JP2001207340A - 部分中空ポリエステル糸の製造方法 - Google Patents

部分中空ポリエステル糸の製造方法

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JP2001207340A
JP2001207340A JP2000020006A JP2000020006A JP2001207340A JP 2001207340 A JP2001207340 A JP 2001207340A JP 2000020006 A JP2000020006 A JP 2000020006A JP 2000020006 A JP2000020006 A JP 2000020006A JP 2001207340 A JP2001207340 A JP 2001207340A
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Takashi Ochi
隆志 越智
Akira Kidai
明 木代
Mototada Fukuhara
基忠 福原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、従来技術の欠点を解決し、風合い、
布帛表面審美性、軽量性に優れた布帛を形成するための
部分中空ポリエステル糸の低コスト製造方法を提供する
ものである。 【解決手段】実質的にポリエステルであるポリマー
(A)を鞘部に配し、伸長粘度の温度依存性がポリマ
(A)のそれよりも大きいポリマー(B)を芯鞘複合糸
全体の重量に対し2〜15重量%芯部に配した芯鞘複合
糸を紡糸し、95%細化終了点での糸温度を100℃以
下とし、巻き取りまでに芯部に配したポリマー(B)が
切断され部分的に中空部を形成させることを特徴とする
部分中空ポリエステル糸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は風合い、布帛表面審
美性、軽量感に優れた部分中空ポリエステル糸の低コス
ト製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは機械的特性をはじめ様々
な優れた特性を有しているため衣料用途をはじめ各種分
野に利用されている。しかしながら、ポリエステル糸を
使用した布帛は天然繊維を使用したものに比べると、表
面タッチが単調であり微妙なふくらみ感やソフト感に欠
け、風合いに劣るものであった。さらに、表面外観も単
調であり、天然繊維布帛の微妙な色調変化や美しい光沢
のある布帛表面審美性に優れたものに比べると安物イメ
ージが払拭できないものであった。このため、衣料用途
では天然繊維をターゲットとして品質の改良が行われて
きた。
【0003】例えば、特開昭50−157617号公報
には芯成分がポリスチレン、鞘成分がポリエステルであ
る芯鞘複合糸であり、多数の節状部と細糸部を有し、か
つ細糸部分において芯成分が欠落し中空状を呈している
部分中空糸が提案されている。そして、節状部と細糸部
が数mmオーダーという短いピッチで連続して存在する
ことにより、従来ポリエステル糸の欠点である、単調な
風合い、低吸水性が改善されることが記載されている。
しかしながら、風合い、吸水性向上に充分な効果を得ら
れるには至っていなかった。これは、節状部と細糸部の
ピッチが数mmオーダーではまだ長いためであると考え
られる。さらに、節状部と細糸部のピッチが数mmピッ
チでは布帛にした際、天然繊維様の微妙な色合いと言う
よりは染色斑として認識され、かえって品位の低下を招
いていた。また、800m/分という低紡糸速度で一旦
巻き取った糸をあらためて熱延伸するという製造方法を
用いており、極めて生産性が低く高コストのものであっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点を
解決し、風合い、布帛表面審美性、軽量性に優れた布帛
を形成するための部分中空ポリエステル糸の低コスト製
造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、実質的にポ
リエステルであるポリマー(A)を鞘部に配し、伸長粘
度の温度依存性がポリマ(A)のそれよりも大きいポリ
マー(B)を芯鞘複合糸全体の重量に対し2〜15重量
%芯部に配した芯鞘複合糸を紡糸し、95%細化終了点
での糸温度を100℃以下とし、巻き取りまでに芯部に
配したポリマー(B)が切断された中空部を部分的に形
成させることを特徴とする部分中空ポリエステル糸の製
