JP3506129B2 - 仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents

仮撚加工糸およびその製造方法

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JP3506129B2
JP3506129B2 JP2001129307A JP2001129307A JP3506129B2 JP 3506129 B2 JP3506129 B2 JP 3506129B2 JP 2001129307 A JP2001129307 A JP 2001129307A JP 2001129307 A JP2001129307 A JP 2001129307A JP 3506129 B2 JP3506129 B2 JP 3506129B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、仮撚加工糸および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、いわゆるポリエチレンテ
レフタレート(以下、PETと記載する)は、機械的特
性をはじめさまざまな優れた特性を有しているため、幅
広く展開されている。また、近年のストレッチブームに
よりポリエステル系加工糸の織物、編み物にもより優れ
たストレッチ性を付与することが望まれている。
【0003】PET繊維(単独成分)にストレッチ性を
付与する手段として、仮撚加工があるが、捲縮発現によ
りある程度はストレッチのあるものが得られるものの、
スポーツやインナーウェア、ユニフォオーム衣料などの
極めて高いストレッチ性が求められる分野においては、
不十分である。また、ポリマーの剛性が高く、カサカサ
した、硬い風合いが問題であった。
【0004】また、PET繊維にポリウレタン繊維など
の弾性糸を混用した加工糸では、ポリウレタン繊維の染
色での染色堅牢性が劣ること、ドレープ性に欠けるこ
と、高価であることなどの理由から、用途は大幅に制約
される。
【0005】一方、PET成分同士のサイドバイサイド
型複合繊維が種々提案されている。
【0006】例えば、特公昭44−2504号公報や特
開平4−308271号公報には固有粘度差あるいは極
限粘度差を有するポリエチレンテレフタレート(以下、
PETと記載する)のサイドバイサイド複合糸、特開平
5−295634号公報には非共重合PETとそれより
高収縮性の共重合PETのサイドバイサイド複合糸が記
載されている。
【0007】このようなサイドバイサイド型複合繊維を
用いれば、ある程度のストレッチ性のある糸を得ること
はできるが、織物にした際のストレッチ性が不充分とな
り、満足なストレッチ性織物が得られにくいという問題
があった。これは、サイドバイサイド型複合糸は織物拘
束中での捲縮発現能力が低い、あるいは捲縮が外力によ
りヘタリ易いためである。サイドバイサイド型複合糸は
ポリウレタン系繊維のように繊維自身の伸縮によるスト
レッチ性を利用しているのではなく、複合ポリマ間の収
縮率差によって生じる3次元コイルの伸縮をストレッチ
性に利用している。このため、例えば、ポリマーの収縮
が制限される織物拘束下で熱処理を受けるとそのまま熱
固定され、それ以上の収縮能を失うためコイルが十分に
発現せず、上記問題が発生するものと考えられる。
【0008】一方、ポリトリメチレンテレフタレート
(以下、PTTと記載する)の単独成分の延伸糸或いは
これの仮撚糸が提案されているが、上記のPETに比べ
て、ソフトな風合いであるが、ストレッチ性としては、
まだ不十分であり、且つストレッチ回復性が劣る問題が
ある。これはPTTはPETに比べて、ポリマー構造
上、炭素数が多く、そのため融点および剛性が低い理由
からである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解消せんとするものであり、極めて
高いストレッチ性と回復性およびソフトな風合い、かさ
高性、ドレープ性をもち、高い染色堅牢性を併せもつ仮
撚加工糸およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
本発明の仮撚加工糸は、次の(1)の構成を持つもので
ある。 (1)一方がポリトリメチレンテレフタレートを主体と
したポリエステル成分(A)で、片方がポリエチレンテ
レフタレートを主体としたポリエステル成分(B)であ
