JP3972631B2 - ポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3972631B2
JP3972631B2 JP2001327327A JP2001327327A JP3972631B2 JP 3972631 B2 JP3972631 B2 JP 3972631B2 JP 2001327327 A JP2001327327 A JP 2001327327A JP 2001327327 A JP2001327327 A JP 2001327327A JP 3972631 B2 JP3972631 B2 JP 3972631B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
core
sheath
elongation
composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001327327A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003129345A (ja
Inventor
俊彦 木村
浩史 須山
和生 梅田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2001327327A priority Critical patent/JP3972631B2/ja
Publication of JP2003129345A publication Critical patent/JP2003129345A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3972631B2 publication Critical patent/JP3972631B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソフトなスパンライク風合いと伸縮性や弾性回復性、および染色性等に優れた編織物を製造するのに好適な、ポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略称することがある)を芯糸に、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称することがある)を鞘糸に用い、低伸度のPTTに高伸度のPETが捲回被覆する複合仮撚加工糸として、特開2000−328376号公報に記載されている。
【0003】
しかしながら、該複合仮撚加工糸の弾性回復率は高いものの、高ストレッチ性能が要求される布帛に対して、高伸度のPETが捲回・反転しながら締め付けた糸構造となるためストレッチ不足となり、また複合仮撚加工糸が保持する残留トルクヨリ数は大きいので、製編織工程通過性に悪影響を及ぼす。
【0004】
特開2001−1446651号公報では、高伸度マルチフィラメントのPETと、低伸度マルチフィラメントのPTTを室温〜80℃にて複合仮撚加工した後、再熱処理する技術が記載されている。
【0005】
しかしながら、上記従来技術のものは、布帛の軽量感やソフト風合いに優れているものの、高ストレッチ性能が要求される用途に対してはストレッチ不足となる。
【0006】
このように従来技術では、高ストレッチ性や高弾性回復が要求されるような中厚地用の素材としては適さないのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高ストレッチ性および高弾性回復性が要求される中厚地用素材に好適なポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、次の手段を採用するものである。すなわち、
(1)伸長弾性特性の異なるマルチフィラメント糸から構成された複合仮撚加工糸であって、芯糸としてポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとが繊維長さ方向にサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型に複合した高伸長弾性の微細ケン縮糸からなり、鞘糸としてポリエチレンテレフタレートの低伸長弾性の仮撚ケン縮糸からなり、芯糸の微細ケン縮は仮撚り加工で形成されるケン縮サイズより小さく、該鞘糸は該芯糸に捲回・反転しながら実質無撚りで交絡しているとともに、下記(1)〜(3)の糸特性を有することを特徴とするポリエステル系複合仮撚加工糸。
【0009】
(1)残留トルクヨリ数(回/50cm)=0〜10
(2)伸長弾性回復率(10%伸長時:%)=85〜97
(3)荷重下伸縮伸長率(%)=10〜30
