JP2983912B2 - 透け防止性に優れたポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents

透け防止性に優れたポリエステル繊維及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は透け防止性に優れた
ポリエステル繊維及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは多くの優れた特性を有す
るがゆえに一般衣料用繊維として広く用いられている。
特にテニスウェア、水着、レオタ−ド等のスポ−ツ衣
料、あるいはブラウスやオフィスユニフォ−ム、白衣な
どの用途においては薄くても中が透けて見えないような
性能が必要とされ、従来より、酸化チタン等無機微粒子
を添加し、繊維表面で屈折して繊維内部に入った光を乱
反射させる艶消効果を付与してきた。
【0003】しかし、かかる方法において満足する透け
防止効果を得る為には、多量の酸化チタンを含有させる
必要があり、繊維表面に存在する酸化チタン量が増える
ことで、紡糸工程、延撚工程、仮撚工程に加え、製織、
製編工程における糸道ガイド、ロ−ラ−表面、筬及び編
み針などの磨耗が促進され、毛羽や糸切れが多く発生し
たり部品交換の回数が増えるなどの問題を有していた。
【0004】かかる欠点を改善するため、特公昭63−
17925号公報、特公昭63−17926号公報にお
いて、芯鞘複合紡糸で芯成分に酸化チタンを多く含有さ
せ、鞘成分の酸化チタンを少なくし、かつ芯・鞘部を同
心円状に配置して複合繊維とすることにより,光遮蔽性
を高めると共に,撚糸,製織編工程等でのガイド,おさ
等の摩耗を軽減させる方法が提案されている。該公報技
術により上記に示した加工工程での磨耗問題は改善され
るものの、鞘成分のみを通過する光が発生することか
ら、透け防止性においては十分な対策となっていなかっ
た。さらには綿を混繊することで透け防止効果を付与し
たりしているが、綿の混繊率が大きく、厚くて固い風合
いしか得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、薄い布帛で
も優れた透け防止性を呈し、尚且つ、工業的に安定に製
造できる透け防止性ポリエステル繊維を提供するもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決するために、ポリエステル繊維の断面形状と光
特性及び無機系物質の含有量に対する透け防止性、さら
には、製造工程の通過安定性等について、詳細に研究を
重ねた結果本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、芯部に、主たる繰り
返し単位がポリエチレンテレフタレ−トから構成され、
一次粒子の平均粒子径が1.0μm以下であるアナタ−
ゼ型二酸化チタンを2.0〜10.0重量%含有するポ
リエステルを、鞘部に主たる繰り返し単位がポリエチレ
ンテレフタレ−トから構成され、無機微粒子の含有率が
2.0重量%未満であるポリエステルを配した複合繊維
であって、芯部断面が、3つの菱形より形成され、鞘部
外周部は三角断面であり、芯部の3つの菱形の片方の頂
点が1点でつながり、芯部の3つの菱形のもう片方の頂
点は、鞘部外周部の三角断面の各頂点方向に位置した形
状を有する表面光沢特性に優れた透け防止性繊維を第1
の要旨とする。
【0008】ポリエステル繊維の屈折率は1.6〜1.
7程度であり、他の繊維素材の屈折率(1.45〜1.