る2種類のポリエステル系重合体を繊維長さ方向に沿っ
てサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維のマルチ
フィラメント仮撚加工糸であって、90℃熱水処理にお
ける伸縮復元率が少なくとも15%以上であることを特
徴とするポリエステル複合繊維仮撚加工糸。
【0011】また、かかる本発明の仮撚加工糸におい
て、好ましくは、次の(2)、(3)のものである。 (2)20%伸長時の伸長回復率が80%以上であるこ
とを特徴とする上記(1)記載の仮撚加工糸。 (3)ポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポ
リエステル成分(A)の複合比率が30〜70重量%に
複合されている上記(1)または(2)記載のポリエス
テル複合繊維仮撚加工糸。
【0012】また、上述した目的を達成する本発明の仮
撚加工糸の製造方法は、次の(4)の構成を持つもので
ある。 (4)一方がポリトリメチレンテレフタレートを主体と
したポリエステル成分(A)と、片方がポリエチレンテ
レフタレートを主体としたポリエステル成分(B)との
2種類のポリエステル系重合体を同一の口金より溶融紡
糸し、繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り
合わせて、複合繊維マルチフィラメントとし、延伸し、
次いで、仮撚加工温度が150℃以上、210℃以下で
仮撚加工することを特徴とするポリエステル複合繊維仮
撚加工糸の製造方法。
【0013】また、かかる本発明の仮撚加工糸の製造方
法において、好ましくは、次の(5)のものである。 (5)ポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポ
リエステル成分(A)の複合比率が30〜70重量%に
複合し、次いで、仮撚する上記(4)記載のポリエステ
ル複合繊維仮撚加工糸の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の加工糸には、ポリエステ
ル系のサイドバイサイド型複合繊維を用いる。
【0015】サイドバイサイド型の複合繊維(原糸)
は、固有粘度や共重合成分、共重合率等が異なる重合体
を貼り合わせ、それらの弾性回復特性や収縮特性の差に
よって、捲縮を発現するものである。固有粘度差を有す
るサイドバイサイド型複合の場合、紡糸、延伸時に高固
有粘度側に応力が集中するため、2成分間で内部歪みが
異なる。
【0016】そのため、延伸後の弾性回復率差および織
物の熱処理工程での熱収縮率差により高粘度側が大きく
収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形
態をとる。この3次元コイルの径および単位繊維長当た
りのコイル数は、高収縮成分と低収縮成分との収縮差
(弾性回復率差を含む)によって決まると言ってもよ
く、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長
当たりのコイル数が多くなる。
【0017】ストレッチ素材として要求されるコイル捲
縮は、コイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数
が多い(伸長特性に優れ、見映えが良い)、コイルの耐
へたり性が良い(伸縮回数に応じたコイルのへたり量が
小さく、ストレッチ保持性に優れる)、さらにはコイル
の伸長回復時におけるヒステリシスロスが小さい(弾発
性に優れ、フィット感がよい)等である。これらの要求
を全て満足しつつ、ポリエステルとしての特性、例えば
適度な張り腰、ドレープ性、高染色堅牢性を有すること
で、トータルバランスに優れたストレッチ素材とするこ
とができる。
【0018】ここで、前記のコイル特性を満足するため
には高収縮成分(高粘度成分)の特性が重要となる。コ
イルの伸縮特性は、低収縮成分を支点とした高収縮成分
の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重
合体には高い伸長性および回復性が要求される。
【0019】そこで、本発明者らは、ポリエステルの特
性を損なうことなく前記特性を満足させるために鋭意検
討した結果、高収縮成分にポリトリメチレンテレフタレ
ート(以下、PTTと記載する)を主体としたポリエス
テルを用いることを見出した。PTT繊維は、代表的な
ポリエステル繊維であるポリエチレンテレフタレート
