JP3912065B2 - ポリエステル系混繊糸および仮撚加工糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルを主成分とする混繊糸および仮撚加工糸に関するものである。さらに詳しくは糸に適度な伸度差、繊度差あるいは糸長差等に代表される構造差を有することで、嵩高感、ソフト感に優れ、かつ織編物にした時にフロスティング等の品位問題がない混繊糸と仮撚加工糸を提供するものであり、これらの特徴によりシャツ、ブラウス、ドレスやコート、ジャケット、ブラックフォーマル、さらにはウォーキングや介護衣料などの一般衣料や裏地等の衣料資材用途、さらにはスポーツ衣料品などに幅広く活用できる素材を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりポリエステル糸条は、その寸法安定性、ウォッシュアンドウェアー性等の特長を有するために、衣料用素材として薄地から中厚地にいたるまで幅広く用いられている。さらに、その特長を活かしつつ、風合いを向上させるため、熱収縮差を利用したいわゆる異収縮混繊糸やあるいはバルキー性を付与させるため、糸に捲縮を付与する仮撚加工糸が利用されて久しく、さらにふくらみの向上のため、伸度の異なる2本以上のマルチフィラメント糸を供給糸として、これらを引き揃えて仮撚加工を施し、高伸度マルチフィラメントを外層に、低伸度マルチフィラメントを内層に位置せしめた糸長差を有するいわゆる複合仮撚加工糸が良く知られている。
【0003】
前者の異収縮混繊糸においては、異収縮混繊糸の構成として、2種以上の糸が共に収縮性の完全延伸糸でありながら熱処理により収縮の大なるフィラメントと収縮の小なるフィラメントを組み合わせたものは、風合い向上のための主要件として糸長差を利用することが必須となるため、十分な熱収縮差を得るためには収縮の大なるフィラメントの熱収縮率を大きくする必要があり、ふくらみ感は出るものの芯のある硬い風合いになりやすい欠点を有している。この点を改善し、かつふくらみやソフト感に富む織編物を得る手段として、熱処理により収縮するフィラメントと自発伸長性を示すフィラメントとを混繊あるいは合撚した糸条を用いて製織編し、染色加工工程等の熱処理により自発伸長性糸条を織編物表面へ浮き出させることで、糸長差に加え自発伸長糸の有するソフト感を風合い向上につなげる提案が数多く知られており、例えば特公平4−1097号公報、特公平4−18051号公報等が提案され一応の効果を収めている。しかしながら、これらに提案された手法は自発伸長性を付与させるために、自発伸長糸となる糸条をいったん別工程で弛緩熱処理等により低速加工で得た後に収縮糸と混繊、あるいは合撚することが必須であり、高コストとならざるを得ないものであった。
【0004】
一方、低コストで糸長差とソフト感を得るための提案として特開昭57−143522号公報にポリエステルの配向を抑制させるため、ポリエステルポリマーにスチレン系重合体、メタクリレート系重合体、アクリレート系重合体などのいずれかを添加したポリマーと高収縮性を示すポリエステルの複合混繊糸が提案されているが、前記の各種重合体をポリエステルポリマーに均一に添加しているため、織編物とした際、ポリエステル系フィラメント布帛の染色工程に一般的に採用されるアルカリ減量加工により、繊維表面に露出している添加ポリマーとポリエステルポリマーとの間に剥離が発生し、結果的に繊維のフィブリル化等の問題があり、一般衣料用途に適するものではなかった。
【0005】
また後者の複合加工糸においては、従来複合仮撚加工糸の構成として、収縮差、伸度差、弾性率差等物性が異なる2種以上のマルチフィラメントをそれぞれ別個に紡糸した後、仮撚加工に供する方法が一般に行われている。これらの方法はフィラメント間の糸長差を調整し易い点で優れているが、供給するための原糸をそれぞれ準備する必要があるため原糸段階でのコストがかかるといった問題がある。
この問題を改善する方法として、異なる特性を持ったフィラメント群を同時に紡糸する紡糸混繊法があり、フィラメント繊度や断面形状の異なるフィラメント群を同時に紡糸する方法や一部のフィラメント群に異種ポリマーを添加し、配向に差のあるフィラメント群を同時に紡糸してこれらの糸を仮撚加工に供する提案も知られている。
【0006】
前者のフィラメント繊度や断面形状の異なるフィラメント群を同時に紡糸する方法として、例えば孔径の異なる孔から繊度の異なる繊維を押し出す方法(特開昭52−63417号公報、特開昭52−63418号公報)があるが、太繊度フィラメントの冷却は細繊度フィラメントの冷却より遅れるため、太繊度成分は低配向高伸度成分に、細繊度成分は高配向低伸度成分になる。このようなフィラメント群を仮撚加工した場合、細繊度成分に強い張力がはたらくため加工糸の中心部に細繊度成分が集まり、外層部に太繊度成分が浮いてくるため、織編物とした際に硬いタッチとジャリジャリした触感を与えることになり好ましくない。
【0007】
