JP4380519B2 - ソフトストレッチ糸の製造方法 - Google Patents
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(1)2種のポリエステル(2種ともにポリプロピレンテレフタレートであることを除く)からなるサイドバイサイド複合糸または偏心芯鞘複合糸において、一方のポリエステルより高い溶融粘度を持つポリプロピレンテレフタレートを用い、紡糸温度250〜280℃、紡糸速度1200m/分以上で紡糸し、一旦巻き取り、これを延伸機を用い、延伸温度50〜80℃、延伸糸伸度20〜45%となる延伸倍率で延伸、熱セットすることを特徴とするソフトストレッチ糸の製造方法。
(2)2種のポリエステル(2種ともにポリプロピレンテレフタレートであることを除く)からなるサイドバイサイド複合糸または偏心芯鞘複合糸において、一方のポリエステルより高い溶融粘度を持つポリプロピレンテレフタレートを用い、紡糸温度250〜280℃、紡糸速度1200m/分以上で紡糸した後、一旦巻き取ることなく紡糸直接延伸法により、延伸温度50〜80℃、延伸糸伸度20〜45%となる延伸倍率で延伸、熱セット行った後巻き取ることを特徴とするソフトストレッチ糸の製造方法。
(3)複合糸の溶融粘度比が1.0より大きく2.5以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のソフトストレッチ糸の製造方法。
V1:溶融粘度が相対的に大なるポリマー(PPT)の溶融粘度値(poise)
V2:溶融粘度が相対的に小なるポリマーの溶融粘度値(poise)
なお、ポリマーの複合比については適宜選択することができるが、捲縮発現性の点から3/7〜7/3までとすることが好ましい。より好ましくは4/6〜6/4、さらに好ましくは5/5である。
まず、糸をかせ取りし、実質的に無荷重の状態で沸騰水中に15分間、引き続いて風乾後乾熱180℃で15分間熱処理を行う。そして、この熱処理糸を自動引っ張り試験機を用い、糸に4.4×10−3cN/dtex(5mgf/d)の初期張力をかけておき、そこから糸を引っ張り速度100%/分で50%伸長させ、すぐに折り返して同速度で伸長率0%まで戻し、ヒステリシス曲線を描かせる(図1)。そして、初期張力を基準とした最高到達応力を50%伸長に対する応力とする。回復率は図1において、回復率(%)=[(50−a)/50]×100%で計算する。ここで、aとはヒステリシス曲線の回復過程において発生応力が初期張力となる点の伸長率である。
捲縮伸長率(%)=[(L1−L2)/L1]×100%
L1:繊維かせを沸騰水処理15分間した後、さらに180℃乾熱処理15分間した後、180×10−3cN/dtex荷重を吊した時のかせ長
L2:L1測定後、吊す荷重を180×10−3cN/dtex(0.2gf/d)から0.9×10−3cN/dtex(1mgf/d)に代えた時のかせ長
E0:荷重フリー(処理荷重無し)で熱処理した時の捲縮伸長率
E3.5:3.5×10−3cN/dtex(4mgf/d)荷重下で熱処理した時の捲縮伸長率
C.捲縮径
実施例、比較例で得られた糸のE0測定後の糸をなるべく力が加わらない状態でサンプリングし、それを走査型電子顕微鏡で観察した(図7)。そして、捲縮を100個ランダムに選択し直径(外径)を測定し、それの平均値を捲縮径とした。
Zellweger社製USTER TESTER 1 ModelCを使用し、200m/分の速度で糸を給糸しながらノーマルモードで測定を行った。
カネボウエンジニアリング社製熱応力測定器で、昇温速度150℃/分で測定した。サンプルは10cm×2のループとし、初期張力は繊度(デシテックス)×0.9×(1/30)gfとした。
初期試料長=50mm、引っ張り速度=50mm/分(100%/分)とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。伸びを初期試料長で割り伸度とした。
東洋精機社製キャピログラフ1Bを用いて、チッソ雰囲気下で測定した。測定温度280℃、歪み速度6080sec−1での測定を3回行い、平均値を溶融粘度とした。
JIS L1013にしたがい測定を行った。
沸騰水収縮率(%)=[(L0’−L1’)/L0’)]×100%
L0’:延伸糸をかせ取りし初荷重0.18cN/dtex(0.2gf/d)下で測定したかせの原長
L1’:L0’を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.18cN/dtex(0.2gf/d)下でのかせ長
乾熱収縮率(%)=[(L0’−L2’)/L0’)]×100%
L2’:L1’を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で180℃乾熱で15分間処理し、風乾後初荷重0.18cN/dtex(0.2gf/d)下でのかせ長
J.風合い評価
実施例、比較例で得られた布帛を、ソフト感、ふくらみ感、反発感、ストレッチ性、染め斑、表面感(布帛表面の審美性)について1〜5級で官能評価した。3級以上を合格とした。
