JP3485070B2 - 高捲縮性ポリエステル系複合繊維およびその製法ならびに布帛 - Google Patents

高捲縮性ポリエステル系複合繊維およびその製法ならびに布帛

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JP3485070B2 JP2000165544A JP2000165544A JP3485070B2 JP 3485070 B2 JP3485070 B2 JP 3485070B2 JP 2000165544 A JP2000165544 A JP 2000165544A JP 2000165544 A JP2000165544 A JP 2000165544A JP 3485070 B2 JP3485070 B2 JP 3485070B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた捲縮発現能
力により布帛に適度なストレッチ性を与えることのでき
る高捲縮性ポリエステル系複合繊維に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは機械的特性をはじめ、様
々な優れた特性を有しているため衣料用途のみならず幅
広く展開されている。また、近年のストレッチブームに
よりポリエステル系布帛にもストレッチ性を与えるた
め、種々の方法が採用されている。
【0003】例えば、織物中にポリウレタン系の弾性繊
維を混用し、ストレッチ性を付与する方法がある。しか
しながら、ポリウレタン系繊維を混用した場合、ポリウ
レタン固有の性質として風合いが硬く、織物の風合いや
ドレープ性が低下すると共に、ポリエステル用の分散染
料には染まり難く、汚染の問題がつきまとう。そのた
め、還元洗浄の強化など染色工程が複雑になるばかり
か、所望の色彩に染色することが困難であった。
【0004】また、ポリエステル繊維に仮撚加工を施
し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いることに
より、織物にストレッチ性を付与する方法がある。しか
しながら、このトルクは織物表面のシボに転移し易い傾
向があり、織物欠点となり易い問題がある。このため、
熱処理やS/Z撚りとすることでトルクバランスを取
り、ストレッチ性とシボ立ちによる欠点をバランスさせ
ることも行われているが、概ねストレッチ性が低下しす
ぎることが問題となっていた。
【0005】一方、ポリウレタン系繊維や仮撚加工糸を
用いない方法として、サイドバイサイド複合を利用した
潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が種々提案されてい
る。潜在捲縮発現性ポリエステル繊維とは、熱処理によ
り捲縮が発現するか、あるいは熱処理前より微細な捲縮
が発現する能力を有するポリエステル繊維のことを言
い、通常の仮撚加工糸とは区別されるものである。
【0006】例えば、特公昭44-2504号公報や特開平 4-
308271号公報には固有粘度差あるいは極限粘度差を有す
るポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)の
サイドバイサイド複合糸、特開平5-295634号公報にはホ
モPETとそれより高収縮性の共重合PETのサイドバ
イサイド複合糸が記載されている。このような潜在捲縮
発現性ポリエステル繊維を用いれば、確かにある程度の
ストレッチ性を得ることはできるが、織物にした際のス
トレッチ性が不充分となり、満足なストレッチ性織物が
得られにくいという問題があった。これは、上記したよ
うなサイドバイサイド複合糸は織物拘束中での捲縮発現
能力が低い、あるいは捲縮が外力によりヘタリ易いため
である。サイドバイサイド複合糸はポリウレタン系繊維
のように繊維自身の伸縮によるストレッチ性を利用して
いるのではなく、複合ポリマ間の収縮率差によって生じ
る3次元コイルの伸縮をストレッチ性に利用している。
このため、例えば、ポリマーの収縮が制限される織物拘
束下で熱処理を受けるとそのまま熱固定され、それ以上
の収縮能を失うためコイルが十分に発現せず、上記問題
が発生すると考えられる。
【0007】また、特公昭43-19108号公報にはポリトリ
メチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート
を利用したサイドバイサイド複合糸が記載されている。
本願記載の方法を用いれば拘束力の小さい編物等では適
度なストレッチ性を与えることができるが、熱収縮応力
が低いために織物のような繊維拘束力の大きいものでは
熱処理工程で十分に収縮しないためにストレッチ性が低
い。また、本発明者が追試を行ったところ、糸斑が大き
いことに起因する染色斑が発生し、品位が悪いという問
題も判明した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、紡糸、延伸
等の製糸性が良好で、従来のポリエステル系潜在捲縮性
繊維で問題となっている織物拘束下での捲縮発現能力を
改善し、ストレッチ性に優れた布帛を得ることができる
高捲縮性ポリエステル繊維を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記した課題を解決する
