JPH10331031A - ポリエステル混繊糸の製造方法 - Google Patents
ポリエステル混繊糸の製造方法Info
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- JPH10331031A JPH10331031A JP14201097A JP14201097A JPH10331031A JP H10331031 A JPH10331031 A JP H10331031A JP 14201097 A JP14201097 A JP 14201097A JP 14201097 A JP14201097 A JP 14201097A JP H10331031 A JPH10331031 A JP H10331031A
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- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ポリエステル糸条を合糸して混繊糸とした場
合に、混繊糸を構成する各フィラメント間の収縮差が大
きく、従って風合いに優れる混繊糸を高速製糸の下で安
価に製造する方法を提供する。 【解決手段】 紡出した複数本のポリエステル・マルチ
フィラメントからなる糸条群を一旦ガラス転移温度以下
に冷却し、該糸条群を2群の糸条群に分けた後、一方の
糸条群には開繊状態で選択的に非接触の加熱処理を施こ
すが、他方の糸条群には加熱処理を施さない状態とな
し、各糸条群を2500〜5500m/分で同時に引取
って合糸混繊することを特徴とするポリエステル混繊糸
の製造方法。
合に、混繊糸を構成する各フィラメント間の収縮差が大
きく、従って風合いに優れる混繊糸を高速製糸の下で安
価に製造する方法を提供する。 【解決手段】 紡出した複数本のポリエステル・マルチ
フィラメントからなる糸条群を一旦ガラス転移温度以下
に冷却し、該糸条群を2群の糸条群に分けた後、一方の
糸条群には開繊状態で選択的に非接触の加熱処理を施こ
すが、他方の糸条群には加熱処理を施さない状態とな
し、各糸条群を2500〜5500m/分で同時に引取
って合糸混繊することを特徴とするポリエステル混繊糸
の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル混繊糸
の製造方法に関し、更に詳しくは、紡糸したマルチフィ
ラメントからなる糸条(以下、特に断らない限り「糸
条」と称することもある)を異なる条件で熱処理した
後、合糸混繊して、ポリエステル混繊糸を製造する方法
に関する。
の製造方法に関し、更に詳しくは、紡糸したマルチフィ
ラメントからなる糸条(以下、特に断らない限り「糸
条」と称することもある)を異なる条件で熱処理した
後、合糸混繊して、ポリエステル混繊糸を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】熱処理を施すことによって嵩高性を呈す
るポリエステル繊維は、熱収縮差を有するポリエステル
繊維同志を混繊することによって得られることは周知で
ある。すなわち、該方法は、熱処理時に、一方の高収縮
率のポリエステル繊維を他方の低収縮率のポリエステル
繊維よりもより大きく収縮させることで、他方の低収縮
率のポリエステル繊維を張り出させることによって、嵩
高性を付与するものである。さらに、この時、高収縮繊
維の単繊維の繊度を大きくし、低収縮繊維の単繊維の繊
度を小さくすることにより得られた混繊糸を織編物とし
て、熱処理を施した後の風合をみると、表面触感がソフ
トであって、しかも腰があるものとなる。
るポリエステル繊維は、熱収縮差を有するポリエステル
繊維同志を混繊することによって得られることは周知で
ある。すなわち、該方法は、熱処理時に、一方の高収縮
率のポリエステル繊維を他方の低収縮率のポリエステル
繊維よりもより大きく収縮させることで、他方の低収縮
率のポリエステル繊維を張り出させることによって、嵩
高性を付与するものである。さらに、この時、高収縮繊
維の単繊維の繊度を大きくし、低収縮繊維の単繊維の繊
度を小さくすることにより得られた混繊糸を織編物とし
て、熱処理を施した後の風合をみると、表面触感がソフ
トであって、しかも腰があるものとなる。
【0003】上記の熱収縮差を有するポリエステル混繊
糸を得るためには、複数の糸条間に熱収縮差を持たせ、
該糸条群を混繊する方法が多く採用されている。例え
ば、特開昭54−82423号公報には、単一の紡糸口
金より溶融吐出させたマルチフィラメント糸条を急冷し
た後、マルチフィラメント糸条を2つの糸束に分割し
て、その一方の糸束には水が主体である油剤を付与し、
他方の糸束には水よりも高温の沸点を有する剤を付与す
る混繊糸の製造方法が提案されている。そして、該方法
によれば、上記の工程に引き続いて、同一条件下で両者
を別々に熱処理しつつ延伸を施した後、混繊することが
行われる。これによって、該方法によって得られる混繊
糸は、熱処理されつつ延伸される際に、付与された剤の
熱的挙動の相違によって収縮特性差を発現するというも
のである。
糸を得るためには、複数の糸条間に熱収縮差を持たせ、
該糸条群を混繊する方法が多く採用されている。例え
ば、特開昭54−82423号公報には、単一の紡糸口
金より溶融吐出させたマルチフィラメント糸条を急冷し
た後、マルチフィラメント糸条を2つの糸束に分割し
て、その一方の糸束には水が主体である油剤を付与し、
他方の糸束には水よりも高温の沸点を有する剤を付与す
る混繊糸の製造方法が提案されている。そして、該方法
によれば、上記の工程に引き続いて、同一条件下で両者
を別々に熱処理しつつ延伸を施した後、混繊することが
行われる。これによって、該方法によって得られる混繊
糸は、熱処理されつつ延伸される際に、付与された剤の
熱的挙動の相違によって収縮特性差を発現するというも
のである。
【0004】しかしながら、紡糸時に付与する油剤の沸
点差を利用して分割した糸束間に収縮差(沸水収縮差)
を付与しようとする方法では、糸束間の沸水収縮差を十
