JP2932712B2 - ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、きらきらとした独特な
光沢感、不透明感、さらにはドライタッチ、しゃり感、
張り・腰、軽量感に優れた高級衣料用織編物に好適な多
角形中空断面形状のポリエステル繊維およびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリエステル衣料用織編物に光
沢感やドライなタッチ、軽量感など高級感を付与せんと
して、異形断面繊維や中空繊維を用いることが数多く提
案されている。代表的な異形断面繊維としては、T、
Y、偏平などであり、中空断面繊維としては中空丸断面
などが挙げられる。これら異形断面繊維および中空断面
繊維使い織編物は、丸断面に比べ各々に特徴ある光沢感
や風合い、軽量感を有しており、衣料用途に好んで使わ
れている。さらに異形断面繊維の優れた風合い特性と、
中空断面繊維の軽量性の2つの特性を組み合わせた繊維
がいくつか提案されている。たとえば特公昭44−18
923号公報や特公昭58−4092号公報には中空部
を有する多角形断面繊維が提案されており、特公昭57
−49650号公報には、田型中空断面繊維が提案され
ている。しかしながらこれら異形断面繊維はいずれも単
成分紡糸によって製造するため、口金から吐出後の冷却
過程で表面張力の作用により繊維横断面の頂点部が丸味
を帯び、鋭利な部分を有する断面形状が得られない。そ
のため光沢感やしゃり感などを必要とする衣料分野にお
いてはそれらの特徴が満足されるものではない。
【0003】また、最近では多様な要求の中で複合紡糸
技術を応用した頂点部が鋭利な異形断面繊維がいくつか
提案されている。たとえば特開昭56−159316号
公報には多層貼り合わせ状の複合糸の一方成分を加水分
解させて鋭いエッジをもたせた異形断面繊維を得る方法
が提案されているが、該公報に記載されている技術では
ドライタッチ等の風合いは優れているものの、繊維横断
面において凹凸を有しているので、高級感のあるきらき
らとした光沢は得られず、さらに加水分解性の大きい成
分を部分的に残しているために織編物を染色した後、染
め斑がでやすいなどの欠点をも有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術やそれらの組み合せでは達成できなかった、き
らきらとした独特な光沢感を有し、かつ、不透明感に優
れると共に、ワキシー感のないドライタッチ、しゃり
感、張り・腰、軽量感に優れた高級衣料用織編物に適し
た繊維およびその製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、極
限粘度[η]が0.67以上であるポリエチレンテレフ
タレートからなる一つの中空部における中空率が10〜
40%である中空断面繊維において、繊維横断面におけ
る頂点部の曲率半径が下記範囲を満足し、かつ隣り合う
頂点部間の辺部の変動率が10%以下である三角形以上
六角形以下の多角形とするポリエステル繊維によって達
成できる。 r≦d0.5 r:繊維横断面の頂点部曲率半径(μm) d:単繊維繊度(デニール) 以下本発明を詳細に説明する。本発明のポリエチレンテ
レフタレート繊維は、極限粘度[η]が0.67以上で
なければならない。後述する実施例で示すように、極限
粘度[η]が0.67以上でないと、引張り強度が低い
ために布帛の状態での引裂強力が低いという問題があ
る。好ましくは0.69以上であり、さらに好ましくは
0.72以上である。
【0006】また、中空率は10〜40%の範囲でなけ
ればならない。中空率が10%未満となると、軽量感素
材としての効果が低下するばかりでなく、不透明感も損
なわれてしまう。また中空率が40%を越えると形状保
持性が著しく低下してしまうので、製織以降の工程で中
空部が潰れて断面が変形してしまい本発明の目的を達成
することができなくなる。以上述べた理由により、より
好ましい中空率は20〜35%の範囲である。
【0007】次に、本発明の繊維の横断面における頂点
部の曲率半径と辺部の変動率について図をもって詳細に
説明する。