ため本発明のポリエステル系潜在捲縮性繊維は、主とし
て次の構成を有する。すなわち、2種類のポリエステル
系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に
貼り合わされた複合繊維において、少なくとも一方がポ
リトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステ
ルであり、該複合繊維の収縮応力の極大を示す温度が1
10〜155℃かつ収縮応力の極大値が0.25cN〜0.42
dtex、熱処理後の捲縮伸長率が15〜54.7%、U%
が0.6〜2.0%であることを特徴とする高捲縮性ポ
リエステル系複合繊維である。
【0010】 捲縮伸長率(%)=[(L0−L1)/L0]×100% L0:繊維カセに0.9×10-3cN/dtex荷重を吊した状態で
沸騰水処理を15分間行い、風乾し、さらに160℃乾熱処
理を15分間行った後、前記熱処理荷重を取り除き、180
×10-3cN/dtex荷重を吊した時のカセ長 L1:L0測定後、L0測定荷重を取り除いて再び0.9×10
-3cN/dtex荷重を吊した時のカセ長 また、本発明の布帛は主として次の構成を有する。すな
わち、上記高捲縮性ポリエステル系複合繊維を少なくと
も一部に用いて成ることを特徴とするストレッチ性に優
れたポリエステル系布帛、あるいは上記高捲縮性ポリエ
ステル系複合繊維に撚係数Kが7000〜14800の中撚また
は強撚を施した撚糸を少なくとも一部に用いて成ること
を特徴とするストレッチ性に優れたポリエステル系布帛
である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の高捲縮性ポリエステル系
複合繊維は、2種類の粘度の異なるポリエステル系重合
体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合
わされたものである。粘度が異なる重合体を貼り合わせ
ることによって、紡糸、延伸時に高粘度側に応力が集中
するため、2成分間で内部歪みが異なる。そのため、延
伸後の弾性回復率差および布帛の熱処理工程での熱収縮
率差により高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが
生じて3次元コイル捲縮の形態をとる。この3次元コイ
ルの径および単位繊維長当たりのコイル数は、高収縮成
分と低収縮成分との収縮差(弾性回復率差を含む)によ
って決まると言ってもよく、収縮差が大きいほどコイル
径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多くなる。
【0012】ストレッチ素材として要求されるコイル捲
縮は、コイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数
が多い(伸長特性に優れ、見映えが良い)、コイルの耐
へたり性が良い(伸縮回数に応じたコイルのへたり量が
小さく、ストレッチ保持性に優れる)、さらにはコイル
の伸長回復時におけるヒステリシスロスが小さい(弾発
性に優れ、フィット感がよい)等である。これらの要求
を全て満足しつつ、ポリエステルとしての特性、例えば
適度な張り腰、ドレープ性、高染色堅牢性を有すること
で、トータルバランスに優れたストレッチ素材とするこ
とができる。ここで、前記のコイル特性を満足するため
には高収縮成分(高粘度成分)の特性が重要となる。コ
イルの伸縮特性は、低収縮成分を支点とした高収縮成分
の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重
合体には高い伸長性および回復性が要求される。そこ
で、本発明者らはポリエステルの特性を損なうことなく
前記特性を満足させるために鋭意検討した結果、高収縮
成分にポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと
略記する)を主体としたポリエステルを用いることを見
出した。PTT繊維は、代表的なポリエステル繊維であ
るポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記す
る)やポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記
する)繊維と同等の力学的特性や化学的特性を有しつ
つ、伸長回復性が極めて優れている。これは、PTTの
結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖
がゴーシュ−ゴーシュの構造(分子鎖が90度に屈曲)
であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタ
ッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビ
リティーが高いことから、メチレン基の回転により分子
鎖が容易に伸長・回復するためと考えている。
【0013】また、本発明の低収縮成分(低粘度成分)
には高収縮成分であるPTTとの界面接着性が良好で、
製糸性が安定している繊維形成性ポリエステルであれば
特に限定されるものではない。ただし、力学的特性、化
学的特性および原料価格を考慮すると、繊維形成能のあ
るPTT、PET、PBTが好ましい。さらに高収縮成
