによる抜蝕除去性がいまだ十分満足すべきものではなく、オパール加工製品の多様化のために繊維物性をできるだけ保持しながらより抜蝕除去の容易な改質ポリエステル繊維が要望されている。
特開昭61−239015号公報 特開平8−269820号公報 特開2013−188802号公報
本発明者は、従来からポリエチレンテレフタレート繊維の染色性の改質効果のあることが知られている共重合成分でありながら、脂肪族ジカルボン酸及び金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸を特定量用いるならば、染色性の改質効果を保持しながら、抜蝕除去が容易なアルカリ易溶解性を得られることを見出し、本発明に到ったものである。本発明の目的は、オパール加工における耐薬品の低い繊維として用いられ、アルカリにより抜蝕除去が容易なアルカリ易溶解性の改質ポリエステル繊維及びその混用品を提供することにある。
本発明の要旨は、エチレンテレフタレートを主たる構成単位とし、炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸16〜25モル%、及び金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸2〜5モル%が共重合された改質ポリエステルからなり、単繊維繊度が0.6〜3.5dtexであることを特徴とする改質ポリエステル繊維、及び前記改質ポリエステル繊維とポリエチレンテレフタレート繊維或いはさらにポリウレタン繊維とからなる混用品、にある。
本発明の改質ポリエステル繊維は、オパール加工における耐薬品の低い繊維として用いられ、耐薬品の高い繊維であるポリエチレンテレフタレート繊維(未改質のポリエチレンテレフタレートからなりレギュラーポリエステル繊維ともいわれる)と組み合わされ、一般にポリエステル系繊維の織編物の風合いの改善に適用される減量加工に用いられると同様なアルカリにより、抜蝕除去が容易なアルカリ易溶解性を呈する。また、ポリエチレンテレフタレート繊維とポリウレタン繊維とを本発明の改質ポリエステル繊維と組み合わせ、オパール加工し織編物に高伸縮性部位を形成するときに、軽度のアルカリ処理により改質ポリエステル繊維が抜蝕除去されるので、高伸縮性部位でのポリウレタン繊維に損傷を与えることがない。本発明によれば、改質ポリエステル繊維の染色性、アルカリ易溶解性、単繊維繊度に基づいた、多様な色彩で、細やかで多様な風合いのオパール加工製品を得ることがでる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の改質ポリエステル繊維を構成するポリマーは、エチレンテレフタレートを主たる構成単位とし、全ジカルボン酸成分に対し炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸が16〜25モル%、及び金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸が2〜5モル%共重合されてなる改質ポリエステルである。
共重合成分である炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸は、繊維の非晶構造を乱すことによりポリエステル繊維のアルカリ溶解性を増大させる。炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸が挙げられ、特にアジピン酸が好ましいものとして挙げられる。
炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸の共重合量は、16〜25モル%、好ましくは18〜20モル%であり、この共重合量の範囲で、力学的、熱特性の著しい低下を抑え繊維の非晶構造を乱すことにより、分散染料、カチオン染料による染色性に向上に寄与するだけでなく、繊維のアルカリ溶解性を著しく高める。炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸が、16モル%以上であると、オパール加工に好適なアルカリ易溶解性が得られ易く、25モル%以下であれば、繊維として使用するために必要な繊維物性、堅牢性、耐熱性等の熱特性が維持し易くなる。