分に大きくすることができないという問題がある。この
ため、得られる混繊糸は繊維間収縮差が小さいものとな
り、嵩高性が乏しく、満足し得る風合は得られない。
点差を利用して分割した糸束間に収縮差(沸水収縮差)
を付与しようとする方法では、糸束間の沸水収縮差を十
分に大きくすることができないという問題がある。この
ため、得られる混繊糸は繊維間収縮差が小さいものとな
り、嵩高性が乏しく、満足し得る風合は得られない。
【0005】更に、特開平7−243144号公報に
は、紡吐出して一旦冷却した後、各糸条をそれぞれ加熱
処理筒群を通過させるに当たり、予め水を付与して集束
状態とした糸条群と、水を付与することなく非集束状態
のままの糸条群とを加熱処理筒を通過させて熱処理した
後、3000m/分以上5500m/分以下の速度で引
取って合糸することによって混繊糸を得る方法が提案さ
れている。この方法によれば、水が付与されて集束され
た糸条群は、加熱処理筒を通って熱処理を受けることと
はなるが、水を含んでいるため加熱処理筒内で均一に加
熱されず、逆に加熱斑となって、染斑が発生するという
問題がある。
は、紡吐出して一旦冷却した後、各糸条をそれぞれ加熱
処理筒群を通過させるに当たり、予め水を付与して集束
状態とした糸条群と、水を付与することなく非集束状態
のままの糸条群とを加熱処理筒を通過させて熱処理した
後、3000m/分以上5500m/分以下の速度で引
取って合糸することによって混繊糸を得る方法が提案さ
れている。この方法によれば、水が付与されて集束され
た糸条群は、加熱処理筒を通って熱処理を受けることと
はなるが、水を含んでいるため加熱処理筒内で均一に加
熱されず、逆に加熱斑となって、染斑が発生するという
問題がある。
【0006】ところで、紡糸引取速度が3000m/分
程度の溶融紡糸で得られる部分配向糸(以下、「PO
Y」と称する)は、沸水収縮率が大きく、前記混繊糸の
高収縮繊維として用いることが考えられる。しかしなが
ら、POYは沸水収縮差が大きいものの、延伸後に十分
な熱固定処理が施されているフィラメントと比較する
と、結晶構造が完全でないため、経時により結晶構造や
配向構造が変化したり、耐熱性及び寸法安定性が劣る等
の種々の欠点を有している。
程度の溶融紡糸で得られる部分配向糸(以下、「PO
Y」と称する)は、沸水収縮率が大きく、前記混繊糸の
高収縮繊維として用いることが考えられる。しかしなが
ら、POYは沸水収縮差が大きいものの、延伸後に十分
な熱固定処理が施されているフィラメントと比較する
と、結晶構造が完全でないため、経時により結晶構造や
配向構造が変化したり、耐熱性及び寸法安定性が劣る等
の種々の欠点を有している。
【0007】そこで、合糸混繊する際に使用する高収縮
繊維として、内部構造が不完全な状態にあるPOYのよ
うな繊維を用いない方法が考えられ、例えば、特開昭6
2−191511号公報には、紡出糸を冷却した後、再
加熱して4000〜6000m/分で引取り、紡出糸を
十分配向させた後に、沸水収縮率の異なる2種以上のフ
ィラメントを合糸する方法が提案されている。
繊維として、内部構造が不完全な状態にあるPOYのよ
うな繊維を用いない方法が考えられ、例えば、特開昭6
2−191511号公報には、紡出糸を冷却した後、再
加熱して4000〜6000m/分で引取り、紡出糸を
十分配向させた後に、沸水収縮率の異なる2種以上のフ
ィラメントを合糸する方法が提案されている。
【0008】該方法によれば、溶融吐出されたポリエス
テル繊維を一旦冷却した後、再加熱処理する際に、好ま
しくは高収縮糸なる糸条と低収縮糸となる糸条の単繊維
繊度比を1.5以上とし、且つ再加熱装置の雰囲気温度
を変えることによって沸水収縮差を発現させることがで
きる。
テル繊維を一旦冷却した後、再加熱処理する際に、好ま
しくは高収縮糸なる糸条と低収縮糸となる糸条の単繊維
繊度比を1.5以上とし、且つ再加熱装置の雰囲気温度
を変えることによって沸水収縮差を発現させることがで
きる。
【0009】しかしながら、この方法では、嵩高性のあ
る混繊糸が得られるものの、再加熱装置を各糸条毎にそ
れぞれ個別に設けて、再加熱装置のそれぞれの温度設定
を個別に設定しなければならず、この故に、設備費がか
さむと共に、それぞれの再加熱装置の温度管理厳重に行
わなければならないため、極めて煩雑あり、製造コスト
が却って高くなるという問題がある。しかも、大きな沸
水収縮率差を付けるためには、高収縮糸となる糸条と低
収縮糸となる糸条との単繊維の繊度比を1.5以上とし
なければならないという極めて大きな制約を受ける。
る混繊糸が得られるものの、再加熱装置を各糸条毎にそ
れぞれ個別に設けて、再加熱装置のそれぞれの温度設定
を個別に設定しなければならず、この故に、設備費がか
さむと共に、それぞれの再加熱装置の温度管理厳重に行
わなければならないため、極めて煩雑あり、製造コスト
が却って高くなるという問題がある。しかも、大きな沸
水収縮率差を付けるためには、高収縮糸となる糸条と低
収縮糸となる糸条との単繊維の繊度比を1.5以上とし
なければならないという極めて大きな制約を受ける。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術を背景になされたもので、その目的とするところ
は、ポリエステル糸条を合糸して混繊糸とした場合に、
混繊糸を構成する各フィラメント間の収縮差が大きく、
従って風合いに優れる混繊糸を高速製糸の下で安価に製
造する方法を提供することにある。
技術を背景になされたもので、その目的とするところ
は、ポリエステル糸条を合糸して混繊糸とした場合に、
混繊糸を構成する各フィラメント間の収縮差が大きく、
従って風合いに優れる混繊糸を高速製糸の下で安価に製
造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】ここに本発明によれば、
紡出した複数本のポリエステル・マルチフィラメントか
らなる糸条群を一旦ガラス転移温度以下に冷却し、該糸
