JPH08158157A - 改質ポリエステル繊維 - Google Patents

改質ポリエステル繊維

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JPH08158157A
JPH08158157A JP32938094A JP32938094A JPH08158157A JP H08158157 A JPH08158157 A JP H08158157A JP 32938094 A JP32938094 A JP 32938094A JP 32938094 A JP32938094 A JP 32938094A JP H08158157 A JPH08158157 A JP H08158157A
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polyester fiber
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acid
metal
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JP32938094A
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Shiyouichi Katamai
祥一 形舞
Yoshio Araki
良夫 荒木
Masakatsu Oguchi
正勝 大口
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の
弱酸塩を内部析出系微粒子として含有したポリエステル
組成物から改質ポリエステル繊維を得る。 【構成】 ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる
ポリエステルに、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類
金属の弱酸塩を内部析出系微粒子として含有したポリエ
ステル組成物から得られる微細孔形成性ポリエステル繊
維であって、前記ジカルボン酸成分に対してアルカリ金
属及び/又はアルカリ土類金属の弱酸塩をAモル%、お
よび共重合成分として前記ジカルボン酸成分に対して少
なくとも一つのエステル形成性基を有するスルホン酸化
合物の金属塩をBモル%配合した場合、下記式を満足す
る改質ポリエステル繊維を提供する。 0.05B1.3 ≦A≦B0.2 (但しBが0の場合、Aは0.5モル%以下である。) かかる改質ポリエステル繊維に、アルカリ減量処理を施
し、微細孔が形成された改質ポリエステル繊維を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は改質ポリエステルに関す
るものであり、さらに詳しくは、アルカリ金属及び/又
はアルカリ土類金属の弱酸塩を内部析出系微粒子として
用いることで、高速曳糸性を維持し且つアルカリ減量処
理後に繊維表面に微細な凹凸を生成する改質ポリエステ
ル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は繊維表面の滑らかさ
のために絹のような天然繊維の持つ独特の触感特性に欠
け、また染色時の深色効果も得られにくいという欠点が
あった。これらのポリエステル繊維に特有の性能を改良
するために各種の方法が知られている。例えば、特公昭
43−14186号、特公昭43−16665号により
繊維中に微粒子状不活性物質を含有させ、繊維がおかさ
れず微粒子状不活性物質が溶解する酸やアルカリで処理
して、微粒子状不活性物質を除去し、表面を凹凸化する
方法が知られている。また特公昭59−24233号に
よりシリカゾルなどを用いて繊維表面に不規則に凹凸な
ランダム表面を形成し、さらにそのランダム表面を形成
する凹凸内に超微細な凹凸を形成せしめたポリエステル
系合成繊維が知られている。微細孔形成剤として有機化
合物を用いる例としては、特公昭57−89641号に
より微細孔形成剤としてリン化合物や分子中にカルボン
酸金属塩基を有しているスルホン酸化合物などを用い、
アルカリ減量処理により繊維表面及び内部に微細孔を形
成し吸水性を発現させる方法が知られてる。
【0003】しかし上記いずれの公知技術においても、
繊維を溶剤処理することで繊維表面に凹凸形状を付与す
ることは可能でも、高速曳糸性などの面では問題が多
く、技術的安定性、工業的生産性などからみて問題は解
決されてはいなかった。そのため高速曳糸性を維持し且
つアルカリ減量処理後に繊維表面に微細な凹凸を生成す
るポリエステル系繊維の出現が強く望まれているのが実
情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特公昭43−14
186号、特公昭43−16665号に記載の方法によ
れば、ある程度の艶消しの効果は期待できるものの、む
しろ延伸によって生じた空洞が除去された粒子によりさ
らに増大し透明性に欠けた繊維となり、この繊維を染色
しても白っぽい色しか得ることができなくなる。
