JP3561101B2 - ポリエステル繊維の製造装置と製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維の製造装置と製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルからなるマルチフィラメント繊維を製造するための装置とその方法に関する。更に詳しくは、ポリエステルを溶融紡糸し、一旦冷却した後、非集束状態で加熱して高速で引き取って延伸するポリエステル繊維の直接紡糸延伸装置と製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紡糸工程のみで、実用に供し得る強伸度を有するポリエステル繊維の製造する方法として、7000m/分以上の高速度で引き取る超高速紡糸方法が知られている(例えば、特公昭60−47928号公報参照)。
【0003】
しかし、このような高速紡糸方法では、糸掛け時や紡糸断糸時の作業性が悪く、更には高速ワインダー等の設備にかかるコストがかかり、断糸が増えた場合、糸掛け時の紙管コスト・屑量が増え、設備償却後のランニング・コストの面では好ましくない。また、従来使用されて来たポリエステル繊維と異なる物性挙動を示し、実用には供し得る強伸度を有する繊維を得ることはできるものの、従来と異なる後工程と後処理を施す必要性がある。しかも、市場に供するための織物とした場合に、張り・腰が不足しており、市場のニーズに対応しているとは言い難い。このため、低速で紡糸して、一旦巻取り、その後別工程で延伸を施す別延方式や、紡糸引取後、巻き取ることなく、引続き延伸を施す直延方式で得た繊維に比べて、十分な特性を引き出すまでには至っていない。
【0004】
一方、3000〜6000m/分の引取速度で、実用に供し得るポリエステル繊維を得る方法として、図4に示すような方法が行われている。すなわち、紡糸口金1と紡糸引取ローラー2、3との間に、冷却装置4と、ヒーター5を有する加熱装置6とを設け、紡糸口金1から溶融吐出されたポリエステル糸条Yを一旦ガラス転移温度以下に冷却し、引続き加熱装置6内を走行させつつ加熱延伸し、しかる後、引取ローラー2、3で引取って、ワインダー7に巻取る方法である。該方法は、所謂直接紡糸延伸方法と称されている。なお、図4において、8は油剤付与装置、9はインターレース装置であり、いずれも、直接紡糸延伸後の糸条に集束性を付与するための装置である。
【0005】
上記の直接紡糸延伸方法においては、加熱装置6内で加熱された糸条が紡糸張力による延伸作用を受けるため、比較的低速の引取速度でも、実用に供し得る力学的特性を有するポリエステル繊維を得ることができる。
【0006】
しかし、加熱装置6内における走行糸条の張力が低過ぎると、均一な加熱延伸が行われず、糸揺れが大きくなり、繊度斑(以下U%と称する)が大きくなる。そして、その結果得られた糸条を織編物としたときに染斑が発生し、しかも、糸条自体の強伸度等の力学的物性が不十分であるため、実用に供するには更に延伸等の操作を要することになる。他方、糸条の張力が高くなり過ぎると、単繊維切れ(単糸切れ)や紡糸断糸等が多発し、しかも、必要以上の張力が単繊維にかかるため、繊度斑やU%が大きくなる原因となる。
【0007】
そこで、上述の問題を解決するために、加熱装置内における糸条の張力を均一に制御する方法が提案されている(例えば、特公昭59−51603号公報、特開昭62−162015号公報)。しかしながら、これらの方法でも、繊度斑、U%を十分満足できる程度まで改善することができず、しかも、単繊維切れや紡糸断糸が依然として多発する。このような糸条の張力を制御する方法では、上記の問題を解決できない理由として、高速で走行する糸条に随伴する気流により発生する糸揺れがその原因となっているものと推察される。
【0008】
