JP2823231B2 - ポリエステルマルチフィラメント及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステルマルチフィラメント及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規なポリエステルマルチフィラメント及
びその製造方法に関する。更に詳しくは、加工工程性が
良好で、熱処理によって微細な捲縮が発現可能なポリエ
ステルマルチフィラメント及びそれを高速紡糸法によっ
て得る製造方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
ポリエステル捲縮加工糸は、混繊混紡用途や嵩高布帛
などとして広範に利用されている。
一方、ポリエステルを高速紡糸すると、紡糸速度の増
加とともに分子配向と結晶化が増大し、紡糸速度が約50
00m/分を越えて得られる繊維は、従来の低速紡糸−延伸
糸に比肩し得る十分な機械的性質を示し、延伸すること
なく編織物や起毛布帛などへ用いることが可能であるこ
とが知られている。
近年、かかる高速紡糸法によって安価に捲縮糸を得る
試みが行なわれている。
特開昭55-107511号公報、繊維学会誌Vol.37,No.4(19
81)T-135〜T-142には紡速8000m/分以上の高速紡糸時に
急冷空気によって偏冷却を行なった結果、フィラメント
断面内で複屈折率が外層と内層で差を有し、かつフィラ
メント中心から偏芯した分布を有する構造となり、紡糸
したままの繊維が弱い顕在捲縮を発現することが示され
ている。しかし、該公報によって得られる顕在捲縮繊維
は、広角X線回折法で求められる結晶化度X′cが約60
%以上と高結晶性であるために、その後の熱処理によっ
ても繊維の収縮がほとんどないので捲縮の程度が増加し
ない。従って、該公報によって得られた繊維を編織して
得られる布帛は、全く嵩高性を示さないものであった。
むしろ、ラセン状の弱い捲縮が顕在化していることで編
織などの加工時にフィラメントの集束性が不良となり、
加工不良などのトラブルを発生する欠点があった。
特開昭62-23816号公報には、紡速6,000m/分以上の高
速紡糸において、吐出フィラメントの細化終了点近傍を
液体により冷却することにより顕在捲縮繊維が得られる
ことが示されている。
しかし、該公報によっても、顕在捲縮はその後の熱処
理によって増加せず、嵩高な布帛を得ることが出来ない
ばかりか、ラセン状の捲縮が顕在化しているので加工工
程性の低下が問題であった。
従って、高速で、安価に製造され、加工工程を経るま
では実質的に非捲縮性のフィラメントであり、布帛とし
た後の熱処理によって微細な捲縮が発現し嵩高性が発現
可能なポリエステルマルチフィラメント及びその製造方
法の出現が強く望まれていた。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、編織などの加工
工程を経るまでは実質的に非捲縮性であり、その後の熱
処理によって捲縮が発現し、嵩高性が得られるポリエス
テルマルチフィラメント、及びそのマルチフィラメント
を簡便、かつ安価に製造する方法、を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の目的は、広角X線回折法によって求められる
結晶化度が50%以下であり、フィラメント断面の複屈折
率が、外層と内層で20×10-3〜100×10-3の差を有し,
且つフィラメント中心から偏芯した分布を有し、フィラ
メントの沸水収縮率が5%以上である非顕在捲縮フィラ
メントであり、その後の熱処理によって捲縮が発現可能
なポリエステルマルチフィラメントで達成される。
そして、前記の本発明のポリエステルマルチフィラメ
ントは、ポリエステルを溶融紡糸するに際し、紡口より
押出されたフィラメントを空冷し,フィラメントの温度
が250〜150℃に冷却する区域であって、フィラメントの
細化変形位置より上方5cm以上の位置で水性液を付与し
て非対称冷却し、紡糸速度5,000m/分以上で引取ること
を特徴とする方法によって製造することができる。
本発明に使用するポリエステルは、エチレンテレフタ
