JP2018040086A - 潜在濃染性混繊交絡糸、芯鞘型濃染性混繊交絡糸、及びその製造方法 - Google Patents

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Tetsuharu Obayashi
徹治 大林
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信一郎 副島
直哉 山内
Naoya Yamauchi
直哉 山内
隆司 橋本
Takashi Hashimoto
隆司 橋本
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Abstract

【課題】織編物したときに、梳毛調風合い、ヌメリ感及び濃染性の何れにも優れる濃染性混繊交絡糸及びその製造方法、並びに当該交絡糸を得るための潜在濃染性混繊交絡糸及びその製造方法を提供する。
【解決手段】鞘糸としての濃染性ポリエステルフィラメント糸条aと、芯糸としての熱収縮糸条bとからなる芯鞘型濃染性混繊交絡糸であって、前記濃染性ポリエステルフィラメント糸条aと前記熱収縮糸条bとの質量比が、(糸条a)/(糸条b)=60/40〜85/15であり、前記濃染性ポリエステルフィラメント糸条aは、単繊維表面に繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔を有するものであり、前記微細孔の個数は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10個以上であり、前記微細孔の面積比率は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10〜50%であり、かつ前記微細孔の深さが100〜400nmであることを特徴とする、芯鞘型濃染性混繊交絡糸。
【選択図】図3

Description

本発明は、梳毛調風合い、ヌメリ感、及び濃染性の何れにも優れた芯鞘型濃染性混繊交絡糸、及びこの芯鞘型濃染性混繊交絡糸の製造方法に関する。さらに本発明は、こうした芯鞘型濃染性混繊交絡糸を得るための、潜在濃染性混繊交絡糸、及びこの潜在濃染性混繊交絡糸の製造方法に関する。
昨今の婦人衣料分野においては、トレンドの変化を背景に、濃染効果に加え、梳毛調風合い及びヌメリ感に優れた差別化加工糸が要望されている。こうした加工糸の一種である混繊交絡糸を製造するための技術として、従来から、仮撚加工技術、又は、芯鞘複合加工技術等が知られている。しかし混繊交絡糸を得るために仮撚加工技術を採用すると、フカツキ感が強い風合いとなり、梳毛調風合いが発現しないばかりか、ハリ又はコシが不足するなどの問題がある。一方、芯鞘複合加工技術を採用すると、膨らみ感が過度に発現してスパンライク風合いとなり、梳毛調風合いが発現しにくいという問題がある。
こうした問題が改善するための混繊交絡糸の製造方法が、種々検討されている。例えば特許文献1には、芯糸として、単糸繊度が太くかつ捲縮率の高い潜在捲縮性糸を用いるとともに、鞘糸として、アルカリ減量処理によって単繊維表面が特殊な形状を呈するものとなり、かつ高トルクであるフィラメントを用いた混繊交絡糸が記載されている。この混繊交絡糸は、表面形状又は特異な糸質特性に起因して、シルキー風合い及び濃染効果に優れ、さらにストレッチ性にも優れる。
また、特許文献2には、鞘糸として、特定の表面形状を有する捲縮糸を用い、芯糸として、非捲縮延伸糸条を用いた混繊交絡糸が記載されている。この混繊交絡糸は、濃染効果に優れるとともに、適度な膨らみ感とドレープ性能とを表現するのに適している。
また、特許文献3には、芯糸として高捲縮糸条を用い、鞘糸として、単繊維表面の形状が変化せず熱伸長性を有するフィラメントを用いた混繊交絡糸が記載されている。この混繊交絡糸は、ウール様の膨らみ感、軽量感、及びナチュナルな斑感を発現することができる。
更に、特許文献4には、ポリエステル繊維Aと、これより沸水収縮率の大きいポリエステル繊維Bが混繊されたポリエステル混繊糸であって、該ポリエステル繊維Aが、ポリエステル樹脂組成物の合成系に、特定量の金属化合物(例えば、酢酸カルシウム)、及び特定のリン化合物を添加して、粒子を形成することで、繊維表面に微細な凹凸を形成したものが記載されている。このポリエステル混繊糸としては、ポリエステル繊維Aが鞘部、ポリエステル繊維Bが芯部に位置された芯鞘構造を有するものも記載され、外観や風合いに優れることが示唆されている。
特開平11−158742号公報 特開平7−324239号公報 特開平9−132834号公報 特開2014−105405号公報
しかし、特許文献1に記載された技術を採用した場合は、芯糸が高捲縮性を有するためドレープ性が発現し、かつ高トルクであるためソフト風合いとなり、梳毛調風合い及びヌメリ感を達成することが困難である。また、特許文献2においても、芯糸として非捲縮延伸糸条を用い、鞘糸自体に仮撚加工が施されているために、ドレープ性が発現し、ヌメリ感が不十分となる。特許文献3に記載の混繊交絡糸においては、梳毛調風合いには優れているが濃染効果に乏しく、しかも高捲縮糸条を用いているためにヌメリ感も不十分である。
また、特許文献4に記載されたポリエステル混繊糸では、表1の結果が示すように、鞘部を構成するポリエステル繊維Aの繊維表面に存在する凹凸の形状が細長い溝状となり、十分な濃染性を達成することが困難となる。
そこで、本発明の目的は、こうした従来技術の問題点を改良し、織編物とされた場合に、梳毛調風合い、ヌメリ感、及び濃染性の何れにも優れる濃染性混繊交絡糸及びその製造方法、並びに当該交絡糸を得るための潜在濃染性混繊交絡糸及びその製造方法を得ようとするものである。
本発明者らは、上記の様な課題を解決すべく鋭意検討した結果、鞘糸として単繊維表面に微細孔を有する濃染性ポリエステルフィラメント糸条を用い、芯糸として熱収縮糸条を用いた芯鞘型濃染性混繊交絡糸は、織編物にすると、梳毛調風合い、ヌメリ感、及び濃染性の何れにも優れるものであることを知見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(7)を要旨とする。
(1) 潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aと延伸糸条Bとが混繊交絡されてなり、交絡数が40〜100個/mであり、かつ0〜10T/Mのトルクを有する潜在濃染性混繊交絡糸であって、
前記潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aは、リン化合物とアルカリ金属化合物とに由来するか、またはリン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来する生成粒子を含み、
前記潜在濃染性混繊交絡糸に対してJIS L1013 8.5.1に基づく初期荷重をかけたときに得られる引張強伸度曲線において、前記潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aは、前記延伸糸条Bが切断した後さらに60〜300%の割合で伸長した後に切断するものであり、
前記延伸糸条Bの単繊維繊度は、前記潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aの単繊維繊度よりも小さいことを特徴とする、潜在濃染性混繊交絡糸。
(2) 鞘糸としての濃染性ポリエステルフィラメント糸条aと、芯糸としての熱収縮糸条bとからなる芯鞘型濃染性混繊交絡糸であって、