(2)ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートが繊維長さ方向にサイドバイサイド型もしくは偏心芯鞘型に複合した高配向未延伸糸に延伸加工を施して得られた芯糸と、ポリエチレンテレフタレートの高配向未延伸糸の鞘糸とを引き揃え交絡処理を施しその後、室温以上90℃以下の温度にて複合仮撚り加工を施すことを特徴とするポリエステル系複合加工糸の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸は、伸長弾性特性の異なる芯/鞘型の複合仮撚加工糸であって、芯糸は伸長弾性が高く微細ケン縮糸から構成され、鞘糸は伸長弾性が低い仮撚りケン縮糸から構成されている。
【0011】
伸長弾性特性とは、S−Sカーブにおいて10、20,30%それぞれ伸長時における回復率の平均値を伸長弾性特性という。この伸長弾性特性が異なる糸の組み合わせである。
【0012】
なお、回復率の平均値が60%以上である場合を高伸長弾性という。回復率の平均値が60%以下である場合を低伸長弾性という。
【0013】
また、ここでいう微細ケン縮糸の微細とは仮撚り加工で形成されるケン縮サイズより小さいサイズであって、このケン縮はバイメタル構造の潜在ケン縮によって発現するものであり、仮ヨリケン縮とは異なる。
【0014】
上記芯糸と鞘糸の複合糸形態は、該芯糸に該鞘糸が撚回・反転しながら実質無撚りで交絡した糸構造から構成されている。
【0015】
試長1m間に含まれる実ヨリ数の合計が5T/m以下である場合は実質無撚りである。
【0016】
なお、通常はS方向の実ヨリとZ方向の実ヨリが存在するので、その加減を計算した値になる。
【0017】
図1に本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸の糸形態例を示した。
(a)は芯糸と鞘糸が開繊状態で絡んでいる糸形態を、(b)は鞘糸が芯糸に撚回し集束して交絡している糸形態をそれぞれ示した。
【0018】
上記本発明の芯糸に配置する複合繊維のPTTとは、テレフタール酸を主たる酸成分とし,1,3−プロパンジオールを主たる成分として得られるポリエステルであり、PETとはテレフタール酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。
【0019】
上記本発明の鞘糸に配置するPETとは、テレフタール酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。
【0020】
ただし、いずれのポリマー成分も、20モル%より好ましくは10モル%以下の割合で、他のエステ結合の形成が可能な共重合成分を含むものであってもよい。共重合可能な化合物としては、例えばイソフタール酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸,5−ナトリウムスルホイソフタール酸、などのジカルボン酸類、エチレングルコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、などのジオール類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
上記芯糸の複合繊維は、サイドバイサイドの場合は2成分が貼り合わされたサイドバイサイド型であり、もしくは偏心芯鞘型から構成される。サイドバイサイド複合の場合、特に2成分間の複合境界面が繊維断面において直線的である方がコイル発現能が高くなり、ストレッチ性も向上する。偏心芯鞘複合の場合は、高粘度成分となるPTTを芯に、低粘度成分となるPETを鞘に配置するものである。また、繊維断面においてそれぞれの成分の重心間距離は離れているほどコイル発現能は高くなり、ストレッチ性も向上する。なお、芯成分が繊維表面に一部露出していてもかまわない。
【0022】
なお、上記芯糸において、サイドバイサイド複合を形成しないPTT100%単独糸では、従来技術で記載したように、ストレッチ性は低いものとなる。
【0023】
上記芯糸のサイドバイサイドの2成分間の複合比率は製糸性、寸法安定性、および糸の経時変化を抑制することから、(重量比%)PTT:PET=70:30〜35:65が好ましく、60:40〜45:55の範囲がさらに好ましい。
【0024】
上記芯糸の断面形状は、概ね丸型がネジリトクルクの大きさからストレッチ性が高くなるので好ましく、逆にだるま型や茸型などの異形型はネジリトルクが低くなるので好ましくない。
【0025】
上記芯糸は複合繊維の不完全延伸糸を仮撚加工する前に延伸加工を施しているので、いったん微細ケン縮が発現した状態になり、その発現した上にさらに仮撚加工が施されたケン縮形態となる。その結果、高ストレッチ性と高弾性回復に優れた糸特性を保有しているのである。
【0026】
また、本発明の鞘糸は通常の不完全延伸糸またはPOYと呼ばれる高配向未延伸糸を用いた仮撚ケン縮糸であり、該芯糸に比べてストレッチ性と弾性回復は極めて低い特性であるが、仮撚加工温度が低いのでネジリ剛性は小さく、柔らかい糸特性を保有しているのである。
【0027】
このように本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸は、芯糸が高ストレッチ性と高弾性回復を有し、鞘糸がソフトなスパンライク風合いの効果をもたらす糸特性を有した複合糸からなるのである。
