JPS641584B2 - - Google Patents

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JPS641584B2
JPS641584B2 JP57014726A JP1472682A JPS641584B2 JP S641584 B2 JPS641584 B2 JP S641584B2 JP 57014726 A JP57014726 A JP 57014726A JP 1472682 A JP1472682 A JP 1472682A JP S641584 B2 JPS641584 B2 JP S641584B2
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JP
Japan
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particles
polyester
alkaline earth
fibers
earth metal
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Application number
JP57014726A
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English (en)
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JPS58136830A (ja
Inventor
Motoyoshi Suzuki
Kyokazu Tsunawaki
Isahiro Minemura
Masaaki Sekimoto
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Publication of JPS641584B2 publication Critical patent/JPS641584B2/ja
Granted legal-status Critical Current

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はポリエステル繊維の製造法に関する。
更に詳細には、特殊な微細孔を有し、着色した際
に改善された色の深みと鮮明性を呈するポリエス
テル繊維の製造法に関する。 ポリエステルは多くの優れた特性を有するがゆ
えに合成繊維として広く使用されている。しかし
ながら、ポリエステル繊維は羊毛や絹の如き天然
繊維、レーヨンやアセテートの如き繊維素系繊
維、アクリル系繊維等に比較して、着色した際に
色に深みがないため発色性、鮮明性に劣る欠点が
ある。 従来より、この欠点を解消せんとして、染料の
改善やポリエステルの化学改質等が試みられてき
たが、いずれも充分な効果は得られていない。ま
た、ポリエステル繊維表面に透明薄膜を形成させ
る方法や織編物表面に80〜500mA・sec/cm2のプ
ラズマ照射を施して繊維表面に微細な凹凸を形成
させる方法等が提案されている。しかしながら、
これらの方法によつても、色の深みを改善する効
果は不充分であり、その上繊維表面に形成された
透明薄膜は洗濯等によつて容易に脱落し、その耐
久性も不充分であり、プラズマ照射を施す方法で
は、照射面の影になる織編部分の繊維の表面に凹
凸が生じないため、着用中に生じる繊維組織内で
の糸の転び等によつて平滑繊維面が表面にでて色
斑になる欠点がある。 他方、ポリエステル繊維の表面に凹凸を付与す
る方法として、ポリオキシエチレングリコール又
はポリオキシエチレングリコールとスルホン酸化
合物を配合したポリエステルよりなる繊維をアル
カリ水溶液で処理することにより繊維軸方向に配
列した皺状の微細孔を繊維表面に形成させる吸湿
性繊維の製造法、又は酸化亜鉛、リン酸カルシウ
ム等の如き不活性無機物質の微粒子をポリエステ
ル反応系内に添加配合せしめてなるポリエステル
繊維を、アルカリ水溶液で処理して無機微粒子を
溶出することにより微細孔を形成させる吸湿性繊
維の製造法等が提案されている。しかしながら、
これらの方法によつて得られる繊維には、色の深
みを改善する効果は認められず、かえつて視感濃
度の低下が認められる。即ち、これらの方法にお
いて、アルカリ水溶液による処理が充分でないと
きは、色の深みを改善する効果は全く認められ
ず、またアルカリ水溶液による処理が充分なとき
は、色の深みを改善するどころか、微細孔による
光の乱反射によるためか、視感濃度が低下し、濃
色に着色しても白つぽく見えるようになり、その
