JP3653842B2 - ナイロン中空繊維、その製造方法及びその用途 - Google Patents

ナイロン中空繊維、その製造方法及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空を有するナイロン繊維の改良に関するものである。さらに詳しくは、光沢感及び不透明感がともに優れた独特な風合いをもち、高強度を有し、耐潰れ性、耐擦過性、軽量・保温性にも優れ、スポーツウェア製品やカバン地等の用途に好適なナイロン中空繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン繊維は、機械的性質、化学的性質、肌触り、光沢性等において優れた特性を有することから一般衣料製品等の用途で広く使用されている。
【0003】
ナイロン繊維製衣料製品においては風合いの良さに対するニーズが強く、なかでも光沢感、不透明感、軽量感に対する要望が強い。衣料製品の風合いを改善する既知の手段として染色方法や織編物の組織を工夫すること等の繊維加工による手段があるが、これら加工手段では大きな改善は難しい。
【0004】
そこで、繊維自体の改良によって風合いを改善することが検討されている。例えば、艶消し剤の添加量の増減によって光沢感や不透明感を調整する方法がある。しかしながら、艶消し剤の添加量の増大によって光の透過を抑え不透明感を高めると、その代償として光沢感が失われてしまい、逆に、その添加量の低減によって光沢感を高めると、その代償として不透明感が失われてしまうので、艶消し剤の添加量の調節による方法では、光沢感と不透明感とを併せ持つ繊維を得ることは困難である。
【0005】
また、軽量・保温性等という観点から衣料用のナイロン製中空繊維が検討されているが、紡糸口金によって中空繊維を製造する方法では、ナイロンの場合ポリエステルと異なり高い中空率を安定して得ることが難しい。
【0006】
そこで、細繊度の衣料用ナイロン繊維では、芯鞘型の複合繊維を製糸した後に芯部を溶出除去することによって高中空率の中空ナイロン繊維を製造する方法が特開平3−249266号公報等で提案されている。しかしながら、この芯部溶出除去の方法では、芯部溶出という時間のかかる工程が必要であり、また、その溶出処理に使う溶剤の処分の問題もあるので、工業的実施の点からすると望ましいものではなく、紡糸口金により直接に中空繊維を製造する方法での実施が要求されている。
【0007】
ところで、紡糸口金により直接に中空繊維を製造する技術に関しては、ポリエステル繊維ではあるが優れた技術が特開平7−268727号公報で提案されている。即ち、特定の添加剤を含有させたポリエステルからなり三角形状中空部を有する中空繊維とすることによって発色性や光沢等の優れた衣料用ポリエステル中空繊維を得るという技術である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリエステル繊維はナイロン繊維に比べて強度や耐擦過性等の点において劣るので、それら特性が高いことが強く要求されるスポーツウェア製品等には上記ポリエステル中空繊維は不適当である。また、ポリエステル中空繊維はナイロン中空繊維と比較して耐磨耗性が悪いために中空部壁の肉厚を特定範囲内に規制するなどの厳しい条件制御が必要であり、それでも、強度や耐摩耗性等が特に要求されるスポーツ用衣料製品等の用途へは展開が難しい。
【0009】
従って、特にスポーツウェア製品等のために、ナイロン中空繊維の製造が求められている。ところが、ナイロン中空繊維は、前述したとおり、ポリエステルに比べて中空部の制御が格段に難しいので、上記特開に記載された技術のみでは所望のナイロン中空繊維を製造することは困難であった。
【0010】
そこで、本発明は、スポーツウェア製品等の用途に好適な特性を有する、三角形状中空部を有するナイロン中空繊維を提供することを主な目的とする。
【0011】