一方後者の方法は例えばポリエステルにスチレン系、メタクリレート系、およびアクリレート系重合体を添加し、低配向、高伸度化させたフィラメント群を別の吐出孔より紡糸されたポリエステルマルチフィラメント群と使用する方法(特開昭57−61716号公報、特開昭57−143522号公報、特開昭58−91810号公報)がある。この方法では低配向、高伸度化させたフィラメント群とポリエステルからなるフィラメント群を同時に紡糸できるため製造コストを抑えられる点で優れているが、添加されたポリマーによる悪影響があった。これは例えば、添加ポリマーが繊維表面にも存在するため、製品が白濁したり染織品の発色性の不良等であり、また、ポリスチレンのように低軟化点温度を有するポリマーを添加した場合、表層に存在する低軟化点ポリマーのために仮撚加工時の高温熱処理により融着を起こしやすいなどの欠点を有していた。
【0008】
本発明者らは前記従来糸および製造方法の問題を解決するために、実質的にポリエステルであるポリマー(A)を鞘部、ポリスチレンのような伸長粘度の温度依存性がポリマー(A)よりも大きいポリマー(B)を芯部とした芯鞘複合フィラメント(F)を利用したポリエステル混繊糸および加工糸の製造方法を特開平10−88418号で提案した。しかしながら種々検討を進めていくなかで、芯鞘複合フィラメントの形状および加工糸形態を見直さなければ広範囲での用途に展開できない部分があることが判明し、本発明に至ったものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来糸および製造方法の現状に鑑み、混繊糸および加工糸に適度な構造差を有することで、嵩高感、ソフト感に優れ、かつ織編物にした時にフロスティング等の品位問題がない混繊糸と仮撚加工糸を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の混繊糸および仮撚加工糸は上記の課題を解決するために次の構成を有する。
【0011】
すなわち
[1]ポリエステルマルチフィラメントAとポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBとを有し、
かつ下記(a)〜(c)の要件を満足していることを特徴とするポリエステル系混繊糸。
【0012】
(a)マルチフィラメントBの破断伸度がマルチフィラメントAの破断伸度の1.1倍以上3倍以下であり、
(b)マルチフィラメントAの単糸繊度がマルチフィラメントBの単糸繊度の1.5倍以上25倍以下であり、
(c)マルチフィラメントBの糸長手方向と直角の糸断面において芯/鞘型に複合されたポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離が芯部を構成するポリスチレンの内接円直径以上である。
【0013】
[2]前記マルチフィラメントBにおいてポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが同心円状の芯/鞘型に複合されていることを特徴とする前記[1]に記載のポリエステル系混繊糸。
【0014】
[3]前記ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBを構成するポリエステルポリマーの少なくとも一方がアルカリ減量により糸表面にミクロボイドを生じるものであることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のポリエステル系混繊糸。
【0015】
[4]前記ポリエステルマルチフィラメントAがイソフタル酸が共重合された高収縮性ポリエステルであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル系混繊糸。
【0016】
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル系混繊糸を用いて得られたことを特徴とする仮撚加工糸。
【0017】
[6]ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBとの間の加工糸状態での分解糸糸長差が3%以上35%以下であることを特徴とする前記[5]に記載の仮撚加工糸。
【0018】
[7]ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBとの間の加工糸状態での分解糸糸長差が3%以上15%以下であり、かつ織編物作成後実施される染色加工工程における熱処理後の分解糸糸長差が15%以上35%以下であることを特徴とする前記[5]に記載の仮撚加工糸。
【0019】
[8]加工糸が交絡数20〜170個/mの範囲で混繊交絡していることを特徴とする前記[5]〜[7]のいずれかに記載の仮撚加工糸。
【0020】
[9]加工糸の総繊度が30〜100dtexであることを特徴とする前記[5]〜[8]のいずれかに記載の仮撚加工糸。
【0021】
[10]ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBとの少なくとも一方が繊維長手方向に繊度分布を有することを特徴とする前記[5]〜[9]のいずれかに記載の仮撚加工糸。
である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0023】
まず、本発明の混繊糸は、ポリエステルマルチフィラメントAとポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBとを有しているものである。
【0024】
マルチフィラメントBにおいてポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとを芯/鞘型に同時に複合紡糸することは、ポリスチレンがポリエステルの配向を抑制し、ポリエステルマルチフィラメントAと同一条件で同時に紡糸しても、ポリスチレンを含む側の糸は低配向糸となる効果があり、得られた混繊糸においてマルチフィラメントBがポリエステルマルチフィラメントAよりも破断伸度が大きく、かつ同条件で延伸してもマルチフィラメントBは完全延伸糸とならないため、ポリエステル独自のヌメリ感が解消されるだけでなく、見かけヤング率の低さによりソフトなタッチを実現できるのである。このためにはマルチフィラメントBの破断伸度がポリエステルマルチフィラメントAの破断伸度の1.1倍以上3倍以下の範囲であることが重要で、1.1倍未満であれば構成糸A、B間の構造差が不足するため通常糸との差が小さく、また3倍を越えると、マルチフィラメントBの物理特性が不十分なため織編物とした後に強度や堅牢度等の問題が発生するため好ましくない。
【0025】
また同時にマルチフィラメントAの単糸繊度がマルチフィラメントBの単糸繊度の1.5倍以上25倍以下であることも重要で、この範囲とすることで低破断伸度のため、剛直なマルチフィラメントAが織編物の反発性にさらに寄与し、マルチフィラメントBが前述の高破断伸度にともなう、見かけヤング率の低さによるソフトなタッチをさらに向上することができるのである。ここでマルチフィラメントAの単糸繊度がマルチフィラメントBの単糸繊度の1.5倍に満たなければ織編物の反発性向上効果が不十分で、また25倍を越えると織編物が非常に硬く、実質的に一般衣料用途としての使用が困難となるため好ましくない。
【0026】
さらに、マルチフィラメントBの糸長手方向と直角の糸断面において芯/鞘型に複合されたポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの最短の距離が芯部を構成するポリスチレンの内接円直径以上であることが特に重要な点である。これはポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの親和性が低く、両ポリマーの境界は剥離し易いためであり、境界から糸表面までの最短の距離が芯部を構成するポリスチレンの内接円直径に満たなければ、織編物とする際に採用される撚糸工程や、あるいはタスランに代表される圧空流体混繊加工や仮撚加工、また衣料用ポリエステル織編物の染色工程で採用されるケースの多いアルカリ減量加工工程などでいわゆるパンク現象が生じ易く、織編物のフロスティング問題や部分的な白化、糸筋等の問題が発生するためである。
【0027】
ここで、マルチフィラメントBの配向をポリスチレンポリマーの複合で抑制するためには、どのような形で複合されても良いのであるが、前述のパンク現象を改善すると言う観点からすれば、同心円状の芯/鞘型に複合されていることがさらに好ましい。
【0028】
本混繊糸を構成する糸は断面形状等特に限定されるものではなく、丸断面糸はもとより三角断面や八葉断面なども好ましく採用されるし、ポリエステルポリマーに関しても特に限定されるものではなく、カチオン染料に可染となる共重合成分を含んでいたり、また、本混繊糸は一般衣料や衣料資材、さらにはスポーツ衣料品として好ましく採用されるものであるため、見た目の色の美しさも重要な要求点となり、ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBを構成するポリエステルポリマーの少なくとも一方がアルカリ減量により糸表面にミクロボイドを生じて高深色性を呈するポリマーや添加材を含んでいるとさらに良い。
【0029】
また、一般衣料に使用する際には高級な風合い、質感を求められることが多く、このためポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBとの間に積極的に収縮差を持たせることで実質的に布帛とした際に両糸間に糸長差を発現するように設計するとふくらみのあるタッチが得られて都合が良く、配向が抑制され、ソフトでかつドライなタッチをも表現できるマルチフィラメントBが主に糸の表層を覆えるよう、ポリエステルマルチフィラメントAとしてイソフタル酸を共重合した高収縮性を示すポリエステルを採用することも好ましい。
【0030】
前記に述べたポリエステル系混繊糸を仮撚加工に供することで、ポリエステルマルチフィラメントAが加工糸の中心部に集まり、マルチフィラメントBが外層部に浮いて、従来のいわゆる複合仮撚加工糸のような糸形態が得られるだけでなく、外層部に浮いたマルチフィラメントBがポリスチレンを内部に有することで、ポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの光屈折率の差により、ポリエステル100%に比較して織編物に色相や光沢感に差を与えることができたり、ポリスチレンポリマーが、ポリエステルポリマーに比較し、低比重のため、軽量化できる効果も兼ね備えており、衣料用途に適している。
【0031】
