JP2001089950A - 強撚織物 - Google Patents

強撚織物

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JP2001089950A
JP2001089950A JP26164599A JP26164599A JP2001089950A JP 2001089950 A JP2001089950 A JP 2001089950A JP 26164599 A JP26164599 A JP 26164599A JP 26164599 A JP26164599 A JP 26164599A JP 2001089950 A JP2001089950 A JP 2001089950A
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fabric
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pet
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Takashi Ochi
隆志 越智
Takaaki Sakai
崇晃 堺
Masayuki Sato
正幸 佐藤
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリエステル強撚織物において、ソフトで、ス
トレッチ性および染め斑、布帛表面の審美性に優れた強
撚織物を提供するものである。 【解決手段】本発明の上記の目的は、ウースター斑が
1.5%以下で沸騰水収縮率の標準偏差が0.50以下
である、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレン
テレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートを重
量%で10/90〜90/10の比率で混合してなるポ
リマーブレンド糸に、撚り係数Kが15000以上の強
撚を施した糸を経糸および/または緯糸に用いた織物で
あって、30%伸長時の伸長回復率が95%以上、伸長
応力が750cN/cm以下であることを特徴とする強
撚織物により達成される。 ただし、撚り係数K=T×D1/2 T:糸長1m当たりの撚数 D:繊維糸条の繊度(デシテックス×0.9)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れたストレッチ
性を有し、染め斑、布帛表面の審美性に優れた強撚織物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(以下PE
Tと略す)糸は耐熱性、機械的特性に優れるのみなら
ず、糸加工が容易であり最も汎用的な合成繊維である。
しかしながら、PET糸使いの布帛では、天然繊維使い
の布帛に比べ審美性、風合いが劣ってしまう。このた
め、天然繊維をターゲットとし、繊維や布帛設計に対し
様々な技術開発がなされてきた。
【0003】布帛設計の技術開発の一環として、強撚織
物にも様々な工夫がなされてきた。強撚織物とは、ポリ
エステルに撚り係数Kが15000以上の強撚−撚り止
めセットを施して製織することによって得られるが、製
織後に撚り止めセットより高い熱履歴を与えることによ
り、解撚を発生させ布帛表面に微細な糸形態斑、いわゆ
るシボ立てにより絹織物の持つ繊細な外観を狙ったもの
である。そして、強撚織物に対する技術開発は如何に美
しいシボを立てるかということに焦点が絞られてきたの
であった。
【0004】従来のPET糸使いの強撚織物でも、ある
程度良好なシボ立ちが得られるのであるが、更に大きな
シボ立ちを得るため、大きな解撚トルクを有するポリプ
ロピレンテレフタレート(以下PPTと略す)やポリブ
チレンテレフタレート(以下PBTと略す)からなる糸
を強撚織物とする方法がある。これにより、確かに大き
なシボ立ち性が得られるであるが、強撚の熱セット性が
不良であるため、いわゆる“ビリ”が発生し、製織工程
でトラブルが頻発したり、強撚織物に楊柳調のシワが発
生し品位が低下するといった問題があった。
【0005】このため、特開昭58−31114号公報
や特開昭58−13745号公報にPETとPPTある
いはPBTをポリマーブレンドした糸を強撚織物とする
方法が記載されている。しかし、特開昭58−1374
5号公報では未延伸糸の紡糸速度が1000m/分と低
速度であり、紡糸張力が低い状態で紡出糸が細化するた
め、糸の冷却固化過程で糸の細化や固化点が外乱の変動
を受けやすく、糸斑が大きなものしか得られなかった。
そのため、これを延伸−熱処理した糸を用いて織物を作
製した場合、織物の高次加工工程で糸の収縮斑が発生
し、織物表面が荒れたり染色斑が発生する問題点があっ
た。また、延伸後の熱処理を160〜220℃という高
温ホットローラーを用いて行う方法が採用されているた
め、熱処理工程でも糸斑を助長していた。
【0006】また、特開昭58−31114号公報には
高速紡糸した後、180℃以上の高温加熱ローラーで熱
処理した後巻き取ることにより、伸度60%以下、沸騰
水収縮率が7%以下の糸を得る方法が記載されている。
しかし、この時も熱処理温度が高すぎるため熱処理工程
で糸斑が発生してしまう問題があった。また、一般に高
速紡糸糸は収縮応力が0.15cN/dtex以下であ
り、織物拘束下での収縮能力が低く、充分な織りクリン
プを形成することが困難である。このため、織物のふく
らみ感の不足、織物の粗硬化(織物の曲げに対するソフ
ト感が無い)といった風合いの低下が発生する問題があ
った。
【0007】このため、PET糸使いの強撚織物が現在
まで主流となっていた。しかし、PET糸は初期引っ張
り抵抗度が90〜100cN/dtex程度と高く、本
質的に繊維基質として硬いため、強撚した際撚りが均一
に入りづらく、解撚や収縮が不均一に発生し、絹の強撚
織物に比較するとシボの美しさという点では全く及ばな
かった。絹は湿潤時の初期引っ張り抵抗度が低いため均
一に強撚が入れられ、美しいシボ織物が得られるのであ
る。さらに、PET糸使い強撚織物では、織物風合いが
硬化してしまう問題もあった。このため、衣料にした場