即ち、光沢感及び不透明感がともに優れた独特な風合いを有し、強度や耐擦過性が高く、耐潰れ性や軽量・保温性等にも優れたナイロン中空繊維及びその製造方法を提供することを主な目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明のナイロン中空繊維は、化チタンを含まずかつ相対粘度が2.9以上であるナイロンからなり、変形度が1.2〜1.6かつ中空率が10〜40%である三角形状の中空部を有し繊維断面外径円状であり、繊維強度が5.0g/d以上であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のナイロン中空繊維の製造方法は、酸化チタンを含まない高粘度ナイロンを1500poise以上の溶融粘度で、スリット長さ/スリット幅の比が6〜20であるスリットの3つを円弧状に配列してなる吐出孔から溶融紡糸することにより前記ナイロン中空繊維を製造することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のナイロン中空繊維は酸化チタンを含まないナイロンポリマで形成されている必要がある。これに対し、酸化チタンが含まれていると、本発明の目的とする高い光沢感や発色性が得られない。即ち、本発明のナイロン中空繊維は酸化チタンを含まないナイロンポリマを使用することにより優れた光沢感を有するのである。勿論、酸化チタン以下の顔料含まれない。
【0015】
また、本発明では所望の中空形状、中空率及び高強力を保持するために、相対粘度が2.9以上のナイロンポリマで形成されていることが必要であり、さらに、3.0以上が好ましい。相対粘度が2.9未満では、中空率10%以上のナイロン中空繊維とすることが難しい。また、繊維横断面形状の潰れ易さという点や高い軽量・保温性を得るという点を総合的に考慮すると、好ましい中空率は20〜30%であり、この中空率を得るためには相対粘度は3.1以上とすることが好ましい。
【0016】
ここで、ナイロンは、ナイロン6、ナイロン66で代表され、それらを主体とする共重合体や混合物であってもよい。
【0017】
本発明のナイロン中空繊維は、中空部の形状が三角形状であることを要する。上記した特定のナイロンポリマを用いれば、円形中空部や四角中空部を有する中空繊維でも丸断面繊維よりも高い不透明感を得ることができるが光沢感を併せ持つことは困難である。中空部が三角形状である中空繊維とすることによってはじめて高い光沢感と高い不透明感とを併せ持つ繊維とできるのである。さらに、中空率の高い中空部の存在により織編物を軽量化できる。
【0018】
中空部が三角形状であることによって、延伸時および高次加工工程での中空部の潰れ、即ち中空率の低下が少ない。一般的に中空繊維の製造およびその高次加工工程において、中空繊維はローラ類との接糸圧やガイド類での摩擦力あるいは他の外力によって、繊維に横方向からの圧力が加わり繊維断面が楕円形や偏平形に潰れ中空率が低下する。この現象は中空率が高い中空繊維ほど起こり易い。しかも、ある中空率を越える場合には繊維の外形および中空部が円形の場合に起こり易い。
【0019】
本発明の中空繊維の中空部は、全体として三角形状であり好ましくは正三角形であるが、図1のような外側に膨らんだ曲面から形成される三角形状(所謂おむすび型)であってもよい。そのときの中空部の三角形状としては、中空部の重心から中空部の外周までの最短距離と最長距離との比で表される変形度が、1.2〜1.6の範囲内であることを要する。変形度が1.2未満では中空部の潰れが生じ易く、しかも、高い光沢感と高い不透明感とを併せ持つことが困難である。また、逆に変形度が1.6を越えると、やはり中空部の潰れが生じ易く、繊維に一種のギラツキ感が生じてきて優れた風合いが得られ難い。
【0020】
本発明の中空繊維の繊維横断面における中空部の占める面積、即ち中空率は、10〜40%の範囲内であることを要する。中空率が10%未満では高い光沢感と高い不透明感とを併せ持つことが困難であり、また、衣料品としての軽量・保温性の効果も不十分である。
【0021】
中空率が高いほど、高い光沢感と高い不透明感とが得られ、軽量・保温性も高まるので好ましいが、あまりにも高過ぎると高次加工工程において繊維横断面の潰れが発生し易くなるので、得られる繊維製品において所望の中空率を保持することができない。しかも、高過ぎる中空率では繊維製品を使用中においても繊維横断面の潰れが発生し易く、所望の特性を維持することが難しい。これらの点かから、中空率は40%以下であることが必要であり、特に20〜30%の中空率が好ましい。
【0022】
また、繊維製品に必要な耐久性の点から、繊維の強度は5.0g/d以上であることを要する。強度が5.0g/d未満では、最終繊維製品に必要な強さが不足して耐久性が劣り、特に、中空部の潰れや中空部壁の破裂が生じ起く、所望の特性を維持することが困難である。
