JP3863051B2 - ポリエステル斑糸 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル斑糸に関するものである。さらに詳しくは、優れたスパナイズ外観およびドライ感を布帛で発現し、かつ製織工程通過性に優れたポリエステル斑糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルはその優れた特性を生かし衣料用布帛素材として広く使用されている。近年、衣生活の多様化、高級化、個性化と共に、天然繊維が持つ繊維物性の不規則性によりもたらされる色相、色明度の変化、あるいは複雑な繊維構造によりもたらされる様々な触感をポリエステルで発現する試みがなされている。
【0003】
例えば、ポリエステル未延伸糸を不完全に延伸したポリエステル斑糸は、その布帛において、綿布帛に似たサラットした手触り(以下ドライ感と称する)および適度に分散したカスリ状の濃淡筋(以下スパナイズ外観と称する)とを表現することができるので、従来多くのポリエステル斑糸が提案されている(特公昭51−7207号、特開昭58−70711号など)。これらの斑糸は、斑が強調されればされるほど、スパナイズ外観およびドライ感は強く発現してくるが、あまりにもこの斑を強調しすぎると天然繊維素材にみられるナチュラル感が損なわれたり、低配向の未延伸部残存が多くなり製織工程での取り扱い性や繊維の力学的特性が低下するという問題が発生する。
【0004】
特公平3−77304号公報には、太繊度部が特殊な分散状態、すなわち、糸条としてノーマルテストで得られるスペクトログラフ上の周期50cmの値が最大値の1/2以下である斑糸が、力学的特性および取り扱い性に優れたポリエステル斑糸として開示されている。確かに、このポリエステル斑糸の力学的特性は通常のポリエステル斑糸に比較し改善されており、その取扱い性も向上しているが、太繊度部の分布を特定範囲に規定しているため、スパナイズ外観およびドライ感をより高めることが出来ないという問題がある。また、このポリエステル斑糸は、製織前に撚止めセット等、比較的低い温度(80〜100℃)で熱処理を受けると、太繊度部と細繊度部の熱収縮斑が強く発現してしまい、単繊維が乱れたマルチフィラメント構造となり、以降の取り扱い性(すなわち製織工程通過性)が悪くなるという問題が残っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、優れたスパナイズ外観およびドライ感を布帛で発現し、かつ製織工程通過性に優れたポリエステル斑糸を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、上記課題は、長さ方向に太細がある単繊維を含むマルチフィラメント糸条において、該糸条が下記(1)〜(2)の条件を満足することを特徴とするポリエステル斑糸により達成されることが見出された。
【0007】
(1)ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上に、周期4〜10cmと周期50〜150cmにそれぞれピーク値(Pmax1、Pmax2)が存在し、且つそのピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5〜4.0である。
【0008】
(2)熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、80〜200℃の間で温度上昇とともに増大し、かつ80〜100℃において、各々10cN/dtex以下および0.5%以下である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルは、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート又はテトラメチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを主たる対象とするが、なかでもポリエチレンテレフタレートが好ましい。かかるポリエステルには、必要に応じて第3成分を少量(通常は全繰返し単位を基準として15モル%以下、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下)共重合してもよい。かかるポリエステルの固有粘度(35℃のオルソ−クロロフェノール溶液を溶媒として使用し算出)は、通常衣料用布帛素材として使用されるポリエステルと同じ程度の固有粘度で、ポリエチレンテレフタレートの場合は0.45〜0.70、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリテトラメチレンテレフタレートの場合は0.7〜1.5の範囲が適当である。また、艶消剤、その他の添加剤を含有していてもよい。なかでも、後述の如く、アルカリ減量処理することによって、繊維表面又は繊維内部に、微細孔又は微細溝を形成する性能を有する微細孔形成剤を含有している場合には、該孔又は溝の形状によって、吸水性、天然絹様風合、鮮明性、ドライタッチ等の各種効果を発現させることができるので好ましい。
【0010】