造方法により達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】鞘部に配するポリマー(A)とし
て用いるポリエステルとはエステル結合を有するポリマ
ーのことを指すが、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)が最も汎用的であり好ましい。また、ジオール成分
および酸成分の一部が各々15mol%以下の範囲で他
の共重合可能な成分で置換されたものであってもよい。
また、これらは他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止
剤、顔料などの添加物を含有していても良い。さらに、
ポリエステルが内部粒子形成能を有する化合物を含んで
いると、形成された内部粒子が繊維内部で光を乱反射
し、シルク様の美しい光沢が得られ好ましい。内部粒子
形成能を有する化合物としては酢酸ナトリウム、酢酸カ
ルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の
弱酸塩が挙げられるが、酢酸カルシウムが最も好まし
い。なお、本発明で言う内部粒子とは、添加された内部
粒子形成能を有する化合物とポリエステルまたはそれに
含まれるオリゴマーや不純物が複合体を形成し、ポリエ
ステル中に析出した微粒子のことを言うものである。そ
して形成される内部粒子の大きさは、ポリエステルを溶
融状態で顕微鏡で観察した時、平均径として0.01〜
5μm程度であることが好ましい。
【0007】芯部に配するポリマー(B)としては伸長
粘度の温度依存性がポリマー(A)のそれよりも大きい
ポリマーを用いることが重要である。これの選定方法は
特開平8−246247号公報に記載されている。すな
わち、ポリマー(A)とポリマー(B)をそれぞれ溶融
紡糸し、紡糸線に沿って糸温度(T)、糸速度(V)、
複屈折度(Δn)をオンラインで計測する。そして、糸
速度から糸変形速度(dV/dx)、複屈折度から応力
光学係数を用いて紡糸応力を(σ)を求め、変形速度勾
配と紡糸応力から伸長粘度(ηe)を次式で計算する。
ここでは、xは口金からの距離である。
【0008】ηe=σ/(dV/dx) そして、1/T(x)−logηe(x)プロットの傾
きから伸長粘度の温度依存性を求めることができる。ポ
リマー(A)としてPETを用いた場合には、ポリマー
(B)としてはポリスチレン系ポリマー、ポリアクリレ
ート系ポリマー、メチルペンテン系ポリマー等が挙げら
れる。耐熱性の点からポリスチレン系ポリマーおよびメ
チルペンテン系ポリマーが好ましく、さらにコストの点
からポリスチレン系ポリマーが最も好ましい。
【0009】また、ポリマー(B)の粘度は高い方が、
後述するポリマー(B)の切断による中空部を発生させ
易く、また中実部分/中空部分の発生ピッチが微小化
し、好ましい。ポリマー(B)がポリスチレンの場合、
粘度の指標であるメルトフローレート(MFR、値が小
さいほど高粘度であることを示す)は好ましくは3.0
以下、より好ましくは1.5以下である。
【0010】ポリマー(B)は芯鞘複合糸の芯部に配置
し、繊維表面に露出しないことが重要である。ポリマー
(B)が繊維表面に露出すると、本発明のポイントであ
るポリマー(B)の切断による中空部が形成できない。
また、糸加工時に融着したり、布帛にした後染色した際
くすみが見られる等のトラブルが発生してしまう。な
お、芯鞘複合の形態は同心円でも偏心でも良い。
【0011】芯部に配するポリマー(B)の芯鞘複合糸
全体に対する複合比は2重量%以上であれば、後述する
ポリマー(B)の切断による中空部の寄与が大きくな
り、ソフト感、反発感、軽量性、保温性を向上できる。
また、複合比を2重量%以上とすることにより、後述す
る95%細化終了点の糸温度を100℃以下とすること
ができるのである。一方、ポリマー(B)の複合比が過
度に高くなると製糸性が悪化したり、糸強度が低下する
ため、ポリマー(B)の複合比は15重量%以下である
ことが重要である。特に異形断面繊維では、アルカリ減
量した際、鞘部のポリマー(A)が除去されるためポリ
マー(B)が繊維表面に露出し易くなる。そのため、ポ
リマー(B)の複合比は10重量%以下であることが好
ましい。
【0012】本発明では、上記したポリマーの組み合わ
せを採用するとともに、紡糸の際、95%細化終了点で
の糸温度を100℃以下とすることが重要である。ここ
で、95%細化終了点とは、レーザードップラー糸速度