条群を2群の糸条群に分けた後、一方の糸条群には開繊
状態で選択的に非接触の加熱処理を施こすが、他方の糸
条群には加熱処理を施さない状態となし、各糸条群を2
500〜5500m/分で同時に引取って合糸混繊する
ことを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法が提供
される。
紡出した複数本のポリエステル・マルチフィラメントか
らなる糸条群を一旦ガラス転移温度以下に冷却し、該糸
条群を2群の糸条群に分けた後、一方の糸条群には開繊
状態で選択的に非接触の加熱処理を施こすが、他方の糸
条群には加熱処理を施さない状態となし、各糸条群を2
500〜5500m/分で同時に引取って合糸混繊する
ことを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法が提供
される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明で用いられるポリエステル
は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから
なるポリエステルを主たる対象とする。しかしながら、
テレフタル酸成分及び/又はエチレングリコール成分以
外の第3成分を少量(通常はテレフタル酸成分に対して
20モル%以下)共重合したものであってもよく、また
多種ポリマーを少量(通常ポリエステルに対して10重
量%以下)混合したものであってもよい。
て詳細に説明する。本発明で用いられるポリエステル
は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから
なるポリエステルを主たる対象とする。しかしながら、
テレフタル酸成分及び/又はエチレングリコール成分以
外の第3成分を少量(通常はテレフタル酸成分に対して
20モル%以下)共重合したものであってもよく、また
多種ポリマーを少量(通常ポリエステルに対して10重
量%以下)混合したものであってもよい。
【0013】前記のポリエステルから本発明が目的とす
る混繊糸を得るための製造方法が適用される工程として
は、図1(模式略線図)に示すようなものを一例として
挙げることができる。
る混繊糸を得るための製造方法が適用される工程として
は、図1(模式略線図)に示すようなものを一例として
挙げることができる。
【0014】該図において、1A及び1Bは紡糸口金、
2A及び2Bは2本のポリエステル・マルチフィラメン
ト糸条、3は紡糸冷却装置、4は冷却筒、4Aは該冷却
筒の糸条出口部、5は非接触式の加熱処理筒、5Aは該
加熱処理筒の糸条出口部、6A及び6Bは油剤付与装
置、7は交絡付与装置、8及び9は引取りローラ、10
は巻取装置をそれぞれ表わす。なお、該図では、2本の
マルチフィラメント糸条を用いた2錘の例について説明
してきたが、例えば3錘及び6錘建ての設備であっても
構わないことはいうまでもない。
2A及び2Bは2本のポリエステル・マルチフィラメン
ト糸条、3は紡糸冷却装置、4は冷却筒、4Aは該冷却
筒の糸条出口部、5は非接触式の加熱処理筒、5Aは該
加熱処理筒の糸条出口部、6A及び6Bは油剤付与装
置、7は交絡付与装置、8及び9は引取りローラ、10
は巻取装置をそれぞれ表わす。なお、該図では、2本の
マルチフィラメント糸条を用いた2錘の例について説明
してきたが、例えば3錘及び6錘建ての設備であっても
構わないことはいうまでもない。
【0015】以上に述べた工程において、紡糸口金1A
及び1Bからそれぞれ吐出されたポリエステルフィラメ
ント糸条群2A及び2Bは、紡糸冷却装置3から吹き出
される冷却風によって冷却されて固化した後、それぞれ
冷却筒4と加熱処理筒5を通過する。なお、この際、糸
条2Bは非接触であって、かつ開繊した状態で加熱処理
筒5内で加熱処理される。このような処理を受けた糸条
2A及び2Bは、その後それぞれ油剤付与装置6A及び
6Bにより油剤を付与された後、交絡付与装置7により
交絡が与えられながら合糸混繊され、次いで引取りロー
ラ8及び9により引取られて、巻取機10により巻きと
られる。
及び1Bからそれぞれ吐出されたポリエステルフィラメ
ント糸条群2A及び2Bは、紡糸冷却装置3から吹き出
される冷却風によって冷却されて固化した後、それぞれ
冷却筒4と加熱処理筒5を通過する。なお、この際、糸
条2Bは非接触であって、かつ開繊した状態で加熱処理
筒5内で加熱処理される。このような処理を受けた糸条
2A及び2Bは、その後それぞれ油剤付与装置6A及び
6Bにより油剤を付与された後、交絡付与装置7により
交絡が与えられながら合糸混繊され、次いで引取りロー
ラ8及び9により引取られて、巻取機10により巻きと
られる。
【0016】ここで、前記の冷却筒4は糸条2Aが走行
する際に周囲の風の影響を受けないように走行糸条2A
の走行域を囲繞するように設けられている。ここで、該
冷却筒4は単なるカバーであっても構わないが、積極的
に冷却風を吹き付けるような構造であってもよい。ま
た、加熱処理筒5と同じ構造の物を加熱せずに、そのま
ま流用使用してもよい。
する際に周囲の風の影響を受けないように走行糸条2A
の走行域を囲繞するように設けられている。ここで、該
冷却筒4は単なるカバーであっても構わないが、積極的
に冷却風を吹き付けるような構造であってもよい。ま
た、加熱処理筒5と同じ構造の物を加熱せずに、そのま
ま流用使用してもよい。
【0017】次に、加熱処理筒5は、紡糸口金からの距
離にして0.5〜1.5m下方に取り付けることが好ま
しい。また、該加熱処理筒5の形状は、例えば長さ1.
5m、内径0.3〜0.6mのステンレス鋼製の円筒状
加熱処理筒が用いられ、加熱手段としては、加熱処理筒
の周囲を熱媒ジャケットで囲んで熱媒を封入した熱媒式
加熱装置が用いられる。なお、他の加熱手段としては、
電熱ヒーターを用いてもよいが、均一加熱、消費エネル
ギーの節約の観点から、熱媒式加熱が好ましい。
離にして0.5〜1.5m下方に取り付けることが好ま
しい。また、該加熱処理筒5の形状は、例えば長さ1.