合、美しいシボが立たないばかりか、布帛が硬いためド
レープ性が低く、美しいシルエットを表現できず安物イ
メージが払拭できないという問題があった。これを解決
するため、PET糸を製造する際、延伸倍率を低くして
初期引っ張り抵抗度を低くした糸を強撚する方法がある
が、該方法では強撚糸の解撚が不充分となるためシボが
立たず、かえって満足な強撚織物が得られなかった。
【0008】また、PET糸使い強撚織物は特有の“ジ
ャリジャリ”した触感となり、織物表面タッチとしても
非常に粗硬感が強いものであった。これは、天然繊維や
半合成繊維、例えばレーヨン等の強撚織物と比較する
と、無機的な粗硬感が強く、レーヨン強撚織物の持つビ
ビッドな“プリプリ感”、“織物表面タッチとしてのソ
フト感”が得られず商品として高級感に劣るものであっ
た。
【0009】さらに、PET糸使い強撚織物は織物とし
てのストレッチ性が低いため体の動きに対する追従性が
悪いといった実用特性にも問題があった。特に最近はス
トレッチはスポーツ用途のみでなく、衣料の快適性を向
上させるための基本機能として認知されてきており、シ
ャツ、パンツ、スカート、スーツ等にも広く求められる
ものとなっている。さらに、快適性のみならず、布帛の
ドレープ性や可縫性を向上させるためにも重要な機能で
あることが認知されてきており、ストレッチは欠くべか
らざるものとなってきつつある。このように、従来のP
ET糸使い強撚織物は快適性の点からも魅力に乏しいも
のになってきていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ソフ
トで、ストレッチ性および染め斑、布帛表面の審美性に
優れた強撚織物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の本発明の目的は、
ウースター斑が1.5%以下であり、沸騰水収縮率の標
準偏差が0.50以下である、ポリエチレンテレフタレ
ートとポリプロピレンテレフタレートまたはポリブチレ
ンテレフタレートを重量%で10/90〜90/10の
比率で混合してなるポリマーブレンド糸に、撚り係数K
が15000以上の強撚を施した繊維糸条を経糸および
/または緯糸に用いた織物であって、30%伸長時の伸
長回復率が95%以上、伸長応力が750cN/cm以
下であることを特徴とする強撚織物により達成すること
ができる。
【0012】ただし、撚り係数K=T×D1/2 T:糸長1m当たりの撚数 D:繊維糸条の繊度(デシテックス×0.9)
【0013】
【発明の実施の形態】本発明でいうPETとは、1,2
−エチレンジオールとテレフタル酸の重縮合により合成
されるポリエステル、PPTとは、1,3−プロパンジ
オールとテレフタル酸の重縮合により合成されるポリエ
ステル、PBTとは、1,4−ブタンジオールとテレフ
タル酸の重縮合により合成されるポリエステルである。
また、ジオール成分および酸成分の一部が各々15mo
l%以下の範囲で他の共重合可能な成分で置換されたも
のであってもよい。なお、共重合成分がポリエチレング
リコールの場合は15重量%以下であることが好まし
い。また、これらは他ポリマ、艶消剤、難燃剤、帯電防
止剤、顔料などの添加物を含有していてもよい。
【0014】本発明はPETとPPTまたはPBTから
なるポリマーブレンド糸を強撚織物とするものである
が、ポリマーブレンド比としてはPETが10〜90重
量%とすることが重要である。ポリマーブレンド糸の耐
熱性を向上させる観点から、PETのポリマーブレンド
比は好ましくは30〜70重量%、より好ましくは45
〜55重量%である。
【0015】また、PETにポリマーブレンドするポリ
マーとしてはPPT、PBTとすることが重要である。
PET/PPTブレンドとすると織物のソフトストレッ
チ性がより向上し好ましい。一方、PET/PBTブレ
ンドとするとPET糸やPPT糸使い強撚織物に特有の
“ジャリジャリ”した触感が無く、レーヨンのように織
物表面タッチとして非常にソフトなものが得られ、好ま
しい。
【0016】本発明の強撚織物は、ポリマーブレンド糸
に撚り係数K15000以上の強撚を施したポリマーブ
レンド強撚糸を経糸および/または緯糸に使用した織物
である。織物に充分なストレッチ性を与えるためにはK
は15000以上とすることが重要である。Kは200
00以上であれば織物のストレッチ性が向上するため、
ドレープ性が高くなり好ましい。また、強撚織物の場
合、残留トルクが過度に強く発現し、織物表面が荒れる
場合があるので、強撚糸は経糸および/または緯糸にお
いてS撚り/Z撚りの交互配置とすることが好ましい。
【0017】また、強撚の原糸として使用するポリマー
ブレンド糸の初期引っ張り抵抗度は70cN/dtex
以下であれば、強撚織物であっても織物の曲げに対する
ソフト感が向上し、優れたドレープ性を有する織物とす
ることが可能となるので好ましい。初期引っ張り抵抗度
は60cN/dtex以下であれば、撚が均一に入りさ
らに好ましい。また、充分な織物引き裂き強力を得るた
めには原糸として使用するポリマーブレンド糸の強度は
3.0cN/dtex以上であることが好ましい。ま
た、強撚糸の撚り止めセットや織物の加工工程での収縮
斑による布帛表面の荒れを防ぐためには、ポリマーブレ
ンド糸の160℃乾熱収縮率は20%以下であることが
好ましい。また、織物中で織りクリンプを十分発現させ
良好なストレッチ性を得るためにはポリマーブレンド糸
の160℃乾熱収縮率は12%以上、収縮応力は0.2
0cN/dtex以上であることが好ましい。収縮応力
は好ましくは0.30cN/dtex以上である。
【0018】ところで、強撚織物では強撚糸の解撚トル
クを利用してシボを立てるものであるが、この時、解撚
斑が発生すると布帛表面が荒れたり染色斑が発生すると
いう問題が発生する。そのため、強撚用原糸として用い
る繊維は糸斑が小さいことが重要な要件となる。この問
題を解決するためには、糸長手方向の沸騰水収縮率の標
準偏差は0.50以下であることが重要である。糸長手
方向の沸騰水収縮率の標準偏差は好ましくは0.40以
下、さらに好ましくは0.30以下である。加えて、糸
長手方向の太細斑を示すウースター斑は1.5%以下で
あることが重要である。ウースター斑は好ましくは1.