もう一方の共重合成分である金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸は、金属スルホネート基が繊維中に導入されてカチオン染料の染着座席となり、ポリエチレンテレフタレート繊維をカチオン染料による常圧での染色を可能とする成分である。また金属スルホネート基は芳香環とともに繊維中に導入され、分散染料に対する染色性も向上させ染色温度の低温度化を可能とする。さらには、繊維のアルカリ溶解性の向上にも寄与する。金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸としては、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸、カリウムスルホテレフタル酸、ナトリウムスルホナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好ましいものとして挙げられる。
金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸の共重合量は、2〜5モル%であり、2モル%以上であれば、カチオン染料による充分な染色性が得られ易く、また分散染料による染色での低温度化が充分となり易く、5モル%以下であれば、紡糸時の糸切れや毛羽の発生が少なくなり易くなる。
本発明における改質ポリエステルの製造は、ポリエチレンテレフタレートの製造と同様の公知の方法で得ることができる。すなわち、テレフタル酸を用いる場合は、酸のままエチレングリコールとエステル化反応、或いはテレフタル酸ジメチルエステルを用いる場合は、エチレングリコールとエステル交換反応を行った後、重縮合させる方法が採用される。
共重合成分の炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸は、重縮合の完結前の任意の段階において添加することができ、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応開始時にエチレングリコールスラリーとして添加する、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応によって生じたビス(β−ヒドロキシルエチル)テレフタレートに脂肪族ジカルボン酸またはビスヒドロキジカルボネートのエチレングリコール分散液または溶液として添加する。なお、改質ポリエステルの製造時には、重縮合完結前の任意の段階において、艶消剤、耐電防止剤、難燃剤、顔料等が添加することができる。
同様に、改質ポリエステルの製造時における共重合成分の金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸は、重縮合の完結前の任意の段階において添加することができ、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応開始時にエチレングリコールスラリーとして添加する、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応によって生じたビス(β−ヒドロキシルエチル)テレフタレートに金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸のジメチルエステル或いはジグリコールエステルのエチレングリコール分散液または溶液として添加する。
また改質ポリエステルの製造の際、特に直接エステル化する方法による場合、エチレングリコールが脱水して二量体化したジエチレングリコールが副生し、後の重縮合の反応系に残留するが、ポリマー中のジエチレングリコールはその含有量が多くなる程繊維の強度等の力学的物性を低下させることから、ジエチレングリコールの副生を抑えるうえでエステル化反応時の反応系にアルカリ金属或いはアルカリ土類金属の弱酸塩や水酸化物を添加することが好ましく、特に水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム等は、ジエチレングリコールの副生を抑えることに有効であり、共重合成分のジカルボン酸が10モル%以上である場合に好ましく用いられる。本発明では酢酸リチウムがより好ましく用いられ、酢酸リチウムの添加量は、ポリマー組成物に対してリチウム原子の量で50〜150ppmであることが好ましく、より好ましくは100〜150ppm、さらに好ましくは120〜150ppmであり、かかる量の酢酸リチウムが添加含有されることにより、エチレングリコール含有量が0.5〜3.0%である改質ポリエステルを得ることができる。
本発明における改質ポリエステルは、例えば次のような製造工程を経て製造される。
ビス(β−ヒドロキシルエチル)テレフタレート及びそのオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールのスラリーを供給し、250℃前後の温度で3〜8時間エステル化反応させエステル化率95%以上の反応物とする工程、このエステル化反応物を重合缶に移し、共重合成分の脂肪族ジカルボン酸、金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、トリエチルホスフェート、二酸化ゲルマニウムをそれぞれエチレングリコール溶液または分散液として添加した後、重合触媒の三酸化アンチモンをエチレングリコール分散液として添加し、昇温し270℃前後で減圧下で重縮合反応を行い所定の極限粘度になるまで重縮合する工程を経た後、重縮合物を取り出しストランドとし、チップとする。
