JP4687091B2 - ソフトストレッチ糸および布帛 - Google Patents
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Description
(1)2種のポリエステルからなるサイドバイサイド複合糸または偏心芯鞘複合糸であって、ポリブチレンテレフタレートが捲縮の内側を形成し、ウースター斑が2.0%以下、糸の50%伸長に対する応力が30×10−3cN/dtex以下、回復率が60%以上、荷重フリーでの捲縮伸長率(E 0 )が50%以上を同時に満たすことを特徴とするソフトストレッチ糸。
(2)撚り数が100ターン/m以上であることを特徴とする請求項1記載のソフトストレッチ糸。
(3)収縮応力が0.25cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のソフトストレッチ糸。
(4)荷重下での捲縮伸長率(E3.5)が10%以上である請求項1〜3のいずれか1項記載のソフトストレッチ糸。
(5)熱処理した後の捲縮の直径が300μm以下である請求項1〜4のいずれか1項記載のソフトストレッチ糸。
(6)乾熱収縮率が20%以下である請求項1〜5のいずれか1項記載のソフトストレッチ糸。
(7)請求項1〜6のいずれかに記載のソフトストレッチ糸と沸騰水収縮率が10%以下の低収縮糸が混繊されていることを特徴とするソフトストレッチ混繊糸。
(8)請求項1〜7のいずれかに記載のソフトストレッチ糸を少なくとも用いてなることを特徴とする布帛。
(9)天然繊維および/または半合成繊維が混用されていることを特徴とする請求項8に記載の布帛。
V1:溶融粘度が相対的に大なるポリマーの溶融粘度値(poise)
V2:溶融粘度が相対的に小なるポリマーの溶融粘度値(poise)
本発明において繊維断面形状は何等限定されるものではないが、例えば図3のような断面形状が考えられる。このうち、捲縮発現性と風合いのバランスが取れているものは丸断面の半円状サイドバイサイドであるが、ドライ風合いを狙う場合は三角断面、軽量、保温を狙う場合は中空サイドバイサイド等用途に合わせて適宜断面形状を選択することができる。
A.糸の50%伸長に対する応力および回復率
まず、糸をかせ取りし、実質的に無荷重の状態で沸騰水中に15分間、引き続いて風乾後乾熱180℃で15分間熱処理を行う。そして、この熱処理糸を自動引っ張り試験機を用い、糸に4.4×10−3cN/dtex(5mgf/d)の初期張力をかけておき、そこから糸を引っ張り速度100%/分で50%伸長させ、すぐに折り返して同速度で伸長率0%まで戻し、ヒステリシス曲線を描かせる(図1)。そして、初期張力を基準とした最高到達応力を50%伸長に対する応力とする。回復率は図1において、回復率(%)=[(50−a)/50]×100%で計算する。ここで、aとはヒステリシス曲線の回復過程において発生応力が初期張力となる点の伸長率である。
B.捲縮伸長率(図6)
捲縮伸長率(%)=[(L1−L2)/L1]×100%
L1:繊維かせを沸騰水処理15分間した後、さらに180℃乾熱処理15分間した後、180×10−3cN/dtex荷重を吊した時のかせ長
L2:L1測定後、吊す荷重を180×10−3cN/dtex(0.2gf/d)から0.9×10−3cN/dtex(1mgf/d)に代えた時のかせ長
E0:荷重フリー(処理荷重無し)で熱処理した時の捲縮伸長率
E3.5:3.5×10−3cN/dtex(4mgf/d)荷重下で熱処理した時の捲縮伸長率
C.捲縮径
実施例、比較例で得られた糸のE0測定後の糸をなるべく力が加わらない状態でサンプリングし、それを走査型電子顕微鏡で観察した(図7)。そして、捲縮を100個ランダムに選択し直径(外径)を測定し、それの平均値を捲縮径とした。
D.ウースター斑(U%)
Zellweger社製USTER TESTER 1 ModelCを使用し、200m/分の速度で糸を給糸しながらノーマルモードで測定を行った。
E.収縮応力
カネボウエンジニアリング社製熱応力測定器で、昇温速度150℃/分で測定した。サンプルは10cm×2のループとし、初期張力は繊度(デシテックス)×0.9×(1/30)gfとした。
F.強度および伸度
初期試料長=50mm、引っ張り速度=50mm/分(100%/分)とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。伸びを初期試料長で割り伸度とした。
G.溶融粘度
東洋精機社製キャピログラフ1Bを用いて、チッソ雰囲気下で測定した。測定温度280℃、歪み速度6080sec−1での測定を3回行い、平均値を溶融粘度とした。
H.初期引っ張り抵抗度
JIS L1013にしたがい測定を行った。
I.沸騰水収縮率および乾熱収縮率
沸騰水収縮率(%)=[(L0’−L1’)/L0’)]×100%
L0’:延伸糸をかせ取りし初荷重0.18cN/dtex(0.2gf/d)下で測定したかせの原長
L1’:L0’を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.18cN/dtex(0.2gf/d)下でのかせ長
乾熱収縮率(%)=[(L0’−L2’)/L0’)]×100%