0%以下である。
【0019】また、原糸として使用するポリマーブレン
ド糸の繊度は特に限定されるものではないが、単糸繊度
10dtex以下であることが好ましい。なお、通常の
PET糸では単糸繊度2.5dtex以下でないと布帛
の粗硬化が顕著となってしまうが、本発明ではソフト性
に優れるポリマーブレンド糸を使用するため単糸繊度を
PET糸に比べ太く設定しても充分なソフト性が得られ
る。また、原糸として使用するポリマーブレンド糸の単
糸横断面形態も特に限定されるものではなく、丸断面、
扁平断面、多葉断面、中空断面等目的に応じて自由に設
定することが可能である。
【0020】また、体の動きに対する追従性を高め、快
適な織物とするためには織物のストレッチ性が高いこと
が重要である。通常の衣料に要求される織物伸びは20
〜30%程度あれば充分であると言われているため、本
発明で言うストレッチ性は、織物を30%伸長した場合
の伸長回復率、伸長応力で評価する。ここで、伸長回復
率とは荷重−伸長ヒステリシス曲線における回復率を示
すものであり(図1)、値が高いほど伸長に対し可逆的
な変化をする、すなわちストレッチ性が高いことを示
す。また、伸長応力とは織物を30%伸長した場合の発
生応力であり、小さいほど伸長に対する抵抗力が小さ
い、すなわち楽に衣服が伸び、締め付け感が無い、ソフ
トストレッチ性が高いことを示すものである。これは、
快適性には特に重要な性質である。本発明では伸長回復
率は95%以上とするものであり、好ましくは97%以
上である。また、伸長応力は750cN/cm(765
gf/cm)以下とするものであり、好ましくは500
cN/cm(510gf/cm)以下、より好ましくは
350cN/cm(357gf/cm)以下、さらに好
ましくは200cN/dtex(204gf/cm)以
下である。
【0021】このように、本発明は従来のPET糸使い
強撚織物にはないソフトストレッチ性を示すのである
が、これに吸湿性を付加する目的でセルロース系繊維を
混用するとさらに風合いが向上し、好ましい。また、セ
ルロース系繊維として接触冷感を有するビスコースレー
ヨン、銅アンモニアレーヨンを混用すると、さらにドラ
イ感が向上し好ましい。混用方法は特に限定されるもの
ではないが、PPT繊維糸条中にセルロース系繊維を混
繊したり、織物中に経糸および/または緯糸として、セ
ルロース系繊維糸条を交織したりすることができるが、
経糸にセルロース系繊維糸条を使用する交織が、セルロ
ース系繊維の特徴を発現させやすく好ましい。セルロー
ス系繊維糸条の混率は布帛で、10〜70重量%である
ことが好ましい。
【0022】本発明で使用する糸は製造方法に何等限定
されるものではないが、以下の方法により製造すること
が好ましい。まず、PETとPPTまたはPBTをポリ
マーブレンドする方法としては、ポリエステルをチップ
状態でブレンドする方法と溶融状態でブレンドする方法
があるが、溶融状態でブレンドする方がブレンドの安定
性、均一性の点で好ましい。
【0023】また、ブレンド装置としてはいわゆる静止
混練器や1軸または2軸押出機等を用いることができ
る。静止混練器を用いる場合は、PETとPPTまたは
PBTをそれぞれ別々に溶融後計量し、静止混練器にて
ブレンドしそのまま紡糸を行うことができる。静止混練
器はチップ溶融部と紡糸パックの間のポリマー配管に取
り付けられても良いし、紡糸パック内に取り付けられて
も良いが、汎用性を考慮すると静止混練器は紡糸パック
内に取り付けられていることが好ましい。静止混練器で
のブレンドの程度は静止混練器の分割数であらわされ、
分割数103 以上であることが好ましい。より好ましく
は分割数は105 以上である。また、押出機を用いる場
合は、チップを計量し溶融しながらブレンドするわけで
あるが、この時ブレンドの安定性、均一性を考慮すると
2軸押出機を用いることが好ましい。この時はブレンド
後そのまま紡糸を行っても良いし、一旦ブレンドポリエ
ステルを再チップ化した後、改めて紡糸を行っても良
い。ただし、ブレンドされたポリエステルを長時間溶融
状態にするとエステル交換反応が進み、過度に融点降下
が発生する場合がある。エステル交換反応を制御する点
から、ブレンド装置は紡糸パック内に静止混練器を取り
付けたものが最も好ましい。
【0024】また、PPTやPBTはPETに比べ融点
が30〜35℃程度低いことを考慮し、紡糸温度をPE
Tの通常の紡糸温度より低く設定することが好ましい。
これにより、PPTやPBTの熱劣化を抑制でき、糸強
度の低下を防ぐことができる。さらに、PPTやPBT
の過度の粘度低下を抑制できるため、PETとの粘度差
を小さく保つことが可能であり、ポリマーブレンドの均
一性が向上し、さらに糸斑を減少できるのである。紡糸
温度は具体的には好ましくは280℃以下、より好まし
くは275℃以下である。また、紡糸速度を1500m
/分以上とすることにより、紡糸での冷却過程が安定
し、糸揺れや糸の固化点の変動が大幅に抑制され、それ
以下の速度で巻き取った糸に比べ糸斑を大幅に抑制でき
るのである。紡糸速度はより好ましくは2500m/分
以上である。なお、ここで言う紡糸速度とは、紡糸され
たポリマーブレンド糸が最初に触れるゴデットローラー
またはホットローラーのことを言うものである。
【0025】上記方法で得られた未延伸糸に延伸熱処理
を行い強撚用原糸となるポリマーブレンド延伸糸を得
る。この時、引き取った繊維をそのまま延伸熱処理後巻
き取る、いわゆる紡糸直接延伸法や、一旦繊維を巻き取
り、その後改めて延伸熱処理を施すいわゆる2工程法を
採用することができる。
【0026】このようにして得た強撚用原糸にダブルツ
イスターなどを用いて強撚を施し、次いで例えば80℃
スチームにより撚り止めセットを施す。PPTあるいは
