JP4130782B2 - 高密度織物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紡績糸使いの高密度織物に関するものであり、より詳細には、紡績糸使いの高密度織物の有する張り、腰といった風合いを損なわずに、ストレッチ性及びストレッチバック性が付与された紡績糸使いの高密度織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジーンズやコーデュロイに代表される、綿紡績糸等を経糸及び緯糸に用いた、特に、経糸のカバーファクター(経糸CF)と緯糸のカバーファクター(緯糸CF )との和(経糸CF+緯糸CF)が3000を越える高密度織物は、その独特の張り、腰といった風合いを有することから、パンツ、チノパン、スカート等のボトムやシャツとして多用されている。
【0003】
特に、カバーファクター(CF)が3000を越える高密度織物においては、ストレッチ性及びストレッチバック性が大きく劣るため、芯糸にポリウレタン系等の弾性繊維を用いた鞘芯構造紡績糸、いわゆるCSYを緯糸に用いたストレッチ性の織物が提供されているが、着用を繰り返すに伴い、その性能は大きく低下するという欠点を有する。
ジーンズにおいては、その独特な風合い表現のため、一般に製品洗いといわれる仕上げ工程を受けるが、その際に、コア切れといわれる欠点が発生して、着用初期においてもその性能が低下することがある。さらには、弾性繊維を用いることにより、高密度織物独特の張り、腰といった風合いが損なわれる傾向が強い。
【0004】
本出願人は、先に特許文献1において、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維の仮撚糸を芯糸に用いた鞘芯構造複合糸を用いた織物が、ストレッチ性に優れることを提案したが、この文献には、特に、ジーンズに代表されるカバーファクター(CF)が3000を越える高密度織物に適用することについては、何ら言及されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−303378号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紡績糸使いの高密度織物に、その独特の張り、腰といった風合いを損なうことなく、ストレッチ性及びストレッチバック性を付与したものを提供することを目的とする。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の仮撚加工糸を用いることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、経糸又は緯糸の一方が紡績糸、他方が仮撚加工糸で構成され、経糸のカバーファクター(経糸CF)と緯糸のカバーファクター(緯糸CF)との和(経糸CF+緯糸CF)が3000を越える織物であって、仮撚加工糸は、二種以上のポリエステル成分からなり、その一成分が、ポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維であり、仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率が70%以上であることを特徴とする高密度織物である。
経糸CF=経糸密度(本/2.54cm)×経糸繊度(dtex)0.5
緯糸CF=緯糸密度(本/2.54cm)×緯糸繊度(dtex)0.5
【0008】
本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維は、少なくとも二種のポリエステル成分で構成(具体的には、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合されたものが多い)され、その一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、熱処理によって捲縮を発現するものである。二種のポリエステル成分で構成されている場合の複合比(一般的に、質量%で70/30〜30/70の範囲内のものが多い)、及び接合面形状(直線又は曲線形状のものがある)は限定されない。
【0009】
本発明は、織物の経糸又は緯糸に、上記の潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維を用いる点に特徴がある。具体的には、特開2001−40537号公報に開示されているようなポリトリメチレンテレフタレートを一成分とするものがある。
二種のポリエステル成分からなる繊維を例に説明する。二種のポリエステル成分からなる場合は、二種のポリエステルポリマーをサイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合された複合繊維である。サイドバイサイド型の場合、二種のポリエステルポリマーの溶融粘度比は1.00〜2.00が好ましく、偏芯芯鞘型の場合は、鞘ポリマーと芯ポリマーのアルカリ減量速度比は、3倍以上、鞘ポリマーが速いことが好ましい。
【0010】
具体的なポリマーの組み合わせとしては、ポリトリメチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.3−プロパンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)とポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。また、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)との組み合わせ、及びポリトリメチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)との組み合わせが好ましく、特に、捲縮の内側にポリトリメチレンテレフタレートが配置されたものが好ましい。