分(高粘度成分)、低収縮成分(低粘度成分)ともにP
TTとし、融点、ガラス転移点を合わせることで、紡糸
工程でより高粘度成分に応力集中させることができ、収
縮率差を大きくできる点で、PTTがより好ましい。ま
た、両成分をPTTとすることで繊維のヤング率を低く
できるので、よりソフトで弾発性に優れた捲縮糸が得ら
れるという利点もある。
【0014】なお、本発明でいう粘度とは固有粘度(I
V)を指し、オルソクロロフェノール中に試料を溶かし
て測定した値である。
【0015】本発明の高捲縮性ポリエステル系複合繊維
は、前記したようにPTTの分子鎖内においてメチレン
基の回転が容易に起こり、分子鎖が伸縮することでスト
レッチ性が付与される。この変化は可逆的なものであ
り、本発明者らの実験では結晶化度が高いほど捲縮回復
能が高く、捲縮保持性も高くなることがわかっている。
【0016】したがって、結晶化度は高いほどよく、好
ましくは35%以上、より好ましくは40%以上であ
る。ここで、結晶化度の測定はJIS L1013(化学繊維フ
ィラメント糸試験方法)7.14.2の密度勾配管法に従い密
度を測定し、結晶化度は次式によって求めた(ただし、
dc、daの値はPTTのものであり、2成分ともPT
Tを配したときの結晶化度である)。
【0017】Xc[%] = {dc×(d−da)}/
{d×(dc−da)}×100 Xc:結晶化度(%)、d:実測糸密度、dc:完全結
晶部の密度 da:完全非晶部の密度 ここで、dc:1.387g/cm3、da:1.295g/cm3を用いた。
【0018】また、両成分の複合比率は製糸性および繊
維長さ方向のコイルの寸法均質性の点で、高収縮成分:
低収縮成分=75:25〜35:65(重量%)の範囲
が好ましく、65/35〜45/55の範囲がより好ま
しい。
【0019】ここで、本発明のPTTとは、テレフタル
酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主
たるグリコール成分として得られるポリエステルであ
る。ただし、20モル%、より好ましくは10モル%以
下の割合で他のエステル結合の形成が可能な共重合成分
を含むものであってもよい。共重合可能な化合物とし
て、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメ
タノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールなどのジオール類を挙げることができるが、こ
れらに限定されるものではない。また、必要に応じて、
艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやア
ルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール
誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
【0020】また、布帛拘束力に打ち勝ってコイル捲縮
を発現させるためには、収縮応力が重要な特性となる。
収縮応力は高いほど布帛拘束下での捲縮発現性がよい。
布帛の熱処理工程で捲縮発現性を高めるには、収縮応力
の極大を示す温度は110℃以上、応力の極大値は0.25
cN/dtex以上であることが必要であり、好ましくは応力
の極大値は0.28cN/dtex以上、より好ましくは0.30cN/
dtex以上である。
【0021】また、本発明の高捲縮性ポリエステル系複
合繊維は、捲縮伸長率が15%以上であることが必要で
ある。従来は、特開平6-322661号公報等に記載されてい
るように、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を荷重フリ
ーに近い状態で熱処理し、そこでの捲縮特性を規定して
いたが、これでは布帛拘束下での捲縮特性を必ずしも反
映しているとは言えない。
【0022】そこで本発明者らは、布帛拘束下での捲縮
発現能力が重要であることに着目し、図1に示すような
方法で熱処理を行い、以下に示す式にて捲縮伸長率を定
義した。
【0023】 捲縮伸長率(%)=[(L0−L1)/L0]×100% L0:繊維カセに0.9×10-3cN/dtex荷重を吊した状態で
沸騰水処理を15分間行い、風乾し、さらに160℃乾熱処
理を15分間行った後、前記熱処理荷重を取り除き、180
×10-3cN/dtex荷重を吊した時のカセ長 L1:L0測定後、L0測定荷重を取り除いて再び0.9×10
-3cN/dtex荷重を吊した時のカセ長 すなわち、布帛内での拘束力に相当する0.9×10-3cN/dt
exと同じ荷重を繊維カセに吊して熱処理することで、布
帛拘束下での捲縮発現能力を繊維カセの捲縮伸長率で表
せるとした。この捲縮伸長率が高いほど捲縮発現能力が
高いことを示しており、15%以上であれば本発明の目
的とする適度なストレッチ特性を与えることができる。
捲縮伸長率は高いほど布帛にしたときのストレッチ性能
が向上するため、好ましくは20%以上、より好ましく
は25%以上である。
【0024】なお、特公昭 44-2504号公報記載のような
固有粘度差のあるPET系複合糸、あるいは特開平5-29
5634号公報記載のようなホモPETと高収縮性共重合P
ETとの組み合わせでの複合糸では捲縮伸長率は高々1