レートの繰返し単位を90モル%以上、好ましくは95モル
%以上含有する実質的にエチレンテレフタレートからな
るポリエステルであるが、熱および機械的安定性を損な
わない範囲で少量の第3成分を含有していても良い。
本発明のポリエステルマルチフィラメントは、後述す
る方法で測定される広角X線回折法によって求められる
結晶化度が50%以下であることが必要である。
結晶化度が50%を越えると、熱的安定性は良好となる
が、沸水収縮率が約5%以下と小さくなる。かかる低収
縮性のフィラメントでは、後述するフィラメント断面内
の複屈折率分布がいかに拡大しても、捲縮発現に結びつ
かず、布帛を熱処理しても十分な嵩高性が得られない。
布帛として熱処理した際に十分な嵩高性を与え、かつ、
過度な収縮を生じない好ましい結晶化度は、約25%〜40
%である。従って、沸水収縮率としては5〜40%、好ま
しくは10%〜30%である。
本発明のマルチフィラメントは、前記結晶化度と同時
に、複屈折率が各フィラメント断面の外層と内層で20×
10-3〜100×10-3の差を有し、且つフィラメント中心か
ら偏芯した分布を有することが必要である。フィラメン
ト断面内の複屈折率分布は、微分干渉顕微鏡を用いて後
述する方法により測定される。ここで、フィラメント断
面の外層とは、フィラメントの半径をRとした場合に、
中心から0.9Rの位置を指す。また、内層とはフィラメン
ト断面で複屈折率の最も低い位置を指す。この複屈折率
が最も低い内層は、フィラメント断面の幾何学的中心か
らxだけ偏芯している。従って、偏芯の比率はx/Rとし
て定量的に測定が可能である。
本発明のマルチフィラメントは、布帛にした後、熱処
理によって十分な嵩高性を得るには、内外層の複屈折率
差δ(Δn)が20×10-3〜100×10-3好ましくは、30×1
0-3〜100×10-3である。また、x/Rが0.05より大、好ま
しくは0.1以上を有していることにより達成される。
δ(Δn)が20×10-3未満または、複屈折率の分布の
偏芯比率x/Rが0.05未満では、布帛の嵩高性が不足す
る。
本発明のマルチフィラメントを構成するフィラメント
の単糸デニールは特に限定されないが、衣料用として用
いる場合には、単糸1〜5デニールが好ましい。
本発明のマルチフィラメントは、かかる特殊な微細構
造に基づいて、熱処理によって微細な捲縮が発現する。
捲縮の形態は非ラセン捲縮である。第1図には本発明の
マルチフィラメントを95℃の沸水処理によって捲縮を発
現させた後の顕微鏡写真を示す。第1図からも明らかな
ように、1mm単位長さ当り数回〜十数回の屈曲を有する
微細な捲縮である。かかる微細な捲縮発現によって、編
織物に嵩高性と柔軟な風合の布帛となる。
更に、本発明のポリエステルマルチフィラメントは、
公知の高速紡糸で得られるフィラメントに対し、比較的
に低いモジュラスを示すことと、沸水収縮率が大である
ことから、熱処理後の布帛は、極めて柔かな風合を与え
ることも大きな特徴である。
以下、本発明のポリエステルマルチフィラメントの製
造方法について説明する。
本発明の製造方法は、ポリエステルを溶融紡糸するに
際し、紡口より押出されたフィラメントを空冷し、フィ
ラメントの温度が150℃以下に達する以前に水性液を付
与して非対称冷却し、しかる後、紡糸速度5000m/分以上
で引取ることを特徴とするポリエステルマルチフィラメ
ントの製造方法である。更に好ましくは、紡口より押出
されたフィラメントを空冷し、フィラメントの温度が25
0℃〜150℃に冷却される区域で複数本のフィラメントを
集束し、集束部で20〜500重量パーセント(フィラメン
ト重量あたり)の水性液を付与して非対称冷却し、紡糸
速度5000〜7500m/分で引取ることを特徴とするポリエス
テルマルチフィラメントの製造方法である。
第2図に本発明の製造方法を実施する紡糸設備の略図
を示す。
第2図に於て、ポリエステルはスピンヘッド1に装着
した紡口2よりフィラメントとして押出される。紡口下
に設けられた加熱筒3を出たフィラメント4は、冷却風
チャンバー7からの冷却風で冷却され、水性液付与ノズ
ル5により非対称冷却される。次いで、給油ノズル6に
より油剤付与後、巻取機によってパッケージ8として巻
