JP4122582B2 - 紡績糸およびそれを用いてなる布帛 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた風合いと抗ピル性を有し、ソフトで張腰があり、寸法安定性が優れ、かつ軽量で嵩高であり、保温性に優れ、さらには安価である紡績糸およびそれを用いてなる布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりアクリル系繊維は他の汎用合成繊維であるポリアミド系繊維およびポリエステル繊維などと同様に、衣料用素材あるいはインテリア製品用素材等の広範な分野に利用されているが、特にアクリル系繊維はその独特な特徴により保温性に優れているため、セーターや肌着用途などによく利用されている。
【0003】
もっとも、保温性については熱の移動が大変重要であり、これまでに保温性の向上について数多くの提案がなされている。例えば高収縮性アクリル系繊維を混紡する手段によって単繊維間の空隙を増し、これにより繊維内に空気を多く含み、空気の熱伝導率が低い特性を生かし、熱の伝導を防ぐことにより保温性を得ようとする提案がなされている。
【0004】
しかしながら、この提案では、紡績しやすいという利点を有する反面、風合いと軽量感、保温性とを同時に満足させることは困難であり、また十分な保温性を得ることができない欠点を有している。
【0005】
また、特開昭63−126971号公報においては、アクリル系短繊維にセラミックを練り込み、遠赤外線が放射されることにより、熱の輻射を利用し、保温性を得ようとする提案がされているが、この提案では、セラミックを単繊維に練り込んでいることにより非常に高価であり、また風合いが粗悪となる。
【0006】
また、これらアクリル系短繊維は熱セット性、寸法安定性が低く、耐フィブリル化や耐フロスティング性が低く、編み物、織物などにおいて、その表面にピルが発生し、外観を著しく損ない、商品価値を低下させるという実用上の欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記従来の欠点を解決せんとするものであって、優れた風合いと抗ピル性を有し、表面タッチがソフトで張腰があり、寸法安定性が優れ、かつ軽量で嵩高であり保温性に優れ、さらには安価である紡績糸およびそれを用いてなる布帛を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の紡績糸は、次の構成からなる。
【0009】
すなわち、単繊維繊度が0.3〜0.7デニールで、引張り強度が3g/デニール以上、結節強度が1.9〜3g/デニール、沸水収縮率が5%以下で、円形化指数が0.7以上である極細アクリル系短繊維と、沸水収縮率が10%以上の高収縮性アクリル系短繊維と、ポリエステル短繊維とから主としてなる紡績糸であって、紡績糸における前記極細アクリル系短繊維が35〜70重量%、前記高収縮性アクリル系短繊維が20〜40重量%、かつ前記ポリエステル短繊維が10〜30重量%含まれていることを特徴とする紡績糸である。
【0010】
ただし、円形化指数は、繊維横断面の径の最短軸長さを繊維横断面の径の最長軸長さで除した値である。
【0011】
また、本発明の布帛は、上記紡績糸を用いていることを特徴とする布帛である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の紡績糸は、保温性については、単繊維繊度が0.3〜0.7デニールで、引張り強度が3.0g/デニール以上、結節強度が1.9〜3.0g/デニール、沸水収縮率が5%以下、円形化指数が少なくとも0.7以上である抗ピル性極細アクリル系短繊維を使用し、熱の対流を防ぎ、かつ沸水収縮率が10%以上の高収縮性アクリル系短繊維を使用することにより、熱の伝導を低くし、軽量、嵩高については、好ましくは中空率が3〜20%であるポリエステル短繊維を使用することを基本に構成されているのが特徴である。
【0014】
まず、本発明の紡績糸を構成する抗ピル性極細アクリル系短繊維について説明する。
【0015】
ここでいう上記極細アクリル系短繊維の単繊維繊度は、熱の対流を防ぎかつ優れた風合いと抗ピル性の付与を可能とするために、0.3〜0.7デニールの範囲とすることが重要である。引張り強度は、実用に耐えうるために、3.0g/デニール以上あるものを採用する。
【0016】
また、好ましくは3.5級以上の抗ピル性を付与するため、結節強度は、1.9〜3.0g/デニールの範囲とすることが重要である。1.9g/デニール未満であると、実用性に乏しくなり、また、3.0g/デニールを越えると、曲げ強度が高くなりすぎる結果として、風合いが粗悪で、かつ抗ピル性が不十分となり、好ましくない。
