JP2004044063A - 先染め織物 - Google Patents

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Takashi Yanai
谷内  孝
Tomoko Takahashi
高橋 朋子
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Asahi Kasei Fibers Corp
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Abstract

【課題】紡績糸の先染め糸の例えば独特の外観や膨らみ感等の風合い等の特徴を損なわずに、ストレッチ性やストレッチバック性に優れた先染め織物を提供する。
【解決手段】経糸が紡績糸の先染め糸、緯糸がポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸の捲縮糸であることを特徴とする先染め織物。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、経糸が紡績糸の先染め糸で構成された先染め織物に関するものであり、より詳細には、紡績糸の先染め糸の例えば独特の外観や膨らみ感等の風合い等の特徴を損なわずに、ストレッチ性やストレッチバック性に優れた先染め織物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジーンズやコーデュロイに代表される、綿紡績糸等の先染め糸を経糸に用い、未染色の綿紡績糸等を緯糸に用いた先染め織物は、その独特の外観や膨らみ感等の風合いからパンツ、チノパン、スカート等のボトムやシャツとして多用されているが、ストレッチ性やストレッチバック性が劣るため、芯糸にポリウレタン系等の弾性繊維を用いた鞘芯構造の紡績糸、いわゆるコアスパンヤーン(CSY)を緯糸に用いたストレッチ性の織物が提供されているが、着用を繰り返すに伴いその性能が大きく低下するという欠点を有する。又、ジーンズでは、その独特な風合い表現のため一般に製品洗いといわれる仕上げ工程を受けるが、その際にコア切れといわれる欠点が発生して着用初期においてもその性能が低下することもある。
本出願人は、先に特許文献1において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の仮撚糸を芯糸に用いた鞘芯構造複合糸を用いた織物が、ストレッチ性に優れることを提案したが、ジーンズやコーデュロイに代表される先染め織物に適用すること、さらにはこの織物の欠点についても何ら言及していない。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−303378号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紡績糸の先染め糸の特徴を損なわずに、ストレッチ性やストレッチバック性に優れた先染め織物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、緯糸に特定の捲縮糸を用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、経糸が紡績糸の先染め糸、緯糸がポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸の捲縮糸であることを特徴とする先染め織物である。
【0006】
本発明におけるポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸の捲縮糸とは、捲縮伸長率が100%以上、400%以下が好ましく、特に120%〜400%さらに150%〜400%である。又、捲縮弾性率は70%以上が好ましく、特に80〜100%、さらに90〜100%である。
このような捲縮糸としては、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維の仮撚加工糸、ニットデニット糸、押し込み加工糸等が挙げられるが仮撚加工糸が好ましく、特に好ましくは、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維であり、さらに好ましくは、この潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の仮撚加工糸である。
【0007】
本発明の捲縮糸の好例である仮撚加工糸は、一般に用いられているピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等いかなる形式の仮撚り機を用いて製造されたものでもよいが、1ヒーター仮撚(ノンセットタイプ)の方が、2ヒーター仮撚(セットタイプ)より好ましい。
仮撚ヒーター温度は、第1ヒーターの出口直後の糸条温度が好ましくは100〜200℃、特に120〜180℃、さらに130〜170℃が好ましく、この範囲になるようにヒーター温度を設定する。又、第2ヒーター温度が好ましくは100〜210℃、特に第一ヒーターの出口直後の糸条温度に対して−30〜+50℃の範囲とするのが好ましい。第2ヒーター内のオーバーフィード率は+3%〜+30%とするのが好ましい。
【0008】
仮撚数T1は、ポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚加工において通常に用いられる範囲でよく、次式で計算される。この場合、仮撚数の係数(K1)の値が18500〜37000の範囲であることが好ましく、仮撚糸の太さによって好ましい仮撚数(T1)が決定される。
