JP2001207339A - 部分中空ポリエステル糸およびその製造方法 - Google Patents

部分中空ポリエステル糸およびその製造方法

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JP2001207339A
JP2001207339A JP2000020005A JP2000020005A JP2001207339A JP 2001207339 A JP2001207339 A JP 2001207339A JP 2000020005 A JP2000020005 A JP 2000020005A JP 2000020005 A JP2000020005 A JP 2000020005A JP 2001207339 A JP2001207339 A JP 2001207339A
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polymer
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Takashi Ochi
隆志 越智
Akira Kidai
明 木代
Mototada Fukuhara
基忠 福原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、上記欠点を解決し、風合い、布帛表
面審美性に優れ、さらに軽量性、保温性にも優れた布帛
を形成するための工程通過性に優れた部分中空ポリエス
テル糸およびその製造方法を提供するものである。 【解決手段】実質的にポリエステルであるポリマー
(A)を鞘部に配し、伸長粘度の温度依存性がポリマ
(A)のそれよりも大きいポリマー(B)を芯鞘複合糸
全体の重量に対し1〜15重量%芯部に配した芯鞘複合
糸であって、芯部に配したポリマー(B)が切断され中
空部を部分的に形成しており、中実部分の長さが平均で
10〜100μm、中空部の長さが平均で5〜100μ
mであり、強度が3.0cN/dtex以上、伸度が2
0〜50%であることを特徴とする部分中空ポリエステ
ル糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は風合い、布帛表面審
美性に優れ、さらに軽量感、保温感にも優れた工程通過
性に優れた部分中空ポリエステル糸およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは機械的特性をはじめ様々
な優れた特性を有しているため衣料用途をはじめ各種分
野に利用されている。しかしながら、ポリエステル糸を
使用した布帛は天然繊維を使用したものに比べると、表
面タッチが単調であり微妙なふくらみ感やソフト感に欠
け、風合いに劣るものであった。さらに、表面外観も単
調であり、天然繊維布帛の微妙な色調変化や美しい光沢
のある布帛表面審美性に優れたものに比べると安物イメ
ージが払拭できないものであった。このため、衣料用途
では天然繊維をターゲットとして品質の改良が行われて
きた。
【0003】例えば、特開昭50−157617号公報
には芯成分がポリスチレン、鞘成分がポリエステルであ
る芯鞘複合糸であり、多数の節状部と細糸部を有し、か
つ細糸部分において芯成分が欠落し中空状を呈している
部分中空糸が提案されている。そして、節状部と細糸部
が数mmオーダーピッチで連続して存在することによ
り、従来ポリエステル糸の欠点である、単調な風合いが
改善されることが記載されている。しかしながら、風合
い向上に充分な効果を得られるには至っていなかった。
これは、節状部と細糸部のピッチが数mmオーダーでは
まだ長いためであると考えられる。さらに、節状部と細
糸部のピッチが数mmピッチでは布帛にした際、天然繊
維様の微妙な色合いと言うよりは染色斑として認識さ
れ、かえって品位の低下を招いていた。さらに、糸強度
が2.6cN/dtexと低く、撚糸や布帛形成の際の
糸切れが多く、また布帛の引き裂き強力も低いため様々