【0017】
また、本発明において、繊維断面は円形化指数が0.7以上のものであり、好ましくは0.8以上である。円形化指数が0.7より小さいと、繊維の表面が平滑でなくなり、単繊維同士が締まりやすくピルを形成しやすくなり、また、ぬめり性及び発色性も低下するので好ましくない。
【0018】
本発明における極細アクリル系繊維は、アクリル系繊維が少なくとも94モル%のアクリルニトリルと、該アクリルニトリルと共重合性を有するモノエチレン系性ビニル系モノマ2〜5モル%およびスルフォン酸基含有ビニル系モノマ0.2〜0.7モル%を含むアクリルニトリル系共重合体などからなる繊維が採用できる。
【0019】
本発明の紡績糸を構成する抗ピル性極細アクリル系短繊維の混紡率は、35〜70重量%の範囲である。混紡率が35重量%未満では、繊維断面本数における極細アクリル系短繊維の割合が少なく、効果的に熱の対流を防ぐことができなくなる。さらには布帛の表面タッチのソフト性が得られない。他方、70重量%を越えると、紡績糸内の断面本数が多くなりすぎて、単繊維間の空隙を保持するのが困難であるばかりか、紡績糸の張腰がなく、くたくたな紡績糸および布帛となる。
【0020】
さらには、前記抗ビル性極細アクリル系繊維の沸水収縮率は5%以下、より好ましくは2%以下であり、後記する高収縮性アクリル系繊維との混紡紡績糸で糸あるいは布帛の状態で熱処理を施され、この処理による紡績糸構造変化、すなわち、高収縮系アクリル繊維が収縮することにより該高収縮系アクリル繊維が紡績糸の内層部に位置し、収縮率が相対的に低い抗ビル極細アクリル系繊維が外層部に位置することにより、紡績糸あるいは布帛の表面タッチがソフトになり、かつ抗ピル性に優れたものになる。
【0021】
次に、本発明の紡績糸を構成する高収縮性アクリル系短繊維について説明する。
【0022】
本発明の紡績糸を構成する高収縮性アクリル系短繊維としては、沸水収縮率が10%以上、好ましくは20〜30%のものが使用される。紡績糸あるいは布帛を熱処理を施すことにより、バルキー性を与えて膨らみのある軽量の織編物素材とするため、さらには紡績糸を構成する繊維間に空隙を増大させるとともに、該空気層によって熱遮断性を高めることによる保温性向上効果を具現化するため、さらには前記の通り、該高収縮性アクリル系繊維が紡績糸あるいは布帛で熱処理を施されることにより、紡績糸の内層部に位置し、外層部に位置する抗ピル性極細アクリル系繊維の性能をいかんなく発揮せしめるため、高収縮性アクリル系短繊維を使用し、バルキー糸にするものである。沸水収縮率が10%以上でないと、十分なバルキー性を付与することができない。
【0023】
沸水収縮率が10%以上の高収縮性アクリル系短繊維としては、高収縮原綿、トウ紡績でのケン切スライバー、などこれらを適宜組み合わせることもできる。また、高収縮性アクリル系短繊維の強度は2.5〜5.2g/デニールの範囲がよく、さらに好ましくは3.0〜4.0g/デニールにするのがよい。2.5g/デニール未満では、製品の抗ピル性は良くなるが紡績加工中の風綿が多発して紡績糸強力が低下し、糸切れ障害を招きやすくなる。5.2g/デニールよりも大きいと紡績糸強力が高くなり、紡績性や編成性は向上するが、布帛での抗ピル性が極端に悪化する。
【0024】
さらに本発明の紡績糸を構成する高収縮性アクリル系短繊維の混紡率は、20〜40重量%、好ましくは30〜40重量%の範囲である。混紡率が20重量%未満では、バルキー性を糸に付与するのに、高収縮性アクリル系短繊維の糸構成本数が少なくなり、極細アクリル系短繊維およびポリエステル短繊維に打ち勝つ収縮力が発揮できないため、完全なバルキー糸を得ることができなくなる。他方、混紡率が40重量%を越えると、収縮率が得られる反面、紡績糸の芯部の構成本数が多くなるため堅くなり、ソフトで膨らみのあるバルキー性を得ることができなくなる。
【0025】
また本発明の紡績糸では、上述した抗ピル性極細アクリル系短繊維と高収縮性アクリル短繊維の2種類の繊維で構成されるほか、ポリエステル短繊維で構成されていることが特徴である。
【0026】
上記本発明で採用するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどの溶融紡糸可能なポリエステル重合体で、これら重合体に必要に応じてイソフタル酸、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの第3成分を1種ないし数種類、共重合させたものも含まれる。