T1(T/m)=K1/(原糸の繊度(dtex))0.5 
本発明では、特に仮撚加工糸がPOYの延伸仮撚加工糸であると紡績糸の先染め糸の特徴をより損なわず、高い伸縮性を付与できるため好ましい。
尚、POYとは、一般的に部分配向糸、部分配向未延伸糸、高配向未延伸糸等と呼称されているものである。
【0009】
このPOYの延伸仮撚加工糸は、例えば、特開2001−20136号公報、特開2001−164433号公報に開示されているものであり、好ましくは60%以上特に70%以上、さらに80%以上、250%以下特に200%以下、さらに180%以下の破断伸度を有するPOYが好ましい。
又、POYの延伸仮撚加工糸の単糸繊度は0.5〜5dtexが好ましく、更に好ましくは1〜2.5dtexである。0.5dtex未満では伸縮性が不足する傾向にあり、5dtexを超えると風合いが粗硬となる傾向にある。
このようなPOYは、紡糸速度2000〜4500m/minで紡糸することにより得られるものであり、特に紡糸−延伸工程を直結した直延法(スピンドロー法)により得られるものが好適である。
【0010】
又、延伸仮撚条件としては、延伸倍率は好ましくは1.05〜2.00倍特に1.05〜1.70倍が好ましく、仮撚数(T1)は仮撚数の係数(K1)の値が23000〜36000であることが好ましく、更に好ましくは27000〜34000の範囲であることが好ましい。
仮撚ヒーター出口の糸条温度は100〜200℃が好ましい。又、1ヒーター仮撚加工糸(ノンセットタイプ)の方が、2ヒーター仮撚加工糸(セットタイプ)より好ましい。
仮撚方法としてはピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等、いかなる方法による仮撚加工糸でもよく、又、この仮撚加工糸は無撚で用いても良いが、仮撚方向と逆方向に追撚を施した追撚仮撚加工糸、又は予め追撚した方向と異方向に仮撚加工した異方向先撚仮撚加工糸が、さらに高い伸縮性が得られるので好ましい。
【0011】
追撚仮撚加工糸の追撚数(T2)は、次式で計算される撚係数(K2)が1000〜13000であることが好ましく、より好ましくは1500〜10000の範囲である。
T2(T/m)=K2/(仮撚加工糸の繊度:dtex)0.5 
追撚後はスチームセット等の方法により60〜80℃の温度で30〜60分の撚止めセットを施すことが好ましい。
異方向先撚仮撚加工糸の仮撚数(T3)は、次式で計算される仮撚数の係数(K3)の値が21000〜33000であることが好ましく、より好ましくは25000〜32000の範囲である。
T3(T/m)=K3/(先撚糸の繊度:dtex)0.5 +T4
先撚数(T4)は次式で計算される撚係数(K4)が2700〜13000であることが好ましく、より好ましくは4500〜12000の範囲である。
T4(T/m)=K4/(原糸の繊度:dtex)0.5 
仮撚加工に先立って、予め先撚を加えた先撚糸は、スチームセット等の方法により60〜80℃の温度で30〜60分の撚止めを施すことが好ましい。
【0012】
本発明の捲縮糸の好例である潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維とは、少なくとも二種のポリエステル成分で構成(具体的にはサイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型に接合されたものが多い)されているものであり、熱処理によって捲縮を発現するものである。二種のポリエステル成分の複合比(一般的に質量%で70/30〜30/70の範囲内のものが多い)、接合面形状(直線又は曲線形状のものがある)は特に限定されない。
【0013】
本発明においては、潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維であって、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートであることに特徴がある。
具体的には、特開2001−40537号公報に開示されているようなポリトリメチレンテレフタレートを一成分とするものである。
即ち、二種のポリエステルポリマーをサイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型に接合された複合繊維であり、サイドバイサイド型の場合、二種のポリエステルポリマーの溶融粘度比が1.00〜2.00が好ましく、偏芯鞘芯型の場合は、鞘ポリマーと芯ポリマーのアルカリ減量速度比は、3倍以上鞘ポリマーが速いことが好ましい。
【0014】
具体的なポリマーの組み合わせとしては、ポリトリメチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよく、又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)と、ポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよく、又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)、並びにポリトリメチレンテレフタレートと、ポリブチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸成分とし、1,4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよく、又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)があり、特に捲縮の内側にポリトリメチレンテレフタレートが配置されると好ましい。
