JPH0813244A - 旋回部を有するポリエステル偏平断面糸及びその製造方法 - Google Patents

旋回部を有するポリエステル偏平断面糸及びその製造方法

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JPH0813244A
JPH0813244A JP14627894A JP14627894A JPH0813244A JP H0813244 A JPH0813244 A JP H0813244A JP 14627894 A JP14627894 A JP 14627894A JP 14627894 A JP14627894 A JP 14627894A JP H0813244 A JPH0813244 A JP H0813244A
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thick
polyester
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cross
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Shinji Owaki
新次 大脇
Masato Yoshimoto
正人 吉本
Kazuhiro Taya
一寛 田家
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 新規な風合い、特に、シャリ感、ドライ感を
有すると共に、ふくらみ及びスパナイズ感を兼ね備えた
織編物とするポリエステル偏平断面糸及びその製造方法
の提供。 【構成】 単一のポリエステルポリマーで構成された繊
維であって、該繊維の横断面形状が1〜8個のひれ部分
を有する偏平状であり、かつ偏平度(最大幅/ひれ部分
を除いた部分の最大厚み)が4〜15であると共に、繊
維の長さ方向にシック部とシン部を有し、該シック部の
少なくとも一部に旋回部を有している。かかる繊維は、
ポリエステルを、ひれ付き偏平断面糸用紡糸口金を用い
て溶融紡糸し、次いで、得られた未延伸糸を、その自然
延伸倍率以下の倍率で、室温〜65℃の温度にて延伸し
てシックアンドシン糸となした後、熱処理を施して沸水
収縮率を5%〜14%とし、更に沸水中でリラックス処
理することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な風合い、特に、
シャリ感、ドライ感を有すると共に、ふくらみ及びスパ
ナイズ感を兼ね備えたポリエステル織編物とすることが
できるポリエステル偏平断面糸及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】偏平断面糸は、通常の丸断面糸に比較し
て、独特の光沢、ドライ感とシャリ感を有しており、各
方面で使用されている。しかしながら、単なる偏平糸で
はペーパーライクな風合いとなってしまい、用途拡大の
障害となっている。
【0003】このような問題を解決し、ポリエステル繊
維にふくらみ感を与えるために、種々の方法が提案され
ている。
【0004】例えば、米国特許第3,017,686号
明細書には、幹部とリボン状ひれ部とを異種のポリマー
組成物で形成した複合旋回フィラメントが記載されてい
るが、かかる複合フィラメントは、異種のポリマー組成
物を使用し、しかも特殊な紡糸装置を用いて製造する必
要があるので、コスト高となる上、風合、後加工処理等
においても、複合フィラメント特有の制約を受ける。
【0005】また、米国特許第3,219,739号明
細書には、溶融したポリエステルを紡糸口金の細長いス
リット状オリフィスを通して押し出し、軸から延びる少
なくとも1つのひれを有するフィラメントを形成し、オ
リフィスの近くでフィラメントを横切る冷却ガスを吹き
付けてフィラメントを急冷し、且つフィラメントを高速
で冷却区域内を通過させ、フィラメントが無定形に維持
される条件下、すなわち最低限の結晶化を誘発する条件
下で、その原長の1〜4倍に延伸し、延伸したフィラメ
ントを15〜75%収縮させて、旋回フィラメント状構
造物を製造する方法が記載されている。
【0006】しかるに、この方法では、15%を越える
高い収縮を与えるため、織編物の風合が硬くなり、ま
た、収縮率を一定に保つことが困難で、寸法に乱れが生
じ、再現性に欠けるという問題があり、実用化するのが
難しかった。
【0007】さらに、特開平2−26940号公報に
は、偏平断面紡糸繊維を未延伸のまま、あるいは不完全