取られる。
本発明の製造方法に於ては、紡糸速度が5000m/分以上
であることが必要である。5000m/分未満では、本発明の
目的とする大きな複屈折率差δ(Δn)を有するフィラ
メントが得られない。更に、紡糸速度が5000m/分未満で
は、フィラメントの伸度が約80%以上と大であり、たと
えば編織などの後加工工程で受ける引張り応力により容
易に伸長が生じ斑などの欠点となるため、そのまま実用
に供することが困難である。
本発明の紡糸速度は、5000m/分〜8000m/分に於て、効
果的に本発明の目的が達成される。紡糸速度が約8000m/
分以上であっても、極めて多量の水性液を付与するなど
によって本発明のマルチフィラメントを得ることは可能
であるが、フィラメントの結晶化度の調整に多量の水性
液の付与が必要となり、水性液の飛散などの支障が生じ
る。
フィラメントの力学的性質と構造形成から、最も好ま
しい紡糸速度は5500〜7500m/分である。
繊維学会誌Vol.37,No.4(1981)T-135〜T-142に報告
される断面不均一構造の発現が、紡糸速度約8,000m/分
以上のみで生じるのに対比すると大きく異なっている。
本発明の速度範囲であれば、顕著な紡糸張力の増大や
紡糸中の糸切れなどの問題なく、安定かつ工業的に実施
可能である。
本発明では紡口から押出されたフィラメントを空冷
し、フィラメントの温度が150℃以下に達する以前に、
より詳しくは250℃〜150℃に冷却される区域で水性液を
付与して非対称冷却することに大きな特徴を有する。
フィラメントの温度がかかる高温に於て水性液によっ
て非対称冷却することにより、本発明のフィラメントの
特徴である結晶化度を偏芯した複屈折率分布が発現す
る。水性液を付与する際のフィラメント温度が150℃未
満では、付与水量などの条件をいかに選択しても本発明
の目的が達成されない。
水性液を付与する際のフィラメント温度が150℃より
高温である程、複屈折率差δ(Δn)が拡大するが、約
250℃を越えると水性液の付与時に糸切れが発生するな
どの支障が生じる。従って、好ましいフィラメント温度
は150〜250℃である。
一般に、ポリエステルの溶融紡糸では、ポリエステル
は紡口から280〜320℃で押出される。
本発明の方法が、水性液を付与するまでのフィラメン
トの冷却は、溶融紡糸で一般に採用される冷却風による
冷却によって達成される。フィラメント温度が、本発明
を実施するのに好ましい150℃以上となる紡口面からの
位置は、紡糸速度やフィラメントのデニールによって異
なるが、紡糸速度が5000m/分以上で、衣料用として通常
使用される1〜5デニールであれば、紡口下約80cm以内
である。従って、本発明の水性液の付与はこの間で実施
される。紡糸速度が約6000m/分を越す場合には、紡糸過
程で糸径の急激な細化変形が観察されることが知られて
いる(繊維学会誌Vol.38,No.11(1982)P.499-P.50
7)。本発明の水性液の付与位置は、この細化変形位置
(ネック点)を基準とした場合には、変形位置より上方
に約5cm以上、より好ましくは約10cm以上上方で実施さ
れる。例えば、フィラメントデニールが3デニールを紡
糸速度6000m/分で紡糸し、細化変形位置が紡口面下70cm
である場合に於ては、水性液の付与は紡口面下65cm以
内、好ましくは60cm以内で付与する。
本発明でフィラメントの冷却に用いる水性液は、水、
通常の紡糸用油剤エマルジョンなどが適用可能である。
簡便には、水が用いられる。また、水性液の温度は、低
温程好ましいが、特に常温以下に冷却せずとも本発明は
達成される。
水性液を付与する方法としては、通常の紡糸油剤の付
与に使用されるロール方式、ノズル方式、ぬれ壁方式な
どから選択されるが、本発明の目的が損なわれない範囲
で、他の方式の採用も可能である。水性液付与の定量性
からは、第3図に示すようなノズル方式が望ましい。
フィラメントに付与する水性液の量は、フィラメント
に対する重量パーセントで示される。本発明では、付与
水量が大である程、同一フィラメント温度にあっても結
晶化度をより低下させることが可能である。付与水量が
約20重量パーセント以上であれば本発明の目的が達成さ