前記濃染性ポリエステルフィラメント糸条aと前記熱収縮糸条bとの質量比が、(糸条a)/(糸条b)=60/40〜85/15であり、
前記濃染性ポリエステルフィラメント糸条aは、単繊維表面に繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔を有するものであり、
前記微細孔の個数は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10個以上であり、前記微細孔の面積比率は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10〜50%であり、かつ前記微細孔の深さが100〜400nmであることを特徴とする、芯鞘型濃染性混繊交絡糸。
(3) 筒編地として黒色染色加工を施したときのL*値が14以下であることを特徴とする、(2)に記載の芯鞘型濃染性混繊交絡糸。
(4) (2)または(3)に記載の芯鞘型濃染性混繊交絡糸を含むことを特徴とする、織編物。
(5) (1)に記載の潜在濃染性混繊交絡糸を製造する方法であって、下記の工程(イ)〜(ハ)を含むことを特徴とする潜在濃染性混繊交絡糸の製造方法。
(イ)リン化合物とアルカリ金属化合物とに由来するか、またはリン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来する生成粒子を含む潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条を準備する工程、
(ロ)前記潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条に対し、熱処理温度150〜300℃、収縮オーバーフィード率10〜30%で弛緩熱処理を施して、伸度が100〜300%、熱水収縮率が5〜20%である潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aを得る工程、及び
(ハ)前記潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aと、熱水収縮率10〜30%である延伸糸条Bとを混繊交絡させて潜在濃染性混繊交絡糸を得る工程。
なお、前記潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条の単繊維繊度が3〜5dtexであり、前記延伸糸条Bの単繊維繊度が1.5〜3.5dtexである。
(6) (2)または(3)に記載の芯鞘型濃染性混繊交絡糸を製造する方法であって、
(5)に記載の製造方法で製造された前記潜在濃染性混繊交絡糸に対し、アルカリ減量を施すことにより潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aの表面の生成粒子を脱落させて繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔を形成して濃染性ポリエステルフィラメント糸条aとするとともに、延伸糸条Bを熱収縮させて熱収縮糸条bとすることを特徴とする、芯鞘型濃染性混繊交絡糸の製造方法。
(7) 単繊維表面に繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔を有する濃染性ポリエステル繊維であって、
前記微細孔の個数は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10個以上であり、前記微細孔の面積比率は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10〜50%であり、かつ前記微細孔の深さが100〜400nmであることを特徴とする、濃染性ポリエステル繊維。
本発明によれば、濃染性ポリエステルフィラメント糸条aの単繊維表面の微細孔と、熱収縮糸条bの物性との相乗効果によって、織編物とした場合に、梳毛調風合い、ヌメリ感、及び濃染性の何れにも優れる芯鞘型濃染性混繊交絡糸、及びこうした芯鞘型濃染性混繊交絡糸を得るための潜在濃染性混繊交絡糸を得ることができる。
濃染性ポリエステルフィラメント糸条aの単繊維表面を、SEMを用いて撮影した写真である(倍率10000倍)。 本発明の潜在濃染性混繊交絡糸の断面模式図である。 本発明の芯鞘型濃染性混繊交絡糸の断面模式図である。 本発明の潜在濃染性混繊交絡糸を製造する工程の一部を例示する概略図である。 本発明の潜在濃染性混繊交絡糸の製造する工程の一部の別態様を例示する概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(潜在濃染性混繊交絡糸)
本発明の潜在濃染性混繊交絡糸は、図2に示すように、潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aと延伸糸条Bとが、例えばランダムに混繊交絡されてなるものである。
潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条A(以下、単に「潜在濃染性糸条A」と称する場合がある)について以下に述べる。潜在濃染性糸条Aは生成粒子を含有する。この生成粒子は、リン化合物とアルカリ土類金属化合物とに由来するか、又は、リン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来するものである。なお、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物を、単に金属化合物と称する場合がある。潜在濃染性糸条Aは潜在濃染性を有するものであるが、「潜在濃染性」とは、ポリエステル繊維に対してアルカリ減量処理を施して生成粒子を脱落させ、単繊維表面に微細孔を形成することで発現する濃染性をいう。
「生成粒子」とは、シリカ微粒子のような公知の不活性微粒子とは異なるものであり、後述のリン化合物と金属化合物とをあらかじめ反応させずに、個別にポリエステル樹脂組成物の製造段階(合成反応系)に添加することで、リン化合物と金属化合物とが反応し形成される粒子である。
生成粒子の平均粒子径は0.05〜0.5μmが好ましく、0.08〜0.4μmがより好ましい。平均粒子径が上記範囲であると、アルカリ減量処理により生成粒子を脱落させた場合に、後述のような適切な深さを有する微細孔を、高密度(特定範囲の個数及び面積比率)で形成し得る生成粒子となり、またポリエステル繊維を紡糸する際に溶融ポリマーをろ過するフィルターが目詰まりすることもなく、圧力の上昇又は糸切れの発生を抑制することができる。
生成粒子の平均粒子径を上記の範囲に制御するために、例えば、リン化合物と金属化合物との組み合わせ、又はリン化合物と金属化合物との添加量を好ましいものとすることができる。本発明におけるリン化合物と金属化合物との好ましい組み合わせ、及びリン化合物と金属化合物との添加量については後述する。また、本発明における微細孔の深さ、個数、及び面積比率の範囲についても後述する。なお、生成粒子を用いずにシリカ微粒子のような公知の不活性微粒子を添加させた場合は、凝集により微粒子が粗大化してしまい、適切な深さを有する微細孔を高密度で形成することができず、本発明の効果を奏することはできない。
リン化合物としては、例えば、リン酸類、ホスホン酸類、又はホスフィン酸類が挙げられる。なかでも、生成粒子の平均粒子径が大きすぎることがなく、ポリエステル繊維の濃染性及び製糸工程の安定性が良好となるため、脂肪族のリン酸類が好ましく、特にリン酸エステルが好ましい。濃染性に優れる観点から、リン酸エステルの中でもリン酸トリエチル(トリエチルホスフェート)が特に好ましい。
