JP3703743B2 - ポリエステル複合繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ減量工程において一成分を完全に溶解除去する事により分割されて極細繊維、或いは中空繊維となる2成分複合繊維の製造方法に関する。更に詳しくは、紡糸工程、延伸工程、仮撚工程、製織工程において耐熱性が良く、糸切れ、毛羽の問題が起こらない2成分複合繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からアルカリ水易溶ポリエステルを一成分とする分割型複合繊維は、極めて細繊度の極細糸を得る目的で製造され、特公昭63−20939号公報や特公平8−14042号公報に開示される様に、アルカリ処理により分割成分の少なくとも一部を溶出して分割糸とし、スウェード調高密度織編物或いは優雅な光沢と柔軟な風合いを持つ絹様織編物に用いられる。
【0003】
また、アルカリ水易溶ポリエステルを芯成分に使用し、アルカリ減量処理後に中空化或いは、溝を形成させて疎水性であるポリエステル繊維に吸水、速乾性を持たせる織、編物に用いられている。
【0004】
該アルカリ水易溶ポリエステルとしては、酸成分として金属スルホネート含有イソフタル酸成分を、グリコール成分としては平均分子量が高いポリアルキレングリコールを用いたものが主流となっており、例えば該ポリエステルを使用した複合繊維は特許第2546802号や特公昭63−20939号公報に記載されている。
【0005】
従来、かかるアルカリ水易溶ポリエステルを製造する方法は、特開昭62−89725号公報記載の様にテレフタル酸ジメチルを用いたエステル交換法(以下DMT法と称する)が主流であり、DMT法ではバッチ式製造方法が一般的である。また、テレフタル酸を用いた直接重合法(以下直重法と称する)に関する製造方法として、特公昭58−45971号公報記載の方法があるが、これもバッチ式製造方法である。
【0006】
バッチ式製造法を用いると、ポリマー押し出しの経時変化により押し出し開始時のポリマー粘度と押し出し終了時のポリマー粘度に相違が生じ、また、バッチ数が増えると釜内残存ポリマーが劣化した異物が混入したり、バッチ間のポリマー物性差が大きくなるという問題があった。これを改善する為に、バッチ数を減らしたり、ポリマーペレットをブレンドするという対策が為されるが、本ポリマーを用いて複合繊維を紡糸するとポリマー物性斑に起因する毛羽や糸切れが多発するという問題があった。
【0007】
一方、特開平6−306734号公報には、アルカリ溶液処理後の極細繊維として、カチオン可染ポリエステルが用いられている。該極細繊維の場合、カチオン染料にて染色可能であるので極細化されても十分濃色化が可能であることが記載されている。
【0008】
しかしながら、該複合繊維においても、アルカリ水易溶成分及びカチオン可染成分に使用されているポリエステルはバッチ式重合方法でしか得ることは出来なかったので、紡糸操業性が不安定であり、且つ仮撚工程等での白粉発生などの工程的問題点があり、更にポリマー物性が不安定な為に染色斑や経筋、緯筋など品位の悪い複合繊維しか得ることが出来なかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の欠点を解消し、紡糸操業性が優れ、仮撚工程での白粉発生や糸切れ等の問題点が少ない2成分複合繊維を安価に提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明らは、上記の課題を解決する為に鋭意検討を行った結果、アルカリ減量速度が異なる2成分複合繊維に於いて、アルカリ減量処理後に残存する成分A、及びアルカリ水易溶成分であるポリエステルを直接連続重合方法で製造して、且つ得られたポリエステルの極限粘度バラツキを少なくすれば紡糸操業性に優れ、仮撚工程等の後工程にて糸切れ、白粉などの問題が解消されることを見出した。
【0011】
すなわち本発明の構成は、アルカリ減量速度が異なる2成分を用いた複合繊維であって、成分Aには90%以上がエチレンテレフタレートであり、極限粘度の最大値[η]maxと最小値[η]minの比が 1.0≦[η]max/[η]min≦1.02を満足する直接連続重合方法で得られたポリエステルを用い、成分Bとして、金属スルホネート基含有イソフタル酸化合物及びポリアルキレングリコールを共重合せしめ、極限粘度の最大値[η]maxと最小値[η]minの比が 1.0≦[η]max/[η]min≦1.02を満足する直接連続重合方法で得られたアルカリ水易溶ポリエステルを用いることを特徴とするポリエステル複合繊維の製造方法にかかるものである。