6程度)と比較するとかなり高く、またポリエステル繊
維は溶融紡糸法により製造されることから一般にその表
面が極めて滑らかであるため、繊維表面での光の反射率
が大きい。本発明では繊維断面形状を変化させ、表面に
平面部を有する三角断面とすることによって鏡面反射特
性が向上し、繊維の表面光沢特性に優れ、加えて光の透
過性が大きく低下し、艶消し効果が助長される。
【0009】特に三角断面形状とすることで、綿の混繊
率を少なくしても透け防止性が向上し、衣料として非常
に柔らかな風合いを得ることができる。このとき、酸化
チタンの含有率は2〜10重量%の範囲内にする必要が
ある。10重量%を越える場合には、分散性が低下して
紡糸時の濾過材の目詰まりが著しく、実質上工業的に安
定にポリエステル繊維を製造することが困難になり、ま
た2重量%未満の場合には、本発明においても十分な透
け防止性は得られない。
【0010】加えて本発明では、酸化チタンの添加量が
少ないか、あるいはポリエステルと同等の屈折率を示す
カオリンを添加したポリエステルを繊維表面に配し、芯
成分に主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレ−
トから構成され、一次粒子の平均粒子径が1.0μm以
下であるアナタ−ゼ型二酸化チタンを2.0〜10.0
重量%含有するポリエステルを配する芯鞘型複合紡糸繊
維とすることで、繊維表面に存在する酸化チタンが原因
となる紡糸工程、延撚工程、仮撚工程あるいは製織、製
編工程における糸道ガイド、ロ−ラ−表面、筬及び編み
針などの磨耗の促進や、けばや糸切れの発生といった問
題が解消される。
【0011】この時、芯部の複合比率は、60%以上で
あることが好ましく、芯部が繊維表面に露出することな
く、芯部の複合比率が60%以上にするには、断面形状
としては、芯部断面が、3つの菱形より形成され、鞘部
外周部は三角断面であり、芯部の3つの菱形の片方の頂
点が1点でつながり、芯部の3つの菱形のもう片方の頂
点は、鞘部外周部の三角断面の各頂点方向に位置した形
状であることが必要である。
【0012】このような形状にすることによって、芯部
の菱形の頂点付近の酸化チタンの含有率の著しい低下を
防ぐと同時に、酸化チタンを多量に含有するポリエステ
ル成分が繊維表面に露出することなく60%以上の複合
比率で芯部に配することが可能となる。すなわち、芯部
の菱形頂点付近の酸化チタンの含有率は、著しく低下す
る傾向にあるので、芯部の3つの菱形のもう片方の頂点
は、鞘部外周部の三角断面の各頂点方向に位置した形状
とすることが必要である。さらに、鞘部外周断面が三角
断面以上の多角形では、十分な平面部が確保できず、鏡
面反射特性の付与が困難となり、また芯成分の形状が円
形であると芯成分が繊維表面に露出することなく60%
以上の芯比率で複合化することが困難となる。なお、鞘
部のポリエステルに含有される無機微粒子としては、芯
部と同様の二酸化チタンの他、カオリン等の無機微粒子
を用いることができる。
【0013】さらに、本発明の繊維は、繊維長手方向に
太繊度と細繊度部を有するシックアンドシン繊維である
ことが好ましい。これは、太繊度部の平面が強調されて
鏡面反射特性が向上し、透け防止性の向上に効果がある
ためである。もともと天然繊維あるいは溶融紡糸法以外
の方法で得られる合成繊維と比べて溶融紡糸法による繊
維は表面の平滑性が高く、その結果、特有のぬめりを含
んだワキシ−感が強く、肌に馴染みにくいという欠点を
有しているが、霜降り調のシンクアンドシン繊維は、そ
れらの欠点を解消するものである。すなわち、単繊維の
長手方向に繊度が変化した、いわゆる部分的異収縮混繊
糸となることから、シンクアンドシン糸によって得られ
る布帛は特異な風合いを呈し、素材の品位を高める効果
をも有している。このようなシックアンドシン糸は、糸
全体としての太さ斑が平均偏差率で0.7%以上であり
ながら、かつ変動係数CVが6.0%以内であることが
好ましい。即ち、糸全体の太さ斑の平均偏差率が0.7
%以上であることにより、構成する各繊維の太部と細部
の繊度差、染色濃度差及び収縮特性差が十分に発現され
るようになる。平均偏差率が0.7%未満では、これら
の特性差が発揮されずいわゆるプレーンな糸形態になっ
てしまい、シックアンドシン糸としての風合効果及び透