上得られる繊維の強度が著しく低下し、容易にフ
イブリル化するようになり、実用に耐えない。 また、粒子径80ミリミクロン以下のシリカの如
き無機微粒子を配合したポリエステルよりなる繊
維をアルカリ減量処理して、繊維表面に0.2〜0.7
ミクロンの不規則な凹凸を付与すると共にこの凹
凸内に50〜200ミリミクロンの微細な凹凸を存在
せしめることによつて色の深のを改善する方法が
提案されている。しかしながら、この方法によつ
ても、色の深みを改善する効果は不充分であり、
その上かかる極めて複雑な凹凸形態によるため
か、摩擦等の外部からの物理作用による凹凸が破
壊され、破壊された部分が他の破壊されていない
部分と比べて大きく変色したり光沢の差を生じた
り更には容易にフイブリル化するという欠点があ
る。 本発明者は上記欠点のない色の深みと鮮明性に
優れたポリエステル繊維を得ようとして鋭意検討
を行なつた結果、従来の方法ではポリエステルに
配合される不活性無機微粒子の平均一次粒子径が
100ミリミクロン以上であるか、あるいは平均の
一次粒子径が100ミリミクロン未満の不活性無機
超微粒子を使用した場合配合によつて二次凝集が
容易に起こつて100ミリミクロン以上の二次凝集
粒子が多数存在するようになるので、結果的にい
ずれの場合もポリエステル繊維内部に100ミリミ
クロン以上の粒子が存在し、このためアルカリ減
量処理によつて可視光線の波長域若しくはそれ以
上のオーダーの凹凸が繊維表面に形成され、色の
深みや鮮明性の改善効果を小さくすると共に耐フ
イブリル性を劣つたものにしていることを知見し
た。 本発明者はこの知見に基づいて検討した結果、
驚くべきことに平均の一次粒子径が100ミリミク
ロン未満であつて且つ100ミリミクロン以上の二
次凝集粒子数が特定の水準以下である不活性微粒
子の特定量を含有するポリエステル繊維をアルカ
リ処理することによつて、可視光線の波長よりも
小さな凹凸を繊維表面の全面に均一に有するポリ
エステル繊維が得られ、染色した際の色の深みと
鮮明性が著しく改善されると共に耐フイブリル性
が格段に向上することを見出し、本発明を完成し
たものである。 本発明は、繊維の基体となるポリエステルの製
造反応系内において下記一般式 (式中、R1及びR2は水素原子又は一価の有機基、
Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属、mはM
がアルカリ金属の場合は1、Mがアルカリ土類金
属の場合は1/2を示す)で表わされるリン化合物
とアルカリ土類金属化合物とを反応させることに
より析出させた内部析出系の平均の一次粒子径が
100ミリミクロン未満である不活性微粒子を0.1〜
5重量%含有し、該不活性微粒子は100ミリミク
ロン以上の下記で定義する二次凝集粒子が繊維横
断面10平方ミクロン当たり3個以上存在しない不
活性微粒子含有ポリエステル繊維をアルカリ処理
することによつて該繊維の少なくとも2重量%を
溶出せしめることを特徴とするポリエステル繊維
の製造法である。(但し、二次凝集粒子とは一次
粒子径が識別できる程度に拡大された電子顕微鏡
写真で見て、隣接する一次粒子の中心間距離が一
次粒子直径の2倍未満に接近し合つた状態の粒子
群をいう。) 本発明でいう不活性微粒子含有ポリエステル繊
維を添付した写真で説明する。第1図は本発明で
いう不活性微粒子含有ポリエステル繊維の横断面
を10000倍に拡大した透過型電子顕微鏡写真であ
る。この写真より明らかなように、繊維内部に分
散する不活性微粒子の平均の一次粒子径は100ミ
リミクロン未満であつて、且つ100ミリミクロン
以上の二次凝集粒子数は繊維横断面10平方ミクロ
ン当り僅か0.3個(第1図の写真において、繊維
の横断面積は32平方ミクロンであり、100ミリミ
クロン以上の二次凝集粒子は左下部に1個見え
る)存在するのみである。第2図はこのような優
れた粒子分散性を有するポリエステル繊維にアル
カリ減量処理を施して得たポリエステル繊維の表
面を10000倍に拡大した走査型電子顕微鏡写真で
ある。この写真より明らかなように、繊維表面の
全面が可視光線の波長よりも小さな凹凸によつて
隙間なく覆われている。そして、繊維内部におけ
るかかる優れた粒子分散性と繊維表面におけるか
かる微細な凹凸とによつて、染色した際の色の深
みと鮮明性が改善されると共にその摩擦耐久性と
耐フイブリル性が改善されるのである。 本発明者の数多くの検討結果の知見によれば、
本発明でいう不活性微粒子含有ポリエステル繊維
が含有する不活性微粒子は、その平均の一次粒子
径が100ミリミクロン未満でなければならず、ま