【0015】
このように本発明は、潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維を構成するポリエステル成分の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートであるものであり、上記特開2001−40537号公報以外にも、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報、特開2000−328382号公報、特開2001−81640号公報等には、第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルを並列的あるいは偏芯的に配置したサイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型に複合紡糸したものが開示されている。特にポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましい。
【0016】
さらに本発明の目的達成上、好適な潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維としては、初期引張抵抗度が10〜30cN/dtexであると好ましく、特に20〜30cN/dtex、さらに20〜27cN/dtexがよい。30cN/dtex超では、ソフト風合いが得られにくく、10cN/dtex未満のものは製造が困難である。又、顕在捲縮の伸縮伸長率は10〜100%であると好ましく、特に10〜80%、より好ましくは10〜60%である。10%未満では本発明の目的達成が不十分となりやすく、100%超は製造が困難である。更に、顕在捲縮の伸縮弾性率は80〜100%であることが好ましく、特に85〜100%、より好ましくは85〜97%である。80%未満では本発明の目的達成が不十分となりやすい。
【0017】
さらに、100℃における熱収縮応力が0.1〜0.5cN/dtexであることが好ましく、特に0.1〜0.4cN/dtex、さらに0.1〜0.3cN/dtexであることが好ましい。0.1cN/dtex未満では本発明の目的達成が不十分となりやすく、0.5cN/dtex超は製造が困難である。
熱水処理後の伸縮伸長率は100〜250%であることが好ましく、より好ましくは150〜250%、特に好ましくは180〜250%である。100%未満では本発明の目的達成が不十分となりやすく、250%超は製造が困難である。熱水処理後の伸縮弾性率は90〜100%であることが好ましく、より好ましくは95〜100%である。90%未満では本発明の目的達成が不十分となりやすい。
【0018】
このような特性を有する潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維としては、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートが互いにサイドバイサイド型に複合された単糸から構成された複合繊維があげられる。
2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差は0.05〜0.4(dl/g)であることが好ましく、特に0.1〜0.35(dl/g)、さらに0.15〜0.35(dl/g)がよい。例えば高粘度側の固有粘度を0.7〜1.3(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度は0.5〜1.1(dl/g)から選択されるのが好ましい。尚、低粘度側の固有粘度は0.8(dl/g)以上が好ましく、特に0.85〜1.0(dl/g)、さらに0.9〜1.0(dl/g)がよい。
【0019】
また、この複合繊維自体の固有粘度、即ち平均固有粘度は、0.7〜1.2(dl/g)がよく、0.8〜1.2(dl/g)がより好ましい。特に0.85〜1.15(dl/g)が好ましく、さらに0.9〜1.1(dl/g)が好ましい。
なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸した糸の粘度を指す。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレート特有の欠点としてポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである。
【0020】
ここで、ポリトリメチレンテレフタレートは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、トリメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上のものをいう。従って、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0021】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより製造される。この製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に製造した後、ブレンドしたりしてもよい。ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は、質量%で50%以上である。
【0022】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用出来る。
【0023】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