【0008】図1は本発明の繊維の断面形状を説明する
ための繊維の横断面図であり、1は繊維、2は中空部、
3は頂点部、4は辺部からなる四角形中空断面繊維であ
る。まず、本発明の繊維の横断面における頂点部3の曲
率半径rはd0.5 μm以下とする必要がある。例えば単
繊維繊度dが1デニールならば頂点部3の曲率半径rは
1.0μm以下であり、3デニールならば約1.7μm
以下である。曲率半径rがd0.5 μmを越える、なだら
かな頂点部によって構成される断面形状ではドライタッ
チやしゃり感を十分に発揮することができないからであ
る。好ましくは頂点部の曲率半径rが(d/2)0.5 μ
m以下であり、さらに好ましくは(d/3)0.5 μm以
下である。
【0009】次に、本発明においては隣り合う頂点部間
の辺部の変動率が重要である。図1において、隣り合う
頂点部3間の各辺部に基準線Lを引く。基準線Lは、L
によって形成される辺部の凹部と凸部とを加えた面積を
最小とするように引く。この時各辺部において基準線L
と最も離れた点をTとし、TとLとの距離をtとする。
一方Tが存在する辺部に対応する基準線Lにおいて、隣
り基準線との交点間の長さをsとしたときに、その繊維
の横断面における辺部の変動率を下記式により定める。
【0010】変動率(%)=(t/s)×100 本発明の繊維の横断面において、隣り合う頂点部間の辺
部の前記変動率は10%以下でなくてはならない。前記
変動率は光沢感や表面タッチと密接な関係があり、変動
率が10%を越える辺を有する断面形状では、きらきら
とした独特の光沢が発現しない。変動率は好ましくは8
%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
【0011】図2は本発明の繊維の断面形状の例を示す
横断面図である。図2の(a)は三角形、図2の(b)
は四角形、図2の(c)は五角形、図2の(d)は六角
形の例である。
【0012】本発明の効果を発揮するためには三角形以
上六角形以下の多角形断面である必要がある。七角形以
上の多角形断面となると、横断面における頂点部が鋭利
でないものとなるために、本発明の目的であるドライタ
ッチやしゃり感を満足することができない。また、前記
した特性をより発揮するためには五角形以下がより好ま
しい。
【0013】また、本発明の繊維には酸化チタンが0.
05〜1.0重量%配合されていることが好ましい。酸
化チタンの配合量が0.05重量%未満であるとギラギ
ラした反射があり、高級感のある光沢が得られない。ま
た、酸化チタンの配合量が1.0重量%を越えると、ダ
ル効果によって染色後の鮮明性が低下してしまうために
好ましくない。
【0014】次に本発明の繊維の製造方法の具体例につ
いて詳細に説明する。本発明の繊維の製造にあたって
は、まず外層、内層部からなる中空複合繊維を得、しか
る後該複合繊維の外層部を溶解除去する。
【0015】本発明に用いられる前記複合繊維の外層成
分は、ポリエチレンテレフタレートに5−ソジュームス
ルホイソフタル酸成分を1.5モル%以上共重合する必
要がある。これは、内層成分のポリエチレンテレフタレ
ートをそのまま残し、外層成分のみを溶解除去するため
に、内層成分と外層成分との間に溶解速度差をもたせる
必要があるからである。この際に外層成分のみを溶解す
るための溶剤としてはアルカリ溶液(たとえば水酸化ナ
トリウム熱水溶液)を使用するのであるが、共重合量が
1.5モル%未満であると、内層成分とのアルカリ溶液
に対する溶解速度差が小さいために、内層部の頂点部分
が溶解して丸まってしまい、本発明の目的とする断面形
状が得られない。共重合率は好ましくは2.0モル%以
上であり、より好ましくは3.0モル%以上である。一
方、前記共重合率が高すぎると複合繊維の強度が著しく
低下するばかりでなく、熱水に対する溶解性が増大し、
製造工程で単繊維間膠着が発生する等の欠点を有するた
め、好ましくは共重合率は6.0モル%以下である。
【0016】また、前記外層成分は、極限粘度[η]が
0.34以上とする必要がある。外層成分の極限粘度
[η]が低すぎると、紡糸時の糸切れなど製糸性が低下
するばかりでなく、できても高次加工で糸切れが発生し
やすいためである。