【0028】
本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸において、まず残留トルクヨリ数の大きさは0〜5回/50cmの極めて低い少い値である。これは、該加工糸にトルクがほとんど発生しないレベルであり、後工程の撚糸や製編織性には極めて好適である。
【0029】
残留トルクヨリ数が10回/50cm以上の大きさになれば、トルクの強さによる影響が顕著に表れ、前述した工程通過性や布帛品位の低下につながるので好ましくない。なおこれ以上大きくなれば残留トルクを押さえるための対策をこうじなければならない。
【0030】
残留トルクヨリ数の測定方法は下記のように行う。
本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸に0.11cN/dtexの荷重を吊し、水平方向に1mの試長を採取し仮固定する。試長の中央に0.4cNの小荷重を吊し、試長の両端を中央に寄せたときに小荷重が回転する。この時、回転した回転数を検撚機で読みとる。
【0031】
残留トルクヨリ数=R(回/50cm)
として算出する。
【0032】
本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸特性において、10%伸長時における弾性回復率が85〜97%の高伸長弾性率を有している。
【0033】
前記したように、本発明の加工糸に用いる鞘糸のポリエチレンテレフタレートを主体とするケン縮糸の伸長弾性回復性は、10%伸長時に70%以下の極めて低いものであるが、芯糸に用いるPTTの複合繊維はいったん延伸加工を施しているので、弾性回復特性は95%以上と極めて高くなるので、該芯糸と該鞘糸から構成される該加工糸の伸長弾性回復率は高くなるのである。
【0034】
10%伸長時の伸長弾性回復率において、85%未満では布帛に供した場合、布帛の弾性回復は低いので、ボトム用では膝抜けが、トップ用では肘抜けしたりし、資材用の椅子張りやカーシート用では、たるみ部が生じたりするので好ましくない。したがって、10%伸長時の伸長弾性回復率は85%以上であることが重要である。
【0035】
なお、本発明の加工糸において高い伸長弾性回復率を有すると、特に縫製後の成型シルエットが出やすいこと、フィット性が優れていることなどにより、ジーンズやパンツなどボトム用では着用快適感に優れた素材として供することができる。
【0036】
伸長弾性回復率(10%伸長時:%)の測定方法は下記のように行う。
本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸に0.11cN/dtexの荷重を吊し、インストロン型引っ張り試験機のS−S曲線において、試長20cm、引っ張り速度20cm/分にて10%伸長し伸長伸び点r1(10%)とし、引っ張り速度と同速で元に回復させる。S−S曲線上の応力がゼロ点における回復伸び点r2(%)を読みとる。
【0037】
伸長弾性回復率(10%伸長時:%)={(r1−r2)/r1}×100
として算出する。
【0038】
なお、上記本発明の複合仮撚加工糸は伸長度合いが、20%、30%の伸長時においても、80%以上の高い伸長弾性回復率を有することができる。
【0039】
本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸において、荷重下伸縮伸長率(%)は10〜30である。これは、該加工糸を布帛にした場合の布帛が伸長する度合いを想定し、該加工糸の段階における伸長率の範囲を示したものである。
【0040】
なお、該加工糸の芯糸にはPTT繊維を用いているので、JIS法による伸縮特性の測定方法では加工糸と布帛の伸縮対応がとれなく、本発明では特殊な測定方法を用いることにより、伸縮対応がとれることを見いだした。
【0041】
荷重下伸縮伸長率の測定方法は下記のように行う。
本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸に0.0022cN/dtexの荷重を吊しながら、90℃の温水にて5分間処理する。除重し乾燥後、定荷重として0.11cN/dtexの荷重を吊しながら30秒後の長さL1を読み、除重し2分後初荷重として0.0022cN/dtexの荷重を吊し30秒後の長さL2を読みとる。
【0042】
荷重下伸縮伸長率(%)={(L1−L2)/L2}×100
として算出する。
【0043】
次に本発明のポリエステル系複合加工糸の製造方法について詳細に説明する。芯糸としてPTTとPETのサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型の複合ポリエステル系高配向未延伸糸を用い、該高配向未延伸糸をいったん延伸しすることにより、交絡処理工程において高弾性回復性と微細ケン縮を発現させる準備をしておくのである。
【0044】
鞘糸としてPET高配向未延伸糸を延伸することなく、糸解じょしそのまま用いるのであり、交絡処理工程においてもちろん弾性回復や微細ケン縮の発現は全く存在しない。