延伸にて20%以上の沸水収縮率を残存させた状態で弛
緩熱処理を施して、該繊維の中心部を周辺部より大きく
収縮させることにより、繊維の周辺部の長さを余らせて
ひだ状に波打たせ、繊維の長さ方向に於いては中心部の
長さより両端部の長さが5%以上長く、長さ方向の両端
部が波状のひだを有している波状繊維を得ることが記載
されている。
【0008】しかしながら、この場合も、20%以上と
いう高沸水収縮率の繊維に大きい収縮を与えるものであ
るから、硬い風合いの織編物しか得られず、また収縮率
を一定に保つことが難しく、寸法に乱れが生じ、再現性
に欠ける場合があることが判明した。
【0009】一方、ポリエステル繊維のペーパーライク
な風合いを改善し、スパンライクな風合いを得る目的
で、繊維軸方向に繊度変動を有する太細糸、いわゆるシ
ックアンドシン糸を用いることも、特公昭51−720
7号公報を始めとして、数多く提案されている。
【0010】特に、特開平2−19510号公報には、
光沢感、透明感、ソフト感などの偏平糸が本来有する効
果を維持しながら、織編物とした場合のベタベタ感、不
快なタッチを解消することのできるポリエステル偏平断
面シックアンドシン糸が開示されている。
【0011】しかしながら、該ポリエステル偏平断面シ
ックアンドシン糸を製造しようとすると、偏平断面糸が
互いに重なり合って密着するため、延伸時の張力斑が大
きくなり過ぎて断糸が発生し易く、また、延伸倍率を一
定に保つことができないため、織編物にしたとき筋状の
斑が発生する上、得られた偏平断面シックアンドシン糸
にはほとんど回旋部が形成されず、織編物とした場合の
ふくらみ及びスパナイズ感も満足できる水準ではなかっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解消し、シャリ感、ドライ感を有すると共
に、ふくらみ及びスパナイズ感を兼ね備え、風合が柔ら
かく、しかも寸法に乱れが生じず、筋状の斑が発生しな
い織編物とすることのできるポリエステル偏平断面シッ
クアンドシン糸、及び該ポリエステル偏平断面シックア
ンドシン糸を、断糸を伴うことなく安定に製造する方法
を提供することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、偏平横断面に1〜
8個のひれ部分を設けて、偏平糸相互の密着を防止する
こと、及びシックアンドシン糸のシック部を選択的に収
縮させて、糸の一部に旋回部を形成させることを着想
し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明によれば、単一のポリエ
ステルポリマーで構成された繊維であって、該繊維の横
断面形状が1〜8個のひれ部分を有する偏平状であり、
かつ偏平度(最大幅/ひれ部分を除いた部分の最大厚
み)が4〜15であると共に、繊維の長さ方向にシック
部とシン部を有し、該シック部の少なくとも一部が旋回
状態にあることを特徴とする旋回部を有するポリエステ
ル偏平断面糸が提供される。
【0015】特に、ひれ部分の高さが、ひれ部分を除い
た部分の最大厚みの1.2〜3倍であることが好まし
く、更には、最長のシック部の長さが1〜50cm、シ
ック部の数が1〜30個/m、シック部とシン部の横断
面積比が1.1〜2.8であることが好ましい。
【0016】更に、本発明によれば、ポリエステルを、
ひれ付き偏平断面糸用紡糸口金から吐出して、500〜
1700m/分の紡糸速度で引き取り、次いで、得られ
た未延伸糸を、その自然延伸倍率以下の倍率で、室温〜
65℃の温度にて延伸してシックアンドシン糸となした
後、熱処理を施して沸水収縮率を5%〜14%とし、更
に沸水中でリラックス処理することを特徴とするポリエ
ステル偏平断面糸の製造方法が提供される。
【0017】本発明のポリエステル偏平断面糸は、繊維
の横断面形状が、図2に例示するように、1〜8個のひ
れ部分を有する偏平状であり、偏平度(最大幅/ひれ部
分を除いた部分の最大厚み)が4〜15であることが必
要である。
【0018】ひれ部分の数は、1〜8個であることが必
要であり、ひれ部分がないときは、偏平断面糸相互間の
接触面積が大きくなって密着し、相互に動くことが困難
となり、旋回部分が少なくなる上、延伸時の張力斑が大
きくなり過ぎて断糸が発生しやすく、また延伸倍率を一
定に保てないため織編物としたときに筋状の斑が発生す
る。
【0019】一方、ひれ部分の数が8を越えると、断面
形状が偏平よりむしろ長方形に近くなり、旋回が起こり