なトラブルが発生していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点を
解決し、風合い、布帛表面審美性に優れ、さらに軽量
性、保温性にも優れた布帛を形成するための工程通過性
に優れた部分中空ポリエステル糸およびその製造方法を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、実質的にポ
リエステルであるポリマー(A)を鞘部に配し、伸長粘
度の温度依存性がポリマ(A)のそれよりも大きいポリ
マー(B)を芯鞘複合糸全体の重量に対し1〜15重量
%芯部に配した芯鞘複合糸であって、芯部に配したポリ
マー(B)が切断され中空部を部分的に形成しており、
中実部分の長さが平均で10〜100μm、中空部の長
さが平均で5〜100μmであり、強度が3.0cN/
dtex以上、伸度が20〜50%であることを特徴と
する部分中空ポリエステル糸により達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】鞘部に配するポリマー(A)とし
て用いるポリエステルとはエステル結合を有するポリマ
ーのことを指すが、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)が最も汎用的であり好ましい。また、ジオール成分
および酸成分の一部が各々15mol%以下の範囲で他
の共重合可能な成分で置換されたものであってもよい。
また、これらは他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止
剤、顔料などの添加物を含有していても良い。さらに、
ポリエステルが内部粒子形成能を有する化合物を含んで
いると、形成された内部粒子が繊維内部で光を乱反射
し、シルク様の美しい光沢が得られ好ましい。内部粒子
形成能を有する化合物としては酢酸ナトリウム、酢酸カ
ルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の
弱酸塩が挙げられるが、酢酸カルシウムが最も好まし
い。なお、本発明で言う内部粒子とは、添加された内部
粒子形成能を有する化合物とポリエステルまたはそれに
含まれるオリゴマーや不純物が複合体を形成し、ポリエ
ステル中に析出した微粒子のことを言うものである。そ
して形成される内部粒子の大きさは、ポリエステルを溶
融状態で顕微鏡で観察した時、平均径として0.01〜
5μm程度であることが好ましい。
【0007】芯部に配するポリマー(B)としては伸長
粘度の温度依存性がポリマー(A)のそれよりも大きい
ポリマーを用いることが重要である。これの選定方法は
特開平8−246247号公報に記載されている。すな
わち、ポリマー(A)とポリマー(B)をそれぞれ溶融
紡糸し、紡糸線に沿って糸温度(T)、糸速度(V)、
複屈折度(Δn)をオンラインで計測する。そして、糸
速度から糸変形速度(dV/dx)、複屈折度から応力
光学係数を用いて紡糸応力を(σ)を求め、変形速度勾
配と紡糸応力から伸長粘度(ηe)を次式で計算する。
ここでは、xは口金からの距離である。
【0008】ηe=σ/(dV/dx) そして、1/T(x)−logηe(x)プロットの傾
きから伸長粘度の温度依存性を求めることができる。ポ
リマー(A)としてPETを用いた場合には、ポリマー
(B)としてはポリスチレン系ポリマー、ポリアクリレ
ート系ポリマー、メチルペンテン系ポリマー等が挙げら
れる。耐熱性の点からポリスチレン系ポリマーおよびメ
チルペンテン系ポリマーが好ましく、さらにコストの点
からポリスチレン系ポリマーが最も好ましい。
【0009】また、ポリマー(B)の粘度は高い方が、
後述するポリマー(B)の切断による中空部を発生させ
易く、また中実部分/中空部分の発生ピッチが微小化
し、好ましい。ポリマー(B)がポリスチレンの場合、
粘度の指標であるメルトフローレート(MFR、値が小
さいほど高粘度であることを示す)は好ましくは3.0
以下、より好ましくは1.5以下である。
【0010】ポリマー(B)は芯鞘複合糸の芯部に配置