溶融粘度400poiseの酸化チタンを含まないホモPPTと溶融粘度370poiseの酸化チタンを0.03重量%含むホモPETをそれぞれ260℃、285℃で別々に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用い別々に濾過を行った後、孔数12の平行合流複合紡糸口金(図2(a))から複合比1:1のサイドバイサイド複合糸(図3(b))として紡糸温度275℃で吐出した。この時の溶融粘度比は1.08であった。紡糸速度1500m/分で168dtex、12フィラメントの未延糸を巻き取り、その後ホットーローラーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラーの温度70℃、第2ホットローラーの温度を130℃、延伸倍率3.00として延伸を行った。紡糸、延伸とも製糸性は良好であり糸切れはなかった。製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、PPTが捲縮の内側に入り優れた捲縮発現能力を示した。また、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径が200μmと非常に細かく、また位相が揃っており非常に高品位のものとなった。さらに、これの初期引っ張り抵抗度は42cN/dtexと充分ソフトであり、乾熱収縮率も11%と充分低収縮性であった。また、収縮応力の極大を示す温度が128℃と充分高温であった。
溶融粘度2900poiseの酸化チタンを含まないホモPPTと溶融粘度370poiseの酸化チタンを0.03重量%含むホモPETをそれぞれ280℃、285℃で別々に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用い別々に濾過を行った後、孔数12の特開平9−157941号公報記載の挿入タイプ複合紡糸口金(図2(b))から複合比1:1のサイドバイサイド複合糸(図3(b))として紡糸温度275℃で吐出した。紡糸速度1350m/分で190dtex、12フィラメントの未延糸を巻き取り、その後ホットーローラーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラーの温度80℃、第2ホットローラーの温度を135℃、延伸倍率3.40として延伸を行った。紡糸、延伸とも製糸性は良好であり糸切れはなかった。製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、高粘度PPTが捲縮の内側に入り優れた捲縮発現能力を示した。また、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径が175μmと非常に細かく、また位相が揃っており非常に高品位のものとなった。さらに、これの初期引っ張り抵抗度は46cN/dtexと充分ソフトであり、乾熱収縮率も9%と充分低収縮性であった。また、収縮応力の極大を示す温度が130℃と充分高温であった。
紡糸速度を3000m/分とし77dtexの繊維とした以外は実施例1と同様の条件で溶融紡糸を行った。この未延伸糸を用いて、延伸倍率1.40倍とした以外は実施例1と同様の条件で延伸を行った。紡糸、延伸とも製糸性は良好であり糸切れはなかった。製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、PPTが捲縮の内側に入り優れた捲縮発現能力を示した。また、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径が220μmと非常に細かく、また位相が揃っており非常に高品位のものとなった。
サイドバイサイド複合から偏芯芯鞘複合(図2(h))とし、ポリマーおよび複合比を以下のように変更した以外は実施例1と同様の条件で溶融紡糸を行った。この時、溶融粘度400poiseの酸化チタンを0.40重量%含むPETを鞘ポリマーとして60重量%、溶融粘度700poise酸化チタンを含まないPPTを芯ポリマーとして40重量%とした。この未延伸糸を用いて、延伸倍率を2.60、第2ホットローラー温度を140℃とした以外は実施例1と同様の条件で延伸を行った。紡糸、延伸とも製糸性は良好であり糸切れはなかった。製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、優れた捲縮発現能力を示した。また、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径が240μmと非常に細かく、また位相が揃っており非常に高品位のものとなった。
紡糸速度を7000m/分に変更した以外は実施例1と同様の条件で溶融紡糸を行った。これは延伸を施すことなく、巻き取った状態で使用可能であった。これの物性値を表1に示すが、優れた捲縮発現能力を示した。また、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径が120μmと非常に細かく、また位相が揃っており非常に高品位のものとなった。さらに、乾熱収縮率は5%と充分低収縮性の糸であった。