た100ミリミクロン以上の二次凝集粒子が繊維横
断面10平方ミクロン当り3個以上存在してはなら
ない。平均の一次粒子径が100ミリミクロン以上
であつたり、100ミリミクロン以上の二次凝集粒
子が繊維横断面10平方ミクロン当り3個以上存在
するときは、アルカリ減量率が低い範囲で充分な
色の深みと鮮明性が得られず、逆に充分な色の深
みと鮮明性を得ようとしたり良い風合を出そうと
してアルカリ減量率を大きくすると耐摩擦耐久性
や耐フイブリル性が悪くなり実用上問題を生じ
る。 平均の一次粒子径としては、なかでも50ミリミ
クロン以下の範囲が好ましく、30ミリミクロン以
下の範囲が特に好ましい。又、繊維横断面10平方
ミクロン当りに存在する二次凝集粒子数として
は、なかでも2個未満であるのが好ましく、1個
未満であるのが特に好ましい。 本発明でいう一次粒子径とは該一次粒子と同じ
容積を有する想像上の球の直径を意味する。ま
た、二次凝集粒子とは一次粒子がその一次粒子径
より小さい間隔、即ち隣接する一次粒子の中心間
の距離が該一次粒子径の2倍未満に接近し合つた
状態の粒子群を意味し、この二次凝集粒子の端か
ら端までの距離が最大のところを二次凝集粒子の
大きさとする。この定義による二次凝集粒子は一
次粒子径が識別できる程度に拡大された電子顕微
鏡写真によつて観察することができる。 本発明でいう不活性微粒子は、下記一般式 (式中、R1及びR2は水素原子又は一価の有機基
であつてR1及びR2は同一でも異なつていてもよ
く、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であ
つて、mはMがアルカリ金属の場合は1、Mがア
ルカリ土類金属の場合は1/2である)で表わされ
る含金属リン化合物とアルカリ土類金属化合物と
からなる内部析出系微粒子である。。上記の不活
性微粒子はポリエステル繊維に1種のみ単独で含
有されても、また2種以上が一緒に含有されても
よい。 かかる不活性微粒子の含有量は、あまりに少な
いときには最終的に得られるポリエステル繊維の
表面凹凸が不充分となり、色の深みや鮮明性の改
善効果が認められ難く、この量を多くするに従つ
て色の深みや鮮明性は増加するが、あまりに多く
なると最早色の深みや鮮明性は著しく向上を示さ
ず、かえつて耐フイブリル性が悪化するようにな
り、その上紡糸が極めて困難となり事実上不可能
な実施範囲となる。このため、不活性微粒子の含
有量は0.1〜5重量%の範囲とする必要があり、
なかでも0.3〜3重量%の範囲が好ましい。 本発明でいうポリエステルは、テレフタル酸を
主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコー
ル、好ましくはエチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコールから選
ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを
主たるグリコール成分とするポリエステルを主た
る対象とする。 また、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性
カルボン酸成分で置換えたポリエステルであつて
もよく、及び/又はグリコール成分の一部を主成
分以外の上記グリコール、若しくは他のジオール
成分で置換えたポリエステルであつてもよい。 ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性
カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフ
タリンジカルボン酸、ジフエニルジカルボン酸、
ジフエノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキ
シエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セ
バシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボ
ン酸をあげることができる。また、上記グリコー
ル以外のジオール化合物としては例えばシクロヘ
キサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグ
ルコール、ビスフエノールA、ビスフエノールS
の如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物
およびポリオキシアルキレングリコール等をあげ
