JP7227591B2 - 潜在濃染性ポリエステル繊維、濃染性ポリエステル繊維、及び濃染性ポリエステル繊維の製造方法、並びに織編物 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の(1)~(6)を要旨とする。
(2)前記生成粒子の平均粒子径は、0.05~0.5μmである、(1)の潜在濃染性ポリエステル繊維。
前記突起部と前記細溝の断面形状は長方形又は略台形状であり、前記突起部および前記細溝はそれぞれ繊維軸方向に連続しており、
前記突起部の数又は寸法が、下記(I)~(III)を満足する、(5)の濃染性ポリエステル繊維。
10<N<32 (I)
0.3≦W≦2.0 (II)
0.5W≦H≦3.0W (III)
ただしNは突起部の個数、Wは突起部の幅(μm)、Hは突起部の高さ(μm)である。
[潜在濃染性ポリエステル繊維]
本発明の潜在濃染性ポリエステル繊維は、ポリエステル樹脂と生成粒子とを含むポリエステル樹脂組成物からなる。ポリエステル樹脂はジエチレングリコール成分を6.0~10.0モル%含む。
生成粒子は、リン化合物とアルカリ土類金属化合物とに由来するものであるか、又は、リン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来するものである。
本発明の潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維は、ポリエステル樹脂組成物が芯部に配され、易溶性ポリエステル樹脂が鞘部に配されてなるものである。ポリエステル樹脂組成物はポリエステル樹脂と生成粒子とを含む。前記ポリエステル樹脂はジエチレングリコール成分を6.0~10.0モル%含む。前記生成粒子はリン化合物とアルカリ土類金属化合物とに由来するものであるか、又は、リン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来するものである。
本発明の濃染性ポリエステル繊維は、単繊維の表面において微細孔を有し、ジエチレングリコール成分を6.0~10.0モル%含むポリエステル樹脂からなる濃染性ポリエステル繊維である。前記微細孔は、個数が前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に15個以上であり、長軸の長さが0.9μm以下、かつ短軸の長さが0.6μm以下であり、かつ深さが250~800nmが好ましい。
10<N<32 (I)
0.3≦W≦2.0 (II)
0.5W≦H≦3.0W (III)
ただしNは突起部の個数、Wは突起部の幅(μm)、Hは突起部の高さ(μm)である。
図4にて示すように、濃染性ポリエステル繊維Aは、突起部Bと溝Cとを有している。
アルカリ溶出処理後の突起部Bの数(N)は、繊維の周上に10~32個であることが好ましく、14~30個存在することがより好ましく、16~25個存在することがさらに好ましい。10個以上であると多重散乱を発生させる細溝が十分に存在することとなり、濃染効果に優れる。32個以下であると、フィブリル化し難くなり、濃染効果に優れる。
(第一の製造方法)
本発明の第一の製造方法は、ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応させて、ポリエステルオリゴマーを生成する工程(工程(I))と、前記ポリエステルオリゴマーに、リン化合物とアルカリ土類金属化合物とを添加するか、又は、リン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とを添加するとともに、かつジエチレングリコールを添加し、次いで重縮合反応を行ってポリエステル樹脂組成物を得る工程(工程(II))と、前記ポリエステル樹脂組成物を紡糸し潜在濃染性ポリエステル繊維を得る工程(工程(III))と、前記潜在濃染性ポリエステル繊維をアルカリ減量処理に付する工程(工程(IV))と、を含む。上述したように本明細書においては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物を金属化合物と称する場合がある。
ジカルボン酸成分としては、主にテレフタル酸を用いることができる。本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて他の成分が共重合されていてもよい。テレフタル酸以外の成分としては、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、p-ヒドロキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、又は1,4-シクロヘキシルジカルボン酸などが挙げられる。
上記のポリエステルオリゴマーにジエチレングリコール及び金属化合物とリン化合物とを添加し、次いで重縮合反応を行って、ポリエステル樹脂組成物を得る。工程(II)においては、重縮合反応とともに、リン化合物と金属化合物との反応が起こり、ポリエステル樹脂に不溶である上述したような生成粒子が形成する。