(以下PETと略記する)やポリブチレンテレフタレー
ト(以下、PBTと記載する)繊維と同等の力学的特性
や化学的特性を有しつつ、弾性回復性、伸長回復性が極
めて優れている。これは、PTTの結晶構造においてア
ルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ−ゴーシ
ュの構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらに
はベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)に
よる拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いこと
から、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回
復するためと考えられている。
【0020】ここで、本発明において、PTTとは、テ
レフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオ
ールを主たるグリコール成分として得られるポリエステ
ルである。ただし、20モル%、より好ましくは10モ
ル%以下の割合で他のエステル結合の形成が可能な共重
合成分を含むものであってもよい。共重合可能な化合物
として、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサ
ンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸
類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン
ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコールなどのジオール類を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。また、必要に応
じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリ
カやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェ
ノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
【0021】また、低収縮成分(低粘度成分)には高収
縮成分であるPTTとの界面接着性が良好で、製糸性が
安定している繊維形成性ポリエステルであれば特に限定
されるものではないが、力学的特性、化学的特性および
原料価格を考慮すると、繊維形成能のあるPETが好ま
しい。
【0022】また、両成分の複合比率は製糸性および繊
維長さ方向のコイルの寸法均質性の点で、高収縮成分:
低収縮成分=70:30〜30:70(重量%)の範囲
が好ましく、65:35〜45:55の範囲がより好ま
しい。
【0023】本発明に用いるサイドバイサイド型複合繊
維の断面形状は、丸断面、三角断面、マルチローバル断
面、偏平断面、ダルマ型断面、X型断面その他公知の異
形断面であってもよいが、捲縮発現性と風合いのバラン
スから、丸断面の半円状サイドバイサイドや軽量、保温
を狙った中空サイドバイサイド、ドライ風合いを狙った
三角断面サイドバイサイド等が好ましく用いられる。
【0024】また、単繊維繊度(単糸繊度)は、1.1
〜10dtexが好ましく、より好ましくは1.1〜6
dtexである。1.1dtex以上とすることで、捲
縮によるストレッチ性の実効を得ることができ、また1
0dtex以下とすることによりシボ感を抑えることが
できる。
【0025】また、前述のように布帛拘束力に打ち勝っ
てコイル捲縮を発現させるためには、サイドバイサイド
型複合繊維の収縮応力が高いことが好ましい。布帛の熱
処理工程で捲縮発現性を高めるには、収縮応力の極大を
示す温度は110℃以上、応力の極大値は0.25cN
/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは
応力の極大値は0.28cN/dtex以上、更に好ま
しくは0.30cN/dtex以上である。又、シボの
抑制という点では、0.50cN/dtex以下とする
ことが好ましい。
【0026】本発明においては、このサイドバイサイド
型複合繊維(原糸)を仮撚加工することが重要である。
【0027】すなわち、上述したサイドバイサイド型複