【0023】
例えば、単糸繊度3デニール、中空率20%の繊維で、本発明の中空繊維(三角形状の中空部を有する)と、従来の丸断面形状の中空部を有する中空繊維とを比較すると、中空部までの肉厚(即ち、中空部壁の厚み)で最も薄い部分の厚みが、本発明の中空繊維で約7ミクロン、従来の丸断面中空部の中空繊維で約10ミクロンである。このように本発明の中空繊維では肉厚が部分的に薄くなっているので、繊維の横方向からの圧力による繊維横断面の潰れを防止するために、強度を高くすること、即ち、5.0g/d以上の強度が必要であり、特に、強度5.5g/d以上が好ましい。
【0024】
本発明のナイロン中空繊維の外周形状は、円状であることが必要である
【0025】
本発明のナイロン中空繊維は、酸化チタンを含まない高粘度ナイロンを、1500poise以上の溶融粘度で、スリット長さ/スリット幅の比が6〜20であるスリットの3つを円弧状に配列してなる吐出孔から溶融紡糸することにより製造することができるものであり、溶融紡糸された糸条は、通常の溶融紡糸と同様、給油した後に所望の速度で引取り、或いは、一旦巻取った後に延伸し、巻取ってナイロン中空繊維とすればよい。
【0026】
その溶融紡糸における溶融温度は、上記した溶融粘度を維持できて紡糸可能であれば特に限定されず、通常のナイロンの溶融紡糸温度と同程度でもよい。
【0027】
図2の吐出孔形状は、それぞれ、図1の中空繊維を得るために使用できるものであり、本発明によるものである。これに対し、図4a、図4bの吐出孔形状は、それぞれ、図3a、図3bの中空繊維を得るためのものであり、本発明外のものである。また、図4cの吐出孔形状は、図3cに示す丸断面形状のためのものである。
【0028】
上記したように、本発明の中空繊維製造用の吐出孔としては、スリット長さ/スリット幅の比が6〜20であるスリットの3つを円弧状に配列してなるものが有効である。即ち、図2aのように、スリットを3つ円弧状に配列させてなる吐出孔とすれば中空部を三角形状にすることができるのである。これに対し、図4aのようにスリットの4つを四角形状に配列させてなる吐出孔では、図3aのように四角形状の中空部を有する中空繊維となり、また、図4bのようにスリットを多く配列させると、図3bのような丸断面中空部を有する中空繊維となる。
【0029】
さらに、そのスリットは、長さ/幅の比が6〜20の範囲内であることが、所望の中空率及び強度を有する中空繊維を紡糸性良く製造するために好ましい。そのスリットの形は、図2aのように円弧状に湾曲した形でもよいしスリット中央部が若干幅広となった形(図示なし)でもよい。また、そのスリットの長さb及び幅aは、図2に図示したとおりに測った値である。なお、図2aの円弧状のスリットでは、その幅の中心部における長さである。
【0030】
このように製糸して得られたナイロン中空繊維は、通常のナイロン繊維と同様に後加工することができる。特に、タスラン加工と称される流体処理加工によって嵩高性を付与することが、軽量・保温性の効果をさらに高めるために有効である。
【0031】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。物性の測定方法は次のとおりである。なお、編地での測定には、試料糸を27Gの筒編機により編んだ編密度45本/インチの筒編地を用いる。
【0032】
A.相対粘度
試料を秤量した後、濃硫酸(98.0%)に溶解する。その0.5重量%溶液をオストワルド粘度計にて25℃で測定する。
【0033】
B.繊維強度
オリエンテック社製の“テンシロン”を用いて測定する。初荷重として糸条繊度(デニール)の1/30のグラム数の荷重を加え、糸長50cm、引張速度50cm/minの条件で測定し、最高強力を求める。
【0034】
C.中空部の変形度
繊維の横断面写真から、中空部の重心から中空部の外周までの最長距離(L1 )と最短距離(L2 )とを求め、次式により算出する。
中空部の変形度=L1 /L2
【0035】
D.中空率
繊維の横断面写真から、中空部の断面積と、繊維外周内の断面積とを求め、次式により算出する。
中空率(%)=(中空部の断面積/繊維外周内の断面積)×100
【0036】
E.光沢度