【0012】
また、成分Aとして、金属スルホネート基含有イソフタル酸成分を1.0〜3.0モル%含有する直接連続重合方法で得られ、且つ極限粘度の最大値[η]maxと最小値[η]minの比が 1.0≦[η]max/[η]min≦1.02を満足するカチオン可染ポリエステルであることを特徴とするポリエステル複合繊維の製造方法に関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明に於いて、アルカリ水易溶成分Bのポリエステル重合体は、5−金属スルホイソフタル酸ジメチル(以下 SIPMと称する)又はSIPMのジメチル基をエチレングリコールでエステル化させた化合物(以下 SIPEと称する)及びポリエステルアルキレングリコールから構成される。
【0014】
SIPM又はSIPE中金属はナトリウム、カリウム、リチウムなどが用いられるが、最も好ましいのはナトリウムである。また、直接連続重合方法に於いて、スラリー安定性の為にはSIPEを使用することが好ましい。
【0015】
SIPEの共重合率はポリマーの酸成分中2.0〜3.0モル%とするのが好ましい。この範囲であれば、アルカリ水に対する溶解性に優れ、且つ溶融紡糸工程での操業性にも優れている。
【0016】
アルカリ水易溶成分B重合体の一方の構成成分である、ポリアルキレングリコールとしては、一般式 HO(CnH2nO)mH(但し、n、mは正の整数)で表されるもので、n=2のポリエチレングリコール(以下PEGと称す)が汎用的で最も好ましい。
【0017】
本発明に用いるPEGの分子量は、1000〜10000が好ましい。この範囲であれば、溶融紡糸時の加水分解が起こらず操業性が良い。また、重合反応性も優れている。
【0018】
PEGの共重合量は、ポリマーに対して9.0〜13.0重量%とするのが好ましい。この範囲であれば、アルカリ水に対する溶解性に優れており、且つポリマーの耐熱性も良い。
【0019】
本発明に於いて最も重要である事はアルカリ水易溶成分Bの極限粘度は、極限粘度の最大値[η]maxと最小値[η]minの比が 1.0≦[η]max/[η]min≦1.02 である。[η]max/[η]minが上記範囲から外れると、溶融紡糸時の糸切れが多発し、紡糸濾過性が悪い為紡糸口金寿命が短くなる等、操業性に劣る。
【0020】
該アルカリ水易溶成分Bの重合体は直接連続重合方法によって製造されるものであり、図面を用いてその概要を以下説明する。(図1)はアルカリ水易溶成分Bの重合体を製造する直接連続重合装置を示した概略図である。スラリー化槽1でテレフタル酸とグリコールをスラリー化させた後、金属スルホネート基含有イソフタル酸化合物を投入口aから1に投入しスラリー化させる。その後、第1エステル化槽2へ該スラリーを連続的に供給してエステル化反応させオリゴマーを形成させる。更に生成したオリゴマーを第2エステル化槽3へ逐次供給し、ポリアルキレングリコールを投入口bにて添加する。しかる後、重合槽4へ該オリゴマーを逐次連続的に供給して真空下で所定の重合度まで連続的に重合反応を行う。所定の重合度になったポリマーは重合槽4のポリマー排出口(図示せず)から細孔を通して水浴中に押し出され、押し出された索をカッターによりチップ化する。
【0021】
本発明の複合繊維に於いてアルカリ減量速度が遅く減量処理後に残存する成分Aとしては、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸もしくはこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、などのジオール化合物から構成される構成単位の90モル%以上がポリエチレンテレフタレートであるポリエステルが用いられる。
【0022】
特に、酸成分として金属スルホネート基含有イソフタル酸成分を1.0〜3.0モル%含有する所謂カチオン可染ポリエステルの場合、成分Bと同様、直接連続重合方法で得られたポリエステルを用いることが好ましい。
【0023】