合繊維の原糸(延伸糸)は、捲縮の位相がマルチフィラ
メントを構成する単糸間で揃っている場合が多く、これ
により、無撚りでそのまま使用すると、布帛でシボの発
生がしばしば見られ、外観を著しく損なう。この要因と
しては、次のようなことが考えられる。つまり、サイド
バイサイド型複合繊維において、マルチフィラメントの
位相が揃い集合した形でSとZ方向のトルクを有するク
リンプが交互に発現しやすく、するとSとZのトルクの
変わり目においてマルチフィラメント全体が捩れ、これ
が織物においてはシボとなって品位の低下をもたらすの
である。
【0028】そこで、本発明者等は、シボの発生を抑え
る手段として、単糸間の捲縮の位相を仮撚のねじり力で
ずらすことを見出した。ここで捲縮の位相とは、単糸に
おいてS方向のトルクの捲縮とZ方向のトルクの捲縮と
が交互に発現しているパターンをいう。通常、無撚の状
態で捲縮を発現させると、織物構造における拘束や単糸
同士の影響により捲縮の位相が揃いやすいのだが、例え
ば、ある単糸(単繊維)がSトルクの捲縮を呈している
箇所に、別の単糸のZトルクの捲縮を配することによ
り、ストレッチ性は損なうことなく互いのトルクを消し
合い、シボの発生を抑えることができる。
【0029】また、本発明の加工糸はかかるシボ改善の
みならず、上述した糸繊維全体のクリンプに更に仮撚加
工することにより、各単繊維にミクロに、細かなクリン
プを付与することができるので、極めて高いストレッチ
性を発現できるのである。更に、仮撚糸特有の嵩高性が
得られるので、薄地だけでなく、ユニフォーム衣料など
の厚地にも採用することができるものである。
【0030】本発明の仮撚加工について説明すると、上
述の延伸糸、つまり、一方がPTTを主体としたポリエ
ステル成分(A)と、片方がPETを主体としたポリエ
ステル成分(B)との2種類のポリエステル系重合体を
同一の口金より通常の方法で、溶融紡糸し、繊維長さ方
向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わせて、複合繊
維マルチフィラメントとし、延伸し、これを仮撚加工に
供する。
【0031】次いで、仮撚加工温度が150℃以上、2
10℃以下で仮撚加工するが、かかる加工温度の範囲で
は極めて高いストレッチ性と伸長回復性、ソフトな風合
いが得られる、好ましい加工温度である。150℃未満
の温度ではストレッチ性が低く、また、210℃を越え
る温度では伸長回復性が低くなり、且つ融着が起こり、
風合いが硬くなり、何れも好ましくない。
【0032】使用される仮撚加工機としては、ピン仮撚
加工機の他、セラミックディスク、あるいはウレタンデ
ィスクを施撚体とするフリクション仮撚加工機やベルト
ニップ式仮撚加工機などいずれを用いても良いが、高い
ストレッチ効果が得られるピン仮撚加工機が特に好まし
い。
【0033】仮撚数は、糸繊度などによって異なるの
で、特に限定することはないが、高い捲縮性を得ること
から、56dtexでは3000〜4000回/m程度
の撚りを付与することが好ましい。
【0034】加工速度はピン仮撚加工機を使用した場合
には、加工速度50〜150m/分、が高捲縮が得られ
ることから好ましい。
【0035】また、本発明では上記の仮撚加工のいわゆ
る、ウーリー加工と呼ばれる1ヒーター加工のほかに、
捲縮を少し抑えて適度な光沢を付与する、ブレリア加工
と呼ばれる2ヒーター加工なども本発明に含まれ、適宜
応用することも好ましいことである。
【0036】本発明にかかる加工糸は、下記に示す測定
法での伸縮復元率が15%以上で、かつ20%伸長時の
伸長回復率は80%以上であることが好ましい。
【0037】伸縮復元率が15%以上で伸長回復率は8
0%以上であれば、編織物を形成したとき、非常に良好
なストレッチ性と回復性および形態安定性を得ることが
でき、ストレッチ素材として好適であり、特にスポーツ
衣料、インナーウェア、ユニフォーム衣料などで、編織
物がストレッチに十分に追従し、肘、膝部分のワライの
発生を抑えることができる。
【0038】一方、加工糸の伸縮復元率が15%未満の
ものは高いストレッチが得られないこと、また、20%
伸長時の伸長回復率は80%未満のものは回復性が低
く、肘、膝部分のワライの発生がある場合があり、好ま
しくない。
【0039】このように、本発明の仮撚加工糸を用いた
織編物は高いストレッチ性と、伸長回復性、柔らかい表
面タッチ、嵩高性、ハリ腰、ドレープ性、形態安定性、