【0027】
本発明におけるポリエステル短繊維は中空繊維とすることが重要である。その場合、中空率は、軽量感効果を付与し、かつポリエステル短繊維の中空化に伴う空気層による断熱性付与、すなわち保温性向上効果を付与せしめ、あわせて紡績、製織編工程などにより中空断面が崩れたり、割れるなどして頂点部が消失するのを防ぐ観点から7〜25%であり、好ましくは10〜20%である。
【0028】
また、ポリエステル中空短繊維の断面形状は4角、3角、丸断面のいずれかでも良いが、4角、3角断面を使用する場合は、光沢感、シャリ感のあるドライ風合いを要求される商品に適しており、丸断面は光沢感をあまり要求されない、かつ、比較的ソフトでヌメリ感のある商品に適している。したがって、本発明のソフト風合い狙いの場合は丸断面中空ポリエステル短繊維を使用することが好ましい。
【0029】
また、本発明の紡績糸を構成するポリエステル短繊維の混紡率は、10〜30重量%であり、好ましくは20〜30重量%の範囲である。混紡率が10重量%未満では、紡績糸及び布帛に軽量感を付与することができず、また張腰がなく、熱セット性、寸法安定性も低い。他方、混紡率が30重量%を越えると、軽量感および張腰を付与することができる反面、紡績糸を構成する構成本数が多くなるため堅くなり、ソフトな風合いを得ることができない。
【0030】
本発明のおけるポリエステル短繊維の単繊維繊度は、張腰を付与するため1.5〜5デニールの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2.0〜3.0デニールの範囲である。単繊維繊度が1.5デニール未満であると張腰がなくなり、また5デニールを越える場合ではガサツキ感がでてソフト性が損なわれる他、紡績糸の構成繊維本数の関係から細番手が得られにくくなる。さらにはイソフタル酸等を共重合したポリエステル短繊維を使用した場合はカチオン染料可染となり、混紡相手素材がカチオン染料可染であるアクリル系繊維であることから、カチオン染めした場合は、ほぼ同色に染色でき、いわゆる単一色の商品が得られる。
【0031】
他方、イソフタル酸等を共重合しないポリエチレンテレフタレート単性分からなるポリエステル繊維を使用した場合はカチオン染料に不染であることから、カチオン染料層に同浴染することにより、アクリル系繊維のみが染色され、ポリエステル繊維は不染の、いわゆるポリエステル白残しのメランジ調商品が得られる。
【0032】
また、本発明における紡績糸の番手は特に限定されるものではないが、ヨリ係数はインチ方式で、2.6〜4.0の範囲であり、好ましくは、2.8〜3.2の範囲である。ヨリ係数が2.6未満であると、ソフトな風合いを得ることができる反面、紡績糸のす抜け現象が多発して、紡績加工中での糸切れ障害を招きやすくなる。また3.4を越えると、紡績糸内部の単繊維間の空隙がなくなり保温効果が減少するほか、風合いが堅くなり、ソフトな風合いを得ることができなくなる。
【0033】
上述のようにして得た紡績糸は、これらを使用し織編物に構成することによりソフトな風合いを有し、張り腰があり、軽量感があり、かつ保温性に優れた織編物を得ることができる。
【0034】
本発明の織編物は、本発明の紡績糸を織編物全体重量の30重量%以上を用いて織編物とするものである。30重量%未満では、充分なソフトな風合い、張り腰感、軽量感、保温性のある織編物が得られない。また、上記の範囲で本発明の紡績糸と天然繊維、再生繊維、半合成繊維からなる紡績糸、あるいは天然繊維、再生繊維、半合成繊維と合成繊維繊との混紡糸、さらには、合成繊維からなる紡績糸、または合成繊維、再生繊維、半合成繊維の長繊維等との交撚、交織、交編など各種織編物が可能である。さらには、本発明の紡績糸を構成する素材して、アクリル系繊維とポリエステル繊維の他に、ウール、コットン等の天然繊維を少量混紡しても新規な風合いが得られる。
【0035】
また、本発明の紡績糸を用い、織編物にする場合は紡績糸の段階で熱処理を施し、紡績糸を構成する高収縮性アクリル系繊維を収縮させ嵩高糸に形成させる、いわゆる先バルキー処理を実施した後、織編物にする方法と、織編物にした後、熱処理を施し、布帛の状態で嵩高織編物に形成する、いわゆる後バルキーを実施する方法のいずれの方法も採用することが可能である。したがって、加工プロセスの制約を受けなく、汎用性があり、コスト的にも有利である。
【0036】