【0017】本発明に用いられる複合繊維の内層成分で
あるポリエチレンテレフタレートは、極限粘度[η]が
0.70以上でなければならない。後に述べるように、
本発明の繊維においては中空部が布帛の風合向上に大き
な役割を果している。この中空部を形成させる段階で、
より高い中空率を得るためには紡糸の段階でのポリマの
溶融粘度を高くする必要がある。さらに、本発明の繊維
を製造する過程においては布帛の状態で高率の減量加工
を施すのであるが、この段階で布帛の強力低下が著しい
ため引裂強力が低いという問題がある。そのため外層部
を溶出した後でも実用上問題とならない引裂強力を維持
するために、内層部の極限粘度[η]を高くしておく必
要がある。以上前記した2つの理由により、極限粘度
[η]が0.70以上である必要があり、好ましくは
0.72以上であり、さらに好ましくは0.75以上で
ある。また、極限粘度[η]が高すぎると紡糸段階で圧
力損失が高い等、種々の問題が発生するので、極限粘度
[η]は1.0以下が好ましい。
【0018】以上述べたような内層成分と外層成分から
なる2種のポリマをそれぞれ別々に溶融、計量し、中空
の複合繊維を得る。図3は本発明で好ましく用いられる
複合口金装置の要部縦断面図である。図4は本発明に使
用される口金孔形状の例を示す口金の下面図である。図
5は図4の口金孔形状を説明するための口金の下面図で
ある。図3〜5において、5は上部導入板、6は下部導
入板、7は口金、8はスリットである。内層成分のポリ
マAが上部導入板5から導入され、外層成分のポリマB
が下部導入板6から導入され、口金7で内外層の複合流
となりスリット8から吐出する。
【0019】このように、2種のポリマを内外層複合流
としてスリット8より吐出するのであるが、本発明にお
いては該内層成分の溶融粘度を外層成分の1.2倍以上
6倍以下とする必要がある。内層成分の溶融粘度を外層
成分よりも高くすることにより、各スリットから吐出さ
れたポリマの複合流はスリットの内側方向に曲がり、両
端が相互に衝突・融着を起こして接合し、内層部の断面
形状が多角形である中空断面の複合繊維を形成するので
ある。
【0020】ところで、各スリットから吐出した複合ポ
リマ流を確実に衝突・融着させ、かつ目的とする鋭利な
断面形状の内層部を安定して製造するためには、内・外
層成分の溶融粘度を適正化する必要がある。内層成分の
溶融粘度が外層成分の溶融粘度の1.2倍未満では、外
層成分を溶出した後に得られる繊維の横断面における辺
部が弧状に膨らんでしまい、頂点部も丸みを帯びてしま
うために、ドライタッチや張り・腰に欠け、光沢感もに
ぶいものとなってしまう。さらに、本発明の繊維の横断
面における頂点部をより鋭利にし、かつ辺部の直線性を
向上させるためには、内層成分の溶融粘度を外層成分の
1.5倍以上にすることがより好ましい。また内層成分
の溶融粘度が外層成分の6倍を越えた場合は、口金直下
でのポリマ複合流の衝突・融着が不安定となり、その結
果、複合異常を起こして経時的に断面が変動するため
に、目的とする多角形中空断面形状の繊維を得ることが
できなくなる。さらに安定した生産を行うためには内層
成分の溶融粘度を外層成分の溶融粘度の5倍以下にする
ことが好ましく、4倍以下がより好ましい。
【0021】ここで、最終的に吐出する口金孔の形状
を、図4の(b)の4分割のスリットからなる口金孔を
例示する図5で説明する。スリット8の曲率半径hは、
口金孔中心Qからスリット中央部P(スリットの長さx
および幅wにおける中間点)までの距離(以下、口金孔
半径iと呼ぶ)の0.8〜1.2倍である環状配置であ
ることが好ましい。これは、スリットの形状を前記した
範囲内とすると複合繊維の段階でみれば、横断面の外周
形状は円形状となり、例えば製編織後に外層成分を溶解
除去する場合、製編職時に複合繊維がマルチフィラメン
トの中でランダムな配置になりやすくなり、そのため外
層成分を溶解した後に繊維の横断面が多角形になっても
編織物の中でランダムな状態で配置されており、編織物
にも自然な風合いを与えるからである。なお、前記した
4分割のスリットは、好ましくは図4の(b)および図
5に示すように、同一孔形状で同一寸法である4個のス