ることができる。 かかるポリエステルは任意の方法によつて合成
したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレ
ートについて説明すれば、通常、テレフタル酸と
エチレングリコールとを直接エステル化反応させ
るか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフルタル
酸の低級アルキルエステルとエチレングリコール
とをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸
とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレ
フタル酸のグリコールエステル及び/又はその低
重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階
の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度にな
るまで重縮合反応させる第2段階の反応によつて
製造される。 本発明でいう不活性微粒子含有ポリエステル繊
維は中空部を有しない中実繊維であつても、中空
部を有する中空繊維であつてもよい。また繊維の
横断面における外形や中空部の形状は円形であつ
ても異形であつてもよい。更に上記の不活性微粒
子を含有する変性ポリエステルと含有しない未変
性ポリエステルとからなり、変性ポリエステルを
鞘成分とし、未変性ポリエステルを芯成分とする
芯鞘型複合繊維であつても、変性ポリエステルと
未変性ポリエステルとからなる2層又はそれ以上
の多層のサイド・バイ・サイド型複合繊維でもよ
い。 本発明でいう不活性微粒子含有ポリエステル繊
維を製造するには前述したポリエスステルの合成
が完了するまでの任意の段階で(a)該ポリエステル
を構成する酸成分に対して0.5〜3モル%の下記
一般式 (式中、R1及びR2は水素原子又は一価の有機基
であつてR1及びR2は同一でも異なつてもよく、
Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であつ
て、mはMがアルカリ金属の場合は1、Mがアル
カリ土類金属の場合は1/2である。)で表わされる
含金属リン化合物及び(b)該含金属リン化合物に対
して0.5〜1.2倍モルのアルカリ土類金属化合物を
(a)と(b)とを予め反応させることなく添加し、しか
る後ポリエステルの合成を完了し得られたポリエ
ステルを溶融紡糸する方法が採用される。 ここで使用する含金属リン化合物は下記一般式 で表わされるリン化合物であり、式中R1及びR2
は水素原子又は一価の有機基である。この一価の
有機基は具体的には、アルキル基、アリール基、
アラルキル基又は〔−(CH2lO〕kR3(但し、R3
水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキ
ル基、lは2以上の整数、kは1以上の整数)等
が好ましく、R1とR2とは同一でも異なつてもよ
い。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であ
り、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Baが好まし
く、特にCa、Sr、Baが好ましい。mはMがアル
カリ金属の場合は1であり、Mがアルカリ土類金
属の場合は1/2である。 上記含金属リン化合物に代えてR1及び/又は
R2が金属(特にアルカリ金属、アルカリ土類金
属)で置き換つたリン化合物を使用したのでは最
終的に得られるポリエステル繊維に生成する微細
孔が大きくなつて、目的とする深色鮮明化効果が
得られず、また耐フイブリル性にも劣るようにな
る。 上記含金属リン化合物を製造するには、通常亜
リン酸又は対応する亜リン酸エステル(モノ、ジ
又はトリ)と所定量の対応する金属の化合物とを
溶媒の存在下加熱反応させることによつて容易に
得られる。なお、この際溶媒として、対象ポリエ
ステルの原料として使用するグリコールを使用す
るのが最も好ましい。 上記含金属リン化合物と併用するアルカリ土類
金属化合物としては上記の含金属リン化合物と反
応してポリエステルに不溶性の金属塩を形成する
ものであれば特に制限はない。例えばMg、Ca、
Sr、Baの酢酸塩、しよう酸塩、安息香酸塩、フ
タル酸塩、ステアリン酸塩のような有機カルボン
酸塩、硼酸塩、硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、重炭酸