0%程度である。
【0025】また、コイル捲縮の伸縮によってストレッ
チ性を付与する場合、その捲縮の耐久性も重要な要素の
ひとつとなる。そこで、前記捲縮伸長率測定の延長とし
て、高荷重(180×10-3cN/dtex)と低荷重(0.9×10-3c
N/dtex)とを繰り返し10回負荷してカセ長を測定し、各
回にて捲縮伸長率を算出した。そして初回の捲縮伸長率
と10回伸長後の捲縮伸長率から、次式によって捲縮耐久
性の指標となる捲縮保持率を定義した。
【0026】捲縮保持率(%)=(10回伸長後の捲縮伸
長率/初回の捲縮伸長率)×100 10回伸長後の捲縮伸長率(%)=[(L0−L10)/L
0]×100 初回の捲縮伸長率(%) =[(L0−L1)/L
0]×100 捲縮保持率は、着用耐久性やフィット感を維持するため
にも85%以上であることが好ましく、90%以上であ
ることがより好ましい。なお、特公昭 44-2504号公報記
載のような固有粘度差のあるPET系複合糸では捲縮保
持率は高々80%程度であり、特開平5-295634号公報記
載のようなホモPETと高収縮性共重合PETとの組み
合わせ複合糸では70%程度でしかない。
【0027】また、本発明の高捲縮性ポリエステル系複
合繊維の2成分間の複合界面は、繊維断面において直線
的であるほうが捲縮発現能が高くなり、ストレッチ性も
向上する。複合界面の直線性を示す指標としては、図2
に示す繊維断面の複合界面において、繊維表面から中心
に向かって深さ2μmの点a、bおよび界面の中心cの
3点に接する円の曲率半径R(μm)を求め、Rが10
0.5以上であることが好ましい。ここで、dとは単繊
維の繊度(テ゛シテックス)を示す。より好ましくは曲率半径
Rは15d0.5以上である。図3(a)〜(g)はいず
れも曲率半径Rが10d0.5以上であり、本発明に好ま
しく用いられる繊維断面である。
【0028】また、本発明の高捲縮性ポリエステル系複
合繊維の繊維断面形状は、丸断面、三角断面、マルチロ
ーバル断面、偏平断面、X型断面その他公知の異形断面
であってもよく、何等限定されるものではないが、捲縮
発現性と風合いのバランスから、図3に示すような丸断
面の半円状サイドバイサイド(a)や軽量、保温を狙っ
た中空サイドバイサイド(d)、ドライ風合いを狙った
三角断面サイドバイサイド(g)等が好ましく用いられ
る。
【0029】本発明の高捲縮性ポリエステル系複合繊維
は、布帛拘束力の低い編物においてはさらに高いストレ
ッチ性を有する。その特性を顕著に現すのが沸騰水処理
後の破断伸度である。沸騰水処理後の破断伸度が高いほ
どストレッチ性に優れており、好ましくは100%以上
であり、より好ましくは150%以上である。伸度の測
定は、試料となる繊維を無荷重に近い状態で沸騰水処理
してコイル捲縮を発現させた後、1.8×10-3cN/dtex荷重
下でつかみ長を固定して引張り試験を行う。
【0030】また、本発明の高捲縮性ポリエステル系複
合繊維は、糸長手方向の太さ斑の指標であるウースター
斑が2.0%以下であることが必要である。これによ
り、布帛の染め斑の発生を回避できるのみならず、布帛
にした際の糸の収縮斑を抑制し、美しい布帛表面を得る
ことができる。ウースター斑はより好ましくは1.2%
以下である。
【0031】また、捲縮性ポリエステル系複合繊維は無
撚で織物に使用すると、捲縮による収縮が大きくなりす
ぎ、織物表面が荒れてしまう傾向がある。そのため、本
発明の高捲縮性ポリエステル系複合繊維は撚糸とするこ
とが好ましく、撚係数が7000以上の中撚から強撚とする
ことがより好ましい。
【0032】撚係数K=T×D0.5 T:糸長1m当たり
の撚数、D:糸条の繊度(テ゛シテックス) ここで、糸長1m当たりの撚数Tとは電動検撚機にて90×
10-3cN/dtexの荷重下で解撚し、完全に解撚したときの
解撚数を解撚した後の糸長で割った値である。
【0033】ところで、一般に撚数とストレッチ性との
間には強い相関があり、ある一定以上の撚数を越えると
ストレッチ性が急激に低下してしまう傾向がある。実
際、従来の固有粘度差のあるPET系捲縮複合糸や高収
縮性共重合PETとの貼り合わせでの捲縮複合糸では撚
数に限界があった。しかしながら、本発明の高捲縮性ポ
リエステル系複合繊維では拘束下での捲縮発現能力が優
れているため、撚係数が14000を越える強撚でも充分な
ストレッチ性が得られる。
【0034】本発明の高捲縮性ポリエステル系複合繊維
は単独で用いることも可能であるが、低収縮糸や自発伸
長糸と混繊して用いると、ストレッチ性にふくらみ感や
反発感を付与することができ、好ましい。
【0035】本発明の布帛形態は、織物、編物、不織
布、さらにはクッション材など、目的に応じて適宜選択
でき、シャツ、ブラウス、パンツ、スーツ、ブルゾン等
に好適に用いることができる。
【0036】次に、本発明の高捲縮性ポリエステル系複
合繊維の好ましい製法を説明する。
【0037】本発明の高捲縮性ポリエステル系複合繊維
は、2種類のポリエステル系重合体の一方にポリトリメ
チレンテレフタレートを主体としたポリエステル(X)
を配し、他方に繊維形成能を有するポリエステル(Y)
を配して、例えば図4に示すような口金によって吐出孔
上部で合流させ、サイドバイサイド複合流を形成させた
後、所望の断面形状を得るための吐出孔から吐出され