【0011】
このように、本発明は、潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維を構成するポリエステル成分の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートであるものであり、上記特開2001−40537号公報以外にも、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報、特開2000−328382号公報、特開2001−81640号公報等には、第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分が、第一成分とは異なるポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルを並列的又は偏芯的に配置した、サイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型に複合紡糸したものが開示されている。特に、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましい。
【0012】
本発明の目的達成上、潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の初期引張抵抗度は、好ましくは10〜30cN/dtex、より好ましくは20〜30cN/dtex、最も好ましくは20〜27cN/dtexである。初期引張抵抗度が30cN/dtexを越えると、ソフトな風合いが得られにくく、10cN/dtex未満の繊維の製造は困難な場合がある。
【0013】
潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の顕在捲縮の伸縮伸長率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは10〜80%、最も好ましくは10〜60%である。顕在捲縮の伸縮伸長率が10%未満では、本発明の目的が十分に達成されない場合があり、100%を越える繊維の製造は困難な場合がある。更に、顕在捲縮の伸縮弾性率は、好ましくは80〜100%、より好ましくは85〜100%、最も好ましくは85〜97%である。顕在捲縮の伸縮伸長率が80%未満では、本発明の目的が十分に達成されない場合があり、100%を越える繊維の製造は困難な場合がある。
【0014】
さらに、100℃における熱収縮応力が、好ましくは0.1〜0.5cN/dtex、より好ましくは0.1〜0.4cN/dtex、最も好ましくは0.1〜0.3cN/dtexである。100℃における熱収縮応力が0.1cN/dtex未満では、本発明の目的が十分に達成されない場合があり、0.5cN/dtexを越える繊維の製造は困難である。
【0015】
本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の熱水処理後の伸縮伸長率は、好ましくは100〜250%、より好ましくは150〜250%、最も好ましくは180〜250%である。熱水処理後の伸縮伸長率が100%未満では、本発明の目的が十分に達成されない場合があり、250%を越える繊維の製造は困難である。熱水処理後の伸縮弾性率は、好ましくは90〜100%、より好ましくは95〜100%である。熱水処理後の伸縮弾性率が90%未満では、本発明の目的が十分に達成されない場合がある。
【0016】
このような特性を有する潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維としては、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートが互いにサイドバイサイド型に複合された単糸から構成された複合繊維があげられる。
2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差は、好ましくは0.05〜0.40(dl/g)、より好ましくは0.10〜0.35(dl/g)、最も好ましくは0.15〜0.35(dl/g)である。例えば、高粘度側の固有粘度を0.70〜1.30(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度を0.50〜1.10(dl/g)から選択するのが好ましい。低粘度側の固有粘度は、好ましくは0.80(dl/g)以上、より好ましくは0.85〜1.00(dl/g)、最も好ましくは0.90〜1.00(dl/g)である。
【0017】
この複合繊維自体の固有粘度、すなわち、平均固有粘度は、好ましくは0.70〜1.20(dl/g)、より好ましくは0.80〜1.20(dl/g)、さらに好ましくは0.85〜1.15(dl/g)、最も好ましくは0.90〜1.10(dl/g)である。
本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸した糸の粘度を指す。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレート特有の欠点としてポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである。
【0018】
