JP2004256932A - 複合糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】張り、腰などの風合いを損なうことなく、ストレッチ性に優れた編織物布帛を得ることができる複合糸を提供する。
【解決手段】芯成分がポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸の仮撚加工糸、鞘成分が短繊維からなる複合糸であって、前記仮撚加工糸がPOYの延伸仮撚加工糸であり、かつ仮撚の撚方向と異方向に追撚係数2700〜13000の範囲で追撚されていることを特徴とする複合糸。
【選択図】 なし
【解決手段】芯成分がポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸の仮撚加工糸、鞘成分が短繊維からなる複合糸であって、前記仮撚加工糸がPOYの延伸仮撚加工糸であり、かつ仮撚の撚方向と異方向に追撚係数2700〜13000の範囲で追撚されていることを特徴とする複合糸。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複合糸に関し、さらに詳しくは張り、腰があり、優れたストレッチ性を有する編織物布帛を得ることができる鞘芯構造の複合糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ストレッチ性や張り、腰等に優れた布帛を得ることができる複合糸として、芯糸にポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された特定の伸縮伸長率を有する仮撚糸を用いた鞘芯構造の複合糸が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
しかし、この複合糸を用いた布帛では、特に経糸および緯糸共に綿やウール等の紡績糸を用いた織物と比較すると張り、腰などの風合いが損なわれるという欠点があった。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−303378号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記技術の問題点を解決し、張り、腰などの風合いを損なうことなくストレッチ性に優れた布帛を得ることができる複合糸を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題について鋭意検討した結果、芯糸に特定の仮撚加工糸を用いることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を達成したものである。
すなわち、本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1)芯成分がポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸の仮撚加工糸、鞘成分が短繊維からなる複合糸であって、前記仮撚加工糸がPOYの延伸仮撚加工糸であり、かつ仮撚の撚方向と異方向に追撚係数2700〜13000の範囲で追撚されていることを特徴とする複合糸。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における鞘芯構造の複合糸には、芯成分として、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維が用いられる。
本発明に用いられるポリトリメチレンテレフタレート系繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル系繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上を含むものをいう。従って、第三成分として他の酸成分および/またはグリコール成分の合計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0007】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはその機能的誘導体と、トリメチレングリコールまたはその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種または二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンド(ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は重量比で50%以上が好ましい)したり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。
【0008】
上記複合紡糸に関しては、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報等に例示されるような、第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロンを並列的もしくは偏芯的に配置したサイドバイサイド型または偏芯シースコア型に複合紡糸したものが挙げられ、特にポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましく、特に特開2000−239927号公報に例示されるような固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型に複合紡糸したものが、高度のストレッチ性と嵩高性を兼備するものであり特に好ましい。
【0009】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。また、1個または3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等またはグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0010】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