本発明において潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の紡糸については、上記の各種の特許文献に開示されており、例えば、3000m/分以下の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法が好ましいが、紡糸−延伸工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)を採用しても良い。
又、繊維の形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状においても丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブーメラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【0024】
さらに本発明の捲縮糸の最適例である、かかる潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の仮撚加工糸について詳述する。
この仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率は好ましくは70〜300%、特に100〜300%、更に120〜300%がよく、70%未満では、本発明の目的達成が不十分となりやすい。又、顕在捲縮弾性率は好ましくは80〜100%、特に82〜100%、さらに85〜100%がよく、80%未満では本発明の目的達成が不十分となりやすい。また、この仮撚加工糸の捲縮伸長率は100〜400%であることが好ましく、より好ましくは120〜400%である。捲縮弾性率は80〜100%であることが好ましく、より好ましくは90〜100%である。捲縮伸長率や捲縮弾性率がこの値未満では本発明の目的達成が不十分となりやすい。
【0025】
仮撚加工糸を得るための仮撚方法としては、ピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等、いかなる方法によるものでもよいが、好ましくはピンタイプ、ニップベルトタイプである。又、仮撚加工糸は、いわゆる2ヒーターの仮撚加工糸(セットタイプ)よりも、いわゆる1ヒーターの仮撚加工糸(ノンセットタイプ)を用いる方が本発明の目的達成上好ましい。
仮撚ヒーター出口の糸条温度は100〜200℃が好ましい。仮撚数(T5)は次式で計算される仮撚数の係数(K5)の値が21000〜36000であることが好ましく、更に好ましくは25000〜34000の範囲である。
T5(T/m)=K5/(原糸の繊度:dtex)0.5 
【0026】
特に本発明では、この仮撚加工糸がPOYの延伸仮撚加工糸であると紡績糸の先染め糸の特徴をより損なわず、極めて高い伸縮性を付与できるため最も好適なものである。即ち、潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維のPOYの延伸仮撚加工糸が最も最適例である。
尚、POYとは、一般的に部分配向糸、部分配向未延伸糸、高配向未延伸糸等と呼称されているものである。
このPOYの延伸仮撚加工糸は、例えば、特開2001−20136号公報、特開2001−164433号公報に開示されているものであり、好ましくは60%以上特に70%以上、さらに80%以上、250%以下特に200%以下、さらに180%以下の破断伸度を有するPOYが好ましい。
【0027】
又、POYの延伸仮撚加工糸の単糸繊度は0.5〜5dtexが好ましく、更に好ましくは1〜2.5dtexである。0.5dtex未満では伸縮性が不足する傾向にあり、5dtexを超えると風合いが粗硬となる傾向にある。
このようなPOYは、紡糸速度2000〜4500m/minで紡糸することにより得られるものであり、特に紡糸−延伸工程を直結した直延法(スピンドロー法)により得られるものが好適である。
又、延伸仮撚条件としては、延伸倍率は好ましくは1.05〜2.00倍、特に1.05〜1.70倍が好ましく、仮撚数(T1)は仮撚数の係数(K1)の値が23000〜36000であることが好ましく、更に好ましくは27000〜34000の範囲であることが好ましい。
仮撚ヒーター出口の糸条温度は100〜200℃が好ましい。又、1ヒーター仮撚加工糸(ノンセットタイプ)の方が、2ヒーター仮撚加工糸(セットタイプ)より好ましい。
【0028】
仮撚方法としてはピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等、いかなる方法による仮撚加工糸でもよく、又、この仮撚加工糸は、無撚で用いても良いが、仮撚方向と順方向に追撚したもの、さらには逆方向に追撚を施した追撚仮撚加工糸、又は予め追撚した方向と異方向に仮撚加工した異方向先撚仮撚加工糸が、さらに高い伸縮性が得られるので好ましい。
追撚仮撚加工糸の追撚数(T6)は、次式で計算される撚係数(K6)が1000〜13000であることが好ましく、より好ましくは1500〜10000の範囲である。
T6(T/m)=K6/(仮撚加工糸の繊度:dtex)0.5 
追撚後はスチームセット等の方法により60〜80℃の温度で30〜60分の撚止めセットを施してもよい。
【0029】
異方向先撚仮撚加工糸の仮撚数(T7)は、次式で計算される仮撚数の係数(K7)の値が21000〜33000であることが好ましく、より好ましくは25000〜32000の範囲である。
T7(T/m)=K7/(先撚糸の繊度:dtex)0.5 +T8