繊維断面形状を中空断面(図3(f))とした以外は実施例1と同様の条件で溶融紡糸を行った。この未延伸糸を用いて、延伸倍率2.95とした以外は実施例2と同様の条件で延伸を行った。製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、PPTが捲縮の内側に入り優れた捲縮発現能力を示した。また、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径が240μmと非常に細かく、また位相が揃っており非常に高品位のものとなった。
実施例1において、PPTを溶融粘度390poiseの酸化チタンを含まないポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)とした以外は実施例1と同様に製糸を行い、ソフトストレッチ糸を得た。製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、良好な捲縮発現能力を示した。ただし、50%伸長に対する応力が10×10−3cN/dtexを超え、また回復率が70%未満であったためソフト性、ストレッチ性は実施例1に一歩譲るものであった。さらに、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径は300μmであった。
実施例2において、PPTを溶融粘度1050poiseの酸化チタンを含まないPBTとした以外は実施例2と同様に製糸を行い、ソフトストレッチ糸を得た。製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、良好な捲縮発現能力を示した。ただし、50%伸長に対する回復率が70%未満であったため、ストレッチ性は実施例2に一歩譲るものであった。さらに、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径は280μmであり、また、捲縮の位相も実施例2に比較すると揃っておらず、捲縮の品位としては実施例2に一歩譲るものであった。さらに、これの初期引っ張り抵抗度は55cN/dtexとソフトさは実施例2に一歩譲るが、乾熱収縮率は12%と充分低収縮性であった。また、収縮応力の極大を示す温度が128℃と充分高温であった。
実施例5において、PPTを溶融粘度390poiseの酸化チタンを含まないPBTとし、紡糸速度を6000m/分とした以外は実施例5と同様に紡糸を行い、未延伸糸を得た。これを延伸倍率1.10とした以外は実施例1と同様に延伸を行い、ソフトストレッチ糸を得た。製糸条件は表1に糸物性は表2に示すが、良好な捲縮発現能力を示した。ただし、50%伸長に対する回復率が70%未満であったため、ストレッチ性は実施例5に一歩譲るものであった。さらに、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径は260μmであった。
溶融粘度700poiseの酸化チタンを含まないホモPPTと溶融粘度370poiseの酸化チタンを0.03重量%含むホモPETをそれぞれ260℃、285℃で別々に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用い別々に濾過を行った後、孔数12の平行合流複合紡糸口金(図2(a))から複合比1:1のサイドバイサイド複合糸(図3(b))として紡糸温度275℃で吐出した。そして、図8の紡糸直接延伸装置を用い、第1ホットネルソンローラー17の周速度1500m/分、温度75℃、第2ホットネルソンローラー18の周速度4500m/分、温度130℃として実施例2と同様に紡糸を行い、56dtex、12フィラメントのソフトストレッチ糸を巻き取った。得られたソフトストレッチ糸の物性値を表2に示すが、PPTが捲縮の内側に入り優れた捲縮発現能力を示した。また、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径が200μmと非常に細かく、非常に高品位のものとなった。さらに、これの初期引っ張り抵抗度は42cN/dtexと充分ソフトであり、乾熱収縮率も10%と充分低収縮性であった。また、収縮応力の極大を示す温度が128℃と充分高温であった。また、捲縮の位相がランダム化しており、無撚りで滑り性に優れた裏地に好適のものであった。
図9の紡糸直接延伸装置を用い、非接触ヒーター19の温度を190℃、紡糸速度を5000m/分とし、2GD9とワインダー10の間で100℃スチーム熱処理を施して実施例10と同様に紡糸を行った。この時、非接触ヒーターに入る前の糸速度は2200m/分であった。得られたソフトストレッチ糸の物性値を表2に示すが、PPTが捲縮の内側に入り優れた捲縮発現能力を示した。また、E0の測定のための熱処理により発現する捲縮径が190μmと非常に細かく、非常に高品位のものとなった。また捲縮の位相が単糸間でばらばらであり、実施例2に比べ嵩高感があるものであった。さらに、これの初期引っ張り抵抗度は43cN/dtexと充分ソフトであり、乾熱収縮率も12%と充分低収縮性であった。また、収縮応力の極大を示す温度が126℃と充分高温であった。また、捲縮の位相がランダム化しており、無撚りで滑り性に優れた裏地に好適のものであった。