本発明のポリエステル糸は繊維軸方向に次のような太細斑分布を有している。すなわち、ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上に、周期4〜10cmと周期50〜150cmにそれぞれピーク値(Pmax1、Pmax2)が存在し、且つそのピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5〜4.0である。
【0011】
本発明でいうスペクトログラフとは、スイスのツエルベーガ社で開発されたウスタースペクトログラフのことであり、斑内容の迅速な分析を可能とするもので、特に斑のピッチを知るのに有用である(その詳細は繊維機械学会発行の「むらの理論と実際」第255頁〜第372頁に詳述されている)。測定条件はノーマルテストとし、測定速度は400m/分とした。
【0012】
本発明の斑糸と従来の斑糸のスペクトログラフの例を図1及び図2に示し、図をもって詳細に説明する。ここで図1は後記する本発明実施例1で得た斑糸のスペクトログタフであり、一方図2は従来の斑糸のスペクトログラフである。図1と図2とを比較すると、ピークの数に特徴的な差があることがわかる。つまり、本発明の斑糸は、斑の周期が50〜150cmの長い部分と4〜10cmの短い部分との2箇所に極大値が存在するように斑が分散しているので、従来の長周期領域に極大値が存在しない斑糸と比較してよりナチュラルなスパナイズ外観を呈する。
【0013】
すなわち、本発明のポリエステル斑糸は、「ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上に、周期4〜10cm、好ましくは5〜8cmと、周期50〜150cm、好ましくは80〜120cmの範囲に、それぞれピーク値(Pmax1、Pmax2)が存在し、且つそのピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5〜4.0、好ましくは1.5〜2.0である」特性を有していることが肝要である。
【0014】
該ピーク値が一つしかなかったり、あるいは、ピーク値の位置が前記範囲外であったり、さらには、ピーク値比(Pmax1/Pmax2)が前記範囲を外れる場合には、太繊度部のランダム分散性が低下し、ドライ感やスパナイズ外観が乏しくなる。
【0015】
次に、本発明のポリエステル斑糸は、「熱収縮応力が、80〜200℃の間で温度上昇とともに増大し、かつ80〜100℃において10cN/dtex以下、より好ましくは8cN/dtex以下であり」また「熱収縮率の標準偏差(σ)が、80〜200℃の間で温度上昇とともに増大し、かつ80〜100℃において0.5%以下、より好ましくは0.4%以下」である特性を有していることが肝要である。
【0016】
通常、ポリエステル斑糸は撚糸後80〜100℃で撚り止めセットが行われる。80〜100℃における熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、各々10cN/dtex以下および0.5%以下である本発明のポリエステル斑糸は、80〜100℃の撚り止めセットにおいては、太繊度部と細繊度部の熱収縮斑の発現が少なく、撚り止めセット後も、単糸の乱れが起こることが無く安定したマルチフィラメント構造を維持している。このような乱れの無いマルチフィラメント構造は、以降の整経、製織工程で安定した工程通過性を示す。一方80〜100℃における熱収縮応力平均が10cN/dtexを超えるあるいは熱収縮率の標準偏差(σ)が0.5%を超えるポリエステル斑糸では、80〜100℃の撚り止めセットにおいて、太繊度部と細繊度部の熱収縮斑が顕著に発現し、単糸が乱れたマルチフィラメント構造となり、製織工程の通過性が著しく悪くなる。
【0017】
さらに、本発明のポリエステル斑糸の熱収縮応力平均および熱収縮率の標準偏差(σ)は、80〜200℃の範囲で温度上昇と共に大きくなる特性を有しているので、製織後の精練、染色、仕上げ工程において、より高い温度で熱処理が行われると、太繊度部と細繊度部の熱収縮斑が強く発現し、布帛でスパナイズ外観とドライ感とが発現するようになる。一方該熱収縮応力平均値が温度上昇と共に大きくならないあるいは80〜200℃の間で熱収縮応力がピーク値を示す場合、あるいは、該熱収縮率の標準偏差(σ)が、温度上昇と共に大きくならないあるいは80〜200℃の間で熱収縮率の標準偏差(σ)がピーク値を示す場合は、撚り止めセット等比較的低温熱処理(80〜100℃)の段階で、繊維軸方向の太繊度部と細繊度部との熱収縮斑が強く発現してしまい、精練、染色加工処理工程等でのスパナイズ外感およびドライ感の発現効果が少なくなる場合が多くなる。
【0018】
かくして、本発明のポリエステル斑糸は、製織前の比較的低温(80〜100℃)での熱処理工程では太、繊度部と細繊度部との熱収縮挙動が小さく、製織工程での通過性が良好であり、精練、染色加工処理工程で太細斑が強く発現し、優れたスパナイズ外観およびドライ感の布帛となすことができる。
【0019】