アルカリ金属化合物とは、特に、カルボン酸のアルカリ金属塩であり、その具体例として、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、又は安息香酸カリウムが挙げられる。なかでも、生成粒子の平均粒子径が最適な範囲となり、ポリエステルの重合反応時の副生成物を抑制できることから、酢酸リチウムが好ましい。
アルカリ土類金属化合物とは、特に、カルボン酸のアルカリ土類金属塩であり、その具体例として、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、シュウ酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸カルシウム、又は酢酸マンガンが挙げられる。特にカルボン酸のマグネシウム塩を用いた場合は、ポリエステル樹脂中に形成される生成粒子の粒子径が過大となることがなく、濃染性及びポリエステル繊維の製糸工程の安定性が良好となるため好ましい。なかでも、濃染性及び取扱性に優れるために、酢酸マグネシウムが特に好ましい。
リン化合物と金属化合物との好ましい組み合わせは、生成粒子の平均粒子径を上記範囲に制御し、濃染性に顕著に優れるポリエステル繊維(濃染性ポリエステル繊維)を得る観点から、リン酸エステルと酢酸の金属塩との組み合わせが好ましく、より好ましくはトリエチルホスフェート(リン酸トリエチル)と酢酸マグネシウムとの組み合わせであり、さらに、これらに加えて酢酸リチウムを併用することが最も好ましい。なお、金属化合物として酢酸リチウムを単独で用いた場合は、生成粒子が粗大になる傾向がある。すなわち、本発明においては、生成粒子の平均粒子径を上記範囲に制御し、濃染性を顕著に向上させるという相乗効果を奏するために、リン化合物としてトリエチルホスフェート(リン酸トリエチル)と、金属化合物として酢酸マグネシウム及び酢酸リチウムとの併用が最適である。
潜在濃染性糸条Aにおいて、繊維表面にて、上記のような平均粒子径の生成粒子がアルカリ減量されて脱落することにより、単繊維表面に微細孔(凹凸形状)が形成される。
潜在濃染性糸条Aの単繊維繊度は、3〜5dtexであることが好ましく、3.3〜4.5dtexであることがより好ましい。5dtex以下であると、風合いが過度に硬くならず梳毛調風合いにいっそう優れる。3dtex以上であるとソフト風合いが過度に強調されずヌメリ感にいっそう優れる。
潜在濃染性糸条Aの伸度は、配向状態が良好となることで微細孔の個数、サイズを適切な範囲とし、濃染性、梳毛調風合い及びヌメリ感を良好にする観点から、100〜400%が好ましく、150〜350%であることがより好ましく、150〜200%であることがより好ましい。潜在濃染性ポリエステルポリエステル糸条Aの熱水収縮率は、濃染性に優れる芯鞘型濃染性混繊交絡糸を形成する観点から、5〜20%であり、8〜15%であることが好ましい。
潜在濃染性糸条Aの供給糸となる未延伸糸は、複屈折率(Δn)が20×10−3〜80×10−3のものを使用するのが好ましい。複屈折率(Δn)が20×10−3未満では、物性の経時変化が著しくて織編物にすると品質にバラツキが生じたり、収縮熱処理時に融断したり場合があるので好ましくない。また,80×10−3を超えると,配向結晶化が進み過ぎて、微細孔のサイズ、個数、面積比率を適切な範囲とすることが困難な場合があり、本発明の目的とする濃染性の加工糸が得られない場合がある。
次ぎに、延伸糸条Bについて以下に述べる。延伸糸条Bの単繊維繊度は、潜在濃染性糸条Aの単繊維繊度よりも小さい(細い)ことが必要である。こうした構成により、後述のアルカリ減量処理または染色処理のような熱処理を施すと、延伸糸条Bが濃染性混繊交絡糸の主に芯糸を形成し、潜在濃染性糸条Aが主に鞘糸として配されることとなり、濃染性により優れ、糸条間の色差が抑制されるとともに、しなやかさ、梳毛調及びヌメリ感をより強調させるという効果が奏される。
延伸糸条Bの単繊維繊度は、潜在濃染性糸条Aの単繊維繊度よりも0.5dtex以上細いことが好ましく、0.7dtex以上細いことがより好ましい。延伸糸条Bの単繊維繊度は、具体的には、1.5〜3.5dtexであることが好ましく、1.7〜3dtexであることがより好ましい。3.5dtex以下であると、ペーパーライクなごわつき感を抑制することができる。一方、1.5dtex以上であると張腰のある風合いとなり梳毛調風合いにより優れるものとなる。
延伸糸条Bの熱水収縮率は、潜在濃染性糸条Aの熱水収縮率よりも、10%以上大きいことが好ましい。こうした構成とすることで、後述のアルカリ減量処理または染色処理のような熱処理を受けると、潜在濃染性糸条Aが表面に浮き出て主に鞘糸として配され、濃染性を向上させるとともに、糸条のふくらみを増幅させて梳毛調およびヌメリ感を強調することができる。具体的には、延伸糸条Bの熱水収縮率が10〜30%程度であることがより好ましい。なお、熱水収縮率の測定方法については、実施例において後述する。
延伸糸条Bを形成するポリマーとしては、ポリエステルが好ましい。ポリエステルとしては,ポリエチレンテレフタレート(PET)又はPETを主成分とする共重合ポリエステルが特に好ましい。
延伸糸条Bの強伸度特性については、例えば、繊度又は熱水収縮率などを勘案し選択することができ、例えば、強度が4〜6cN/dtexであり、伸度が25〜45%であることが好ましい。
本発明の潜在濃染性混繊交絡糸に対し、JIS L1013 8.5.1に基づく初期荷重をかけたときに得られる引張強伸度曲線において、潜在濃染性糸条Aは、延伸糸条Bが切断した後さらに60〜300%の割合で伸長した後に、切断するものである。これは、潜在濃染性糸条Aが低配向性の糸条であり内部構造の非晶領域がルーズとなって濃染性が向上することの指標となり、さらに、捲縮特性を有さないフラットヤーンであるために潜在濃染性糸条Aの表面の微細孔と相俟って、優れたヌメリ感が発現することの指標となる。潜在濃染性糸条Aに関し、延伸糸条Bの切断後の伸長率が60%未満では、高配向糸条となり非晶領域が安定なものとなってしまい、濃染性に劣る。一方、300%を超えると、梳毛調風合い及びヌメリ感が不足し、さらに織編物にした場合にピリング又はスナッグのような物性面のトラブルが発生する。本発明では、潜在濃染性糸条Aは、延伸糸条Bが切断した後さらに60〜300%の割合で伸長した後に、切断することが好ましく、100〜250%の割合で伸長した後に、切断することがより好ましい。
潜在濃染性糸条Aは伸びやすい性質があるため、糸条Aを単独で使用すれば後工程で受ける張力により過度に伸ばされしまい、糸条の配向が進み過ぎて濃染効果が半減するばかりか、ヌメリ感及び梳毛調風合いに乏しいものとなる。そのため本発明においては、糸条Aとともに、延伸糸条Bを併用する。延伸糸条Bにより、潜在濃染性糸条Aが高伸度であることに起因する、過度な伸びによって濃染性が低下したり、ヌメリ感及び梳毛調風合いが不足したりすることを抑制することが可能となる。
本発明の潜在濃染性混繊交絡糸において、交絡数が40〜100個/mであり、及び/又はトルクが0〜10T/Mである。交絡数は50〜80個/mであることがより好ましい。100個/m以下であると糸条形態が強固とならず、延伸糸条Bの収縮特性が維持され、風合いが良好な濃染性混繊交絡糸となる。40個/m以上であると、交絡性が不安定とならずフィラメント間の集束度合が良好でバラケ難くなるために、後工程での糸切れが抑制され梳毛調風合いにより優れる芯鞘型濃染混繊交絡糸を得ることができる。交絡数をこの範囲とするには、インターレースなどの手法を用いて潜在濃染性糸条Aと延伸糸条Bとを混繊交絡させる際に、オーバーフィード率又はエア圧力を適切な範囲に調節することができる。