にくくなる上、偏平断面糸特有の光沢、ドライ感、シャ
リ感が得られない。ひれ部分の数は、特に好ましくは、
図2の(イ)、(ロ)、(ハ)に示すように、4〜6で
ある。
【0020】更に、偏平度は、4〜15であることが必
要である。ここで、偏平度は、最大幅(図2における
L)/ひれ部分を除いた部分の最大厚み(図2における
W)で表される値である。偏平度が4未満では、シック
部に旋回が全く発生せず、織編物とした場合のふくら
み、スパナイズ感が改善されない。
【0021】一方、偏平度が15を越えると、紡糸によ
って得られる未延伸糸の自然延伸倍率が低くなり過ぎ
て、シックアンドシン糸を作成するための自然延伸倍率
以下での低倍率、低温延伸が困難になる。偏平度の好ま
しい範囲は、6〜12である。
【0022】また、ひれ部分の高さ(図2におけるa)
は、偏平断面糸が重なって、密着するのを防ぎ、しかも
シック部に旋回を発現させるうえで、偏平断面の厚み
(W)の1.2〜3倍であることが好ましく、更に好ま
しくは、1.2〜2倍である。
【0023】上記a/Wの値が1.2より小さい場合は
ひれの効果が発現せず、一方、3より大きい場合は旋回
が妨げられるので好ましくない。
【0024】更に、本発明のポリエステル偏平断面糸
は、繊維の長さ方向にシック部とシン部を有しているこ
とが必要である。このシック部の長さは、最も長い所で
1〜50cmであることが好ましく、3〜40cmであ
ることが更に好ましい。最長のシック部の長さが短かす
ぎると、シック部の量が少なくなり、織編物のふくらみ
が低下し、一方、長過ぎると、シック部の出現に大きな
斑が生じやすく、織編物において筋斑となる傾向が強く
なる。
【0025】また、更に良好なふくらみ感を得るために
は、シック部が、繊維の長さ1m当たり1〜30個存在
することが好ましく、更には、10〜25個存在するこ
とがより好ましい。マルチフィラメント糸として見た場
合は、各単糸フィラメントの同一位置にシック部が存在
せずに、互いにシック部の位置がずれて、分散している
方が、織編物のふくらみを向上させるうえで好ましい。
【0026】シック部とシン部の横断面積比は、1.1
〜2.8が好ましく、更に好ましくは1.3〜2.5で
ある。この横断面積比が小さすぎると、織編物のふくら
み効果が低下し、大き過ぎると、織編物に筋状の斑が発
生し易くなる。
【0027】更に、本発明のポリエステル偏平断面糸
は、前記シック部の少なくとも一部に旋回部を有してい
ることが必要である。この旋回部の存在により、織編物
に十分なふくらみ、スパナイズ感が与えられるのであ
り、旋回部が存在しない場合は、例えシックアンドシン
糸としても、ペーパーライクで、風合の劣った織編物と
なってしまう。この旋回部は、シック部10個当たり
0.5個以上のシック部に存在するのが好ましく、特
に、シック部10個当たり2個以上のシック部に存在す
るのがより好ましい。
【0028】なお、本発明のポリエステル偏平断面糸の
単糸デニールは、2〜8デニールが好ましく、特に、2
〜7デニールが好適である。単糸デニールが小さ過ぎる
と、ふくらみ感が得られ難くなり、一方、大き過ぎる
と、織編物の風合いが硬くなる傾向がある。
【0029】本発明に用いられるポリエステルとして
は、主たる成分がポリエチレンテレフタレートからなる
ポリエステルを挙げることができ、通常の公知の方法で
重合することによりえられるが、本発明の目的を損なわ
ない程度の範囲内で、他の第三成分を共重合してもよ
い。
【0030】具体的には、アジピン酸、シュウ酸、セバ
シン酸、イソフタール酸、5−ソジュームスルホイソフ
タール酸などのジカルボン酸類、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、ビス
フェノールAまたはそのエチレンオキサイド付加物、ヒ
ドロキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを単独あ
るいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】また本発明の目的を損なわない範囲で、艶
消剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、制電剤、
難燃剤等の添加剤を配合しても良い。
【0032】かかる本発明のポリエステル偏平断面糸
は、上記ポリエステルを、ひれ付き偏平断面糸用紡糸口
金から吐出して、500〜1700m/分の紡糸速度で