本発明の改質ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維の製造と同様の公知の溶融紡糸法で得ることができ、改質ポリエステルチップを紡糸口金の紡出孔より吐出する紡糸とその後の延伸を含めた製糸方法も公知の方法が適用できる。例えば、改質ポリエステル繊維の製造には、紡糸温度が240〜300℃、紡糸速度が1000〜2000m/分、延伸温度が60〜90℃、延伸速度が400〜1000m/分、延伸倍率が1.8〜3.5倍、延伸倍率が最大延伸倍率の0.65〜0.80倍、熱セット温度110〜160℃の条件が用いられる。ここで最大延伸倍率とは、延伸温度80℃、熱セット温度145℃、延伸速度600m/分で未延伸糸が切断されるまで延伸したときの倍率をいう。
製糸過程においては、紡糸した未延伸糸を一旦巻き取った後延伸する、紡糸した未延伸糸を巻き取ることなく延伸する、紡糸速度が2000m/分以上の高速紡糸により半未延伸糸として巻き取る、或いは高速紡糸して巻き取ることなく延伸する等の方法が用いられる。
本発明の改質ポリエステル繊維は、織編物の一部の組成繊維が抜蝕除去されるオパール加工に好適に用いられることから、改質ポリエステル繊維の単繊維繊度は、繊維の形態がフィラメント糸であれば単糸繊度は、繊維の抜蝕除去が容易な0.6〜3.5dtexであることが好ましい。改質ポリエステル繊維の断面形状は、円形、扁平、三角形、Y字形、多葉形等任意の形状であってよい。また改質ポリエステル繊維の形態も短繊維、フィラメントのいずれであってもよく、繊維の形態がフィラメントであるときは、そのフィラメン糸に捲縮加工、仮撚加工を施すこともできる。
本発明の改質ポリエステル繊維は、分散染料にて常圧で染色可能な易染性及びカチオン染料にて常圧で染色可能な可染性を有しながら、抜蝕除去が容易なアルカリ易溶解性を有するものであり、他の耐薬品性の高い繊維と組み合わせて交織または交編により混用織編物とし、この混用織編物をオパール加工する際に、印捺する抜蝕糊或いは抜蝕促進剤含有糊への分散染料またはカチオン染料の添加により多様な色彩、色調のオパール加工製品を得ることができる。耐薬品性の高い繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維が特に好ましく用いられる。したがい、本発明の改質ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維と組み合わせることによってポリエステル系繊維のみからなる混用織編物のオパール加工製品を得ることができる。また、本発明の改質ポリエステル繊維は、耐薬品性の高い繊維の他に、必要に応じ他の耐薬品性の低い或いは異なる耐薬品性の繊維、例えば羊毛、絹、綿、レーヨン、アセテート繊維、ポリアミド繊維等と混用することもでき、混用する繊維に適した染料の抜蝕糊への添加により多様な色彩、色調、風合いのオパール加工製品を得ることができる。
また、本発明の改質ポリエステル繊維は、そのアルカリ易溶解性により、ポリエチレンテレフタレート繊維及びポリウレタン繊維を組み合わせて軽度のアルカリ処理条件下にてオパール加工することによって、ポリウレタン繊維を脆化させることなく改質ポリエステル繊維のみが抜蝕除去された高伸縮性部位を形成し、ストレッチ性のあるオパール加工製品を得ることを可能とする。用いられるポリウレタン繊維は、ポリエーテル系ポリウレタン繊維、ポリエステル系ポリウレタン繊維のいずれであってもよい。
本発明の改質ポリエステル繊維をポリエチレンテレフタレート繊維或いはさらにポリウレタン繊維と組み合わせた交織または交編による混用織編物に対して行われるオパール加工は、織編物組織、繊維の混用率、抜蝕模様、用途等によりその条件が異なるが、例えば、苛性ソーダを抜蝕剤として含有する抜蝕糊の印捺工程、乾燥工程、湿熱または乾熱による抜蝕処理工程、ソーピング・水洗工程からなる方法、或いは抜蝕促進剤含有糊の印捺工程、乾燥・熱処理工程、ソーピング・水洗工程、苛性ソーダによるアルカリ減量処理(抜蝕処理)工程からなる方法等が採用される。本発明の改質ポリエステル繊維とポリエチレンテレフタレート繊維或いはさらにポリウレタン繊維との混用織編物のオパール加工の場合は、後者の方法におけるアルカリ減量処理(抜蝕処理)をポリエステル繊維の織編物に一般に適用されるアルカリ減量加工で行ってもよく、後者の方法が好ましく採用される。オパール加工の際には、抜蝕糊或いは抜蝕促進剤含有糊には適宜染料を添加し、抜蝕と同時に非抜蝕繊維の着色を行うこともでき、またオパール加工の前或いは後の染色と組み合わされ、色彩が多様で、単繊維繊度の細いことと相俟って、高級感のあるオパール加工製品を得ることができる。