本発明の潜在濃染性混繊交絡糸において、トルク数は好ましくは10T/M以下であり、より好ましくは5T/M以下であり、更に好ましくは3T/M以下である。トルク数がこの範囲であると、ドレープ性風合いが強くならず、良好な梳毛調風合いを発現させることができる。なお、本発明においてトルク数をこの範囲とするには、潜在濃染性糸条Aおよび延伸糸条Bとして、何れも仮撚加工がなされていない、非捲縮のものを用いることができる。
(芯鞘型濃染性混繊交絡糸)
本発明の芯鞘型濃染性混繊交絡糸は、上記のような潜在濃染性混繊交絡糸をアルカリ減量処理のような熱処理を施すことで得られるものである。本発明の芯鞘型濃染性混繊交絡糸は、図3に示すように、鞘糸としての濃染性ポリエステルフィラメント糸条a(以下、濃染性糸条a)と、芯糸としての熱収縮糸条bとが混繊交絡されてなるものである。
濃染性糸条aと熱収縮糸条bとの質量は、(濃染性糸条a)/(熱収縮糸条b)=60/40〜85/15であり、65/35〜80/20であることが好ましい。両者の質量比がこの範囲であると、濃染性にいっそう優れ、より良好なヌメリ感を有する梳毛調風合いを表現することが出来る。また、濃染性糸条aと熱収縮糸条bとの染着差による染色ムラの発生を抑制することができる。
濃染性糸条aについて以下に述べる。濃染性糸条aは、各々の単繊維表面に繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔を有する。この微細孔は、入射光の多重散乱を促進させて濃染性を高めるために、可視光の波長(380〜780nm)に適切に対応するようなサイズに相当し、繊維方向の大きさが0.3〜0.9μmであることが好ましい。これにより、可視光が良好に多重散乱するために濃染性に優れるものとなる。微細孔の形状は、略円形状であることが好ましい。なお、微細孔の繊維方向の大きさは、微細孔の輪郭を決定した上で、輪郭の繊維方向に平行な長さを測定した値である。
入射光の多重散乱を促進するために、微細孔は単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域に、10個以上の個数で存在するものであり、30個以上の個数で存在することがより好ましく、50〜250個の個数で存在することがより好ましく、150〜240個であることがさらに好ましい。同時に、入射光の多重散乱を促進するために、微細孔は単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域に、面積比率で10〜50%の割合で存在するものであり、20〜40%の割合で存在することがより好ましい。上記範囲の個数及び面積比率であると微細孔が高密度で均一に存在することの指標となり、入射光の多重散乱を促進することができる。
入射光の多重散乱を促進するために、微細孔の深さが100〜400nmであることが好ましく、150〜350nmであることがより好ましく、200〜300nmであることが特に好ましい。微細孔の深さが100nm以上であると多重散乱をいっそう促進することができる。また、微細孔の深さが400nm以下であると、微細孔生成に必要な生成粒子径が粗大になり過ぎず、単繊維表面に微細孔を高密度に存在させることができる。なお、微細孔の深さは、単繊維表面からの距離が最も大きい個所において測定された値である。
上述したように、濃染性糸条aにおける微細孔の個数、面積比率及び深さを、同時に特定の範囲とすることにより、入射光を多重散乱させて反射光を低減させ、優れた濃染性を発現することができる。微細孔の個数、面積比率および深さを上記範囲とするために、例えば、潜在濃染性糸条Aの伸度を適切な範囲としたり、リン化合物と金属化合物との組み合わせ及び添加量を好ましいものとしたり、潜在濃染性糸条Aの供給糸の複屈折率を好ましい範囲としたりすることができる。または、後述の工程(ロ)における熱処理条件を好ましい範囲に調節することもできる。
微細孔と濃染性との関係性について以下に述べる。通常、ポリエステル繊維表面に光が入射すると、この入射光が反射することでギラツキが発生し、深みのある色合い又は十分な濃染性を発現することが困難となる。しかし、特定サイズ及び深さの微細孔が高密度で存在させると、単繊維表面に入射光が反射する際に散乱と再散乱とを繰り返した後、反射光が繊維表面に再度入射することで繊維中に吸収される光を増加させることができる。すなわち、入射光を繊維表面へ多重散乱させて反射光を低減し、優れた濃染性と深みある色合いとを発揮することができる。
また、本発明の芯鞘型濃染性混繊交絡糸は、濃染性に優れるために、筒編地とした後に黒色染色加工を施したときのL*値は14.0以下であることが好ましく、13.5以下であることがより好ましく、13以下であることがさらに好ましい。L*値の測定方法は、実施例において詳述する。L*値は,その値が小さいほど深みのある濃色であることを示す。
(濃染性ポリエステル繊維)
以上で説明したように、本発明の芯鞘型濃染性混繊交絡糸は、濃染性ポリエステル繊維である濃染性ポリエステルフィラメント糸条aを含むものである。
本発明の濃染性ポリエステル繊維は、単繊維表面に繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔を有する濃染性ポリエステル繊維であって、前記微細孔の個数は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10個以上であり、前記微細孔の面積比率は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10〜50%であり、かつ前記微細孔の深さが100〜400nmであることを特徴とする。
この濃染性ポリエステル繊維は、濃染性ポリエステルフィラメント糸条aとして以上で説明したものと、基本的に同じものである。
(潜在濃染性混繊交絡糸の製造方法)
本発明の潜在濃染性混繊交絡糸の製造方法の一例について、以下に述べる。本発明の濃染性混繊交絡糸の製造方法は、例えば、下記の工程(イ)〜(ハ)を含む。
(イ)リン化合物とアルカリ金属化合物とに由来するか、またはリン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来する生成粒子を含む潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条を準備する工程、
(ロ)前記潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条に対し、熱処理温度150〜300℃、収縮オーバーフィード率10〜30%で弛緩熱処理を施して、伸度が100〜300%、熱水収縮率が−5〜5%である潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aを得る工程、及び
(ハ)前記潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aと、熱水収縮率10〜30%である延伸糸条Bとを混繊交絡させて潜在濃染性混繊交絡糸を得る工程。
