JP4553473B2 - 嵩高複合加工糸とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、嵩高な複合加工糸とその製造方法に関し、さらに詳しくは、天然ウール様のふくらみ感、ソフト感、ヌメリ感および自然な杢調を呈するポリエステル織編物を得ることのできる嵩高複合加工糸及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
染色すれば杢調を呈する嵩高なポリエステル複合加工糸は、種々提案されており、暖かみのある外観が求められる婦人アウター、メンズスラックス等の用途に広く用いられている。
例えば、特開平2−99626号公報には、高配向未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸に弛緩熱処理を施した糸条と、高配向未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸とを、引き揃えて同時に延伸摩擦仮撚加工を行って両糸条に捲縮を付与し、次いで流体交絡処理を施す方法により製造される多層構造捲縮糸が開示されている。
【0003】
しかしながら、上記の方法で得られる多層構造捲縮糸は、仮撚捲縮による嵩高性やヌメリ感を具現できるものの、染色時の加熱によって捲縮が縮まることによりソフトな風合いが損なわれることがあるという問題があった。また、近年、消費者ニーズのレベルが向上しており、外観のみならず感触においてもウールの持つふくらみのある風合いに近似させたポリエステル織編物が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況に鑑み、本発明は、織編物としたときに天然ウール様の自然なふくらみ感、ソフト感、ヌメリ感及び自然な杢調を具現することができ、かつそれらの特性が染色加工等によっても損なわれず、製織性や製編性にも優れた嵩高なポリエステル複合加工糸とその製造方法を提供することを技術的な課題とするものである。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、次の構成を有するものである。
(1)伸度が80%以上、熱収縮率が5〜−5%であり、かつ長手方向に太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント(A)と、伸度が50%未満であり、かつ捲縮性を有するポリエステルマルチフィラメント(B)とが混繊された複合加工糸であって、ポリエステルマルチフィラメント(B)のL値であるL からポリエステルマルチフィラメント(A)のL値であるL を減じた差が1.5以上であることを特徴とする嵩高複合加工糸。
(2)複合加工糸の表面に多数の微細なループが存在し、それらのループのうち高さ0.15mm以上のループの個数が300個/m以上であり、かつ高さ0.35mm以上のループの個数が50個/m未満である上記(1)の嵩高複合加工糸。
(3)複屈折が20×10−3〜80×10−3であるポリエステル高配向未延伸マルチフィラメント糸に弛緩熱処理を施して得られた、長さ方向に太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸(A’)と、複屈折が20×10−3〜80×10−3であるポリエステル高配向未延伸マルチフィラメント糸に加熱下で延伸仮撚加工を施して得られた、捲縮性を有するポリエステルマルチフィラメント(B’)とを、流体乱流処理によって混繊及び交絡することを特徴とする嵩高複合加工糸の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の嵩高複合加工糸は、長手方向に太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント(A)(以下、太細斑フィラメントということがある)と、捲縮性を有するポリエステルマルチフィラメント(B)(以下、捲縮性フィラメントということがある)とが混繊された加工糸である。
【0007】
太細斑フィラメントが長手方向に太細斑を有するとは、細い部分すなわち相対的に繊維径の小さい部分と、細い部分の繊維径に対して1.1倍以上、好ましくは1.1〜2.0倍の繊維径を有する太い部分とが交互に存在することをいう。また、この太細斑の数としては、長さ1mあたり10個/m以上が好ましく、100〜1000個/mがより好ましく、200〜500個/mが特に好ましい。
【0008】