PBT単独糸では撚り止めセット性が不良であり、いわ
ゆる「ビリ止め」が効かず、製織工程でトラブルが発生
するが、本発明のポリマーブレンド糸では撚り止めセッ
ト性が良好である。その後、製織、精練、中間セットを
施し、必要に応じてアルカリ減量、染色を施し、本発明
の織物を得ることができる。
【0027】本発明の織物は、ブラウス、シャツ等の薄
地からパンツ、スカート、コート等の中厚地まで衣料用
途全般に使用することが可能である。さらに、衣料用途
のみだけでなく、靴、特にストレッチブーツのような資
材用途にも適用可能である。なお、本発明は強撚織物で
あるが、本発明で使用したポリマーブレンド強撚糸をニ
ットに適用しても優れたストレッチ性ニットが得られ好
ましい。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明する。な
お、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。 A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール中25℃で測定した。 B.伸長回復率 JIS L1096において、サンプルの伸長(L10
を30%伸長とした以外は、JIS L1096の伸長
回復率測定法のA法にしたがい伸長回復率を求めた(図
1、JIS L1096から転載)。この時のサンプル
のつかみ間隔は20cmとした。 C.伸長応力 JIS L1096の6.14.1のA法にしたがい荷
重−伸長曲線を描かせた。そして、30%伸長時の応力
(織物1cm幅あたりの力)を求めた。この時のサンプ
ルのつかみ間隔は20cmとした。 D.強度および初期引っ張り抵抗度 JIS L1013にしたがい測定した。 E.沸騰水収縮率および乾熱収縮率 沸騰水収縮率(%)=[(L0 −L1 )/L0 )]×1
00 乾熱水収縮率(%)=[(L0 −L2)/L0 )]×1
00 L0 :糸をかせ取りし、初荷重0.09cN/dtex
下で測定したかせの原長 L1 :L0 を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態
で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.09c
N/dtex下でのかせ長 L2:L1 を測定したかせを風乾後、実質的に荷重フリ
ーの状態で乾熱160℃で15分間処理し、初荷重0.
09cN/dtex下でのかせ長 F.収縮応力 カネボウエンジニアリング社製熱応力測定器で、昇温速
度150℃/分で測定した。サンプルは10cm×2の
ループとし、初期張力は繊度(デシテックス)×0.9
×(1/30)gfとした。 G.糸長手方向の沸騰水収縮率の標準偏差 東レエンジニアリング社製FTA−500を用いて、繊
維の糸長手方向の沸騰水収縮率の連続測定を行った。こ
の時、糸の供給速度20m/分、走行糸応力0.01c
N/dtexで長さ15.5cmの100℃に加熱した
湿熱処理装置に通した。そして10分間測定を行い、収
縮率の標準偏差を求めた。この時、測定糸長3.3cm
毎に生の収縮率をポイントデータとして取り込み、これ
を6点合わせて平均し1データとした。そしてそれを1
000データ集め標準偏差を計算した。このようにし
て、ノイズの測定値への影響を抑制した。 H.ウースター斑(U%) Zellweger社製USTER TESTER 1
ModelCを使用し、200m/分の速度で糸を給
糸しながらノーマルモードで測定を行った。 I.カバーファクター(CF) 織物の経方向、緯方向のカバーファクターをCF=N×
1/2 で計算し、経方向のCFと緯方向のCFの和を織
物のCFとした。
【0029】 N:織物中の糸密度(本数/インチ) D:繊維糸条の繊度(デシテックス×0.9) J.布帛風合い評価 実施例、比較例で得られた織物に、98℃でリラックス
精練を施し、170℃で中間セットした。さらに常法に
より10%のアルカリ減量処理を施した後染色、170
℃で仕上げセットを行った。このようにして得られた布
帛を、曲げに対するソフト感、布帛表面タッチ、染め
斑、布帛表面の審美性について1〜5級で官能評価し
た。3級以上を合格とした。 実施例1 図2の紡糸/巻き取り装置を用い、[η]=0.63の
酸化チタンを含まないホモPETと[η]=1.10の
酸化チタンを含まないホモPPTをそれぞれチップホッ
パー1a、チップホッパー1bに別々に仕込み、PET
は2軸押し出し機3aで290℃、PPTは2軸押し出
し機3bで255℃で別々に溶融し、紡糸パック内に設
置した分割数106 の静止混練器6(東レエンジニアリ
ング社製“ハイミキサー”10段)によりポリマーブレ
ンドした。この時のポリマーブレンド比はPET/PP
T=50重量%/50重量%とした。その後絶対濾過径
20μのステンレス製不織布フィルター7で濾過した
後、孔数48の丸孔口金8から紡糸温度275℃でブレ
ンドポリマーを紡糸した。そして、紡糸した糸条9を給
油ガイド10で給油を、交絡ガイド11で交絡を施した
後、紡糸速度3000m/分で第1ゴデットローラー1
3で引き取った後、巻き取った。得られた未延伸糸を図
3の延伸装置を用い、第1ホットローラー(以下1HR
と略す)18で80℃に予熱した後、1HR18と第2
ホットローラー(以下2HRと略す)19の間で延伸倍
率1.5倍で延伸した。そして、2HR19で140℃
で熱セットして延伸糸21を得た。なお、各ローラーに
は糸を6回捲回した。
【0030】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度3.8cN/
dtex、乾熱収縮率15%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.33、ウースター斑0.7%であっ