ここで、本発明の仮撚加工糸は加工糸状態で、ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBとの間に3%以上35%以下の範囲で分解糸糸長差を有していると得られた布帛の風合い上さらに好ましい。これは糸長差が35%以下であれば、織編物を製造する際の準備工程および製編織時に張力を受けても糸質の変化や工程不良を引き起こしにくく、、一方糸長差が3%に満たなければ、いわゆる複合仮撚加工糸構造とは異なる引き揃え状態に近づくため、織編物に狙いとする嵩高感、ソフト感を充分付与することが困難となるためである。これらの点から加工糸段階での糸長差は3%以上35%以下とするものであるが、5%以上20%以下の範囲がさらに望ましい。
【0032】
また、前述の織編物を製造する際の工程で糸質の変化や工程通過性を全く問題のないレベルとし、かつ得られる布帛に十分なふくらみ感を付与するためには、ポリエステルマルチフィラメントAにイソフタル酸を共重合した高収縮性を示すポリエステルを採用し、仮撚加工糸状態での分解糸糸長差は3〜15%に留め、織編物作成後実施される染色加工工程における熱処理により、分解糸糸長差として15%以上35%以下のふくらみが発現できるように設計することが好ましい。なお、ここで述べた染色加工工程における熱処理とは生機の汚れ落としや、歪みの除去、さらには糸の収縮やトルクを発現させる目的で採用される精練リラックス工程や織編物の寸法を安定させるための乾熱セットおよび染色加工等を含み、本発明の様なポリエステル織編物であれば、湿熱状態では80〜140℃、乾熱状態では100〜200℃の熱処理が相当する。
【0033】
前記のように本発明の仮撚加工糸は加工糸段階ですでに糸長差を有しているものを含むため取扱い性向上のために芯成分と鞘成分が互いに混繊交絡していることが望ましい場合も多く、取扱い向上のためには交絡数は20個/m以上が好ましく、一方170個/mを越えると、強い絡合部分のため硬い糸となり望ましくない。なお混繊交絡のためには通常のインターレースやタスランに代表される流体交絡装置が採用できる。
【0034】
さらに本仮撚加工糸は、ポリエステルマルチフィラメントAとポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBとを同時に紡糸した混繊糸をも適用できるため、加工糸総繊度を安価に細繊度化することも可能であり、従来製造コスト上展開に制約のあった30〜100dtexとすることで特に婦人薄地織物や衣料資材等にも採用でき好ましい。
【0035】
また、ポリエステルマルチフィラメントAとポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBとの少なくとも一方が繊維長手方向に繊度分布を有していると、微細な構造差による織編物へのふくらみ付与や、染着性の差を活かした自然感をも付与できるため好ましい。
【0036】
次に、本発明を図面によりさらに具体的に説明すると、図1は本発明に係るポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBの断面形状であり、この図においてポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離L1は芯部を構成するポリスチレンの内接円直径L2以上である状態を示しており、また図2は前記マルチフィラメントBにおいてポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが同心円状の芯/鞘型に複合されている状態を示している。
【0037】
図3はポリエステルマルチフィラメントAとポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBとを同一条件下で同時紡糸した糸の分解糸の強伸度曲線であり、マルチフィラメントB(2)の破断伸度がマルチフィラメントA(1)の破断伸度よりも大きいことを示している。
【0038】
図4は本発明の糸長差を有した仮撚加工糸の一例を示した投影図であり、主に加工糸の内層を形成しているのがポリエステルマルチフィラメントA(3)、加工糸の外層を形成しているのがマルチフィラメントB(4)である。
【0039】
図5はマルチフィラメントBの仮撚加工糸状態の断面形状であり、ポリスチレンポリマーがポリエステルポリマーに完全に被覆されている状態を示している。
【0040】
【実施例】
次に、本発明を実施例より具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお本文中および実施例記載の各物性値は以下の測定方法によるものである。
(1) 破断伸度
混繊糸の構成糸を丁寧に分解し、各単糸の引張強伸度を測定する。測定回数10回の平均値をもってその測定値とする。
(2) 単糸繊度
混繊糸の構成糸を丁寧に分解し、各単糸ごとの繊度を旭光精工(株)製Denikomを使用して測定する。測定回数10回の平均値をもってその測定値とする。
(3) 糸断面における複合状態
通常の光学顕微鏡を用いて糸の断面写真を撮影する。得られた断面写真より、
複合状態、およびポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離(L1)と芯部を構成するポリスチレンの内接円直径 (L2)を測定する。
(4) 分解糸糸長差
適当な長さの糸を取り出し、繊維自体が伸びないように注意深く単糸1本1本に分解する。グリセリンを塗布したスケール板上に分解した単糸をのせて、 くせがなくなる程度に伸ばして単糸1本の長さLをはかる(1mm単位まで)。長さの短い単糸群と長い単糸群に分類し、短い単糸群の平均長を LA、長い単糸群の平均長をLBとして次式により算出する。測定回数 5回の平均値をもってその測定値とする。