他方、直接紡糸延伸方法において、高速で走行する糸条に随伴して加熱装置内に流入する低温の空気(冷却風等)により、加熱装置内で温度低下や温度変動が生じ、さらには加熱装置の加熱効率が低下するのを防ぐため、走行糸条の随伴気流が加熱装置内に流入するのを防止する装置も提案されている(特開昭54−138613号公報、特開昭62−69815号公報)。
【0009】
しかしながら、これらの装置は、いずれも、走行糸条の随伴気流が加熱装置内に流入して、温度が変動し、エネルギー効率が低下するのを防止することを目的とするもので、走行糸条の随伴気流に起因する糸揺れによって生じる問題を解決しようとするものではない。従って、これらの装置を使用しても、直接紡糸延伸方法において、走行糸条の随伴気流によって生じる糸揺れを防ぎ、U%、染斑の減少をはかり、単繊維切れや紡糸断糸(紡糸工程調子)を改善することは困難である。
【0010】
また、特開平4−263608号公報には、直接紡糸延伸方法において、内部の断面積を少なくとも底部で連続的に減少させた加熱装置を使用することにより、均質性の高いマルチフィラメントを得ることが記載されている。
【0011】
しかしながら、この加熱装置を使用しても、走行糸条に随伴する気流の乱れに起因する糸揺れに対しては、殆ど配慮されておらず、糸揺れによって生じるU%、染斑、紡糸工程調子の悪化を改善することはできない。しかも、特殊な形状の加熱装置を使用するため、設備コストが高くなるという問題もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、直接紡糸延伸方法において、U%が大きくなり、染斑が悪化し、単繊維切れや紡糸断糸が多発して紡糸工程調子が悪くなるのは、主として、高速で走行している糸条に随伴する気流の乱れによって生ずる糸揺れによるものであることを究明した。しかも、この糸条と共に該加熱装置に流入する随伴気流の量が物性向上にもつながることを見い出した。従って、この気流の乱れの影響をできるだけ小さくし、糸条と共に該加熱装置に走行糸条に随伴する気流を均一に流入させるためには、冷却風によって冷却された糸条と共に、糸条の走行方向と同一方向に加熱装置内へ均一に冷却風を整流して流れ込ませれば良いことを究明し、本発明を完成するに至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
(請求項1)紡出されたポリエステルからなるマルチフィラメント糸条に冷却風を吹付けて該糸条をガラス転移温度以下に冷却する冷却装置、一旦冷却された紡出糸条を非集束状態で非接触加熱しながら延伸するための加熱筒、及び3000m/分以上の速度で糸条を引き取る引取装置を含むポリエステル繊維の製造装置において、冷却装置から吹き出される冷却風の流れを糸条の走行方向へと整流する整流部材を設けると共に、該整流部材下部と加熱筒上部の糸条入口とに連なる冷却風の加熱筒への導入部材を付設したことを特徴とするポリエステル繊維の製造装置、
(請求項2) 前記の整流部材が冷却風を受け入れる開口部を糸条走行方向に沿って有し、かつ半円筒状の板状体が多層に設けられている部材である請求項1記載のポリエステル繊維の製造装置、
(請求項3) 請求項1記載の冷却風の導入部材が加熱筒方向に向かって漏斗状に漸減的に絞られ、かつ整流部材と加熱筒の糸条入口とを連結した請求項1又は請求項2記載のポリエステル繊維の製造装置、
(請求項4) 前記の加熱筒が複数本のマルチフィラメント糸条群を、各糸条毎にそれぞれ加熱する加熱領域が各糸条毎に独立した加熱筒であって、該加熱筒群のそれぞれに対応して設けられた整流部材群の隣接する整流部材間に間隙を形成させずに連設した請求項1〜3の何れかに記載のポリエステル繊維の製造装置である。
【0014】
さらに、本発明は、