リットを点対称状に配置し、3分割ならば図4の(a)
に示すように3個のスリットを、5分割ならば図4の
(c)に示すように5個のスリットを、6分割ならば図
4の(d)に示すように6個のスリットを点対称状に配
置する。
【0022】また、単孔を構成するスリット数は3個以
上6個以下であることが必須である。多角形中空断面繊
維の頂点部および辺部の数は、単孔を構成するスリット
の数に等しく、3分割であれば三角形中空断面繊維とな
り6分割であれば六角形中空断面繊維となるからであ
る。したがって、単孔を構成するスリット数がこの範囲
でなければ、本発明の目的とする多角形中空断面繊維が
得られない。
【0023】また、前記したように2種のポリマは各ス
リットにおいて、内外層2層状態で吐出される。吐出す
る際の内層部の複合比率は、辺部の変動率を所望の範囲
とし、なおかつ頂点部を鋭利にするために40重量%以
上、75重量%以下とすることが必要である。好ましく
は内層部の複合比率は45〜65重量%の範囲である。
【0024】また、前記した方法によって得られた複合
繊維をその後の適当な工程で該外層成分を溶剤処理によ
り溶出し、内層成分を残留せしめることにより図4の
(a)、(b)、(c)および(d)の口金を用いた場
合には、各々図2の(a)、(b)、(c)および
(d)に示すような多角形中空断面繊維を得ることがで
きる。この際の溶剤としてはアルカリ溶液が好ましく使
用され、特に好ましくは水酸化ナトリウム熱水溶液であ
る。またこの処理はいずれの工程でも構わないが、生産
の安定性から製織、製編後とすることが好ましい。
【0025】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。 A.外層部溶出後の強度 試料となる原糸を4重量%水酸化ナトリウム熱水溶液に
て処理して外層部を溶解除去した後、オリエンテック社
製テンシロンUCT−100にて引張り試験を行い、外
層部を溶出した後の繊度で強度を算出した。 (外層部溶出後の強度)=(引張り強力)/(内層部の繊度)(g/d) B.風合特性(しゃり感、張り・腰、光沢感、不透明
感、軽量感) 各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試
験を実施し、4段階評価した。そしてそれらを総合評価
して、「極めてすぐれている」は◎、「すぐれている」
は○、「劣っている」は△、「極めて劣っている」は×
で表わした。なお、基準試料には通常定番品種として用
いられている試料原糸と同一繊度、同一フィラメント数
のY断面ポリエステルフィラメント糸を試料と同様の製
織、加工を施したものを用い、これを「劣っている」と
した。 C.極限粘度[η] 温度25℃においてオルソクロロフェノール(以下OC
Pとする)10mlに対し試料0.10gを溶解し、オ
ストワルド粘度計を用いて測定した。 D.溶融粘度 溶融粘度は宝工業株式会社製メルトインデクサ―タイプ
MX−101−Bにより、紡糸温度と同温度でずり速度
30( 1/SEC )において測定した値である。
【0026】実施例1 内層成分として極限粘度[η]が0.75で酸化チタン
を0.3重量%配合したポリエチレンテレフタレ―ト
を、外層成分として極限粘度[η]が0.44で、5−
ソジュームスルホイソフタル酸ジメチルを3.2モル%
共重合した変性ポリエステルを用い、通常の複合紡糸機
により紡糸温度295℃で図3に示す芯鞘複合口金を用
いて、図4の(b)に示す口金孔半径iが0.6mmで
あり、かつスリットの曲率半径hが0.6mmである環
状の4分割スリット中空孔より、内層部の複合比率が5
0重量%で吐出し、1500m/分の速度で巻取った。
内層成分、外層成分の各々の単独ポリマの溶融粘度は4
400poise 、1700poise であり、粘度の比は約
2.6倍であった。この未延伸糸を通常の延伸機により
延伸して得たマルチフィラメント複合繊維を、経糸、及
び緯糸として製織し、98℃でリラックス精練、180
℃で中間セットした後、4重量%水酸化ナトリウム98
℃熱水溶液で処理し、外層成分を溶出して75デニール
36フィラメントとし、170℃で仕上げセットするこ