先撚数(T8)は次式で計算される撚係数(K8)が2700〜13000であることが好ましく、より好ましくは4500〜12000の範囲である。
T8(T/m)=K8/(原糸の繊度:dtex)0.5 
仮撚加工に先立って、予め先撚を加えた先撚糸は、スチームセット等の方法により60〜80℃の温度で30〜60分の撚止めを施すことが好ましい。
【0030】
本発明では、仮撚加工糸は双糸又は三子以上で合撚して用いてもよく、追撚や合撚における撚数(T9)は、次式で計算される撚係数(K9)が例えば20000以下好ましくは1000〜13000の範囲内で選定すればよい。
尚、仮撚加工糸の合計繊度とは、追撚又は合撚する仮撚加工糸の合計の繊度をいう。
T9(T/m)=K9/(仮撚加工糸の合計繊度:dtex)0.5 
本発明において、捲縮糸を単独又は合糸したり、双糸や三子で合撚して用いてもよく、さらには、捲縮糸の含有率が、質量%で10%以上、好ましくは15%以上の範囲内で複合して用いてもよく、特に複合形態としては捲縮糸を芯糸とした鞘芯構造の紡績糸が好ましく(その際の鞘成分は経糸に用いる紡績糸の繊維素材と同じものが好ましい。)、又、この捲縮糸以外の例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維の仮撚加工糸と合糸、交絡、合撚これらの組み合わせで複合することも好ましい。
【0031】
必要に応じてこれ以外の公知の長繊維、短繊維でもよく、繊維形態もマルチフィラメント原糸でも仮撚加工糸、流体噴射加工糸に代表される嵩高加工糸でもよく、従来公知の各種形態の糸条を用いることができる。
例えば、羊毛、絹、綿、麻等の天然繊維、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース繊維等のセルロース系繊維、アセテート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の各種人造繊維、さらにはこれらの共重合タイプの繊維や、同種又は異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)を公知の複合手段、例えば長短混紡(サイロフィル、ホロースピンドル等)、カバリング(シングル、ダブル)、沸水収縮率3〜10%程度の低収縮糸や沸水収縮率15〜30%程度の高収縮糸との混繊や交撚等により複合してもよい。
【0032】
本発明において、経糸に用いる紡績糸の先染め糸としては、羊毛、絹、綿、麻等の天然繊維、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース等のセルロース系繊維、アセテート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の各種人造繊維、さらにはこれらの共重合タイプの繊維や、同種又は異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)等のリング紡績糸、オープンエンド紡績糸、サイロスパンやサイロフィル、ホロースピンドル等の複合紡績糸、低収縮糸や高収縮糸との混紡や交撚等により複合したものが挙げられるが、質量%で、綿又は精製セルロース繊維を好ましくは少なくとも40%以上、特に50%以上、さらに100%の紡績糸使いにおいて、最も効果が顕著である。
【0033】
本発明においては、かかる紡績糸が先染め糸であることに特徴があり、緯糸に用いる捲縮糸は先染め糸を用いてもよいが、染色しないままで最終製品としてもよい。
先染め糸の製法としては、従来公知の方法を適宜選定すればよく、例えば、カセ染め、チーズ染め、マフ染め、ニットデニット染め(ニットして染色してからデニット)等がある。
本発明の織物は、経糸が紡績糸の先染め糸で、緯糸が上記の捲縮糸の交織織物であり、両者の混率は、質量%で好ましくは30:70〜70:30、より好ましくは35:65〜65:35、最も好ましくは40:60〜60:40である。尚、本発明の織物における捲縮糸の含有率は、質量%で好ましくは5〜50%特に10〜50%さらに15〜45%がよい。
【0034】
又、本発明の目的を損なわない範囲内で、通常30質量%以下の範囲内で、紡績糸や捲縮糸以外の他の繊維を機上で、例えば経糸及び又は緯糸において1〜3本交互で交織してもよく、その混用相手は前述の捲縮糸に複合する繊維として例示したものが挙げられるが、例えば、緯糸が、上記の仮撚加工糸とポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維の仮撚加工糸を一本〜二本交互で構成したものが挙げられる。
織物の種類は、特に限定されるものではなく、平組織、綾組織、朱子組織、経パイル織物さらにはこれらの組織を組み合わせた組織であってもよいが、平組織や綾組織、経パイル織物がより好ましい。
【0035】
織物の経糸及び緯糸の密度としては、経糸繊度が40〜920dtexの場合、経糸密度は40〜220本/2.54cm、緯糸繊度が40〜920dtexの場合、緯糸密度は40〜220本/2.54cmの範囲で、織物組織、用途に応じて設定される。
特に、本発明においては、経糸のカバーファクター(経糸CF)と緯糸のカバーファクター(緯糸CF)との和(経糸CF+緯糸CF)が3000を超え、下限は、好ましくは3050以上、より好ましくは3100以上、上限は、好ましくは4500以下、より好ましくは4300以下、最も好ましくは4000以下において、本発明の効果が最も顕著なものとなる。
経糸CF=経糸密度(本/2.54cm)×経糸繊度(dtex)0.5
緯糸CF=緯糸密度(本/2.54cm)×緯糸繊度(dtex)0.5
【0036】