5m、内径0.3〜0.6mのステンレス鋼製の円筒状
加熱処理筒が用いられ、加熱手段としては、加熱処理筒
の周囲を熱媒ジャケットで囲んで熱媒を封入した熱媒式
加熱装置が用いられる。なお、他の加熱手段としては、
電熱ヒーターを用いてもよいが、均一加熱、消費エネル
ギーの節約の観点から、熱媒式加熱が好ましい。
【0018】さらに、この時の加熱処理筒5の温度(雰
囲気温度)設定は、300℃程度以下であれば、糸条の
トータール繊度や各フィラメントの単繊維繊度等が異な
る銘柄を切替える度毎に任意に最適な条件選択すること
ができる。しかし、100℃程度以下になると、雰囲気
温度の制御が難しくなり、しかもポリエステルの場合、
特に100℃付近は、ガラス転移温度(Tg)に近い温
度であるため、均一な延伸を施すことが難しく、Tg以
下の低温領域となると、混繊糸として有用な物性差と結
晶構造差を発現させることが難しくなる。また、250
℃を越えると、加熱処理筒5内で延伸が強力に行われる
ため、加熱処理筒5の上流側の実質繊度が大きくなり、
そのため、入り口付近での紡糸張力が著しく低下して、
糸揺れを起こしたり、更には、延伸が強力に行われるた
め、加熱処理筒5内での延伸張力が異常に上がり、断糸
が発生し易くなるという問題を惹起する。このため、特
に好ましい加熱処理筒5の設定温度範囲は、150〜2
50℃であって、特に好ましくは、150〜200℃で
ある。
囲気温度)設定は、300℃程度以下であれば、糸条の
トータール繊度や各フィラメントの単繊維繊度等が異な
る銘柄を切替える度毎に任意に最適な条件選択すること
ができる。しかし、100℃程度以下になると、雰囲気
温度の制御が難しくなり、しかもポリエステルの場合、
特に100℃付近は、ガラス転移温度(Tg)に近い温
度であるため、均一な延伸を施すことが難しく、Tg以
下の低温領域となると、混繊糸として有用な物性差と結
晶構造差を発現させることが難しくなる。また、250
℃を越えると、加熱処理筒5内で延伸が強力に行われる
ため、加熱処理筒5の上流側の実質繊度が大きくなり、
そのため、入り口付近での紡糸張力が著しく低下して、
糸揺れを起こしたり、更には、延伸が強力に行われるた
め、加熱処理筒5内での延伸張力が異常に上がり、断糸
が発生し易くなるという問題を惹起する。このため、特
に好ましい加熱処理筒5の設定温度範囲は、150〜2
50℃であって、特に好ましくは、150〜200℃で
ある。
【0019】また、加熱処理筒5の出口側開口部5Aは
その開口が広くなると、高速で走行する糸条に随伴して
高温の気流が加熱処理筒5外に流出することになるた
め、加熱処理筒5内の温度がポリエステルのガラス転移
温度よりも低下して、分子配向が進まず、必要とする機
械特性が得られなくなる。この問題を防ぐ上で、出口側
開口部5Aの開口は、直径0.5〜10mm、特に3〜
8mmとなるように絞ることが好ましい。なお、該出口
側開口5Aは、円形状、四角形状、スリット形状等の任
意の形状とすることができる。但し、冷却筒4を走行す
る糸条に関しては、非加熱状態であるため、冷却筒の出
口側開口4Aは開口を広くしておく方が物性差を発現さ
せる上でより好ましい。
その開口が広くなると、高速で走行する糸条に随伴して
高温の気流が加熱処理筒5外に流出することになるた
め、加熱処理筒5内の温度がポリエステルのガラス転移
温度よりも低下して、分子配向が進まず、必要とする機
械特性が得られなくなる。この問題を防ぐ上で、出口側
開口部5Aの開口は、直径0.5〜10mm、特に3〜
8mmとなるように絞ることが好ましい。なお、該出口
側開口5Aは、円形状、四角形状、スリット形状等の任
意の形状とすることができる。但し、冷却筒4を走行す
る糸条に関しては、非加熱状態であるため、冷却筒の出
口側開口4Aは開口を広くしておく方が物性差を発現さ
せる上でより好ましい。
【0020】本発明においては、図1に示した引取りロ
ーラー8及び9での糸条群の引取速度は、2500〜5
500m/分好ましくは3500〜5000m/分とす
る必要がある。もし、2500m/分未満となると、混
繊糸を構成するフィラメント群の何れもが伸度及び沸水
収縮率において大きくなり、フィラメント群間の物性差
が発現せず、十分な風合を呈する混繊糸が得られない。
さらには、十分な繊維構造が形成されていないために、
沸水収縮率が高すぎたり、あるいは後加工時においてア
ルカリ減量加工をした時にフィブリル化し易いといった
問題を惹起する。一方、5500m/分を越えると,何
れのフィラメント群も伸度及び沸水収縮率が小さくな
り、このため沸水収縮率差も小さくなって、十分な嵩高
性が得られなくなる。
ーラー8及び9での糸条群の引取速度は、2500〜5
500m/分好ましくは3500〜5000m/分とす
る必要がある。もし、2500m/分未満となると、混
繊糸を構成するフィラメント群の何れもが伸度及び沸水
収縮率において大きくなり、フィラメント群間の物性差
が発現せず、十分な風合を呈する混繊糸が得られない。
さらには、十分な繊維構造が形成されていないために、
沸水収縮率が高すぎたり、あるいは後加工時においてア
ルカリ減量加工をした時にフィブリル化し易いといった
問題を惹起する。一方、5500m/分を越えると,何
れのフィラメント群も伸度及び沸水収縮率が小さくな
り、このため沸水収縮率差も小さくなって、十分な嵩高
性が得られなくなる。
【0021】なお、引取りローラー8及び9は、加熱さ
れていても、加熱されていなくても構わない。この際、
加熱ローラーとして使用する場合には、加熱ローラー間
で糸条群を加熱しながら追延伸したり、熱セットを施し
たりすることもできる。また、更に加熱ローラーを追加
し、紡糸段階での歪みを緩和する弛緩処理をすることも
可能である。
れていても、加熱されていなくても構わない。この際、
加熱ローラーとして使用する場合には、加熱ローラー間
で糸条群を加熱しながら追延伸したり、熱セットを施し
たりすることもできる。また、更に加熱ローラーを追加