城南製作所製の3次元変角光度計を用いて測定する。入射角=45゜、反射角=45゜に設定し、試料に垂直な入反射面において試料をその平面内で360゜回転させて、反射強度を酸化マグネシウム白板に対するパーセントでもって求める。
【0037】
F.不透明度
試料糸からの筒編地を2つ折りにして日本電色工業製のカラーメーターΣ80を用いて明度(L値)を測定する。基準白板を背景とした時の明度(Lw )と、基準黒板を背景とした時の明度(Lb )との差を不透明度とする。
【0038】
G.軽量性
試料糸からの長さ1mの筒編地の重量を測定し、下記の基準により判定する。
良好:12g未満、 ほぼ良好:12以上15未満、 不良:15g以上
【0039】
H.布帛品位
試料糸からの筒編地を目視によって下記の基準で判定する。
良好:編地面にスジやムラが殆ど認められない。 不良:編地面にスジやムラが明らかに認められる
【0040】
I.耐フィブリル性
試料糸からの筒編地を平板上に載置させ、その上を、水で濡らしたナイロンタフタを載せその上に1kgの荷重を載せて1万回の強制擦過試験を行なう。擦過試験後の編地の状態を目視判定し、下記の基準で表記する。
特に良好:外観変化なし、 良好:光沢の変化が僅かあるが白化はない、 不良:部分的に白く変色している、 特に不良:全体的に白く変色している。
【0041】
J.紡糸時の糸切れ頻度
紡糸工程において発生する糸切れの回数を数え、1tの繊維を製糸する間の回数でもって表す。
【0042】
[実施例1]
ε−カプロラクタムを常法によって重合することによって、相対粘度が3.2、酸化チタンの濃度が0%(なし)又は0.38%の2種のナイロン6ポリマを製造した。これらポリマを紡糸温度280℃、溶融粘度2000poiseで、で図2aに示す口金吐出孔を24個有する紡糸口金から溶融吐出した後、通常の方法で冷却し、油分付着量が0.4重量%となるように給油し、900m/分で引取り、引続き2.78倍に延伸し、2500m/分で巻上げ、60デニール24フィラメントの中空繊維糸条を製造した。
【0043】
得られた繊維は図1aの繊維横断面形状を有し、その中空部の変形度、中空率、強度、及び、編地で測定した光沢感、不透明感は表1に示すとおりであった。
【0044】
本発明の繊維(水準1)から得られた編地は、光沢感良好でしかも不透明感も良好であり、優れた風合のものであった。これに対し、酸化チタンを含有する比較例の繊維(水準2)は光沢度が小さく光沢感が劣っていた。
【0045】
【表1】
Figure 0003653842
【0046】
[実施例2]
実質的に酸化チタンを含まない水準1のポリマにおいて相対粘度と溶融粘度を表2に示すように変更させてナイロン6ポリマを製造し、これらポリマから実施例1と同様の製糸方法によって中空繊維糸条を製造した。得られた繊維の中空部の変形度、中空率、強度、及び、編地で測定した光沢感、不透明感、軽量性、布帛品位、耐フィブリル性を表2に示した。なお、実施例1水準1についての測定値も対比のために併記した。
【0047】
本発明の繊維(水準1、4、5)から得られた編地は、光沢感、不透明感、軽量性、及び耐フィブリル性のいずれも良好であった。
これに対し、水準3の比較例の場合は、中空率も中空部変形度も小さ過ぎるので、編地での不透明感、軽量性が劣っていた。しかも、光沢感も若干劣っていた。
また、水準6の比較例の場合、編成時に繊維横断面形状の潰れやフィブリル化が生じたので、編地面においてその潰れた部分がスジ状の斑となり、フィブリル化の発生と相俟って編地特性は全てにおいて不良であった。
【0048】
【表2】
Figure 0003653842
【0049】
[実施例3]
実施例1の水準1のナイロン6ポリマを用い、紡糸口金の吐出孔形状を図4a、図4b、図4cのように変更した以外は、実施例1と同様の製糸方法によって中空繊維糸条又は丸断面繊維糸条を製造した。得られた繊維の中空部変形度、中空率、強度、及び、編地で測定した光沢感、不透明感を表3に示した。なお、実施例1水準1についての測定値も対比のために併記した。
【0050】
本発明の繊維(水準1)に比べ、中空部形状が正方形状の水準7の比較例の場合では、編成時に繊維横断面形状の潰れが発生し、その潰れた部分がスジ状の斑となり、編地品位が不良であった。また、中空部形状が円状の水準8の比較例の場合では、水準7の場合と同様に編成時に繊維横断面形状の潰れが発生し、その潰れた部分がスジ状のムラとなり、編地品位が不良であった。さらに、水準8では、光沢感も不十分であった・