し、繊維表面に露出しないことが重要である。ポリマー
(B)が繊維表面に露出すると、本発明のポイントであ
るポリマー(B)の切断による中空部が形成できない。
また、延伸や糸加工時に融着したり、布帛にした後染色
した際くすみが見られる等のトラブルが発生してしま
う。なお、芯鞘複合の形態は同心円でも偏心でも良い。
【0011】芯部に配するポリマー(B)の芯鞘複合糸
全体に対する複合比は1重量%以上であれば、後述する
ポリマー(B)の切断による中空部の寄与が大きくな
り、ソフト感、反発感、軽量性、保温性を向上できる。
一方、ポリマー(B)の複合比が過度に高くなると製糸
性が悪化したり、糸強度が低下するため、ポリマー
(B)の複合比は15重量%以下であることが重要であ
る。特に異形断面繊維では、アルカリ減量した際、鞘部
のポリマー(A)が除去されるためポリマー(B)が繊
維表面に露出し易くなる。そのため、ポリマー(B)の
複合比は10重量%以下であることが好ましい。
【0012】本発明の部分中空ポリエステル糸では芯部
に配されたポリマー(B)が切断され、しかも切断され
た部分が中空部を形成していることが特に重要である。
この一例を図1に示すが、ポリマー(B)が存在してい
る中実部とポリマー(B)の切断により形成された中空
部が数10μmオーダーで交互に存在している。そし
て、この数10μmオーダーで中空部が存在しているこ
とにより、通常の中実糸に比べ曲げ剛性を低下させ、延
伸が充分なされ強度が高い糸であっても充分なソフト感
を発現させるのである。また、この中空部がクッション
の役割を果たし、さらにソフト感を向上させるのみなら
ず、糸の反発感も飛躍的に向上しているのである。この
中実部の平均長さは10〜100μm、中空部の平均長
さが5〜100μmであることがソフト感、反発感の向
上のために重要である。また、特開昭50−15761
7号公報記載の部分中空糸では、中実部が完全な円筒形
をしているため、中実部/中空部/鞘部で囲まれる界面
のエッジが直角に切り立った形状となっていた。しか
し、本発明の部分中空ポリエステル糸では図1に示した
ように、中空部のエッジが切り立っておらず界面が多角
面や曲面で形成されていると、繊維軸に垂直方向(半径
方向)の力に対してスムーズに変形し力を吸収し易くク
ッション性が向上し、好ましい。さらに、中実部/中空
部が数10〜数100μmオーダーのピッチで存在する
ことにより、微妙な色合い変化、美しい光沢が得られ、
布帛表面審美性が向上するのである。また、毛細管現象
が発現しやすく、吸水性も向上する。ここで、中空部と
は繊維軸方向の長さが1μm以上のものを言い、中実部
に所々入る場合があるクラックは中空部には含めない。
【0013】さらに、本発明の部分中空ポリエステル糸
は中実部分と中空部分の分子配向度が異なっていると、
独特の繊細なソフトでドライな触感、光の乱反射による
美しい光沢がさらに強調され好ましい。この一例を図2
(偏光顕微鏡下での側面写真)に示すが、中実部と中空
部で干渉縞の見え方が異なっている。これは、中実部と
中空部の分子配向が異なっていることを示しており、こ
のように本発明の糸は数10μmオーダーという超微細
なピッチで糸長手方向に配向が異なる部分が存在するも
のであることが好ましい。
【0014】以上のように、本発明の部分中空ポリエス
テル糸は中実部/中空部のピッチが特開昭50−157
617号公報記載の部分中空糸に比べてはるかに微細化
しているため、従来の部分中空糸とは異なり、ウースタ
ー斑(U%)のようなマクロな太細としては認識され
ず、布帛にした際、染色斑や収縮斑が発生し難いのであ
る。U%は好ましくは2.0%、より好ましくは1.0
%以下である。
【0015】ところで、通常のPET糸は比重が1.3
7程度であるが、本発明の中空ポリエステル糸は中空部
を有しており、さらにポリマー(B)としてポリスチレ
ンやポリメチルペンテン等の軽量性ポリマーを使用する
と見かけ比重が通常PET糸に比べ小さくなり、大きな
軽量効果を得ることができる点も本発明の特徴の一つで
ある。なお、ポリスチレンは比重1.1、ポリメチルペ