とで羽二重を得た。得られた試料についてそれぞれ官能
評価を実施した結果、これまでの異形断面ポリエステル
フィラメント使いの織物では達成できなかった風合いで
あり、いずれの風合い特性も極めて優れたものであっ
た。結果は表1および表2に記した。
【0027】実施例2、実施例3 内層成分として極限粘度[η]が0.70で酸化チタン
を0.3重量%配合したポリエチレンテレフタレート
を、外層成分として極限粘度[η]が0.38で、5−
ソジュームスルホイソフタル酸ジメチルを3.2モル%
共重合した変性ポリエステルを用い、内層部の複合比率
を60重量%および75重量%とした以外は、実施例1
と同様の条件で実施した。得られた試料の結果を表1お
よび表2に記した。内層部の複合比率が60重量%であ
る実施例2の試料は、実施例1と同様、いずれの風合い
特性も優れたものであった。また、内層部の複合比率が
75重量%である実施例3の試料は、適度なしゃり感、
張り・腰、不透明感と軽量感を兼ね備えた点で従来品よ
りよいものであった。
【0028】比較例1 内層部の複合比率が90重量%以外は実施例1と同様の
条件で実施した。得られた試料の結果を表1および表2
に記した。得られた試料は、断面外周の辺部が弧状に膨
らんでしまい、頂点部も丸みを帯びたために、しゃり感
や張り・腰がなく、また光沢感も劣るものだった。
【0029】比較例2 内層成分の極限粘度[η]を0.66とし、外層成分の
極限粘度[η]を0.32とした以外は、実施例1と同
様の条件で実施した。得られた結果を比較例2として表
1および表2に記した。比較例2の試料は4重量%水酸
化ナトリウム熱水溶液処理により外層部を完全に溶解除
去した結果、引張り強度が他の試料と比較して低いた
め、布帛にしたときの引裂強力も低いものであった。
【0030】比較例3 内層成分の極限粘度[η]を0.60とし、外層成分の
極限粘度[η]を0.28とした以外は実施例1と同様
の条件で実施した。得られた結果を比較例3として表1
および表2に記した。中空率が5%である比較例3の試
料は、しゃり感はあるものの張り・腰がなく、光沢感、
不透明感、軽量感ともに従来品より劣るものであった。
【0031】比較例4 内層部の複合比率を35重量%とした以外は実施例1と
同様の条件で実施した。得られた結果を比較例4として
表1および表2に記した。中空率が43%である比較例
4の試料は、染色工程でフィブリル化が織物全面に発生
してしまい、実施例1に比べていずれの風合いも劣るも
のとなってしまった。
【0032】実施例4、実施例5、実施例6 外層成分のポリマ組成および重合度を表1に示すように
変更した以外は実施例2と同様の条件で実施した。得ら
れた結果を表2に記した。5−ソジュームスルホイソフ
タル酸ジメチルを1.8モル%共重合したポリエチレン
テレフタレートを外層成分とした実施例4の試料と、内
層成分の外層成分に対する粘度の比が1.2倍である実
施例5の試料は共に、しゃり感、張り・腰、きらきらと
した光沢感などの特性が優れたものであった。さらに内
層成分の外層成分に対する粘度の比が6倍である実施例
6の試料はしゃり感に優れたものであった。
【0033】比較例5、比較例6、比較例7 外層成分のポリマ組成および重合度を表1に示すように
変更した以外は実施例2と同様の条件で実施した。得ら
れた結果を表1および表2に記した。5−ソジュームス
ルホイソフタル酸ジメチルを1.2モル%共重合したポ
リエチレンテレフタレートを外層成分とした比較例5の
試料は、製織後の4重量%水酸化ナトリウム98℃熱水
溶液処理により外層部を完全に溶解した結果、内層部断
面の頂点部も減量されたために頂点部が丸みを帯びてし
まい、しゃり感ばかりでなく、張り・腰も劣るものであ
った。また内層成分の外層成分に対する粘度比を1.1
倍とした比較例6の試料は内層部断面の辺部が弧状に膨
らみ、断面平坦部の凹凸の変動率が15%と高いために
しゃり感がなく、にぶい光沢感で風合いの劣るものであ
った。また、粘度比が6.5倍である比較例7は紡糸時
に複合異常を生じ、製糸性も悪いために試料を得ること
ができなかった。
【0034】実施例7 吐出する口金が図5の(a)に示す口金孔半径iが0.