【0045】
この糸状態の上記芯糸と鞘糸とを引き揃えながら弛緩条件にて交絡処理を施した後、通常の複合仮撚加工する製造方法である。
【0046】
上記芯糸となる高配向未延伸糸の製造方法から説明するならば、高収縮側となるポリプロピレン系重合体AにPTTを配し、低収縮側となるポリエステル系重合体BにPETを主体としたポリエステルを配し、吐出孔上部で合流させて複合流を形成させた後、所望の断面口金から吐出させるのである。紡糸速度2500〜3500m/分で巻き取ることにより、高伸長弾性回復性のポリエステル系複合高配向未延伸糸を製造することができる。
【0047】
上記鞘糸となるPET高配向未延伸糸の製造方法については、通常の方法にて、紡糸速度2500〜3500m/分で巻き取ることにより、低伸長弾性回復性のポリエステル高配向未延伸糸を製造することができる。
【0048】
図2に従い説明するならば、該芯糸となるポリエステル系複合高配向未延伸糸1を解じょし、延伸ローラ2と延伸ローラ4との間にある熱ピン3によりいったん延伸加工を施す。
【0049】
上記鞘糸となるポリエステル高配向未延伸糸5をそのままの状態で解じょし、延伸ローラ4へ供給し両糸をここで引き揃える。
【0050】
フィードローラ7と延伸ローラ4との間の交絡ノズル6において、弛緩条件ののフィード率で同時に交絡処理を施し、引き取りローラ10とフィードローラ7の間で若干延伸しつつ同時に複合仮撚加工を行い、巻き取りローラ11によりチーズ12にポリエステル系複合加工糸を巻き上げる製造方法である。
【0051】
ここで、複合仮撚加工における仮撚ツイスター9は摩擦式、スピンドル式、ベルトニップ式、ディスク式のいずれであってもよく、またヒータ8は接触式の室温〜90℃の低温型もしくは、非接触式の短縮型であってもよい。いずれにおいても仮撚熱処理直後の糸温度がTg以下になることが好ましい。なお、20〜25℃の範囲は室温である。
【0052】
上記芯糸を延伸する場合の延伸ピン3の温度は、芯糸1の微細な潜在ケン縮を発現させるには、50〜120℃の範囲が好ましい。120℃を超えると、いったん発現した微細ケン縮が熱セットされ、さらに高温になると融着や糸切断に至るので好ましくない。
【0053】
また50℃未満の低温あるいは室温では微細ケン縮の発現ムラを生じやすいことや糸切れが発生しやすいので好ましくない。
【0054】
なお、延伸ピン3を挿入しない場合においては、室温の延伸のみのいわゆる冷延伸とよばれる延伸であるが、もちろんこれでも可能ではあるが均一延伸を行うには延伸ピン3を挿入した方が望ましい。
【0055】
芯糸の延伸倍率Rは複合仮撚加工中の延伸倍率Roとの両者間には、
R>Ro および1.2>Ro>0.8
の関係が存在し、この範囲が好ましい用い方である。
【0056】
つまり、芯糸の延伸倍率を高目に設定し、複合仮撚加工の加工倍率を低く設定することが、本発明の特徴を発揮しやすい。
【0057】
上記芯糸をいったん延伸加工することにより、交絡処理工程において芯糸は高弾性回復性と微細ケン縮が発現するので芯糸はより芯部側に、弾性回復が極めて低くケン縮が発現しない鞘糸はより鞘部側にに配置することが、本発明のポイントである。
【0058】
交絡処理後に施す複合仮撚加工において、この芯/鞘配置がより助長されながら仮撚加工されるので、得られるポリエステル系複合加工糸に高い伸縮性や弾性回復性を付与することができるのである。
【0059】
交絡処理のフィード率はフィードローラ7と延伸ローラ4との比率で決まるが、ローラ7よりローラ4が1〜5%速い、いわゆるオーバフィード状態であることが好ましい。
【0060】
交絡処理ノズル6の空気圧力はノズルの型式にもよるが0.1〜0.5MPが好ましく、交絡処理は乱流噴射型や旋回型の混繊ノズルであってもよいが、得られる複合糸形態や製造コストからすれば、交絡型ノズルが最適である。
【0061】
交絡処理中における芯糸にはすでに微細な潜在ケン縮が発現し、鞘糸は生糸の状態で芯糸に絡んだ芯鞘交絡糸構造を有している。そして、芯糸は微細な潜在ケン縮を有しているので、鞘糸が交絡しやく緊密な糸構造をとることができる。
【0062】
また、延伸された該芯糸は緊張状態にあるが、交絡処理の弛緩条件に急激にさらすことにより高弾性回復性と微細ケン縮が発現が一気に起こるので、鞘糸をより緊密に交絡させることができる。
【0063】
複合仮撚加工条件の仮撚り数は通常の範囲を設定するが、仮撚温度はPETのTg以下、室温以上の範囲が好ましい。Tgを超える温度になると仮撚加工は可能ではあるが、風合いのソフトさや染色性および残留トルク発現による製編織工程通過性の低下などを来すので好ましくない。具体的には仮撚熱処理直後の糸温度が少なくとも90℃ 以下に押さえることが重要である。
【0064】
なお、上記したように短縮型の非接触式ヒータを用いた場合、90℃を超える設定であっても、糸の実質温度が90℃の範囲を越えなければ構わない。
【0065】
