JP2004124338A - 細デニールポリエステル中空予備延伸糸の製造方法及びその方法から製造された細デニールポリエステル中空予備延伸糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】単繊維のデニールが0.3〜2.5d、ウスタ−の長周期変異(u%1/2inert)が0.3%以下、錘と錘との間の熱応力変異が4%以下、中空率が25〜40%で、延伸加工すると単繊維のデニールが0.2〜1.0d、中空率が25〜40%で且つ編物染色性の優れたポリエステル細デニール中空糸を取得できる。
【解決手段】溶融紡糸の送風装置に、無風ゾ−ンの長さが2〜(8060×吐出量÷本数平方)mm、冷却筒の長さが15〜40cm、冷却風の風速が0.2〜0.6m/sの放射型外方向送風装置を使用し、紡糸口金の吐出口の配列方法において最も外側の直径と最も内側の直径との差を20mm以下、最も内側の口の配列直径から冷却風管の直径までの距離を12mm以上33mm以下、紡糸口金の配列区における吐出口の密度(穴密度)を1cm2あたり7〜15個とする細デニールポリエステル中空予備延伸糸の製造方法。
【解決手段】溶融紡糸の送風装置に、無風ゾ−ンの長さが2〜(8060×吐出量÷本数平方)mm、冷却筒の長さが15〜40cm、冷却風の風速が0.2〜0.6m/sの放射型外方向送風装置を使用し、紡糸口金の吐出口の配列方法において最も外側の直径と最も内側の直径との差を20mm以下、最も内側の口の配列直径から冷却風管の直径までの距離を12mm以上33mm以下、紡糸口金の配列区における吐出口の密度(穴密度)を1cm2あたり7〜15個とする細デニールポリエステル中空予備延伸糸の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は細デニールポリエステル中空フィラメントの製造方法及びその方法により製造された細デニールポリエステル中空予備延伸糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維は優れた加工性と編物染色性を持ち、しかも低コストであるため、3大合成繊維のうち最も汎用されている。ポリエステル繊維の製造プロセスは大まかに言うと、テレフタル酸とエチレングリコールを重縮合反応させてポリエステルチップまたは溶融体を作製し、溶融状態下で一定量を押し出し、計量、吐出してから、さらに冷却させ油剤を仕上げたあと巻き取って完成させる。前記プロセスにおいては、冷却作用がヤーンの物性及び均一性に大きな影響を与える。
【0003】
現在よく使われている冷却方法には、図1に示されるような横送風装置(Cross flow quenching system)、図2に示されるような放射型内方向送風装置(Radial out−to−in flow quenching system)、図3に示されるような放射型外方向送風装置(Radial in−to−out flow quenching system)がある。横送風装置(図1参照)ではトウ4が紡糸口金3より吐出された後、冷却風がヤーンの片側から吹きつけて冷却する。放射型内方向送風装置(図2参照)ではトウ4が紡糸口金3から吐出された後、冷却筒の内部を通過し、冷却風が周囲からトウを冷却する。放射型外方向送風装置(図3参照)では、トウ4が紡糸口金3より吐出された後、冷却筒の外部を通過し、冷却風が内側周囲からトウを冷却する。
【0004】
前記3種の冷却法のうち、最も良く使われているのは横送風装置である。放射型内方向送風装置及び放射型外方向送風装置はスフ(staple filament)の製造に使われることが多く、また一部工業用糸の製造でも使用されている。
ポリエステル繊維には多くのメリットがあるが、天然コットンやウール繊維と比べると柔軟性、保温性が劣る。そこで細デニールポリエステル中空フィラメントが登場した。その手触りは通常の太デニール中空ヤーンと違ってざらざらした触感がなく、しかも軽量で保温性に富んでいる。
【0005】
本発明は細デニール中空予備延伸糸の製造プロセスにおいて、溶融紡糸時の冷却送風法として放射型外方向送風装置を採用しており、取得した単繊維はデニールが0.3〜2.5d、ウスタ−の長周期変異(uster half inert value; u% 1/2 inert)が0.3%以下、スピンドルとスピンドルの間の熱応力変異が4%以下、中空率が25〜40%で、それをさらに伸撚り加工、空気加工(air texture)などによって延伸すると、単繊維(monofilament)のデニールが0.2〜1.0d、中空率が25〜40%になり、編物染色性の優れたポリエステル細デニール中空ヤーンが取得できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
軽量でありながら優れた保温性をもつという目的を果たすために、ポリエステル中空繊維で生地及び衣料品を作る方法は現在すでに普及している。ただし一般のポリエステル中空糸は単繊維のデニールが1.5dを超えると、手触りが荒く、しかも生地面が非均一に冷却されるために筋状になり、使用範囲が制限されてしまう。
【0007】
軽量で保温性がよく且つ柔軟性を具えた特徴を出すため、単繊維のデニールを下げ、中空率を上げる方法が考えられる。通常、単繊維のデニールを下げる方法には2種類あり、即ちポリエステル溶融体の総吐出量を一定にした上で紡糸口金の吐出口数を増やす方法と、紡糸口金の吐出口数を一定にした上でポリエステル溶融体の総吐出量を下げる方法が挙げられる。
【0008】