また、より優れたドライ感を布帛で発現するために、布帛のアルカリ処理が行われる。この際、繊維表面又は繊維内部に、微細孔又は微細溝を形成させる微細孔形成剤をポリエステルに含有させれば、該孔又は溝の形状によって、ドライ感のみならず吸水性、天然絹様風合、鮮明性、等の各種効果を発現させることができるので好ましい。例えば、該微細孔形成剤として下記一般式(I)で表わされるスルホン酸金属塩を含有している場合には、ドライ感が向上して綿に類似した性能を得ることができる。
【0020】
【化2】
Figure 0003863051
【0021】
式中、M及びM′は金属であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛が好ましく、M及びM′は同一でも異なっていてもよい。Rは水素原子又はエステル形成性官能基であり、nは1又は2を示す。
【0022】
かかるスルホン酸金属塩は、例えば特公昭61−31231号公報にあげられているものが好ましく用いられ、具体的には3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸ナトリウム、3−ヒドロキシエトキシカルボニルベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸1/2マグネシウムをあげることができる。
【0023】
上記スルホン酸金属塩のポリエステルへの添加時期は、ポリエステルを溶融紡糸する以前の任意の段階でよく、例えばポリエステルの原料中に添加配合しても、ポリエステルの合成中に添加してもよい。また、上記化合物の添加量は、少ないと最終的に得られるポリエステル繊維の綿様風合が低下し、一方多いと紡糸時にトラブルを発生しやすくなるので、ポリエステル重量を基準として0.5〜2.5重量%、特に0.6〜1.2重量%の範囲が適当である。
【0024】
本発明の斑糸の見かけ単繊維繊度(太細を長さ方向に平均したもの)や糸条としての総繊度は特に限定されるものではないが、単繊維繊度としては1.5〜5.0dtex、総繊度としては40〜170dtexの範囲が適当である。
【0025】
斑糸の単繊維の横断面形状については特に限定する必要はないが、三角断面とするとよりドライ感やスパナイズ外観が向上するので好ましい。
【0026】
また、本発明の斑糸の熱水(100℃)収縮率は4〜10%、より好ましくは5〜8%であることが、精練、染色工程で布帛の収縮を制御する上で好ましい。
【0027】
本発明のポリエステル斑糸は例えば、次の方法で製造することができる。
すなわち、ペレット状となした前述のポリエステル(好ましくは微細孔形成剤を含有したポリエステル)を常法で乾燥し、スクリュウ押出機を備えた溶融紡糸設備に導入し、溶融混練し、紡糸口金から溶融吐出し、冷却固化した紡出糸条に油剤を付与し、ポリエステルのガラス転移点付近の温度に設定した予熱ローラーで紡糸引き取りしつつ延伸ローラーを介して低倍率で延伸し、半延伸糸として巻き取る(予熱ローラー引取速度:1500〜2500m/分、延伸倍率:1.1〜1.5、が望ましい条件)。
【0028】
本発明においては、紡糸油剤付着前の紡出糸条にかかる紡糸張力を0.1〜0.3cN/dtex、より好ましくは0.1〜0.2cN/dtexの範囲とすることが大切である。紡糸張力が0.1cN/dtex未満の場合は、紡出糸条の冷却斑が発生したり、自然延伸比近傍で延伸後のポリエステル斑糸のスペクトログラフ上の周期50〜150cmにピーク値が発現しないことが多い。紡糸張力が0.3cN/dtexを超える場合は、平坦なスペクトログラフとなり、ピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5未満となることが多い。なお、紡糸張力は、糸条を集束する位置(集束距離:紡糸口金面から集束装置までの距離)を変えることによって調整する。メタリングノズル式の給油集束装置は、油剤付与と集束を同時に行うことができるので,好ましく用いられる。
【0029】
次に、本発明においては、油剤付与後、3〜6個の空気噴射孔を有するインターレースノズルを用いて、ノズル圧空圧力を0.1〜0.3MPaの範囲に設定し、走行糸条に交絡を付与することが大切である。インターレースノズルの空気噴射孔が1〜2個の場合は、糸条交絡部長さが長くなり、全単糸にわたる強い交絡が発現しやすい。これを自然延伸比近傍で延伸すると、100℃付近に熱収縮応力あるいは熱収縮率の標準偏差(σ)のピークが出現することが多くなる。また比較的太繊度部が長くなり、前述のスペクトログラフ上のピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5未満となることが多い。一方、空気噴射孔数が7個以上の場合は、80〜100℃における熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、各々10cN/dtexおよび0.5%を超えることが多くなる。また、糸条交絡が細かくなりすぎ、スペクトログラフ上のPmax1およびPmax2値が短周期方向にずれて、4cm未満および50cm未満の位置に出現することが多くなる。
【0030】