本発明の改質ポリエステル繊維を用いてなる混用織編物のオパール加工製品としては、エンブロイダリーレース、ランジェリー、ファンデーション、水着、スポーツインナー、ボディスーツ、レオタード、スポーツ用タイツ、ガードル等のアウターウエア、インナーウエアが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の各種特性値の測定、評価方法は、次のとおりである。
(極限粘度[η])
改質ポリエステルをフェノール/四塩化エタン=1/1の混合溶媒中で20℃に調温し、ウベローデ法により測定した。
(ジエチレングリコール(以下、DEGと略記)含有量)
得られた改質ポリエステルをアルカリ加水分解した後、島津製作所社製ガスクロマトグラフGC−9Aを用い、エチレングリコールとDEGの各モル数を定量し、エチレングリコールとDEGの総モル数に対するDEGのモル数の割合(%)で求めた。
(ガラス転移温度Tg)
セイコー電子工業社製示差熱分析計DSC220を用い、昇温速度10℃/分で改質ポリエステルのTg(℃)を測定した。
(強度・伸度)
JIS L1013に準拠し、オリエンテック社製引張試験機テンシロンUTM−4−100型を用い、強度(cN/dtex)、伸度(%)を測定した。
(アルカリ溶解性)
改質ポリエステル繊維のアルカリ溶解性は、アルカリとして苛性ソーダを用い、試料の繊維を苛性ソーダ10g/Lの水溶液を用い、温度100℃で20分間浸漬処理し、処理前の繊維質量(W)と処理後の繊維質量(W)とから次式によりアルカリによる溶解性の程度を減量率(%)で示した。
減量率(%)=〔(W−W)/W〕×100
(実施例1)
ビス(β−ヒドキシルエチル)テレフタレート及びそのオリゴマーの存在するエステル化反応缶にテレフタル酸(以下、TPAと略記する)とエチレングリコール(以下、EGと略記する)とのモル比1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1Pa、滞留時間8時間の条件でエステル化反応を行った。次いで、得られたエステル化反応物15.4kgを重縮合反応缶に移送し、アジピン酸(以下、ADAと略記する)の濃度が50質量%に調整されたEG分散液4.6kgを添加し、また、DEG副生抑制のため酢酸リチウムをリチウム原子の量で120ppmとなるように添加した。その後温度230℃で5分間攪拌混合後、安定剤として酢酸マグネシウムをマグネシウム原子の量で120ppm、トリエチルホスフェートをリン原子の量で140ppm、二酸化ゲルマニウムをゲルマニウム原子の量で30ppm添加し、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(以下、SIPと略記する)のEGエステルの濃度が35質量%に調整されたSIPのEG溶液2.6kgを添加し、温度230℃で攪拌混合を行った。次いで、重縮合触媒として三酸化アンチモンを400ppm添加した後、徐々に減圧していき60分後に1.2hPa以下に減圧した後、温度230℃で30分撹拌混合を行い、その後温度270℃まで昇温し、重縮合物が所定の極限粘度[η]になるまで重縮合反応を行い、ADAの共重合量が18モル%、SIPの共重合量が2.5モル%である改質ポリエステルを得て、これをチップ化した。改質ポリエステルのポリマー物性を表1に示した。
得られた改質ポリエステルチップを、孔形状が円形、孔数が24の紡糸口金にて、紡糸温度255℃、紡糸速度1800m/分で紡糸し、この未延伸糸を延伸温度65℃、延伸倍率2.28倍(最大延伸倍率の0.72倍)で延伸し150℃で熱セットして84dtex/24f(単糸繊度3.5dtex)の改質ポリエステルフィラメント糸を得た。得られた改質ポリエステルフィラメント糸の物性を表1に示した。
(実施例2)
実施例1で得られた改質ポリエステルチップを用い、紡糸の際のポリマー吐出量を実施例1での2/5に変更した以外は、実施例1と同様にして紡糸、延伸して33dtex/24f(単糸繊度1.38dtex)の改質ポリエステルフィラメント糸を得た。得られた改質ポリエステルフィラメント糸の物性を表1に示した。
(実施例3)