け防止の向上効果が得られ難い。また、糸全体の太さ斑
の変動係数CVが6.0%以上であると各繊維の太部が
集中したいわゆるスラブ調の斑となる傾向がある。各繊
維の太部が分散した霜降り調のシックアンドシン繊維に
対して、このようなスラブ調のシックアンドシン繊維は
ミクロな異収縮形態が得られ難く、風合あるいは品質的
に好ましくない。
【0014】なお、太さ斑の変動係数CVは、計測器工
業株式会社製のイーブネステスターKET−80Cを用
い、糸速度8m/分でウースターノルマル値を測定して
得られた値であり、平均値からの偏りの大きさを示す指
標となるものである。
【0015】このようにして得られた繊維は、照射光量
に対する透過光量の減少率が30%以上を示す表面光沢
特性に優れた透け防止性繊維となる。なお、透過光量の
減少率測定法は、下記の方法による。
【0016】[透過光量の減少率測定法]経糸に50デ
ニ−ル18フィラメントで酸化チタンを0.46wt%
含むポリエチレンテレフタレ−ト糸を1寸あたり150
本用い、緯糸に75デニ−ル36フィラメントの各種テ
スト糸を1インチあたり80本、100デニ−ルのテス
ト糸を1インチあたり68本打ち込んだタフタの未染色
の試験布を、照度15000〜16000ルクスの蛍光
灯の上に置き、試験布上部の照度を照度計で測定し、下
記式により算出した。
【0017】
【式1】
【0018】また、本発明の第2の要旨は、主たる繰り
返し単位がポリエチレンテレフタレ−トから構成される
ポリエステルの重合に際して、1次粒子の平均粒子径が
1.0μm以下ののアナタ−ゼ型二酸化チタンをエチレ
ングリコ−ル分散液としてポリエステルポリマーに対し
て、2.0〜10.0重量%となるように加えて重合
し、得られたポリマーを芯部に配し、無機微粒子の含有
率が2.0重量%未満であるポリエステルを鞘部に配し
て、鞘部外周断面が多葉状断面である紡糸孔を有し、多
葉状の各頂点付近には芯部の紡糸孔を有する紡糸口金よ
り、溶融紡出ことを特徴とする表面光沢特性に優れた透
け防止性繊維の製造方法、並びに、それら表面光沢特性
に優れた透け防止性繊維の未延伸糸を、下記〜を満
たす条件で2段延伸して霜降り調のシックアンドシン繊
維とする表面光沢特性に優れた透け防止性繊維の製造方
法である。
【0019】 TDR=MDR×(0.45〜0.60) TDR=DR1 × DR2 DR1=MDR×(0.40〜0.55) HRT≦TC Tg≦HPT≦TC 但し、式中TDRは総延伸倍率、DR1は第1延伸倍
率、DR2は第2延伸倍率、MDRは上記未延伸糸の最
大延伸倍率、HRTは第1延伸における温度(℃)、HP
Tは第2延伸域における温度(℃)、TCは上記未延伸糸
の結晶化温度(℃)、Tgは上記未延伸糸のガラス転移温
度(℃)である。
【0020】本発明で用いる複合紡糸口金において、鞘
部断面形状が三角形になる紡糸口金には、紡糸孔を12
0゜間隔で回転対象となる3箇所に突出させたY字形状
断面の紡糸孔が好ましく用いられる。また、芯部の紡糸
孔は、丸孔を120゜間隔で回転対象となる鞘部のY字
断面の頂点付近に位置させた紡糸口金が好ましく用いら
れる。これにより、芯部断面が、3つの菱形より形成さ
れ、鞘部外周部は三角断面であり、芯部の3つの菱形の
片方の頂点が1点でつながり、芯部の3つの菱形のもう
片方の頂点は、鞘部外周部の三角断面の各頂点方向に位
置した形状とすることができる。
【0021】加えて本発明について更に好ましくは、繊
維軸方向にランダムな太繊度部と細繊度部を形成する霜
降り調のシックアンシン延伸を行なうことにより、太繊
度部の平面が強調されて鏡面反射特性が向上し、透け防
止性の向上に効果がある。本発明においては、太繊度部
と細繊度部を高度に分散させて形成するため2段延伸す
る。第1段延伸における加熱温度は、該未延伸糸の結晶
化温度以下とし、延伸倍率DR1は、MDR×(0.4
0〜0.55)と、低めに設定し延伸する。
【0022】なお、使用する未延伸糸の結晶化度、配向
度の違いによりMDRの利用率が異なるので、第1段延
伸で得られる太細糸の残留伸度が70〜110%となる
ように設定するのが望ましい。この第1段延伸で得られ
るシンクアンドシン糸は、高収縮率で太繊度部と細繊度
部との繊度差の大きい糸である。
【0023】第1段延伸で得られたシンクアンドシン糸
は、第2段延伸で、総延伸倍率TDRがMDR×(0.