た。
【0031】該PET/PPTブレンド延伸糸にK=2
0000の強撚を施し、90℃スチームで撚り止めセッ
トを行った。経糸として沸騰水収縮率が−2%の低収縮
PET繊維(55dtex、24フィラメント)と18
%の高収縮PET繊維(33dtex、12フィラメン
ト)からなる異収縮混繊糸(撚り数200T/m)を1
14本/インチで整経し、該PET/PPTブレンド強
撚糸を緯糸とし、S撚、Z撚糸を交互に105本/イン
チで打ち込み、3/1ツイルを製織した。この織物のカ
バーファクターは2065であった。これを風合い評価
したところ、布帛曲げに対するソフト感、布帛表面タッ
チ、染め斑、布帛表面審美性に優れていた。また、この
染色した織物の緯糸方向のストレッチ性を評価したとこ
ろ伸長回復率98%、伸長応力340cN/cmであ
り、優れたストレッチ性を示した(表2)。また、経糸
に使用した異収縮混繊糸の効果によりふくらみ感にも優
れたものであった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】実施例2 PPTに代えて[η]=0.83の酸化チタンを含まな
いPBTとした以外は実施例1と同様に紡糸/延伸を行
い、PET/PBT=50重量%/50重量%のポリマ
ーブレンド延伸糸を得た。
【0035】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度3.6cN/
dtex、乾熱収縮率14%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.33、ウースター斑0.7%であっ
た。
【0036】該PET/PBTブレンド延伸糸にK=2
0000の強撚を施し、80℃スチームで撚り止めセッ
トを行った。経糸として沸騰水収縮率が−2%の低収縮
PET繊維(55dtex、24フィラメント)と18
%の高収縮PET繊維(33dtex、12フィラメン
ト)からなる異収縮混繊糸(撚り数200T/m)を1
14本/インチで整経し、該PET/PBTブレンド強
撚糸を緯糸とし、S撚、Z撚糸を交互に105本/イン
チで打ち込み、3/1ツイルを製織した。この織物のカ
バーファクターは2065であった。これを風合い評価
したところ、布帛曲げに対するソフト感、布帛表面タッ
チ、染め斑、布帛表面審美性に優れていた。また、この
染色した織物の緯糸方向のストレッチ性を評価したとこ
ろ伸長回復率98%、伸長応力465cN/cmであ
り、優れたストレッチ性を示した(表2)。また、PE
T単独糸に見られる「ジャリジャリ感」が無く、織物タ
ッチとして非常にソフトであった。さらに、経糸に使用
した異収縮混繊糸の効果によりふくらみ感にも優れたも
のであった。 比較例1 図5の紡糸/巻き取り装置を用い、[η]=0.63の
酸化チタンを含まないPETを紡糸温度290℃で丸断
面吐出孔(48ホール)からPET単独糸を紡糸し、紡
糸速度3000m/分でゴデットローラー13で引き取
った後、巻き取った。得られた未延伸糸を図3の延伸装
置を用い、1HR18で90℃に予熱した後、1HR1
8と2HR19の間で延伸倍率1.8倍で延伸した。そ
して、2HR19で130℃で熱セットして延伸糸21
を得た。
【0037】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度4.2cN/
dtex、乾熱収縮率12%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.32、ウースター斑0.9%であっ
た。
【0038】このPET延伸糸を用い実施例1と同様に
織物を作成した後、風合い評価を行ったところ、ソフト
感に乏しいものであった。また、伸長回復率45%、伸
長応力3920cN/cmであり、ストレッチ性に乏し
く体の動きに追従しにくい織物であった(表2)。 実施例3 PET/PBTブレンド延伸糸の撚り係数Kを1500
0とした以外は実施例2と同様に織物を作成し、評価を
行ったところ、布帛曲げに対するソフト感、布帛表面タ
ッチ、染め斑、布帛表面審美性に優れていた。また伸長
回復率95%、伸長応力725cN/cmであり、優れ
たストレッチ性を示した(表2)。また、経糸に使用し
た異収縮混繊糸の効果によりふくらみ感にも優れたもの
であった。 比較例2 PET/PBTブレンド延伸糸の撚り係数Kを1000
0とした以外は実施例2と同様に織物を作成し、評価を
行ったところ、布帛曲げに対する布帛表面の審美性に劣
り、また伸長回復率75%、伸長応力1210cN/c
mであり、ストレッチ性に乏しいものであった(表
2)。 実施例4 織り組織を平織りとした以外は実施例1と同様に織物を
作成し、評価を行ったところ、ソフト感、ドライ感、染
め斑、布帛表面美しさに優れ、また伸長回復率97%、
伸長応力400cN/cmであり、優れたストレッチ性
を示した(表2)。また、経糸に使用した異収縮混繊糸
の効果によりふくらみ感にも優れたものであった。 実施例5 口金、吐出量を変更した以外は実施例2に準じ、紡糸、
延伸を行い、111dtex、24フィラメント、丸中
空断面(中空率25%)、強度3.3cN/dtex、
乾熱収縮率13%、糸長手方向の沸騰水収縮率の標準偏
差0.41、ウースター斑1.2%のPET/PBTブ
レンド延伸糸を準備した。
【0039】このPET/PBTブレンド延伸糸を用
い、糸使いを経糸、緯糸とも2糸条合糸使い(経糸17
6dtex、72フィラメント、緯糸222dtex、
48フィラメント)とした以外は実施例4と同様に織物
を作成し、評価を行ったところ、布帛曲げに対するソフ
ト感、布帛表面タッチ、染め斑、布帛表面審美性に優れ
ていた。また伸長回復率97%、伸長応力720cN/