ポリトリメチレンテレフタレートは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むものをいう。したがって、第三成分として、他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0019】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合させることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステルやナイロンと、ポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンドしてもよい。ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は、質量%で50%以上である。
【0020】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等がある。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
【0021】
本発明に用いられる潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の製造法は、上記の各種特開に開示されており、限定されるものではないが、例えば、3000m/分以下の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法が好ましい。この他にも、例えば、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)等によって製造することができる。
繊維の形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブ−メラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型、不定形なもの等でもよい。
【0022】
本発明は、かかる潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の仮撚加工糸を用いることに特徴がある。
この仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率は、好ましくは70〜300%、より好ましくは100〜300%、最も好ましくは120〜300%である。顕在捲縮伸長率が70%未満では、本発明の目的が十分に達成されない場合がある。
この仮撚加工糸の顕在捲縮弾性率は、好ましくは80〜100%、より好ましくは82〜100%、最も好ましくは85〜100%である。顕在捲縮弾性率が80%未満では、本発明の目的が十分に達成されない場合がある。
この仮撚加工糸の捲縮伸長率は、好ましくは100〜400%、より好ましくは120〜400%である。捲縮弾性率は80〜100%であることが好ましく、より好ましくは90〜100%である。捲縮伸長率や捲縮弾性率がこの値未満では本発明の目的が十分に達成されない場合がある。
【0023】
仮撚加工糸を得るための仮撚方法としては、ピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等、いかなる方法も用いられるが、好ましくはピンタイプ及びニップベルトタイプである。
仮撚加工糸は、いわゆる2ヒーターの仮撚加工糸(セットタイプ)よりも、いわゆる1ヒーターの仮撚加工糸(ノンセットタイプ)を用いる方が、本発明の目的達成上、好ましい。
【0024】
仮撚ヒーター出口の糸条温度は100〜200℃が好ましい。仮撚数(T1)は、次式で計算される仮撚数の係数(K1)の値が21000〜36000であることが好ましく、より好ましくは25000〜34000の範囲である。
T1(T/m)=K1/(原糸の繊度:dtex)0.5
特に本発明では、この仮撚加工糸がPOYの延伸仮撚加工糸である場合、極めて高いストレッチ性を付与できるため最も好ましい。すなわち、潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維のPOYの延伸仮撚加工糸が最も好ましい。POYとは、一般的に、部分配向糸、部分配向未延伸糸、高配向未延伸糸等と呼称されているものである。
【0025】
このPOYの延伸仮撚加工糸は、例えば、特開2001−20136号公報、特開2001−164433号公報等に開示されているものである。POYの破断伸度は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上であり、好ましくは250%以下、より好ましくは200%以下、最も好ましくは180%以下である。
POY延伸仮撚加工糸の単糸繊度は0.5〜5dtexが好ましく、より好ましくは1〜2.5dtexである。単糸繊度が0.5dtex未満では、伸縮性が不足する場合があり、5dtexを越えると風合いが粗硬となる場合がある。
【0026】
このようなPOYは、紡糸速度2000〜4500m/minで紡糸することにより得られるものであり、特に、紡糸−延伸工程を直結した直延法(スピンドロー法)により得られるものが好ましい。
POYの延伸仮撚条件としては、延伸倍率は、好ましくは1.05〜2.00倍、より好ましくは1.05〜1.70倍、仮撚数(T1)は、仮撚数の係数(K1)の値が23000〜36000であることが好ましく、より好ましくは27000〜34000の範囲である。仮撚ヒーター出口の糸条温度は100〜200℃が好ましい。また、1ヒーター仮撚加工糸(ノンセットタイプ)の方が、2ヒーター仮撚加工糸(ノンセットタイプ)より好ましい。
【0027】
仮撚方法としては、ピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等、いかなる方法による仮撚加工糸でもよい。この仮撚加工糸は、無撚で用いてもよいが、仮撚方向と順方向に追撚若しくは逆方向に追撚を施した追撚仮撚加工糸、又は予め追撚した方向と異方向に仮撚加工した異方向先撚仮撚加工糸を用いると、さらに高い伸縮性が得られるので好ましい。