【0041】
分解糸糸長差(%)={(LB−LA)/LA}×100
(5) 交絡数
適当な長さの糸を取り出し、下端に0.088(cN/dtex)の荷重をかけて垂直につり下げる。ついで適当な針を糸中に突き差してゆっくり持ち上げ、荷重が持ち上がるまでに移動する距離(cm)を100回測定し、これより平均値L(cm)を求め、次式により算出する。
【0042】
交絡数(個/m)=100/(2×L)
(実施例1)
極限粘度0.63のホモPETとポリスチレン(旭化成工業社製“スタイロン”685)を個々別々に溶融し、前記ホモPETがポリスチレンを芯/鞘型に被覆する部分とホモPETが単独で吐出する部分とを有するように設計した複合紡糸口金を使用し、これら2成分を紡速3200m/minで溶融紡糸して138dtex−36フィラメントの高配向未延伸混繊糸を得た。このときのホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸は69dtex−24フィラメント、またホモPET単独糸は69dtex−12フィラメントとし、前記芯/鞘型複合糸におけるポリスチレンとホモPETとの重量比は4:96とした。
【0043】
この高配向未延伸混繊糸を単糸に分解し、それぞれの破断伸度を測定したところホモPET側は169%、ホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸側は248%であった。
【0044】
またホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸の断面写真を撮影し、ポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離(L1)と芯部を構成するポリスチレンの内接円直径(L2)を測定したところいずれの単糸断面においてもL1>L2であった。
【0045】
得られた高配向未延伸混繊糸を使用し、通常のフリクション仮撚機を用いて、仮撚温度190℃の条件で延伸同時仮撚加工を行い、一旦巻き上げることなくインターレースノズルを使用して交絡加工を行った。この仮撚加工糸の繊度は84dtex、交絡数は52(個/m)、分解糸糸長差は12.2%であり、細い単繊維が太い単繊維を覆っていた。
【0046】
この仮撚加工糸に通常法で800(T/m)の撚糸を施してタテ糸およびヨコ糸として使用し、綾織物を製織した。製織した布帛をリラックス精練した後、180℃でセットし、13%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い分散染料で染色した後、160℃でファイナルセットした。得られた織物は適度なふくらみと張り腰を有しており、特に微妙な表面タッチと反発性にすぐれた風合いを持つものであった。
【0047】
得られた織物を強制摩擦してフロスティングを確認したが部分的な白化や糸筋等の問題はなかった。
【0048】
(実施例2)
実施例1においてホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸を69dtex−72フィラメントに、またホモPET単独糸を69dtex−6フィラメントにした以外は同じ条件で高配向未延伸混繊糸を得た。
【0049】
この高配向未延伸混繊糸を単糸に分解し、それぞれの破断伸度を測定したところホモPET側は188%、ホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸側は228%であった。
【0050】
またホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸の断面写真を撮影し、ポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離(L1)と芯部を構成するポリスチレンの内接円直径(L2)を測定したところいずれの単糸断面においてもL1>L2であった。
【0051】
得られた高配向未延伸混繊糸を使用し、通常のフリクション仮撚機を用いて、仮撚温度190℃の条件で延伸同時仮撚加工を行い、一旦巻き上げることなくインターレースノズルを使用して交絡加工を行った。この仮撚加工糸の繊度は88dtex、交絡数は63(個/m)、分解糸糸長差は10.2%であり、細い単繊維が太い単繊維を覆っていた。
【0052】
この仮撚加工糸に通常法で800(T/m)の撚糸を施してタテ糸およびヨコ糸として使用し、綾織物を製織した。製織した布帛をリラックス精練した後、180℃でセットし、18%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い分散染料で染色した後、160℃でファイナルセットした。得られた織物は適度なふくらみと張り腰を有しており、特にファインで微毛感のある表面タッチと反発性にすぐれた風合いを持つものであった。
【0053】
得られた織物を強制摩擦してフロスティングを確認したが部分的な白化や糸筋等の問題はなかった。
【0054】
(実施例3)
実施例1で用いたホモPETに1次粒子の平均径が35nmの乾式シリカを0.48重量%配合した以外は同じ条件で高配向未延伸混繊糸を得た。