【0005】また上記特公昭59−24233号に記載
の方法によると風合の改善効果は得られるものの、表面
の凹凸を得るための微粒子としてコロイダルシリカなど
の無機化合物を使用するため、添加時に熱ショックによ
り凝集を起こしやすく、一旦凝集を起こした粒子は再分
散させることができないためグリコールなどを分散媒と
して用いる必要がある。そのため例えばジエチレングリ
コールの副生などの弊害が生じてくる。また添加する微
粒子の径が大きいと染色後の深色性に欠けるため、出来
るだけ径の小さな微粒子を使用しなければならない。ま
た添加後も微粒子の凝集を防ぐため激しく攪拌する必要
がある。また有機化合物に比べて硬い無機化合物を含有
するポリマーを長時間にわたって操業しうる紡糸オリフ
ィスを必要とする。
【0006】また上記特公昭57−89641号に記載
の方法のように微細孔形成剤として分子中にカルボン酸
金属塩基を有しているスルホン酸化合物を用いた場合、
著しく強いイオン性の分子凝集力を示し、ポリエステル
マトリックス中に大量に析出し白濁したポリマーを与え
るため、高速曳糸性の改善効果は期待できない。
【0007】以上のように、従来技術では繊維表面に凹
凸形状を付与することは可能であっても、高速曳糸性な
どの面で問題が多く、技術的安定性、工業的生産性など
からみて問題は充分には解決されてはいなかった。また
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の弱酸塩を、
エステル形成基を有するスルホン酸化合物の金属塩を共
重合させたポリエチレンテレフタレートの製造の際に副
生するジエチレングリコール(以下DEGと略記する)
などのエーテル結合の抑制剤として添加する例はよく知
られている。しかしながらアルカリ金属及び/又はアル
カリ土類金属の弱酸塩の添加量とエステル形成基を有す
るスルホン酸化合物の金属塩の共重合量の関係が適正化
されていなかったために、該ポリエステルから表面に微
細な凹凸を有する繊維を得るには、新たに微細孔形成剤
を添加する必要があり、工程の煩雑さやコストの面で問
題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術では達成できなかった問題点を解決し、絹に最も近
い触感特性及び深色性などを有し且つ技術的、工業的に
安定に生産しうるポリエステル繊維を得るべく鋭意研究
した結果、本発明を完成するに至った。
【0009】上記課題を解決するための手段、すなわち
本発明の構成は、次のとおりである。 (1) ジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリ
エステルに、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属
の弱酸塩を内部析出系微粒子として含有したポリエステ
ル組成物から得られる微細孔形成性ポリエステル繊維で
あって、前記ジカルボン酸成分に対してアルカリ金属及
び/又はアルカリ土類金属の弱酸塩をAモル%、および
共重合成分として前記ジカルボン酸成分に対して少なく
とも一つのエステル形成性基を有するスルホン酸化合物
の金属塩をBモル%配合した場合、下記式を満足するこ
とを特徴とする改質ポリエステル繊維。 0.05B1.3 ≦A≦B0.2 (但しBが0の場合、Aは0.5モル%以下である。) (2) 前記(1) 項記載の改質ポリエステル繊維に、アル
カリ減量処理を施し、微細孔が形成された改質ポリエス
テル繊維。
【0010】本発明に言うポリエステルとは、主たる酸
成分がテレフタル酸またはそのエステル形成誘導体、主
たるグリコール成分がエチレングリコールからなるもの
であるが酸成分として20mol%以下のシュウ酸、マ
ロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナン
ジカルボン酸などに例示される脂肪族ジカルボン酸また
はこれらのエステル形成誘導体、フタル酸、イソフタル
酸、5−(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェ
ニン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エ
タン−p,p′−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸またはこれらのエステル形成性誘導体を共重合成分と
して含むことができる。また酸成分の20mol%以下
のp−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸のようなオ
キシカルボン酸またはそのエステル形成誘導体を含むこ
ともできる。グリコール成分としては20mol%以下
のプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,10−デカメチレングリコール、4,4′−
ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、2,5−ナフタレンジオー
ルこれらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグ
リコール、ポリエチレングリコール等を含むことができ
る。
【0011】もちろんこのポリエステル繊維中には少量
の他の任意の重合体や酸化防止剤、制電剤、染色改良
剤、染料、顔料、艶消剤、蛍光増白剤、その他の添加剤
が含有されていてもよい。
【0012】本発明に言う内部析出系微粒子とは、重合
系への添加時は系に溶解し均一な溶液を与えるが、重合
中あるいは重合終了後に系から析出し、溶融紡糸後の溶
剤処理により繊維表面に微細な凹凸を形成する添加剤の
ことであり、具体的にはアルカリ金属及び/又はアルカ
リ土類金属の弱酸塩、例えば炭酸、ギ酸、酢酸、プロピ
オン酸、シュウ酸、マロン酸などのナトリウム、リチウ
ム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム塩
が挙げられる。
【0013】本発明の微細孔形成性ポリエステル繊維を
アルカリ減量処理した場合の表面形態について説明す
る。図1は本発明の微細孔を有するポリエステル繊維の
5000倍の走査型電子顕微鏡写真である(実施例
1)。通常のポリエステル繊維の場合、繊維表面は平滑
であり、このことが絹のような天然繊維独特の触感特性
に欠け、また染色時の深色効果も得られにくいというポ
リエステル繊維に特有な欠点になっていた。これに対し
本発明の微細孔を有するポリエステル繊維は繊維表面に
円換算直径が10-1μmオーダーの微細孔が多数形成さ
れている。図1の場合は内部析出系微粒子として酢酸ナ
トリウムを用いたが、酢酸リチウムを用いても同様な結
果が得られた(実施例2、図2参照)。
【0014】以上のように本発明の要点の一つは、繊維
表面の微細な凹凸が内部析出系の添加剤によって発現さ
れることにある。さらに注目すべきこととして酢酸ナト
リウムに代表されるこれらの添加剤の有するもう一つの
機能がある。先述のごとくこれらの添加剤は、重合中の
副生物であるDEGなどのエーテル結合の抑制剤として
機能する。すなわち本発明により、新たに微細孔形成剤
を添加することなく、かかる内部析出系微粒子をDEG
抑制剤として使用するだけで繊維表面に微細な凹凸を形
成することが可能となり、これにより工程面、コスト面
での実用性も大きく改善されている。
【0015】かかる内部析出系微粒子の添加量として
は、通常のポリエステル繊維の場合、0.01〜0.5
mol%/acidが好ましい。0.01mol%以下
では絹に近い触感特性及び深色性などを発現するに充分
な表面の微細な凹凸が得られず、DEG抑制剤としての
機能も併用させるならばDEGの抑制効果も少ない。ま
た0.5mol%以上ではポリマー着色や熱安定性低下
などの欠点を誘起するばかりか、高速曳糸性の面で問題
があり、技術的安定性、工業的生産性などからみて好ま
しくない(比較例1)。
【0016】またポリエステルの構成単位に、少なくと
も一つのエステル形成基を有するスルホン酸化合物の金
属塩を含む場合には、スルホン酸化合物の金属塩の共重
合量が増加するとポリマーマトリックスとしての極性が
上がり、内部析出系微粒子の溶解度も上昇するため、微
細な凹凸を形成するに必要な添加量も多くなり、また紡
糸時の単糸切れを起こさない最大限界添加量も増加する
ことが分かった。例えば5−(ナトリウムスルホ)イソ
フタル酸(以下SIPと略記する)をポリマー中の酸成
分に対して1mol%共重合させた場合、酢酸ナトリウ
ムの添加量が0.03mol%では繊維表面に充分な凹
凸が形成されなかった(比較例2)。SIPをポリマー
中の酸成分に対して3mol%共重合させた場合は、酢
酸ナトリウムを0.2mol%添加しても繊維表面には
凹凸は形成されなかった(比較例3)。またSIPを1
mol%共重合させた場合、酢酸ナトリウムの添加量が
0.9mol%のときは問題なく溶融紡糸ができた(実
施例3)が、添加量が1.2mol%に増えると紡糸時
に単糸切れが急増し、安定操業が困難となった(比較例
4)。SIPを3mol%共重合させた場合、酢酸ナト
リウムのポリマーマトリックスに対する最大限界添加量
は1.2mol%であり(実施例4)、それ以上の酢酸
ナトリウムを添加すると紡糸時の単糸切れが急増するこ
とが分かった(比較例5)。
【0017】スルホン酸化合物の金属塩の共重合量と内
部析出系微粒子の添加量が、溶融紡糸時の単糸切れ及び
繊維表面形態に及ぼす影響を詳細に検討した結果、該内
部析出系微粒子の最適の添加量は擬似的に下記式Iで表
されることが分かった。 0.05B1.3 ≦A≦B0.2 (I) Aは全酸成分に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ
金属の弱酸塩のmol%、Bは少なくとも一つのエステ
ル形成基を有するスルホン酸化合物の金属塩の全酸成分
に対するmol%を示す。
【0018】A<0.05B1.3 の場合、絹に近い触感
特性及び深色性などを発現するに充分な繊維表面の微細
な凹凸が得られず、DEGの抑制効果も少ない。A>B