計で測定した糸速度が、紡糸速度の95%に達した位置
のことを言うものである。また、糸温度は非接触式の糸
温度計で測定することができる。95%細化終了点での
糸温度を100℃以下とすることにより、ポリマー
(B)を切断し、空孔、すなわち中空部を形成させるこ
とができる。95%細化終了点での糸温度は好ましくは
90℃以下である。
【0013】このように、95%細化終了点での糸温度
を特定することにより、部分中空糸が得られる理由は以
下のように考えられる。すなわち、95%細化終了点で
は糸の塑性変形、すなわち紡糸線上での糸の引き延ばし
はほとんど終了しており、巻き取られる糸の特性、繊維
構造もほとんど完成している。そして、ポリマー(B)
はポリマー(A)として用いるポリエステルよりも10
0℃付近での延伸性が乏しいため、100℃付近で糸の
塑性変形が起きるとポリマー(B)が切断され空孔、す
なわち中空部が形成されると考えられる。
【0014】ところで、95%細化終了点での糸温度を
100℃以下とする手法に特に制限はないが、紡糸速度
6000m/分以上の超高速紡糸による急冷効果を利用
することが最も簡易であり好ましい。ただし、紡糸速度
を過度に上げると糸切れが多発する場合があるため、紡
糸速度の上限は12000m/分とすることが好まし
い。紡糸速度は、より好ましくは7000〜10000
m/分である。もちろん、超高速紡糸以外に水冷等の種
々の急冷方法を採用することももちろん可能である。
【0015】このように、特定のポリマーの複合紡糸と
超高速紡糸を組み合わせにより、紡糸しただけで部分中
空糸が得られることは、従来の技術からは全く予想不可
能であった。しかも、紡糸速度が10倍程度と従来より
はるかに紡糸の生産性が高いことに加えて延伸工程が省
略できるため、大幅に生産コストを引き下げることが可
能となったのである。
【0016】さらに、本発明により得られる部分中空糸
は以下のような利点を備えており、従来の部分中空ポリ
エステル糸よりも優れたものである。
【0017】本発明の部分中空ポリエステル糸では芯部
に配されたポリマー(B)が部分的に切断され、しかも
切断された部分が中空部を形成していることが特に重要
である。この一例を図1に示すが、ポリマー(B)が存
在している中実部とポリマー(B)の切断により形成さ
れた中空部が数10μmオーダーで交互に存在してい
る。そして、この数10μmオーダーで中空部が存在し
ていることにより、通常の中実糸に比べ曲げ剛性を低下
させ、延伸が充分なされ強度が高い糸であっても充分な
ソフト感を発現させるのである。また、この中空部がク
ッションの役割を果たし、さらにソフト感を向上させる
のみならず、糸の反発感も飛躍的に向上しているのであ
る。この中実部の平均長さは10〜100μm、中空部
の平均長さが5〜100μmであることがソフト感、反
発感の向上のために重要である。さらに、中実部と中空
部とが数10〜数100μmオーダーのピッチで存在す
ることにより、微妙な色合い変化、美しい光沢が得ら
れ、布帛表面審美性が向上するのである。また、毛細管
現象が発現しやすく、吸水性も向上する。ここで、中空
部とは繊維軸方向の長さが1μm以上のものを言い、中
実部に所々入る場合があるクラックは中空部には含めな
い。
【0018】また、中空部が若干押しつぶされ細部とな
る形態を採ると、従来の太細糸とは比較にならないほど
超微細な、数10μmオーダーで太部/細部が交互に配
置された太細糸となり、独特の繊細なソフトでドライな
触感、光の乱反射による美しい光沢が得られ好ましい。
【0019】さらに、本発明により得られる部分中空ポ
リエステル糸は中実部分と中空部分の分子配向度が異な
っていると、独特の繊細なソフトでドライな触感、光の
乱反射による美しい光沢がさらに強調され好ましい。こ
の一例を図2(偏光顕微鏡下での側面写真)に示すが、
中実部と中空部で干渉縞の見え方が異なっている。これ
は、中実部と中空部の分子配向が異なっていることを示
しており、このように本発明により得られる部分中空糸
は数10μmオーダーという超微細なピッチで糸長手方
向に配向が異なる部分が存在するものであることが好ま
しい。
【0020】ところで、通常のPET糸は比重が1.3
7程度であるが、本発明により得られる部分中空ポリエ
ステル糸は中空部を有しており、さらにポリマー(B)
としてポリスチレンやポリメチルペンテン等の軽量性ポ
リマーを使用すると見かけ比重が通常PET糸に比べ小
さくなり、大きな軽量効果を得ることができる点も本発
明の特徴の一つである。なお、ポリスチレンは比重1.