引き取り、次いで、得られた未延伸糸を、その自然延伸
倍率以下の倍率で、室温〜65℃の温度にて延伸してシ
ックアンドシン糸となした後、熱処理を施して沸水収縮
率を5%〜14%とし、更に沸水中でリラックス処理し
てシック部の少なくとも一部に旋回部を発現させること
により製造することができる。
【0033】ひれ付き偏平断面糸用紡糸口金としては、
例えば、図1に示すような断面形状の紡糸口金が用いら
れ、それぞれに対応して、図2に示す断面形状のひれ付
き偏平断面糸が得られる。本発明の偏平断面糸の偏平度
(L/W)、ひれ部分の高さ(a)は、紡糸口金の寸法
を変えることにより、容易に変更することができる。
【0034】溶融紡糸は、常法に従って行うが、溶融吐
出されたポリマーは、紡糸速度500〜1700m/分
で巻き取られる。
【0035】紡糸速度が500m/分未満では、生産性
が大幅に低下するため好ましくなく、また、1700m
/分を越える場合は、十分な自然延伸倍率を確保でき
ず、好ましいシックアンドシン糸とすることが出来な
い。更に好ましい紡糸速度は、800〜1400m/分
である。
【0036】得られた未延伸糸は、通常の延伸装置によ
り、その自然延伸倍率以下の倍率で室温〜65℃の温度
にて延伸を行う。
【0037】ここで、自然延伸倍率とは、未延伸糸の応
力―伸度曲線において、降伏点を過ぎて応力がひとまず
一定になった後、再度上昇し始める点までの伸度を、原
長に対する倍率で表したものである。例えば、応力が再
上昇し始める点の伸度が10%である場合は、自然延伸
倍率は1.10倍となる。一般に、ポリエステル繊維の
場合、自然延伸倍率は、低温での延伸時のネックが消滅
する倍率であり、この倍率よりも高い倍率で延伸する
と、シックアンドシン糸が得られなくなる。従って、満
足なシックアンドシン糸を得るためには、室温〜65℃
の低温にて、自然延伸倍率以下の倍率で延伸することが
必要となる。
【0038】かくして得られた延伸糸に熱処理を施し
て、沸水収縮率を5〜14%にする。沸水収縮率が5%
未満では、後に続く沸水中でのリラックス処理におい
て、シック部に旋回が発生しないの不適当である。一
方、沸水収縮率が14%を越える場合は、織編物の風合
が硬くなり、しかも、織編物の収縮率を一定に保つ事が
できず、寸法の乱れが生じ再現性に欠けるため好ましく
ない。この沸水収縮率の更に好ましい範囲は、8〜13
%である。かかる沸水収縮率を得るには、熱処理温度及
び速度を適宜選択すればよいが、通常採用される熱処理
温度は、120〜150℃である。
【0039】このように熱処理を施した偏平断面シック
アンドシン糸に、更に沸水中でのリラックス処理を施し
て、シック部の少なくとも一部に旋回部を発現させる。
この沸水中でのリラックス処理は、製編織前に行っても
よいが、通常は、織編物とした後で、織編物の精錬、染
色処理を兼ねて行うのが、工程合理化のうえで好都合で
ある。
【0040】また、本発明の効果、特にふくらみを高め
るうえで、製編織前に偏平断面シックアンドシン糸に付
与する撚り数は、0または300T/M以下であること
が好ましい。
【0041】更に、本発明の旋回部を有するポリエステ
ル偏平断面糸からなる織物においては、アルカリ処理を
施すことにより適度な張り腰を持たせることができる
が、その際の減量率は、5〜30%が好ましく、更に好
ましくは、10〜20%である。
【0042】本発明の旋回部を有するポリエステル偏平
断面糸を用いた織編物は、シャリ感ドライ感、ふくら
み、スパナイズ感に優れ、特に婦人用ワンピース、ブラ
ウス等の用途に適する。
【0043】
【作用】本発明のポリエステル偏平断面糸は、偏平断面
シックアンドシン糸であって、シック部の少なくとも一
部に旋回部を有しているため、シャリ感、ドライ感を有
すると共に、ふくらみ及びスパナイズ感を兼ね備えた織
編物とすることができる。
【0044】更に、本発明のポリエステル偏平断面糸
は、1〜8個のひれ部分を有しているため、偏平断面糸
相互間の接触面積が小さくなって、密着を防止し、相互
に動き易くなり、延伸時の張力斑が小さくなって断糸が
ほとんど発生しなくなる。
【0045】また、延伸倍率を一定に保つことができる
ため、織編物としたときに筋状の斑が発生するようなこ
ともない。
【0046】また、本発明においては、熱処理を施して
沸水収縮率を5%〜14%と低くした後で、沸水中でリ
ラックス処理してシック部の少なくとも一部に旋回部を
発現させるので、従来の高収縮率で収縮させて旋回部を
発現させたもののように織編物の風合が硬くなることが