ここで、前記潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条の単繊維繊度が3〜5dtexであることが好ましく、前記延伸糸条Bの単繊維繊度が1.5〜3.5dtexであることが好ましい。こうした範囲であると、ヌメリ感のある梳毛調風合いを発現させることが可能となる。
工程(イ)について、以下に述べる。潜在濃染性糸条Aを得る為の材料繊維としての潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条Yの製法としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応させて、ポリエステルオリゴマーを生成する工程と、ポリエステルオリゴマーに、リン化合物とアルカリ土類金属化合物とを添加するか、又は、リン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とを添加し、次いで重縮合反応を行ってポリエステル樹脂組成物を得る工程と、ポリエステル樹脂組成物を紡糸する工程と、を含むことが好ましい。
未延伸糸条Yは特定サイズの生成粒子を含有する。この生成粒子は、上述のようにリン化合物とアルカリ土類金属化合物とに由来するか、又は、リン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来する。
ジカルボン酸としては、主にテレフタル酸を用いることができる。本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて他の成分が共重合されていてもよい。テレフタル酸以外の成分としては、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、又は1,4−シクロヘキシルジカルボン酸などが挙げられる。
ジオール成分としては、主にエチレングリコールを用いることができる。本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて他の成分が共重合されていてもよい。エチレングリコール以外の成分としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチレングリコール)、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジメチロールプロピオン酸、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、又はポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどが挙げられる。
ジカルボン酸(テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸)とジオール(エチレングリコールを主成分とするジオール)とをエステル化反応させて、ポリエステルオリゴマーを得る。ここで、ポリエステルオリゴマーとはジカルボン酸成分及びジオール成分が、それぞれテレフタル酸及びエチレングリコールの場合には、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含み、さらに、一分子内にエチレンテレフタレートの繰り返し単位を2以上含み、かつ、いまだポリエチレンテレフタレートと呼べるほど極限粘度・分子量・重合度が上がっておらず、末端がカルボキシル基又はヒドロキシエチル基である化合物を表す。そのようなポリエステルオリゴマーが生成するまで、例えば、250℃の温度で3〜8時間エステル化反応を行うことができる。エステル化反応の反応率を検知するために、生成する水の量を測定することができる。
ポリエステルオリゴマーにはトリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸モノカリウム塩などの多価カルボン酸、グリセリン、ペンタエリトリトール、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどの多価ヒドロキシ化合物を、本発明の目的を達成する範囲内で共重合してもよい。
上記のポリエステルオリゴマーに金属化合物とリン化合物とを添加し、次いで重縮合反応を行って、ポリエステル樹脂組成物を得る。ここで重縮合反応とともに、リン化合物と金属化合物との反応が起こり、ポリエステル樹脂に不溶である上述したような生成粒子が形成する。
リン化合物と金属化合物の添加順については、リン化合物を先としてもよいし、リン化合物を後にしてもよく、また、リン化合物と金属化合物とを混合して同時添加としてもよい。
金属化合物の添加量は、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対して10×10−4〜100×10−4モルであることが好ましく、より好ましくは30×10−4〜80×10−4モルである。含有量が10×10−4以上であると、濃染性を良好とするのに十分なサイズの生成粒子を形成することができ、かつ上記個数の微細孔を発現させることができる。100×10−4モル以下であると、粗大粒子の発生を抑制できるので、紡糸する際に溶融したポリエステル樹脂組成物をろ過するフィルターの目詰まりが発生せず、製糸工程の安定性を良好に保つことができる。
リン化合物の添加量は、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対して10×10−4〜100×10−4モルであることが好ましく、より好ましくは20×10−4〜90×10−4モルである。含有量が10×10−4モル以上であると、濃染性を良好とするのに十分なサイズの生成粒子を形成することができ、かつ濃染性を良好とするために必要な個数の微細孔を発現させることができる。100×10−4モル以下であると、粗大な生成粒子の発生を抑制できるので、紡糸する際に溶融したポリエステル樹脂組成物をろ過するフィルターの目詰まりが発生せず、製糸工程の安定性を良好に保つことができる。なお、金属化合物とリン化合物とのモル比は、製糸安定性及び潜在濃染性に優れるために、(金属化合物)/(リン化合物)=0.5〜1.5であることが好ましい。
次いで、重縮合触媒を、例えば、エチレングリコール溶液として添加し、重縮合反応を行って、ポリエステル樹脂組成物を得ることができる。重縮合反応系には、必要に応じて、共重合モノマー又は着色防止剤のような添加剤を、エチレングリコール溶液又は分散液として添加してもよい。この場合、エチレングリコールを留去(減圧下でエチレングリコールを除去)することによって重縮合反応を開始し、引き続き留去しながら反応を行った後、常法によってストランドを払い出し、チップ化することができる。ここで、生成粒子の生成は重縮合触媒が添加されてから開始される。そして、溶液が留去されるにつれて生成物の溶解度が低下し、この生成物が粒子として析出する。
ポリエステル樹脂組成物の極限粘度(固有粘度)は、0.5〜1.5dL/gであることが好ましい。極限粘度がこの範囲であると、樹脂組成物を紡糸して得られるポリエステル繊維の物性が低下せず、ポリエステル樹脂組成物又はポリエステル繊維が製造し易い。
次いで、公知の紡糸方法(例えば、溶融紡糸法)を採用して、得られたポリエステル樹脂組成物を紡糸しポリエステル繊維を得る。例えば、まず溶融紡糸工程として、紡糸口金から吐出孔よりマルチフィラメント糸を吐出する。このマルチフィラメント糸を、公知の方法で未延伸糸として巻き取る。
紡糸条件は特に限定されないが、例えば、紡糸温度が270〜300℃であり、引き取り速度が1000〜2000m/分で一旦巻き取ることができる。