本発明のポリエステル系複合仮撚加工糸を用いた用途として、特に紳士・婦人アウター、ジーンズ、パンツなどのストレッチ織物、ソフト風合いを生かしたユニフォーム、介護用衣料、医療、乳幼児品など、また椅子張りやカーシートなど資材用に展開することができる。
【0066】
【実施例】
[実施例]1
芯糸としてPTT/PET重量比(%)50:50のサイドバイサイド型丸断面複合マルチフィラメント糸のブライト/セミダルタイプを、紡糸速度3000m/分、紡糸温度275℃において紡出し、100dtex−24フィラメントのポリエステル複合マルチフィラメントの高配向未延伸糸をドラムに巻き取った。
【0067】
鞘糸としてPETフィラメント糸のブライトタイプを、紡糸速度3000m/分にて紡出し、85dtex−48フィラメントの高配向未延伸糸をドラムに巻き取った。
【0068】
上記芯糸を用いて延伸ピン温度を70℃、延伸倍率を1.2倍にていったん延伸し、上記鞘糸とを引き揃えて、オーバフィード率−1.0%、交絡処理圧力0.3MPにて両糸に交絡を施した。さらに仮撚り数2350T/m、仮撚加工温度70℃ フィード率0%にて複合仮撚加工を行い、300m/分にて引き取りポリエステル系複合加工糸としてチーズに巻き上げた。その結果を表1に示した。
【0069】
上記の複合仮撚加工糸を用いて、タテ糸がPETの84dtex−24フィラメント糸のヨコ糸として使用し平織物を製造した。該織物を染色温度110℃、分散染料にて染色加工し、150℃にて仕上げ加工し、高ストレッチ性とソフトな風合いおよび染色性に優れた織物を得た。その結果を表1に示した。
【0070】
[比較例1]
実施例1と同じ原糸を用い、延伸加工条件と交絡処理条件を実施例1と同じに設定し、複合仮撚加工条件の仮撚加工温度を70℃から100℃に変更し、他は実施例1と同じ条件にて行った。
【0071】
しかし、 仮撚加工温度が高いので、いったん発現した微細ケン縮が低下し風合いは硬くなり、発色性も低くなるので、好ましくない。
【0072】
[比較例2]
実施例1と同じ原糸を用いて延伸加工工程を省略し、IN−DRAW複合仮撚加工方法にて行った。
【0073】
OUT−DRAW工程を省略しているので、微細ケン縮発現はほとんどなく、風合いはやや硬くストレッチ性は低くなるので、好ましくない。
【0074】
[比較例3]
芯糸としてPTT/PET複合高配向未延伸糸を予め延伸した延伸糸の84dtex−24フィラメントに変更し、実施例1と同じ鞘糸を用いて、延伸加工工程を省略し、交絡処理条件および複合仮撚加工条件を実施例1と同じに設定し行った。
【0075】
予め延伸した延伸糸を解じょした時、微細ケン縮による弾性発現は小さく、複合仮撚り加工後も弾性特性は低くなるので、ストレッチ性は低くなり好ましくない。
【0076】
なお、高配向未延伸糸を延伸することにより微細ケン縮発現は高く、かつ瞬時弾性特性も大きくなるので、仮撚り加工後も弾性特性は高く、ストレッチ性も高くなるのである。以上の結果を表1に示した。
【0077】
【表1】
Figure 0003972631
【0078】
【発明の効果】
本発明のポリエステル系複合加工糸の効果は、まず残留トルクヨリ数がほとんど発生しなくゼロに近いので、製編織工程通過性が高く特に編成工程や撚糸工程におけるチーズ解じょ性が高い。
【0079】
本発明の加工糸の複合加工糸形態は芯糸に鞘糸が撚回・反転しながら緊密に交絡し、実質無ヨリを構成している。これは、芯糸が微細ケン縮を有していることと、従来の潜在ケン縮糸では有しない高弾性回復性を有していることから、鞘糸が芯糸に絡みやすくまた絡みが解けにくい糸構造であり、扱きやガイド抵抗により鞘糸のズレが生じなく、糸欠点が布帛に入り込むことがない。
【0080】
本発明の加工糸の伸長弾性回復率は高く、衣料用は勿論のこと資材用のカーシートや椅子張りにおける成型性に優れ、着用後のズレや型くずれも生じないのである。
【0081】
本発明の加工糸の荷重下伸縮伸長率は織物や編物など高密度設計の布帛において、拘束抵抗を受けた時も微細な潜在ケン縮性を有しているので伸縮性や弾性回復性に優れている。
【0082】
本発明の加工糸を用いた布帛の風合いは、Tg以下の温度により仮撚加工されているので、手触りはソフトでありハリ・腰感は柔らかい。
【0083】
染色性については105〜120℃の比較的低温染色において、高い発色性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル系複合加工糸の一例を示す形態図である。
【図2】本発明のポリエステル系複合加工糸の製造工程の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
a:開繊部分
b:交絡部分
1:ポリエステル複合マルチフィラメント糸の高配向未延伸糸
2:延伸ローラ
3:延伸熱ピン
4:フィードローラ
5:ポリエステルマルチフィラメント糸の高配向未延伸糸
6:交絡ノズル
7:フィードローラ
8:接触型ヒータ
9:仮撚ツイスター
10:引き取りローラ
11:巻き取りローラ
12:チーズ