公知の紡糸方法(例えば、溶融紡糸法)を採用し、好ましい紡糸ノズルを選定し、工程(II)で得られたポリエステル樹脂組成物を紡糸(例えば、溶融紡糸)することで、マルチフィラメント糸としての潜在濃染性ポリエステル繊維を得る。これを公知の方法で未延伸糸として巻き取った後に延伸を行ってもよいし、吐出後一旦巻き取ることなく延伸した後、巻き取ってもよい。また、3000~9000m/分の速度で巻き取った上で、別途延伸せずにそのままの状態で糸加工、又は製織編に使用してもよいし、延伸後に糸加工、または製織編に使用してもよい。
工程(III)で得られたポリエステル繊維の表面に塩基性化合物を接触させてアルカリ減量処理を施し、単繊維表面に存在する生成粒子を脱落させて、微細孔を形成する。また、ジエチレングリコールを添加することで、微細孔の深さが増し、微細孔が粗くえぐれたようなものとなり、これにより、本発明の濃染性ポリエステル繊維が得られる。アルカリ減量処理により、好ましくは単繊維表面において適切なサイズ及び深さを有する微細孔を高密度で形成させることができ、この生成粒子とジエチレングリコールとにより、優れた濃染性および梳毛調風合いが発現するという相乗効果が奏される。この塩基性化合物との接触は、例えば塩基性化合物の水溶液で処理することにより行うことができる。塩基性化合物との接触は、ポリエステル繊維を必要に応じて延伸加熱処理又は仮撚加工などの処理に供した後で行ってもよいし、ポリエステル繊維を布帛とした後に行ってもよい。
本発明の第二の製造方法はジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応させて、ポリエステルオリゴマーを生成する工程(工程(I´))と、
前記ポリエステルオリゴマーに、リン化合物とアルカリ土類金属化合物とを添加するか、又は、リン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とを添加するとともに、かつジエチレングリコールを添加し、次いで重縮合反応を行ってポリエステル樹脂組成物を得る工程(工程(II´))と、
前記ポリエステル樹脂組成物を芯部に配し、易溶性ポリエステル樹脂を鞘部に配するように複合紡糸し、繊維長手方向に垂直な断面における芯部の形状が突起部及び溝を有し、かつ突起部の個数が10~32個である異形断面形状である潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維を得る工程(工程(III´))と、
前記潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維をアルカリ減量処理に付する工程(工程(IV´))と、を含む。
ジカルボン酸としては、主にテレフタル酸を用いることができる。本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて他の成分が共重合されていてもよい。テレフタル酸以外の成分としては、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、p-ヒドロキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、又は1,4-シクロヘキシルジカルボン酸などが挙げられる。
上記のポリエステルオリゴマーに金属化合物とリン化合物とを添加するとともに、ジエチレングリコールを添加し、次いで重縮合反応を行って、ポリエステル樹脂組成物を得る。工程(II´)においては、重縮合反応とともに、リン化合物と金属化合物との反応が起こり、ポリエステル樹脂に不溶である上述したような生成粒子が形成する。
公知の紡糸方法(例えば、溶融紡糸法)を採用し、好ましい紡糸ノズルを選定し、工程(II)で得られたポリエステル樹脂組成物が芯部に配されるとともに、易溶性ポリエステル樹脂が鞘部に配されるように、複合紡糸(例えば、溶融紡糸)することで、マルチフィラメント糸としての潜在濃染性芯鞘複合型ポリエステル繊維を得る。なお、複合紡糸は、芯部が10~32個の突起部および溝を有する異型断面形状となるように行う。これを公知の方法で未延伸糸として巻き取った後に延伸を行ってもよいし、吐出後一旦巻き取ることなく延伸した後、巻き取ってもよい。また、3000~9000m/分の速度で巻き取った上で、別途延伸せずにそのままの状態で糸加工、又は製織編に使用してもよい。
工程(III´)で得られた潜在濃染性芯鞘型ポリエステル繊維の表面に塩基性化合物を接触させてアルカリ減量処理を施し、易溶性ポリエステル樹脂を溶出させるとともに、単繊維表面に存在する生成粒子を脱落させて、微細孔を形成する。これにより、本発明の濃染性ポリエステル繊維が得られる。アルカリ減量処理により、突起部及び溝を有する異型断面形状を有する繊維とし、単繊維表面において適切なサイズ及び深さを有する微細孔を高密度で形成させることができる。この微細孔と異型断面形状とに起因して、優れた濃染性が発現するという相乗効果が奏される。この塩基性化合物との接触は、例えば塩基性化合物の水溶液で処理することにより行うことができる。塩基性化合物との接触は、ポリエステル繊維を必要に応じて延伸加熱処理又は仮撚加工などの処理に供した後で行ってもよいし、ポリエステル繊維を布帛とした後に行ってもよい。