れる。水量が500重量パーセント以上になると、余剰の
水性液の飛散防止が必要である。
本発明で、水性液を付与する際のフィラメント数は、
フィラメント1本ごとに付与する方式と、複数本を集束
して同時に付与する方式のいずれでも良い。複数本のフ
ィラメントを集束して付与する場合には、フィラメント
温度が150℃以上と高温であるため、相互に融着し糸切
れなどのトラブルが生じ易い。本発明では、付与水量を
約50重量パーセント以上とすることにより、上記の融着
現象が完全に解決され、極めて安定な紡糸が達成される
ことは、驚くべき発見である。
好ましい付与水量は20〜300重量パーセントである。
具体的には、第3図に示すようなノズル方式で水性液
を付与する際に、第4図のごとく複数本のフィラメント
を集束し、同時に集束部で水性液を付与することで達成
される。フィラメント数を3〜20本としても単糸密着が
なく、しかも、紡糸安定性も良好に実施可能である。
[実施例] 以下、実施例をもって本発明を詳細に説明する。
尚、実施例に於て用いられる各特性の測定は以下の方
法で行なった。
結晶化度 X線回折装置を用い、試料の厚みを約0.5mmとして以
下の条件で試料の繊維軸に対して赤道方向に回折角2θ
が7°から35°までの回折強度曲線を描いた。
30KV、80mÅ、スキャンニング速度1°/分、チャー
ト速度10mm/分、タイムコンスタント1秒、レシービン
グスリット0.3mmとした。
2θ=17°〜26°の範囲に描かれた3つの主要な反射
を低角度側から(100),(010),(10)とする。
2θ=7°と35°の間にある回折強度曲線を直線で結
び、ベースラインとする。
第5図のように2θ=20°付近の谷を頂点とし、低角
側及び高角側のすそに沿って直線で結び、結晶部と非晶
部に分離し、次式に従って面積法で求める。
複屈折率分布 東独カールツアイスイエナ社製透過定量干渉顕微鏡を
使用し、緑色光線(波長549mμ)を用い繊維軸に平行に
振動している光に対する屈折率nと繊維軸に垂直に振
動している光に対する屈折率n⊥の値から、複屈折率Δ
nは Δn=n−n⊥で表わされる。
単糸断面が円形の場合には、V字形又はU字形の干渉
縞が観察され、この干渉縞から、単糸断面の径方向の複
屈折率分布を求めた。平均複屈折率(Δ)は体積平均
値により求めた。
沸水収縮率 繊維に0.1g/dの荷重をかけ長さL1を測定した。次に無
荷重で98℃×5分間沸水処理を行なった後、40℃以下で
1昼夜乾燥後、繊維に再び0.1g/dの荷重をかけ、長さLx
を測定した。沸水収縮率は次式で表わされる。
強度・伸度 東洋ポールドウィン社製TENSILON UTM-II-20型引張試
験機により、初長20cm(但し、捲縮を引伸した後の長
さ)、引張速度20cm/分で測定した。
嵩高性 得られたマルチフィラメントを筒編地に製織し、編地
の厚みを測定した。次いで、この編地を98℃、沸水中で
5分間沸水処理を行なった後、厚みを測定した。嵩高性
は次式によって編地の厚み増加率(%)で示した。
増加率が5%以上であれば、嵩高性良好と言える。
風合 上記、嵩高性測定の沸水処理後の筒編地を感能検査に
よって3段階に分け評価した。
3:非常に柔らかい(合格)2:柔らかい(合格)1:硬い
(不合格) フィラメント温度 走査赤外温度計を用いて紡糸線上に沿ってフィラメン
ト温度を非接触で測定した。
実施例1. 固有粘度〔η〕=0.62のポリエチレンテレフタレート
を孔径0.35mmφ、孔数24を有する紡糸口金を用いて第2
図に示す紡糸機で紡糸した。紡糸温度300℃とし、紡口
下には内径12cm、長さ25cmのアルミ鋳込ヒーター加熱方
式の加熱筒を紡口面と筒との間に間隙がない状態で設置
し、ヒーター温度を250℃に調整した。
加熱筒を出たフィラメントは、横吹き型冷却風チャン
バーにより、冷風温度20℃、風速0.30m/秒の冷却風によ
り冷却し、次いで第4図に示す方式で、2個のノズル
で、1個のノズル当り12フィラメントを集束しつつ、糸
重量当り80重量パーセントの室温の水を付与して非対称
冷却を行なった。水付与による非対称冷却の位置は、紡
口下50cmとした。この位置での糸温度は第1表に示すよ