(請求項5) 紡出されたポリエステルからなるマルチフィラメント糸条に冷却風を吹付け、該糸条を一旦ガラス転移温度以下に冷却した後、引き続いて加熱筒内で非集束状態で非接触加熱しながら延伸し、3000m/分以上の速度で引き取るポリエステル繊維の製造方法において、前記の冷却風を加熱筒に糸条が入るまでの間に、糸条の走行方向に整流しつつ、整流した冷却風を走行糸条と分離させることなく、走行糸条に随伴させて加熱筒内へ流入させることを特徴とするポリエステル繊維の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において、ポリエステル繊維とは、ポリエチレンテレフタレートを主たる対象とするが、繰り返し単位が85モル%以上、好ましくは95%以上がエチレンテレフタレートであるコポリエステルや、あるいはこれらのポリエステルに他のポリマー、例えばポリヘキサメチレンテレフタレート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ポリエチレン−2,6−ナフタレト、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等を少量混合したものでも良い。さらに、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消剤、防染剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含んでも構わない。
【0016】
本発明で得られたポリエステル繊維のポリマーの固有粘度IV(35℃のo−クロロフェノール溶液を使用して算出)は、0.3〜1.0、特に0.5〜0.7の範囲が適正である。
【0017】
上記ポリエステルは、例えば、図1に示す装置により、直接紡糸延伸することができる。
該図において、1は紡糸口金、2、3は紡糸引取ローラーであり、紡糸口金1と紡糸引取ローラー2及び3との間に、紡冷却装置4と加熱筒5とを有する非接触式加熱加熱装置6が設けられている。また、7は糸条Yを巻取るワインダー、8は油剤付与装置、9はインターレース装置をそれぞれ示す。ここで、加熱筒5は、一般的には多数本のマルチフィラメント糸条Yを非集束の状態で非接触加熱する役割を果たす。そして、該加熱筒5の上部には、冷却装置4から吹き出される冷却風の流れを糸条Yの走行方向へと整流する整流部材4aを設けると共に、該整流部材4aの下方には整流部材4a下部と加熱筒5上部の糸条入口とに連なる冷却風の加熱筒5への導入部材4bを付設してある。なお、10は、加熱筒5の加熱効率の低下を防ぐために、加熱筒5の下部に設けたシャッターである。
【0018】
ここで、本発明による略紡糸工程から巻取工程までを簡単に記すと、まず、前記のポリエステルを融点(Tm)から融点+50℃(Tm+50℃)位の温度で溶融し、紡糸口金1から紡出する。紡糸口金1としては、紡糸孔が円周上に一列に配列されたものが、紡出糸条を均一に冷却するのが理想的であるが、円周上に2〜3列に等間隔に配列されたり、格子状に配列されたものでも良い。
【0019】
紡糸口金1から紡出された糸条Yは、該紡冷却装置4により一旦冷却する。この時、紡出糸条Yの冷却が不十分であると、次の加熱筒5内での加熱延伸を均一に行うことが困難となり、得られるポリエステル繊維の均質性が劣ったものとなるので、加熱筒5の糸条入口直前までは、糸条Yはガラス転移温度(Tg)以下に冷却されていることが望ましい。
【0020】
次いで、このように冷却した糸条Yを、加熱筒5内にて非集束状態で非接触加熱して、3000m/分以上の速度で、紡糸引取ローラー2、3により引取り巻取る。ここで、前記の加熱筒5は、長さが50〜150cm、その内部雰囲気温度が150〜200℃であることが望ましい。もし、雰囲気温度が低過ぎると、加熱筒5内での走行糸条が空気との摩擦によって引き起こされる延伸作用が不十分となり、不完全な延伸状態となって染斑が発生し、U%も大きくなると共に、繊維の微細構造が安定化せず、収縮率も高くなる。一方、雰囲気温度が高過ぎると、強伸度等の力学的特性は著しく向上するものの、紡糸断糸や単繊維間の融着が多発し、しかも、加熱筒5内での糸揺れが大きくなり、U%と染斑が悪化する。
【0021】