L2’:L1’を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で180℃乾熱で15分間処理し、風乾後初荷重0.18cN/dtex(0.2gf/d)下でのかせ長
J.風合い評価
実施例、比較例で得られた布帛を、ソフト感、ふくらみ感、反発感、ストレッチ性、染め斑、表面感(布帛表面の審美性)について1〜5級で官能評価した。3級以上を合格とした。
溶融粘度390poiseの酸化チタンを含まないPBTと溶融粘度370poiseの酸化チタンを0.03重量%含むホモPETをそれぞれ260℃、285℃で別々に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用い別々に濾過を行った後、
孔数12の平行合流複合紡糸口金(図2(a))から複合比1:1のサイドバイサイド複合糸(図3(b))として紡糸温度275℃で吐出した。この時の溶融粘度比は1.08であった。紡糸速度1500m/分で168dtex、12フィラメントの未延糸を巻き取り、その後ホットーローラーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラーの温度70℃、第2ホットローラーの温度を130℃、延伸倍率3.00として延伸を行った。
製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、良好な捲縮発現能力を示した。さらに、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径は300μmであった。
溶融粘度1050poiseの酸化チタンを含まないPBTと溶融粘度370poiseの酸化チタンを0.03重量%含むホモPETをそれぞれ280℃、285℃で別々に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用い別々に濾過を行った後、孔数12の特開平9−157941号公報記載の挿入タイプ複合紡糸口金(図2(b))から複合比1:1のサイドバイサイド複合糸(図3(b))として紡糸温度275℃で吐出した。紡糸速度1500m/分で190dtex、12フィラメントの未延糸を巻き取り、その後ホットーローラーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラーの温度70℃、第2ホットローラーの温度を130℃、延伸倍率3.40として延伸を行った。
製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、良好な捲縮発現能力を示した。さらに、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径は280μmであった。さらに、これの初期引っ張り抵抗度は55cN/dtexとソフトであり、乾熱収縮率は12%と充分低収縮性であった。また、収縮応力の極大を示す温度が128℃と充分高温であった。
紡糸速度を6000m/分とした以外は参考例1と同様に紡糸を行い、未延伸糸を得た。これを延伸倍率1.10とした以外は参考例1と同様に延伸を行い、ソフトストレッチ糸を得た。製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、良好な捲縮発現能力を示した。さらに、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径は260μmであった。
溶融粘度130poise(極限粘度0.46)と溶融粘度2650poise(極限粘度0.77)の酸化チタンを0.03重量%含むホモPETをそれぞれ275℃、290℃で別々に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用い別々に濾過を行った後、孔数12の特開平9−157941号公報記載の挿入タイプ口金(図2(b))から複合比1:1のサイドバイサイド複合糸(図3(a))として紡糸温度290℃で吐出した。この時の溶融粘度比は20.3であった。紡糸速度1500m/分で154dtex、12フィラメントの未延伸糸を巻き取り、その後ホットーローラーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラーの温度90℃、第2ホットローラーの温度を130℃、延伸倍率3.11として延伸を行った後、非接触ヒーター(ヒーター温度160℃)により10%の弛緩熱処理を行った。紡糸、延伸とも製糸性は劣悪であり糸切れが多発した。製糸条件を表1に糸物性を表2に示すが、50%伸長に対する応力が50×10−3cN/dtexを超え、本発明のソフトストレッチ糸とすることはできなかった。また、E3.5=0.5%と拘束下での捲縮発現能力が低いものであった。さらに、これの初期引っ張り抵抗度は75cN/dtexとソフトさに欠けるものであった。