(1)極限粘度
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃の条件下で、常法に基づき測定した。粘度計としてウベローデ粘度計(旭化成テクノシステム製、「AVS-6」)を用いた。
潜在濃染性ポリエステル繊維、または潜在濃染性芯鞘型ポリエステル繊維にアルカリ減量処理を施し、易溶性ポリエステル樹脂を溶出させて得られた濃染性ポリエステル繊維を、ヘキサフルオロイソプロパノールへ溶解させた溶液に対し、レーザー回折・散乱式粒度分析装置(島津製作所製、「SALD―7100」)を用いて測定した。
潜在濃染性ポリエステル繊維、または潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維を編機(小池機械製作所製、針本数:300本、釜径:3.5インチ)を用いて筒編地に編成し、後述の条件でアルカリ減量処理及び染色を施して、濃染性ポリエステル繊維を含む筒編地を得た。この筒編地に対し、色彩色差計(マクベス社製分光光度計 CE-3100)を用いてL値を測定した。なお、L値はその値が小さいほど深みのある濃色であることを示す。
(アルカリ減量処理)
水酸化ナトリウム水溶液(2質量%)を用い、温度98℃、時間30分、及び浴比1:50の条件でアルカリ減量処理を行った(減量率30%)。なお、潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維の場合は、鞘部の易溶性ポリエステル樹脂を完全に溶出させた段階を減量率0%とし、その後、減量率が30%となるまでアルカリ減量処理を行った。
(染色)
染料剤(Dystar社製、商品名「ダイアニックスブラック HG-FS conc.」、分散染料)を7.5%omfの割合で用いた。浴比を1:50とし、温度135℃かつ時間30分間の条件で染色を行った。次いで、水酸化ナトリウム(0.2質量%)及びハイドロサルファイト(0.2質量%)を含む水溶液にて、80℃で20分間還元洗浄した。
染色後の筒編地から、濃染性ポリエステル繊維の単繊維をランダムに10本採取した。この単繊維の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率5000倍で撮影した。撮影写真においてランダムに縦5μm×横5μmの検査領域を設定し、この領域内に存在する微細孔の数をカウントし、10本の平均値を求めた。
上記(4)にて撮影された写真において、繊維表面に存在する微細孔をランダムに30個選定した。繊維の長手方向の長さを長軸とし、長手方向に直行する方向の長さを短軸として測定し、それぞれの平均値を求めた。
染色後の筒編地から濃染性ポリエステル繊維の単繊維を1本採取し、繊維軸方向(長手方向)に対して垂直に切断した。この切断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率10000倍で撮影した。この撮影写真において、繊維表面に存在する微細孔をランダムに30個選定して微細孔の深さを測定し、平均値を求めた。なお、微細孔の深さは、単繊維表面からの距離が最も大きい個所において測定した。
染色後の筒編地から濃染性ポリエステル繊維の単繊維を1本採取し、繊維軸方向(長手方向)に対して垂直に切断した。この切断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率10000倍で撮影し、カウントした。
24時間継続して操業した際の、紡糸時の糸切れの回数に従って、下記の基準で評価した。
○:糸切れ回数が0~1回
△:糸切れ回数が2~4回
×:糸切れ回数が5回以上
潜在濃染性ポリエステル繊維、または潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維をアルカリ溶液で処理し、濃染性ポリエステル繊維とした際に、アルカリ処理前後の重量変化量(g)、処理時間(min)、単糸繊度(dtex)の測定値を用いて、下記式により、単位表面積あたりのアルカリ溶解速度(g/(min・m2))を算出して、評価した。
アルカリ溶解速度(g/(min・m2))=((アルカリ処理前の繊維重量―アルカリ処理後の繊維重量)/(アルカリ処理時間×単糸の表面積))
なお、単糸の表面積Sは以下の算出式より求めた。
π:円周率
n:フィラメント数(n=24)
x:繊度[dtex]
ρ:ポリエステルの密度(ρ=1.35×106)[g/m3]
なお、潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維の場合は、鞘部の易溶性ポリエステル樹脂を完全に溶出させた状態をアルカリ処理前(減量率0%)と定義し、さらなるアルカリ処理を行ったもの(減量率30%)を、アルカリ処理前後と定義した。