また、本発明に用いられるポリトリメチレンテレフタレート系繊維の形態は、マルチフィラメント糸であり、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面においても丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブ−メラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【0011】
本発明において、上記ポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸は、仮撚加工糸であり、該仮撚加工糸はPOYの延伸仮撚加工糸であることが必要である。ここで、POYとは一般的に部分配向糸、部分配向未延伸糸、高配向未延伸糸等と呼称されているものをいう。
POYの延伸仮撚加工糸は、例えば、特開2001−20136号公報、特開2001−164433号公報に開示されており、破断伸度が40%以上であるPOYが好ましい。より好ましい破断伸度は60%以上であり、また180%以下が好ましく、より好ましくは140%以下である。またPOY延伸仮撚加工糸の単糸繊度は0.5〜5dtexが好ましく、より好ましくは1〜2.5dtexである。単糸繊度が0.5dtex未満ではストレッチ性が不足する傾向にあり、5dtexを超えると風合いが粗硬となる傾向にある。
【0012】
POYの延伸仮撚加工糸は、紡糸速度2500〜4500m/minで紡糸することにより得られ、延伸仮撚条件としては、延伸倍率は1.05〜2.00倍が好ましく、より好ましくは1.05〜1.70倍である。この場合の仮撚数T1 は次式で計算され、仮撚係数K1 の値が23000〜36000であることが好ましく、より好ましくは27000〜34000の範囲である。
T1 (T/m)=K1 /(原糸の繊度(dtex))1/2
仮撚ヒーター出口の糸条温度は100〜200℃が好ましい。また1ヒーター仮撚加工糸(ノンセットタイプ)の方が、2ヒーター仮撚加工糸(ノンセットタイプ)より好ましい。
仮撚方法としては、ピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等のいずれの方法でもよいが、好ましくはフリクションタイプ、ニップベルトタイプである。
【0013】
本発明において、上記POYの延伸仮撚加工糸は、織物に高ストレッチ性を発現させる点から、仮撚の撚方向と異方向に追撚係数2700〜13000の範囲で追撚されていることが必要である。好ましい追撚係数は3000以上、より好ましくは4000以上、さらに好ましくは5000以上であり、また10000以下が好ましく、9000以下がより好ましい。仮撚の撚方向を同方向にすると追撚数を多くする程ストレッチ性が低下し、追撚係数が7800以上になると全くストレッチ性が発現しない織物となる。この場合の追撚数T2 は次式で計算され、追撚係数K2 は2700〜13000の範囲で選定される。
T2 (T/m)=K2 /(仮撚加工糸の繊度(dtex))1/2
追撚係数K2 が2700未満では、張り、腰のある編織物が得られず、また13000を超えると得られる編織物のストレッチ性が低下する。
【0014】
POYの延伸仮撚加工糸を追撚するに際しては、POYの延伸仮撚加工糸を単独または双糸や三子以上で追撚して用いてもよく、またPOYの延伸仮撚加工糸を含有率が質量%で30%以上、好ましくは50%以上の範囲内で複合して用いてもよい。またポリエチレンテレフタレート系繊維やポリブチレンテレフタレート系繊維、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維等のポリエステル系繊維の仮撚加工糸(延伸糸の仮撚加工糸またはPOYの延伸仮撚加工糸)と引き揃えて必要に応じて交絡を付与してから追撚してもよい。例えば、POYを延伸仮撚後、仮撚加工糸を巻き上げる前に、複合する仮撚加工糸と引き揃えて交絡を付与して巻き上げ、次いで、追撚する方法が挙げられる。
なお、追撚後はスチームセット等の方法により60〜80℃程度の温度で30〜60分の撚止めセットを施すのが好ましい。
【0015】
POYの延伸仮撚糸の追撚した糸(単に追撚糸ということがある)の繊維物性は、強度が2.5cN/dtex以上が好ましく、より好ましくは2.5〜4.4cN/dtexである。強度が2.5cN/dtex未満では織物にしたときの強力が不足する場合がある。伸度は35%以上が好ましく、より好ましくは35〜60%である。伸度が35%未満では織物にしたときのストレッチ性が不足する場合がある。弾性率は20cN/dtex以下が好ましく、より好ましくは13〜18cN/dtexである、弾性率が20cN/dtexを超えるとソフト性の乏しい布帛となる場合がある。また20%伸長時の伸長回復率は70%以上が好ましく、より好ましくは80〜100%である。伸長回復率が70%未満の場合には織物に使用したときの伸びに対する回復率が低下する場合がある。
【0016】
また、本発明における鞘芯構造の複合糸には、鞘成分として短繊維が用いられる。この短繊維には特に制限はなく、希望する布帛形態や用途に応じて公知の繊維や繊維形態を適宜選定して用いることができる。例えば、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース、アセテート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ナイロン、アクリル等の各種人造繊維、またはこれらの共重合タイプや、同種または異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)を用いることができるが、交編織する場合は、使用する紡績糸の繊維素材と同じものが好ましい。
短繊維の太さ、繊維長分布、繊維本数、繊維断面形状についても特に制限はなく、公知の範囲内のものが利用できる。