ンテンは0.8である。さらに、この中空部により保温
性も通常の中実PET糸に比べ向上するのである。
【0016】本発明の部分中空ポリエステル糸は布帛形
成の際の工程通過性や布帛の引き裂き強力を確保するた
めには強伸度特性が高いことが重要である。糸の強度は
3.0cN/dtex以上とすることが重要である。強
度は好ましくは3.5cN/dtex以上である。さら
に、糸の伸度は20〜50%とすることが重要である。
伸度は好ましくは30〜45%である。
【0017】また、布帛の後処理過程でのシワの発生を
防ぐためには、本発明の部分中空ポリエステル糸の沸騰
水収縮率(BWS)は0〜10%であることが好まし
い。BWSはより好ましくは4〜8%である。
【0018】本発明の部分中空ポリエステル糸の断面形
状には特に制限は無く、丸断面、多葉断面、十字型、H
型、W型等の異形断面、中空断面等を採用することがで
きる。ドライ感やきしみ感を得るためには三葉、六葉、
八葉等の多葉断面が好ましい。さらにシルク様の光沢を
強調するためには三葉断面が特に好ましい。また、単糸
繊度も特に制限はないが、混繊糸の鞘糸に使用する場合
を考えると、単糸繊度は0.3〜5.0dtexが好ま
しい。より好ましくは0.6〜3.0dtexである。
【0019】また、本発明の部分中空ポリエステル糸は
高収縮糸やサイドバイサイド複合糸と混用して用いると
さらにふくらみ感が向上し好ましい。
【0020】さらに、制電性や吸湿性を向上させる目的
で、布帛形成後の後処理によりポリマー(B)に機能性
分子を共重合等により組み込むことももちろん可能であ
る。
【0021】本発明の部分中空ポリエステル糸は、例え
ば以下のような製造方法により得ることができる。すな
わち、実質的にポリエステルであるポリマー(A)を鞘
部に配し、伸長粘度の温度依存性がポリマ(A)のそれ
よりも大きいポリマー(B)を芯鞘複合糸全体の重量に
対し1〜15重量%芯部に配した芯鞘複合糸を紡糸速度
2500〜7000m/分で紡糸した後、延伸温度が9
0〜120℃、熱セット温度が100〜180℃で延伸
−熱処理を行い、芯部に配したポリマー(B)が切断さ
れた中空部を部分的に形成させるものである。
【0022】さらに述べるならば、本発明の部分中空ポ
リエステル糸としては芯部にポリスチレン、鞘部にPE
Tを配した芯鞘複合糸を好ましくは紡糸温度280〜3
00℃で、かつ紡糸速度2500〜7000m/分で紡
糸し、一旦高配向未延伸糸(POY)を巻き取る。この
POYを延伸温度90〜120℃、熱セット温度100
〜180℃として延伸する。この時、部分中空ポリエス
テル糸の伸度が20〜50%となるように延伸倍率を設
定すると、芯部のポリマー(B)を容易に数10μmオ
ーダーで切断できるのである。また、ポリマー(B)に
よる高伸度化効果により同一紡速で巻き取ったPET単
独のPOYに比べ延伸倍率を高く設定することが可能で
あり、生産性を向上させることができる。また、紡糸し
た糸を一旦巻き取ることなくそのまま延伸する紡糸直接
延伸法を採用することももちろん可能である。
【0023】本発明により得られた糸は織編物などの布
帛となし、ブラウス、スーツ、パンツ、コート等の衣料
用途に好適に用いられる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール中25℃で測定した。 B.メルトフローレート(MFR) ISO R 1133にしたがい、200℃、5kg荷
重で測定した。 C.沸騰水収縮率(BWS) BWS(%)=[(L0 −L1 )/L0 )]×100
(%) L0 :糸をかせ取りし初荷重0.09cN/dTex下
で測定したかせの原長 L1 :L0 を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態
で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.09c
N/dTex下でのかせ長 D.強度および伸度 JIS規格 L1013にしたがい荷重−伸長曲線を求