Claims (2)

  1. 伸長弾性特性の異なるマルチフィラメント糸から構成された複合仮撚加工糸であって、芯糸としてポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとが繊維長さ方向にサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型に複合した高伸長弾性の微細ケン縮糸からなり、鞘糸としてポリエチレンテレフタレートの低伸長弾性の仮撚ケン縮糸からなり、芯糸の微細ケン縮は仮撚り加工で形成されるケン縮サイズより小さく、該鞘糸は該芯糸に捲回・反転しながら実質無撚りで交絡しているとともに、下記(1)〜(3)の糸特性を有することを特徴とするポリエステル系複合仮撚加工糸。
    (1)残留トルクヨリ数(回/50cm) =0〜10
    (2)伸長弾性回復率(10%伸長時:%)=85〜97
    (3)荷重下伸縮伸長率(%) =10〜30
  2. ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートが繊維長さ方向にサイドバイサイド型もしくは偏心芯鞘型に複合した高配向未延伸糸に延伸加工を施して得られた芯糸と、ポリエチレンテレフタレートの高配向未延伸糸の鞘糸とを引き揃え交絡処理を施しその後、室温以上90℃以下の温度にて複合仮撚り加工を施すことを特徴とするポリエステル系複合加工糸の製造方法。」
    である。
JP2001327327A 2001-10-25 2001-10-25 ポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3972631B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001327327A JP3972631B2 (ja) 2001-10-25 2001-10-25 ポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001327327A JP3972631B2 (ja) 2001-10-25 2001-10-25 ポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003129345A JP2003129345A (ja) 2003-05-08
JP3972631B2 true JP3972631B2 (ja) 2007-09-05