次に、織物製織用の織機は特に限定されるものではなく、エアージェットルーム、レピアルーム、グリッパールーム、有杼織機などを用いて生産することができる。
本発明の織物の仕上げ加工方法としては、先ず最初に生機を熱水浴中(界面活性剤や精練剤などが含まれていてもよい)で精練・リラックスを行うことが有効である。精練・リラックス加工を行うための設備としては、U型ソフサー、オープンソーパー、ボイルドオフ機、ジッガー染色機、ビーム染色機等の拡布タイプや液流タイプのものが使用できる。熱水浴の温度は例えば、綿紡績糸との交織の場合には75〜100℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜100℃、最も好ましくは90〜100℃、更に好ましくは95〜100℃の範囲である。
【0037】
この後、ピンテンターを用いて乾熱プレセットを行う。その際の温度は、加工反の風合い及びセット効果の点から、140〜170℃が好ましく、より好ましくは145〜170℃、最も好ましくは150〜170℃である。
ファイナルセットは、ピンテンターを用いて乾熱セットを行うが、その際の温度は加工反の風合い及びセット効果(残留収縮)の点から、好ましくは150〜170℃、より好ましくは150〜165℃、最も好ましくは150〜160℃で行う。
更に、必要に応じて撥水加工や熱カレンダー加工などを付与してもよい。ジーンズ用途では、いわゆる製品洗いの工程が採用される。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
本発明の用いる評価法は以下の通りである。
(1)固有粘度
固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒に溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cは、g/100mlで表されるポリマー濃度である。
なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合マルチフィラメントは、マルチフィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合マルチフィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合マルチフィラメントを構成する固有粘度とする。
【0039】
(2)初期引張抵抗度
JIS−L−1013;化学繊維フィラメント糸試験方法、初期引張抵抗度の試験方法に準じ、試料の単位繊度当たり0.0882cN/dtexの初荷重を掛けて引張試験を行い、得られた荷重−伸長曲線から初期引張抵抗度(cN/dtex)を算出し、10回の平均値を求めた。
【0040】
(3)伸縮伸長率、伸縮弾性率
JIS−L−1090;合成繊維フィラメントかさ高加工糸試験方法、伸縮性試験方法、A法に準じて測定を行い、伸縮伸長率(%)、伸縮弾性率(%)を算出し、10回の平均値を求めた。顕在捲縮の伸縮伸長率および伸縮弾性率は、巻取りパッケージから解舒した試料を、温度20±2℃、湿度65±2%の環境下で24時間放置後に測定を行った。熱水処理後の伸縮伸長率および伸縮弾性率は、無荷重で98℃の熱水中に30分間浸漬した後、無荷重で24時間自然乾燥した試料を用いた。
【0041】
(4)熱収縮応力
熱応力測定装置(カネボウエンジニアリング社製、商品名;KE−2)を用い、試料を20cmの長さに切り取り、両端を結んで輪を作り測定装置に装填し、初荷重0.044cN/dtex、昇温速度100℃/分の条件で収縮応力を測定し、得られた温度に対する熱収縮応力の変化曲線から100℃における熱収縮応力を読み取る。
【0042】
(5)仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率及び顕在捲縮弾性率
島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ間隔10cmにて仮撚加工糸を初荷重0.9×10−3CN/dtexで取り付けたのち、引張速度10cm/minで伸長し、0.0882CN/dtexの応力に達したときの伸び(%)を顕在捲縮伸長率とした。その後再び同じ速度でつかみ間隔10cmまで収縮させたのち、再度応力−歪み曲線を描き、初荷重の応力が発現するまでの伸度を残留伸度(B)とする。顕在捲縮弾性率は以下の式によって求めた。
顕在捲縮弾性率=〔(10−B)/10〕×100(%)
【0043】
(6)仮撚加工糸の捲縮伸長率、捲縮弾性率
巻き取りパッケージから解じょした仮撚加工糸を無荷重下で98℃の熱水中に20分浸漬した後、無荷重下で24時間自然乾燥した試料を用いた以外は、顕在捲縮伸長率及び顕在捲縮弾性率の測定と同様の方法にて測定し、それぞれを捲縮伸長率、捲縮弾性率とした。
【0044】
(7)織物のストレッチ性、ストレッチバック性
JIS−L−1096;一般織物試験法、伸長率A法(定速伸長法)、伸長回復率(繰り返し定速伸長法)に準拠した。但し、伸長回復率は、伸長率A法で求めた伸びの100%まで試料を伸長した。
ORIENTEC(株)製の引張試験機(型式:RTC−1210A)を用いて、試料(幅5cm×長さ1m)にかかる重力に相当する荷重を初荷重としてかけ、把持間隔20cm(L0)、引張速度20cm/分で試料を所望の方向に伸長させ、14.71N(1.5kgf、300gf/cm)の荷重がかかるまで伸長し、長さ(L1)を読みとる。その後、1分間放置後、同速度で元の位置に戻し、3分間放置する。再び同速度で伸長し、初荷重と同じ荷重がかかった時点の長さ(L2)を読みとる。
ストレッチ率及びストレッチバック率は以下の式によって求める。