【0055】
得られた高配向未延伸混繊糸を使用し、通常のフリクション仮撚機を用いて、仮撚温度190℃の条件で延伸同時仮撚加工を行い、一旦巻き上げることなくインターレースノズルを使用して交絡加工を行った。この仮撚加工糸の繊度は84dtex、交絡数は58(個/m)、分解糸糸長差は11.7%であり、細い単繊維が太い単繊維を覆っていた。
【0056】
この仮撚加工糸に通常法で1200(T/m)の撚糸を施してタテ糸およびヨコ糸として使用し、綾織物を製織した。製織した布帛をリラックス精練した後、180℃でセットし、22%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用いて染料濃度14%owfの分散染料(Dianix Black BG−FS200%)で135℃、40分間染色し、160℃でファイナルセットした。得られた織物は適度なふくらみと張り腰を有しており、特に濃染性、均染性に優れるものであった。
【0057】
得られた織物を強制摩擦してフロスティングを確認したが部分的な白化や糸筋等の問題はなく、また走査型電子顕微鏡を使用して織物を構成する糸を拡大して観察したところ、糸表面にミクロボイドを生じていることが確認できた。
【0058】
(実施例4)
実施例1において使用したホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸を45dtex−36フィラメントでかつポリスチレンとホモPETとの重量比を10:90とし、また実施例1に採用していたホモPET単独糸に変えてイソフタル酸を8mol%共重合した45dtex−9フィラメントの中空断面糸にした以外は同じ条件で高配向未延伸混繊糸を得た。
【0059】
この高配向未延伸混繊糸を単糸に分解し、それぞれの破断伸度を測定したところイソフタル酸共重合側は185%、ホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸側は246%であった。
【0060】
またホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸の断面写真を撮影し、ポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離(L1)と芯部を構成するポリスチレンの内接円直径(L2)を測定したところいずれの単糸断面においてもL1>L2であった。
【0061】
得られた高配向未延伸混繊糸を使用し、通常のフリクション仮撚機を用いて、仮撚温度150℃の条件で延伸同時仮撚加工を行い、一旦巻き上げることなくインターレースノズルを使用して交絡加工を行った。この仮撚加工糸の繊度は59dtex、交絡数は121(個/m)、分解糸糸長差は11.3%であり、細い単繊維が太い単繊維を覆っていた。
【0062】
この仮撚加工糸に通常法で1500(T/m)の撚糸を施してタテ糸およびヨコ糸として使用し、綾織物を製織した。製織した布帛を最高温度120℃で液流染色機を用いてリラックス精練した後、180℃でセットし、22%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い分散染料で染色した後、160℃でファイナルセットした。得られた織物は適度なふくらみと張り腰を有しており、特にファインで微毛感のある表面タッチと反発性にすぐれた高級梳毛調風合いを持つものであった。
【0063】
得られた織物から糸を取り出し、分解糸糸長差を測定したところ23.5%であった。また、得られた織物を強制摩擦してフロスティングを確認したが部分的な白化や糸筋等の問題はなかった。
【0064】
(実施例5)
実施例1で作成した高配向未延伸混繊糸を用い、延伸ピンを搭載した仮撚加工機を使用し、高配向未延伸混繊糸の自然延伸倍率以下の延伸倍率で一旦アウトドローした後、引き続いて仮撚加工と交絡加工を実施した。
【0065】
この仮撚加工糸に通常法で800(T/m)の撚糸を施してタテ糸およびヨコ糸として使用し、綾織物を製織した。製織した布帛をリラックス精練した後、180℃でセットし、15%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用いて染料濃度1%owfの分散染料(Dianix Brown 3B−FS)で120℃、40分間染色し、160℃でファイナルセットした。得られた織物は適度なふくらみと張り腰を有しており、特に糸長手方向に微細でこなれた染着差があり、自然な外観を持つものであった。
【0066】
(比較例1)
繊度構成が69dtexの24フィラメントと69dtexの12フィラメントとなる紡糸口金を使用し、紡速3200m/minでホモPETを溶融紡糸して138dtex−36フィラメントの高配向未延伸混繊糸を得た。
【0067】
この高配向未延伸混繊糸を単糸に分解し、それぞれの破断伸度を測定したところ12フィラメント側は169%、24フィラメント側は148%であった。
【0068】
得られた高配向未延伸混繊糸を使用し、通常のフリクション仮撚機を用いて、仮撚温度190℃の条件で延伸同時仮撚加工を行い、一旦巻き上げることなくインターレースノズルを使用して交絡加工を行った。この仮撚加工糸の繊度は84dtex、交絡数は48(個/m)、分解糸糸長差は4.2%であり、太い単繊維が細い単繊維よりも糸長が長かった。