し、紡糸段階での歪みを緩和する弛緩処理をすることも
可能である。
【0022】本発明により得られたポリエステル混繊糸
は、各マルチフィラメント糸条間に、物性差、結晶構造
差が発現し、その結果、これらの糸条群を混繊してえら
れた糸条は、優れた嵩高性と風合を発現させることがで
き、更には異染着性をも呈することになる。何故なら
ば、非開繊状態で加熱処理筒5を通り延伸熱セットが施
され、物性的に安定であるフィラメント群(以降A群と
称する)の方が、他方の冷却筒をを通り非加熱状態で引
取られるフィラメント群(以降B群と称する)よりも、
配向度(△n)や比重(ρ)が大きくなるからである。
しかも、強度が高くなるのに反して、伸度は低くなった
B群が、混繊糸とした場合にその中心(芯)に配置され
ることになるからである。
は、各マルチフィラメント糸条間に、物性差、結晶構造
差が発現し、その結果、これらの糸条群を混繊してえら
れた糸条は、優れた嵩高性と風合を発現させることがで
き、更には異染着性をも呈することになる。何故なら
ば、非開繊状態で加熱処理筒5を通り延伸熱セットが施
され、物性的に安定であるフィラメント群(以降A群と
称する)の方が、他方の冷却筒をを通り非加熱状態で引
取られるフィラメント群(以降B群と称する)よりも、
配向度(△n)や比重(ρ)が大きくなるからである。
しかも、強度が高くなるのに反して、伸度は低くなった
B群が、混繊糸とした場合にその中心(芯)に配置され
ることになるからである。
【0023】本発明においては、各フィラメントの伸
度、配向度、比重、沸水収縮率等は、紡糸引取速度、加
熱処理筒の設定温度、冷却筒内の温度、加熱処理筒出口
側開口の大きさ等によって左右されるが、おおよそ下記
の値となる。 A群: 伸度:25〜60%(好ましくは30〜50%)、 配向度:0.10以上(好ましくは0.10〜0.1
6)、 比重:1.360以上(好ましくは1.365〜1.3
80)、及び 沸水収縮率:2〜15%。B群: 伸度:30%以上(好ましくは50〜150%)、 配向度:0.05〜0.15(好ましくは0.07〜
0.12)、 比重:1.350以上(好ましくは1.355〜1.3
75)、及び 沸水収縮率:3〜50%(好ましくは3〜35%)。
度、配向度、比重、沸水収縮率等は、紡糸引取速度、加
熱処理筒の設定温度、冷却筒内の温度、加熱処理筒出口
側開口の大きさ等によって左右されるが、おおよそ下記
の値となる。 A群: 伸度:25〜60%(好ましくは30〜50%)、 配向度:0.10以上(好ましくは0.10〜0.1
6)、 比重:1.360以上(好ましくは1.365〜1.3
80)、及び 沸水収縮率:2〜15%。B群: 伸度:30%以上(好ましくは50〜150%)、 配向度:0.05〜0.15(好ましくは0.07〜
0.12)、 比重:1.350以上(好ましくは1.355〜1.3
75)、及び 沸水収縮率:3〜50%(好ましくは3〜35%)。
【0024】ここで、B群とA群との間の伸度差は10
%以上(好ましくは20%以上)、配向差は0.05以
上、比重差は0.005以上、沸水収縮率差は5%以上
であることが望ましい。なお、本質的に、B群のフィラ
メント群は、非加熱状態で処理されるため、生糸に近い
構造であり、B群のフィラメント群に比べ濃染糸にな
り、混繊後の染め上りは、濃淡染着差を有する外観を呈
する。
%以上(好ましくは20%以上)、配向差は0.05以
上、比重差は0.005以上、沸水収縮率差は5%以上
であることが望ましい。なお、本質的に、B群のフィラ
メント群は、非加熱状態で処理されるため、生糸に近い
構造であり、B群のフィラメント群に比べ濃染糸にな
り、混繊後の染め上りは、濃淡染着差を有する外観を呈
する。
【0025】さらに、本発明においては、B群及びA群
の単繊維繊度あるいはトータル繊度は同一であっても、
異なってもよい。また、断面形状も同じであっても異な
っていてもよい。しかしながら、繊度を変えるというこ
とは、B群及びA群を計量するギア・ポンプを各々取り
付けて、それぞれ所定の回転数に設定して計量供給した
溶融ポリエステルを紡糸口金から吐出させることにな
る。したがって、この場合ような条件に設定できる設備
を必要とし、設備投資が高くなるため、一般的に、同一
デニールで行うことが多い。なお、混繊糸の総繊度が大
きすぎると、膨らみが逆に出過ぎ、B群とA群との物性
差が出ない状態となって、逆に風合的に硬く感じられる
ため、150デニール以下、特に120デニール以下が
好ましく、単繊維繊度は、1〜3デニールが望ましい。
の単繊維繊度あるいはトータル繊度は同一であっても、
異なってもよい。また、断面形状も同じであっても異な
っていてもよい。しかしながら、繊度を変えるというこ
とは、B群及びA群を計量するギア・ポンプを各々取り
付けて、それぞれ所定の回転数に設定して計量供給した
溶融ポリエステルを紡糸口金から吐出させることにな
る。したがって、この場合ような条件に設定できる設備
を必要とし、設備投資が高くなるため、一般的に、同一
デニールで行うことが多い。なお、混繊糸の総繊度が大
きすぎると、膨らみが逆に出過ぎ、B群とA群との物性
差が出ない状態となって、逆に風合的に硬く感じられる
ため、150デニール以下、特に120デニール以下が
好ましく、単繊維繊度は、1〜3デニールが望ましい。
【0026】また、本発明により得られたポリエステル
混繊糸は、そのまま製織等に用いても良いが、更に、必
要に応じて、別工程で延伸、仮撚加工等を施しても良
い。その際の加工倍率は、紡糸引取速度等に依存はする
が、通常1.05〜1.50倍程度となる。以上の説明
では、B群とA群の2つの糸条群を用いた2錘の例につ
いて説明してきたが、例えば3錘及び6錘においても、
熱処理条件等を変更して合糸混繊して混繊糸を得ても構
わない。
混繊糸は、そのまま製織等に用いても良いが、更に、必
要に応じて、別工程で延伸、仮撚加工等を施しても良
い。その際の加工倍率は、紡糸引取速度等に依存はする
が、通常1.05〜1.50倍程度となる。以上の説明