ストレッチ率(%)=〔(L1−L0)/L0〕×100
ストレッチバック率(%)=〔(L1−L2)/(L1−L0)〕×100
【0045】
(8)風合い評価
経糸に用いる先染め糸の繊維素材に応じて、先染め糸に用いている繊維素材100%のものを比較品として例えば経糸が精製セルロース繊維先染め糸の場合は、緯糸は糸染めしていない精製セルロース繊維紡績糸の織物との比較で官能評価により5段階で判定した。
5級;極めて比較品に似た外観、膨らみ感のある風合いである。
4級;比較品に似た外観、風合いである。
3級;どちらともいえない。
2級;比較品に似ていない外観、風合いである。
1級;全く比較品に似ていない外観、風合いである。
【0046】
<潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の製造>
固有粘度の異なるサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを以下の製造例1〜4により製造した。
{製造例1}
固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを比率1:1でサイドバイサイド型に押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で未延伸糸を得、次いでホットロール温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が165dtexとなるように設定して延撚し、165dtex/35fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.90、低粘度側が[η]=0.70であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0047】
{製造例2}
上記製造例1と同様の方法で165dtex/23fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.88、低粘度側が[η]=0.70であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0048】
{製造例3}
上記製造例1と同様の方法で165dtex/35fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.86、低粘度側が[η]=0.69であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0049】
{製造例4}
固有粘度の異なる二種類のポリエチレンテレフタレートを用いて165dtex/35fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.66、低粘度側が[η]=0.50であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 2004044063
【0051】
【実施例1〜3、比較例1】
各製造例で得られた複合フィラメントを用いて、石川製作所製IVF−338にて第1ヒーター温度170℃(比較例1のみ220℃)、撚方向はZ撚とS撚、仮撚数3200T/mで仮撚加工を行った。実施例1〜3の仮撚加工糸は、顕在捲縮伸長率180〜200%、顕在捲縮弾性率85〜90%、捲縮伸長率200〜250%、捲縮弾性率85〜93%であったが、比較例1の仮撚加工糸は、顕在捲縮伸長率10%、顕在捲縮弾性率88%、捲縮伸長率130%、捲縮弾性率64%の仮撚加工糸を得た。
尚、製造例1が実施例1、製造例2が実施例2、製造例3が実施例3、製造例4が比較例1である。
【0052】
次いで綿番手で16/−(369dtex)の精製セルロース繊維(登録商標テンセル)紡績糸の先染め糸を経糸に用い、上記で得られた仮撚加工糸を2本合糸して合撚し(Z撚仮撚加工糸はS方向に300T/m合撚し、S撚仮撚加工糸はZ方向に300T/m合撚して2種の合撚糸を作製した。)、この合撚糸を一本交互で緯糸に用いてエアージェットルームにて製織を行い、経糸密度97本/2.54cm、緯糸密度50本/2.54cmの3/1綾組織の生機を得た。
本生機を90℃でサンフォライズ加工した後、製品に縫製して、常法に基づき製品洗い(65℃での湯洗い)を実施し、仕上げた。製品の生地密度は、経糸密度130本/2.54cm、緯糸密度53本/2.54cmであった。
実施例1〜3の織物の風合いは、全て4.5級以上と極めて良好であり、又、緯糸方向のストレッチ率/ストレッチバック率は、実施例1は30%/93%、実施例2は27%/92%、実施例3は26%/93%であり、ストレッチ性並びにストレッチバック性にも優れるものであった。
比較例1の織物の風合いは、2.5級であり、又、緯糸方向のストレッチ率/ストレッチバック率は、15%/70%であり、実施例1〜3対比風合い並びにストレッチ性、ストレッチバック性ともに劣ったものであった。
【0053】
【実施例4】
[η]=0.92の一成分のポリトリメチレンテレフタレート繊維84dtex/24fを用い、実施例1と同様の仮撚条件で仮撚を行い、顕在捲縮伸長率65%、顕在捲縮弾性率55%、捲縮伸長率180%、捲縮弾性率80%の仮撚加工糸を得た。
この仮撚加工糸を4本合糸して合撚して、S合撚糸とZ合撚糸を作製した以外は実施例1同様に製織、仕上げて、経糸密度114本/2.54cm、緯糸密度54本/2.54cmの製品を得た。この織物の風合いは、4級と良好であり、又、ストレッチ率/ストレッチバック率は17%/92%と特にストレッチバック性の良好なものであった。
【0054】
【実施例5】