【0017】
本発明の複合糸は、芯成分に上記したPOYの延伸仮撚糸の追撚糸を用い、鞘成分に短繊維を用いた鞘芯構造を有する。複合糸中の該追撚糸の含有率は質量%で3%以上が好ましく、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上である。また鞘成分の素材の風合い等の特徴を活かす点からは、複合糸中の追撚糸の含有率は90質量%以下とするのが好ましく、より好ましくはは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
複合糸の複合形態には特に限定はなく、複合相手に応じてまたは希望する布帛形態や用途に応じて従来公知の複合手段を適宜選定することができ、例えば、精紡機を用いたコアヤーン、カバリング(シングルまたはダブル)などの複合糸が挙げられる。
【0018】
本発明の複合糸は、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース等のセルロース系繊維を好ましくは質量%で50%以上、より好ましくは100%の紡績糸との交編織物、特にこの紡績糸(綿、羊毛、精製セルロース100質量%の紡績糸が最適)を経糸に用いて本発明の複合糸を緯糸に用いた交織織物に適用すると極めて効果的であり、得られる交織織物は特にチノパンツ、ジーンズ等に好適に用いることができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。例中の特性は以下の方法で測定または評価した。
(1) 固有粘度:固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
ただし、式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒に溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸またはポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0020】
(2) 織物のストレッチ性およびストレッチバック性:JIS L−1096一般織物試験法 伸長率A法(定速伸長法)、伸長回復率(繰り返し定速伸長法)に準拠した。ただし、伸長回復率は、伸長率A法で求めた伸びの100%まで試料を伸長した。
具体的には、ORIENTEC社製の引張試験機(型式:RTC−1210A)を用いて、試料(幅5cm×長さ1m)にかかる重力に相当する荷重を初荷重としてかけ、把持間隔20cm(L0 )、引張速度20cm/分で試料を所望の方向に伸長させ、14.71N(1.5kgf、300gf/cm)の荷重がかかるまで伸長し、長さ(L1 )を読みとる。その後、1分間放置後、同速度で元の位置に戻し、3分間放置する。再び同速度で伸長し、初荷重と同じ荷重がかかった時点の長さ(L2 )を読みとる。
ストレッチ率およびストレッチバック率は以下の式によって求める。
ストレッチ率(%)=(L1 −L0 )/L0 ×100
ストレッチバック率(%)=(L1 −L2 )/(L1 −L0 )×100
【0021】
(3) 風合い評価:本発明の複合糸に用いる鞘成分と同じ繊維素材100%のものを比較品として、例えば、複合糸の鞘成分が綿の場合は、経糸および緯糸に綿紡績糸を用いて得た織物と比較して以下の官能評価により5段階で判定した。
5級;極めて比較品に似た張り、腰のある風合いである。
4級;比較品に似た張り、腰のある風合いである。
3級;比較品対比張り、腰が弱い風合いである。
2級;比較品対比張り、腰をあまり感じない風合いである。
1級;張り、腰を殆ど感じない風合いである。
【0022】
〔実施例1〕
固有粘度[η]0.9のポリトリメチレンテレフタレートを用い、3000m/minの紡糸速度で紡糸して破断伸度105%のPOYを得た。次いで、延伸倍率1.32倍、仮撚ヒーター出口の糸条温度160℃、仮撚係数K1 =28000で延伸仮撚加工を行い、56dtex/24fの1ヒーターの延伸仮撚糸(仮撚方向S)を得た。引き続き、得られた仮撚加工糸を村田機械製のダブルツイスターDT−308を用いて仮撚方向と異方向に600T/m追撚(追撚係数K2 =4490)した。次いで、60℃で40分のスチームセットした。得られた追撚糸の破断強伸度は、2.9cN/dtex、37%であった。
次いで、リング紡績機を用い、綿紡績糸の精紡工程にこの追撚糸を芯に挿入してコアスパンヤーンを得た。得られたコアスパンヤーンの番手は、綿番手で30/−、仮撚加工糸の含有率は28質量%であった。
【0023】
次いで、綿番手で40/−の綿紡績糸を経糸に用い、上記コアスパンヤーンを緯糸に用いてエアージェットルームにて製織を行い、経糸密度108本/2.54cm、緯糸密度66本/2.54cmの2/1綾組織の生機を得た。
得られた生機を95℃で液流リラクサーにて精練リラックス後、テンターを用い、170℃で中間セットした後、液流染色機にて100℃の直接染料による染色を行い、170℃でファイナルセットを行った。得られた仕上げ反は、経糸密度156本/2.54cm、緯糸密度76本/2.54cmであった。
得られた織物の風合いは4.5級と極めて良好であり、また緯糸方向のストレッチ率とストレッチバック率はそれぞれ17%、91%であり、ストレッチ性およびストレッチバック性にも優れるものであった。
【0024】
〔比較例1〕
固有粘度[η]0.9のポリトリメチレンテレフタレートを用い、紡糸速度1200m/分で未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して、84dtex/24fの延伸糸を得た。引き続き、この延伸糸をピンタイプ仮撚機を用いて仮撚係数K1 =31000で仮撚し、実施例1同様に追撚、スチームセットした。
この追撚糸を芯糸に用いた以外は、実施例1と同様に製織、仕上げて、経糸密度134本/2.54cm、緯糸密度78本/2.54cmの製品を得た。
