JP2003239151A - 複合糸およびその糸を用いた布帛 - Google Patents

複合糸およびその糸を用いた布帛

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JP2003239151A JP2002352284A JP2002352284A JP2003239151A JP 2003239151 A JP2003239151 A JP 2003239151A JP 2002352284 A JP2002352284 A JP 2002352284A JP 2002352284 A JP2002352284 A JP 2002352284A JP 2003239151 A JP2003239151 A JP 2003239151A
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Motoharu Kitajima
基晴 北嶋
Keitaro Nabeshima
鍋島  敬太郎
Nobuyuki Tanabe
信幸 田辺
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Toray Industries Inc
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】常圧湿熱リラックス処理で優れた潜在捲縮発現
能力を有し、無撚〜強撚でも揚柳調のシボが発現しにく
く、高品位でソフトストレッチ性に優れた布帛を得るこ
とが可能なPTT/PETあるいはPPT/PTT系コ
ンジュゲートフィラメントとPET/PETあるいはP
PT/PTT系コンジュゲートフィラメントの複合糸に
よって両者の欠点を補完し、長所を生かす複合布帛を提
供する。 【解決手段】2種類以上のポリエステル系重合体からな
り、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレー
トを主体としたポリエステルから構成されるサイドバイ
サイド型あるいは芯鞘型コンジュゲートマルチフィラメ
ントと他の2種類以上のポリエステル系重合体からなる
サイドバイサイド系あるいは芯鞘型コンジュゲートマル
チフィラメントから構成される複合糸であって、織編物
で熱処理を施し、該ポリエステル系複合糸に収縮と3次
元捲縮を発現させることにより伸縮性を有する複合糸お
よび複合布帛とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、織編物等の布帛を
染色加工する場合に、100℃以下の常温・常圧のリラ
ックス熱処理で優れた捲縮発現により、布帛にソフトな
ストレッチ性を与えるとともに、シボが発現しにくく、
ソフトでふくらみ、反発感のある風合いを与えることの
できる複数のポリエステル系コンジュゲートマルチフィ
ラメント複合糸および複合布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは機械的特性をはじめ、様
々な優れた特性を有しているため衣料用途のみならず幅
広く展開されている。また、近年のストレッチブームに
よりポリエステル系布帛にもストレッチ性を与えるた
め、種々の方法が採用されている。
【0003】例えば、織物中にポリウレタン系の弾性繊
維を混用し、ストレッチ性を付与する方法がある。しか
しながら、ポリウレタン系繊維を混用した場合、ポリウ
レタン固有の性質として風合いが硬く、織物の風合いや
ドレープ性が低下すると共に、ポリエステル用の分散染
料には染まり難く、汚染の問題がつきまとう。そのた
め、還元洗浄の強化など染色工程が複雑になるばかり
か、所望の色彩に染色することが困難であった。
【0004】また、ポリエステル繊維に仮撚加工を施
し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いることに
より、織物にストレッチ性を付与する方法がある。しか
しながら、仮撚加工糸はぼてつき感があるとともに、ト
ルクが織物表面のシボに転移し易い傾向があり、織物欠
点となり易い問題がある。このため、熱処理やS/Z撚
りとすることでトルクバランスを取り、ストレッチ性と
シボ立ちによる欠点をバランスさせることも行われてい
るが、概ねストレッチ性が低下しすぎることが問題とな
っていた。
【0005】一方、ポリウレタン系繊維や仮撚加工糸を
用いない方法として、サイドバイサイド複合を利用した
潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が種々提案されてい
る。潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は、熱処理により
捲縮が発現するか、あるいは熱処理前より微細な捲縮が
発現する能力を有するものであり、通常の仮撚加工糸と
は区別されるものである。
【0006】例えば、固有粘度差あるいは極限粘度差を
有するポリエチレンテレフタレート(以下PETと略
す)のサイドバイサイド複合糸(例えば、特許文献1〜
特許文献3参照)、ホモPETとそれより高収縮性の共
重合PETのサイドバイサイド複合糸(例えば、特許文
献4〜特許文献5参照)が提案されている。
【0007】前記特許文献2「伸縮性織物の製造方法」
や特許文献3「強撚伸縮性織物の製造方法」には、沸水
処理後の弾性率が70%以上で且つ捲縮率が50%以上
の捲縮性を有する潜在捲縮性複合糸により織物を製織
し、ついでアルカリ処理し、その後湿熱100℃以上の
温度で染色仕上げ加工を施し伸縮性織物を得る方法が記
載されている。当該捲縮性複合糸の捲縮発現は沸水で拘
束力のない状態で発現するが、織物のようにタテ糸、ヨ
コ糸の拘束力を受ける場合はあらかじめアルカリでポリ
エステルを減量し、拘束力を軽減しないと捲縮発現しな
い。
【0008】また、特許文献4、特許文献5に示される
潜在捲縮性複合繊維では、潜在捲縮発現の目的、効果と
して深みのある色彩を得ることにあり、伸縮性が得られ
る記載がない。すなわち、このような潜在捲縮発現性ポ
リエステル繊維を用いれば、確かにある程度のストレッ
チ性を得ることはできるが、織物にした際のストレッチ
性が不充分となり、満足なストレッチ性織物が得られに
くいという問題があった。これは、上記したようなサイ
ドバイサイド複合糸は織物拘束中での捲縮発現能力が低
い、あるいは捲縮が外力によりヘタリ易いためである。
【0009】サイドバイサイド複合糸はポリウレタン系
繊維のように繊維自身の伸縮によるストレッチ性を利用
しているのではなく、複合ポリマ間の収縮率差によって
生じる3次元コイルの伸縮をストレッチ性に利用してい
る。このため、例えば、ポリマーの収縮が制限される織
物拘束下で熱処理を受けるとそのまま熱固定され、それ
以上の収縮能を失うためコイルが十分に発現せず、上記
問題が発生すると考えられる。さらに、当該複合糸を単
体で布帛に用いる場合はまだしも、他繊維との複合で用
いる場合さらに拘束力による捲縮発現能力に問題があっ
た。
【0010】また、特公昭43−19108号公報には
ポリトリメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレートを利用したサイドバイサイド複合糸が提案され
ている(例えば、特許文献6参照)。本特公記載の方法
を用いれば適度なストレッチ性を与えることができる
が、単繊維間の捲縮が会合し合う傾向が強いためにコイ
ル捲縮による収縮力に異方性をもち、そのため楊柳状の
シボが発現する。また、本発明者らが追試を行ったとこ
ろ、紡糸速度が低いことに起因すると思われる糸斑によ
り染色斑が発生し、品位が悪いという問題も判明した。
この問題は、これらのサイドバイサイド複合糸は、捲縮