め、最大荷重を初期試料繊度で割り強度とし、伸びを初
期試料長で割り伸度とした。 E.中実部、中空部の平均長 繊維側面を光学顕微鏡で200μmにわたって観察し、
そこでの中実部長、中空部長を測定する。それぞれ10
0箇所づつ測定しそれの平均値を求めた。 F.ウースター斑(U%) Zellweger社製 USTER TESTER
1 ModelCを使用し、8m/分の速度で糸を給糸
しながらノーマルモードで測定を行った。 G.布帛評価 得られた糸に撚り係数3500の弱撚を施し、乾熱80
℃にて撚り止めセットを行った。そして、これを経糸お
よび緯糸に用いて平織りを作製し、常法により10重量
%のアルカリ減量を施した後、分散染料で青色に染色を
施した。そして、布帛のソフト感、布帛表面審美性、軽
量感、保温性について官能評価を1〜5級で行い、3級
以上(5級が最も良い)を合格とした。
【0025】実施例1 ポリマー(A)として極限粘度0.63で内部粒子形成
能を有する化合物を含まず、酸化チタンをPETに対し
0.30重量%含むホモPETを用い、ポリマー(B)
として旭化成工業(株)社製ポリスチレンである“スタ
イロン”685(MFR=2.1)を用いた。そして、
PETを290℃、ポリスチレンを210℃でそれぞれ
溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィ
ルター2を用い濾過を行った後、孔数36の丸孔口金3
からポリスチレンを芯部に配した同心円芯鞘複合糸とし
て紡糸温度290℃で吐出した(図3)。この時、ポリ
スチレンの複合比は5重量%であった。そして、口金下
1.8mでガイド給油装置6により集束給油した後、紡
糸速度を6000m/分として糸条を引き取り、137
dtex、36フィラメントのPOYを巻取糸10とし
て巻き取った(図3)。この時の第1ローラー8および
第2ローラー9の周速は同一とし、これを紡糸速度とし
た。
【0026】このPOYを1対のホットローラーを有す
る延伸機を用いて延伸熱処理をした(図4)。この時、
延伸倍率は1.65倍、第1ホットローラー(1HR)
13の温度は102℃、第2ホットローラー(2HR)
14の温度は120℃、延伸速度950m/分とし、糸
条を第1ホットローラー(1HR)13および第2ホッ
トローラー(2HR)14にそれぞれ6回巻き付けた。
【0027】得られた部分中空ポリエステル糸の物性を
表1に示すが、優れた強伸度特性を示した。また、芯部
に配したポリスチレンが切断されており、糸長手方向に
数10μmオーダーの配向斑を有するものとなってい
た。これを用いた布帛はソフトで布帛表面審美性、軽量
感、保温性に優れていた。しかも繊細なふくらみ感、ド
ライタッチを有する優れた風合いであった。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】実施例2 ポリスチレンの複合比を12重量%とし、吐出量を変更
して実施例1と同様に紡糸を行い、154dtex、3
6フィラメントのPOYを巻き取った。このPOYを用
い、延伸倍率を1.85倍として実施例1と同様に延伸
を行った。
【0031】得られた部分中空ポリエステル糸の物性を
表1に示すが、問題となるほどではないが若干糸強度が
低いものであった。また、芯部に配したポリスチレンが
切断されており、糸長手方向に数10μmオーダーの配
向斑を有するものとなっていた。これを用いた布帛はソ
フトで布帛表面審美性、軽量感、保温性に優れていた。
ただし、問題となるほどではないが、布帛形成時に若干
糸切れが発生した。
【0032】実施例3 ポリスチレンを旭化成工業(株)社製ポリスチレン“ス
タイロン”8259(MFR=1.1)とし、吐出量を
変更して実施例1と同様に紡糸を行い、143dte
x、36フィラメントのPOYを巻き取った。このPO
Yを用い、延伸倍率を1.85倍として実施例1と同様
に延伸を行った。
【0033】得られた部分中空ポリエステル糸の物性を
表1に示すが、優れた強伸度特性を示した。また、芯部
に配したポリスチレンが切断されており、糸長手方向に