6mmでありかつスリットの曲率半径hが0.6mmで
あるスリットで構成された3分割中空孔である以外は実
施例1と同様の条件で実施した。得られた結果を表1お
よび表2に記した。試料は図2の(a)に示す断面形状
をしており、きらきらとした独特の光沢感が実施例1の
試料に比較してさらに高いほか、しゃり感、張り・腰、
不透明感に優れたものであった。
【0035】実施例8 吐出する口金が図5の(d)に示す口金孔半径iが0.
6mmでありかつスリットの曲率半径hが0.6mmで
あるスリットで構成された6分割の中空孔である以外は
実施例1と同様の条件で実施した。得られた結果を表1
および表2に記した。試料は図2の(d)に示す断面形
状をしており、光沢感、不透明感、張り・腰、は良好で
あり、またしゃり感とともにソフトな風合いで好ましい
ものであった。
【0036】比較例8 吐出する口金が図6に示す口金孔半径iが0.6mmで
あり、かつスリットの曲率半径hが0.6mmであるス
リットで構成された7分割の中空孔である以外は実施例
1と同様の条件で実施した。得られた結果を表1および
表2に記した。試料は図7に示した断面形状であった
が、しゃり感に乏しく特徴のないものであった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明は、従来技術では達成し得なかっ
た鋭い頂点部をもち、かつ中空率の高い多角形状の中空
断面を有するポリエステル繊維およびその製造方法に関
するものである。本発明の繊維はきらきらとした独特な
光沢感、不透明感、さらにはドライタッチ、しゃり感、
張り・腰、軽量感に優れた特性を有しており、これまで
の異形断面繊維では得ることができなかった衣料用の清
涼感素材として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の繊維の断面形状を説明するための繊
維の横断面図である。
【図2】 本発明の繊維の断面形状の例を示す繊維の横
断面図である。
【図3】 本発明で好ましく用いられる複合口金装置の
要部縦断面図である。
【図4】 本発明に使用される口金孔形状の例を示す口
金の下面図である。
【図5】 図4の孔形状を説明するための口金の下面図
である。
【図6】 比較例で使用される口金孔形状の例を示す口
金の下面図であり、
【図7】 図6の口金から得られた繊維の断面形状の例
を示す横断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−74667(JP,A) 特開 昭53−74134(JP,A) 特許2569830(JP,B2) 特公 昭43−8988(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/62 303 D01D 5/24 D06M 11/38 D01F 8/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極限粘度[η]が0.67以上であるポリ
    エチレンテレフタレートからなる一つの中空部における
    中空率が10〜40%である中空断面繊維において、繊
    維横断面における頂点部の曲率半径が下記範囲を満足
    し、かつ隣り合う頂点部間の辺部の変動率が10%以下
    である三角形以上六角形以下の多角形とすることを特徴
    とするポリエステル繊維。 r≦d0.5 r:繊維横断面の頂点部曲率半径(μm) d:単繊維繊度(デニール)
  2. 【請求項2】極限粘度[η]が0.34以上で、5−ソ
    ジュームスルホイソフタル酸成分を1.5モル%以上共
    重合したポリエチレンテレフタレートを外層成分とし、
    極限粘度[η]が0.70以上で、溶融粘度が外層成分
    の1.2倍以上6倍以下のポリエチレンテレフタレート
    を内層成分として、内層部の複合比率が40重量%以上
    75重量%以下の内外層複合流を、3分割以上6分割以
    下のスリットで構成された環状の口金孔より吐出させ、
    口金直下でポリマ複合流を接合させて巻き取った中空断
    面複合繊維の前記外層成分を溶剤で溶出し、多角形中空
    断面形状とすることを特徴とするポリエステル繊維の製
    造方法。
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