また、太細斑フィラメントの伸度は80%以上、好ましくは90〜120%、乾熱収縮率は5〜−5%、好ましくは1〜−2%である。すなわち、太細斑フィラメントの伸度と乾熱収縮率が上記範囲にあるので、熱収縮性が少なく、時には熱伸長特性を示すこともあり、このため織編物に自然な斑のある感触と天然ウール様のふくらみ感、ソフト感及びヌメリ感を付与することができる。
さらに、太細斑フィラメントの乾熱収縮率が5〜−5%なので、染色加工等で捲縮性フィラメントが収縮しても、太細斑フィラメントはほとんど収縮しないか、逆に伸長して風合いが固くなることがなく、このため、前記特性が染色加工等によっても損なわれることがない。伸度が80%未満では、フィラメントが柔軟な構造変化を有しないため、太細斑を付与することが困難であり、また、沸水収縮率が上記範囲を外れると、自然な斑のある感触(ナチュラル感)とふくらみ感、ソフト感を付与することができない。
【0009】
次に、捲縮性フィラメントの捲縮性の程度としては、C法伸長率が105〜200%でかつC法弾性率が85%以上であることが好ましく、C法弾性率としては、90〜99%がより好ましい。この捲縮性は仮撚により付与することができる。
また、捲縮性フィラメントの伸度としては、50%未満であることが必要であり、25〜40%がより好ましい。伸度が50%未満という低伸度でかつ捲縮性を有するフィラメントであることにより、嵩高性やヌメリ感を具現できると共に、混繊される前記太細斑フィラメントを表面に浮き出させる作用があり、織編物にナチュラル感及び天然ウール様のふくらみ感とソフト感を効果的に具現できる。
【0010】
本発明の複合加工糸における上記の太細斑フィラメント(A)と捲縮性フィラメント(B)との混繊比率であるが、質量比(A)/(B)としては20/80〜80/20であることが好ましく40/60〜70/30がより好ましい。質量比(A)/(B)が80/20を超えると、高伸度で比較的伸び易い(A)の比率が高まる結果、複合加工糸全体が伸び易いものとなり、製織性や製編性に悪い影響を与える傾向にあるので好ましくない。一方、(A)/(B)が20/80未満では、織編物としたときのナチュラル感が損なわれる傾向にあるので好ましくない。
【0011】
また、太細斑フィラメントと捲縮性フィラメントとの間には、染色性差が存在している。すなわち、通常の染色加工では、高伸度の太細斑フィラメントが濃色、低伸度の捲縮性フィラメントが淡色となり、織編物に杢外観の異色効果を付与することができ、天然ウール調の自然な杢外観を具現できる。太細斑フィラメントと捲縮性フィラメントの間の染色性差の程度については、各々単独100%使いの布帛を同浴で後述する染色処方で染色した時のL値の差(L−L)が1.5以上であることが必要である
【0012】
さらに、本発明の嵩高複合加工糸は、複合加工糸の表面に多数の微細なループが存在し、それらのループのうち高さ0.15mm以上のループの個数が300個/m以上であり、かつ高さ0.35mm以上のループの個数が50個/m未満であることが好ましく、さらに高さ0.60mm以上のループの個数が20個/m未満であることがより好ましい。ループが上記範囲で存在することにより、例えば織物製造では無撚で経糸に使用できるなど、工程通過性に優れると共に、微小なループが多数存在するため、織編物にソフトな風合いと暖かみのある表面感を付与することができる。高さ0.15mm以上のループの個数が300個/m未満になると、織編物にソフトな風合いと暖かみのある表面感を付与できず、また高さ0.35mm以上のループの個数が50個/m以上になると、加工糸表面に突出したループの個数が大きいため、チーズからの解舒不良、製織時の開口不良など、工程通過性に問題が生じる。
なお、本発明におけるループ数は、毛羽測定器F−インデックス(敷島紡績社製)を用い、ゲージを測定するループの高さに設定してカウントされる、設定値以上の高さを有する糸長1m当たりのループの個数である。
【0013】
本発明に使用するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、PETを主成分とする共重合ポリエステルが好ましい。また、酸化チタン等の艶消し剤や、機能性を付与するための帯電防止剤、抗菌剤、消臭剤等が添加されていてもよい。さらに、断面形状は、通常の丸断面に限らず、多角、中空、偏平、その他特殊断面形状のものであっても適用可能であり、異なる断面形状のフィラメントが混在していてもよい。いずれにしても、織編物の物性、あるいは両フィラメント間の染色性差等を考慮して、最適なものを用いればよい。
【0014】
次に、本発明の複合嵩高加工糸の製造方法について説明する。