【0028】
追撚仮撚加工糸の追撚数(T2)は、次式で計算される撚係数(K2)が1000〜13000であることが好ましく、より好ましくは1500〜10000の範囲である。
T2(T/m)=K2/(仮撚加工糸の繊度:dtex)0.5
追撚後に、スチームセット等の方法により60〜80℃の温度で30〜60分の撚止めセットを施してもよい。
異方向先撚仮撚加工糸の仮撚数(T3)は、次式で計算される仮撚数の係数(K3)の値が21000〜33000であることが好ましく、より好ましくは25000〜32000の範囲である。
T3(T/m)=[K3/(先撚糸の繊度:dtex)0.5 ]+T4
【0029】
先撚数(T4)は、次式で計算される撚係数(K4)が2700〜13000であることが好ましく、より好ましくは4500〜12000の範囲である。
T4(T/m)=K4/(原糸の繊度:dtex)0.5
仮撚加工に先立って、予め先撚を加えた先撚糸は、スチームセット等の方法により60〜80℃の温度で30〜60分の撚止めを施すことが好ましい。
本発明において、仮撚加工糸は、双糸又は三子以上で合撚して用いてもよく、追撚や合撚における撚数(T5)は、次式で計算される撚係数(K5)が、例えば、好ましくは20000以下、より好ましくは1000〜13000の範囲内で選定する。
T5(T/m)=K5/(仮撚加工糸の合計繊度:dtex)0.5
上式で、仮撚加工糸の合計繊度とは、追撚又は合撚する仮撚加工糸の合計の繊度をいう。
【0030】
本発明において、仮撚加工糸の含有率が、質量%で10%以上、好ましくは15%以上の範囲内で複合して用いてもよく、特に複合形態としては仮撚加工糸を芯糸とした鞘芯構造紡績糸が好ましく(その際の鞘成分は経糸に用いる紡績糸の繊維素材と同じものが好ましい。)、この仮撚加工糸以外の、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維の仮撚加工糸と合糸、交絡、合撚(双糸又は三子で合撚)、又はこれらの組み合わせにより複合することが好ましい。
【0031】
必要に応じて、これ以外の公知の長繊維や短繊維を用いてもよい。繊維形態もマルチフィラメント原糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等に代表される嵩高加工糸でもよく、公知の各種形態の糸条を用いることもできる。例えば、羊毛、絹、綿、麻等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、精製セルロース繊維等のセルロース系繊維、アセテート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の各種人造繊維、さらにはこれらの共重合タイプの繊維や、同種又は異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)を公知の複合手段により、例えば、長短混紡(サイロフィル、ホロースピンドル等)、カバリング(シングル、ダブル)、沸水収縮率3〜10%程度の低収縮糸や沸水収縮率15〜30%程度の高収縮糸との混繊や交撚等により複合してもよい。
【0032】
本発明の織物の一方に用いる紡績糸としては、羊毛、絹、綿、麻等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、精製セルロース繊維等のセルロース系繊維、アセテート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の各種人造繊維、さらにはこれらの共重合タイプの繊維、同種又は異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)等を単独又は二種以上含んだリング紡績糸、オープンエンド紡績糸、結束紡績糸、サイロスパンやサイロフィル、ホロースピンドル等の複合紡績糸、低収縮糸や高収縮糸との混紡や交撚等により複合したものがあるが、特に綿、ウールが好ましい。質量%で、好ましくは50%以上、より好ましくは100%の紡績糸を経糸に用いた場合に効果が顕著である。
【0033】
本発明に用いられる紡績糸は、先染め糸であってもよく、その際の仮撚加工糸として先染め糸を用いてもよいが、染色しないままで最終製品としてもよい。
先染め糸の製法としては、公知の方法を適宜選定すればよく、例えば、カセ染め、チーズ染め、マフ染め、ニットデニット染め(ニットして染色してからデニット)等がある。
本発明の織物は、経糸又は緯糸の一方が紡績糸、他方が上記の仮撚加工糸の交織織物であり、両者の混率は、好ましくは(紡績糸:仮撚加工糸)の質量比が30:70〜70:30、より好ましくは35:65〜65:35、最も好ましくは40:60〜60:40である。
【0034】
本発明の織物における仮撚加工糸の含有率は、質量%で、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜50%、最も好ましくは15〜45%である。
本発明の目的を損なわない範囲内で、通常、30質量%以下の範囲内で、紡績糸や仮撚加工糸以外の他の繊維を機上で、例えば、経糸及び又は緯糸において1〜3本交互に交織してもよい。その場合の混用相手は、前記の仮撚加工糸に複合する繊維として例示したものが挙げられるが、例えば、緯糸が、上記の仮撚加工糸とポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系仮撚加工糸を一本〜二本交互で構成したものが好ましい。