なく、柔らかい風合の織編物とすることができる。
【0047】この沸水収縮率と旋回部の発現との関係に
ついて、更に詳述すると、本発明のポリエステル偏平断
面糸は、1本のフィラメントの中に、分子の配向度が低
いシック部と、分子の配向度が高いシン部とが共存して
おり、熱処理を施した場合、高分子配向のシン部は結晶
化して、沸水収縮率が低下し、低分子配向のシック部は
結晶化があまり進行せずに、高い沸水収縮率を維持す
る。
【0048】従って、沸水収縮率の高いシック部を残し
ながら、フィラメント全体としての沸水収縮率を低くす
ることができ、沸水中でのリラックス処理により、沸水
収縮率の高いシック部に旋回部が発現し、しかも柔軟な
風合の織編物とすることが可能となる。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0050】なお、以下の実施例、比較例における織編
物のシャリ感、ドライ感、ふくらみ、スパナイズ感、柔
軟性に関する風合評価は、官能検査によるもので、下記
の5等級に等級付けした。 5級:極めて優れている。 4級:優れている。 3級:良好。 2級:やや劣る。 1級:劣る。
【0051】[実施例1〜5]固有粘度が0.64のポ
リエチレンテレフタレートを図1(イ)〜(ホ)に示す
紡糸口金(スリット長/スリット幅=60)より吐出
し、1500m/分の紡糸速度で巻き取った。得られた
未延伸糸の伸度及び自然延伸倍率は、表1に示す通りで
あった。
【0052】この未延伸糸を40℃のローラーで加熱し
た後、表1に示す延伸倍率で延伸を行い、更に、スリッ
トヒーターを用いて、140℃で熱処理を施して、50
0m/分で巻き取った。延伸中に断糸は起こらず、安定
した延伸が行え、得られたシックアンドシン糸(90d
e/36fil)の沸水収縮率は、表1に示すとおりで
あった。
【0053】このようにして得られた偏平断面シックア
ンドシン糸を用いて丸編物を作成し、98℃の水中でリ
ラックス精錬、170℃でセット後、130℃で染色を
行った。 この編物をほぐして、取り出した糸の断面形
状、偏平度、偏平断面の幅(W)に対するひれ部の高さ
(a)の比(a/W)、最長のシック部の長さ、シック
部の数、シック部とシン部の横断面積比及び旋回部を有
するシック部の数は、表2に示すとおりであった。。
【0054】得られた編物の風合評価結果は、表3に示
す通りであり、しかも寸法に乱れが生じず、筋状の斑も
発生していなかった。
【0055】[比較例1〜2]実施例1において、ひれ
部のないスリット状紡糸口金(比較例1)、ひれ部を1
0個有する紡糸口金(比較例2)を使用し、その他の条
件は実施例1と同じ条件で紡糸した。得られた未延伸糸
の伸度、自然延伸倍率は表1に示す通りであった。この
未延伸糸を、実施例1と同じ条件(但し、延伸倍率は表
1に示す通り)で延伸、熱処理した。また、延伸、熱処
理後のシックアンドシン糸(90de/36fil)の
沸水収縮率は表1に示す通りであった。なお、比較例1
では、延伸中に断糸が頻発し、安定した延伸が行えなか
った。
【0056】このようにして得られた偏平断面シックア
ンドシン糸を用いて丸編物を作成し、98℃の水中でリ
ラックス精錬、170℃でセット後、130℃で染色を
行った。 この編物をほぐして、取り出した糸の特性
は、表2に、また、編物の風合評価結果は、表3に示す
通りであり、比較例1では、編物には筋状の斑が発生
し、比較例2では、光沢、ドライ感、シャリ感が劣って
いた。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】[実施例6〜15、比較例3〜4]実施例
2において、紡糸口金の寸法を種々変更し、偏平度及び
偏平断面の幅(W)に対するひれ部の高さ(a)の比
(a/W)が異なるシックアンドシン糸を得た。なお、
未延伸糸の伸度及び自然延伸倍率並びに延伸倍率は、表
4に示す通りであった。また、延伸、熱処理後のシック
アンドシン糸の沸水収縮率は、表4に示すとおりであっ
た。以下、実施例2と同様にテストを行った。
【0061】編物をほぐして、取り出した糸の特性及び
編物の風合評価結果は、表5に示す通りであり、偏平度
が4未満の場合(比較例3)は、シック部に旋回部が発
現せず、ふくらみ、スパナイズ感が劣り、15を越える
場合(比較例4)は、自然延伸倍率が小さくなり過ぎ
て、シックアンドシン糸の製造が困難となり、ふくら
み、スパナイズ感が得られない。また、偏平断面の幅
(W)に対するひれ部の高さ(a)の比(a/W)は、