この織物の風合いは2.5級であり、またストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ12%、92%であり、実施例1対比で風合いおよびストレッチ性ともに劣ったものであった。
【0025】
〔実施例2〜3および比較例2〜3〕
実施例1において、追撚係数K2 をそれぞれ2224(比較例2)、3337(実施例2)、11124(実施例3)、15574(比較例3)としてを追撚数を変化させた追撚糸を緯糸に用いた以外は実施例1と同様にして織物を得た。追撚係数K2 が本発明の範囲内にある実施例2および実施例3の場合には、風合い4.5級以上と極めて良好であり、また緯糸方向のストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ16〜18%、90〜92%であり、ストレッチ性およびストレッチバック性にも優れるものであった。
これに対し、追撚係数K2 が本発明の範囲外にある比較例2では、風合い2.5級、緯糸方向のストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ16%、90%であり、実施例1対比で風合いに劣ったものであった。また同様に追撚係数K2 が本発明の範囲外にある比較例3では、風合い4級、緯糸方向のストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ5%、84%であり、実施例1対比でストレッチ性、ストレッチバック性共に劣るものであった。
【0026】
〔比較例4〕
実施例1において、仮撚方向と同じ方向に600T/m追撚し、60℃で40分スチームセットを行った追撚糸を緯糸に用いた以外は実施例1同様にして織物を得た。得られた織物は、風合い4級、緯糸方向のストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ6%、80%であり、実施例1対比でストレッチ性、ストレッチバック性共に劣るものであった。
【0027】
【発明の効果】
本発明の複合糸は、編織物布帛に、張り、腰などの風合いを損なうことなく優れたストレッチ性を付与できるため、アウター用、スポーツ用、インナー用などの衣料用布帛やストレッチ性が要求される椅子張りやカーシート等の各種資材用途に好適に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は複合糸に関し、さらに詳しくは張り、腰があり、優れたストレッチ性を有する編織物布帛を得ることができる鞘芯構造の複合糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ストレッチ性や張り、腰等に優れた布帛を得ることができる複合糸として、芯糸にポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成された特定の伸縮伸長率を有する仮撚糸を用いた鞘芯構造の複合糸が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
しかし、この複合糸を用いた布帛では、特に経糸および緯糸共に綿やウール等の紡績糸を用いた織物と比較すると張り、腰などの風合いが損なわれるという欠点があった。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−303378号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記技術の問題点を解決し、張り、腰などの風合いを損なうことなくストレッチ性に優れた布帛を得ることができる複合糸を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題について鋭意検討した結果、芯糸に特定の仮撚加工糸を用いることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を達成したものである。
すなわち、本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1)芯成分がポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸の仮撚加工糸、鞘成分が短繊維からなる複合糸であって、前記仮撚加工糸がPOYの延伸仮撚加工糸であり、かつ仮撚の撚方向と異方向に追撚係数2700〜13000の範囲で追撚されていることを特徴とする複合糸。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における鞘芯構造の複合糸には、芯成分として、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維が用いられる。
本発明に用いられるポリトリメチレンテレフタレート系繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル系繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上を含むものをいう。従って、第三成分として他の酸成分および/またはグリコール成分の合計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0007】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはその機能的誘導体と、トリメチレングリコールまたはその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種または二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンド(ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は重量比で50%以上が好ましい)したり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。
【0008】