ここで、該カチオン可染ポリエステル重合体は、(図1)に於いて、スラリー化槽1でテレフタル酸とグリコールをスラリー化させた後、金属スルホネート基含有イソフタル酸化合物を投入口aから1に投入しスラリー化させ、その後、第1エステル化槽2へ該スラリーを連続的に供給してエステル化反応させオリゴマーを形成させ、更に生成したオリゴマーを第2エステル化槽3へ逐次供給し、しかる後、重合槽4へ該オリゴマーを逐次連続的に供給して真空下で所定の重合度まで連続的に重合反応を行い、所定の重合度になったポリマーを排出してチップ化することによって得ることが出来る。
【0024】
ここで、SIPMの酸成分に対する含有量は1.0〜3.0モル%の範囲である事が好ましい。この範囲であれば、カチオン染料による染色性にも優れ、濾過圧上昇や糸切れという紡糸操業性も良好であるので好ましい。
【0025】
上記した成分Aの極限粘度は、極限粘度の最大値[η]maxと最小値[η]minの比が 1.0≦[η]max/[η]min≦1.02 であることが重要である。[η]max/[η]minが上記範囲から外れると、溶融紡糸時の糸切れが多発し、紡糸濾過性が悪い為紡糸口金寿命が短くなる等、操業性に劣る。
【0026】
以上の様に得られた成分A及び成分Bのポリエステルチップは通常の方法で乾燥後、複合紡糸装置を用いて通常の溶融紡糸を行うことが出来る。
【0027】
紡糸方法は特に限定するものでは無く、例えば未延伸糸を低速で巻き取った後、延撚工程にて延伸する所謂コンベンショナル法、直接紡糸延伸法(スピンドロー法)、高速で巻き取り部分未延伸糸を得るPOY法が採用される。
【0028】
特に、省力化、及び安価生産可能なスピンドロー法、POY法を採用することが好ましい。
【0029】
本発明における複合繊維に於いて、成分A及び成分Bの複合比率、配置及び断面形状も特に限定するものではないが、極細繊維を目的とする場合、アルカリ減量処理後の成分Aの単糸が0.33デシテックス以下となる事が好ましい。また、アルカリ減量処理後に成分Aが中空繊維を構成する場合は、アルカリ水易溶成分Bの一端が繊維外周に現れていることが必要である。
【0030】
【発明の効果】
本発明の複合繊維は、紡糸方法に依存せず安定した操業性で生産され、仮撚などの後工程で白粉発生、糸切れの問題が無く製織、製編され、その後のアルカリ減量処理にて効率良く極細繊維或いは中空繊維を得ることが出来るので、スウェード調織編物や吸水速乾織編物に効率良く安定的に用いる事が出来る。
【0031】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明する。尚、以下の実施例における特性値は、次に示す方法によって測定したものである。
【0032】
(1)極限粘度[η]
重合チップの極限粘度[η]測定用のサンプル採取は次のように行った。、連続重合法で生産されるポリマーチップに関しては、適当な時間間隔でチップを採取してそれをサンプルとし、バッチ重合法で生産されるポリマーは1バッチ毎にポリマー押し出し始めと押し出し終了直前のチップ、それと押出し途中に適宜チップを採取してそれをサンプルとした。サンプルは、フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)の混合溶剤中20℃でウベローデ法により測定した。尚、サンプル数はいずれも5個であり、5試料中で最大の極限粘度を[η]maxとし、最小の極限粘度を[η]minとして、それぞれの測定結果から[η]max/[η]minを算出し、ポリマーの極限粘度斑の指標とした。
【0033】
(2)紡糸操業性
該改質ポリエステルとレギュラーポリエステルを用い、極細分割型複合繊維の紡糸を所謂POY方式或いは、直接紡糸延伸方式(以下SPD法と呼称)で行い、紡糸濾過圧上昇度合い、糸切れ回数から○、△、×にて評価した。
【0034】
(3)耐熱性
上記極細分割型複合繊維を用いてスピンドル型仮撚機にて仮撚加工を行い、毛羽、白粉等が発生する仮撚り時のヒーター温度を示した。ここで、毛羽、白粉が発生し始める仮撚り時のヒーター温度が高い程、仮撚り耐熱性が良好である。
【0035】
実施例1