うに、この紡糸速度範囲では約180℃〜190℃であった。
非対称冷却を行なったフィラメントは、油剤付与後、
延伸することなく50d/24fとし、紡糸速度を第1表に示
すように異ならせて巻取った。
得られたマルチフィラメントの特性を第1表に示す。
尚、第1表に示す紡糸中のネック点の紡口下の位置
は、水付与を行なわない場合に測定した値である。測定
はZIMMER社製線径測定器460 A/2型及び肉眼観察により
測定し、両者はよく一致した。
第1表から明らかなように、本発明のポリエステルマ
ルチフィラメントから、優れた嵩高性と柔軟性を有する
布帛が得られた。
第1表中のNo.1(比較例)は、嵩高性は優れているも
のの、沸水収縮率が高いため、布帛の風合が軟いものと
なった。
実施例2. 実施例1と同様にして、50d/24fを得るにあたり、紡
糸速度を6,000m/分一定として、水付与による非対称冷
却を行なう位置を第2表のよう異ならせた。
得られたマルチフィラメントの特性を第2表に示す。
第2表から明らかなように、糸温度150℃以上に於て
非対称冷却して得られた本発明のマルチフィラメント
は、優れた嵩高性と柔軟な風合を有する布帛が得られ
る。
実施例3. 実施例1と同様にして、水付与による非対称冷却の位
置を紡口下48cm(糸温度180℃)一定とし、水付与量を
第3表に示すように異ならせて、紡糸速度6200m/分にて
50d/24fのマルチフィラメントを得た。
得られたマルチフィラメントの特性を第3表に示す。
〔発明の効果〕 本発明のポリエステルマルチフィラメントを編織物に
用いると、編織時のトラブルなく加工が行なえ、しか
も、その後の熱処理によって柔らかな風合と嵩高な布帛
が得られる。このような特徴は、婦人服、立毛布帛など
の分野に用いると、極めて高級感のある布帛となり、性
能が発揮される。
また、本発明の製造方法は、上記マルチフィラメント
を紡糸中のトラブルなく、高速かつ簡便に製造し得るこ
とから、高い生産性を有し、工業的に極めて高い価値を
有するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本願発明のフィラメントを沸水処理した後の
繊維の形状を示す顕微鏡写真、第2図は、本発明を実施
する紡糸機の略示正面図、第3図は、本発明の非対称冷
却に使用するノズルの略示正面図、第4図は、複数本の
フィラメントを集束し、同時に水性液を付与する際の様
子を示す斜視図、第5図は、本発明繊維の結晶化度測定
におけるX線回折強度曲線の1例を示す図である。 1……スピンヘッド、2……紡口、3……加熱筒、4…
…フィラメント、5……水性液付与ノズル、6……給油
ノズル、7……冷却風チャンバー、8……パッケージ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/62 D01D 5/00 - 5/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】広角X線回折法によって求められる結晶化
    度が50%以下であり、フィラメント断面の複屈折率が、
    外層と内層で20×10-3〜100×10-3の差を有し、且つフ
    ィラメント中心から偏芯した分布を有し、フィラメント
    の沸水収縮率が5%以上である非顕在捲縮フィラメント
    であり、その後の熱処理によって捲縮が発現可能なポリ
    エステルマルチフィラメント。
  2. 【請求項2】ポリエステルを溶融紡糸するに際し、紡口
    より押出されたフィラメントを空冷し,フィラメントの
    温度が250〜150℃に冷却される区域であって、フィラメ
    ントにその細化変形位置より上方5cm以上の位置で水性
    液を付与して非対称冷却し、紡糸速度5,000m/分以上で
    引取ることを特徴とするポリエステルマルチフィラメン
    トの製造方法。
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JPH02269807A (ja) 1990-11-05

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