実施例1において、得られたエステル化反応物15.9kgを重縮合反応缶に移送し、ADAのEG分散液の添加量を4.1kg及びSIPのEG溶液の添加量を2.4kgに変更し、紡糸の際の紡糸速度を1200m/分とした以外は、実施例1と同様にしてADA16モル%及びSIP2.25モル%を共重合した改質ポリエステルを得て、チップ化した。改質ポリエステルのポリマー物性は表1に示した。得られた改質ポリエステルチップを用い、実施例1と同様に紡糸、延伸して84dtex/24f(単糸繊度3.5dtex)の改質ポリエステルフィラメント糸を得た。得られた改質ポリエステルフィラメント糸の物性を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、得られたエステル化反応物16.4kgを重縮合反応缶に移送し、ADAのEG分散液の添加量を3.6kg及びSIPのEG溶液の添加量を2.1kgに変更した以外は、実施例1と同様にしてADA14モル%及びSIP2.0モル%を共重合した改質ポリエステルを得て、チップ化した。改質ポリエステルのポリマー物性は表1に示した。得られた改質ポリエステルチップを用い、表1に示す紡糸条件、延伸条件で紡糸、延伸して84dtex/24f(単糸繊度3.5dtex)の改質ポリエステルフィラメント糸を得た。得られた改質ポリエステルフィラメント糸の物性を表1に示した。
(比較例2)
実施例1において、得られたエステル化反応物16.9kgを重縮合反応缶に移送し、ADAのEG分散液の添加量を2.6kg及びSIPのEG溶液の添加量を2.1kgに変更した以外は、実施例1と同様にしてADA10モル%及びSIP2.0モル%を共重合した改質ポリエステルを得て、チップ化した。改質ポリエステルのポリマー物性は表1に示した。得られた改質ポリエステルチップを用い、表1に示す紡糸条件、延伸条件で紡糸、延伸して84dtex/24f(単糸繊度3.5dtex)の改質ポリエステルフィラメント糸を得た。得られた改質ポリエステルフィラメント糸の物性を表1に示した。
(比較例3)
実施例1において、得られたエステル化反応物17.6kgを重縮合反応缶に移送し、ADAのEG分散液の添加量を1.3kg及びSIPのEG溶液の添加量を2.3kgに変更した以外は、実施例1と同様にしてADA5モル%及びSIP2.25モル%を共重合した改質ポリエステルを得て、チップ化した。改質ポリエステルのポリマー物性は表1に示した。得られた改質ポリエステルチップを用い、表1に示す紡糸条件、延伸条件で紡糸、延伸して84dtex/24f(単糸繊度3.5dtex)の改質ポリエステルフィラメント糸を得た。得られた改質ポリエステルフィラメント糸の物性を表1に示した。
本発明の改質ポリエステル繊維は、オパール加工における耐薬品の低い繊維として好ましく用いられ、耐薬品の高い繊維であるポリエチレンテレフタレート繊維と組み合わされ、一般にポリエステル繊維の織編物の風合い改善に適用されるアルカリ減量加工の際に用いられると同様なアルカリにより抜蝕除去が容易なアルカリ易溶解性を呈し、型際のシャープな抜蝕柄を、低濃度或いは短時間の軽度のアルカリ処理条件下で形成することができ、オパール加工時の着色、その後の染色等により多様な色彩色調で、細単繊維繊度による高級感のある風合いのポリエステル系繊維のオパール加工製品の提供を可能とする。また、ポリエチレンテレフタレート繊維とポリウレタン繊維とを、本発明の改質ポリエステル繊維と組み合わせ、オパール加工して織編物に高伸縮性部位を形成するときには、高伸縮性部位でのポリウレタン繊維の損傷のないストレッチ性に優れたポリエステル系繊維のオパール加工製品の提供を可能とし、本発明は、ポリエステル繊維製品の用途分野を拡大するものである。

Claims (4)

  1. エチレンテレフタレ−トを主たる構成単位とし、炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸16〜25モル%、及び金属スルホネ−ト基含有芳香族ジカルボン酸2〜5モル%が共重合され、ジエチレングリコ−ルの含有量が0.5〜3.0%である改質ポリエステルからなり、単繊維繊度が0.6〜3.5dtexであることを特徴とする改質ポリエステル繊維。
  2. 脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸、金属スルホネ−ト基含有芳香族ジカルボン酸が5−ナトリウムスルホイソフタル酸である請求項1に記載の改質ポリエステル繊維。
  3. 改質ポリエステルが、酢酸リチウムをリチウム原子の量で50〜150ppm含有する請求項1または請求項2に記載の改質ポリエステル繊維。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の改質ポリエステル繊維と、ポリエチレンテレフタレ−ト繊維或いはさらにポリウレタン繊維とからなる混用品。
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