なお、紡糸及び延伸の手法として、例えば、POY法(2000m/分以上の高速紡糸により、半未延伸糸として巻き取る方法)、HOY法(5000m/分以上の超高速紡糸により、高配向未延伸糸として巻き取る方法)が挙げられる。
工程(ロ)について以下に述べる。工程(ロ)において、図4にて示すように、潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条Yは、第1供給ローラ1と第1引取ローラ3との間に設けた熱処理ヒーター2に供給される。ここで弛緩熱処理が施されて高伸度かつ低熱収である潜在濃染性ポリエステルポリエステル糸条Aが得られる。
工程(ロ)において、所望の伸度と熱水収縮率の潜在濃染性ポリエステルポリエステル糸条Aを得る観点から、熱処理時の温度は150〜300℃であることが好ましく、収縮オーバーフィード率は10〜30%であることが好ましい。こうした工程(ロ)により、潜在濃染性ポリエステルポリエステル糸条Aを得ることができる。潜在濃染性ポリエステルポリエステル糸条Aの伸度と熱水収縮率は、前述の通りである。
また、本発明においては、熱延伸加工により延伸糸条Bとなる、伸度が100〜140%のポリエステル未延伸糸条Yを供給糸として用いてもよい。つまり、図5に示すように新たな熱延伸領域を設け、第2供給ローラ8と第3引取ローラ10との間に設けた熱処理ヒーター9に未延伸糸条Yを供給する。ここで熱延伸加工を施すことにより、熱収縮率が15〜30%である延伸糸条Bとした後に、混繊交絡処理を施してもよい。
延伸糸条Bを得るための熱延伸加工の条件としては、上記の熱収縮率と伸度を得る観点から、温度220〜300℃、延伸倍率1.4〜1.7倍が好ましい。
工程(ハ)について以下に述べる。図4および図5に示すように、潜在濃染性ポリエステルポリエステル糸条Aと延伸糸条Bとを引き揃え、第1引取ローラ3により流体処理加工域に導き、第2引取ローラ5との間で流体ノズル4によって流体処理が施され、混繊交絡糸とすることができる。この混繊交絡糸は第2引取ローラ5を経て、巻き取りローラ6によりパッケージ7に捲き取られる。なお、流体ノズルとしては、例えば、交絡を付与するインターレース系ノズル、又は、交絡若しくはループ毛羽を形成するタスラン系ノズルが用いられる。
混繊交絡糸を得るための混繊交絡条件としては、最終的に所望の構造の芯鞘型濃染性混繊交絡糸を得る観点から、オーバーフィード率1〜5%、インターレース系ノズルのエアー圧力0.2〜0.7MPaが好ましい。
(芯鞘型濃染性混繊交絡糸の製造方法)
本発明の芯鞘型濃染性混繊交絡糸を製造する方法の一例を以下に述べる。
上記の方法により製造された本発明の潜在濃染性混繊交絡糸に対し、アルカリ減量を施すことにより潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aの表面の生成粒子を脱落させて微細孔を形成し濃染性ポリエステルフィラメント糸条aとするとともに、延伸糸条Bを熱収縮させて熱収縮糸条bとする。アルカリ減量加工は、芯鞘型濃染性混繊交絡糸に対して行ってもよいし、芯鞘型濃染性混繊交絡糸から織編物を得た後、この織編物に対しておこなってもよい。
アルカリ減量の条件としては、苛性ソーダ等の水溶液(例えば、濃度40g/L)を沸騰させて用い、20〜40分かけて行うことができる。
詳しくは、上記のような平均粒子径の生成粒子がアルカリ減量されて脱落することにより、単繊維表面に繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔(凹凸形状)が形成された濃染性ポリエステルフィラメント糸条aとすることができる。また、加熱を伴うアルカリ減量により、延伸糸条Bを熱収縮させて熱収縮糸条bとする。このアルカリ減量により、図3に示すように、熱収縮糸条bが芯側に、濃染性ポリエステルフィラメント糸条aが鞘側に配された芯鞘型濃染性混繊交絡糸とすることができる。
(織編物)
本発明の織編物は、上記のような本発明の濃染性混繊交絡糸を用いてなるものである。本発明の織編物の組織は特に限定されるものではなく。織物の場合、例えば、平組織、綾組織、朱子組織、ドビーやジャガードによる変化組織等が挙げられる。また、編物の場合、例えば、よこ編、トリコット編、ラッシェル編等が挙げられる。
本発明の織編物には、仕上げ加工工程において、柔軟剤、制電剤、又は撥水剤等を用いた各種の加工が施されてもよい。
本発明の濃染性混繊交絡糸は、衣料分野(特に、ブラックフォーマル)において、梳毛調風合い、ヌメリ感、及び濃染性の何れもが要望される繊維製品に好適に用いられる。
以下、実施例等に従って本発明を具体的に説明する。本発明はこの実施例に限定されない。本発明の実施例等における測定方法、又は評価方法は、以下の通りである。
(1)伸度および延伸糸条Bの切断後における潜在濃染性糸条Aの伸度(伸長率)
JIS L1013 8.5.1に基づく初期荷重をかけたときに得られる引張強伸度曲線において算出した。
(2)微細孔の個数
下記(10)L*の測定方法にて記載したように、筒編地として染色した後に、染色後の筒編地から、濃染性ポリエステル繊維の単繊維をランダムに10本採取した。この単繊維の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率10000倍で撮影した。撮影写真においてランダムに経5μm×横5μmの検査領域を設定し、この領域内に存在する微細孔の輪郭を決定した上で、繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔の数をカウントした。
(3)微細孔の面積比率
上記(2)にて撮影された写真においてランダムに経5μm×横5μmの検査領域を設定し、この領域内における微細孔の輪郭を決定した上で、繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔の面積を測定し、領域内の総面積に対する微細孔の面積比率を算出した。
(4)微細孔の深さ
下記(10)L*の測定方法にて記載したように、筒編地として染色した後に、染色後の筒編地から濃染性ポリエステル繊維の単繊維を1本採取し、長手方向に対して垂直に切断した。この切断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率10000倍で撮影した。この撮影写真において、繊維表面に存在する繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔をランダムに30個選定して微細孔の深さを測定し、平均値を求めた。なお、微細孔の深さは、単繊維表面からの距離が最も大きい個所において測定した。
(5)交絡数
潜在濃染性混繊交絡糸を用いて、JIS L1013 8.15フック法に基づいて測定した交絡度を交絡数とした。
(6)トルク数
潜在濃染性混繊交絡糸を用いて、試料が旋回しないように0.0294(cN/dtex)の荷重をかけ、試料長200cmを採取した。次に、採取した試料の両端間の距離を2cmにしてほぼ平行に把持し、中心部(100cmの所)に0.00294(cN/dtex)の荷重をかけてV字型とし、V字型下部をテンションフリーの状態とした。このとき、試料の残留トルクによる旋回が発生し、その旋回が静止するまで放置した。旋回が静止した後、その旋回数を検撚機にて測定し、この測定により得られた値をトルク数とした。
(7)繊度
各工程における糸条について、JIS L1013 8.3.1のB法(簡便法)基づいて測定した。
(8)熱水収縮率