【0069】
この仮撚加工糸に通常法で800(T/m)の撚糸を施してタテ糸およびヨコ糸として使用し、綾織物を製織した。製織した布帛をリラックス精練した後、180℃でセットし、18%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い分散染料で染色した後、160℃でファイナルセットした。得られた織物は僅かながらふくらみを感じるものの、硬さがあり、ざらざらした表面タッチを有する持つものであった。
【0070】
(比較例2)
実施例1で用いた極限粘度0.63のホモPETとポリスチレン(旭化成工業社製“スタイロン”685)を個々別々に溶融し、前記ホモPETがポリスチレンを芯/鞘型に被覆する部分とホモPETが単独で吐出する部分とを有するように設計した複合紡糸口金を使用し、これら2成分を紡速3200m/minで溶融紡糸して138dtex−36フィラメントの高配向未延伸混繊糸を得た。このときのホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸は69dtex−24フィラメント、またホモPET単独糸は69dtex−12フィラメントとし、前記芯/鞘型複合糸におけるポリスチレンとホモPETとの重量比は30:70とした。
【0071】
この高配向未延伸混繊糸を単糸に分解し、それぞれの破断伸度を測定したところホモPET側は170%、ホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸側は304%であった。
【0072】
またホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸の断面写真を撮影し、ポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離(L1)と芯部を構成するポリスチレンの内接円直径(L2)を測定したところ、一部の単糸断面においてL1<L2の部分が観察され、かつポリスチレンを被覆しているポリエステルに僅かながら割れが生じている部分が確認された。
【0073】
得られた高配向未延伸混繊糸を使用し、通常のフリクション仮撚機を用いて、仮撚温度150℃の条件で延伸同時仮撚加工を行い、一旦巻き上げることなくインターレースノズルを使用して交絡加工を行った。この仮撚加工糸の繊度は84dtex、交絡数は68(個/m)、分解糸糸長差は14.2%であったが、糸加工工程中で糸切れが多発した。
【0074】
この仮撚加工糸の断面写真を撮影したところ、ポリスチレンを被覆しているポリエステルに多数の割れが生じていた。
【0075】
また得られた加工糸を使用して筒編地を作成し分散染料で染色後、編地を強制摩擦してフロスティングを確認したところ摩擦部分が白化し、毛羽立ちを発生することが確認された。
【0076】
(比較例3)
極限粘度0.63のホモPETとポリスチレン(旭化成工業社製“スタイロン”685)を個々別々に溶融し、前記ホモPETがポリスチレンを芯/鞘型に被覆する部分とホモPETが単独で吐出する部分とを有するように設計した複合紡糸口金を使用し、これら2成分を紡速3000m/minで溶融紡糸して138dtex−36フィラメントの高配向未延伸混繊糸を得た。このときのホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸は69dtex−18フィラメント、またホモPET単独糸は69dtex−18フィラメントとし、前記芯/鞘型複合糸におけるポリスチレンとホモPETとの重量比は4:96とした。
【0077】
この高配向未延伸混繊糸を単糸に分解し、それぞれの破断伸度を測定したところホモPET側は178%、ホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸側は268%であった。
【0078】
また、ホモPETとポリスチレンとの芯/鞘型複合糸の断面写真を撮影し、ポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離(L1)と芯部を構成するポリスチレンの内接円直径(L2)を測定したところいずれの単糸断面においてもL1>L2であった。
【0079】
得られた高配向未延伸混繊糸を使用し、通常のフリクション仮撚機を用いて、仮撚温度190℃の条件で延伸同時仮撚加工を行い、一旦巻き上げることなくインターレースノズルを使用して交絡加工を行った。この仮撚加工糸の繊度は84dtex、交絡数は66(個/m)、分解糸糸長差は13.8%であった。
【0080】
この仮撚加工糸に通常法で800(T/m)の撚糸を施してタテ糸およびヨコ糸として使用し、綾織物を製織した。製織した布帛をリラックス精練した後、180℃でセットし、15%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い分散染料で染色した後、160℃でファイナルセットした。得られた織物は適度なふくらみを有していたが、張り腰、反発が不十分なものであった。
【0081】
【発明の効果】