テレフタル酸とエチレングリコール、及びSIPE(酸成分中2.3モル%)をスラリー槽へ投入し、ここへトリメチルホスフェート45ppmと酢酸ナトリウム・3水和物をポリマーに対して600ppm添加してスラリーpHを5.2とし、その後スラリーを第1エステル化槽へ連続的に供給し270℃、68.6kPaの加圧反応を行い、第2エステル化槽へ連続的に供給して、該オリゴマーへ平均分子量8000のポリエチレングリコールを10重量%、ヒンダードフェノール系抗酸化剤であるイルガノックス245(チバガイギー社製)を0.3重量%、エチレングリコールに溶解した三酸化アンチモンを400ppm添加し、第2エステル化槽内モル比を1.14としてエステル化反応を常圧下で行い、その後、連続的に初期重合槽、後期重合槽へ送液して反応温度280℃にて連続的に重合反応を行い、アルカリ水易溶成分Bのポリエステルを得た。該アルカリ水易溶成分Bのポリエステルの極限粘度の最大値と最小値の比は1.005であった。
【0036】
更に、極限粘度[η]=0.630で二酸化チタンの含有量が0.4重量%のポリエチレンテレフタレートを成分Aとして、それぞれを乾燥後に複合紡糸機に導入した。成分Aと成分Bの容積比率を3:1として溶融し、紡糸口金から押し出し通常の方法で油剤付与後、周速3200m/分のゴデッドローラーにて巻取り128デシテックス/25フィラメントの断面形状が(図2)である所謂POY糸を得た。紡糸操業性は良好であり、糸切れ、パック圧上昇等の問題はなく、該複合繊維を用いて仮撚りを実施してもレギュラーポリエステルと相違なく仮撚り操業性は良好であった。更に、該仮撚り加工糸を用いたサテン織物の品位は良好であった。
【0037】
実施例2
成分Aとして、極限粘度[η]=0.637で二酸化チタン含有量が1.4重量%のポリエチレンテレフタレートを用いる以外は実施例1と同様にして128デシテックス/25フィラメントのPOY糸を得た。紡糸操業性、仮撚り操業性は(表1)の通りであった。
【0038】
実施例3
実施例1に用いた成分A、成分Bのポリエステルを用い、成分Aと成分Bの容積比率を7:3として溶融し、紡糸口金から押し出し通常の方法で油剤付与後、周速3200m/分のゴデッドローラーにて巻取り128デシテックス/48フィラメントの断面形状が(図3)であるPOY糸を得た。紡糸操業性、仮撚り操業性は(表1)記載の通りである。
【0039】
実施例4
実施例1に用いた成分A、成分Bのポリエステルを用い、成分Aと成分Bの容積比率を3:1として溶融し、紡糸口金から押し出し通常の方法で油剤付与後、周速1300m/分で85℃の加熱ゴデッドローラー1と周速3800m/分で130℃の加熱ゴデッドローラー2の間で延伸して断面形状が(図2)で56デシテックス/25フィラメントの直接紡糸延伸糸(SPD糸)を得た。紡糸操業性及び仮撚り操業性は(表1)記載の通りである。
【0040】
実施例5
実施例1に用いた成分A、成分Bのポリエステルを用い、成分Aと成分Bの容積比率を2:1として溶融し、紡糸口金から押し出し通常の方法で油剤付与後、周速3200m/分のゴデッドローラーにて巻取り84デシテックス/24フィラメントの断面形状が(図4)であり、アルカリ減量処理後に中空糸となるPOY糸を得た。紡糸操業性、仮撚り操業性は(表1)記載の通りである。
【0041】
実施例6
テレフタル酸とエチレングリコール、及びSIPM(酸成分中1.5モル%)をスラリー槽へ投入し、ここへトリメチルホスフェート45ppmと酢酸ナトリウム・3水和物をポリマーに対して700ppm添加してスラリーpHを5.2とし、その後スラリーを第1エステル化槽へ連続的に供給し270℃、68.6kPaの加圧反応を行い、第2エステル化槽へ連続的に供給して、エチレングリコールに溶解した三酸化アンチモンを400ppm添加し、第2エステル化槽内モル比を1.14としてエステル化反応を常圧下で行い、その後、連続的に初期重合槽、後期重合槽へ送液して反応温度280℃にて連続的に重合反応を行い、成分Aのポリエステルを得た。成分Aのポリエステルの極限粘度の最大値と最小値の比は1.004であった。
【0042】
該成分Aのポリエステルと実施例1と同様のアルカリ水易溶成分Bのポリエステルを用い、成分Aと成分Bの容積比率を3:1として溶融し、紡糸口金から押し出し通常の方法で油剤付与後、周速3200m/分のゴデッドローラーにて巻取り128デシテックス/25フィラメントの断面形状が(図2)であるPOY糸を得た。紡糸操業性、仮撚り操業性は(表1)記載の通りである。該複合繊維はカチオン染料で染色可能であり、カチオン染色性は良好であり品位も良かった。
【0043】
比較例1
成分Bに極限粘度の最大値と最小値の比が1.03であるバッチ重合方式で得られたアルカリ水易溶ポリエステルを用いる以外は、実施例1と同様の方法で複合繊維を紡糸した。紡糸時の濾過圧上昇が、実施例1に比較して早く、紡糸糸切れ発生が多く操業性は悪かった。更に、該POY糸を用いて仮撚加工を実施すると、白粉が発生し問題となった。