織物の種類は限定されるものではなく、平組織、綾組織、朱子組織、経パイル織物、又はこれらの組織を組み合わせた組織であってもよく、平組織、綾組織及び経パイル織物が好ましい。
【0035】
本発明の高密度織物は、経糸のカバーファクター(経糸CF)と緯糸のカバーファクター(緯糸CF )との和(経糸CF+緯糸CF)が3000を越え、好ましくは3050以上、より好ましくは3100以上であり、好ましくは4500以下、より好ましくは4300以下、最も好ましくは4000以下である。(経糸CF+緯糸CF)が3000以下では、本発明の効果が発揮されない。
経糸CF=経糸密度(本/2.54cm)×経糸繊度(dtex)0.5
緯糸CF=緯糸密度(本/2.54cm)×緯糸繊度(dtex)0.5
本発明の織物を製造するのに用いる織機には限定されないが、紡績糸の製織用に好適なエアージェットルーム、レピアルーム、グリッパールーム、有杼織機等を用いて生産することができる。
【0036】
本発明の織物の仕上げ加工方法としては、最初に生機を熱水浴中(界面活性剤や精練剤等が含まれていてもよい)で精練・リラックスを行う。精練・リラックス加工を行うための設備としては、U型ソフサー、オープンソーパー、ボイルドオフ機、ジッガー染色機、ビーム染色機等の拡布タイプのものや液流染色機が使用できる。熱水浴の温度は、例えば、75〜100℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃、最も好ましくは95〜100℃である。
この後、ピンテンターを用いて乾熱プレセットを行う。その際の温度は、加工反の風合い及びセット効果の点から、140〜170℃が好ましく、より好ましくは145〜170℃、最も好ましくは150〜170℃である。
【0037】
次に、先染め糸を用いる場合を除いて、液流染色機を用いて染色を行う。ファイナルセットは、ピンテンターを用いて乾熱セットを行うが、その際の温度は加工反の風合い及びセット効果(残留収縮)の点から、好ましくは150〜170℃、より好ましくは150〜165℃、最も好ましくは150〜160℃で行う。必要に応じて撥水加工や熱カレンダー加工等を付与してもよい。ジーンズ用途では、いわゆる製品洗いの工程が採用される。
【0038】
【発明の実施形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
本発明の用いる評価法は以下通りである。
(1)固有粘度
固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒に溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cは、g/100mlで表されるポリマー濃度である。
なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合マルチフィラメントは、マルチフィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することが困難であるので、複合マルチフィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合マルチフィラメントを構成する固有粘度とする。
【0039】
(2)初期引張抵抗度
JIS L 1013化学繊維フィラメント糸試験方法の、初期引張抵抗度の試験方法に準じ、試料の単位繊度当たり0.0882cN/dtexの初荷重を掛けて引張試験を行い、得られた荷重−伸長曲線から初期引張抵抗度(cN/dtex)を算出する。試料10点を任意に採取して測定し、その平均値を求める。
【0040】
(3)伸縮伸長率及び伸縮弾性率
JIS L 1090合成繊維フィラメントかさ高加工糸試験方法の伸縮性試験方法A法に準じて測定を行い、伸縮伸長率(%)及び伸縮弾性率(%)を算出する。試料10点を任意に採取して測定し、その平均値を求める。
顕在捲縮の伸縮伸長率および伸縮弾性率は、巻取りパッケージから解舒した試料を、温度20±2℃、相対湿度65±2%の環境下で24時間放置後に測定を行う。熱水処理後の伸縮伸長率および伸縮弾性率は、無荷重で98℃の熱水中に30分間浸漬した後、無荷重で24時間自然乾燥乾燥した試料を用いる。
【0041】
(4)熱収縮応力
熱応力測定装置(カネボウエンジニアリング社製、商品名KE−2)を用い、試料を20cmの長さに切り取り、両端を結んで輪を作り測定装置に装填し、初荷重0.044cN/dtex、昇温速度100℃/分の条件で収縮応力を測定し、得られた温度に対する熱収縮応力の変化曲線から100℃における熱収縮応力を読み取る。
【0042】
(5)仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率及び顕在捲縮弾性率
島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ間隔10cmにて仮撚加工糸を初荷重0.9×10-3 CN/dtexで取り付けたのち、引張速度10cm/minで伸長し、0.0882CN/dtexの応力に達したときの伸び(%)を顕在捲縮伸長率とする。その後、再び、同じ速度でつかみ間隔10cmまで収縮させたのち、再度応力−歪み曲線を描き、初荷重の応力が発現するまでの伸度を残留伸度(B)とする。顕在捲縮弾性率は下記の式により求める。
顕在捲縮弾性率=〔(10−B)/10〕×100(%)
【0043】
(6)仮撚加工糸の捲縮伸長率及び捲縮弾性率
巻き取りパッケージから解じょした仮撚加工糸を、無荷重下で98℃の熱水中に20分浸漬した後、無荷重下で24時間乾燥した試料を用いた以外は、顕在捲縮伸長率及び顕在捲縮弾性率の測定と同様の方法にて測定し、それぞれを捲縮伸長率、捲縮弾性率とする。