前述の通り、本発明のポリエステル系混繊糸および仮撚加工糸は糸に適度な伸度差、繊度差あるいは糸長差等に代表される構造差を有することで、嵩高感、ソフト感に優れ、かつ織編物にした時にフロスティング等の品位問題がない混繊糸と仮撚加工糸を提供するものであり、これらの特徴によりシャツ、ブラウス、ドレスやコート、ジャケット、ブラックフォーマル、さらにはウォーキングや介護衣料などの一般衣料や裏地等の衣料資材用途、さらにはスポーツ衣料品などに幅広く活用できる素材を提供出来ることから新しい展開が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBの断面形状の一例を示す図である。
【図2】本発明に係るポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが同心円状の芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBの断面形状の一例を示す図である。
【図3】ポリエステルマルチフィラメントAとポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBとを同一条件下で同時紡糸した糸の分解糸の強伸度曲線の一例を示す図である
【図4】本発明の糸長差を有した仮撚加工糸の一例を示した投影モデル図である。
【図5】マルチフィラメントBの仮撚加工糸状態の断面形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
L1:ポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離
L2:芯部を構成するポリスチレンの内接円直径
1:ポリエステルマルチフィラメントAの高配向未延伸糸状態の強伸度曲線
2:ポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBの高配向未延伸糸状態の強伸度曲線
3:ポリエステルマルチフィラメントA
4:ポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントB
Claims (10)
- ポリエステルマルチフィラメントAとポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメントBとを有し、かつ下記(a)〜(c)の要件を満足していることを特徴とするポリエステル系混繊糸。
(a)マルチフィラメントBの破断伸度がマルチフィラメントAの破断伸度の1.1倍以上3倍以下であり、
(b)マルチフィラメントAの単糸繊度がマルチフィラメントBの単糸繊度の1.5倍以上25倍以下であり、
(c)マルチフィラメントBの糸長手方向と直角の糸断面において芯/鞘型に複合されたポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーとの境界から糸表面までの距離が芯部を構成するポリスチレンの内接円直径以上である。 - 前記マルチフィラメントBにおいてポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーが同心円状の芯/鞘型に複合されていることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系混繊糸。
- 前記ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBを構成するポリエステルポリマーの少なくとも一方がアルカリ減量により糸表面にミクロボイドを生じるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエステル系混繊糸。
- 前記ポリエステルマルチフィラメントAがイソフタル酸が共重合された高収縮性ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系混繊糸。
- 前記請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル系混繊糸を用いて得られたことを特徴とする仮撚加工糸。
- ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBとの間の加工糸状態での分解糸糸長差が3%以上35%以下であることを特徴とする請求項5に記載の仮撚加工糸。
- ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBとの間の加工糸状態での分解糸糸長差が3%以上15%以下であり、かつ織編物作成後実施される染色加工工程における熱処理後の分解糸糸長差が15%以上35%以下であることを特徴とする請求項5に記載の仮撚加工糸。
- 加工糸が交絡数20〜170個/mの範囲で混繊交絡していることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の仮撚加工糸。
- 加工糸の総繊度が30〜100dtexであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の仮撚加工糸。
- ポリエステルマルチフィラメントAとマルチフィラメントBとの少なくとも一方が繊維長手方向に繊度分布を有することを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の仮撚加工糸。
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