る。吐出された糸条は冷却され、固化した後、一旦巻き
取ってから延伸する2工程法によって製造してもよい
し、紡糸引取り後、そのまま延伸する直接紡糸延伸法に
よって製造してもよい。
【0038】本発明の高捲縮性ポリエステル系複合繊維
を安定して製造するためには、各成分の固有粘度およ
び、各成分間の固有粘度差が重要となってくる。複合繊
維といえども、片側成分の粘度が低すぎて繊維形成能が
なかったり、逆に高すぎて特殊な紡糸装置が必要になる
ようでは実用的ではない。また、各成分間の粘度差によ
り、吐出孔直下での糸条のベンディング(曲がり現象)
の度合いが決まり、それが製糸性に大きく影響する。そ
のため、各成分の固有粘度(IV)は、次式を満たす組
み合わせであることが好ましい。
【0039】0.30X≦Y≦ 0.45X+0.30 0.45≦Y Y:繊維形成性ホ゜リエステルの固有
粘度(IV) 0.8≦X≦2.0 X:ホ゜リトリメチレンテレフタレートの固有粘
度(IV) 複合紡糸を行う際、該繊維形成性ポリエステルYの固有
粘度(IV)を0.45以上にすることで安定した製糸
性が得られるため好ましく、より好ましくは0.50以
上である。さらに高い捲縮特性を得るため、繊維形成性
ポリエステルYの固有粘度は0.7以下であることが好
ましく、0.65以下がより好ましい。一方、該ポリト
リメチレンテレフタレートXを安定して溶融押出するた
めに、固有粘度は0.8〜2.0の範囲が好ましく、よ
り好ましくは1.1〜1.7である。
【0040】また、2成分の固有粘度の組み合わせとし
て、Y=0.30XよりもYの値を大きくすることで、
紡糸糸条が高粘度成分側に過度にベンディングするのを
抑え、長時間に渡って安定して製糸することができるた
め、好ましい。一方、Y=0.45X+0.30よりも
Yの値を小さくすることで、得られる糸の捲縮特性を目
的とするレベルにすることができ、好ましい。
【0041】また、紡糸温度は繊維形成性ポリエステル
YがPTTやPBTの場合で250〜270℃、PET
の場合で270〜285℃とすることが好ましい。
【0042】また、本発明の高捲縮性ポリエステル系複
合繊維は収縮応力の極大を示す温度が110℃および収
縮応力の極大値が0.25cN/dtex以上であることが必須で
ある。そのためには紡糸速度を2000m/分以下、より好
ましくは1500m/分以下とし、延伸領域で擦過体上を滑
らせながら破断伸度が35%以下になるように高倍率で
延伸することが好ましい。前記擦過体による摩擦抵抗に
より、延伸張力を高めることができるため、内部歪みの
増大により収縮応力も高くなる。用いる擦過体として
は、擦過体表面が梨地仕上げのピン、熱板、回転ロール
等が好ましい。また、収縮応力の極大を示す温度を11
0℃以上にするためには、擦過体もしくは熱セット装置
の温度を110℃以上に設定すればよい。延伸性、高次
工程での取り扱い性から、熱セット温度は110〜20
0℃の範囲が好ましい。また、延伸温度は繊維形成性ポ
リエステルがPTTやPBTの場合で40〜80℃、P
ETの場合で55〜85℃とすることが好ましい。
【0043】さらに糸の太さ斑(ウースター斑)を小さ
くし、品位の高い布帛を得るために、紡糸速度は1000m
/分以上にすることが好ましい。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明する。な
お、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
【0045】A.固有粘度 オルソクロロフェノール(以下OCPと略記する)10
ml中に試料ポリマを0.8g溶かし、25℃にてオス
トワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式により求
め、IVを算出した。
【0046】ηr=η/η0=(t×d)/(t0×
0) IV=0.0242ηr+0.2634 ここで、η:ポリマ溶液の粘度、η0:OCPの粘度、
t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm
3)、t0:OCPの落下時間(秒)、d 0 :OCPの密度(g/cm3)。
【0047】B.収縮応力 カネボウエンジニアリング(株)社製熱応力測定器で、
昇温速度150℃/分で測定した。サンプルは10cm×2のル
ープとし、初期張力は繊度(デシテックス) ×0.9×
(1/30)gfとした。
【0048】C.捲縮伸長率 繊維カセに0.9×10-3cN/dtex荷重を吊した状態で沸騰水
処理を15分間行った後、風乾させ、さらに160℃乾
熱処理を15分間行う。熱処理が完了したら処理荷重を
取り除き、180×10-3cN/dtex荷重を吊して30秒間保持
後、カセ長L0を測定し速やかに荷重を取り除き、5分間
保持した後、0.9×10-3cN/dtex荷重を吊して30秒間保
持後、カセ長L1を測定する。得られたカセ長L0、L1
より、下記式にて捲縮伸長率を求める。
【0049】 捲縮伸長率(%)=[(L0−L1)/L0]×100 D.捲縮保持率 捲縮伸長率測定でL1測定後、同じタイムサイクルで高荷重(18
0×10-3cN/dtex)と低荷重(0.9×10-3cN/dtex)の繰り
返し負荷を9回追加し、合計10回伸長・回復させた後、
低荷重を吊した時のカセ長L10を測定し、10回伸長後の