また、前記の加熱筒5に入る糸条Yが持ち込む随伴気流によっても力学的特性やU%に大きな影響を与える。つまり、非集束状態で加熱筒5に流入する糸条Yに対して、ある程度の張力が発生していないと、延伸効果が発揮されないのである。何故ならば、走行糸条Yは加熱筒5内で延伸されながら熱セットされることが必要とされるからであって、糸条Yが持ち込む随伴気流によって加熱筒5内の温度を低下させることは、糸条の延伸と熱セットに大きな影響を及ぼすからである。
【0022】
そこで、本発明者は、加熱筒5内を随伴気流と共に走行した場合における糸条の繊度変化、所謂細化変形挙動を詳細に観察した。その結果、延伸は、加熱筒5内で徐々に行われていることが分かり、加熱筒内の温度、長さ、更には、糸条が持ち込む随伴気流に関して、例え加熱筒5内に随伴気流を流入させても、最適な物性を持つ糸条を得ることができるのを見いだしたのである。
【0023】
すなわち、本発明に使用する加熱筒5としては、通常、その横断面が円である円筒状のものが用いられるが、特に円筒状に限定されるものでもなく、任意の形状の筒状体、例えば横断面が長方形、正方形、楕円等の筒状体が用いられる。ただし、糸処理の均一性・均質性の点で言えば、多錘取りが一般であるため、全ての糸条錘を共同で加熱延伸する方法は、随伴気流の乱れが大きく左右するため好ましくなく、各錘の糸条がそれぞれ独立して熱処理される円筒状加熱筒が好ましい。なお、この加熱筒5の加熱手段としては、図1に示すように、外部から電気で加熱するヒーター5を設けても良く、また、加熱空気、蒸気などを加熱筒内へ吹き込むようにしても良い。さらには、生産性を向上させるために、2錘以上の糸条を同時に処理する多錘取りの場合には、加熱筒5の外部にジャケットを設ける熱媒加熱方式を採用することが好ましい。何故ならば、該ジャケット内に温度制御された熱媒を循環させる熱媒加熱方式を採用すると、錘間の温度差を小さくすることができ、得られたポリエステル繊維の物性、染斑等の錘間差をなくすると同時に、その糸条錘内つまり長手方向での斑、錘内差を少なくすることが可能となりより好ましい。
【0024】
なお、紡出された糸条を最終的に引取る場合の引取速度としては、3000m/分以上であることが必要であり、3000m/分未満では、走行糸条と空気との摩擦作用による延伸作用等が不十分であって、このため、強伸度、ヤング率などの物性が不十分となり、製織した場合に、張り、腰のない織物となってしまう。一方、引取速度が高過ぎると、糸条の結晶化が進み、織物がペーパーライクな風合となるばかりでなく、紡糸断糸や単繊維切れが増大し、作業性も悪くなることから、好ましくは、4000〜5500m/分である。
【0025】
ここで、本発明においては、加熱筒5の上部に設けられる冷却装置が重要である。何故ならば、本発明においては、従来の方法と装置とは大きく異なり、冷却風を強制的に加熱筒内に流入させているからである。しかも、8割以上の冷却風を加熱筒内へ流入させても物性の優れた糸条を得ることができるのである。ただし、このために必要とされる条件としては、糸条の走行方向に沿って、冷却風が流れるように整流することが必要である。何故ならば、糸条の走行方向に対して冷却風が横切るように流すと、糸条の揺れを惹起し、前述のようにU%の悪化や染斑を起こすからである。
【0026】
したがって、本発明の冷却装置4では、図2及び図3にその詳細図を示してあるが、冷却風によって糸条を冷却するに当たって、下記のような工夫がなされている。すなわち、冷却装置4から吹き出される冷却風の流れを糸条Yの走行方向へと整流する整流部材4aを設けると共に、該整流部材4aの下方には整流部材4a下部と加熱筒5上部の糸条入口とに連なる冷却風の導入部材4bを付設してある。ここで、前記の整流部材4aは、冷却風を受け入れる開口部を糸条走行方向に沿って有し、かつ半円筒状の板状体が多層に設けられた構造を有している。さらに、冷却風の導入部材4bは、加熱筒方向に向かって漏斗状に漸減的に絞られ、かつ整流部材4aと加熱筒5の糸条入口とを連結した構造としてある。
【0027】