Family

ID=19143573

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001327327A Expired - Lifetime JP3972631B2 (ja) 2001-10-25 2001-10-25 ポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3972631B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100726551B1 (ko) 2005-11-29 2007-06-11 주식회사 효성 정경성 및 신축성이 우수한 빔 형태의 복합섬유 및 이를포함하는 신축성 편물
CA3139640A1 (en) * 2019-05-31 2020-12-03 Teijin Frontier Co., Ltd. Composite yarn, fabric, and fiber product
KR20210015399A (ko) * 2019-08-02 2021-02-10 도레이첨단소재 주식회사 심초형 복합가연사 및 이의 제조방법
CN114687029B (zh) * 2022-03-14 2023-05-09 常州安诺机械有限公司 一种卷曲机用卷曲辊

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003129345A (ja) 2003-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2652918B2 (ja) 複合捲縮糸及び織物
JP3859672B2 (ja) 複合繊維及びその製造方法
US6276121B1 (en) Crimped yarn, textile fabric, and process for preparing the same
JP4292763B2 (ja) 複合布帛およびその製造方法
JP2006214056A (ja) 織物
JP7521255B2 (ja) ポリエステル仮撚糸および編織物
JP2002180332A (ja) ポリエステル系複合糸およびその製造方法ならびに布帛
JP3972631B2 (ja) ポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法
JP4497648B2 (ja) 複合弾性糸及びその製造方法
JP2016125166A (ja) 複合仮撚加工糸およびその製造方法ならびに織編物
JP7476619B2 (ja) ポリエステル複合繊維
JP3506129B2 (ja) 仮撚加工糸およびその製造方法
JP2003096642A (ja) 複合布帛とその製造方法
JP2004183142A (ja) 複合仮撚加工糸およびその製造方法
WO2023100570A1 (ja) 偏心芯鞘複合仮撚糸及びそれを用いた織編物
JPH05247757A (ja) 複合糸および織物の製造法
JP2006257632A (ja) 複合布帛
JP3988286B2 (ja) 織編物
JP2006348431A (ja) 複合仮より加工糸
JP4553473B2 (ja) 嵩高複合加工糸とその製造方法
JP4660882B2 (ja) 複合仮撚加工糸およびその製造方法
JP3285018B2 (ja) ポリエステル交織織物
JP2004143630A (ja) ストレッチ性複合仮撚加工糸及びその製造方法
JP2003119629A (ja) ポリエステル複合マルチフィラメント糸およびその製造方法
JP2003119639A (ja) 二重被覆糸およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040324

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051020

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070522

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070604

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3972631

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110622

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110622

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120622

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130622

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130622

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140622

Year of fee payment: 7

EXPY Cancellation because of completion of term