捲縮伸長率(%)を下記式にて求め、初回の捲縮伸長率
との比によって捲縮保持率を求める。
【0050】捲縮保持率(%)=(10回伸長後の捲縮伸
長率/捲縮伸長率)×100 10回伸長後の捲縮伸長率(%)=[(L0−L10)/L
0]×100 E.原糸の破断伸度 原糸をオリエンテック(株)社製 TENSILON UCT-100でJ
IS L 1013(化学繊維フィラメント糸試験方法)に示さ
れる条件で測定した。
【0051】F.沸騰水処理後の破断伸度 原糸を無荷重に近い状態で15分間沸騰水処理してコイ
ル捲縮を発現させた後、1.8×10-3cN/dtex荷重下でつか
み長を固定して引張り試験を行った。つかみ間隔は50m
m、引張速度200mm/分にて引っ張り、荷重−伸長曲線を
求めて破断伸びをつかみ間隔で割り伸度とした。
【0052】G.結晶化度 JIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法)7.14.2
の密度勾配管法に従い密度を測定し、結晶化度は次式に
よって求めた。
【0053】Xc[%] = {dc×(d−da)}/
{d×(dc−da)}×100 Xc:結晶化度(%)、d:実測糸密度、dc:完全結
晶部の密度 da:完全非晶部の密度 ここで、dc:1.387g/cm3、da:1.295g/cm3を用いた。
【0054】H.溶融粘度 東洋精機(株)社製キャピログラフ1Bを用い、チッソ
雰囲気下において温度280℃、歪み速度1216se
c−1での測定を3回行い、平均値を溶融粘度とした。
【0055】I.ウースター斑 糸長手方向の太さ斑(ノーマルテスト)は、ツェルベガ
ーウースター(株)社製USTER TESTER M
ONITOR Cで測定した。条件は、糸速度50m/
分で1分間供給し、ノーマルモードで平均偏差率(U
%)を測定した。
【0056】実施例1 固有粘度(IV)が1.18(溶融粘度1120poi
se)のホモPTTと固有粘度(IV)が0.65(溶
融粘度260poise)のホモPTTをそれぞれ別々
に溶融し、紡糸温度260℃で図4に示す構造を有する
12孔の複合紡糸口金から複合比(重量%)50:50
で吐出し、紡糸速度1400m/分で引取り165デシテッ
クス、12フィラメントのサイドバイサイド型複合構造
未延伸糸(繊維断面は図3a)を得た。さらにホットロ
ール−熱板系延伸機(接糸長:20cm、表面粗度:3
S)を用い、ホットロール温度70℃、熱板温度145
℃、延伸倍率3.0倍で延伸して55デシテックス、1
2フィラメント(単繊維繊度d:4.6デシテックス)
の延伸糸を得た。紡糸、延伸とも製糸性は良好であり、
糸切れは発生しなかった。物性値を表1に示すが、優れ
た捲縮発現能力および捲縮保持性を示した。
【0057】実施例2 固有粘度(IV)が1.18のホモPTTと固有粘度
(IV)が0.82(溶融粘度570poise)のホ
モPTTの組み合わせとした以外は実施例1と同様の方
法で評価した。結果を表1に示す。実施例2は口金直下
のベンディングも小さく、製糸性は良好であった。ま
た、優れた捲縮発現能力および捲縮保持性を示した。
【0058】実施例3 固有粘度(IV)が1.18のホモPTTと固有粘度
(IV)が0.82(溶融粘度600poise)のホ
モPBTの組み合わせとした以外は実施例1と同様の方
法で評価した。結果を表1に示す。実施例3の製糸性は
良好であった。また、捲縮発現能力は実施例1および2
よりも劣るものの、高い捲縮保持性を示した。
【0059】実施例4 固有粘度(IV)が1.18のホモPTTと固有粘度
(IV)が0.60(溶融粘度950poise)のホ
モPETの組み合わせとし、紡糸温度280℃で紡糸、
第1ホットロール温度85℃で延伸した以外は実施例1
と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。実施例4
の製糸性は良好であった。また、捲縮発現能力、捲縮保
持性ともに実施例1よりも劣るものの、ストレッチ素材
として十分使用できるポテンシャルを有していた。
【0060】実施例5 実施例1で得られた未延伸糸を用い、延伸倍率を2.8
5倍とした以外は実施例1と同様の方法で評価した結果
を表1に示す。実施例5は製糸性良好であり、58デシ
テックス、12フィラメント(単繊維繊度d:4.8デ
シテックス)の延伸糸を得た。また、実施例1と比較し
て捲縮発現能力、捲縮保持性ともやや劣っていたが、ス
トレッチ素材として十分使用できるポテンシャルを有し
ていた。
【0061】実施例6 固有粘度(IV)が1.02(溶融粘度900pois
e)のホモPTTと固有粘度(IV)が0.65のホモ
PTTの組み合わせとした以外は実施例1と同様の方法
で評価した。結果を表1に示す。実施例6は紡糸、延伸
とも製糸性は良好であり、糸切れは発生しなかった。ま
た、実施例1と比較して捲縮発現能力、捲縮保持性とも
やや劣っていたが、ストレッチ素材として十分使用でき
るポテンシャルを有していた。
【0062】実施例7 固有粘度(IV)が1.38(溶融粘度1280poi
se)のホモPTTと固有粘度(IV)が0.82のホ
モPTTの組み合わせとした以外は実施例1と同様の方
法で評価した。結果を表1に示す。実施例7は紡糸、延
伸とも製糸性は良好であり、糸切れは発生しなかった。