数10μmオーダーの太細、配向斑を有するものとなっ
ていた。これを用いた布帛はソフトで布帛表面審美性、
軽量感、保温性に優れていた。
【0034】比較例1 実施例1で使用したホモPETを290℃で溶融し、絶
対濾過径15μmのステンレス製不織布フィルター2を
用い濾過を行った後、孔数36の丸孔口金3からホモP
ET単独糸として紡糸温度290℃で吐出した(図
3)。そして、口金下1.8mでガイド給油装置6によ
り集束給油した後、紡糸速度を6000m/分として糸
条を引き取り、89dtex、36フィラメントのPO
Yを巻取糸10として巻き取った(図3)。
【0035】このPOYを1対のホットローラーを有す
る延伸機を用いて延伸熱処理をした。この時、延伸倍率
は1.07倍、第1ホットローラー(1HR)13の温
度は93℃、第2ホットローラー(2HR)14の温度
は132℃、延伸速度950m/分とし、糸条を第1ホ
ットローラー(1HR)13および第2ホットローラー
(2HR)14にそれぞれ6回巻き付けた。
【0036】得られたホモPET単独糸の物性を表1に
示すが、優れた強伸度特性を示した。しかし、得られた
布帛はソフト感、布帛表面審美性に欠け、軽量感、保温
感にも乏しいものであった。
【0037】比較例2 延伸倍率を1.03倍として実施例1と同様に延伸を行
った。得られた糸の物性を表1に示すが、低強度高伸度
であり、中実部の平均長が1500μm、中空部の平均
長が3μmであった。得られた布帛は布帛表面審美性に
欠け、軽量感、保温感にも乏しいものであった。
【0038】比較例3 紡糸速度を800m/分とした以外は実施例1と同様に
して261dtex、36フィラメントの低配向未延伸
糸を巻き取った。そして、これに延伸倍率3.15倍と
した以外は実施例1と同様に延伸熱処理を施した。得ら
れた糸の物性を表1に示すが中実部長が750μm
(0.75mm)、中空部長が600μm(0.60m
m)、U%=3.5%となり、芯ポリスチレンの切断が
糸斑として認識されるものであった。このため、得られ
た布帛は布帛表面審美性に欠けるものであった。
【0039】実施例4 ポリマー(A)として極限粘度0.63で内部粒子形成
能を有する化合物として酢酸カルシウムをPETに対し
0.07重量%含み、酸化チタンを含まないホモPET
を295℃で溶融し三葉断面の鞘部に、実施例1で用い
たポリスチレンを210℃で溶融し三葉断面の芯部に配
した芯鞘複合糸を紡糸温度290℃で吐出した。この
時、ポリスチレン複合比を4重量%とした。そして、紡
糸速度3500m/分として実施例1と同様に162d
tex、36フィラメントのPOYを巻き取った。
【0040】このPOYを延伸倍率を1.95、1HR
13の温度98℃、2HR14の温度132℃として実
施例1と同様に延伸熱処理した。
【0041】得られた部分中空ポリエステル糸の物性を
表1に示すが、優れた強伸度特性を示した。また、芯部
に配したポリスチレンが切断されており、糸長手方向に
数10μmオーダーの配向斑を有するものとなってい
た。これを用いた布帛はソフトで布帛表面審美性、軽量
感、保温性に優れていた。しかも繊細なふくらみ感、ド
ライタッチを有する優れた風合いであった。さらに、三
葉断面、内部粒子の効果により美しいシルク様光沢を有
するものであった。
【0042】実施例5 図5の装置を用い、紡糸直接延伸とし、口金、吐出量を
変更して実施例4と同様に紡糸を行った。この時、第1
ホットネルソンローラー(1HNR)17の速度を27
00m/分、第2ホットネルソンローラー(2HNR)
18の速度を5400m/分、1HNR17の温度を1
05℃、2HNR18の温度を165℃とし、糸条を第
1ホットネルソンローラー(1HNR)17および第2
ホットネルソンローラー(2HNR)18にそれぞれ6
回巻き付け、巻取糸19を巻き取るワインダーの速度を
4655m/分とした。得られた部分中空ポリエステル
糸は丸断面56dtex、72フィラメントであった。
【0043】得られた部分中空ポリエステル糸の物性を