を発現する染色工程において満足する捲縮を発現させる
ための温度が常圧の範囲を超える高温・高圧条件の必要
があることや拡布状での捲縮発現が難しく、例えば、ロ
−プ状で液流のアクションで捲縮を発現させる必要があ
ったため天然性や化学繊維との複合布帛の染色加工工程
に適した加工設備、条件において潜在捲縮発現により、
布帛にふくらみや反発性、伸縮性などの新しい質感、効
果を発揮することができなかった。さらに、100℃以
上の温度でなければ捲縮発現しないような潜在捲縮糸で
は、ウールや絹等の100℃以上の受熱で繊維自身が脆
化する繊維との組み合わせによる織編物に適用できない
といった問題があった。
【0011】
【特許文献1】特公昭44−2504号公報
【0012】
【特許文献2】特開平4−308271号公報
【0013】
【特許文献3】特開平5−132856号公報
【0014】
【特許文献4】特開平5−295634号公報
【0015】
【特許文献5】特開平5−295670号公報
【0016】
【特許文献6】特公昭43−19108号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリウレタ
ン系弾性繊維との混用で問題となる染料汚染がなく、従
来のポリエステル系潜在捲縮性繊維の高温での捲縮発現
する必要がある問題や仮撚加工糸で問題となっている織
物拘束下での捲縮発現能力を改善し、100℃以下の常
温・常圧領域で3次元螺旋状潜在捲縮を発現させること
ができ、発現捲縮の伸縮性によるストレッチ、ストレッ
チバック性に優れるとともに、シボの発現が少なく、し
かも染色加工時のしわ発生や染め斑発生の少ない高品位
の布帛を得ることができるポリエステル系複合糸と複合
布帛を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記した課題を解決する
ため本発明は、次の構成を採用する。すなわち、 (1)2種類以上のポリエステル系重合体からなる少な
くとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートを主体
としたポリエステルから構成されるサイドバイサイド型
あるいは芯鞘型コンジュゲートマルチフィラメント糸
と、他の2種類以上のポリエステル系重合体からなるサ
イドバイサイド系あるいは芯鞘型コンジュゲートマルチ
フィラメント糸とを複合してなることを特徴とする複合
糸。
【0019】(2)前記少なくとも一成分がポリトリメ
チレンテレフタレートを主体としたポリエステルから構
成されるサイドバイサイド型あるいは芯鞘型コンジュゲ
ートマルチフィラメント糸は、熱水90℃×20分の熱
処理後の伸縮伸長率が30%以上80%以下であり、か
つ伸縮弾性率が85%以上であることを特徴とする前記
(1)に記載の複合糸。
【0020】(3)少なくとも一成分がポリトリメチレ
ンテレフタレートを主体としたポリエステルから構成さ
れるサイドバイサイド型あるいは芯鞘型コンジュゲート
マルチフィラメント糸が、製糸工程のパッケージから解
除されたときの応力緩和によって発現する捲縮が熱処理
前において伸縮伸長率10〜40%に半顕在化した嵩高
性ポリエステル系複合糸であることを特徴とする前記
(1)または(2)のいずれか1項に記載の複合糸。
【0021】(4)他の2種類以上のポリエステル系重
合体からなるサイドバイサイド系あるいは芯鞘型コンジ
ュゲートマルチフィラメント糸がポリエチレンテレフタ
レート/ポリエチレンテレフタレートあるいはポリトリ
メチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレ
ート系重合体系重合体からなることを特徴とする前記
(1)〜(3)のいずれか1項に記載の複合糸。
【0022】(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項
に記載の複合糸を少なくとも一部に用いてなることを特
徴とする複合布帛。
【0023】(6)前記複合布帛が、布帛の状態にて熱
処理により前記複合糸に収縮と3次元捲縮とが発現させ
られてなることを特徴とする前記(5)に記載の複合布
帛。
【0024】(7)前記複合糸は、撚係数Kが0〜2
0,000の無撚または加撚が施されていることを特徴
とする前記(5)または(6)のいずれか1項に記載の
複合布帛。
【0025】ただし、撚係数K=T×D0.5 T:糸長1m当たりの撚数、 D:糸条の繊度(dtex) (8)前記複合糸と天然繊糸あるいは再生繊維あるいは
他の合成繊維とが複合されてなることを特徴とする前記
(5)〜(7)のいずれか1項に記載の複合布帛。
【0026】(9)無撚または中撚を施され複合糸を少
なくとも一部に用いた布帛を100℃以下の湿熱リラッ
クス熱処理により、構成するポリエステル系複合糸の潜
在捲縮を発現させた後に染色加工を施すことを特徴とす
る前記(5)〜(8)のいずれか1項に記載の複合布
帛。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に使用するポリエステル系
複合糸を構成するコンジュゲートマルチフィラメント糸
は、紡糸・延伸した繊維に3次元形態のコイル状の捲縮
を発現したさらに、熱処理によって3次元捲縮を発現す
る能力を有するものであり、粘度の異なる2種類以上の
ポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバ
イサイド型、偏心芯鞘複合型または多層構造複合型に貼
り合わされたものであり、良好な捲縮特性を得るために
サイドバイサイド型または偏心芯鞘複合型が好ましい。
粘度が異なる重合体を前記複合形態にすることによっ
て、紡糸、延伸時に高粘度側に応力が集中するため、各
成分間で内部歪みが異なる。そのため、延伸後の弾性回
復率差および布帛の熱処理工程での熱収縮率差により高
粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元
コイル捲縮の形態をとる。この3次元コイルの径および
単位繊維長当たりのコイル数は、高収縮成分と低収縮成
分との収縮差(弾性回復率差と熱収縮率差を足し合わせ
た値)によって決まるといってもよく、収縮差が大きい
ほどコイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が
多くなる。
【0028】ストレッチ素材として要求されるコイル捲
縮は、コイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数
が多い(伸長特性に優れ、見映えが良い)、コイルの耐
へたり性が良い(伸縮回数に応じたコイルのへたり量が
小さく、ストレッチ保持性に優れる)、さらにはコイル
の伸長回復時におけるヒステリシスロスが小さい(弾発
性に優れ、フィット感がよい)等である。これらの要求
を満足しつつ、ポリエステルとしての特性、例えば適度
な張り腰、ドレープ性、高染色堅牢性を有することで、
トータルバランスに優れたストレッチ素材とすることが
できる。
【0029】ここで、そのコンジュゲートマルチフィラ
メントの1種類は、常圧湿熱処理による潜在捲縮発現性
や前記のコイル特性を満足するためには高収縮成分(高
粘度成分)の特性が重要となる。コイルの伸縮特性は、
低収縮成分を支点とした高収縮成分の伸縮特性が支配的
となるため、高収縮成分に用いる重合体には特に高い伸
長性および回復性が要求される。そこで、本発明者らは
ポリエステルの特性を損なうことなく前記特性を満足さ
せるために鋭意検討した結果、高収縮成分にポリトリメ
チレンテレフタレート(以下PTTと略記する)を主体
としたポリエステルを用いることを見出した。PTT繊