ポリマーの組み合わせを溶融粘度400poiseの酸化チタンを含まないホモPPTと溶融粘度400poiseの酸化チタンを0.03重量%含むホモPETとし、糸速度を900m/分、紡糸温度を286℃、吐出量、延伸倍率を変更した以外は実施例1と同様の条件で溶融紡糸、延伸を行い、56dtex、12フィラメントの延伸糸を得た。製糸条件を表1に糸物性を表2に示すが、ある程度の捲縮発現能力を示したが、紡糸温度が高くPPT側熱劣化のため吐出が不安定化し、また未延伸糸の紡糸速度が低いため紡糸過程での糸揺れや固化点の変動が大きくなった。このため、延伸糸の糸強度が顕著に低下し、ウースター斑も悪化した。また、50%伸長に対する応力が30×10−3cN/dtexを超え、回復率も70%未満であったたためソフト性、ストレッチ性は実施例1には及ばなかった。
比較例1のポリマーの組み合わせで、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分として比較例1と同様に紡糸を行い146dtex、12フィラメントの未延伸糸を得た。そして、延伸倍率を2.70倍、第1ホットーローラーの温度100℃とした以外は実施例1と同様の条件で溶融紡糸、延伸を行い延伸糸を得た。製糸条件を表1に糸物性を表2に示すが、ある程度の捲縮発現能力を示したが、第1ホットローラーの温度が高いため、PPTが熱劣化し糸切れが頻発した。また、得られた延伸糸も糸強度が低く、ウースター斑も悪化したものであった。また、50%伸長に対する応力が30×10−3cN/dtexを超え、回復率も70%未満であったため、ストレッチ性は実施例1には及ばなかった。
溶融粘度130poise(極限粘度0.46)と溶融粘度2650poise(極限粘度0.77)の酸化チタンを0.03重量%含むホモPETをそれぞれ275℃、290℃で別々に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用い別々に濾過を行った後、孔数12の特開平9−157941号公報記載の挿入タイプ口金(図2(b))から複合比1:1のサイドバイサイド複合糸(図3(a))として紡糸温度290℃で吐出した。この時の溶融粘度比は20.3であった。紡糸速度1500m/分で154dtex、12フィラメントの未延伸糸を巻き取り、その後ホットーローラーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラーの温度90℃、第2ホットローラーの温度を130℃、延伸倍率3.11として延伸を行った後、非接触ヒーター(ヒーター温度160℃)により10%の弛緩熱処理を行った。紡糸、延伸とも製糸性は劣悪であり糸切れが多発した。製糸条件を表1に糸物性を表2に示すが、50%伸長に対する応力が50×10−3cN/dtexを超え、本発明のソフトストレッチ糸とすることはできなかった。また、E3.5=0.5%と拘束下での捲縮発現能力が低いものであった。さらに、これの初期引っ張り抵抗度は75cN/dtexとソフトさに欠けるものであった。
溶融粘度2000poiseの酸化チタンを0.03重量%含むホモPETと溶融粘度2100poiseの酸成分としてイソフタル酸を10mol%共重合した酸化チタンを0.03重量%含む共重合PETとし、それぞれ285℃、275℃で別々に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルターを用い別々に濾過を行った後、孔数12の平行合流複合紡糸口金(図2(a))から複合比1:1のサイドバイサイド複合糸(図3(b))として紡糸温度285℃で吐出した。そして、紡糸速度1500m/分で154dtex、12フィラメントの未延糸を巻き取った。その後、ホットーローラーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラーの温度90℃、第2ホットローラーの温度を130℃、延伸倍率2.75として延伸を行った。紡糸、延伸とも製糸性は良好であり糸切れはなかった。製糸条件を表1に糸物性を表2に示すが、50%伸長に対する応力が50×10−3cN/dtexを超え、本発明のソフトストレッチ糸とすることはできなかった。また、E3.5=0.4%と拘束下での捲縮発現能力が低いものであった。
実施例1〜9、比較例1〜4で得られた糸を原糸とし、これに撚り数700ターン/mの撚糸を施し、65℃スチームにより撚り止めセットを行った。そして、28ゲージ丸編みにかけてインターロック組織で編み物を編成した。これに常法にしたがい90℃でリラックス精練を施した後、180℃で中間セットを施した。そして、やはり常法にしたがい10重量%のアルカリ減量を施した後、130℃で染色を施した。そして、得られた布帛の風合いを官能評価した(表3)。実施例1〜9のソフトストレッチ糸を使用した水準は、ソフトでかつストレッチ性に優れ、しかも布帛表面が審美性に富むものであった。実施例1〜6の原糸を使用した水準では原糸の捲縮径が細かくしかも捲縮の位相が揃っているため、特に布帛表面に非常に美しいシボが発現し審美性に富むものであった。また、染色斑も発生せず品位が高いものであった。しかし、比較例1、2では染色斑が発生し、品位に劣るものであった。また、比較例3、4では風合いが粗硬であった。