また、ノズル圧空圧力が0.1MPa未満の場合は、スペクトログラフ上のピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5未満となることが多い。一方、ノズル圧空圧力が4.0MPaを超える場合は、スペクトログラフ上のピーク値比(Pmax1/Pmax2)が4.0を超えることが多くなる。
【0031】
得られた半延伸糸は、更に、60〜90℃に加熱した予熱ローラーおよび170〜240℃に設定した非接触ヒーターを経て、1.1〜1.5倍の延伸倍率で延伸(延伸速度500〜1400m/min)し、20%以下、より好ましくは1〜10%のオーバーフィードを掛けながら接触式ヒーター160〜180℃にて熱セットし、ポリエステル斑糸として巻き取る。
【0032】
この時、オーバーフィード率が20%を超えると、熱セット斑が起こりやすくなったり、熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が温度上昇と共に大きくならないことが多くなる。オーバーフィード率が1%未満の場合は、80〜100℃における熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、各々10cN/dtexおよび0.5%を超えることが多くなる。また、熱水(100℃)収縮率が10%を超えることが多くなる。
【0033】
かくして得られた本発明のポリエステル斑糸は、必要に応じて適度な撚りを施し撚り止めセットした後、ウォータージェットルーム等高速で製織することができる。得られた布帛は、必要に応じてアルカリ減量処理を施し、染色、仕上げされ優れたスパナイズ外観とドライ感とを備えたものとなる。
【0034】
なお、本発明においては、スパナイズ外観およびドライ感を意図しているので、複雑な組織に製織するのは好ましくなく、平織もしくはその変化組織、簡単な綾織もしくはその変化組織、サテン織等に製織するのが好ましい。また、布帛中に占める本発明の斑糸の割合は、必ずしも100%である必要はないが、優れたスパナイズ外観とドライ感とを発現するためにはその割合が多いほど好ましい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
(2)スペクトログラフ(Pmax1、Pmax2)
スイスツエルベーガ社のウスタースペクトログラフにて、測定モード:ノーマルテスト、測定速度:400m/分でポリエステル糸のスペクトログラフを記録し、周期4〜10cmと周期50〜150cmとのピーク値を各々Pmax1およびPmax2とした。
(3)熱収縮応力
試料繊維をサンプリング治具を用いて5cmの輪をとし、熱応力測定器の上部と下部のフックに掛けて2.94mN×表示テックス(1/30gf×表示デニール)の初荷重を掛け、一定温度にて熱応力を測定した。測定は3回行い、その平均の値を使用した。測定温度は80℃、100℃、150℃、200℃とした。
(4)熱収縮率
東レエンジニアリング(株)熱収縮斑システムFTA−500を用い、試料繊維を糸速度5m/分でフィードローラーから供給し、走行糸条の張力が0.5gの定荷重(一定張力)となるようにドローローラー速度を制御し、該速度を2分間連続して測定し、一定温度に設定された長さ20cm加熱域中を通過させ、ドローローラーで引き取った。これらのローラーの速度差から試料繊維の収縮率を計算した。この測定を10回繰り返し、その標準偏差(σ)を計算した。測定温度は80℃、100℃、150℃、200℃とした。
(5)製織性
各実施例、比較例で得られたポリエステル斑糸に1000回/mのS撚を掛けた後、80℃で撚り止めセットを行い、該撚糸糸の経糸、緯糸使いとして、ウォータージェットルームで下記条件で製織を実施し、糸要因による停台回数(回/台・日)を調査した。
織組織: 幅1.3mの平織(経糸34本/cm、緯糸31本/cm)
緯糸打ち込み速度: 500rpm
(6)ドライ感、スパナイズ外観
上記(4)で製織した生機を、ボイルオフ(98℃、10sec)、リラックス(120℃、20min)、プレセット(190℃、60sec)、アルカリ減量(減量率15%)、染色(染料:カヤロンポリエステルネイビーブルー2GN−SF200(日本化薬社製)、130℃、20min)および仕上げ(170℃、60sec)処理を行い風合い評価用の織物を得た。該織物を検査員が目視および触感にてスパナイズ外観およびドライ感を下記基準で格付けした。
(スパナイズ外観)
レベル1: 適度に分散し、ナチュラルなカスリ状の濃淡筋が認められる。
レベル2: カスリ状の濃淡筋の分散にやや偏りがあるが、全体として満足できるカスリ状濃淡筋となっている。
レベル3: 一面に短すぎる濃淡筋あるいは長すぎる濃淡筋が認められる。あるいは明瞭な濃淡筋が認められない。
(ドライ観)
レベル1: 綿布帛に似たサラットした手触りが感じられる。
レベル2: サラットした感覚がやや弱く感じられる。
レベル3: プラスチックライクなプレーンな感触である。
(7)熱水(100℃)収縮率
JIS L1013にしたがって測定した。