製品としては、編物で展開することが好ましく、特に、ソフトタッチ、保温性の特徴を最大限に発揮される肌着用途が適している。さらには、上記特徴に合わせ嵩高性、軽量感が付与されることから、セーター用途にも適している。
【0037】
【実施例】
以下に説明する実施例において使用する特性値等の測定方法は、次のとおりである。
【0038】
(1)軽量性
軽量性については、かさ高度により評価し、JIS L1018の方法に従って測定し、その特性を数値(cm3 /g)により評価した。
【0039】
(2)保温性
布帛の保温性についてはKES測定器により放熱量(w/cm2 )を計測し、目付(g/m2 )との積の逆数で表したもので、数値が大きいほど保温性が大きいことを示す。
【0040】
(3)空気遮断性
布帛の空気遮断性については、通気量(cc/cm2 /sec)のの逆数とした。通気性は、JIS L1096にしたがって評価したもので、数値が大きいほど空気遮断性がおおきいことを示す。
【0041】
(4)張腰
布帛の張腰を、◎(非常に良い)、○(良好)、△(やや不良)、×(不良)の4段階で官能評価した。
【0042】
(5)表面タッチ
布帛の表面タッチを、◎(非常に良い)、○(良好)、△(やや不良)×(不良)の4段階で官能評価した。
【0043】
(6)抗ピル性
JIS L1076の方法で測定し、その特性を5級〜1級の5段階で評価したもので、数字が大きい程、ピリング発生が少ないことを示す。
【0044】
(7)沸水収縮率
処理前のサンプルに初荷重をかけ、一定間隔の原長(L1)を計測し、該サンプルを沸水にて15分間処理し、乾燥後、サンプルに初荷重をかけ、変化長(L2)を計測し、次式により収縮率を求めた。
【0045】
沸水収縮率(%)={(L1−L2)/L1}X100
(実施例1)
単糸繊度0.6デニール(以下dと略記)、繊維長38mm、沸水収縮率4%、引張り強度3.9g/d、結節強度2.2g/d、円形化指数0.9の抗ピル極細アクリル繊維を40重量%、と単糸繊度1.3d、繊維長38mm、沸水収縮22%、引張り強度4.8g/dの高収縮アクリル繊維40重量%、単糸繊度2.5d、繊維長38mm、引張り強度6g/d、沸水収縮1.5%、中空率15%、丸断面形状の中空ポリエステル繊維20重量%を混紡して、番手をメートル番手1/48、撚り係数(インチ方式)k=3.2、で2インチ紡績方式により紡績糸を製造した。該紡績糸を用い、28ゲージの丸編み機にてスムース組織で編成し、カチオン染料でアクリルのみを染色し、仕上げ加工を実施した。
【0046】
この仕上げ加工反を官能および計測器により評価した結果、表1に示すように、軽量性、保温性、空気遮断性、抗ピル性、表面タッチ、張り腰ともに良好であった。
【0047】
(実施例2)
単糸繊度0.6d、繊維長38mm、沸水収縮率4%、引張り強度3.9g/d、結節強度2.2g/d、円形化指数0.9の抗ピル極細アクリル繊維を40重量%、と単糸繊度1.3d、繊維長38mm、沸水収縮22%、引張り強度4.8g/dの高収縮アクリル繊維30重量%、単糸繊度2.5d、繊維長38mm、引張り強度6g/d、沸水収縮1.5%、中空率15%、丸断面形状の中空ポリエステル繊維30重量%を混紡して、番手をメートル番手1/48、撚り係数k=3.2、で2インチ紡績方式により紡績糸を製造した。該紡績糸を用い、28ゲージの丸編み機にてスムース組織で編成し、カチオン染料でアクリルのみを染色し、仕上げ加工を実施した。
【0048】
この仕上げ加工反を官能および計測器により評価した結果、表1に示すように、軽量性、保温性、空気遮断性、抗ピル性、表面タッチは実施例1と同様良好であった。さらに、張り腰については実施例1を凌ぐ良好なものであった。
【0049】
(実施例3)
単糸繊度0.6d、繊維長38mm、沸水収縮率4%、引張り強度3.9g/d、結節強度2.2g/d、円形化指数0.9の抗ピル極細アクリル繊維を50重量%、と単糸繊度1.3d、繊維長38mm、沸水収縮22%、引張り強度4.8g/dの高収縮アクリル繊維30重量%、単糸繊度2.5d、繊維長38mm、引張り強度6g/d、沸水収縮1.5%、中空率15%、丸断面形状の中空ポリエステル繊維20重量%を混紡して、番手をメートル番手1/48、撚り係数k=3.2、で2インチ紡績方式により紡績糸を製造した。該紡績糸を用い、28ゲージの丸編み機にてスムース組織で編成し、カチオン染料でアクリルのみを染色し、仕上げ加工を実施した。
【0050】
この仕上げ加工反を官能および計測器により評価した結果、表1に示すように、軽量性、保温性、空気遮断性、抗ピル性、張り腰は実施例1と同様良好であった。さらに、表面タッチは実施例1を凌ぐものであった。