実施例1〜9、比較例1〜4で得られたソフトストレッチ糸を原糸とし、これに撚り数1500ターン/mの撚糸を施し、65℃スチームにより撚り止めセットを行った。そして、経糸および緯糸に同一の糸を用いて平織りを作製した。この時の糸密度は、経糸が110本/インチ(2.54cm)、緯糸が91本/インチ(2.54cm)であり、S撚り/Z撚りの交互配置としてトルクバランスをとった。得られた生機に次のように加工を施した。まず90℃でリラックス精練を施し、その後乾熱180℃でピンテンターにより中間セットを施した。そして、常法により15%のアルカリ減量を施した後、やはり常法により130℃で染色を施した。
実施例1、10、11および比較例3、4で得られたソフトストレッチ糸を無撚りのまま、経糸および緯糸に同一の糸を用いて平織りを作製した。この時の糸密度は、経糸が110本/インチ(2.54cm)、緯糸が91本/インチ(2.54cm)であった。得られた生機に次のように加工を施した。まず90℃でソフサーを用いて精練を施し、その後乾熱180℃でピンテンターにより中間セットを施した。そして、常法により15%のアルカリ減量を施した後、やはり常法により130℃で染色を施した。
実施例1、2、4、7、比較例3、4で得られたソフトストレッチ糸を原糸とし、これと表5に示す条件でPETからなる低収縮糸との混繊糸を作製し、65℃スチームにより撚り止めセットを行った。そして、実施例13と同様に製織、加工を施し、評価を行った。
実施例2で得られたソフトストレッチ糸を原糸とし、これに撚り数700ターン/mの撚糸を施し、65℃スチームにより撚り止めセットを行った。そして、これを緯糸とし、経糸に旭化成工業(株)製銅アンモニアレーヨン“キュプラ”(83dtex、45フィラメント)を用いて平織りを作製した。この時の糸密度は、経糸が110本/インチ(2.54cm)、緯糸が91本/インチ(2.54cm)であり、S撚り/Z撚りの交互配置としてトルクバランスをとった。得られた生機に次のように加工を施した。まず90℃でリラックス精練を施し、その後乾熱150℃でピンテンターにより中間セットを施した。そして、100℃で染色を施した。
経糸に旭化成工業(株)製ビスコースレーヨン“Silmax”(83dtex、38フィラメント)を用いた以外は実施例13と同様に織物を作製した。得られた織物はソフトでストレッチ性に富んだものであった。また、ビスコースレーヨン特有の優れた反発感によりプリプリした触感が得られ、さらに大きな接触冷感による高度なドライ感が発現した。また、吸放湿性も良好であった。
実施例2で得られたソフトストレッチ糸を原糸とし、これに撚り数550ターン/mの撚糸を施し、65℃スチームにより撚り止めセットを行った。これと実施例13で用いた銅アンモニアレーヨンを混用して、24ゲージ丸編みにかけてインターロック組織で編み物を編成した。これに常法にしたがい90℃でリラックス精練を施した後、100℃で染色を施した。
銅アンモニアレーヨンの代わりに実施例17で用いたビスコースレーヨンを用いた以外は実施例18と同様に編み物を作製した。
2:不織布フィルター
3:口金
4:チムニー
5:糸条
6:給油ガイド
7:交絡ガイド
8:第1ゴデットローラー
9:第2ゴデットローラー
10:巻き取り糸
11:未延伸糸
12:フィードローラー
13:第1ホットローラー
14:第2ホットローラー
15:コールドドローローラー
16:延伸糸
17:第1ホットネルソンローラー
18:第2ホットネルソンローラー
19:非接触ヒーター
20:スチームコンディショナー
Claims (3)
- 2種のポリエステル(2種ともにポリプロピレンテレフタレートであることを除く)からなるサイドバイサイド複合糸または偏心芯鞘複合糸において、一方のポリエステルより高い溶融粘度を持つポリプロピレンテレフタレートを用い、紡糸温度250〜280℃、紡糸速度1200m/分以上で紡糸し、一旦巻き取り、これを延伸機を用い、延伸温度50〜80℃、延伸糸伸度20〜45%となる延伸倍率で延伸、熱セットすることを特徴とするソフトストレッチ糸の製造方法。
- 2種のポリエステル(2種ともにポリプロピレンテレフタレートであることを除く)からなるサイドバイサイド複合糸または偏心芯鞘複合糸において、一方のポリエステルより高い溶融粘度を持つポリプロピレンテレフタレートを用い、紡糸温度250〜280℃、紡糸速度1200m/分以上で紡糸した後、一旦巻き取ることなく紡糸直接延伸法により、延伸温度50〜80℃、延伸糸伸度20〜45%となる延伸倍率で延伸、熱セット行った後巻き取ることを特徴とするソフトストレッチ糸の製造方法。
- 複合糸の溶融粘度比が1.0より大きく2.5以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のソフトストレッチ糸の製造方法。
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