維は、代表的なポリエステル繊維であるポリエチレンテ
レフタレート(以下PETと略記する)やポリブチレン
テレフタレート(以下PBTと略記する)繊維と同等の
力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性が極め
て優れている。これは、PTTの結晶構造においてアル
キレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ−ゴーシュ
の構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらには
ベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)によ
る拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことか
ら、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復
するためと考えている。
【0030】また、本発明の低収縮成分(低粘度成分)
には高収縮成分であるPTTとの界面接着性が良好で、
製糸性が安定している繊維形成性ポリエステルであれば
特に限定されるものではない。ただし、力学的特性、化
学的特性および原料価格を考慮すると、繊維形成能のあ
るPTT、PET、PBTが好ましい。さらに高収縮成
分(高粘度成分)、低収縮成分(低粘度成分)ともにP
TTとし、融点、ガラス転移点を合わせることで、紡糸
工程でより高粘度成分に応力集中させることができ、収
縮率差を大きくできる点で、PTTがより好ましい。ま
た、両成分をPTTとすることで繊維のヤング率を低く
できるので、よりソフトで弾発性に優れた捲縮糸が得ら
れるという利点もある。また、前記2成分よりもアルカ
リ減量速度の速い繊維形成性ポリエステルを第3成分と
して複合させることで、布帛とした後にアリカリ減量処
理して特殊断面形状としてもよい。
【0031】なお、本発明でいう粘度とは固有粘度(I
V)を指し、オルソクロロフェノール中に試料を溶かし
て測定した値である。
【0032】また、2成分としたときの複合比率は製糸
性および繊維長さ方向のコイルの寸法均質性の点で、高
収縮成分:低収縮成分=75:25〜35:65(重量
%)の範囲が好ましく、65/35〜45/55の範囲
がより好ましい。
【0033】ここで、本発明のPTTとは、テレフタル
酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主
たるグリコール成分として得られるポリエステルであ
る。ただし、20モル%、より好ましくは10モル%以
下の割合で他のエステル結合の形成が可能な共重合成分
を含むものであってもよい。共重合可能な化合物とし
て、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメ
タノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールなどのジオール類を挙げることができるが、こ
れらに限定されるものではない。また、必要に応じて、
艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやア
ルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール
誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
【0034】また、布帛拘束力に打ち勝って、安定的に
コイル捲縮を発現させるためには、収縮応力および収縮
応力の極大を示す温度が重要な特性となる。収縮応力は
高いほど布帛拘束下での捲縮発現性がよく、収縮応力の
極大を示す温度が高いほど仕上げ工程での取り扱いが容
易となる。したがって、布帛の熱処理工程で捲縮発現性
を高めるには、収縮応力の極大を示す温度は110℃以
上、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃
以上であり、収縮応力の極大値は0.15cN/dte
x以上、好ましくは0.20cN/dtex以上、より
好ましくは0.25cN/dtex以上である。さらに
コンジュゲートマルチフィラメント糸が熱処理されたと
きその伸縮伸長率が30%以上80%以下であることが
望ましい。30%未満では複合糸による布帛において十
分に捲縮発現効果がなく、80%を超えると逆に、風合
い面で好ましくない。また当該捲縮糸は張力解じょによ
り応力緩和による捲縮が発現し半顕在化することが複合
糸の構成上好ましい。すなわち複合糸においてあらかじ
め潜在捲縮の一部が顕在化することによって、布帛にお
いて交錯する糸の拘束力を和らげる効果を有するからで
ある。この半顕在化する捲縮を指標化するため熱処理前
の捲縮伸長率の評価尺度で表す。熱処理前捲縮伸長率が
10〜40%である時、複合糸で織編物において拘束力
にうち勝って潜在捲縮を発現させる補助力となるのであ
る。
【0035】また、本発明のPPT/PET系複合コン
ジュゲートマルチフィラメント(以下PTT/PET系
フィラメントと略す)は、紡糸・延伸した原糸の形状が
布帛を製造する工程に供するため、巻き形態から解除さ
れた時点で応力緩和による3次元捲縮が発現し、応力緩
和によっていわゆる半顕在化し、あたかも仮撚り加工を
施したごとく、3次元捲縮形態を構成する複合繊維間で
捲縮位相がずれており、複合糸の嵩高度が高いものがさ
らに望ましい。嵩高度を高くすることによって本発明の
目的である適度なふくらみを与えるとともに、ソフトで
反発感のある布帛とすることができる。さらには捲縮位
相のずれがコイル捲縮によるトルクの分散効果を高め、
他繊維との複合や無撚〜甘撚においても楊柳調のシボ立
ちがほとんどなく、高品位な布帛とすることができる。
また、無撚〜甘撚での加工を可能にすることによって、
透け感がない織物とすることができる。前記の効果は嵩
高度30cc/g以上で達成されるが、好ましくは40
cc/g以上、より好ましくは50cc/g以上であ
る。ちなみに、特公昭44−2504号公報記載のよう
な固有粘度差のあるPET系複合糸、あるいは特開平5
−295634号公報記載のようなホモPETと高収縮
性共重合PETとの組み合わせでの複合糸の嵩高度は高
々10cc/g程度であり、特公昭43−19108号
公報の複合糸の嵩高度は20cc/g程度である。
【0036】また、本発明のPTT/PET複合糸は、
JIS L 1090(合成繊維フィラメントかさ高加
工糸試験方法)5.7項C法(簡便法)に示す伸縮伸長
率が30%以上であり、かつ伸縮弾性率が85%以上で
あることが好ましい。従来は、特開平6−322661
号公報等に記載されているように、潜在捲縮発現性ポリ
エステル繊維を荷重フリーに近い状態で熱処理し、そこ
での伸縮伸長率を規定していたが、これでは布帛拘束下
での伸縮特性を必ずしも反映しているとはいえない。
【0037】そこで、布帛拘束下での捲縮発現能力が重
要であることに着目し、図1に示す方法にて熱処理を行
い、以下に示す式にて伸縮伸長率および伸縮弾性率を定
義した。
【0038】 伸縮伸長率(%)=[(L1−L0)/L0]×100% 伸縮弾性率(%)=[(L1−L2)/(L1−L0)]×
100% L0:繊維カセに1.8×10-3cN/dtex荷重を
吊した状態で90℃熱水処理を20分間行い、1昼夜風
乾した後のカセ長 L1:L0測定後、L0測定荷重を取り除いて90×10
-3cN/dtex荷重を吊して30秒後のカセ長 L2:L1測定後、L1測定荷重を取り除いて2分間放置
し、再び1.8×10-3cN/dtex荷重を吊して3