塩の如き無機酸塩、塩化物のようなハロゲン化
物、エチレンジアミン4酢酸錯塩のようなキレー
ト化合物、水酸化物、酸化物、メチラート、エチ
ラート、グリコレート等のアルコラート類、フエ
ノラート等をあげることができる。特にエチレン
グリコールに可溶性である有機カルボン酸塩、ハ
ロゲン化物、キレート化合物、アルコラートが好
ましく、なかでも有機カルボン酸塩が特に好まし
い。上記のアルカリ土類金属化合物は1種のみ単
独で使用しても、また2種以上併用してもよい。 上記含金属リン化合物及びアルカリ土類金属化
合物を添加するに当つて、最終的に得られるポリ
エステル繊維に優れた色の深みとその摩擦耐久性
を与えるためには、含金属リン化合物の使用量及
び該リン化合物の使用量に対するアルカリ土類金
属化合物の使用量の比を特定する必要がある。即
ち、本発明で使用する含金属リン化合物の添加量
はあまりに少ないと最終的に得られるポリエステ
ル繊維の色の深みが不充分になり、この量を多く
するに従つて色の深みは増加するが、あまりに多
くなると最早色の深みは著しい向上を示さず、か
えつて摩擦耐久性が悪化し、その上充分な重合度
と軟化点を有するポリエステルを得ることが困難
となり、更に紡糸時に糸切れが多発するというト
ラブルを発生する。このため含金属リン化合物の
添加量はポリエステルを構成する酸成分に対して
0.5〜3モル%の範囲にすべきであり、特に0.5〜
2モル%の範囲が好ましい。またアルカリ土類金
属化合物の添加量が含金属リン化合物の添加量に
対して0.5倍モル以下の量では、得られるポリエ
ステル繊維の色の深みが不充分であり、その上重
縮合速度が低下し高重合度のポリエステルを得る
ことが困難となり、又生成ポリエステルの軟化点
が大幅に低下するようになる。逆に含金属リン化
合物に対して1.2倍モルを越える量のアルカリ土
類金属化合物を使用すると、ポリエステルオリゴ
マーのアルカリ土類金属塩の粗大粒子が生成し色
の深みは改善されるどころか、かえつて視感濃度
が低下したり、あるいはポリエステルの熱分解が
著しく促進されて得られるポリエステルが黄褐色
に着色するようになる。このため、含金属リン化
合物に対するアルカリ土類金属化合物に添加量
は、0.5〜1.2倍モルの範囲にすべきであり、特に
0.5〜1.0倍モルの範囲が好ましい。 上記含金属リン化合物とアルカリ土類金属化合
物とは予め反応させることなくポリエステル反応
系に添加する必要がある。こうすることによつ
て、不溶性粒子をポリエステル中に均一な超微粒
子状態で生成せしめることができるようになる。
予め外部で上記含金属リン化合物とアルカリ土類
金属化合物とを反応させて不溶性粒子とした後に
ポリエステル反応系に添加したのでは、ポリエス
テル中での不溶性粒子の分散性が悪くなり且つ粗
大凝集粒子が含有されるようになるため、最終的
に得られるポリエステル繊維の色の深みを改善す
る効果は認められなくなるので好ましくない。 上記の含金属リン化合物及びアルカリ土類金属
化合物の添加は、それぞれポリエステルの合成が
完了するまでの任意の段階において任意の順序で
行なうことができる。しかし、含金属リン化合物
の添加時期が第1段階の反応が未終了の段階で
は、第1段階の反応の完結が阻害されることがあ
り、またかかる多量のアルカリ土類金属化合物を
第1段階の反応終了前に添加すると、この反応が
エステル化反応のときは、この反応中に粗大粒子
が発生したり、エステル交換反応のときはこの反
応が異常に早く進行し突沸現象を引起こすことが
あるので、この場合その20重量%程度以下にする
のが好ましい。アルカリ土類金属化合物の少なく
とも80重量%及び含金属リン化合物の全量の添加
時期はポリエステルの合成の第1段階の反応が実
質的に終了した段階以降であることが好ましい。
また、含金属リン化合物及びアルカリ土類金属化
合物の添加時期が、第2段階の反応があまりに進
行した段階では、粒子の凝集、粗大化が生じ易く
最終的に得られるポリエステル繊維の色の深みが
不充分となる傾向があるので、第2段階の反応に
おける反応混合物の極限粘度が0.3に到達する以
前であることが好ましい。 上記の含金属リン化合物及びアルカリ土類金属
化合物は、それぞれ一時に添加しても、2回以上
に分割して添加しても、又は連続的に添加しても
よい。 ポリエステル合成の第1段階の反応に任意の触
媒を使用することができるが、上記アルカリ土類
金属化合物の中で第1段階の反応、特にエステル
交換反応の触媒能を有するものがあり、かかる化
合物を使用する場合は別に触媒を使用することを
要さず、このアルカリ土類金属化合物を第1段階