さらに、多錘化された場合には、隣接する糸条Yの相互干渉が著しくなるため、冷却風が各々の錘毎に冷却されて、加熱筒内に流入させるのが好ましい。そこで、複数本のマルチフィラメント糸条群を、各糸条毎(各錘毎)にそれぞれ加熱領域が各糸条毎に独立した加熱筒5であって、該加熱筒群5のそれぞれに対応して設けられた整流部材群4aの隣接する整流部材4b間に間隙を形成させずに連設した構造とすることが好ましいのである。
【0028】
そのため、糸条Yが冷却風に冷却された後、冷却風は、前記の整流部材4aのが円筒状に多層に設けられた板状体によって、糸条の走行方向に沿った流れに整流される。そして、走行糸条Yに随伴して冷却風と共に、強制的に糸条Yと一緒に加熱筒5の糸条入口から加熱筒5へと導入される。この時、冷却風の導入部材4aは、加熱筒5の方向に向かって漏斗状に漸減的に絞られ、かつ整流部材4aと加熱筒5の糸条入口とを連結してあるため、走行糸条Yに対して糸揺れを殆ど起こすことがなくなるのである。ここで、冷却風の導入部材4aによって冷却風が無理なく加熱筒5へ流入するように、加熱筒5に向かって漏斗状に漸減的に絞らてあるのは、冷却風の整流効果を更に上げるためである。この時、最終的に冷却風のほぼ全てを集め、加熱筒内に流入させる構造としもよく、また、糸揺れを発生させることなく冷却風を逃がす構造とすることで、冷却風の一部を加熱筒5へ流入させる構造としても良い。
【0029】
なお、整流部材4aを円筒状に多層に分割させているのは、これも冷却風の整流効果を向上させるためであって、糸条走行方向での冷却風の乱れを生じさせることなく、U%や染斑を解消する上で効果的である。また、冷却風の導入部材4aによって漸減的に冷却風を絞り込まないと加熱筒内に随伴気流が十分流入しなくなるため、糸条の力学的特性・物性が落ちると共に不連続的に、随伴気流が流入するためU%・染斑につながる。
【0030】
更に、各加熱筒の入口に連続的につなげることも品質安定化では重要であり、漸減的に絞り込んでも、連続的に冷却風が入り込まなければ、U%が悪化すると共に糸揺れが大きくなり、紡糸工程調子に悪影響を及ぼす。
【0031】
また、多銘柄対応として、フィラメント数が少ない場合においては、紡糸速度にもよるが、十分な随伴気流が発生しない場合もあるため、図1に示した引取ローラー2、3を加熱ローラーとし、加熱筒5で糸条Yを延伸・熱セットした後、更に延伸・熱セットを施すことも可能である。特に、低融点のポリマー、例えばイソフタル酸成分の多いポリエステル等の場合、織物とした場合のシボ・膨らみを出すために高温の熱応力が必要となり、このような場合に2段延伸・熱セットを施す際に、このような方法が有効である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
なお、実施例、比較例における力学的特性(一般物性)、工程調子の測定、判定並びに総合判定は次のようにして行った。
【0033】
(1)強伸度、10%応力
テンシロン引張試験器を用いて得られた荷伸曲線から求めた。強伸度は、破断時の強度と伸度を示しており、10%応力は、試験糸が10%伸長された時の応力(強度)を示している。
【0034】
(2)U%
計測器工業社製ウースター糸斑試験器を用いてハーフ・イナートテストを行い、
積分計により求めた。
【0035】
(3)染斑
メリヤス編サンプルを染色して、目視判定で1〜5点評価を行った。点数が高い程染め上がりが良い、つまり、染斑が少ないことを示す。
【0036】
(4)工程調子
1日、1錘当たりの紡糸断糸回数を測定し、1週間ランニングした際の平均で示し、次の基準で評価した。
◎ : 0.5回未満
○ : 0.5回以上1.0回未満
△ : 1.0回以上2.0回未満
× : 2.0回以上。
【0037】
(5)総合判定
◎ : 極めて良好
○ : 良好
△ : やや不良
× : 不良。
【0038】
[実施例1〜4、比較例1〜6]
固有粘度が0.64で酸化チタンを0.3重量%含有するポリエチレンテレフタレートを295℃で溶融し、図1〜3に示す装置を用いて、表1に示す条件で直接紡糸延伸を行い、75デニールのポリエステルフィラメントを得た。