では、B群とA群の2つの糸条群を用いた2錘の例につ
いて説明してきたが、例えば3錘及び6錘においても、
熱処理条件等を変更して合糸混繊して混繊糸を得ても構
わない。
【0027】ここで、ポリエステルの溶融温度及び冷却
条件は、ポリエステルの溶融紡糸に通常採用されている
条件でよく、例えば285〜300℃の温度範囲で溶融
し、温度25℃湿度65%の冷却風で冷却すればよい。
この時、通常、糸条2Aは、開繊状態で冷却筒4内を通
るが、冷却筒4の上流側で一旦油剤付与ガイド等で油剤
を付与し、集束させて該冷却筒内を通しても構わない。
条件は、ポリエステルの溶融紡糸に通常採用されている
条件でよく、例えば285〜300℃の温度範囲で溶融
し、温度25℃湿度65%の冷却風で冷却すればよい。
この時、通常、糸条2Aは、開繊状態で冷却筒4内を通
るが、冷却筒4の上流側で一旦油剤付与ガイド等で油剤
を付与し、集束させて該冷却筒内を通しても構わない。
【0028】本発明によれば、同一の加熱装置により同
一設定温度で加熱されている複数の加熱処理筒を通して
熱処理する際に、一方のフィラメント群(A群)は、開
繊状態で加熱処理筒内を通っていくために、物性的に強
度が高く安定した品質の糸が得られ、他方のフィラメン
ト群(B群)は、加熱処理筒に直接接触しないが加熱処
理筒内に挿入された冷却筒で筒内の温度をガラス転移温
度以下に下げることにより、非加熱状態でフィラメント
が通るために、紡糸速度に単に依存する物性を得られる
ために、伸度が高く、比重等が低くなる。これにより、
合糸混繊した際に収縮差、伸度差により嵩高性を十分に
有し、しかも、濃淡差のある混繊糸が得られる。
一設定温度で加熱されている複数の加熱処理筒を通して
熱処理する際に、一方のフィラメント群(A群)は、開
繊状態で加熱処理筒内を通っていくために、物性的に強
度が高く安定した品質の糸が得られ、他方のフィラメン
ト群(B群)は、加熱処理筒に直接接触しないが加熱処
理筒内に挿入された冷却筒で筒内の温度をガラス転移温
度以下に下げることにより、非加熱状態でフィラメント
が通るために、紡糸速度に単に依存する物性を得られる
ために、伸度が高く、比重等が低くなる。これにより、
合糸混繊した際に収縮差、伸度差により嵩高性を十分に
有し、しかも、濃淡差のある混繊糸が得られる。
【0029】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に詳述す
る。なお、伸度、配向度、比重、沸水収縮率、風合は下
記の方法で測定した。
る。なお、伸度、配向度、比重、沸水収縮率、風合は下
記の方法で測定した。
【0030】(イ)伸度;島津製作所製のオートグラフ
を使用し、試料長20cm、引張速度100%/分で測
定した。
を使用し、試料長20cm、引張速度100%/分で測
定した。
【0031】(ロ)配向度(△n);偏向顕微鏡により
単色(ナトリウム)ランプのもとで、コンペンセーター
の補正角度から求めたレーターデイション、干渉縞の数
及び試料の直径から配向度を求めた。
単色(ナトリウム)ランプのもとで、コンペンセーター
の補正角度から求めたレーターデイション、干渉縞の数
及び試料の直径から配向度を求めた。
【0032】(ハ)沸水収縮率;試料を100℃沸騰水
中で30分間拘束状態で熱処理したときの収縮量を、試
料長に対するパーセントで表す。
中で30分間拘束状態で熱処理したときの収縮量を、試
料長に対するパーセントで表す。
【0033】(ニ)比重;比重が1.276〜1.41
6の範囲内になるように調整したn−ヘプタン:四塩化
炭素混合液を使用し、密度勾配管法により測定した。
6の範囲内になるように調整したn−ヘプタン:四塩化
炭素混合液を使用し、密度勾配管法により測定した。
【0034】(ホ)風合;混繊糸で製織した織物を触感
により評価し、強度4.5g/d、伸度30〜40%の
同一繊度の糸条で同様に製織した基準織物と比較して、
柔らかく、ヌメリ感、腰があるものを◎、若干柔らかい
ものを○、柔らかさが同等のものを△、硬いものを×で
示した。
により評価し、強度4.5g/d、伸度30〜40%の
同一繊度の糸条で同様に製織した基準織物と比較して、
柔らかく、ヌメリ感、腰があるものを◎、若干柔らかい
ものを○、柔らかさが同等のものを△、硬いものを×で
示した。
【0035】[実施例1〜6]ポリエステルチップを溶
融温度290℃で溶融し、孔径が0.2mm、ランド長
が0.8mm、ホール数が36ホールの2つの紡糸口金
を用いて、それぞれの紡糸口金から溶融吐出した後、図
1に示す装置の冷却装置3により一旦冷却した後、それ
ぞれの繊度、紡糸引取速度、加熱装置設定温度、冷却筒
流入圧空量、冷却筒内温度を表1記載のように変更して
巻取った。なお該加熱処理筒4は、口金下より1.0m
の位置に設置され、その長さは1.3mで内径40mm
のステンレス製の円筒管を使用した。この際、冷却筒と
して、その長さが1.35mで内径30mmの円筒管を
使用した。そして、該加熱処理筒の出側開口部は直径5
mmの円形状開口とした。結果は表2に示す通りであっ
た。なお、各筒内の温度は、加熱処理筒及び冷却筒の出
口開口部より温度検出端(熱電対端)を挿入し、加熱処
理筒の出口開口部より上方の300mmの位置で、糸走
行時に測定したものである。本発明方法で製造した混繊
糸(実施例1〜6)は、十分な嵩高性を有し、風合、濃
淡染着差も良好で有り、特に単繊維繊度が小さくなるほ
ど柔らかくなる傾向があった。
融温度290℃で溶融し、孔径が0.2mm、ランド長
が0.8mm、ホール数が36ホールの2つの紡糸口金
を用いて、それぞれの紡糸口金から溶融吐出した後、図
1に示す装置の冷却装置3により一旦冷却した後、それ
ぞれの繊度、紡糸引取速度、加熱装置設定温度、冷却筒
流入圧空量、冷却筒内温度を表1記載のように変更して
巻取った。なお該加熱処理筒4は、口金下より1.0m
の位置に設置され、その長さは1.3mで内径40mm
のステンレス製の円筒管を使用した。この際、冷却筒と