高い染色堅牢性に優れ、スポーツ衣料、インナーウェ
ア、ユニフォーム衣料などストレッチ素材として広汎に
用いることができる。 (伸縮復元率の測定方法) (1)加工糸を周長1mのものを10回巻き取ったカセ
を10カセ準備する(測定n数:10)。 (2)次に、このカセをガーゼに包み、90℃で20分
温水処理をし、脱水した後、24時間風乾する。 (3)次いで、このカセを20℃の水中で1dtexあ
たり 0.1156cNの荷重を吊るし、120秒後に
カセ長を測定する(カセ長:L0)。 (4)次いで、このカセに荷重を0.1156cNから
0.00227cN(2mg)の荷重に変えて、同様に
120秒後にカセ長を測定する(カセ長:L1)。 (5)この測定を10回行い、加工糸の平均伸縮復元率
(n数:10の平均値)を次式より求める。
【0040】 伸縮復元率(%);100(L0−L1)/L0 (伸長回復率の測定方法)自記記録装置付定速伸長型引
張試験機を用い、1dtex当たり0.08826cN
の初荷重をかけた状態で20cmのつかみの間隔に取付
け、引張速度を20cm/minとして、20%の伸度
まで引き伸ばし、直ちに、同じ速度で除重した。完全に
除重した後、直ちに、初荷重まで引き伸ばし、このとき
の回復伸びを伸長回復率とした。
【0041】
【実施例】実施例に用いた評価は次の方法で評価した。 (1)加工糸の伸縮復元率:本明細書において記載した
上述方法で評価した。 (2)加工糸の伸長回復率:本明細書において記載した
上述方法で評価した。 (3)織物の伸長率:織物の加工糸が入っている緯糸あ
るいは経糸方向の伸長性を測定するもので、JIS−L
1096に従って評価した。 (4)織物の伸長回復率:織物の加工糸が入っている緯
糸或いは経糸方向に伸長/回復性を測定するもので、J
IS−L1096に従って評価した。 (5)織物の洗濯堅牢度:JIS−L0821に従っ
て、洗濯での汚染を評価した。 実施例1 (1)原糸: (製糸)固有粘度(IV)が1.40のホモPTTと固
有粘度(IV)が0.60のホモPETをそれぞれ別々
に溶融し、紡糸温度275℃で24孔の複合紡糸口金か
ら複合比(重量%)50:50で吐出し、紡糸速度14
00m/分で引取り185dtex、24フィラメント
のサイドバイサイド型複合構造未延伸糸を得た。さらに
ホットロール−熱板系延伸機(接糸長:20cm、表面
粗度:3S)を用い、ホットロール温度75℃、熱板温
度170℃、延伸倍率3.3倍で延伸し次いで一旦引き
取ることなく、連続して0.9倍でリラックスして巻き
取り、56dtex、24フィラメントの延伸糸を得
た。延伸糸は強度:4.2cN/dtex、伸度:31
%であった。 (2)仮撚加工:次いで、この延伸糸を次の条件で仮撚
加工した。
【0042】 糸速 :73m/min(デリベリローラ6) 施撚体 :スピンドル型 仮撚方向 :S 仮撚数 :3810T/m 仮撚温度 :185℃ オーバーフィード率 : 0% (3)加工糸の評価:得られた加工糸を評価した結果、
伸縮復元率:50.1%で、伸長回復率:91.4%で
あり、ストレッチ性、ストレッチ回復性とも極めて優れ
た加工糸であった。 (4)布帛評価:上記の仮撚加工糸を緯糸として用い、
経糸として56dtex、24フィラメントのポリエチ
レンテレフタレート延伸糸を用い、レピア織機により経
糸密度:120本/吋、緯糸密度:82本/吋で、ツイ
ル織物に製織した。ネップの発生はなく、工程通過性は
良好であった。引き続き97℃の熱水でリラックス精
練、ネイビーブルー色の分散染料で130℃で染色、1
60℃で仕上熱固定した。
【0043】本発明糸を使用した織物は、織物伸長率
(緯糸伸長):48%、織物伸長回復率(緯糸伸長回
復):88%であり、織物でも優れたストレッチ特性で
あった。また、ソフトな肌触りと嵩高性があり、ドレー
プ性、形態安定性を併せ持ち、染色堅牢性(洗濯堅牢
度:5級)も問題ない、高品質のツイル織物であった。 比較例1、比較例2 ポリエステル(PET100%ホモポリマー)フィラメ
ントの56dtex、24フィラメントの延伸糸を通常
の方法で紡糸、延伸した。延伸糸は強度:5.3cN/
dtex、伸度:32%であった。
【0044】これを用い、185℃(比較例1)と21
0℃(比較例2)で仮撚した以外は実施例1に従って、
仮撚加工、布帛評価を行った。 比較例3 ポリトリメチレンテレフタレート(PTT100%ホモ
ポリマー)フィラメントの56dtex、24フィラメ