潜在濃染性ポリエステル繊維、または潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維を編機(小池機械製作所製、針本数:300本、釜径:3.5インチ)を用いて筒編地に編成し、上記の条件でアルカリ減量処理及び染色を施して、濃染性ポリエステル繊維を含む筒編地を得、筒編地の触感を下記の基準で評価した。
○:良好
△:やや良好
×:不良
<ポリエステル樹脂組成物A>
ポリエステル低重合体の存在するエステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(モル比がTPA:EG=1.6)を連続的に供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のポリエステル低重合体を連続的に得た。このポリエステル低重合体を重縮合反応缶に投入し、容器内を窒素で置換した。次いで、ジエチレングリコールを副生成分を考慮し、7.5モル%添加した。重縮合触媒として三酸化アンチモンをポリエステルを構成する酸成分1モルに対して3.0×10-4モル、リン化合物としてリン酸トリエチルをポリエステルを構成する酸成分1モルに対して40×10-4モル、酢酸マグネシウムをポリエステルを構成する酸成分1モルに対して35×10-4モル、及び、酢酸リチウムをポリエステルを構成する酸成分1モルに対して35×10-4モル添加した。圧力を徐々に減じて1時間後に1.2hPa以下とした。この条件で攪拌しながら重縮合反応を280℃の温度条件で3時間行った後、常法により払い出してペレット化し、極限粘度が0.69dL/gのポリエステル樹脂組成物Aを得た。
ジエチレングリコールの添加量を、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対して表1記載の値となるよう変更した以外は、ポリエステル樹脂組成物Aと同様に実施した。各々の極限粘度は、ポリエステル樹脂組成物Bが0.69dL/g、ポリエステル樹脂組成物Cが0.69dL/gであった。
金属化合物として酢酸マグネシウムのみを用い、及びリン化合物の添加を、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対して、表1記載の値となるよう変更した以外は、ポリエステル樹脂組成物Aと同様に実施し、極限粘度が0.69dL/gであるポリエステル樹脂組成物Dを得た。
ジエチレングリコールを添加しなかった以外は、ポリエステル樹脂組成物Aと同様に実施し、極限粘度が0.69dL/gであるポリエステル樹脂組成物Eを得た。
ジエチレングリコールを添加しなかった以外は、ポリエステル樹脂組成物Dと同様に実施し、極限粘度が0.69dL/gであるポリエステル樹脂組成物Fを得た。
金属化合物として酢酸リチウムのみを用い、及びリン化合物の添加を、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対して、表1記載の値となるよう変更した以外は、ポリエステル樹脂組成物Aと同様に実施し、極限粘度が0.69dL/gであるポリエステル樹脂組成物Gを得た。
リン化合物及び金属化合物を添加しなかった以外は、ポリエステル樹脂組成物Aと同様に実施し、極限粘度が0.69dL/gであるポリエステル樹脂組成物Hを得た。
ポリエステル樹脂組成物Aを常用の溶融紡糸機に投入し、24個の紡糸孔が穿設されている口金から紡出させた。紡出した糸条を空気流により冷却し、オイリング装置(油剤供給装置)を通過させて油剤を付与した。この糸条を紡糸速度3250m/分にて引取った(90dtex24f)。紡糸温度は280℃とした。得られた糸条を常用の延伸機にて、80℃の熱ローラを介して1.7倍に延伸し、さらに160℃のヒートプレートで熱処理を行って巻き取り、延伸糸であるポリエステル繊維(潜在濃染性ポリエステル繊維)を得た(56dtex24f)。
次いで、下記の手法で染色を行った。染料剤(Dystar社製、商品名「ダイアニックスブラック HG-FS conc.」、分散染料)を7.5%omfの割合で用いた。浴比を1:50とし、温度135℃かつ時間30分間の条件で染色を行った。次いで、水酸化ナトリウム(0.2質量%)及びハイドロサルファイト(0.2質量%)を含む水溶液にて、80℃で20分間還元洗浄し、この筒編地を各種評価に付した。
ポリエステル樹脂組成物Aに代えてポリエステル樹脂組成物B~Dを用いた以外は、実施例1と同様におこなった。
使用するノズルを変更し、突起部の数および細溝部の数、突起部のサイズが表1に示した数値となるように変更した以外は、実施例1と同様に行った。詳しくは、ポリエステル樹脂組成物Aが芯部に配されるように、さらにアルカリに対して易溶性のポリエステル樹脂(スルホン酸ナトリウム2.0質量%およびポリエチレングリコール6.0質量%を共重合させた共重合ポリエステル)が鞘部に配されるように、常用の複合紡糸用の溶融紡糸機に投入し、20個の突起部と溝とを有する芯部と、その周囲に配される鞘部からなる異形断面繊維を紡糸可能である、24個の紡糸孔が穿設されている口金から、紡出させた。紡出した糸条を空気流により冷却し、オイリング装置(油剤供給装置)を通過させて油剤を付与した。この糸条を紡糸速度3250m/分にて引取った(84dtex24f)。得られた糸条を常用の延伸機にて、85℃の熱ローラを介して1.5倍に延伸し、さらに170℃のヒートプレートで熱処理を行って巻き取り、延伸糸であるポリエステル繊維(潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維)を得た(56dtex24f)。このポリエステル繊維において、芯部と鞘部との複合比率(質量比)は、芯部:鞘部=81:19であった。