して、その長さが1.35mで内径30mmの円筒管を
使用した。そして、該加熱処理筒の出側開口部は直径5
mmの円形状開口とした。結果は表2に示す通りであっ
た。なお、各筒内の温度は、加熱処理筒及び冷却筒の出
口開口部より温度検出端(熱電対端)を挿入し、加熱処
理筒の出口開口部より上方の300mmの位置で、糸走
行時に測定したものである。本発明方法で製造した混繊
糸(実施例1〜6)は、十分な嵩高性を有し、風合、濃
淡染着差も良好で有り、特に単繊維繊度が小さくなるほ
ど柔らかくなる傾向があった。
【0036】[比較例1〜5]しかしながら、紡糸引取
速度が2500m/分未満の2300m/分では、A群
・B群共に伸度及び沸水収縮率が高いために、フィラメ
ント間の物性差が発現しにくく、風合的に硬く感じられ
た(比較例1)。
速度が2500m/分未満の2300m/分では、A群
・B群共に伸度及び沸水収縮率が高いために、フィラメ
ント間の物性差が発現しにくく、風合的に硬く感じられ
た(比較例1)。
【0037】また、逆に高速領域である6000m/分
以上になると、フィラメント群が加熱処理筒に入る前に
結晶構造を既に形成しているため、加熱処理筒による加
熱延伸熱セットが十分に効果を発現することができなく
なる。つまり、加熱装置の温度によるフィラメントB群
の延伸・熱セット効果が発揮せずに、高速の紡糸速度に
よるフィラメント群の内部構造が既にでき上がるため、
紡糸速度のみに物性が依存する形になる。これを失効現
象と呼ぶが、この失効現象は、加熱温度、銘柄及び紡糸
引取速度に依存し、本発明方法での失効速度は5500
m/分を越えた領域で現れる(比較例2)。
以上になると、フィラメント群が加熱処理筒に入る前に
結晶構造を既に形成しているため、加熱処理筒による加
熱延伸熱セットが十分に効果を発現することができなく
なる。つまり、加熱装置の温度によるフィラメントB群
の延伸・熱セット効果が発揮せずに、高速の紡糸速度に
よるフィラメント群の内部構造が既にでき上がるため、
紡糸速度のみに物性が依存する形になる。これを失効現
象と呼ぶが、この失効現象は、加熱温度、銘柄及び紡糸
引取速度に依存し、本発明方法での失効速度は5500
m/分を越えた領域で現れる(比較例2)。
【0038】次に、本発明においては、一方では、加熱
処理筒の温度を必要十分に高くして、加熱されるA群の
フィラメントが十分に延伸される条件とする必要があ
り、他方では、B群は冷却筒内の温度をガラス転移温度
以下に十分に低くしなければならない。この条件を欠く
と、風合的に好ましくなくなり、特に、B群の熱処理条
件、すなわち、処理温度が90℃とガラス転移点(T
g)領域に近い場合は、繊維配向のみ進み、熱セットが
されないため、伸度は通常延伸されたフィラメントと同
様に低い傾向を示すが、配向は高く比重は極端に低くな
るため、高収縮率であっても風合が硬くなる。しかも、
冷延伸的に配向した配向分布も均一でなくなるため、不
規則な未延伸状態が存在し、このような状態で混繊して
も、収縮率が高すぎる織物ができてしまう(比較例
3)。
処理筒の温度を必要十分に高くして、加熱されるA群の
フィラメントが十分に延伸される条件とする必要があ
り、他方では、B群は冷却筒内の温度をガラス転移温度
以下に十分に低くしなければならない。この条件を欠く
と、風合的に好ましくなくなり、特に、B群の熱処理条
件、すなわち、処理温度が90℃とガラス転移点(T
g)領域に近い場合は、繊維配向のみ進み、熱セットが
されないため、伸度は通常延伸されたフィラメントと同
様に低い傾向を示すが、配向は高く比重は極端に低くな
るため、高収縮率であっても風合が硬くなる。しかも、
冷延伸的に配向した配向分布も均一でなくなるため、不
規則な未延伸状態が存在し、このような状態で混繊して
も、収縮率が高すぎる織物ができてしまう(比較例
3)。
【0039】また、加熱処理筒を加熱しない場合は、当
然、A群・B群とも、紡糸速度に依存する形になるた
め、物性差が生じない(比較例4)。同様に、加熱処理
筒の温度を上げて、150℃以上に設定した場合でも、
B群を冷却しなければ、当然のこととして、A群及びB
群とも延伸・熱セットを施された均一な延伸糸が得られ
るだけで、物性差が生じないため風合的には、何等変わ
ったところがない織物となった(比較例5)。
然、A群・B群とも、紡糸速度に依存する形になるた
め、物性差が生じない(比較例4)。同様に、加熱処理
筒の温度を上げて、150℃以上に設定した場合でも、
B群を冷却しなければ、当然のこととして、A群及びB
群とも延伸・熱セットを施された均一な延伸糸が得られ
るだけで、物性差が生じないため風合的には、何等変わ
ったところがない織物となった(比較例5)。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、複数の加熱処理筒を有
する加熱装置を用いて、同一温度設定でありながら、あ
る加熱処理筒の中に加熱処理筒の温度の変動を与えずに
冷却を施すことを可能とする冷却筒を設置することによ
り、同一紡糸速度で引取られる複数のフィラメント群を
合糸混繊したポリエステル混繊糸は、安価で製造するこ
とができ、尚且つ優れた嵩高性あるいはヌメリ感のある
良好な風合の織物を得ることができる。
する加熱装置を用いて、同一温度設定でありながら、あ
る加熱処理筒の中に加熱処理筒の温度の変動を与えずに
冷却を施すことを可能とする冷却筒を設置することによ
り、同一紡糸速度で引取られる複数のフィラメント群を
合糸混繊したポリエステル混繊糸は、安価で製造するこ
とができ、尚且つ優れた嵩高性あるいはヌメリ感のある
良好な風合の織物を得ることができる。
【図1】本発明を実施する工程を例示した模式略線図で
ある。
ある。
【符号の説明】 1A A用の紡糸口金 1B A群用の紡糸口金 2A マルチフィラメント群(B群) 2B マルチフィラメント群(A群) 3 紡糸冷却装置 4 冷却筒 4A 冷却筒の糸条出側開口 5 加熱処理筒 5A 加熱処理筒の糸条出側開口 6A,6B 油剤付与装置 7 交絡付与装置 8,9 1引取りローラー 10 巻取機