cmであり、優れたストレッチ性を示した(表1)。ま
た、経糸に使用した異収縮混繊糸の効果によりふくらみ
感にも優れたものであった。さらに中空断面による軽量
感にも優れていた。 実施例6 口金、吐出量を変更した以外は実施例1に準じ、紡糸、
延伸を行い、83dtex、24フィラメント、三葉断
面、強度3.5cN/dtex、乾熱収縮率16%、糸
長手方向の沸騰水収縮率の標準偏差0.39、ウースタ
ー斑1.2%のPET/PPTブレンド延伸糸を準備し
た。
【0040】このPET/PPTブレンド延伸糸にK=
20000の強撚を施し、95℃スチームで撚り止めセ
ットを行った。経糸として沸騰水収縮率が−2%の低収
縮PET繊維(33dtex、18フィラメント)と1
8%の高収縮PET繊維(33dtex、12フィラメ
ント)からなる異収縮混繊糸(撚り数200T/m)を
120本/インチで整経し、該PPT強撚糸を緯糸と
し、S撚、Z撚糸を交互に70本/インチで打ち込み、
デシンを製織した。この織物のカバーファクターは15
36であった。この織物の評価を行ったところ、布帛曲
げに対するソフト感、布帛表面タッチ、染め斑、布帛表
面審美性に優れていた。また、三葉断面によるドライ感
が優れていた。また伸長回復率98%、伸長応力480
cN/cmであり、優れたストレッチ性を示した(表
2)。また、経糸に使用した異収縮混繊糸の効果により
ふくらみ感にも優れたものであった。 実施例7 紡糸速度を1500m/分、延伸倍率を2.90倍とし
た以外は実施例2に準じ、紡糸、延伸を行い、111d
tex、48フィラメント、丸断面、強度4.2cN/
dtex、沸騰水収縮率17%、糸長手方向の沸騰水収
縮率の標準偏差0.46、ウースター斑1.5%のPE
T/PBTブレンド延伸糸を準備した。
【0041】この強撚用PET/PBTブレンド延伸糸
を使用し、実施例2と同様に織物を作成し、評価を行っ
たところ、布帛曲げに対するソフト感、布帛表面タッ
チ、染め斑、布帛表面審美性に優れていた。また伸長回
復率97%、伸長応力495cN/cmであり、優れた
ストレッチ性を示した(表2)。また、経糸に使用した
異収縮混繊糸の効果によりふくらみ感にも優れたもので
あった。 実施例8 経糸および緯糸を実施例1で使用したPET/PPTブ
レンド強撚糸としてジョーゼットを製織した。この時経
糸密度は101本/インチ、緯糸密度は90本/インチ
とし、織物のカバーファクターは1910であった。こ
の織物の評価を行ったところ、ソフト感、ドライ感、染
め斑、布帛表面美しさに優れ、また伸長回復率98%、
伸長応力300cN/cmであり、優れたストレッチ性
を示した(表2)。 実施例9 ポリマーブレンド比をPET/PPT=70重量%/3
0重量%とし、延伸倍率を1.70倍とした以外は実施
例1と同様に紡糸/延伸を行いポリマーブレンド延伸糸
を得た。
【0042】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度3.9cN/
dtex、乾熱収縮率14%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.32、ウースター斑0.9%であっ
た。
【0043】該PET/PPTブレンド延伸糸を実施例
1と同様に風合い評価したところ、布帛曲げに対するソ
フト感、布帛表面タッチ、染め斑、布帛表面審美性に優
れていた。また、この染色した織物の緯糸方向のストレ
ッチ性を評価したところ伸長回復率95%、伸長応力6
50cN/cmであり、優れたストレッチ性を示した
(表2)。ただし、風合い、ストレッチ性とも実施例1
には一歩譲るものであった。 実施例10 ポリマーブレンド比をPET/PPT=30重量%/7
0重量%とし、延伸倍率を1.70倍とした以外は実施
例1と同様に紡糸/延伸を行いポリマーブレンド延伸糸
を得た。
【0044】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度3.3cN/
dtex、乾熱収縮率16%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.43、ウースター斑1.2%であっ
た。
【0045】該PET/PPTブレンド延伸糸を実施例
1と同様に風合い評価したところ、布帛曲げに対するソ
フト感、布帛表面タッチ、染め斑、布帛表面審美性に優
れていた。また、この染色した織物の緯糸方向のストレ
ッチ性を評価したところ伸長回復率99%、伸長応力1
35cN/cmであり、優れたストレッチ性を示した
(表2)。ただし、染め斑、布帛表面審美性は実施例1
には一歩譲るものであった。 実施例11 紡糸温度を280℃とした以外は実施例1と同様に紡糸
を行いPET/PPTブレンド未延伸糸を得た。これに
実施例1と同様に延伸を施し、延伸糸を得た。
【0046】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度3.4cN/
dtex、乾熱収縮率15%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.45、ウースター斑1.3%であっ
た。
【0047】これを実施例1と同様に風合い評価したと
ころ、染色斑、布帛表面審美性は実施例1に一歩譲るも
のであった。また、この染色した織物の緯糸方向のスト
レッチ性を評価したところ伸長回復率98%、伸長応力
365cN/cmであり、優れたストレッチ性を示した
(表2)。また、経糸に使用した異収縮混繊糸の効果に
よりふくらみ感にも優れたものであった。 比較例3 紡糸温度を290℃とした以外は実施例1と同様に紡糸
を行いPET/PPTブレンド未延伸糸を得た。これに
実施例1と同様に延伸を施し、延伸糸を得た。この時