まず、複屈折率が20×10-3〜80×10-3であるポリエステル高配向未延伸マルチフィラメント糸(以下、エステルPOYという)に弛緩熱処理を施して、太細斑を付与したポリエステルマルチフィラメント糸(A’)を得る。
すなわち、エステルPOYに弛緩熱処理を施すことにより、エステルPOYの持つ内部歪みを発現させ、フィラメントに太細斑を付与する。この太細斑は、延伸により発現させるものではないので、いわゆるネック現象は発生せず、なだらかな糸径変化を有するものとなる。
弛緩熱処理に供給するエステルPOYの複屈折率は20×10-3〜80×10-3であることが必要であり、複屈折率が20×10-3未満になると、物性の経日変化が著しく、品質のバラツキが生じるので好ましくない。また、複屈折率が80×10-3を超えると、延伸糸のような安定した物性に近づくため、収縮斑による太細斑を発現させることができない。
【0015】
弛緩熱処理時のオーバーフイード率は、特に限定されるものではないが、好ましくは5〜30%とすることによって、エステルPOYの持つ内部歪みを有効に発現させて、フィラメントに太細斑を付与することができる。
また、弛緩熱処理時のヒータの設定温度は、単フィラメント間が融着しない範囲を採用することが好ましい。さらに、弛緩熱処理は、ヒータに非接触状態で施すのが好ましく、非接触状態で施すことによって、フィラメントを溶断することなく、融点以上の温度で、しかも高速で弛緩熱処理することが可能となる。
【0016】
次に、前記したポリエステルマルチフィラメント糸(A’)用の供給糸と同一範囲の複屈折率を有するエステルPOYに加熱下で延伸仮撚加工を施し、捲縮性を有するポリエステルマルチフィラメント(B’)を得る。
上記延伸仮撚加工時の仮撚は、摩擦仮撚法を採用するのが好ましく、摩擦仮撚法を採用することで高速加工が可能となり、加工操業面から見ても容易に仮撚加工を行うことができる。
上記の延伸仮撚加工において、加撚張力(T1)と解撚張力(T2)との比であるK値(T2/T1)は0.5〜0.9であることが好ましく、K値が0.5未満になると加工糸にくびれ現象が発生し、糸姿が悪くなりやすい。一方、K値が0.9を超えると、加工糸に長い未解撚部や切れ毛羽が発生しやすい。
また、延伸仮撚加工時の延伸倍率は1.4倍以上、仮撚ヒータ温度は200℃以上で融着が起こらない範囲とし、付与する捲縮の程度は、例えば摩擦仮撚装置のデイスク枚数で調整すればよい。
【0017】
本発明では、前記で得られたポリエステルマルチフィラメント糸(A’)とポリエステルマルチフィラメント(B’)とを同一の流体攪乱ノズルに供給し、流体乱流処理を施して混繊、交絡させ、目的とする複合嵩高加工糸とする。
流体乱流処理を施すことによって、ポリエステルマルチフィラメント糸(A’)、(B’)を構成するフィラメントが混繊、交絡され、染色すれば杢表現が可能となる。この場合、ポリエステルマルチフィラメント糸(B’)は捲縮を有するので開繊性が高く、交絡性が1段と向上して糸条全体が集束されたものとなるため、製織準備工程や製織時の工程通過性を向上させることができる。
また、上記の流体乱流処理では、加工糸の表面に、高さ0.15mm以上のループを300個/m以上、高さ0.35mm以上のループを50個/m未満、特に高さ0.6mm以上のループを20個/m未満で形成することが好ましい。
【0018】
流体乱流処理で上記範囲のループを形成すれば、加工糸の表面に微小なループが形成されることになるが、このようなループを形成できるのは、主として弛緩熱処理されるエステルPOYの性状によるものと推定される。
すなわち、エステルPOYには弛緩熱処理による収縮で太細斑が形成されるが、太細は収縮によってフィラメント間及びフィラメントの長手方向に不均一な斑状に発生するため、微小長さ区間で各フィラメント間に糸長差が発生し、このため、流体乱流処理で微小ループが形成される。前記した収縮斑の形成には、紡糸ノズルのL/D(ただしLは吐出孔の厚さ、Dは吐出孔の直径)が関係しているものと推定され、本発明の供給糸として用いられるエステルPOYを得るためには、紡糸ノズルのL/Dが1〜3の範囲のもので紡糸するのが好ましい。
また、流体乱流処理時の糸条のオーバーフイード率は、特に限定されるものではないが、ポリエステルマルチフィラメント糸(A’)のオーバーフイード率をポリエステルマルチフィラメント糸(B’)のそれと同一、もしくは小さくするとヌメリ感が増し、梳毛調風合いを強調する上で好ましい。流体乱流ノズルとしては、糸条に交絡やループを形成できるものであれば、タスランノズル、インターレースノズル等いかなるものでもよい。
【0019】