1、ポリメチルペンテンは0.8である。さらに、この
中空部により保温性も通常の中実PET糸に比べ向上す
るのである。
【0021】また、本発明により得られる糸では糸斑の
指標であるウースター斑(U%)は2.0%以下である
と、布帛にした際、染色斑や収縮斑が発生し難く好まし
い。U%は好ましくは1.0%以下である。
【0022】本発明により得られる部分中空ポリエステ
ル糸の断面形状には特に制限は無く、丸断面、多葉断
面、十字型、H型、W型等の異形断面、中空断面等を採
用することができる。ドライ感やきしみ感を得るために
は三葉、六葉、八葉等の多葉断面が好ましい。さらにシ
ルク様の光沢を強調するためには三葉断面が特に好まし
い。また、単糸繊度も特に制限はないが、混繊糸の鞘糸
に使用する場合を考えると、単糸繊度は0.3〜5.0
dtexが好ましい。より好ましくは0.6〜3.0d
texである。
【0023】また、本発明により得られる部分中空ポリ
エステル糸は高収縮糸やサイドバイサイド複合糸と混用
して用いるとさらにふくらみ感が向上し好ましい。さら
に、制電性や吸湿性を向上させる目的で、布帛形成後の
後処理によりポリマー(B)に機能性分子を共重合等に
より組み込むことももちろん可能である。
【0024】本発明により得られる部分中空ポリエステ
ル糸は織編物などの布帛となし、ブラウス、スーツ、パ
ンツ、コート等の衣料用途に好適に用いられる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール中25℃で測定した。 B.メルトフローレート(MFR) ISO R 1133にしたがい、200℃、5kg荷
重で測定した。 C.糸速度測定 TSI社製レーザードップラー速度計LS−50Mを用
いて、紡糸線に沿って糸速度を測定した。 D.糸温度測定 赤外線放射式CCL糸温度測定装置を用いて、紡糸線に
沿って糸温度を測定した。 E.中実部、中空部の平均長 繊維側面を光学顕微鏡で200μmにわたって観察し、
そこでの中実部長、中空部長を測定する。それぞれ10
0箇所づつ測定しそれの平均値を求めた。 F.布帛評価 得られた糸に撚り係数3500の弱撚を施し、乾熱80
℃にて撚り止めセットを行った。そして、これを経糸お
よび緯糸に用いて平織りを作製し、常法により10重量
%のアルカリ減量を施した後、分散染料で青色に染色を
施した。そして、布帛のソフト感、反発感、布帛表面審
美性、軽量感について官能評価を1〜5級で行い、3級
以上(5級が最も良い)を合格とした。
【0026】実施例1〜3 ポリマー(A)として極限粘度0.63で内部粒子形成
能を有する化合物を含まず、酸化チタンをPETに対し
0.35重量%含むホモPETを用い、ポリマー(B)
として旭化成工業(株)社製ポリスチレンである“スタ
イロン”8259(MFR=1.1)を用いた。そし
て、PETを290℃、ポリスチレンを230℃でそれ
ぞれ溶融し、絶対濾過径5μmのステンレス製不織布フ
ィルター2を用い濾過を行った後、孔数36の丸孔口金
3からポリスチレンを芯部に配した同心円芯鞘複合糸と
して紡糸温度290℃で吐出した(図3)。この時、ポ
リスチレンの複合比は5重量%であった。そして、口金
下1.8mでガイド給油装置6により集束給油した後、
紡糸速度を7000、8000、9000m/分として
糸条を引き取り、90dtex、36フィラメントの部
分中空糸を巻き取った(図3)。この時の第1ローラー
8および第2ローラー9の周速は同一とし、これを紡糸
速度とした。
【0027】紡糸速度9000m/分で得られた部分中
空ポリエステル糸の糸側面の繊維の形状を示す顕微鏡写
真を図1に示すが、芯部に配したポリスチレンが切断さ
れ部分的に中空部分が形成されており、糸長手方向に数
10μmオーダーの太細、配向斑を有するものとなって
いた。
【0028】得られた部分中空ポリエステル糸の物性を
表1に示す。また、表2に示すように、これを用いた布
帛はソフトで反発感があり、布帛表面審美性、軽量感に
も優れていた。しかも繊細なふくらみ感、ドライタッチ
を有する優れた風合いであった。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】実施例4 ポリスチレンの複合比を12重量%とし、吐出量を変更
して実施例1と同様に紡糸速度12000m/分で紡糸
を行い、85dtex、36フィラメントの部分中空糸
を巻き取った。この時、問題となるほどではないが若干
糸切れが発生した。また、芯部に配したポリスチレンが
切断され部分的に中空部分が形成されており、糸長手方
向に数10μmオーダーの太細、配向斑を有するものと