は、ブレンドポリマーの紡糸が安定せず紡糸過程、延伸
過程でも糸切れが頻発した。
【0048】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度3.2cN/
dtex、乾熱収縮率15%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.68、ウースター斑2.9%であっ
た。
【0049】これを実施例1と同様に風合い評価したと
ころ、染色斑が大きく、また布帛表面荒れが発生した。 実施例12 図4の紡糸/巻き取り装置を用い、2軸押し出し機でポ
リマーブレンドを行った以外は実施例1と同様に紡糸を
行い、未延伸糸を得た。そして、延伸倍率を3.3倍と
した以外は実施例1と同様に延伸を行い、PET/PP
Tブレンド延伸糸を得た。
【0050】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度3.3cN/
dtex、乾熱収縮率15%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.42、ウースター斑1.3%であっ
た。
【0051】これを実施例1と同様に風合い評価したと
ころ、染色斑、布帛表面の美しさは実施例1に一歩譲る
ものであった。また、この染色した織物の緯糸方向のス
トレッチ性を評価したところ伸長回復率98%、伸長応
力330cN/cmであり、優れたストレッチ性を示し
た(表2)。また、経糸に使用した異収縮混繊糸の効果
によりふくらみ感にも優れたものであった。 実施例13 図5の紡糸/巻き取り装置を用い、PETとPPTを同
一のチップホッパーにし込みチップブレンドによりポリ
マーブレンドを行った以外は実施例1と同様に紡糸を行
い、未延伸糸を得た。そして、延伸倍率を3.1倍とし
た以外は実施例1と同様に延伸を行い、PET/PPT
ブレンド延伸糸を得た。
【0052】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度2.9cN/
dtex、乾熱収縮率18%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.49、ウースター斑1.5%であっ
た。
【0053】これを実施例1と同様に風合い評価したと
ころ、染色斑、布帛表面審美性は実施例1に一歩譲るも
のであった。また、この染色した織物の緯糸方向のスト
レッチ性を評価したところ伸長回復率98%、伸長応力
300cN/cmであり、優れたストレッチ性を示した
(表2)。また、経糸に使用した異収縮混繊糸の効果に
よりふくらみ感にも優れたものであった。 実施例14 図6の直接紡糸延伸装置を用いた以外は実施例1と同様
にして紡糸を行った。この時紡糸速度、すなわち第1ホ
ットネルソンローラー20速度は2500m/分、第2
ホットネルソンローラー21速度は5250m/分で
2.1倍で延伸した。この時、第1ホットネルソンロー
ラー20温度は85℃、第2ホットネルソンローラー2
1温度は145℃とした。
【0054】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度3.5cN/
dtex、乾熱収縮率17%、糸長手方向の沸騰水収縮
率の標準偏差0.38、ウースター斑1.0%であっ
た。
【0055】これを実施例1と同様に風合い評価したと
ころ、布帛曲げに対するソフト感、布帛表面タッチ、染
め斑、布帛表面審美性に優れていた。また、この染色し
た織物の緯糸方向のストレッチ性を評価したところ伸長
回復率98%、伸長応力340cN/cmであり、優れ
たストレッチ性を示した(表2)。また、経糸に使用し
た異収縮混繊糸の効果によりふくらみ感にも優れたもの
であった。 比較例4 実施例1で得たPET/PPTポリマーブレンド未延伸
糸を用い、1HR温度を120℃とした以外は実施例1
と同様に延伸を行った。
【0056】得られた延伸糸の糸物性は表1に示すが、
111dtex、48フィラメント、強度2.9cN/
dtex、乾熱収縮率9%、糸長手方向の沸騰水収縮率
の標準偏差0.65、ウースター斑2.5%であった。
【0057】これを実施例1と同様に風合い評価したと
ころ、染色斑が大きく、また布帛表面が荒れ品位の低い
ものであった。 比較例5 実施例1で得たPET/PPTポリマーブレンド未延伸
糸を用い、2HR温度を160℃とした以外は実施例1
と同様に延伸を行った。 得られた延伸糸の糸物性は表
1に示すが、111dtex、48フィラメント、強度
3.0cN/dtex、乾熱収縮率6%、糸長手方向の
沸騰水収縮率の標準偏差0.55、ウースター斑2.0
%であった。
【0058】これを実施例1と同様に風合い評価したと
ころ、染色斑が大きく、また布帛表面が荒れ品位の低い
ものであった。 実施例15 経糸としてセルロース系繊維である旭化成工業(株)製
銅アンモニアレーヨン“キュプラ”(83dtex、4
5フィラメント)と太細を有するPET繊維(55dt
ex、24フィラメント、丸断面、沸騰水収縮率8%)
を300T/mで合撚した複合糸を90本/インチで整
経し、実施例1で得たPET/PPTブレンド強撚糸を
緯糸とし、S撚、Z撚糸を交互に105本/インチで打
ち込み、3/1ツイルを製織した。この織物のカバーフ
ァクターは2056であった。この織物を風合い評価し
たところ、布帛の曲げに対するソフト感、表面タッチ、
ドライ感、染め斑、布帛表面審美性に優れていた。ま
た、この染色した織物の緯糸方向のストレッチ性を評価
したところ伸長回復率98%、伸長応力345cN/c
mであり、優れたストレッチ性を示した(表2)。さら
に、銅アンモニアレーヨン繊維特有の大きな接触冷感に
よる高度なドライ感が発現しただけでなく、吸湿性にも