【0044】
(7)織物のストレッチ性及びストレッチバック性
JIS L−1096一般織物試験法伸長率A法(定速伸長法)、伸長回復率(繰り返し定速伸長法)に準拠して測定する。但し、伸長回復率は、伸長率A法で求めた伸びの100%まで試料を伸長する。
ORIENTEC(株)製の引張試験機(型式:RTC−1210A)を用いて、試料(幅5cm×長さ1m)にかかる重力に相当する荷重を初荷重としてかけ、把持間隔20cm(L0)、引張速度20cm/分で試料を所望の方向に伸長させ、14.71N(1.5kgf、300gf/cm)の荷重がかかるまで伸長し、長さ(L1)を読みとる。その後、1分間放置後、同速度で元の位置に戻し、3分間放置する。再び同速度で伸長し、初荷重と同じ荷重がかかった時点の長さ(L2)を読みとる。
ストレッチ率及びストレッチバック率は下記の式により求める。
ストレッチ率(%)=[(L1−L0)/L0]×100
ストレッチバック率(%)=[(L1−L2)/(L1−L0)]×100
【0045】
(8)風合い評価
経糸又は緯糸に用いた紡績糸と同じ繊維素材100%の織物で、カバーファクター(CF)が同等のものを比較品として、例えば、紡績糸が綿の場合は、経糸及び緯糸共に綿紡績糸の織物との比較で官能評価により5段階で判定する。
5級;極めて比較品に似た張り、腰のある風合いである
4級;比較品に似た張り、腰のある風合いである
3級;比較品対比張り、腰が弱い風合いである
2級;比較品対比張り、腰をあまり感じない風合いである
1級;張り、腰を殆ど感じない風合いである
【0046】
【参考例1】
潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の製造
固有粘度の異なるサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを以下の製造例1〜4により製造した。
(製造例1)
サイドバイサイド型複合紡糸用紡口を用いて、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを、質量比率1:1で、サイドバイサイド型紡口から押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で紡糸して未延伸糸を得た。次いで、ホットロール温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が165dtexとなるように設定して延撚し、165dtex/35fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。
得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が0.90、低粘度側が0.70であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、及び100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0047】
(製造例2)
製造例1と同様の方法で165dtex/23fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が0.88、低粘度側が0.70であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、及び100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0048】
(製造例3)
製造例1と同様の方法で165dtex/35fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が0.86、低粘度側が0.69であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、及び100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0049】
(製造例4)
固有粘度の異なる二種類のポリエチレンテレフタレートを用いて165dtex/35fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が0.66、低粘度側が0.50であった。初期引張抵抗度、顕在捲縮の伸縮伸長率/伸縮弾性率、熱水処理後の伸縮伸長率/伸縮弾性率、及び100℃における熱収縮応力を表1に示す。
【0050】
【実施例1〜3、比較例1】
各製造例で得られた複合フィラメントを用いて、石川製作所製IVF−338にて第1ヒーター温度170℃(比較例1のみ220℃)、撚方向はZ撚とS撚、仮撚数3200T/mで仮撚加工を行い、Z撚仮撚加工糸とS撚仮撚加工糸を作製した。
得られた仮撚加工糸は、実施例1、2、3の順に、顕在捲縮伸長率200%、180%、185%、顕在捲縮弾性率85%、90%、87%、捲縮伸長率250%、200%、225%、捲縮弾性率85%、93%、90%であり、比較例1の仮撚加工糸は、顕在捲縮伸長率10%、顕在捲縮弾性率88%、捲縮伸長率130%、捲縮弾性率64%であった。
【0051】
製造例1の繊維を用いた例が実施例1、製造例2が実施例2、製造例3が実施例3、製造例4が比較例1である。
次いで、綿番手で10/−(590dtex)の綿紡績糸を経糸に用い、ここで得られた仮撚加工糸を3本合糸して、Z撚仮撚加工糸はS方向に300T/m合撚し、S撚仮撚加工糸はZ方向に300T/m合撚した、二種類の合撚糸を作製した。この合撚糸を一本交互で緯糸に用いてエアージェットルームにて製織を行い、経糸密度67.5本/2.54cm、緯糸密度42本/2.54cmの3/1綾組織の生機を得た。