0秒後のカセ長 すなわち、布帛内での拘束力に相当する1.8×10-3
cN/dtexと同じ荷重を繊維カセに吊して熱処理す
ることで、布帛拘束下での捲縮発現能力を繊維カセの伸
縮伸長率で表せるとした。この伸縮伸長率が高いほど捲
縮発現能力が高いことを示しており、30%以上であれ
ば適度なストレッチ特性を与えることができるので好ま
しい。伸縮伸長率は高いほど布帛にしたときのストレッ
チ性能が向上するため、好ましくは50%以上、より好
ましくは80%以上である。
【0039】なお、特公昭44−2504号公報記載の
ような固有粘度差のあるPET系複合糸、あるいは特開
平5−295634号公報記載のようなホモPETと高
収縮性共重合PETとの組み合わせでの複合糸では伸縮
伸長率は高々5%程度である。
【0040】また、コイル捲縮の伸縮によってストレッ
チ性を付与する場合、その捲縮の耐久性も重要な要素の
ひとつとなり、指標として伸縮弾性率が参考となる。伸
縮弾性率は高いほど着用耐久性やフィット感に優れるこ
とを示し、好ましくは85%以上、より好ましくは90
%以上である。
【0041】また、このPTT/PET複合糸は、上記
の如く原糸段階で使用するポリマーの特性と繊維製造工
程での条件により可能にする紡糸・延伸し、布帛の工程
に使用する原糸を巻き形状の拘束力から解じょされたと
きに応力緩和によって発現し半顕在捲縮する複合糸であ
り、その発現する捲縮の程度を熱処理前の捲縮伸長率で
表す。この熱処理前に半顕在捲縮を有することは、複合
布帛において染色工程での熱処理を実施する前の生機を
構成する複合糸に捲縮が半顕在化した状態で存在するこ
とによって、布帛の拘束力を弱めて染色工程の熱処理で
収縮応力による捲縮発現を大きく助長する役割をする極
めて重要な要素である。そして、染色により潜在捲縮を
を発現することにより、従来の潜在型捲縮糸では不可能
であったふくらみ、ストレッチ性等に優れた布帛を提供
することが可能になった。特に、捲縮発現を従来のコン
ジュゲートより低温の常圧領域の湿熱処理により可能と
なるため、湿潤時に水分を吸わない繊維に比較して、天
然繊維やセルロース系繊維のように膨潤等により繊維拘
束性が大きいことや強度が低く毛羽やしわになり易いな
ど染色加工工程での布帛に対するアクションが過度にで
きないなど問題のある複合布帛に相性がよい。
【0042】この熱処理前捲縮伸長率は、図2に示す方
法にて測定する捲縮伸長率の測定方法において、以下に
示す式にて伸縮伸長率を定義した。
【0043】熱処理前伸縮伸長率(%)=[(L1−L
2)/L2]×100% L1:測定荷重90×10-3cN/dtex荷重を吊し
て30秒後のカセ長 L2:L1測定後、L1測定荷重を取り除いて2分間放置
し、再び1.8×10-3cN/dtex荷重を吊して3
0秒後のカセ長 従来のPET/PET系コンジュゲート複合繊維では、
この熱処理前の伸縮伸長率は、当該測定方法ではゼロで
ある。すなわち、紡糸・延伸後の原糸の捲縮形態に緩や
かな3次元捲縮状はあっても、見かけの形態であって真
の顕在性の捲縮ではなく、捲縮は熱処理によって発現す
る潜在捲縮性である。
【0044】また、このPTT/PET複合繊維の断面
形状は、丸断面、三角断面、マルチローバル断面、偏平
断面、中空断面、X型断面その他公知の異形断面であっ
てもよく、何等限定されるものではないが、捲縮発現性
と風合いのバランスから、図3に示すような半円状サイ
ドバイサイド型(a)、(b)、偏心芯鞘型(c)、
(d)や軽量、保温を狙った中空サイドバイサイド
(e)、ドライ風合いを狙った扁平断面サイドバイサイ
ド(f)、(g)や三角断面サイドバイサイド(h)
等、サイドバイサイド型または偏心芯鞘型が好ましく用
いられる。
【0045】また、コンジュゲートマルチフィラメント
の他の2種類以上のポリエステル系重合体あるいはポト
リメチレン系重合体からなるサイドバイサイド型あるい
は芯鞘型コンジュゲートマルチフィラメント糸として
は、PET/PET系複合コンジュゲートマルチフィラ
メント(以下PET/PET系フィラメントと略す)
は、従来の公知であるポリエチレンテレフタレート成分
を85モル以上からなる重合体であって、固有粘度差あ
るいは極限粘度差を有するポリエチレンテレフタレート
(PET)のサイドバイサイド型や芯鞘型あるいは、ホ
モPETとそれより高収縮性の共重合PETのサイドバ
イサイド型や芯鞘型複合紡糸による潜在捲縮型複合捲縮
糸であり特に制約されない。また、ポリメチレンテレフ
タレート/ポリメチレンテレフタレート系複合コンジュ
ゲートマルチフィラメント(以下PTT/PTT系フィ
ラメントと略す)は、PPT/PET系コンジュゲート
フィラメントにおける低収縮側PETポリマーを高収縮
側PTTポリマーの極限粘度を低くした低収縮PTTポ
リマーを使用したものが代表的に、特に制限されない。
【0046】次に、本発明の2種類以上のポリエステル
系重合体からなる少なくとも一成分がポリトリメチレン
テレフタレートを主体としたポリエステルから構成され
るサイドバイサイド型あるいは芯鞘型コンジュゲートマ
ルチフィラメント糸と、他の2種類以上のポリエステル
系重合体からなるサイドバイサイド系あるいは芯鞘型コ
ンジュゲートマルチフィラメント糸とを複合してなる複
合糸に関し説明する。
【0047】本発明のPTT/PET系フィラメントと
PET/PET系あるいはPTT/PTT系フィラメン
トの複合糸やPTT/PTT系フィラメントとPET/
PET系あるいはPTT/PTT系フィラメントの複合
糸およびそれを用いた織編物等の複合布帛は常圧領域の
湿熱リラックス処理によって無撚〜甘撚で織物にしても
シボ立ちが少なく、織編物表面をフラットに仕上げるこ
とが可能である。当該複合糸は、従来のPTT/PET
系フィラメントを単独で使用した場合とPET/PET
系フィラメントを単独で使用した場合と比較して次の新
規効果がある。すなわち、PTT/PET系マルチフィ
ラメント糸は低温リラックスで潜在捲縮を発現が可能で
あるが繊維特性として初期ヤング率が低くナイロンに近
い風合いをもっており布帛にしたときしなやかな風合い
が得られるが婦人用途のスーツや、ジャケットパンツと
いった縫製品にしたとき、生地の張りや腰、反発特性に
劣り綺麗なシルエットが得られず仕立て映え性に欠ける
もとなり限界があった。一方PET/PET系フィラメ
ント単独で使用したとき、ポリエステルのヤング率が高
い特性や、異収縮特性によるふくらみ感等に優れ前記縫
製品での仕立て映え性は極めて得られやすいが、潜在捲
縮発現は高圧で液流等のアクションによる外力を必要と
し、どうしても加工時のしわ発生やすれあたりが発生し
やすく品質の管理面、コスト面で不利であった。また天
然繊維や再生繊維等との複合による布帛も上記加工上の
制約から汎用性に問題があった。
【0048】そこで本発明者らは鋭意検討し両者の複合
化手段を用いることにより幅広い新しいテキスタイルに
適する複合手段を提案するに至った。そのPTT/PE
T系やPTT/PPT系フィラメントとPET/PET
系やPTT/PTT系フィラメントの複合構成要件につ
いて記載する。
【0049】まず、前記両者の構成比率は、PTT/P
ET系フィラメント:PET/PET系フィラメントの
場合は80:20〜20:80好ましくは70:30〜
35:65がよい。PTT/PET系フィラメンの比率
が低いと常圧湿熱リラックスでの捲縮発現性が低下し好
ましくない。他の合成繊維との複合布帛であれば問題な
いが再生繊維や天然繊維との複合の場合、PTT/PE
T系フィラメント比率が高いほど染色加工条件幅が大き
くなり好ましい。これらの繊維の組み合わせにおいて
は、フィラメント単繊維繊度が複合糸の使用用途によっ
て重要になる。アウタウエアで縫製品の仕立て映え性が