次に、本発明の嵩高複合加工糸の製造方法を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の嵩高複合加工糸の製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。図1において、複屈折率が20×10-3〜80×10-3のエステルPOY(Y1)は、第1供給ローラ1と第1引き取りローラ3及びヒータ2によって弛緩熱処理が施され、収縮斑によりネックのない太細斑が形成されたポリエステルマルチフィラメント糸(A’)となり、流体乱流ノズル8に導かれる。
【0020】
一方、複屈折率が20×10-3〜80×10-3のエステルPOY(Y2)は、第2供給ローラ4と第2引き取りローラ7の間で、ヒータ5及び摩擦仮撚装置6により延伸仮撚加工が施されて捲縮を有するポリエステルマルチフィラメント糸(B’)となった後、流体乱流ノズル8に導かれる。
次いで、前記ポリエステルマルチフィラメント糸(A’)、(B’)は流体乱流ノズル8で混繊されて目的とする嵩高複合加工糸となり、第3引き取りローラ9を経て、巻き取りローラ10によりパッケージ11に巻き取られる。
【0021】
本発明において、嵩高複合加工糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸(A)と(B)との染色性差の程度を示すL値の差は、次のようにして測定する。
まず、ポリエステルマルチフィラメント糸(A)及び(B)の単独加工糸を5g以下の低張力でパッケージに巻き取る。次いで、各々単独100%使いの筒編地に編成し、同浴にて下記の染色処方で染色を行う。
(染色処方)
Figure 0004553473
上記の染色処方で染色した筒編地を別々に、マクベス社製 MS-3100型分光光度計でその反射率を測定し、各々のL値を求める。L値は、CIE labの色差式から濃度指標を求めた値であり、その値が小さいほど深みのある色となる。
そして、次式よりL値の差を算出する。
L値の差= LB −LA
ただし、LA はポリエステルマルチフィラメント糸(A)の、LB はポリエステルマルチフィラメント糸(A)のL値である。
また、乾熱収縮率は、 180℃で30分間熱処理した試料をJIS L 1090に準じて測定するものである。
【0022】
【作用】
本発明の嵩高複合加工糸によれば、太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント(A)と捲縮性を有するポリエステルマルチフィラメント(B)とが混繊されているので、製編織、染色して得られる布帛に斑のある触感、ナチュラル感を付与できると共に、天然ウール調のふくらみ感、ソフト感やヌメリ感、さらには自然な杢外観を付与することができる。
また、前記した範囲のループを形成させれば、突出した大きいループがほとんど存在しない糸条形態を有し、織物の経糸に無撚で使用できるなど工程通過性に優れるとともに、微小なループが緻密に多数存在するため、織編物にソフトな風合いと暖かみのある表面感を付与することができる。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
PETを溶融紡糸(L/D=2の紡糸ノズルを使用)して得られたエステルPOY(89デシテックス/24フィラメント、複屈折55×10-3)に、下記表1で示す条件で弛緩熱処理を施すことにより、長手方向に太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸(A’1)とした。
一方、PETを溶融紡糸(L/D=2の紡糸ノズルを使用)して得られたエステルPOY(178デシテックス/24フィラメント、複屈折65×10-3)に下記表1に示す条件で延伸仮撚加工を施すことにより、捲縮性を有するポリエステルマルチフィラメント糸(B’1)とした。
次いで、上記A’1 とB’1 とを同一のインターレースノズル内に供給し、下記表1に示す条件で流体乱流処理を行うことにより、本発明の嵩高複合加工糸を得た。
【0024】
実施例2
エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1.5モル%共重合した共重合ポリエステルと、PETとを、質量比1:1で混合した混合物を溶融紡糸(L/D=2の紡糸ノズルを使用)して得られたエステルPOY(122デシテックス/36フィラメント、複屈折40×10-3)に、下記表1で示す条件で弛緩熱処理を施すことにより、長手方向に太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸(A’2)とした。
次いで、上記A’2 と、実施例1で得られたB’1 と同じ糸条とを同一のインターレースノズル内に供給し、下記表1に示す条件で流体乱流処理を行うことにより、本発明の嵩高複合加工糸を得た。