上記複合紡糸に関しては、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報等に例示されるような、第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロンを並列的もしくは偏芯的に配置したサイドバイサイド型または偏芯シースコア型に複合紡糸したものが挙げられ、特にポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましく、特に特開2000−239927号公報に例示されるような固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型に複合紡糸したものが、高度のストレッチ性と嵩高性を兼備するものであり特に好ましい。
【0009】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。また、1個または3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等またはグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0010】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
また、本発明に用いられるポリトリメチレンテレフタレート系繊維の形態は、マルチフィラメント糸であり、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面においても丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブ−メラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【0011】
本発明において、上記ポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸は、仮撚加工糸であり、該仮撚加工糸はPOYの延伸仮撚加工糸であることが必要である。ここで、POYとは一般的に部分配向糸、部分配向未延伸糸、高配向未延伸糸等と呼称されているものをいう。
POYの延伸仮撚加工糸は、例えば、特開2001−20136号公報、特開2001−164433号公報に開示されており、破断伸度が40%以上であるPOYが好ましい。より好ましい破断伸度は60%以上であり、また180%以下が好ましく、より好ましくは140%以下である。またPOY延伸仮撚加工糸の単糸繊度は0.5〜5dtexが好ましく、より好ましくは1〜2.5dtexである。単糸繊度が0.5dtex未満ではストレッチ性が不足する傾向にあり、5dtexを超えると風合いが粗硬となる傾向にある。
【0012】
POYの延伸仮撚加工糸は、紡糸速度2500〜4500m/minで紡糸することにより得られ、延伸仮撚条件としては、延伸倍率は1.05〜2.00倍が好ましく、より好ましくは1.05〜1.70倍である。この場合の仮撚数T1 は次式で計算され、仮撚係数K1 の値が23000〜36000であることが好ましく、より好ましくは27000〜34000の範囲である。
T1 (T/m)=K1 /(原糸の繊度(dtex))1/2
仮撚ヒーター出口の糸条温度は100〜200℃が好ましい。また1ヒーター仮撚加工糸(ノンセットタイプ)の方が、2ヒーター仮撚加工糸(ノンセットタイプ)より好ましい。
仮撚方法としては、ピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等のいずれの方法でもよいが、好ましくはフリクションタイプ、ニップベルトタイプである。
【0013】
本発明において、上記POYの延伸仮撚加工糸は、織物に高ストレッチ性を発現させる点から、仮撚の撚方向と異方向に追撚係数2700〜13000の範囲で追撚されていることが必要である。好ましい追撚係数は3000以上、より好ましくは4000以上、さらに好ましくは5000以上であり、また10000以下が好ましく、9000以下がより好ましい。仮撚の撚方向を同方向にすると追撚数を多くする程ストレッチ性が低下し、追撚係数が7800以上になると全くストレッチ性が発現しない織物となる。この場合の追撚数T2 は次式で計算され、追撚係数K2 は2700〜13000の範囲で選定される。
T2 (T/m)=K2 /(仮撚加工糸の繊度(dtex))1/2
追撚係数K2 が2700未満では、張り、腰のある編織物が得られず、また13000を超えると得られる編織物のストレッチ性が低下する。
【0014】
POYの延伸仮撚加工糸を追撚するに際しては、POYの延伸仮撚加工糸を単独または双糸や三子以上で追撚して用いてもよく、またPOYの延伸仮撚加工糸を含有率が質量%で30%以上、好ましくは50%以上の範囲内で複合して用いてもよい。またポリエチレンテレフタレート系繊維やポリブチレンテレフタレート系繊維、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維等のポリエステル系繊維の仮撚加工糸(延伸糸の仮撚加工糸またはPOYの延伸仮撚加工糸)と引き揃えて必要に応じて交絡を付与してから追撚してもよい。例えば、POYを延伸仮撚後、仮撚加工糸を巻き上げる前に、複合する仮撚加工糸と引き揃えて交絡を付与して巻き上げ、次いで、追撚する方法が挙げられる。
なお、追撚後はスチームセット等の方法により60〜80℃程度の温度で30〜60分の撚止めセットを施すのが好ましい。
【0015】
POYの延伸仮撚糸の追撚した糸(単に追撚糸ということがある)の繊維物性は、強度が2.5cN/dtex以上が好ましく、より好ましくは2.5〜4.4cN/dtexである。強度が2.5cN/dtex未満では織物にしたときの強力が不足する場合がある。伸度は35%以上が好ましく、より好ましくは35〜60%である。伸度が35%未満では織物にしたときのストレッチ性が不足する場合がある。弾性率は20cN/dtex以下が好ましく、より好ましくは13〜18cN/dtexである、弾性率が20cN/dtexを超えるとソフト性の乏しい布帛となる場合がある。また20%伸長時の伸長回復率は70%以上が好ましく、より好ましくは80〜100%である。伸長回復率が70%未満の場合には織物に使用したときの伸びに対する回復率が低下する場合がある。