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年10月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】次に、加熱処理筒5は、紡糸口金からの距
離にして0.5〜1.5m下方に取り付けることが好ま
しい。また、該加熱処理筒5の形状は、例えば長さ1.
5m、内径0.03〜0.06mのステンレス鋼製の円
筒状加熱処理筒が用いられ、加熱手段としては、加熱処
理筒の周囲を熱媒ジャケットで囲んで熱媒を封入した熱
媒式加熱装置が用いられる。なお、他の加熱手段として
は、電熱ヒーターを用いてもよいが、均一加熱、消費エ
ネルギーの節約の観点から、熱媒式加熱が好ましい。
離にして0.5〜1.5m下方に取り付けることが好ま
しい。また、該加熱処理筒5の形状は、例えば長さ1.
5m、内径0.03〜0.06mのステンレス鋼製の円
筒状加熱処理筒が用いられ、加熱手段としては、加熱処
理筒の周囲を熱媒ジャケットで囲んで熱媒を封入した熱
媒式加熱装置が用いられる。なお、他の加熱手段として
は、電熱ヒーターを用いてもよいが、均一加熱、消費エ
ネルギーの節約の観点から、熱媒式加熱が好ましい。
Claims (1)
- 【請求項1】 紡出した複数本のポリエステル・マルチ
フィラメントからなる糸条群を一旦ガラス転移温度以下
に冷却し、該糸条群を2群の糸条群に分けた後、一方の
糸条群には開繊状態で選択的に非接触の加熱処理を施こ
すが、他方の糸条群には加熱処理を施さない状態とな
し、各糸条群を2500〜5500m/分で同時に引取
って合糸混繊することを特徴とするポリエステル混繊糸
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14201097A JPH10331031A (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | ポリエステル混繊糸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14201097A JPH10331031A (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | ポリエステル混繊糸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10331031A true JPH10331031A (ja) | 1998-12-15 |
Family
ID=15305285
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14201097A Pending JPH10331031A (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | ポリエステル混繊糸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10331031A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000043581A1 (fr) * | 1999-01-25 | 2000-07-27 | Teijin Limited | Procede de production d'un fil continu combine a base de polyester |
KR100407257B1 (ko) * | 2001-11-29 | 2003-11-28 | 정을석 | 고신축성 폴리에스테르 가공사 제조장치 |
WO2008003234A1 (fr) * | 2006-06-26 | 2008-01-10 | Yingzhi Lv | Procédé de production de filaments frisés de térylène et appareil correspondant |
CN107974741A (zh) * | 2018-01-02 | 2018-05-01 | 苏州扬昇纺织科技有限公司 | 超高速纺涤纶锦纶双组份交络复合纤维的生产工艺 |
-
1997
- 1997-05-30 JP JP14201097A patent/JPH10331031A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000043581A1 (fr) * | 1999-01-25 | 2000-07-27 | Teijin Limited | Procede de production d'un fil continu combine a base de polyester |
US6723265B1 (en) | 1999-01-25 | 2004-04-20 | Teijin Limited | Method for producing polyester-based combined filament yarn |
KR100407257B1 (ko) * | 2001-11-29 | 2003-11-28 | 정을석 | 고신축성 폴리에스테르 가공사 제조장치 |
WO2008003234A1 (fr) * | 2006-06-26 | 2008-01-10 | Yingzhi Lv | Procédé de production de filaments frisés de térylène et appareil correspondant |
CN107974741A (zh) * | 2018-01-02 | 2018-05-01 | 苏州扬昇纺织科技有限公司 | 超高速纺涤纶锦纶双组份交络复合纤维的生产工艺 |
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