45〜0.60)となる延伸倍率DR2で追加延伸(即
ち、具体的には、DR2の範囲は、1.00〜1.20
が好ましい。)し、第2段延伸域で目的とする収縮率を
与えるよう設定したガラス転移温度以上結晶化温度以下
の温度で熱処理する。この第2段延伸により、太繊度部
と細繊度部がランダムに分散したシンクアンドシン糸が
得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明に用いる酸化チタンは、硬
度及び水、エチレングリコ−ルのような分散媒に対する
分散安定性の点から、アナタ−ゼ型二酸化チタンである
必要があり、また一次粒子の平均粒子径は1.0μm以
下である必要がある。一次粒子径が大きな酸化チタンで
は、紡糸時の濾過材の目詰まりが著しく、実質上工業的
に安定にポリエステル繊維を製造することが困難にな
る。
【0025】本発明における、主たる繰り返し単位がエ
チレンテレフタレ−ト単位であるポリエステルとは、テ
レフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる酸
成分とし、エチレングリコ−ルを主たるアルコ−ル成分
とするポリエステルであって、これに従来公知の酸成分
あるいはアルコ−ル成分を共重合したものであってもよ
い。
【0026】酸成分の具体例としては、アジピン酸、イ
ソフタ−ル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、セバシ
ン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカル
ボン酸類またはそのエステル形成性誘導体、5−ナトリ
ウムスルホイソフタ−ル酸、2−ナトリウムスルホイソ
フタ−ル酸、1,8−ジカルボキシナフタレン−3−ス
ルホン酸ナトリウム等の金属スルホネ−ト基含有ジカル
ボン酸類、またはこれらのエステル形成性誘導体、ある
いはこれら化合物のカリウム塩、リチウム塩等、及び、
p−オキシ安息香酸、p−β−オキシカルボン酸類また
はそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
【0027】また、アルコ−ル成分の具体例としては、
プロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ル等の低級ア
ルキレングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ
−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,4−ビス(β−オ
キシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノ−ルAのビスグリ
コ−ルエ−テル等が挙げられる。
【0028】更に、ポリエステルが実質的に線状である
範囲で、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカル
ボン酸、及びペンタエリスリト−ル、トリメチロ−ルプ
ロパン、グリセリン等のポリオ−ル、あるいはモノハイ
ドリックポリアルキレンオキシド、フェニル酢酸等の重
合停止剤を用いてもよい。
【0029】かかるポリエステルは公知の任意の方法に
より合成することができる。例えばポリエチレンテレフ
タレ−トについて説明すれば、テレフタル酸とエチレン
グリコ−ルとを直接エステル化反応をさせるか、テレフ
タ−ル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエ
ステルとエチレングリコ−ルとをエステル交換反応させ
るか、またはテレフタル酸にエチレンオキサイドを付加
反応させるかして、テレフタル酸のグリコ−ルエステ
ル、及び/またはその低重合体を合成し、次いで該生成
物を常法により重縮合させる方法が一般的である。
【0030】さらに、本発明におけるポリエステルの合
成にあたっては、公知の触媒、抗酸化剤、着色防止剤、
エ−テル結合副生防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を適
宜使用することができる。
【0031】前述した二酸化チタンのポリエステルへの
添加配合は、ポリエステルの製造反応が完結する以前の
任意の段階で添加配合することができる。
【0032】このようにして得たポリマ−を常法により
チップ化、乾燥し、鞘部ポリマーとして、カオリンや二
酸化チタンの無機微粒子を含有させたポリエステルを用
い、芯部のポリマーとしては、前述の二酸化チタン含有
ポリエステルを用いて、公知の芯鞘複合紡糸口金のう
ち、鞘部外周断面が多葉状断面である紡糸孔を有し、多