【0016】
また、本発明における鞘芯構造の複合糸には、鞘成分として短繊維が用いられる。この短繊維には特に制限はなく、希望する布帛形態や用途に応じて公知の繊維や繊維形態を適宜選定して用いることができる。例えば、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース、アセテート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ナイロン、アクリル等の各種人造繊維、またはこれらの共重合タイプや、同種または異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)を用いることができるが、交編織する場合は、使用する紡績糸の繊維素材と同じものが好ましい。
短繊維の太さ、繊維長分布、繊維本数、繊維断面形状についても特に制限はなく、公知の範囲内のものが利用できる。
【0017】
本発明の複合糸は、芯成分に上記したPOYの延伸仮撚糸の追撚糸を用い、鞘成分に短繊維を用いた鞘芯構造を有する。複合糸中の該追撚糸の含有率は質量%で3%以上が好ましく、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上である。また鞘成分の素材の風合い等の特徴を活かす点からは、複合糸中の追撚糸の含有率は90質量%以下とするのが好ましく、より好ましくはは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
複合糸の複合形態には特に限定はなく、複合相手に応じてまたは希望する布帛形態や用途に応じて従来公知の複合手段を適宜選定することができ、例えば、精紡機を用いたコアヤーン、カバリング(シングルまたはダブル)などの複合糸が挙げられる。
【0018】
本発明の複合糸は、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース等のセルロース系繊維を好ましくは質量%で50%以上、より好ましくは100%の紡績糸との交編織物、特にこの紡績糸(綿、羊毛、精製セルロース100質量%の紡績糸が最適)を経糸に用いて本発明の複合糸を緯糸に用いた交織織物に適用すると極めて効果的であり、得られる交織織物は特にチノパンツ、ジーンズ等に好適に用いることができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。例中の特性は以下の方法で測定または評価した。
(1) 固有粘度:固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
ただし、式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒に溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸またはポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0020】
(2) 織物のストレッチ性およびストレッチバック性:JIS L−1096一般織物試験法 伸長率A法(定速伸長法)、伸長回復率(繰り返し定速伸長法)に準拠した。ただし、伸長回復率は、伸長率A法で求めた伸びの100%まで試料を伸長した。
具体的には、ORIENTEC社製の引張試験機(型式:RTC−1210A)を用いて、試料(幅5cm×長さ1m)にかかる重力に相当する荷重を初荷重としてかけ、把持間隔20cm(L0 )、引張速度20cm/分で試料を所望の方向に伸長させ、14.71N(1.5kgf、300gf/cm)の荷重がかかるまで伸長し、長さ(L1 )を読みとる。その後、1分間放置後、同速度で元の位置に戻し、3分間放置する。再び同速度で伸長し、初荷重と同じ荷重がかかった時点の長さ(L2 )を読みとる。
ストレッチ率およびストレッチバック率は以下の式によって求める。
ストレッチ率(%)=(L1 −L0 )/L0 ×100
ストレッチバック率(%)=(L1 −L2 )/(L1 −L0 )×100
【0021】
(3) 風合い評価:本発明の複合糸に用いる鞘成分と同じ繊維素材100%のものを比較品として、例えば、複合糸の鞘成分が綿の場合は、経糸および緯糸に綿紡績糸を用いて得た織物と比較して以下の官能評価により5段階で判定した。
5級;極めて比較品に似た張り、腰のある風合いである。
4級;比較品に似た張り、腰のある風合いである。
3級;比較品対比張り、腰が弱い風合いである。
2級;比較品対比張り、腰をあまり感じない風合いである。
1級;張り、腰を殆ど感じない風合いである。
【0022】
〔実施例1〕
固有粘度[η]0.9のポリトリメチレンテレフタレートを用い、3000m/minの紡糸速度で紡糸して破断伸度105%のPOYを得た。次いで、延伸倍率1.32倍、仮撚ヒーター出口の糸条温度160℃、仮撚係数K1 =28000で延伸仮撚加工を行い、56dtex/24fの1ヒーターの延伸仮撚糸(仮撚方向S)を得た。引き続き、得られた仮撚加工糸を村田機械製のダブルツイスターDT−308を用いて仮撚方向と異方向に600T/m追撚(追撚係数K2 =4490)した。次いで、60℃で40分のスチームセットした。得られた追撚糸の破断強伸度は、2.9cN/dtex、37%であった。
次いで、リング紡績機を用い、綿紡績糸の精紡工程にこの追撚糸を芯に挿入してコアスパンヤーンを得た。得られたコアスパンヤーンの番手は、綿番手で30/−、仮撚加工糸の含有率は28質量%であった。
【0023】
次いで、綿番手で40/−の綿紡績糸を経糸に用い、上記コアスパンヤーンを緯糸に用いてエアージェットルームにて製織を行い、経糸密度108本/2.54cm、緯糸密度66本/2.54cmの2/1綾組織の生機を得た。