ントの延伸糸を通常の方法で紡糸、延伸した。延伸糸は
強度:3.8cN/dtex、伸度:35%であつた。
これを用いた以外は実施例1に従って、仮撚加工、布帛
評価を行った。 比較例1、比較例2、比較例3の評価結果:比較例1、
比較例2、比較例3の加工糸の伸縮復元率/伸長回復率
は、それぞれ、比較例1が10.4%/68%、比較例
2が13.7%/72%、比較例3が11.3%/64
%であり、ストレッチ性、回復性とも劣るものであっ
た。この織物も加工糸と同様にストレッチ性、回復性と
も劣るものであった。
【0045】なお、更に、比較例1、比較例3は嵩高性
が乏しく、比較例2ではカサカサした、硬い風合いであ
り、この点も劣るものであった。 実施例2〜5 実施例1のPPT/PETバイメタル複合繊維延伸糸を
用い、仮撚加工温度を150℃(実施例2)、170℃
(実施例3)190℃(実施例4)、210℃(実施例
5)に変えて仮撚加工し、加工糸および布帛の評価をし
た。
【0046】なお、仮撚りの加工温度以外の加工条件お
よび布帛の評価は実施例1に準じて行った。
【0047】実施例2、実施例3、実施例4、実施例5
の加工糸の伸縮復元率/伸長回復率はそれぞれ、実施例
2が41.0%/92.4%、 実施例3が48.2%
/91.8%、実施例4が51.0%/90.7%、実
施例5が48.6%/89.6%であり、ストレッチ
性、回復性とも従来にない、高いレベルのものであっ
た。この織物も加工糸の特性と同様にストレッチ性、ス
トレッチ回復性に優れ、かつソフトで嵩高性がある素晴
らしい織物であった。
【0048】
【発明の効果】極めて高いストレッチ性と回復性および
ソフトな風合い、かさ高性、ドレープ性をもち、高い染
色堅牢性をも併せもつ仮撚加工糸と、その製造方法を提
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−189923(JP,A) 特開2001−55634(JP,A) 特開 平4−202836(JP,A) 特開2001−81640(JP,A) 特開 平9−59834(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D02J 1/00 - 1/22 D01F 8/14

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方がポリトリメチレンテレフタレートを
    主体としたポリエステル成分(A)で、片方がポリエチ
    レンテレフタレートを主体としたポリエステル成分
    (B)である2種類のポリエステル系重合体を繊維長さ
    方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊
    維のマルチフィラメント仮撚加工糸であって、90℃熱
    水処理における伸縮復元率が少なくとも15%以上であ
    ることを特徴とするポリエステル複合繊維仮撚加工糸。
  2. 【請求項2】20%伸長時の伸長回復率が80%以上で
    あることを特徴とする請求項1記載のポリエステル複合
    繊維仮撚加工糸。
  3. 【請求項3】ポリトリメチレンテレフタレートを主体と
    したポリエステル成分(A)の複合比率が30〜70重
    量%に複合されている特許請求項1または2記載のポリ
    エステル複合繊維仮撚加工糸。
  4. 【請求項4】一方がポリトリメチレンテレフタレートを
    主体としたポリエステル成分(A)と、片方がポリエチ
    レンテレフタレートを主体としたポリエステル成分
    (B)との2種類のポリエステル系重合体を同一の口金
    より溶融紡糸し、繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイ
    ド型に貼り合わせて、複合繊維マルチフィラメントと
    し、延伸し、次いで、仮撚加工温度を150℃以上、2
    10℃以下で仮撚加工することを特徴とするポリエステ
    ル複合繊維仮撚加工糸の製造方法。
  5. 【請求項5】ポリトリメチレンテレフタレートを主体と
    したポリエステル成分(A)の複合比率が30〜70重
    量%に複合し、次いで、仮撚する特許請求項4記載のポ
    リエステル複合繊維仮撚加工糸の製造方法。
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