重要な場合PET/PET系フィラメントの単糸繊度は
1.1dtex〜20dtexの範囲から太いものを選
択することが好ましい。PTT/PET系フィラメント
の比率が低い場合、上記PET/PET系フィラメント
糸の単糸繊度は小さくした方がよい。それぞれの複合P
ETのポリマーは通常公知のものは使用でき、特にカチ
オン可染型、第3成分混合あるいは共重合型にすること
によって汎用性が大きくなる。次に複合糸の形態につい
て説明する。
【0050】また、PTT/PTT系フィラメント糸と
PET/PET系フィラメントの複合糸では、PTT/
PTT系フィラメント糸の方が、染色加工工程のリラッ
クスにおいて、常温・常圧領域の低い温度において早く
3次元螺旋捲縮が発現し、収縮するため複合糸の比較的
内層部に位置される構造をとるので、PET/PET系
フィラメント糸より単糸繊度を大きくすることが望まし
く、複合布帛の構造によるソフトタッチが得られ、ハリ
腰、反発、伸縮および伸縮回復性に優れた特徴を付与で
きるからである。複合比率は、前記のPTT/PET系
フィラメントとPET/PET系フィラメントの場合と
同じであって良い。当該構成の複合糸は、表層がPET
/PET系フィラメント糸であるため、従来のPET/
PET系フィラメント単独糸のコンジュゲート糸使いの
織編物では、染色工程での3次元捲縮発現が常温・常圧
の領域では難しく、高圧条件で行うことが必要であった
が、当該PTT/PTT系フィラメントとPET/PE
T系フィラメント糸との複合糸を交織や、交編等の手段
で織編物を製造することができ、PTT/PTT系フィ
ラメントの低温捲縮発現特性を活かした製品に活用が可
能となるのである。さらに、PTT/PTT系フィラメ
ント糸同士の複合糸の場合は、PTTポリマーの低温染
色性、コンジュゲート糸での低温捲縮発現性から、ウー
ルや絹等の常温・常圧領域の染色加工が必須の繊維との
組み合わせのテキスタイルにおいて、極めて大きな課題
解決となる。特に羊毛や絹にストレッチ性を付与する手
段としては、従来スパンデックス弾性繊維とのカバリン
グや撚糸による方法でしかできず、その弾性繊維の熱セ
ット性による寸法安定性が十分得られなかった点で大き
な改善が可能となる。また、PTT/PTT系コンジュ
ゲートフィラメントの単独糸に比較し、当該PTT/P
TT系同士のフィラメントによる複合糸においては、複
数のフィラメント間の繊度構成、捲縮の発現性、繊維断
面等を変更することによって種々の複合効果が可能にな
る。具体的な一例としてあげれば、一種のPTT/PT
T系フィラメント糸の単糸繊度を太くし(例えば10dt
ex)、もう一種のPTT/PTT系フィラメント糸の単
糸繊度を細くし(例えば1dtex)、複合比率を80〜2
0%に変更することによって、ウールや絹との複合によ
って、それら単独のテキスタイル、PTT/PTT系フ
ィラメント単独糸組み合わせとは伸縮性や張り腰、タッ
チの総合的特性で大きく異なる効果を得ることが可能と
なる。
【0051】複合コンジュゲートフィラメントは、2品
種以上のポリマーによる複合一発紡糸、紡糸後の延伸機
複合など製糸工程での複合により可能であるが、それぞ
れの複合コンジュゲートフィラメントを紡糸、延伸(紡
糸・延伸直結含む)により一旦巻き取った後に複合する
方法でも可能である。この場合、高配向未延伸糸どお
し、高配向未延伸糸と延伸糸、それらをさらに仮撚加工
等行った後の複合であっても良い。引き揃え仮撚、エア
ーによる混繊・交絡処理を行っても構わない。また実撚
を施しても良い。
【0052】次に、当該複合糸を使用する複合布帛の様
態について説明する。紡糸・延伸で得られたPPT/P
ET、PET/PET、あるいはPTT/PTT系フィ
ラメント糸の複合加工の場合、延伸糸/延伸糸、延伸糸
/高配向未延伸糸あるいは高配向未延伸糸/高配向未延
伸糸の組み合わせが可能となり、伸度差複合加工混繊
糸、異収縮・異捲縮混繊糸等の多様化が可能となる。原
糸の強伸度、収縮率、捲縮性等の要件を既知の範囲で組
み合わせ実施することが可能である。
【0053】本複合糸を使用した布帛は、従来のポリエ
ステル潜在捲縮型複合繊維で使用されてきた織物の生機
設計で密度の設定範囲を広くすることや染色加工条件で
低温の常温・常圧領域のオープンソーパー型やソフサー
型の拡布状精練・リラックスm/cで加工が可能とな
り、さらにシボの発現がなく、ストレッチ性に優れたも
のを得ることができる。編物においては、ヨコ編・丸編
・タテ編に制限なく使用される。この場合、従来PET
/PET系潜在捲縮型複合繊維に比較し、常圧領域での
リラックスにより捲縮発現ができるので生機での密度の
範囲を広く設定できる。すなわち、複合糸はPTT/P
ET系やPTT/PTT系フィラメントの捲縮発現力が
大きいため生機密度が甘い領域では、染色加工における
リラックス処理によって潜在捲縮の発現が容易であり、
幅方向、長さ方向の収縮時に捲縮発現力が容易なため立
体的に構造収縮がし易く、十分に密度の入ったものとな
る。
【0054】また、生機密度が込んで詰まったものにお
いては、構成する原糸間に半顕在捲縮による繊維間空隙
のため、染色加工の熱処理においてリラックスによる潜
在捲縮の発現力を大きくすることができ、従来のポリエ
ステル潜在捲縮型複合繊維を単独せ使用した場合に比較
して、染色加工後の密度を高密度にでき、さらにストレ
ッチ性も大きくできる利点がある。上記の性能は、天然
繊維やセルロース系繊維の場合特に好ましく応用でき
る。
【0055】複合布帛の構成としては、まず当該複合糸
を織物のタテ糸およびヨコ糸に使用したものは、従来P
ET/PET系潜在捲縮コンジュゲート糸100%使い
に比較して、拡布状で常圧湿熱リラックス熱処理で捲縮
発現ができるのでシボ発現がなく、フラットな高密度感
の表面と光沢に優れたストレッチ布帛が得られ、風合い
も従来の張り・腰・反発性を損なうことなくPTTの効
果によりしっとりとしたものが得られる。また当該タテ
糸を利用し、他の天然繊維や再生繊維糸をヨコ糸に使用
することによって織組織を変更して従来になかった、異
なった質感のテキスタイルを得ることが可能になる。
【0056】また、当該複合糸を従来の各種タテ糸ある
いはヨコ糸に組み合わせて使用することにより、染色工
程で拡布状の常圧湿熱リラックス条件で捲縮発現を行い
ストレッチ性、張り腰反発性効果を付与できる。例え
ば、タテ糸あるいはヨコ糸が綿糸の織物の場合シルケッ
ト加工が必須であるが、シルケット加工条件は常温の高
濃度NaOH液でパッドドライ処理を行うが、130℃
程度の高温シリンダ緊張処理をする。このため従来のP
ET/PET系潜在捲縮糸では捲縮の発現する能力が消
滅してしまう。本発明の複合糸による綿交織複合布帛
は、前工程においてあらかじめ低温で捲縮発現させてお
くことができる有利さがある。絹やウールなど天然繊維
は特に一般的に100℃以上での染色加工が困難であ
る。この場合も当該複合加工糸の場合染色加工工程で低
温で捲縮発現可能であり、新しい複合布帛を得ることが
可能となる。上記複合布帛に対し、当該複合糸は追撚し
て使用することによってさらに効果が付与される。複合
布帛に供する場合における複合糸の撚数は、撚係数Kが
0〜20,000の無撚または中撚を施された複合糸で
あることが好ましい。撚係数の上限範囲は20,000
が好ましくは18,000までが良い。用途によって撚
係数1,000の中撚領域、さらにはドレープ性面で1
5,000〜18,000を上限範囲とすることが好ま
しい。
【0057】また、複合糸を構成する原糸において、染
色工程の染色発現の際、比較的内層に配置する構造の組
み合わせにおいては、内層原糸にコンジュゲートフィラ
メントが、その単糸の潜在3次元捲縮の位相が揃った形