【0039】
【表1】
Figure 0003561101
【0040】
なお、加熱筒5の入口直径は真円形で35mm、長さ120cm、温度は180℃に設定した。紡糸冷却装置4の長さは、100cmであり、口金下から30cmでの冷却風の速度は、0.2m/secであった。錘数は、6錘型で実施した。得られたポリエステルフィラメントの糸物性(力学的特性)は、表2に示す通りであり、また、紡糸工程調子及び総合判定は表3に示す通りであった。また、表1に記載されている円周分割有り・無しというのは、図2及び図3に示した整流部材4aと導入部材4bとを設けたものと、設けなかったものとをそれぞれ示す。
【0041】
【表2】
Figure 0003561101
【0042】
【表3】
Figure 0003561101
【0043】
これらの表2及び表3に示した結果より、本発明によるポリエステルの製造装置とその方法を使用することにより、従来の装置とその方法とを用いた場合に比較して、糸物性、U%、染斑、工程調子のいずれにおいても良好な結果が得られた。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、直接紡糸延伸工程において、冷却風による糸揺れを防ぎ、糸物性において、U%、染斑等が良好であって、しかも工程も安定しているポリエステル繊維が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための装置の一例を示す、一部に縦断面を施した正面図。
【図2】本発明の整流部材と導入部材を例示した平面図。
【図3】本発明の整流部材と導入部材を例示した縦断面を施した正面図。
【図4】従来法の装置を例示した一部に縦断面を含む正面図。
【符号の説明】
1 紡糸口金
2,3 引取装置
4 冷却装置
4a 整流部材
4b 導入部材
5 加熱筒
7 巻取装置
Y 糸条

Claims (5)

  1. 紡出されたポリエステルからなるマルチフィラメント糸条に冷却風を吹付けて該糸条をガラス転移温度以下に冷却する冷却装置、一旦冷却された紡出糸条を非集束状態で非接触加熱しながら延伸するための加熱筒、及び3000m/分以上の速度で糸条を引き取る引取装置を含むポリエステル繊維の製造装置において、
    冷却装置から吹き出される冷却風の流れを糸条の走行方向へと整流する整流部材を設けると共に、該整流部材下部と加熱筒上部の糸条入口とに連なる冷却風の加熱筒への導入部材を付設したことを特徴とするポリエステル繊維の製造装置。
  2. 前記の整流部材が冷却風を受け入れる開口部を糸条走行方向に沿って有し、かつ半円筒状の板状体が多層に設けられている部材である請求項1記載のポリエステル繊維の製造装置。
  3. 請求項1記載の冷却風の導入部材が加熱筒方向に向かって漏斗状に漸減的に絞られ、かつ整流部材と加熱筒の糸条入口とを連結した請求項1又は請求項2記載のポリエステル繊維の製造装置。
  4. 前記の加熱筒が複数本のマルチフィラメント糸条群を、各糸条毎にそれぞれ加熱する加熱領域が各糸条毎に独立した加熱筒であって、該加熱筒群のそれぞれに対応して設けられた整流部材群の隣接する整流部材間に間隙を形成させずに連設した請求項1〜3の何れかに記載のポリエステル繊維の製造装置。
  5. 紡出されたポリエステルからなるマルチフィラメント糸条に冷却風を吹付け、該糸条を一旦ガラス転移温度以下に冷却した後、引き続いて加熱筒内で非集束状態で非接触加熱しながら延伸し、3000m/分以上の速度で引き取るポリエステル繊維の製造方法において、
    前記の冷却風を加熱筒に糸条が入るまでの間に、糸条の走行方向に整流しつつ、整流した冷却風を走行糸条と分離させることなく、走行糸条に随伴させて加熱筒内へ流入させることを特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
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