表1に示すが、優れた強伸度特性を示した。また、芯部
に配したポリスチレンが切断されており、糸長手方向に
数10μmオーダーの配向斑を有するものとなってい
た。これを用いた布帛はソフトで布帛表面審美性、軽量
感、保温性に優れていた。しかも繊細なふくらみ感、ド
ライタッチを有する優れた風合いであり、内部粒子の効
果により美しいシルク様光沢を有するものであった。し
かも極細糸の効果により特にソフト感に優れたものであ
った。
【0044】
【発明の効果】本発明においては、上記の構成とするこ
とにより、風合い、布帛表面審美性に優れ、さらに軽量
性、保温性にも優れた布帛を形成するための工程通過性
に優れた部分中空ポリエステル糸およびその製造方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部分中空ポリエステル糸の繊維の形状
の一例を示す顕微鏡写真である。
【図2】本発明の部分中空ポリエステル糸の超微細配向
斑を表す繊維の形状の一例を示す顕微鏡写真である。
【図3】紡糸、巻き取り装置を表す図である。
【図4】延伸装置を表す図である。
【図5】紡糸直接延伸装置を表す図である。
【符号の説明】
1:スピンブロック 2:不織布フィルター 3:口金 4:チムニー 5:糸条 6:給油ガイド 7:インターレースノズル 8:第1ローラー 9:第2ローラー 10:巻取糸 11:供給糸 12:フィードローラー 13:第1ホットローラー(1HR) 14:第2ホットローラー(2HR) 15:コールドドローローラー 16:延伸糸 17:第1ホットネルソンローラー(1HNR) 18:第2ホットネルソンローラー(2HNR) 19:巻取糸
フロントページの続き Fターム(参考) 4L036 MA05 MA15 MA19 PA01 PA03 RA14 UA01 4L041 AA08 AA09 AA10 AA20 AA25 BA02 BA05 BA21 BA24 BA38 BA41 BC04 BC05 BC06 BC13 BC20 CA06 CA47 CB05 CB06 DD03 DD14 DD21 EE01 4L045 AA05 BA03 BA18 BA25 BA49 BA50 BA51 BA60 CA09 CA25 CB13 DA42 DA49 DC04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的にポリエステルであるポリマー
    (A)を鞘部に配し、伸長粘度の温度依存性がポリマ
    (A)のそれよりも大きいポリマー(B)を芯鞘複合糸
    全体の重量に対し1〜15重量%芯部に配した芯鞘複合
    糸であって、芯部に配したポリマー(B)が切断され中
    空部を部分的に形成しており、中実部分の長さが平均で
    10〜100μm、中空部の長さが平均で5〜100μ
    mであり、強度が3.0cN/dtex以上、伸度が2
    0〜50%であることを特徴とする部分中空ポリエステ
    ル糸。
  2. 【請求項2】ポリマー(B)がポリスチレン系ポリマー
    であることを特徴とする請求項1記載の部分中空ポリエ
    ステル糸。
  3. 【請求項3】中実部/中空部/鞘部で囲まれる界面にお
    いて中空部のエッジが多角面あるいは曲面であることを
    特徴とする請求項1または2記載の部分中空ポリエステ
    ル糸。
  4. 【請求項4】実質的にポリエステルであるポリマー
    (A)を鞘部に配し、伸長粘度の温度依存性がポリマ
    (A)のそれよりも大きいポリマー(B)を芯鞘複合糸
    全体の重量に対し1〜15重量%芯部に配した芯鞘複合
    糸を紡糸速度2500〜7000m/分で紡糸した後、
    延伸温度が90〜120℃、熱セット温度が100〜1
    80℃で延伸−熱処理を行い、芯部に配したポリマー
    (B)が切断された中空部を部分的に形成させることを
    特徴とする部分中空ポリエステル糸の製造方法。
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