態で発現するよう、製糸段階でマルチフィラメントが収
束した形態のフィラメント糸を使用し、比較的外層に配
置するフイラメント糸は、マルチフィラメントの捲縮の
位相がずれた状態で複合糸、撚糸することによって、織
編物の染色工程での捲縮発現によって、複合糸の中心部
にマルチフィラメントの収束した螺旋中空状空隙構造を
発現し、その周囲のマルチフィラメントは、捲縮位相の
ずれた状態で巻き付いた形態が可能となる。
【0058】本発明の複合布帛は、従来のポリエステル
繊維やアセテート繊維のタテ糸あるいはヨコ糸に使用す
ることが可能であり、また綿、レーヨン、などの短繊維
紡績糸との交織も可能であることから、薄地分野から厚
地分野の広範囲であるため、シャツ、ブラウス、パン
ツ、スーツ、ブルゾン等に好適に用いることができる。
また、複合糸とポリエステル繊維、レーヨン、アセテー
ト繊維や絹さらに綿、麻、レーヨンやウールなどの短繊
維紡績糸と引き揃えて撚糸することができ、PPT/P
ET、PET/PET、あるいはPTT/PTTマルチ
フィラメント糸の単独糸と複合する場合に比較して、ふ
くらみ、伸縮性などの性能をさらにアップすることが可
能となるため、ジーンズやカジュアルパンツの比較的目
付の大きい用途で軽量感の要件で有用である。
【0059】次に、複合布帛の染色加工条件に関し必要
な要件として複合布帛の染色加工工程における処理温度
条件が重要である。
【0060】本発明は、無撚または中撚を施され複合糸
を少なくとも一部に用いた布帛を100℃以下の湿熱リ
ラックス熱処理により、構成するポリエステル系複合糸
の潜在捲縮を発現させた後に染色加工を施すものであ
る。
【0061】最大のポイントは、複合布帛にシボの発現
としわの発生を抑え、PTT/PET系やPTT/PT
T系複合糸が持つ潜在捲縮能力を十分に引き出すことが
必要である。そのため、設備としてはリラックス工程
は、拡布状で行えるソフサーやオープンソーパータイプ
のマシンにより、処理液層が多段階の温度条件で行える
スペックが好ましい。その温度は、好ましくはリラック
ス温度は60℃以下からスタートし、常圧の温度98℃
範囲で十分であるが、必要であればその後液流方式でリ
ラックスすることができる。その後の乾熱セット温度は
従来のポリエステルより低い目に設定して実施する。染
色温度は、混用相手の品種により異なる。乾熱セット温
度は、染色前のプレセットは180℃、染色後の仕上げ
セットは160℃程度に抑える。
【0062】拡布状精練・リラックスマシンは、処理槽
が50〜60℃の低温領域の液糟で処理し、連続して温
度の高い次の糟で処理する方式をとる。その槽は通常2
あるいは3槽のマシンであり、オープン糟であるため常
温常圧領域の最高で100℃までであるが、通常100
℃は沸騰するので常圧の温度98℃範囲で十分である。
【0063】以下、本発明を実施例で詳細に説明する。
なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。 A.固有粘度 オルソクロロフェノール(以下OCPと略記する)10
ml中に試料ポリマを0.8g溶かし、25℃にてオス
トワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式により求
め、IVを算出した。
【0064】 ηr=η/η0 =(t×d)/(t0 ×d0 ) IV=0.0242ηr+0.2634 ここで、η:ポリマ溶液の粘度 η0 :OCPの粘度 t:溶液の落下時間(秒) d:溶液の密度(g/cm3 ) t0 :OCPの落下時間(秒) d0:OCPの密度(g/cm3 ) B.収縮応力 カネボウエンジニアリング(株)社製熱応力測定器で、
昇温速度150℃/分で測定した。サンプルは10cm
×2のループとし、初期張力は繊度(dtex)×0.
9×(1/30)gfとした。 C.嵩高度 図4は嵩高度Mを測定する装置の正面図であり、図5は
この装置による測定方法を説明するための側面図であ
る。試料台1の上面に2本の切り込み6を設け、その外
側縁部間の間隔を6mmとし、この切り込みに巾2.5
cmのPETフィルム2を掛け渡し、その下に指針付き
金具3及び荷重4を結合する。金具3の指針は、試料を
装着しない場合に目盛5のゼロ位を示すようにセットす
る。試料は周長1mの検尺機を用いて表示繊度50,0
00dtex、糸長50cmになるようにする(例えば
50dtexの糸ならば50,000÷50÷2=50
0なので、500mの糸を検 尺機で500回巻して表
示繊度50,000dtexのカセを作る)。次いで得
られたカセ7を図4の正面図および図6の側面図に示す
ようにPETフィルム2と試料台1との間に差し入れ、
縮んでいる試料を引っ張り、カセ長25cmになるよう
にカセ7を固定する。荷重4は指針付き金具3と合計し
て50gになるようにし、指針の示すL(cm)を読み
とる。測定は3回行い、平均のL値から次式によって嵩
高度Mを算出する。
【0065】 M(cc/g)=フィルム中の体積V/フィルム中の糸重量W V(cc)=L2 /π×2.5 W(g)=50000×(0.5/0.25)×(0.025/10000) =0.25 D.伸縮伸長率、伸縮弾性率 JIS L1090(合成繊維フィラメントかさ高加工
糸試験方法)、5.7項C法 (簡便法)に従い、図1
に示す方法にて熱処理を行い、以下に示す式にて伸縮
伸長率および伸縮弾性率を定義した。
【0066】 伸縮伸長率(%)=[(L1−L0)/L0]×100% 伸縮弾性率(%)=[(L1−L2)/(L1−L0)]×
100% L0:繊維カセに1.8×10-3cN/dtex荷重を
吊した状態で90℃熱水処理を20分間行い、1昼夜風
乾した後のカセ長 L1:L0 測定後、L0測定荷重を取り除いて90×10
-3cN/dtex荷重を吊して30秒後のカセ長 L2:L1測定後、L1測定荷重を取り除いて2分間放置
し、再び1.8×10-3cN/dtex荷重を吊して3
0秒後のカセ長 E.熱処理前の伸縮伸長率 JIS L1090(合成繊維フィラメントかさ高加工
糸試験方法)、5.7項C法(簡便法)に準じカセ取り
を行い、図2に示す測定方法において、以下に示す式に
て伸縮伸長率を定義した。
【0067】熱処理前伸縮伸長率(%)=[(L2−L
1)/L1]×100 L1:測定荷重1.8×10-3cN/dtex荷重を吊
して30秒後のカセ長 L2:L1測定後、L1測定荷重を取り除き90×10-3
cN/dtex荷重を吊して30秒後のカセ長
【0068】
【実施例】実施例1 PTT/PET系コンジュゲートフィラメント糸を次の
ように製造した。艶消し剤として酸化チタンを0.35
重量%含有した固有粘度(IV)が1.38(溶融粘度
1280poise)のホモPTTと、酸化チタンを
0.35重量%含有した固有粘度(IV)が0.65
(溶融粘度260poise)のホモPTTをそれぞれ
別々に溶融し、紡糸温度260℃で36孔の複合紡糸口
金から複合比(重量%)50:50で吐出し、紡糸速度
1400m/分で引取り235dtex、36フィラメ
ントのサイドバイサイド型複合構造未延伸糸(繊維断面
は図2a)を得た。該未延伸糸の最大延伸倍率は4.6
倍であった。さらに未延伸糸を環境温度25℃×2日間
エージングした後、延伸機を用い、第1ホットロール温
度70℃、鏡面仕上げ(表面粗度0.8S)の第2ホッ
トロール温度35℃、第1ホットロールと第2ホットロ
ール間延伸倍率3.2倍(最大延伸倍率の70%)で延
伸、さらに第3ホットロール温度170℃で第2ホット
ロールと第3ホットロール間のリラックス率13%と
し、第3ホットロールとドローロールの間で1.02倍
に延伸し、約84dtex、36フィラメントの延伸糸
を得た。なお、リラックス処理ゾーンの糸条張力は0.