【0051】
(比較例1)
単糸繊度0.6d、繊維長38mm、沸水収縮率4%、引張り強度3.9g/d、結節強度2.2g/d、円形化指数0.9の抗ピル極細アクリル繊維を60重量%、と単糸繊度1.3d、繊維長38mm、沸水収縮22%、引張り強度4.8g/dの高収縮アクリル繊維40重量%を混紡して、番手をメートル番手1/48、撚り係数k=3.2、で2インチ紡績方式により紡績糸を製造した。該紡績糸を用い、28ゲージの丸編み機にてスムース組織で編成し、カチオン染料でアクリルのみを染色し、仕上げ加工を実施した。
【0052】
この仕上げ加工反を官能および計測器により評価した結果、表1に示すように、軽量性、保温性、空気遮断性は実施例1、2、3に比較し、不十分であり、特に張り腰については不足していた。
【0053】
(比較例2)
単糸繊度0.6d、繊維長38mm、沸水収縮率4%、引張り強度3.9g/d、結節強度2.2g/d、円形化指数0.9の抗ピル極細アクリル繊維を20重量%、と単糸繊度1.3d、繊維長38mm、沸水収縮22%、引張り強度4.8g/dの高収縮アクリル繊維60重量%、単糸繊度2.5d、繊維長38mm、引張り強度6g/d、沸水収縮1.5%、中空率15%、丸断面形状の中空ポリエステル繊維20重量%を混紡して、番手をメートル番手1/48、撚り係数k=3.2、で2インチ紡績方式により紡績糸を製造した。該紡績糸を用い、28ゲージの丸編み機にてスムース組織で編成し、カチオン染料でアクリルのみを染色し、仕上げ加工を実施した。
【0054】
この仕上げ加工反を官能および計測器により評価した結果、表1に示すように、比較例1、2、3に比較し、軽量性、保温性、空気遮断性は若干不足し、表面タッチはソフト感がなく、良好な製品が得られなかった。
【0055】
(比較例3)
単糸繊度0.6d、繊維長38mm、沸水収縮率4%、引張り強度3.9g/d、結節強度2.2g/d、円形化指数0.9の抗ピル極細アクリル繊維を100重量%で番手をメートル番手で1/48、撚り係数k=3.2、で2インチ紡績方式により紡績糸を製造した。該紡績糸を用い、28ゲージの丸編み機にてスムース組織で編成し、カチオン染料で染色し、仕上げ加工を実施した。
【0056】
この仕上げ加工反を官能および計測器により評価した結果、表1に示すように、比較例1、2、3に比較し、軽量性、保温性、空気遮断性は不足し、張り腰もなく、良好な製品が得られなかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の紡績糸およびそれを用いてなる布帛は、抗ピル極細アクリル繊維と高収縮アクリル繊維と中空ボリエステル繊維と適度な範囲で混紡し、最適紡績条件で生産し、製編織および染色加工することにより、軽量嵩高性、保温性にすぐれ、かつ、抗ピル性、寸法安定性を有し、張り腰のあるソフトな風合いを備え、さらには、アクリル片染め、ポリエステル白残しのメランジ染めの製品を提供できるものである。
Claims (5)
- 単繊維繊度が0.3〜0.7デニールで、引張り強度が3g/デニール以上、結節強度が1.9〜3g/デニール、沸水収縮率が5%以下、円形化指数が0.7以上である極細アクリル系短繊維と、沸水収縮率が10%以上の高収縮性アクリル系短繊維と、ポリエステル短繊維とから主としてなる紡績糸であって、紡績糸における前記極細アクリル系短繊維が35〜70重量%、前記高収縮性アクリル系短繊維が20〜40重量%、かつ前記ポリエステル短繊維が10〜30重量%含まれていることを特徴とする紡績糸。
(ただし、円形化指数は、繊維横断面の径の最短軸長さを繊維横断面の径の最長軸長さで除した値である。) - 前記高収縮性アクリル系短繊維の強度が2.5〜5.2g/デニールであることを特徴とする請求項1に記載の紡績糸。
- 前記ポリエステル短繊維が、3〜25%の中空率を有する中空繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の紡績糸。
- 前記短繊維により構成される紡績糸において、ヨリ係数がインチ方式で2.6〜4.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紡績糸。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の紡績糸が布帛全体重量の30重量%以上用いられていることを特徴とする布帛。
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