1.2〜3(特に、1.2〜2)が好ましく、a/Wが
低い場合(実施例10)は、偏平断面糸相互の密着が発
生することがあって、延伸時の断糸や編物の筋状斑が生
じやすくなる傾向があり、逆に高い場合(実施例14)
は、シック部における旋回部の数が比較的少なく、ふく
らみ、スパナイズ感が若干低下する傾向が認められた。
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】[実施例16〜19、比較例5〜6]実施
例2において、表6に示すように、熱処理温度を種々変
更して、沸水収縮率の異なるシックアンドシン糸を得
て、以下、実施例2と同様にテストを行った。
【0065】編物をほぐして、取り出した糸の特性及び
編物の風合評価結果は、表7に示す通りであり、沸水収
縮率が5%未満の場合(比較例5)は、シック部に旋回
部が発現せず、ふくらみ、スパナイズ感が劣り、14%
を越える場合(比較例6)は、編物の風合が硬くなり、
しかも、編物の収縮率を一定に保つ事ができず、寸法の
乱れが生じ再現性に欠けていた。
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】なお、以上の実施例では、編物とした例に
ついて説明したが、織物についても同様な結果が得られ
た。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、偏平断面糸特有のシャ
リ感、ドライ感を有すると共に、ふくらみ及びスパナイ
ズ感を兼ね備え、風合が柔らかく、しかも寸法に乱れが
生じず、筋状の斑が発生しない織編物とすることのでき
るポリエステル偏平断面シックアンドシン糸を提供する
ことができ、しかも、該ポリエステル偏平断面シックア
ンドシン糸を、断糸を伴うことなく安定に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル偏平断面シックアンドシ
ン糸を製造する際に使用する紡糸口金形状の例を示す拡
大図である。
【図2】本発明のポリエステル偏平断面シックアンドシ
ン糸の断面形状の例を示す拡大図である。
【符号の説明】
L 偏平断面糸の最大幅 W ひれ部分を除いた部分の最大厚み a ひれ部分の高さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01D 5/20 5/253 D02G 3/34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一のポリエステルポリマーで構成され
    た繊維であって、該繊維の横断面形状が1〜8個のひれ
    部分を有する偏平状であり、かつ偏平度(最大幅/ひれ
    部分を除いた部分の最大厚み)が4〜15であると共
    に、繊維の長さ方向にシック部とシン部を有し、該シッ
    ク部の少なくとも一部が旋回状態にあることを特徴とす
    る旋回部を有するポリエステル偏平断面糸。
  2. 【請求項2】 ひれ部分の高さが、ひれ部分を除いた部
    分の最大厚みの1.2〜3倍である請求項1記載の旋回
    部を有するポリエステル偏平断面糸。
  3. 【請求項3】 最長のシック部の長さが1〜50cm、
    シック部の数が1〜30個/m、シック部とシン部の横
    断面積比が1.1〜2.8である請求項1又は2記載の
    旋回部を有するポリエステル偏平断面糸。
  4. 【請求項4】 ポリエステルを、ひれ付き偏平断面糸用
    紡糸口金から吐出して、500〜1700m/分の紡糸
    速度で引き取り、次いで、得られた未延伸糸を、その自
    然延伸倍率以下の倍率で、室温〜65℃の温度にて延伸
    してシックアンドシン糸となした後、熱処理を施して沸
    水収縮率を5%〜14%とし、更に沸水中でリラックス
    処理することを特徴とするポリエステル偏平断面糸の製
    造方法。
JP14627894A 1994-06-28 1994-06-28 旋回部を有するポリエステル偏平断面糸及びその製造方法 Pending JPH0813244A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2018092444A1 (ja) * 2016-11-17 2019-10-17 東レ株式会社 スパンボンド不織布およびその製造方法

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