01cN/dtexであった。紡糸、延伸とも製糸性は
良好であり、糸切れは発生しなかった。当該原糸は熱セ
ット前の伸縮伸長率が30.8%の半顕在捲縮により捲
縮の位相がズレ、優れた嵩高性および伸縮特性を示し
た。また熱処理伸縮伸長率は63.9%であった。
【0069】また、PET/PET系コンジュゲートフ
ィラメントとして次のものを使用した。極限粘度が0.
47のポリエチレンテレフタレート100%からなる低
粘度成分と、極限粘度が0.75のポリエチレンテレフ
タレートからなる高粘度成分とを、重量複合比50:5
0で並列型に貼り合わせたコンジュゲートマルチフィラ
メント未延伸糸を紡糸した後、通常の延伸機により延伸
を行い、収縮応力は0.38cN/dtexの55dt
ex−12フィラメントを製造した。
【0070】上記2種のコンジュゲートフィラメントを
引き揃えて複合糸を次のように作成した。PTT/PE
T系コンジュゲートフィラメント56ddtex−24
フィラメントとPET/PET系コンジュゲートフィラ
メント56dtex−12フィラメントを石川製作所製
リング撚糸機DTFタイプに仕掛け撚り数50T/mで
ボビンに巻き取り引き続いて村田機械(株)製のフィラ
メント用ダブルツイスター308型で950T/mの追
撚を行った(下撚と合計1,000T/mで撚係数はK
=10,580)。さらに、チーズを65℃、30分で
真空湿熱セットを行った。タテ糸にオランダのセラニー
ズ社製トリアセテートフィラメント糸84dtex−2
0フィラメント−KBA2タイプを無撚サイジングをア
ージェット織機に仕掛けた。ヨコ糸に上記複合糸を使用
し織物を試作した。当該複合糸を5枚サテン組織に打ち
込み(経密度150本/2.5cm、緯密度110本/
2.5cm)の生機をつくり、ソフサーにて60℃〜9
5℃の3槽のリラックス処理し、続いてピンテンターで
180℃有り巾でセットを行い、染色温度120℃で分
散染料染色を行い、160℃仕上げセットし複合布帛を
得た。布帛の表面はコンパクトな表面感の上品な光沢を
持つフラットでシボの発生がなく、巾方向に簡易方法で
25%のストレッチ性を有し、ソフトでふくらみのある
張り・腰・反発に優れる風合いを示した。
【0071】実施例2 実施例1で得た複合糸を織物のヨコ糸に使用した。タテ
糸に綿100%コーマー紡績糸7.4テックス/2(綿
番手80/2)をサイジングしエアージェット織機に仕
掛けた。平織組織に打ち込み生機巾189cm(経密度
91本/2.5cm、緯密度71本/2.5cm)の生
機をつくり、ソフサーにて60℃〜95℃の3槽のリラ
ックス処理し、巾147cm、ヨコ密度73本/2.5
cmであった。続いてシルケット加工工程を通し、巾1
41cm、ヨコ密度70本/2.5cmであった。ピン
テンターで180℃有り巾でセットを行い、染色温度1
20℃で分散染料で染色を行い、160℃仕上げセット
し幅133cm、ヨコ密度73本/2.5cmの複合布
帛を得た。布帛の表面はフラットでシボの発生がなく、
シルケット効果による上品な光沢と発色性に優れ、ヨコ
方向の捲縮発現により幅が大きく入ったため、経糸密度
のコンパクトで従来の綿織物とひと味異なる高質感を有
するものであった。巾方向に簡易方法で20%のスパン
デックスのカバーリング糸を使用したような、従来のポ
リエステル(PET系)ではなかったソフトストレッチ
性を有し、ソフトでふくらみと反発性ある風合いのもの
であった。当該織物の品質を検討した結果、洗濯寸法変
化率は、JIS103T法でタテ−1.0%、ヨコ0.
0%、L1096B法伸長率24.5%、伸長回復率1
時間後87.5%であった。
【0072】実施例3 固有粘度(IV)が1.18(溶融粘度1120poi
se)のホモPTTと固有粘度(IV)が0.65(溶
融粘度260poise)のホモPTTをそれぞれ別々
に溶融し、紡糸温度260℃で12孔の複合紡糸口金か
ら複合比(重量%)50:50で吐出し、紡糸速度14
00m/分で引取り165デシテックス、12フィラメ
ントのサイドバイサイド型複合構造未延伸糸(繊維断面
は対象形の繭型)を得た。さらにホットロール−熱板系
延伸機(接糸長:20cm)を用い、ホットロール温度
70℃、熱板温度145℃、延伸倍率3.0倍で延伸し
て55デシテックス、12フィラメント(単繊維繊度
d:4.6デシテックス)の延伸糸を得た。紡糸、延伸
とも製糸性は良好であり、糸切れは発生しなかった。物
性値として、熱処理前の伸縮伸長率32%、熱処理後の
伸縮伸長率52.2%、伸縮弾性率95.1%を有す
る、優れた捲縮発現能力および捲縮保持性を示した。
【0073】また、固有粘度(IV)が1.18のホモ
PTTと固有粘度(IV)が0.82(溶融粘度570
poise)のホモPTTの組み合わせとした以外は2
4孔の複合口金から複合比50:50で紡糸し、56デ
シテックス、24フィラメント糸を得た。同様の方法で
評価した結果、熱処理前伸縮伸長率28.5%、熱処理
後の伸縮伸長率45%、伸縮弾性率97%を有する捲縮
発現能力および捲縮保持性を示した。得られた2種類の
PTT/PTT系コンジュゲートマルチフィラメント糸
を引き揃えて1,000T/M(撚係数K=10,58
0)で合撚し、PTT/PTT系フィラメント複合糸を
得た。この複合糸を、タテ糸が英式梳毛番手72番双糸
の平組織に2本引き揃えてヨコ糸に打ち込みし、生機を
得た。生機の密度は62本/2.54cm、ヨコ60本
/2.54cmであった。当該生機を梳毛織物の染色工
程のせん絨、しゅく絨、せん絨、染色、乾燥、せん毛、
プレスのほぼ標準条件で実施した。染色温度だけは、常
温・常圧領域でない105℃でPTT/PTT複合糸を
分散染料で行い、温度を下げて95℃でウ−ルサイドを
酸性染料で実施した。分散染料のウール側への汚染は、
染色温度120℃に比較して、極めて少ないレベルで染
色堅牢度は良好であった。加工反の仕上がり密度は、タ
テ77本/2.54cm、ヨコ58本/2.54cmで
あった。織物の特性として、風合いは梳毛100%品に
劣ることなく、ヨコ方向に20%のストレッチ性を有
し、従来の梳毛100%ではないクオリティが得られ
た。
【0074】実施例4 実施例3で得た、55デシテックスPTT/56デシテ
ックスPTT系100%の複合糸の1,000T/Mを
実施例3の綿糸100%コーマー紡績糸7.4テックス
/2(綿番手80/2)をタテ糸のヨコ糸に使用し平織
物を作成し、実施例3と同様に染色加工をした。染色加
工条件は、染色温度を綿と1浴2段で分散染料、反応染
料染色を行った以外は実施例3と同様に行った。染色加
工品の性量はタテ密度123本/2.54cm、ヨコ密
度83本/2.54cmで高密度感のある表面であり、
ヨコ方向のストレッチ率は、30%でソフトな伸縮性を
示し、風合いも、高級綿のソフトさが生き、光沢も優れ
るものであった。
【0075】比較例1 実施例1で使用した極限粘度が0.47のポリエチレン
テレフタレート100%からなる低粘度成分と、極限粘
度が0.75のポリエチレンテレフタレートからなる高
粘度成分とを、重量複合比50:50で並列型に貼り合
わせたコンジュゲートマルチフィラメント未延伸糸を紡
糸した後、通常の延伸機により延伸を行い、収縮応力は
0.38cN/dtexの55dtex−12のPET