得られた生機を95℃で液流リラクサーにて精練リラックス後、テンターを用い、170℃で中間セットした後、液流染色機にて100℃の直接染料による染色を行い、170℃でファイナルセットを行った。得られた仕上げ反は、経糸密度156本/2.54cm、緯糸密度76本/2.54cmであった。
得られた織物の風合いは4.5級と極めて良好であり、また緯糸方向のストレッチ率とストレッチバック率はそれぞれ17%、91%であり、ストレッチ性およびストレッチバック性にも優れるものであった。
【0024】
〔比較例1〕
固有粘度[η]0.9のポリトリメチレンテレフタレートを用い、紡糸速度1200m/分で未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して、84dtex/24fの延伸糸を得た。引き続き、この延伸糸をピンタイプ仮撚機を用いて仮撚係数K1 =31000で仮撚し、実施例1同様に追撚、スチームセットした。
この追撚糸を芯糸に用いた以外は、実施例1と同様に製織、仕上げて、経糸密度134本/2.54cm、緯糸密度78本/2.54cmの製品を得た。
この織物の風合いは2.5級であり、またストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ12%、92%であり、実施例1対比で風合いおよびストレッチ性ともに劣ったものであった。
【0025】
〔実施例2〜3および比較例2〜3〕
実施例1において、追撚係数K2 をそれぞれ2224(比較例2)、3337(実施例2)、11124(実施例3)、15574(比較例3)としてを追撚数を変化させた追撚糸を緯糸に用いた以外は実施例1と同様にして織物を得た。追撚係数K2 が本発明の範囲内にある実施例2および実施例3の場合には、風合い4.5級以上と極めて良好であり、また緯糸方向のストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ16〜18%、90〜92%であり、ストレッチ性およびストレッチバック性にも優れるものであった。
これに対し、追撚係数K2 が本発明の範囲外にある比較例2では、風合い2.5級、緯糸方向のストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ16%、90%であり、実施例1対比で風合いに劣ったものであった。また同様に追撚係数K2 が本発明の範囲外にある比較例3では、風合い4級、緯糸方向のストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ5%、84%であり、実施例1対比でストレッチ性、ストレッチバック性共に劣るものであった。
【0026】
〔比較例4〕
実施例1において、仮撚方向と同じ方向に600T/m追撚し、60℃で40分スチームセットを行った追撚糸を緯糸に用いた以外は実施例1同様にして織物を得た。得られた織物は、風合い4級、緯糸方向のストレッチ率、ストレッチバック率はそれぞれ6%、80%であり、実施例1対比でストレッチ性、ストレッチバック性共に劣るものであった。
【0027】
【発明の効果】
本発明の複合糸は、編織物布帛に、張り、腰などの風合いを損なうことなく優れたストレッチ性を付与できるため、アウター用、スポーツ用、インナー用などの衣料用布帛やストレッチ性が要求される椅子張りやカーシート等の各種資材用途に好適に用いることができる。
Claims (1)
- 芯成分がポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸の仮撚加工糸、鞘成分が短繊維からなる複合糸であって、前記仮撚加工糸がPOYの延伸仮撚加工糸であり、かつ仮撚の撚方向と異方向に追撚係数2700〜13000の範囲で追撚されていることを特徴とする複合糸。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003045720A JP2004256932A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | 複合糸 |
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JP2003045720A JP2004256932A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | 複合糸 |
Publications (1)
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JP2003045720A Pending JP2004256932A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | 複合糸 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100859085B1 (ko) | 2004-12-31 | 2008-09-17 | 주식회사 효성 | 폴리에스테르 혼섬사 및 그 제조방법 |
KR100958520B1 (ko) | 2004-12-31 | 2010-05-17 | 주식회사 효성 | 폴리에스테르 농염 이수축 혼섬 가공사의 제조방법 |
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2003
- 2003-02-24 JP JP2003045720A patent/JP2004256932A/ja active Pending
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KR100958520B1 (ko) | 2004-12-31 | 2010-05-17 | 주식회사 효성 | 폴리에스테르 농염 이수축 혼섬 가공사의 제조방법 |
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