0.2の場合、析出した内部析出系微粒子がポリマー着色
や熱安定性低下などの欠点を誘起するばかりか、高速曳
糸性の面でも問題があり、技術的安定性、工業的生産性
などからみて好ましくない。
【0019】かかる内部析出系微粒子の添加時期として
は、エステル化反応前、エステル化反応中、エステル化
反応後あるいは重合がある程度進行した後など適宜選択
可能であるが、前記スルホン酸化合物の金属塩を共重合
する場合は、スルホン酸化合物の金属塩の添加時あるい
は添加前であることが好ましい。添加する際には重合後
期を除けば系に可溶なため、特別に攪拌を激しくした
り、エチレングリコールなどのスラリーにする必要もな
く、通常の添加方法で充分である。
【0020】かかる有機化合物系の内部析出系微粒子を
配合させたポリエステル繊維を紡糸する際には、比較的
硬い無機化合物系の外部析出系微粒子を含有するポリマ
ーを紡糸する際よりも、紡糸オリフィスに負荷がかかり
にくく通常の方法で充分であり、特に注意されるべき点
はない。
【0021】繊維表面の侵食処理及び減量処理に用いる
溶剤あるいは分解剤としては、例えば水酸化ナトリウム
水溶液が挙げられる。その他に水酸化カリウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ化合物水溶液及
びクロロフェノール、ニトロベンゼン、フェノール/テ
トラクロロエタンなどの有機溶剤、モノメチルアミン、
モノエチルアミン、ノルマル−プロピルアミン、ノルマ
ル−ブチルアミン、イソブチルアミン、エチレンジアミ
ン、モノエタノールアミンなどで代表されるアルキルア
ミン類、またはこれらと他の有機化合物の溶液などが用
いられる。中でも水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリ
ウム水溶液が特に好ましい。
【0022】アルカリ化合物の水溶液を使用する場合、
その濃度はアルカリ化合物の種類、処理条件によって異
なるが通常0.01〜10重量%の範囲が好ましい。処
理温度は常温〜100℃の範囲が好ましく、処理時間は
1分〜8時間の範囲で通常行われる。またこのアルカリ
化合物の水溶液の処理によって溶出除去する量は2〜4
0重量%の範囲にするのが適当であり特に15〜30重
量%が絹に近い触感特性及び深色性を得る面より好まし
い。
【0023】本発明が芯鞘構造や背腹構造の複合繊維に
適用可能なことは当然である。この場合、内部析出系微
粒子を含有させたポリエステル系ポリマーを鞘成分ある
いは背腹成分の一成分として、また芯成分あるいは背腹
の他の成分としては上記内部析出系微粒子を含有する
か、また含有率の異なるポリマーないしは異種ポリマー
あるいは内部析出系微粒子を全く含まない同種もしくは
異種ポリマーを配合させた繊維とし、該繊維を当該ポリ
エステルや該内部析出系微粒子に対し可溶性または分解
性を有する溶剤を使用して繊維表面を溶出侵食処理させ
ることにより、繊維表面に微細な凹凸を形成し、触感特
性や深色性などの特徴を付与することもできる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが本発
明はこれら特定の実施例に限定されるものではない。
【0025】実施例 1 ビスヒドロキシエチルテレフタレート890重量部に対
し5g/l濃度の3酸化アンチモンのエチレングリコー
ル溶液を0.5l容量部加え、次いで酢酸ナトリウムを
ポリマー中の酸成分に対して0.03mol%加えて、
常圧にて245℃で10分間攪拌し溶解させ無色透明の
溶液とした。次いで45分を要して275℃まで昇温し
つつ反応系の圧力を徐々に下げて0.1mmHgとして
さらに同温同圧で180分間重縮合反応を行った。窒素
で常圧に戻した後、通常の方法にしたがって溶融紡糸を
行い、5g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で100℃
で2時間処理し約20%減量した。この繊維を5000
倍の走査型電子顕微鏡で観察すると、その表面に円換算
直径が10-1μmオーダーの微細孔が多数形成されてい
た(図1)。
【0026】実施例 2 内部析出系微粒子を酢酸ナトリウムから酢酸リチウムに
変更したこと以外は実施例1と全く同様にして合成し、
繊維表面を観察した。その表面には円換算直径が10-1
μmオーダーの微細孔が多数形成されていた(図2)。
【0027】実施例 3 酸成分としてビスヒドロキシエチルテレフタレートを8
81重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ビスヒ
ドロキシエチルエステルの35重量%エチレングリコー
ル溶液(以下DESと略記)を0.36重量部、酢酸ナ
トリウムをポリマー中の酸成分に対して0.9mol%
加え、実施例1と全く同様にして合成したところ、その
繊維表面には円換算直径が10-1μmオーダーの微細孔
が多数形成されていた。
【0028】実施例 4 酸成分としてビスヒドロキシエチルテレフタレートを8
72重量部、DESを1.1重量部、酢酸ナトリウムを