なっていた。
【0032】得られた部分中空ポリエステル糸の物性を
表1に示す。また、表2に示すように、これを用いた布
帛はソフトで布帛表面審美性、軽量感に優れていた。し
かも繊細なふくらみ感、ドライタッチを有する優れた風
合いであった。
【0033】実施例5 ポリマー(A)として極限粘度0.63で内部粒子形成
能を有する化合物として酢酸カルシウムをPETに対し
0.07重量%含み、酸化チタンを含まないホモPET
を295℃で溶融し三葉断面の鞘部に、実施例1で用い
たポリスチレンを230℃で溶融し三葉断面の芯部に配
した芯鞘複合糸を紡糸温度290℃で吐出した。この
時、ポリスチレン複合比を4重量%とした。そして、紡
糸速度8000m/分として実施例1と同様に85dt
ex、36フィラメントの部分中空ポリエステル糸を巻
き取った。
【0034】得られた部分中空ポリエステル糸は、芯部
に配したポリスチレンが切断され部分的に中空部分が形
成されており、糸長手方向に数10μmオーダーの太
細、配向斑を有するものとなっていた。
【0035】得られた部分中空ポリエステル糸の物性を
表1に示す。また、表2に示すように、これを用いた布
帛はソフトで反発感があり、布帛表面審美性、軽量感に
も優れていた。しかも繊細なふくらみ感、ドライタッチ
を有する優れた風合いであった。特に、三葉断面、内部
粒子形成能を有する化合物の効果によりシルク様の美し
い光沢を持つものであった。
【0036】比較例1 実施例1で使用したホモPETを290℃で溶融し、絶
対濾過径5μmのステンレス製不織布フィルター2を用
い濾過を行った後、孔数36の丸孔口金3からホモPE
T単独糸として紡糸温度290℃で吐出した。そして、
口金下1.8mでガイド給油装置6により集束給油した
後、紡糸速度を8000m/分として糸条を引き取り、
100dtex、36フィラメントの糸を巻き取った。
【0037】しかし、部分中空糸ではないため、得られ
た布帛はソフト感、布帛表面審美性に欠け、軽量感にも
乏しいものであった。
【0038】比較例2 ポリスチレンの複合比を1重量%とし、紡糸速度を90
00m/分とした以外は実施例1と同様に紡糸を行い、
85dtex、36フィラメントの糸を巻き取った。し
かし、この時は95%細化終了点での糸温度が135℃
と高かっため、芯部に配したポリスチレンの切断が発生
せず、中空部が形成されなかった。このため、得られた
布帛はソフト感、布帛表面審美性に欠け、軽量感にも乏
しいものであった。
【0039】
【発明の効果】本発明は、上記の構成とすることによ
り、風合い、布帛表面審美性、軽量性に優れた布帛を形
成するための部分中空ポリエステル糸の低コスト製造方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部分中空ポリエステル糸の繊維の形状
の一例を示す顕微鏡写真である。
【図2】本発明の部分中空ポリエステル糸の超微細配向
斑を表す繊維の形状の一例を示す偏光顕微鏡写真であ
る。
【図3】紡糸、巻き取り装置を表す図である。
【符号の説明】
1:スピンブロック 2:不織布フィルター 3:口金 4:チムニー 5:糸条 6:給油ガイド 7:インターレースノズル 8:第1ローラー 9:第2ローラー 10:巻取糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB34 DD02 DD03 DD12 DD20 4L041 AA09 BA02 BA05 BA21 BA38 BA41 BC06 CA06 CA47 CB05 CB06 DD01 DD03 DD04 DD14 DD21 4L045 AA05 BA18 BA25 DC03 DC09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的にポリエステルであるポリマー
    (A)を鞘部に配し、伸長粘度の温度依存性がポリマ
    (A)のそれよりも大きいポリマー(B)を芯鞘複合糸
    全体の重量に対し2〜15重量%芯部に配した芯鞘複合
    糸を紡糸し、95%細化終了点での糸温度を100℃以
    下とし、巻き取りまでに芯部に配したポリマー(B)が
    切断された中空部を部分的に形成させることを特徴とす
    る部分中空ポリエステル糸の製造方法。
  2. 【請求項2】紡糸速度を6000〜12000m/分と
    することを特徴とする請求項1記載の部分中空ポリエス
    テル糸の製造方法。
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