優れておりポリエステル繊維だけでは得られない優れた
風合いであった。また、布帛の滑り性も優れており、高
級裏地やインナーに最適のものであった。 実施例16 経糸としてセルロース系繊維である旭化成工業(株)製
ビスコースレーヨン“Silmax”(83dtex、
38フィラメント)と太細を有するPET繊維(55d
tex、24フィラメント、丸断面、沸騰水収縮率8
%)を300T/mで合撚した複合糸を用いた以外は実
施例15と同様に製織を行った。これを風合い評価した
ところ、布帛の曲げに対するソフト感、表面タッチ、ド
ライ感、染め斑、布帛表面美しさに優れていた。また、
この染色した織物の緯糸方向のストレッチ性を評価した
ところ伸長回復率98%、伸長応力347cN/cmで
あり、優れたストレッチ性を示した(表2)。さらに、
ビスコースレーヨン繊維特有の優れた反発感、接触冷感
による優れたドライ感が発現しただけでなく、吸湿性に
も優れておりポリエステル繊維だけでは得られない優れ
た風合いであった。 実施例17 経糸としてセルロース系繊維である東洋紡績(株)製ポ
リノジック繊維“タフセル”(単糸繊度1.7dte
x、丸断面、平均繊維長38mm、平均重合度500)
と太細を有するPET繊維(55dtex、24フィラ
メント、丸断面、沸騰水収縮率8%)を300T/mで
合撚した複合糸を用いた以外は実施例15と同様に製織
を行った。これを風合い評価したところ、布帛の曲げに
対するソフト感、表面タッチ、ドライ感、染め斑、布帛
表面審美性に優れていた。また、この染色した織物の緯
糸方向のストレッチ性を評価したところ伸長回復率98
%、伸長応力346cN/cmであり、優れたストレッ
チ性を示した(表1)。さらに、ポリノジック繊維特有
の優れた反発感が発現しただけでなく、吸湿性にも優れ
ておりポリエステル繊維だけでは得られない優れた風合
いであった。
【0059】
【発明の効果】本発明のソフトで、ストレッチ性および
染め斑、布帛表面の審美性に優れた強撚織物により快適
な衣料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】伸長回復率測定時の荷重−伸長曲線の概略図で
ある。
【図2】パック内ブレンドによる紡糸/巻き取りの様子
を示す概略図である。
【図3】延伸熱処理の様子を示す概略図である。
【図4】押し出し機ブレンドによる紡糸/巻き取りの様
子を示す概略図である。
【図5】チップブレンドによる紡糸/巻き取りの様子を
示す概略図である。
【図6】紡糸直接延伸の様子を示す図である。
【符号の説明】
1:チップホッパー 2:チップ配管 3:2軸押し出し機 4:ポリマー配管 5:スピンブロック 6:静止混練器 7:不織布フィルター 8:口金 9:糸条 10:チムニー 11:給油ガイド 12:交絡ガイド 13:第1ゴデットローラー 14:第2ゴデットローラー 15:巻き取り糸 16:未延伸糸 17:フィードローラー 18:第1ホットローラー 19:第2ホットローラー 20:ドローローラー 21:延伸糸 22:第1ホットネルソンローラー 23:第2ホットネルソンローラー 24:巻き取り糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 AA09 BB33 BB84 BB89 BB91 DD20 EE01 FF10 4L048 AA13 AA21 AA22 AA36 AA37 AA50 AB07 AB09 AB14 AC12 AC15 BA01 BA02 CA04 CA07 CA12 CA13 CA15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウースター斑が1.5%以下であり、沸騰
    水収縮率の標準偏差が0.50以下である、ポリエチレ
    ンテレフタレートとポリプロピレンテレフタレートまた
    はポリブチレンテレフタレートを重量%で10/90〜
    90/10の比率で混合してなるポリマーブレンド糸
    に、撚り係数Kが15000以上の強撚を施した糸を経
    糸および/または緯糸に用いた織物であって、30%伸
    長時の伸長回復率が95%以上、伸長応力が750cN
    /cm以下であることを特徴とする強撚織物。 ただし、撚り係数K=T×D1/2 T:糸長1m当たりの撚数 D:繊維糸条の繊度(デシテックス×0.9)
  2. 【請求項2】セルロース系繊維を混用していることを特
    徴とする請求項1記載の強撚織物。
  3. 【請求項3】ポリマーブレンド糸が紡速2500m/分
    以上の速度で紡糸され、その後延伸されたものであるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の強撚織物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009133031A (ja) * 2007-11-30 2009-06-18 Toray Ind Inc 収縮差混繊糸
JP2011168897A (ja) * 2010-02-16 2011-09-01 Toray Ind Inc ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル部分配向繊維
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JP2011208325A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Toray Ind Inc ポリマーブレンドポリエステル繊維

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