使用するノズルを変更し、突起部の数および細溝部の数、突起部のサイズが表1に示した数値となるように変更した以外は、実施例5と同様に行った。
ポリエステル樹脂組成物Aに代えて、それぞれポリエステル樹脂組成物E~Gを用いた以外は、実施例1と同様におこなった。なお、比較例1および2.後述の比較例4および6においては、紡糸温度を295℃とした。
ポリエステル樹脂組成物Aに代えて、極限粘度0.65dL/gのポリエチレンテレフタレートにシリカ微粒子(平均粒子径0.60μm)を1.5質量%の割合で含有させた樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様におこなった。
ポリエステル樹脂組成物Aに代えて、ポリエステル樹脂組成物Hを用いた以外は、実施例1と同様におこなった。
ポリエステル樹脂組成物Aに代えて極限粘度0.65dL/gのポリエチレンテレフタレートを常用の溶融紡糸機に投入した以外は、実施例1と同様におこなった。
使用するノズルを変更し、ポリエステル樹脂組成物Aに代えて極限粘度0.65dL/gのポリエチレンテレフタレートを常用の溶融紡糸機に投入した以外は、実施例5と同様におこなった。
2 易溶性ポリエステル樹脂(鞘部)
3 ポリエステル樹脂(芯部)
A 濃染性ポリエステル繊維
B 突起部
C 溝
4、5 突起部側面の線と突起部頂点の外接円との交点
4’、5’ 突起部側面の線と細溝の最深部の内接円との交点
6 線分4-5の中点
6‘ 線分4’-5’の終点
Claims (6)
- ポリエステル樹脂と生成粒子とを含むポリエステル樹脂組成物からなる潜在濃染性ポリエステル繊維であって、
前記ポリエステル樹脂はジエチレングリコール成分を6.0~10.0モル%含み、
前記生成粒子は、リン化合物とアルカリ土類金属化合物とに由来するものであるか、又は、リン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来するものであることを特徴とする、潜在濃染性ポリエステル繊維。 - 前記生成粒子の平均粒子径は、0.05~0.5μmであることを特徴とする、請求項1に記載の潜在濃染性ポリエステル繊維。
- ポリエステル樹脂組成物が芯部に配され、易溶性ポリエステル樹脂が鞘部に配されてなる潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維であって、
前記ポリエステル樹脂組成物はポリエステル樹脂と生成粒子とを含み、
前記ポリエステル樹脂はジエチレングリコール成分を6.0~10.0モル%含み、
前記生成粒子はリン化合物とアルカリ土類金属化合物とに由来するものであるか、又は、リン化合物とアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物とに由来するものであり、
単繊維の繊維軸方向に垂直な断面における、前記芯部の形状が突起部及び溝を有する異形断面形状であり、前記突起部および前記溝の断面形状が長方形又は略台形状であり、前記突起部の個数が10~32個であることを特徴とする潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維。 - 前記生成粒子の平均粒子径は、0.05~0.5μmであることを特徴とする、請求項3に記載の潜在濃染性芯鞘複合ポリエステル繊維。
- 単繊維の表面において微細孔を有し、ポリエステル樹脂からなる濃染性ポリエステル繊維であって、前記ポリエステル樹脂はジエチレングリコール成分を6.0~10.0モル%含み、
前記微細孔は、個数が前記単繊維表面における5μm×5μmサイズの領域中に15個以上であり、長軸の長さが0.9μm以下、かつ短軸の長さが0.6μm以下であり、かつ深さが250~800nmであることを特徴とする、濃染性ポリエステル繊維。 - 前記単繊維は、表面に突起部と細溝とが交互かつ略一様に分布した異形断面繊維であって、
前記突起部と前記細溝の断面形状は長方形又は略台形状であり、前記突起部および前記細溝はそれぞれ繊維軸方向に連続しており、
前記突起部の数又は寸法が、下記(I)~(III)を満足することを特徴とする、請求項5に記載の濃染性ポリエステル繊維。
10<N<32 (I)
0.3≦W≦2.0 (II)
0.5W≦H≦3.0W (III)
ただしNは突起部の個数、Wは突起部の幅(μm)、Hは突起部の高さ(μm)である。
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