【0036】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル197部、エチレングリコール124部、3―カルボメトキシ・ベンゼンスルホン酸Na―5―カルボン酸Na4部(テレフタル酸ジメチルに対して1.3モル%)、酢酸カルシウム1水塩0.118部を精溜塔付ガラスフラスコに入れ、常法にしたがってエステル交換反応を行い、理論量のメタノールが留出した後反応生成物を精溜塔付重縮合用フラスコに入れ、安定剤としてトリメチルホスフェート0.112部及び重縮合触媒として酸化アンチモン0.079部を加え、温度280℃で、常圧下20分、30mmHgの減圧下15分反応させた後高真空下で80分間反応させた。最終内圧は0.38mmHgであり、得られた変性ポリマーの固有粘度は0.640,軟化点は258℃であった。反応終了後変性ポリマーを常法にしたがいペレット化した。
【0037】
得られたペレットを常法にしたがい乾燥して紡糸口金から溶融吐出し、該吐出糸条を冷却固化させた後に、紡糸張力が0.13cN/dtexとなるようにメタリングノズル位置で集束距離を調整し、該メタリングノズルで油剤を付与し、0.15MPaで圧空が噴射している噴射孔が3個のインターレースノズルを通し、60℃に設定した回転ローラーで2250m/分の速度で引取り、3030m/分の速度で半延伸し(延伸倍率1.35)巻き取った。得られた半延伸糸を、予熱ローラー温度70℃、熱セットヒーター(非接触式)温度200℃、延伸倍率1.4倍、延伸速度800m/分で延伸した後、2%のオーバーフィードをかけつつ、175℃に設定した熱セットヒーター(接触式)で熱セットして巻き取り、表1に示す物性のポリエステル斑糸(120デシテックス/36フィラメント)を得た。
【0038】
【表1】
Figure 0003863051
【0039】
得られたポリエステル斑糸を前述の方法で製織およびスパナイズ外観、ドライ感の評価を実施した。表2から明らかな如く、製織工程では極めて安定した通過性に示し、布帛は優れたスパナイズ外観およびドライ感を呈していた。
【0040】
【表2】
Figure 0003863051
【0041】
[実施例2、比較例1〜2]
ノズル圧空圧力を表3の如く変更した以外は、実施例1と同じ方法、条件でポリエステル斑糸を得た(表1に各々の物性を示す)。
【0042】
【表3】
Figure 0003863051
【0043】
得られたポリエステル斑糸を前述の方法で製織およびスパナイズ外観、ドライ感の評価を実施し、各々表2に示す結果を得た。
【0044】
[比較例3]
紡糸張力を0.08cN/dtexに調整することおよび空気噴射孔が2個のインターレースノズルを使用すること以外は実施例1と同じ方法、条件でポリエステル半延伸糸を得た。該半延伸糸を、実施例1と同じ方法、条件で延伸し、熱セットヒーター(接触式)での熱セットを行うことなく、ポリエステル斑糸とした(表1に物性を示す)。得られたポリエステル斑糸を前述の方法で製織およびスパナイズ外観、ドライ感の評価を実施し表2に示す結果を得た。
【0045】
[比較例4]
紡糸張力を0.4cN/dtexに調整することおよび空気噴射孔が7個のインターレースノズルを使用すること以外は実施例1と同じ方法、条件でポリエステル斑糸を得た(表1に物性を示す)。得られたポリエステル斑糸を前述の方法で製織およびスパナイズ外観、ドライ感の評価を実施し表2に示す結果を得た。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、製織性を損ねること無く、優れたスパナイズ外観およびドライ感を有するポリエステル布帛を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル斑糸のスペクトログラフの1例を示す図。
【図2】従来のポリエステル斑糸のスペクトログラフの1例を示す図。

Claims (3)

  1. 長さ方向に太細がある単繊維を含むマルチフィラメント糸条において、該糸条が下記(1)〜(2)の条件を満足することを特徴とするポリエステル斑糸。
    (1)ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上に、周期4〜10cmと周期50〜150cmにそれぞれピーク値(Pmax1、Pmax2)が存在し、且つそのピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5〜4.0である。
    (2)熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、80〜200℃の間で温度上昇とともに増大し、かつ80〜100℃において各々10cN/dtex以下および0.5%以下である。
  2. ポリエステル中に微細孔形成剤を含有する請求項1記載のポリエステル斑糸。
  3. 微細孔形成剤が下記一般式で表される金属塩化合物である請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリエステル斑糸。
    Figure 0003863051
    [式中、M及びM′は金属、Rは水素原子又はエステル形成性官能基、nは1又は2を示す]。
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