また、実施例1と同様、優れた捲縮発現能力および捲縮
保持性を示した。
【0063】実施例8 固有粘度(IV)が1.82(溶融粘度1450poi
se)のホモPTTと固有粘度(IV)が0.65のホ
モPTTの組み合わせとした以外は実施例1と同様の方
法で評価した。結果を表1に示す。実施例8は紡糸、延
伸とも製糸性は良好であり、糸切れは発生しなかった。
また、実施例1と同様、優れた捲縮発現能力および捲縮
保持性を示した。
【0064】比較例1 固有粘度(IV)が1.18のホモPTTと固有粘度
(IV)が0.44のホモPTT(溶融粘度100po
ise)の組み合わせとした以外は実施例1と同様の方
法で評価した結果を表1に示す。比較例1のポリマ組み
合わせでは口金直下でのベンディングがひどく、紡糸で
きなかった。
【0065】比較例2 実施例1で得られた未延伸糸を用い、延伸倍率を2.7
倍とした以外は実施例1と同様の方法で評価した結果を
表1に示す。比較例2は製糸性良好であり、61デシテ
ックス、12フィラメント(単繊維繊度d:5.1デシ
テックス)の延伸糸を得た。比較例2の試料は捲縮発現
能力、捲縮保持性とも実施例5よりも劣り、ストレッチ
素材としてのポテンシャルに欠けるものであった。
【0066】比較例3 固有粘度(IV)が1.18のホモPTTと固有粘度
(IV)が0.88(溶融粘度680poise)のホ
モPTTの組み合わせとした以外は実施例1と同様の方
法で評価した結果を表1に示す。比較例3の製糸性は良
好であったが、捲縮発現能力が低く、ストレッチ素材と
してのポテンシャルに欠けるものであった。
【0067】比較例4 固有粘度(IV)が0.85(溶融粘度3000poi
se)のホモPETと固有粘度(IV)が0.60のホ
モPETの組み合わせとし、紡糸温度290℃で紡糸、
第1ホットロール温度85℃で延伸した以外は実施例1
と同様の方法で評価した結果を表1に示す。比較例4の
製糸性は良好であったが、捲縮発現能力、捲縮保持性と
もに低く、ストレッチ素材としてのポテンシャルに欠け
るものであった。
【0068】比較例5 固有粘度(IV)が1.40(溶融粘度1300poi
se)のホモPTTと固有粘度(IV)が0.80(溶
融粘度540poise)のホモPTTの組み合わせと
し、紡糸速度を920m/分として170デシテックス、
12フィラメントのサイドバイサイド型複合構造未延伸
糸を得た。さらに擦過体を有さないホットロール系延伸
機を用い、1ホットロール温度70℃、2ホットロール
温度150℃、延伸倍率3.1倍で延伸して延伸糸を
得、実施例1と同様に評価した。物性値を表1に示す
が、実施例1と比較して捲縮発現能力が低く、さらには
糸斑の指標であるU%が2.4%と高いために染色布帛
としたときに染め斑が発生し、品位が劣るものであっ
た。
【0069】実施例9 紡糸直接延伸装置(DSD)を用い、1ホットロール速
度1100m/分、2ホットロール速度3960m/分(延伸倍
率3.6倍)、1ホットロール温度70℃、2ホットロ
ール温度150℃で紡糸・延伸した後、巻取速度3762m
/分(リラックス率5%)で巻き取った以外は実施例1
と同様の方法で55デシテックス、12フィラメントの
サイドバイサイド型複合構造延伸糸(繊維断面は図3
a)を得た。 なお、本発明の目的とする高収縮応力を
得るために、2ホットロール表面を表面粗度3Sの梨地
とし、ローラー表面で糸条を滑らせて擦過させながら延
伸した。 製糸性は良好であり、糸切れは発生しなかっ
た。物性値を表1に示すが、優れた捲縮発現能力および
捲縮保持性を示した。
【0070】
【表1】 実施例10 実施例1で得た高捲縮性ポリエステル系複合繊維を用い
て丸編地を作成し、これを常法により98℃でリラック
ス精練、染色を施し、仕上げセットした。得られた布帛
はストレッチ性に優れたものであった。
【0071】実施例11、実施例12、実施例13 実施例1で得た高捲縮性ポリエステル系複合繊維にそれ
ぞれ1000t/m(撚係数K:7420、実施例11)、1500
t/m(撚係数K:11120、実施例12)、2000t/m
(撚係数K:14800、実施例13)のS/Z撚りを施して
緯糸とし、経糸に110デシテックス、48フィラメン
トの通常PET延伸糸(沸収率6%)を用いて平織を作
製した。これを常法により98℃でリラックス精練、1
60℃で中間セットした後、3%NaOH熱水溶液で1
5重量%減量し、さらに染色を施し仕上げセットを行っ
た。得られた布帛はいずれもソフトでストレッチ性に優
れたものであった。また、表面感は撚数によって異な
り、低撚数のものはフラットなタッチで裏地用途に好適
であり、高撚数のものは細かいシボが立って清涼感のあ
る春夏素材に適した風合いを示した。
【0072】比較例6 比較例3および比較例4で得られた高捲縮性ポリエステ
ル系複合繊維に2000t/m(撚係数K:14800)のS/Z
撚りを施して緯糸とし、経糸に110デシテックス、4
8フィラメントの通常PET延伸糸(沸収率6%)を用
いて平織を作製した。これを常法により98℃でリラッ
クス精練、160℃で中間セットした後、3%NaOH
熱水溶液で15重量%減量し、さらに染色を施し仕上げ
セットを行った。得られた布帛はいずれもストレッチ性
に乏しいものであった。
【0073】
【発明の効果】本発明の高捲縮性ポリエステル系複合繊