【表3】
Figure 0003653842
【0051】
[実施例4]
実施例1の水準1のナイロン6ポリマを用い、紡糸口金の吐出孔におけるスリットの幅及び長さを表4のように変更した以外は、実施例1と同様の製糸方法によって中空繊維糸条を製造した。得られた繊維の中空率、強度、及び、紡糸糸切れ回数の結果を表4に示した。なお、実施例1水準1についての測定値も対比のために併記した。
【0052】
本発明のスリット条件を満足する水準1、11、12、15の場合は、所望の中空率及び強度を有する中空繊維が製糸性良好に製造することができた。
これに対し、スリット長さ/巾の比が大き過ぎた水準10及び14の場合は、強度が低い繊維となり耐久性の劣るものであった。特に、水準14の場合は製糸性も悪かった。また、スリット長さ/巾の比が小さ過ぎた水準13の場合は製糸性が悪く、水準16の場合は、中空率が小さい繊維となり不透明感や軽量性が不満足なものであった。
【0053】
【表4】
Figure 0003653842
【0054】
[実施例5]
実施例1の水準1で得られたナイロン中空繊維糸条を通常の方法で製織して、織密度が経150本/インチ、緯80本/インチの平織物を製造し、さらに通常の方法で縫製してウインドブレーカーを製造した。得られたウインドブレーカーは、軽量感に優れ、しかも不透明感があるにもかかわらず上品な光沢感があり、高級感があった。さらに、約1か月間、繰り返し着用のテストをしたが外観に変化はみられなかった。
【0055】
一方、特開平7−268727号公報の実施例1に準じた方法で、上記水準1と同じ中空形状、中空率及び繊度を有するポリエステル中空繊維糸条を製造し、上記と同様に平織物としウインドブレーカーを製造した。得られたウインドブレーカーを約1か月間、繰り返し着用のテストをしたところ、肘の部分に擦れが発生していた。この擦れの部分を顕微鏡で観察したところ、中空糸が破れ部分的にフィブリル化していた。
【0056】
【発明の効果】
本発明によると、光沢感及び不透明感がともに優れた独特な風合いを有し、強度や耐擦過性が高く、耐潰れ性や軽量・保温性等にも優れた高品位のナイロン中空繊維を得ることができる。しかも、そのナイロン中空繊維を製糸性良く製造することもできる。
【0057】
従って、本発明のナイロン中空繊維は、衣料用繊維製品を製造するための繊維素材として有用であり、なかでもスポーツ衣料用繊維製品のための繊維素材として特に有用である。さらに、産資建装用の繊維素材としても有用であり、例えば、カバン地用布帛製品や内装用布帛製品として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナイロン中空繊維の繊維横断面形状を模式的に例示する繊維横断面図である。
【図2】図1のナイロン中空繊維を製造する際の吐出孔の形状を模式的に例示する吐出孔平面図である。
【図3】本発明外のナイロン中空繊維や丸断面繊維の繊維横断面形状を模式的に示す繊維横断面図である。
【図4】図3の繊維を製造する際の吐出孔を模式的に示す吐出孔平面図である。
【符号の説明】
1: スリット、 a:スリットの幅、 b:スリットの長さ

Claims (5)

  1. 酸化チタンを含まずかつ相対粘度が2.9以上であるナイロンからなり、変形度が1.2〜1.6かつ中空率が10〜40%である三角形状の中空部を有し繊維断面外径円状であり、繊維強度が5.0g/d以上であることを特徴とするナイロン中空繊維。
  2. 中空部の三角形状正三角形であることを特徴とする請求項1記載のナイロン中空繊維。
  3. 酸化チタンを含まない高粘度ナイロンを1500poise以上の溶融粘度で、スリット長さ/スリット幅の比が6〜20であるスリットの3つを円弧状に配列してなる吐出孔から溶融紡糸することにより請求項1記載のナイロン中空繊維を製造することを特徴とするナイロン中空繊維の製造方法。
  4. 請求項1のナイロン中空繊維を用いてなるスポーツウェア製品。
  5. 請求項1のナイロン中空繊維を用いてなるカバン地用布帛製品。
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