【0052】
本生機を95℃で液流リラクサーにて精練リラックス後、テンターを用い170℃で中間セットした後、液流染色機にて100℃の直接染料による染色を行い、170℃でファイナルセットを行った。次いで、製品に縫製して、常法に従い製品洗い(60℃での湯洗い)を行い、経糸密度88本/2.54cm、緯糸密度47本/2.54cmの織物を得た。
この織物のカバーファクター(CF)は3183(経糸CF=2138+緯糸CF=1045)であった。
【0053】
実施例1〜3の織物風合いは4.5級以上であり、緯糸方向のストレッチ率/ストレッチバック率は、実施例1は26%/94%、実施例2は25%/92%、実施例3は23%/93%であり、ストレッチ性及びストレッチバック性が、共に優れたものであった。
一方、比較例1の織物風合いは3級であり、緯糸方向のストレッチ率/ストレッチバック率は、13%/69%であった。実施例1〜3と対比すると、風合、ストレッチ性及びストレッチバック性が共に劣ったものであった。
【0054】
【比較例2】
固有粘度が0.92の一成分のポリトリメチレンテレフタレート繊維84dtex/24fを用い、実施例1と同様の仮撚条件で仮撚を行い、顕在捲縮伸長率65%、顕在捲縮弾性率55%、捲縮伸長率180%、捲縮弾性率80%の仮撚加工糸を得た。
得られた仮撚加工糸を6本合糸し、S合撚糸とZ合撚糸を作製し、一本交互で緯糸に用いた以外は実施例1同様に製織、仕上げして、経糸密度83本/2.54cm、緯糸密度46.5本/2.54cmの製品を得た。
この織物のカバーファクター(CF)は3061(経糸CF=2017+緯糸CF=1044)であった。この織物の織物風合いは2.5級であり、ストレッチ率/ストレッチバック率は17%/92%であった。実施例1と対比すると、ストレッチ性及び風合いが劣ったものであった。
【0055】
【比較例3】
製造例2の複合フィラメントを仮撚加工せずに原糸のままで用いた以外は、実施例1同様に製織、仕上げて、経糸密度85本/2.54cm、緯糸密度47本/2.54cmの製品を得た。この織物のカバーファクター(CF)は3110(経糸CF=2065+緯糸CF=1045)であった。
この織物の風合いは3級であり、ストレッチ率/ストレッチバック率は23%/90%であった。実施例1と対比すると、ストレッチ性及び風合いが劣ったものであった。
【0056】
【実施例4】
製造例1において、紡糸速度2000m/分で紡糸して破断伸度100%のPOYを得た。
次いで、仮撚加工機;村田機械製作所(株)製の33H仮撚機を用いて、仮撚加工糸の破断伸度が35%となるように延伸倍率を設定し、仮撚ヒーター出口の糸条温度160℃、仮撚数3200T/mで延伸仮撚加工を行い、84dtex/36fの1ヒーターの延伸仮撚糸(仮撚方向S並びにZの二種)を得た。得られた延伸仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率200%、顕在捲縮弾性率90%、捲縮伸長率240%、捲縮弾性率91%であった。
この仮撚加工糸を6本合糸して合撚して、S合撚糸とZ合撚糸を作製した以外は実施例1同様に製織、仕上げを行って、経糸密度90本/2.54cm、緯糸密度48本/2.54cmの織物を得た。
この織物のカバーファクター(CF)は3065(経糸CF=2186+緯糸CF=879)であった。
この織物の風合いは、5級で、極めて良好であり、ストレッチ率/ストレッチバック率は29%/93%で、ストレッチ性に優れたものであった。
【0057】
【表1】
Figure 0004130782
【0058】
【発明の効果】
本発明の織物は、紡績糸使いの高密度織物の有する張り、腰といった風合いを損なわずに、ストレッチ性やストレッチバック性を有する。
この織物は、ジーンズやコーデュロイに代表される用途、チノパン、パンツ、スカート等のボトムやシャツとしての用途等に好適である。

Claims (5)

  1. 経糸又は緯糸の一方が紡績糸、他方が仮撚加工糸で構成され、経糸のカバーファクター(経糸CF)と緯糸のカバーファクター(緯糸CF)との和(経糸CF+緯糸CF)が3000を越える織物であって、仮撚加工糸は、二種以上のポリエステル成分からなり、その一成分が、ポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維であり、仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率が70%以上であることを特徴とする高密度織物。
    経糸CF=経糸密度(本/2.54cm)×経糸繊度(dtex)0.5
    緯糸CF=緯糸密度(本/2.54cm)×緯糸繊度(dtex)0.5
  2. 仮撚加工糸がPOYの延伸仮撚加工糸であることを特徴とする請求項記載の高密度織物。
  3. 緯糸が仮撚加工糸を芯糸とした鞘芯構造紡績糸であることを特徴とする請求項1または2に記載の高密度織物。
  4. 紡績糸が先染め糸であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の高密度織物。
  5. 潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維が下記(a)〜(c)を満足することを特徴とする請求項1、3及び4のいずれか1項に記載の高密度織物。
    (a)初期引張抵抗度が10〜30cN/dtex
    (b)顕在捲縮の伸縮伸長率が10〜100%、かつ、顕在捲縮の伸縮弾性率が80〜100%
    (c)100℃における熱収縮応力が0.1〜0.5cN/dtex
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