維を用いることにより、従来問題となっていた織物拘束
下での捲縮発現能力、捲縮のへたり性を改善し、ストレ
ッチ性に優れた布帛を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】捲縮伸長率の測定方法を説明するための図であ
る。
【図2】本発明の繊維の繊維横断面における複合界面の
曲率半径Rを説明するた めのモデル図である。
【図3】本発明の繊維の繊維横断面形状を示す図であ
る。
【図4】本発明の繊維を製造するために好ましく用いら
れる口金の縦断面図である。
【図5】本発明および本発明以外の繊維の沸騰水処理後
の応力−伸度曲線である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−132856(JP,A) 特公 昭43−19108(JP,B1) 繊維学会編,「最新の紡糸技術」, (株)高分子刊行会,1992年 2月20 日,27−28頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 8/14

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ
    方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合
    繊維において、少なくとも一方がポリトリメチレンテレ
    フタレートを主体としたポリエステルであり、該複合繊
    維の収縮応力の極大を示す温度が110〜155℃か
    収縮応力の極大値が0.25〜0.42cN/dtex、熱処理後の捲
    縮伸長率が15〜54.7%、U%が0.6〜2.0
    あることを特徴とする高捲縮性ポリエステル系複合繊
    維。 捲縮伸長率(%)=[(L0−L1)/L0]×100% L0:繊維カセに0.9×10-3cN/dtex荷重を吊した状態で
    沸騰水処理を15分間行い、風乾し、さらに160℃乾熱処
    理を15分間行った後、前記熱処理荷重を取り除き、180
    ×10-3cN/dtex荷重を吊した時のカセ長 L1:L0測定後、L0測定荷重を取り除いて再び0.9×10
    -3cN/dtex荷重を吊した時のカセ長
  2. 【請求項2】2種類のポリエステル系重合体がいずれも
    ポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエス
    テルであることを特徴とする請求項1記載の高捲縮性ポ
    リエステル系複合繊維。
  3. 【請求項3】繰り返し10回伸長後の捲縮保持率が85
    97%であることを特徴とする請求項1または2記載の
    高捲縮性ポリエステル系複合繊維。
  4. 【請求項4】断面形状が略円形であり、2種類のポリエ
    ステル系重合体の複合界面の曲率半径Rが下式の範囲で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載
    の高捲縮性ポリエステル系複合繊維。22d 0.5 曲率半径R(μm)≧10d0.5 d:単
    繊維繊度(テ゛シテックス)
  5. 【請求項5】沸騰水処理後の破断伸度が100〜322
    %であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    記載の高捲縮性ポリエステル系複合繊維。
  6. 【請求項6】2種類のポリエステル系重合体の一方にポ
    リトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステ
    ル(X)を配し、他方に繊維形成能を有するポリエステ
    ル(Y)を配してサイドバイサイド複合紡糸を行うに際
    し、各々の固有粘度(IV)が次式を満たす組み合わせ
    で複合糸とし、紡糸速度1000〜2000m/分で引取った後、
    延伸温度40〜85℃にて、延伸領域で擦過体上を滑ら
    せながら破断伸度が35%以下になるように高倍率で延
    伸、さらに熱セット温度を110〜200℃にすること
    を特徴とする高捲縮性ポリエステル系複合繊維の製造方
    法。 0.30X≦Y≦0.45X+0.30 0.45≦Y Y:繊維形成性ホ゜リエステルの固有粘度(IV) 0.8≦X≦2.0 X:ホ゜リトリメチレンテレフタレートの固有粘度(IV)
  7. 【請求項7】繊維形成性ポリエステル(Y)の固有粘度
    (IV)が次式を満たすことを特徴とする請求項記載
    の高捲縮性ポリエステル系複合繊維の製造方法。 Y≦0.7
  8. 【請求項8】請求項1〜5のいずれか1項記載の高捲縮
    性ポリエステル系複合繊維を少なくとも一部に用いて成
    ることを特徴とするストレッチ性に優れたポリエステル
    系布帛。
  9. 【請求項9】撚係数Kが7000〜14800の中撚または強撚
    を施された請求項1〜5のいずれか1項記載の高捲縮性
    ポリエステル系複合繊維を少なくとも一部に用いたスト
    レッチ性に優れたポリエステル系布帛。撚係数K=T×
    0.5 T:糸長1m当たりの撚数、D:糸条の繊度(テ゛シ
    テックス)
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