の反応開始前又は反応中に添加して、触媒として
も兼用することができるが、前述した如く突沸現
象を引起こすことがあるので、その使用量は添加
するアルカリ土類金属化合物の全量の20重量%未
満にとどめるのが好ましい。 このように、本発明では、使用する微粒子が、
ポリエステルの製造反応系内で、前記特定のリン
化合物とアルカリ土類金属化合物との反応によつ
て析出されるため、著しく微分散化し、前に定義
した100ミリミクロン以上二次凝集子は、10平方
ミクロン当たり3個以上は勿論のこと実質的に存
在しないポリエステルが容易に得られる。 かくして得られる不活性微粒子含有ポリエステ
ル繊維から、その一部を除去するには必要に応じ
て延伸熱処理又は仮撚加工等を施した後、又は更
に布帛にした後アルカリ化合物の水溶液で処理す
ることにより容易に行なうことができる。 ここで使用するアルカリ化合物としては水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等をあげることができる。なかでも
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好まし
い。 かかるアルカリ化合物の水溶液の濃度は、アル
カリ化合物の種類、処理条件等によつて異なる
が、通常0.01〜40重量%の範囲が好ましく、特に
0.1〜30重量%の範囲が好ましい。処理温度は常
温〜100℃の範囲が好ましく、処理時間は1分〜
4時間の範囲で通常行なわれる。また、このアル
カリ化合物の水溶液の処理によつて溶出除去する
量は、繊維重量に対して2重量%以上の範囲にす
べきである。このようにアルカリ化合物の水溶液
で処理することによつて、可視光線の波長よりも
小さな凹凸を繊維表面の全面に均一に有するポリ
エステル繊維が得られ、染色した際に優れた色の
深みと鮮明性を呈するようになる。 なお、本発明の方法により得られるポリエステ
ル繊維には、必要に応じて任意の添加剤、例えば
触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、螢光増白
剤、艶消剤、着色剤等が含まれていてもよい。 以下に実施例をあげて更に説明する。実施例中
の部及び%は重量部及び重量%を示し、得られる
ポリエステル繊維を染色した際の色の深み、摩擦
変色は以下の方法で測定した。 (i) 色の深み 色の深みを示す尺度としては深色度(K/
S)を用いたこの値はサンプル布の分光反射率
(R)を島津RC−330型自記分光光度計にて測
定し、次に示すクベルカームンク(Kubelka−
Munk)の式から求める。この値が大きいほど
深色効果が大きいことを示す。 K/S=(1−R)2/2R(測定波長500ミリミクロ ン) なお、Kは吸収係数、Sは散乱係数を示す。 (ii) 耐摩擦変色性 摩擦堅ろう度試験用の学振型平面摩耗機を使
用して、摩擦布としてポリエチレンテレフタレ
ート100%からなるジヨーゼツトを用い、試験
布を500gの加重下で所定回数平面摩耗して、
変色の度合を変褪色用グレースケールで判定し
た。耐摩耗性が極めて低い場合を1級とし、極
めて高い場合を5級とした。実用上4級以上が
必要である。 実施例 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコ
ール60部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフ
タル酸ジメチルに対して0.066モル%)をエステ
ル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけ
て140℃から230℃まで昇温して生成するメタノー
ルを系外に留去しながらエステル交換反応を行な
つた。続いて得られた反応生成物に、予め0.5部
の亜リン酸トリエチル(テレフタル酸ジメチルに
対して0.585モル%)と0.265部の酢酸カルシウム
1水塩(亜リン酸トリエチルに対して1/2倍モル)
とを8.5部のエチレングリコール中で120℃の温度
において全環流下60分間反応せしめて調製した亜
リン酸ジエステルカルシウム塩の透明溶液9.265
部に室温下0.471部の酢酸カルシウム1水塩(亜
リン酸トリエチルに対して0.888倍モル)を溶解
せしめて得た亜リン酸ジエステルカルシウム塩と
酢酸カルシウムとの混合透明溶液9.736部を添加
し、次いで三酸化アンチモン0.04部を添加して重
合缶に移した。次いで1時間かけて760mmHgから
1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分かけて230