葉状の各頂点付近には芯部の紡糸孔を有する紡糸口金よ
り、溶融紡出することにより、未延伸糸を得る。
【0033】具体的には、芯成分の吐出丸孔を120゜
間隔で回転対象となる3箇所に分岐させ、しかも鞘部外
周部を正三角断面形状を形づくるY字断面形状の頂点付
近の位置に、芯成分の吐出丸孔が位置する紡糸口金を用
いて、芯鞘比率が芯/鞘=3/1となるように280〜
290℃にて溶融複合紡糸する。この複合紡糸した未延
伸糸を、通常の延伸またはシックアンドシン延伸するこ
とによって、本発明の表面光沢特性に優れた透け防止性
繊維が得られる。
【0034】
【実施例】 以下、本発明を実施例に具体的に説明す
る。尚、実施例中の部及び%はそれぞれ重量部及び重量
%を意味し、また、表中の◎印、○印、△印、×印は各
々非常に良好、良好、やや良好、不良であることを示
す。
【0035】[実施例1]テレフタル酸100部、エチレングリコ−ル52部をエ
ステル化槽に仕込み、4kg/cm2の加圧下260℃
にてエステル化反応を行なった。引き続き得られた反応
生成物に、トリメチルフォスフェイト、三酸化アンチモ
ン、1次粒子の平均粒子径が0.3μmのアナタ−ゼ型
二酸化チタンを、生成ポリエステルに対して実質上、
1.0%、2.0%、4.0%となるよう各々エチレン
グリコ−ル分散液として加え、重合槽に移した。
【0036】高真空下285℃にて所定時間重縮合反応
を行い、1,1,2,2−テトラクロルエタンとフェノ
−ルの1:1の混合溶媒中25℃でオストワルド型粘度
計で測定した極限粘度が0.68のポリマ−を得た。
【0037】同様にテレフタル酸100部、エチレング
リコ−ル52部をエステル化槽に仕込み、4kg/cm
2の加圧下260℃にてエステル化反応を行なった。引
き続き得られた反応生成物に、トリメチルフォスフェイ
ト、三酸化アンチモン、カオリンを、生成ポリエステル
に対して実質上、1.0%、2.0%、0.1%となる
よう各々エチレングリコ−ル分散液として加え、重合槽
に移した。高真空下285℃にて所定時間重縮合反応を
行い、1,1,2,2−テトラクロルエタンとフェノ−
ルの1:1の混合溶媒中25℃でオストワルド型粘度計
で測定した極限粘度が0.68のポリマ−を得た。
【0038】これらのポリマ−を常法によりチップ化、
乾燥し、芯鞘複合紡糸口金のうち、芯成分の吐出丸孔を
120゜間隔で回転対象となる3箇所に分岐させ、しか
も正三角断面形状を形づくるY字形状の鞘部の吐出孔の
頂点付近の位置に、芯成分の吐出丸孔が位置する吐出紡
糸孔を30個設けた紡糸口金を使用し、芯部に酸化チタ
ンを4%含有するポリマ−を配し、鞘部にカオリンを
0.1%含有するポリマ−を配して、芯鞘比率が芯/鞘
=3/1となるように285℃にて溶融紡糸した。吐出
糸条を冷却固化した後油剤を付与し、2000m/mi
nの引取速度にて、150デニ−ル、MDR=3.3の
未延伸糸を得た。該未延伸糸を上段延伸倍率1.01、
下段延伸倍率2.40、第1延伸温度75℃、第2延伸
域温度145℃で延伸することにより、60デニ−ル、
破断強度4.8g/d,破断伸度30%、BWS7%、
糸斑平均偏差率0.4%の延伸糸を得た。また、該未延
伸糸を上段延伸倍率1.65、下段延伸倍率1.01、
第1延伸温度110℃、第2延伸域温度120℃で延伸
することにより、90デニ−ル、破断強度2.6g/
d,破断伸度85%、BWS17%、糸斑平均偏差率
1.0%、糸斑変動係数CV5.6%の霜降り調シック
アンドシン延伸糸を得た。
【0039】得られたシックアンドシン糸を製織し、精
練、定長熱セット処理を行い布帛を得た。このようにし
て得られた布帛にて透過光量減少率を測定し、風合いの
評価を行なった。結果を表1に示した。
【0040】[実施例2] 実施例1 の鞘ポリマーに、トリメチルフォスフェイト、
三酸化アンチモン、アナターゼ型二酸価チタンを、生成
ポリエステルに対して実質上、1.0%、2.0%、
0.5%となるように変更し、それ以外は実施例1に準
じて、紡糸、延撚、編成、染色を行い、布帛を得た。結
果を表1に示した。
【0041】[比較例1−3] 二酸化チタンの含有量、繊維断面、紡糸延伸条件を第1
表に記載したごとく変更した以外は、実施例1と同様に
実施した。 結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の透け防止繊維は、鞘部外周部は
三角断面であり芯部断面が、3つの菱形より形成されて
いることで繊維の鏡面反射特性の向上による光沢性と、
光の通過を抑えた艶消し効果に優れており、薄い布帛で
も優れた透け防止性を発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の未延伸糸断面の複合状態を