ポリマー中の酸成分に対して1.2mol%加え、実施
例1と全く同様にして合成したところ、その表面には円
換算直径が10-1μmオーダーの微細孔が多数形成され
ていた。
【0029】比較例 1 内部析出系微粒子の酢酸ナトリウムの添加量を0.6m
ol%にしたこと以外は、すべて実施例1と同様にして
合成したところ、アルカリ減量処理後の繊維表面に微細
孔は観察されたものの、溶融紡糸の際に単糸切れが頻繁
に起き操業困難であった。
【0030】比較例 2 内部析出系微粒子の酢酸ナトリウムの添加量を0.03
mol%にしたこと以外は、すべて実施例3と同様にし
て合成したところ、アルカリ減量処理後の繊維表面に微
細孔はほとんど観察されなかった。
【0031】比較例 3 内部析出系微粒子の酢酸ナトリウムの添加量を0.2m
ol%にしたこと以外は、すべて実施例4と同様にして
合成したところ、アルカリ減量処理後の繊維表面に微細
孔はほとんど観察されなかった。
【0032】比較例 4 内部析出系微粒子の酢酸ナトリウムの添加量を1.2m
ol%にしたこと以外は、すべて実施例3と同様にして
合成したところ、アルカリ減量処理後の繊維表面に微細
孔は観察されたものの、溶融紡糸の際に単糸切れが頻繁
に起き操業困難であった。
【0033】比較例 5 内部析出系微粒子の酢酸ナトリウムの添加量を1.4m
ol%にしたこと以外は、すべて実施例4と同様にして
合成したところ、アルカリ減量処理後の繊維表面に微細
孔は観察されたものの、溶融紡糸の際に単糸切れが頻繁
に起き操業困難であった。
【0034】ポリエチレンテレフタレートの主鎖に5−
(ナトリウムスルホ)イソフタル酸(以下SIPと略
記)が共重合されたポリエステルに、内部析出系微粒子
を使用したときの溶融紡糸の際の操業性(単糸切れ)
と、アルカリ減量処理後の繊維表面の微細な凹凸(10
-1μmオーダーの微細孔の有無)の関係をまとめて表1
に示す。
【表1】
【0035】
【発明の効果】このように本発明により、繊維表面の微
細な凹凸により絹に最も近い触感特性及び深色性などを
有し且つ技術的、工業的に安定に生産しうる改質ポリエ
ステル繊維の製造が可能になった。また本発明に用いる
内部析出系微粒子は反応系に可溶なため、添加時に特別
注意するべき事項もなく容易に取り扱うことができる。
また硬い無機系の外部析出系微粒子とは違って、紡糸の
際にも特別に注意されるべき点はない。さらにかかる内
部析出系微粒子はDEG抑制剤としても機能するため、
該内部析出系微粒子をDEG抑制剤として使用するだけ
で、新たに微細孔形成剤を添加することなく繊維表面に
微細な凹凸を形成することが可能となり、工程面、コス
ト面での実用性も大きく改善されている。この点も本発
明における重要な特徴でもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例により微細孔が形成されたポ
リエステル繊維の5000倍の走査型電子顕微鏡写真で
ある。
【図2】本発明の他の実施例により微細孔が形成された
ポリエステル繊維の5000倍の走査型電子顕微鏡写真
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/84 305 A D06M 11/38 // D06M 101:32

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分とグリコール成分から
    なるポリエステルに、アルカリ金属及び/又はアルカリ
    土類金属の弱酸塩を内部析出系微粒子として含有したポ
    リエステル組成物から得られる微細孔形成性ポリエステ
    ル繊維であって、前記ジカルボン酸成分に対してアルカ
    リ金属及び/又はアルカリ土類金属の弱酸塩をAモル
    %、および共重合成分として前記ジカルボン酸成分に対
    して少なくとも一つのエステル形成性基を有するスルホ
    ン酸化合物の金属塩をBモル%配合した場合、下記式を
    満足することを特徴とする改質ポリエステル繊維。 0.05B1.3 ≦A≦B0.2 (但しBが0の場合、Aは0.5モル%以下である。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の改質ポリエステル繊維
    に、アルカリ減量処理を施し、微細孔が形成された改質
    ポリエステル繊維。
JP32938094A 1994-12-01 1994-12-01 改質ポリエステル繊維 Pending JPH08158157A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11229279A (ja) * 1998-02-18 1999-08-24 Kuraray Co Ltd 皮革様シート状物
JP2015212444A (ja) * 2014-05-07 2015-11-26 三菱レイヨン・テキスタイル株式会社 改質ポリエステル繊維及びその混用品

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