℃から285℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧
下、重合温度285℃で更に3時間、合計4時間30
分重合して極限粘度0.638、軟化点258℃で不活性
微粒子0.4%を含有するポリマーを得た。反応終
了後ポリマーを常法に従いチツプ化した。 このチツプを常法により乾燥し孔径0.3mmの円
形紡糸孔を36個穿設した紡糸口金を使用して290
℃で溶融紡糸し、次いで常法に従つて延伸倍率
3.5倍で延伸して75デニール/36フイラメントの
原糸を得た。 この原糸にS撚2500T/m及びZ撚2500T/m
の強撚を施し、続いて該強撚糸を80℃で30分間蒸
熱処理して撚止めを行なつた。 該撚止め強撚糸を経密度47本/cm、緯密度32
本/cmでS、Z撚を2本交互に配して梨地ジヨー
ゼツト織物を製織した。 得られた生機をロータリーワツシヤーにて沸騰
温度で20分間リラツクス処理を施し、シボ立てを
行ない、常法によりプリセツト後、3.5%の水酸
化ナトリウム水溶液で沸騰温度にて処理し、減量
率が10%、20%および30%の布帛を得た。 これらのアルカリ処理後の布帛をDianix
Black HG−FS(三菱化成工業(株)製品)15%owf
で130℃で60分間染色後、水酸化ナトリウム1
g/およびハイドロサルフアイト1g/を含
む水溶液にて70℃で20分間還元洗浄して黒染布を
得た。これらの黒色布にはフイブリルの欠点が認
められず色の深みおよび摩耗200回後の耐摩擦変
色性は第1表に示した通り優れていた。 上記の減量率20%の黒染布の単糸の横断面およ
び表面を電子顕微鏡で10000倍に拡大した写真が
それぞれ第1図および第2図である。第1図の写
真より明らかな通り、繊維内部に分散する不活性
微粒子の平均の一次粒子径は100ミリミクロン未
満であつて、且つ100ミリミクロン以上の二次凝
集粒子の数は繊維横断面10平方ミクロン当り0.3
個であつた。 比較例 実施例において、エステル交換反応終了後に添
加した亜リン酸ジエステルカルシウム塩と酢酸カ
ルシウムとの混合透明溶液に調製時に室温下に溶
解させる酢酸カルシウム1水塩の量を0.63部(亜
リン酸トリエチルに対して1.187倍モル)に代え
る以外は実施例と同様に行なつて、極限粘度
0.640、軟化点259℃で不活性微粒子0.6%を含有
するポリマーを得た。 このポリマーを用いて実施例と同様に製糸、加
撚、熱処理、製織、シボ立て、プリセツト、アル
カリ減量処理、染色、洗浄した。得られた繊維は
100ミリミクロン以上の二次凝集粒子を繊維横断
面10平方ミクロン当り5個含有していた。結果は
第1表に示す通りであつた。 【表】
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明の方法になるポリ
エステル繊維の横断面および表面をそれぞれ
10000倍に拡大して写した電子顕微鏡写真である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 繊維の基体となるポリエステルの製造反応系
    内において、該ポリエステルを構成する酸成分に
    対して0.5〜3モル%の下記一般式 (式中、R1及びR2は水素原子又は一価の有機基、
    Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属、mはM
    がアルカリ金属の場合は1、Mがアルカリ土類金
    属の場合は1/2を示す)で表わされるリン化合物
    と該リン化合物に対して0.5〜1.2倍モルのアルカ
    リ土類金属化合物とを反応させることにより析出
    させた内部析出系の平均の一次粒子径が100ミリ
    ミクロン未満である不活性微粒子を0.1〜5重量
    %含有し、該不活性微粒子は100ミリミクロン以
    上の下記で定義する二次凝集粒子が繊維横断面10
    平方ミクロン当たり3個以上存在しない不活性微
    粒子含有ポリエステル繊維をアルカリ処理するこ
    とによつて該繊維の少なくとも2重量%を溶出せ
    しめることを特徴とするポリエステル繊維の製造
    法。 但し、二次凝集粒子とは一次粒子径が識別でき
    る程度に拡大された電子顕微鏡写真で見て、隣接
    する一次粒子の中心間距離が一次粒子直径の2倍
    未満に接近し合つた状態の粒子群をいう。
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