糸条A及び糸条Bについて、JIS L1013 8.18.1の綛収縮率A法に基づいて測定した。
(9)筒編地の官能評価
(9−1)ヌメリ感
下記(10)L*の測定方法にて記載したように、筒編地として染色した後に、染色後の筒編地を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
(9−2)両糸条の染着差による染色ムラ
下記(10)L*の測定方法にて記載したように、筒編地として染色した後に、染色後の筒編地を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
(9−3)梳毛調風合い
下記(10)L*の測定方法にて記載したように、筒編地として染色した後に、染色後の筒編地に対し触感により、下記の基準で評価した。
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
(10)L*値
芯鞘型濃染性混繊交絡糸を24ゲージ編機(英光産業製−260N、釜径:3.5インチ)を用いて筒編地に編成し、次いで、下記の処方で精練した後に、アルカリ減量処理、次いで染色を行った。
(精練)
精練剤:サンモールFL(日華化学社製)2g/リットル
温度×時間:80℃×20分
(アルカリ減量)
苛性ソーダ:40g/リットル
温度×時間:98℃×30分
(染色)
染料:ダイアニックスブラックHG−FS 15%omf(Dystar社製)
助剤:ニッカサンソルトSN−130 0.5g/リットル(日華化学社製)
酢酸0.2cc/リットル
浴比:1:50
温度×時間:135℃×30分
染色後、下記の処方で洗浄した。
(洗浄)
還元洗浄剤:ビスノールNA−155 5g/リットル(ライオンスペシャリティケズ社製)
温度×時間:80℃×20分
洗浄後の筒編地に対して分光光度計(X−Rite社製「Color−Eye 3100」)を用いて反射率を測定し,CIE Labの色差式から濃度指標を求め、その値をL*値とした。
実施例1
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(モル比がTPA:EG=1:1.6)を連続的に供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のポリエステル低重合体を連続的に得た。このポリエステル低重合体を重縮合反応缶に投入し、容器内を窒素で置換した。
次いで、重縮合触媒として三酸化アンチモンを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対して2.0×10−4モル、リン化合物としてリン酸トリエチルを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対して41.1×10−4モル、酢酸マグネシウムをポリエステルを構成する酸成分1モルに対して25×10−4モル、及び、酢酸リチウムをポリエステルを構成する酸成分1モルに対して12.5×10−4モルとなるようとなるよう添加した。圧力を徐々に減じて1時間後に1.2hPa以下とした。この条件で攪拌しながら重縮合反応を4時間行った後、常法により払い出してペレット化し、極限粘度が0.69dL/gのポリエステル樹脂組成物Aを得た。
次いで、前記ポリエステル樹脂組成物Aを常用の溶融紡糸機に投入し、24個の紡糸孔が穿設されている口金から紡出させ、紡出した糸条を空気流により冷却し、オイリング装置(油剤供給装置)を通過させて油剤を付与した。この糸条を紡糸速度3250m/分にて引取り、丸断面形状を有し、かつ後工程のアルカリ減量処理により単繊維表面に微細孔を呈し得る潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条Y(伸度130%、100dtex24フィラメント)を得た。
また、延伸糸条Bとしてポリエステル延伸糸(伸度28%、熱水収縮率23%、33dtex12フィラメント)を用意した。この延伸糸条Bは、イソフタル酸成分を4モル%およびビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体4.5モル%を共重合したPET系共重合ポリエステルを紡糸した後、76℃の熱ローラを介して2.98倍に延伸し、さらに116℃のヒートプレートで熱処理を行って得られたものである。これら2本の糸条(Y及びB)を用い、図4に示す工程に従って表1の加工条件で、155dtex36フィラメントの潜在濃染性混繊交絡糸を製造した。得られた混繊交絡糸を用い、上記(10)L*値の測定方法に従って、筒編地を編成した後に加熱を伴うアルカリ減量を施して、本発明の芯鞘型濃染性混繊交絡糸からなる筒編地を作製した。この筒編地に染色加工を施しブラック染色編地とした。
実施例2
実施例1において、延伸糸条B用の供給糸として、ポリエステル未延伸糸Y(伸度117%、56dtex18フィラメント)を用いた。そして図5に示す工程に従って、表1に示す条件にて、混繊交絡糸(158dtex42フィラメント)を製造した。得られた潜在濃染性混繊交絡糸を上述した内容で筒編地を編成した後、加熱を伴うアルカリ減量を施して、本発明の芯鞘型濃染性混繊交絡糸からなる筒編地を作製した。
実施例1〜2で得られた本発明の芯鞘濃染性混繊交絡糸は、鞘側の濃染性ポリエステルフィラメント糸条aの単繊維表面における微細孔と、芯側の熱収縮糸条bとの相乗効果によって、ヌメリ感、濃染性、梳毛調風合いの何れにも優れた編地とすることができた。
比較例1
延伸糸条Bに代えて、撚係数が30000であるポリエステルマルチフィラメント仮撚糸(85dtex/36フィラメント)を用いることで、潜在濃染性混繊交絡糸のトルク数を40と高くした以外は、実施例1と同様の操作により、実施例3の芯鞘型濃染性混繊交絡糸を含む編地を得た。この編地は梳毛調風合い、ヌメリ感に劣るものであった。
比較例2
実施例1において、延伸糸条Bの供給糸として熱水収縮率が6%であるポリエステル延伸糸を用いた以外は実施例1と同様の操作により、比較例2の混繊交絡糸を含む編地を得た。この編地においては、鯖杢調のイラツキが見られるとともに、ヌメリ感が不足しており、さらに梳毛調風合いにも乏しいものであった。
比較例3
延伸糸条Bの供給糸の単繊維繊度を5.5dtexとした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の混繊交絡糸を含む編地を得た。この混繊交絡糸は芯糸を形成する糸条Bの単繊維繊度が太過ぎたため、編地とされた場合にヌメリ感を表現出来ず、ペーパーライクな風合いとなり梳毛調風合いを表現することができなかった。
比較例4
未延伸糸条Yに代えて、予め半延伸処理を施すという手法により伸度を70%と低くしたものを用いた以外は、実施例1と同様の操作により、比較例4の混繊交絡糸を含む編地を得た。比較例4の混繊交絡糸においては、潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aに関し、熱収縮糸条b切断後の伸度が55%と低いものであったために、濃染性が十分ではなく、梳毛調風合い及びヌメリ感が不足していた。
比較例5
未延伸糸条Yの収縮熱処理時において、収縮オーバーフィード率及び処理温度を高く設定することで濃染性ポリエステルフィラメント糸条aの質量比を多くした以外は、実施例1と同様の操作により、比較例5の混繊交絡糸を含む編地を得た。この混繊交絡糸は総繊度が太過ぎたために交絡が粗くなり、濃染性ポリエステルフィラメント糸条aの質量が多過ぎたために、がさついた風合いとなり梳毛調風合い、及びヌメリ感が不足していた。