【0025】
比較例1
PETを溶融紡糸(L/D=2の紡糸ノズルを使用)して得られたエステルPOY(89デシテックス/24フィラメント、複屈折55×10-3)に、下記表1で示す条件で延伸熱処理を施すことにより、長手方向に太細斑を有しないポリエステルマルチフィラメント糸(A’3)とした。
次いで、上記A’3 と、実施例1で得られたB’1 と同じ糸条とを同一のインターレースノズル内に供給し、下記表1に示す条件で流体乱流処理を行うことにより、比較用の嵩高複合加工糸を得た。
【0026】
【表1】
Figure 0004553473
【0027】
また、得られた嵩高複合加工糸の特性を下記表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 0004553473
【0029】
次に、上記の実施例1〜2及び比較例1で得られた嵩高複合加工糸をそれぞれ用いて、平織物を製織し、続いて、分散染料を用いた染織、精練、仕上げ加工をそれぞれ常法により行った。このとき、実施例1、2の嵩高複合加工糸を用いた場合、糸の解舒性、製織性は良好であった。
これに対し、比較例1の加工糸を用いた場合、上記表2に示したように加工糸の表面に高さ0.35mm以上のループが多く存在するため、糸の解舒性が悪く、製織時に機台の停止が頻発した。
【0030】
上記のようにして実施例1の嵩高複合加工糸から得られた織物は、天然ウール様のヌメリ感とふくらみ感、ソフトな風合い及び比較的細かい自然な杢外観を併せ持った新規な織物であった。また、実施例2の嵩高複合加工糸から得られた織物は、天然ウール様のヌメリ感とふくらみ感、ソフトな風合い及び比較的粗い自然な杢外観を併せ持った新規な織物であった。
これに対し、比較例1の嵩高複合加工糸から得られた織物は、風合いのソフトさに欠け、杢外観が単調で自然さにも欠ける織物であった。
なお、上記で得られた織物の特性を下記表3に示す。
【0031】
【表3】
Figure 0004553473
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、織編物としたときに天然ウール様の自然なふくらみ感、ソフト感、ヌメリ感及び自然な杢調を具現することができ、かつそれらの特性が染色加工等によっても損なわれず、製織性や製編性にも優れた嵩高複合加工糸とその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の嵩高複合加工糸の製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。
【符号の説明】
Y1 ポリエステル高配向未延伸マルチフィラメント糸
Y2 ポリエステル高配向未延伸マルチフィラメント糸
1 第1供給ローラ
2,5 ヒータ
3 第1引き取りローラ
4 第2供給ローラ
6 摩擦仮施撚装置
7 第2引き取りローラ
8 流体乱流ノズル
9 第3引き取りローラ
10 巻き取りローラ
11 パッケージ

Claims (3)

  1. 伸度が80%以上、熱収縮率が5〜−5%であり、かつ長手方向に太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント(A)と、伸度が50%未満であり、かつ捲縮性を有するポリエステルマルチフィラメント(B)とが混繊された複合加工糸であって、ポリエステルマルチフィラメント(B)のL値であるL からポリエステルマルチフィラメント(A)のL値であるL を減じた差が1.5以上であることを特徴とする嵩高複合加工糸。
  2. 複合加工糸の表面に多数の微細なループが存在し、それらのループのうち高さ0.15mm以上のループの個数が300個/m以上であり、かつ高さ0.35mm以上のループの個数が50個/m未満である請求項1記載の嵩高複合加工糸。
  3. 複屈折が20×10−3〜80×10−3であるポリエステル高配向未延伸マルチフィラメント糸に弛緩熱処理を施して得られた、長さ方向に太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸(A’)と、複屈折が20×10−3〜80×10−3であるポリエステル高配向未延伸マルチフィラメント糸に加熱下で延伸仮撚加工を施して得られた、捲縮性を有するポリエステルマルチフィラメント(B’)とを、流体乱流処理によって混繊及び交絡することを特徴とする嵩高複合加工糸の製造方法。
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