示す透過型顕微鏡写真であり、倍率は300倍である。
【図2】図2は、実施例1の繊維を得るために用いた芯
鞘複合紡糸口金の芯成分吐出口を示す断面図である。
【図3】図3は、図2の芯成分吐出口の底面図である。
【図4】図4は、実施例1の繊維を得るために用いた芯
鞘複合紡糸口金の鞘成分吐出口を示す断面図である。
【図5】図5は、図4の鞘成分吐出口を示す底面図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−59130(JP,A) 特開 平8−100324(JP,A) 特開 平5−321034(JP,A) 特開 平8−144151(JP,A) 特開 昭49−66613(JP,A) 特開 昭62−268808(JP,A) 特開 昭62−97917(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 8/14 D01D 5/253 D01D 5/30 - 5/36 D01F 1/00 - 1/10 D01F 6/62 D01F 6/92

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯部に、主たる繰り返し単位がポリエチ
    レンテレフタレ−トから構成され、一次粒子の平均粒子
    径が1.0μm以下であるアナタ−ゼ型二酸化チタンを
    2.0〜10.0重量%含有するポリエステルを、鞘部
    に主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレ−トか
    ら構成され、無機微粒子の含有率が2.0重量%未満で
    あるポリエステルを配した複合繊維であって、芯部断面
    が、3つの菱形より形成され、鞘部外周部は三角断面で
    あり、芯部の3つの菱形の片方の頂点が1点でつなが
    り、芯部の3つの菱形のもう片方の頂点は、鞘部外周部
    の三角断面の各頂点方向に位置した形状を有する表面光
    沢特性に優れた透け防止性繊維。
  2. 【請求項2】 芯部が繊維表面に露出することなく、芯
    部の複合比率が60%以上で配する請求項1に記載の表
    面光沢特性に優れた透け防止性繊維。
  3. 【請求項3】 繊維長手方向に太繊度と細繊度部を有す
    るシックアンドシン繊維である請求項1または請求項2
    に記載の表面光沢特性に優れた透け防止性繊維。
  4. 【請求項4】 糸全体としての太さ斑が平均偏差率で
    0.7%以上でありながら、かつ変動係数CVが6.0
    %以内であることを特徴とする請求項3に記載の表面光
    沢特性に優れた透け防止性繊維。
  5. 【請求項5】 照射光量に対する透過光量の減少率が3
    0%以上を示す請求項1から請求項4のいづれかに記載
    の表面光沢特性に優れた透け防止性繊維。
  6. 【請求項6】 主たる繰り返し単位がポリエチレンテレ
    フタレ−トから構成されるポリエステルの重合に際し
    て、1次粒子の平均粒子径が1.0μm以下ののアナタ
    −ゼ型二酸化チタンをエチレングリコ−ル分散液として
    ポリエステルポリマーに対して、2.0〜10.0重量
    %となるように加えて重合し、得られたポリマーを芯部
    に配し、無機微粒子の含有率が2.0重量%未満である
    ポリエステルを鞘部に配して、鞘部外周断面が多葉状断
    面である紡糸孔を有し、多葉状の各頂点付近には芯部の
    紡糸孔を有する紡糸口金より、溶融紡出することを特徴
    とする表面光沢特性に優れた透け防止性繊維の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の表面光沢特性に優れた透
    け防止性繊維の未延 伸糸を、下記〜を満たす条件で
    2段延伸して霜降り調のシックアンドシン繊維とする表
    面光沢特性に優れた透け防止性繊維の製造方法。 TDR=MDR×(0.45〜0.60) TDR=DR1 × DR2 DR1=MDR×(0.40〜0.55) HRT≦TC Tg≦HPT≦TC 但し、式中TDRは総延伸倍率、DR1は第1延伸倍
    率、DR2は第2延伸倍率、MDRは上記未延伸糸の最
    大延伸倍率、HRTは第1延伸における温度(℃)、HP
    Tは第2延伸域における温度(℃)、TCは上記未延伸糸
    の結晶化温度(℃)、Tgは上記未延伸糸のガラス転移温
    度(℃)である。
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