比較例6
未延伸糸条Yの代わりに、生成粒子を含有しない通常のポリエステルマルチフィラメント未延伸糸を供給糸として用いた以外は、実施例1と同様の操作により、比較例6の混繊交絡糸を含む編地を得た。この編地は、濃染効果に欠けるとともに、微細孔からなる適度なヌメリ感風合いが表現出来ず、目的とする梳毛調風合いには乏しいものであった。
比較例7
未延伸糸条Yの代わりに、シリカ微粒子(粒径0.16μm)を含有する通常のポリエステルマルチフィラメント未延伸糸(シリカ含有率1.5質量%)を供給糸として用いた以外は、実施例1と同様の操作により、比較例7の混繊交絡糸を含む編地を得た。この編地は、濃染効果に劣るものであった。
比較例8
延伸糸条Bの繊度および本数を変更することで、熱収縮糸条bの質量比を多くした以外は、実施例1と同様の操作により、比較例8の混繊交絡糸を含む編地を得た。この混繊交絡糸は濃染性に劣り、染色ムラが発生し、ヌメリ感および梳毛調風合いにも乏しいものであった。
比較例9
実施例1において、紡糸孔の径と数とを変えることで製造した、ポリエステルマルチフィラメント未延伸糸(伸度130%、70dtex144フィラメント、単繊維繊度0.48dtex)を供給糸として用いた以外は、実施例1と同様の操作により、比較例9の混繊交絡糸を含む編地を得た。この編地は、濃染効果が低下するともに、適度なヌメリ感風合いが表現出来ず、梳毛調風合いに劣るものであった。
潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条
A 潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条
a 濃染性ポリエステルフィラメント糸条
ポリエステル未延伸糸
B 延伸糸条
b 熱収縮糸条
1 第1供給ローラ
2 第1熱処理ヒーター
3 第1引取ローラ
4 流体ノズル
5 第2引取ローラ
6 巻取ローラ
7 パッケージ
8 第2供給ローラ
9 第2熱処理ヒーター
10 第3引取ローラ

Claims (7)

  1. 潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aと延伸糸条Bとが混繊交絡されてなり、交絡数が40〜100個/mであり、かつ0〜10T/Mのトルクを有する潜在濃染性混繊交絡糸であって、
    前記潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aは、リン化合物とアルカリ金属化合物とに由来するか、またはリン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来する生成粒子を含み、
    前記潜在濃染性混繊交絡糸に対してJIS L1013 8.5.1に基づく初期荷重をかけたときに得られる引張強伸度曲線において、前記潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aは、前記延伸糸条Bが切断した後さらに60〜300%の割合で伸長した後に切断するものであり、
    前記延伸糸条Bの単繊維繊度は、前記潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aの単繊維繊度よりも小さいことを特徴とする、潜在濃染性混繊交絡糸。
  2. 鞘糸としての濃染性ポリエステルフィラメント糸条aと、芯糸としての熱収縮糸条bとからなる芯鞘型濃染性混繊交絡糸であって、
    前記濃染性ポリエステルフィラメント糸条aと前記熱収縮糸条bとの質量比が、(糸条a)/(糸条b)=60/40〜85/15であり、
    前記濃染性ポリエステルフィラメント糸条aは、単繊維表面に繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔を有するものであり、
    前記微細孔の個数は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10個以上であり、前記微細孔の面積比率は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10〜50%であり、かつ前記微細孔の深さが100〜400nmであることを特徴とする、芯鞘型濃染性混繊交絡糸。
  3. 筒編地として黒色染色加工を施したときのL*値が14以下であることを特徴とする、請求項2に記載の芯鞘型濃染性混繊交絡糸。
  4. 請求項2または3に記載の芯鞘型濃染性混繊交絡糸を含むことを特徴とする、織編物。
  5. 請求項1に記載の潜在濃染性混繊交絡糸を製造する方法であって、下記の工程(イ)〜(ハ)を含むことを特徴とする潜在濃染性混繊交絡糸の製造方法。
    (イ)リン化合物とアルカリ金属化合物とに由来するか、またはリン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来する生成粒子を含む潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条を準備する工程、
    (ロ)前記潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条に対し、熱処理温度150〜300℃、収縮オーバーフィード率10〜30%で弛緩熱処理を施して、伸度が100〜300%、熱水収縮率が5〜20%である潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aを得る工程、及び
    (ハ)前記潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aと、熱水収縮率10〜30%である延伸糸条Bとを混繊交絡させて潜在濃染性混繊交絡糸を得る工程。
    なお、前記潜在濃染性ポリエステル未延伸糸条の単繊維繊度が3〜5dtexであり、前記延伸糸条Bの単繊維繊度が1.5〜3.5dtexである。
  6. 請求項2または3に記載の芯鞘型濃染性混繊交絡糸を製造する方法であって、
    請求項5に記載の製造方法で製造された前記潜在濃染性混繊交絡糸に対し、アルカリ減量を施すことにより潜在濃染性ポリエステルフィラメント糸条Aの表面の生成粒子を脱落させて繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔を形成して濃染性ポリエステルフィラメント糸条aとするとともに、延伸糸条Bを熱収縮させて熱収縮糸条bとすることを特徴とする、芯鞘型濃染性混繊交絡糸の製造方法。
  7. 単繊維表面に繊維方向の大きさが0.9μm以下の微細孔を有する濃染性ポリエステル繊維であって、
    前記微細孔の個数は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10個以上であり、前記微細孔の面積比率は前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に10〜50%であり、かつ前記微細孔の深さが100〜400nmであることを特徴とする、濃染性ポリエステル繊維。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110295427A (zh) * 2019-07-02 2019-10-01 江苏工程职业技术学院 一种浅咖云斑效果的智能调温色纺纱的生产方法

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