/PET系コンジュゲートフィラメントを2本引き揃え
て実施例1と同条件で合撚糸を作成した。これを実施例
のタテ糸にヨコ糸として使用し同一条件で製織し生機を
作成した。この生機実施例1と同様にソフサーにて60
℃〜95℃の3槽のリラックス処理した結果、幅方向の
収縮がほとんど入らずしわが発生した。また幅を入れる
ため液流染色機による120℃まで昇温しリラックス加
工をした結果、幅収縮はあったが、トリアセテートにし
わが発生し品位が悪くその後の加工を中止した。
【0076】比較例2 実施例2のタテ糸に紡糸速度3,000m/分によるポ
リエステル高配向未延伸糸(POY)140dtex3
6フィラメントを用いて、通常のピン仮撚タイプの仮撚
機で加撚数を限界撚まで入れた1ヒータータイプの高捲
縮性ウーリー加工糸、84dtex36フィラメントを
作り追撚せずにヨコ糸として使用した。従来からこの種
のウーリー加工糸は無撚では織物でストレッチ性を実現
できるが、追撚すると撚数反比例してストレッチ性が減
少する実験例があるため無撚りで使用した。実施例1の
規格に対しヨコ糸密度をカバファクターを合わせ生機幅
183cm、84本/2.5cmで生機を製織した。当
該生機を実施例1と同条件で加工し、仕上げ幅147c
m仕上げ密度はタテ糸113本/2.5cm、ヨコ糸8
4本/2.5cmであった。上記のように加工による幅
収縮は24%で実施例2に比較して少なく、タテ密度の
増加が小さいため表面のコンパク感はなく、ストレッチ
性も15%程度で、実施例1はコンパクトで肉厚感があ
りジャケット、パンツの用途にて記するテキスタイルに
対し、当該比較品は地薄のためシャツブラウス用途にし
か使用できない汎用性に乏しいテキスタイルであった。
【0077】
【発明の効果】本発明のPTT/PET系コンジュゲー
トフィラメントとPET/PET系コンジュゲートフィ
ラメントの複合糸を用いることにより、PTT/PET
系コンジュゲートフィラメントの嵩高性と優れた捲縮発
現能力により、またPET/PET系コンジュゲートフ
ィラメントの張り腰、反発性に優れる特性により合撚糸
および複合布帛にしたとき常圧領域の湿熱リラックス処
理において潜在捲縮を発現できるので、半顕在化捲縮に
より複合糸間の空隙があるため繊維間拘束力が小さく染
色工程で潜在捲縮発現性が優れるため、潜在捲縮発現型
コンジュゲート糸に比較してふくらみのあるソフトタッ
チで張り腰、反発性に優れおよびストレッチ性を与える
とともに、無撚〜強撚でも楊柳調のシボが発現しにく
く、ポリウレタン混用で問題となる染料汚染がなく、コ
ンパクトな密度感の高品位な布帛を得ることができるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】伸縮伸長率、伸縮弾性率の測定方法を説明する
ための図である。
【図2】熱処理前の原糸に発現する半顕在捲縮を表す伸
縮伸長率の測定方法を示す図である。
【図3】本発明の繊維の繊維横断面形状の例を示す図で
ある。
【図4】嵩高度を測定するための装置の正面図である。
【図5】嵩高度の測定方法を示す側面図である。
【符号の説明】
1:試料台 2:PETフィルム 3:指針付き金具 4:荷重 5:目盛 6:切り込み 7:カセ
フロントページの続き Fターム(参考) 4L036 MA17 MA24 MA33 MA39 PA21 RA04 UA01 4L041 AA07 BA02 BA05 BA09 BA21 BA22 BC05 CA06 CA08 DD04 DD10 4L048 AA21 AA22 AA28 AA30 AA50 AA55 AB07 AB16 AB18 AC11 AC12 CA03 CA04 DA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2種類以上のポリエステル系重合体からな
    る少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレート
    を主体としたポリエステルから構成されるサイドバイサ
    イド型あるいは芯鞘型コンジュゲートマルチフィラメン
    ト糸と、他の2種類以上のポリエステル系重合体からな
    るサイドバイサイド系あるいは芯鞘型コンジュゲートマ
    ルチフィラメント糸とを複合してなることを特徴とする
    複合糸。
  2. 【請求項2】前記少なくとも一成分がポリトリメチレン
    テレフタレートを主体としたポリエステルから構成され
    るサイドバイサイド型あるいは芯鞘型コンジュゲートマ
    ルチフィラメント糸は、熱水90℃×20分の熱処理後
    の伸縮伸長率が30%以上80%以下であり、かつ伸縮
    弾性率が85%以上であることを特徴とする請求項1に
    記載の複合糸。
  3. 【請求項3】少なくとも一成分がポリトリメチレンテレ
    フタレートを主体としたポリエステルから構成されるサ
    イドバイサイド型あるいは芯鞘型コンジュゲートマルチ
    フィラメント糸が、製糸工程のパッケージから解除され
    たときの応力緩和によって発現する捲縮が熱処理前にお
    いて伸縮伸長率10〜40%に半顕在化した嵩高性ポリ
    エステル系複合糸であることを特徴とする請求項1また
    は2のいずれか1項に記載の複合糸。
  4. 【請求項4】他の2種類以上のポリエステル系重合体か
    らなるサイドバイサイド系あるいは芯鞘型コンジュゲー
    トマルチフィラメント糸がポリエチレンテレフタレート
    /ポリエチレンテレフタレート系重合体あるいはポリト
    リメチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタ
    レート系重合体からなることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の複合糸。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合
    糸を少なくとも一部に用いてなることを特徴とする複合
    布帛。
  6. 【請求項6】前記複合布帛が、布帛の状態にて熱処理に
    より前記複合糸に収縮と3次元捲縮とが発現させられて
    なることを特徴とする請求項5に記載の複合布帛。
  7. 【請求項7】前記複合糸は、撚係数Kが0〜20,00
    0の無撚または加撚が施されていることを特徴とする請
    求項5または6のいずれか1項に記載の複合布帛。 ただし、撚係数K=T×D0.5 T:糸長1m当たりの撚数、 D:糸条の繊度(dtex)
  8. 【請求項8】前記複合糸と天然繊糸あるいは再生繊維あ
    るいは他の合成繊維とが複合されてなることを特徴とす
    る請求項5〜7のいずれか1項に記載の複合布帛。
  9. 【請求項9】無撚または中撚を施され複合糸を少なくと
    も一部に用いた布帛を100℃以下の湿熱リラックス熱
    処理により、構成するポリエステル系複合糸の潜在捲縮
    を発現させた後に染色加工を施すことを特徴とする請求
    項5〜8のいずれか1項に記載の複合布帛。
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