溶融粘度2000poiseの酸化チタンを0.03重量%含むホモPETと溶融粘度2100poiseの酸成分としてイソフタル酸を10mol%共重合した酸化チタンを0.03重量%含む共重合PETとし、それぞれ285℃、275℃で別々に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用い別々に濾過を行った後、孔数12の平行合流複合紡糸口金(図2(a))から複合比1:1のサイドバイサイド複合糸(図3(b))として紡糸温度285℃で吐出した。そして、紡糸速度1500m/分で154dtex、12フィラメントの未延糸を巻き取った。その後、ホットーローラーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラーの温度90℃、第2ホットローラーの温度を130℃、延伸倍率2.75として延伸を行った。紡糸、延伸とも製糸性は良好であり糸切れはなかった。製糸条件を表1に糸物性を表2に示すが、50%伸長に対する応力が50×10−3cN/dtexを超え、本発明のソフトストレッチ糸とすることはできなかった。また、E3.5=0.4%と拘束下での捲縮発現能力が低いものであった。
参考例1、実施例2〜3、比較例1、2で得られた糸を原糸とし、これに撚り数700ターン/mの撚糸を施し、65℃スチームにより撚り止めセットを行った。そして、28ゲージ丸編みにかけてインターロック組織で編み物を編成した。これに常法にしたがい90℃でリラックス精練を施した後、180℃で中間セットを施した。そして、やはり常法にしたがい10重量%のアルカリ減量を施した後、130℃で染色を施した。そして、得られた布帛の風合いを官能評価した(表3)。実施例2〜3のソフトストレッチ糸を使用した水準は、ソフトでかつストレッチ性に優れ、しかも布帛表面が審美性に富むものであった。また、染色斑も発生せず品位が高いものであった。しかし、比較例1、2では風合いが粗硬であった。
参考例1、実施例2〜3、比較例1、2で得られたソフトストレッチ糸を原糸とし、これに撚り数1500ターン/mの撚糸を施し、65℃スチームにより撚り止めセットを行った。そして、経糸および緯糸に同一の糸を用いて平織りを作製した。この時の糸密度は、経糸が110本/インチ(2.54cm)、緯糸が91本/インチ(2.54cm)であり、S撚り/Z撚りの交互配置としてトルクバランスをとった。得られた生機に次のように加工を施した。まず90℃でリラックス精練を施し、その後乾熱180℃でピンテンターにより中間セットを施した。そして、常法により15%のアルカリ減量を施した後、やはり常法により130℃で染色を施した。
参考例1、比較例1、2で得られたソフトストレッチ糸を原糸とし、これと表5に示す条件でPETからなる低収縮糸との混繊糸を作製し、65℃スチームにより撚り止めセットを行った。そして、実施例5と同様に製織、加工を施し、評価を行った。
経糸に旭化成工業(株)製ビスコースレーヨン“Silmax”(83dtex、38フィラメント)を用いた以外は実施例5と同様に織物を作製した。得られた織物はソフトでストレッチ性に富んだものであった。また、ビスコースレーヨン特有の優れた反発感によりプリプリした触感が得られ、さらに大きな接触冷感による高度なドライ感が発現した。また、吸放湿性も良好であった。
2:不織布フィルター
3:口金
4:チムニー
5:糸条
6:給油ガイド
7:交絡ガイド
8:第1ゴデットローラー
9:第2ゴデットローラー
10:巻き取り糸
11:未延伸糸
12:フィードローラー
13:第1ホットローラー
14:第2ホットローラー
15:コールドドローローラー
16:延伸糸
17:第1ホットネルソンローラー
18:第2ホットネルソンローラー
19:非接触ヒーター
20:スチームコンディショナー
Claims (9)
- 2種のポリエステルからなるサイドバイサイド複合糸または偏心芯鞘複合糸であって、ポリブチレンテレフタレートが捲縮の内側を形成し、ウースター斑が2.0%以下、糸の50%伸長に対する応力が30×10−3cN/dtex以下、回復率が60%以上、荷重フリーでの捲縮伸長率(E 0 )が50%以上を同時に満たすことを特徴とするソフトストレッチ糸。
- 撚り数が100ターン/m以上であることを特徴とする請求項1記載のソフトストレッチ糸。
- 収縮応力が0.25cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のソフトストレッチ糸。
- 荷重下での捲縮伸長率(E3.5)が10%以上である請求項1〜3のいずれか1項記載のソフトストレッチ糸。
- 熱処理した後の捲縮の直径が300μm以下である請求項1〜4のいずれか1項記載のソフトストレッチ糸。
- 乾熱収縮率が20%以下である請求項1〜5のいずれか1項記載のソフトストレッチ糸。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のソフトストレッチ糸と沸騰水収縮率が10%以下の低収縮糸が混繊されていることを特徴とするソフトストレッチ混繊糸。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のソフトストレッチ糸を少なくとも用いてなることを特徴とする布帛。
- 天然繊維および/または半合成繊維が混用されていることを特徴とする請求項8に記載の布帛。
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