【0044】
比較例2
成分Aに極限粘度の最大値と最小値の比が1.025であるポリエステルを用いる以外は実施例1と同様に複合繊維を紡糸した。得られたPOY糸にて仮撚加工を実施すると白粉発生などの問題はなかったが、紡糸操業性は非常に悪かった。
【0045】
比較例3
成分Aに極限粘度の最大値と最小値の比が1.04のバッチ重合方式で得られたSIPMの対酸成分含有率が1.5モル%のカチオン可染ポリエステルを用いる以外は実施例6と同様に複合繊維を紡糸した。紡糸時の濾過圧は2日で上限まで上昇し、また糸切れ発生が多く紡糸操業性は非常に悪かった。
【0046】
比較例4
成分AにSIPMの対酸成分含有率が3.5モル%であり、且つ極限粘度の最大値と最小値の比が1.015である直接連続重合方法で得られたカチオン可染ポリエステルを用いる以外は実施例6と同様に複合繊維を紡糸した。紡糸時の濾過圧は急上昇し、また紡糸操業性も悪かった。
【0047】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用されるポリエステルを製造する工程の概略を示した図である。
【図2】本発明の極細分割型複合繊維の断面図である。
【図3】本発明の極細分割型複合繊維の断面図である。
【図4】本発明の中空型複合繊維の断面図である。
【符号の説明】
1 スラリー化槽
2 第1エステル化槽
3 第2エステル化槽
4 重合槽
a,b,c 改質剤等投入口
5 アルカリ水易溶成分B
6 アルカリ減量処理後に残留する成分A
Claims (8)
- アルカリ減量速度が異なる2成分を用いた複合繊維であって、成分Aには90%以上がエチレンテレフタレートであり、極限粘度の最大値[η]maxと最小値[η]minの比が 1.0≦[η]max/[η]min≦1.02を満足する直接連続重合方法で得られたポリエステルを用い、成分Bとして、金属スルホネート基含有イソフタル酸化合物及びポリアルキレングリコールを共重合せしめ、極限粘度の最大値[η]maxと最小値[η]minの比が 1.0≦[η]max/[η]min≦1.02を満足する直接連続重合方法で得られたアルカリ水易溶ポリエステルを用いることを特徴とするポリエステル複合繊維の製造方法。
- 成分Aが金属スルホネート基含有イソフタル酸成分を1.0〜3.0モル%含有する直接連続重合方法で得られ、且つ極限粘度の最大値[η]maxと最小値[η]minの比が 1.0≦[η]max/[η]min≦1.02を満足するカチオン可染ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載のポリエステル複合繊維の製造方法。
- 成分Bの金属スルホネート基含有イソフタル酸化合物が、5−金属スルホイソフタル酸ジメチル(以下 SIPMと称する)又はSIPMのジメチル基をエチレングリコールでエステル化させた化合物(以下 SIPEと称する)である請求項1または2記載のポリエステル複合繊維の製造方法。
- 成分Bが、SIPEを共重合せしめたポリエステルである請求項1ま〜3いずれか一項に記載のポリエステル複合繊維の製造方法。
- SIPEの共重合率がポリマーの酸成分中2.0〜3.0モル%である請求項3または4記載のポリエステル複合繊維の製造方法。
- 成分Bのポリアルキレンアルキレングリコールが、分子量1000〜10000のPEGである請求項1〜5いずれか一項に記載のポリエステル複合繊維の製造方法。
- 成分BのポリアルキレンアルキレングリコールがPEGであって、PEGの共重合量は、ポリマーに対して9.0〜13.0重量%である請求項1〜6いずいれか一項に記載のポリエステル複合繊維の製造方法。
- 成分Bが、スラリー化槽でテレフタル酸とグリコールをスラリー化させた後、金属スルホネート基含有イソフタル酸化合物を投入しスラリー化させ、ついで、第1エステル化槽へスラリーを連続的に供給してエステル化反応させオリゴマーを形成させ、このオリゴマーを第2エステル化槽へ供給し、ポリアルキレングリコールを添加した後、このオリゴマーを重合槽へ連続的に供給して連続的に重合反応を行うことにより得られたものである請求項1〜7記載のポリエステル複合繊維の製造方法。
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