製造例2の複合フィラメントを仮撚加工せずに原糸のままで用いた以外は、実施例1同様に製織、仕上げて、経糸密度125本/2.54cm、緯糸密度52本/2.54cmの製品を得た。この織物の風合いは、4級と良好であり、又、ストレッチ率/ストレッチバック率は23%/90%と特にストレッチバック性の良好なものであった。
【比較例2】
実施例4のポリトリメチレンテレフタレート繊維84dtex/24fを仮撚加工せずに原糸のままで用いた以外は、実施例1同様に製織、仕上げて、経糸密度110本/2.54cm、緯糸密度55本/2.54cmの製品を得た。この織物の風合いは、3級であり、又、ストレッチ率/ストレッチバック率は8%/96%と殆どストレッチ性のないものであった。
【0055】
【実施例6】
固有粘度[η]0.92のポリトリメチレンテレフタレートを用い、3000m/minの紡糸速度で紡糸して破断伸度105%のPOYを得た。次いで、仮撚加工機;村田機械製作所(株)製の33H仮撚機を用いて、仮撚加工糸の破断伸度が35%となるように延伸倍率を設定し、仮撚ヒーター出口の糸条温度160℃、仮撚数3200T/mで延伸仮撚加工を行い、84dtex/36fの1ヒーターの延伸仮撚糸(仮撚方向S並びにZの二種)を得た。
得られた仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率60%、顕在捲縮弾性率55%、捲縮伸長率170%、捲縮弾性率78%であった。
この仮撚加工糸を4本合糸して合撚して、S合撚糸とZ合撚糸を作製した以外は実施例4同様に製織、仕上げて、経糸密度114本/2.54cm、緯糸密度54本/2.54cmの製品を得た。この織物の風合いは、4.5級と良好であり、又、ストレッチ率/ストレッチバック率は20%/92%とストレッチ性の良好なものであった。
【0056】
【実施例7】
製造例1において、紡糸速度を変化させて破断伸度100%のPOYを得た。次いで、仮撚加工機;村田機械製作所(株)製の33H仮撚機を用いて、仮撚加工糸の破断伸度が35%となるように延伸倍率を設定し、仮撚ヒーター出口の糸条温度160℃、仮撚数3200T/mで延伸仮撚加工を行い、84dtex/36fの1ヒーターの延伸仮撚糸(仮撚方向S並びにZの二種)を得た。
得られた延伸仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率200%、顕在捲縮弾性率90%、捲縮伸長率240%、捲縮弾性率91%であった。
この仮撚加工糸を4本合糸して合撚した(Z撚仮撚加工糸はZ方向に300T/m合撚し、S撚仮撚加工糸はS方向に300T/m合撚して2種の合撚糸を作製した。)以外は実施例4同様に製織、仕上げて、経糸密度130本/2.54cm、緯糸密度53本/2.54cmの製品を得た。この織物の風合いは、5級と極めて良好であり、又、ストレッチ率/ストレッチバック率は33%/93%とストレッチ性も優れたものであった。
【0057】
【発明の効果】
本発明により、紡績糸の先染め糸の特徴、例えば独特の外観や膨らみ感等の風合い等の特徴を損なわずに、ストレッチ性やストレッチバック性に優れた先染め織物を提供することができ、この織物は、ジーンズやコーデュロイに代表される先染め織物に好適であり、チノパン、パンツ、スカート等のボトムやシャツとしての用途に好適である。

Claims (8)

  1. 経糸が紡績糸の先染め糸であり、緯糸がポリトリメチレンテレフタレート系繊維マルチフィラメント糸の捲縮糸であることを特徴とする先染め織物。
  2. 緯糸が、捲縮糸を芯糸とした鞘芯構造紡績糸であることを特徴とする請求項1に記載の先染め織物。
  3. 捲縮糸が、二種以上のポリエステル成分からなり、その少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載の先染め織物。
  4. 捲縮糸が、二種以上のポリエステル成分からなり、その少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の仮撚加工糸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の先染め織物。
  5. 仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率が70%以上であることを特徴とする請求項4に記載の先染め織物。
  6. 仮撚加工糸が、POYの延伸仮撚加工糸であることを特徴とする請求項4〜5に記載の先染め織物。
  7. 潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維が下記(a)〜(c)を満足することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の先染め織物。
    (a)初期引張抵抗度が10〜30cN/dtex
    (b)顕在捲縮の伸縮伸長率が10〜100%、伸縮弾性率が80〜100%
    (c)100℃での熱収縮応力が0.1〜0.5cN/dtex
  8. 織物が、経糸のカバーファクター(経糸CF)と緯糸のカバーファクター(緯糸CF)との和(経糸CF+緯糸CF)が3000を超える織物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の先染め織物。
    経糸CF=経糸密度(本/2.54cm)×経糸繊度(dtex)0.5
    緯糸CF=緯糸密度(本/2.54cm)×緯糸繊度(dtex)0.5
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