ポリエステルフィラメントの溶融紡糸時の冷却送風装置には、ほとんどの場合横送風法が用いられ、一部で放射型内方向送風法が採用されている。従って、細デニール中空予備延伸糸の溶融紡糸時の冷却送風法も前記2種類がメインである。しかし横送風冷却装置を使用するとトウの片面にしか風を送らないので、風を受ける面と風を受けない面の冷却程度の差が大きく、トウを均一に冷却することができない。特に紡糸口金の吐出口を増やす方法では冷却程度の差が一層大きくなり、しかも紡糸口金の吐出口が増加すると単位面積当たりの口数、即ち穴の密度も増えるので、その結果、冷却が常に不十分となり所望する中空率及び中空均一性を達成できなくなる。一方、ポリエステル溶融体の総吐出量を下げる方法では、生産性の低下を招きがちで、また製品にするとき2つのワンプライの繊維を糸合わせしなくてはならないので、2つの糸の物性の差により、染色トラブルが起きやすくなる。
【0009】
また、放射型内方向送風装置を使用する場合、冷却風の調整が難しく、風速が遅すぎるとトウの充分な冷却効果が得られなくなり、ウスタ−の長周期変異率の増加を招き、甚だしくは単本の糸と糸の間に癒着が発生し、紡糸が円滑にできなくなる。逆に風速が速すぎると、送風方向と反対方向の冷却風による相互干渉が起こり、トウが不安定になって、フィラメントの糸と糸とがぶつかりあい、生産性が低下し、さらにトウが細い冷却筒に入りにくくなって操作上困難が生じるため、細デニール中空ヤーンの生産には不利である。
【0010】
そこで、いかにして生産性を保ったまま単繊維のデニールを下げると同時に中空率を上げるかが、ポリエステル中空ヤーン製造業者にとって解決が急がれる課題になっている。これに対して、例えば米国特許第5,487,859号や欧州特許第0 860 523A2号などが開示されているが、米国特許第5,487,859号では冷却方法について詳しく説明されていないし、無風ゾ−ンの長さを2〜(12×(単繊維デニール)1/2)cmとしているのは、無風ゾ−ンが長すぎるため所望の中空率及びウスタ−を達成できない。 また前記方法で作製した製品の中空率は少なくとも10%で、所望値の25〜40%とは相当な開きがある。欧州特許第0 860 523A2号で使用された冷却法においては無風ゾ−ンの長さは10〜30mm、第1エリア急冷区の送風長さは80〜120mm、第2エリア緩冷区の送風長さは150〜350mmを最適としている。でき上がった製品の中空率は40〜80%で、後加工のあとで中空不変形性を有することにポイントが置かれている。
【0011】
放射型外方向送風装置については、米国特許第5,536,157号及び米国特許第5,866,055号が開示されているが、単繊維のデニールが1.1〜22.2dのポリエステル工業用糸の製造に用いられるもので、細デニールポリエステル中空糸の製造法には触れていない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の発明者は従来技術における製造条件及び冷却装置を詳細に検討した結果、特定の固有粘度及び融点を有するポリエステルポリマーを、配設した多重リング状配列(外側リング直径と内側リング直径の差が≦20mm)の紡糸口金に通してトウを均一に吐出させ、冷却風を内から外へと放射状に筒状の冷却管に至るまで吹き込み、巻き取って成形することにより本発明を完成させた。
本発明は、紡糸口金の単位面積あたりの生産本数を増加させ、製品の中空率及び各単繊維と単繊維との間の中空率分布均一性を引き上げ、単繊維のデニールを下げて、しかも製品の編物染色性が優れたヤーンを製造することができる。
【0013】
【発明の説明】
本発明は複数本の細デニールポリエステル中空予備延伸糸の製造方法を提供することを目的としており、具体的には、固有粘度(IV)が0.5〜0.7、融点が245〜265℃のポリエステルポリマーを原料に、前記ポリマーを加熱溶融し濾過した後、一定量で複数本の細デニールポリエステル中空予備延伸糸を押し出すものであって、
(a) 一定量の押し出されたポリエステル溶融体1を、多重リング状に配列された紡糸口金3(図5参照)の吐出口からトウ4を均一に吐出させ、且つ前記多重リング状に配列された紡糸口金3にある吐出口33は最も外側の直径をD2 mm、最も内側の直径をD1 mmとし、
(b) 吐出されたトウ4は、紡糸口金の下方3にある長さがLs mmの無風ゾ−ンを通り、さらに直径がD0 mm、長さがLq cmの円形冷却筒5を通り、前記冷却筒5は内から外に向かって放射状に送風される冷却風を供給し、前記トウ4に対し円形の冷却筒5の外側から0.2〜0.6m/sの速度で冷却風を送って前記ポリエステルポリマーのガラス転位温度(Tg)以下になるまで均一に冷却して集束させるものであって、
(c)前記D2、D1、D0、Ls、Lqについて、
(i)D2−D1≦20(mm)
(ii)12≦D1−D0≦33(mm)
(iii)2≦Ls≦8060×総吐出量(g/min)÷(本数)2(mm)
(iv)15≦Lq≦40(cm)、の条件を満足し、
(d)1800〜4000m/minの速度で前記トウ7を巻き取って完成させる、ステップを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明は、ポリエステル細デニール中空フィラメントの製造における放射型外方向送風冷却装置を提供することをもう一つの目的とする。該装置はトウに均一に風を受けさせることによって、均一なポリエステル細デニール中空プリドローフィラメントを製造できる。紡糸口金3の下方にある無風ゾ−ンの長さは2〜(8060×吐出量÷(本数)2)mmが最適である。無風ゾ−ンの長さが2mmを下回ると、冷却風が紡糸口金の表面温度に影響するため、生産性が低下する。一方、無風ゾ−ンの長さが(8060×吐出量÷(本数)2)mmを超えると、ウスタ−の長周期変異が大きくなり、風速を上げても所望する中空率25〜40%、ウスタ−の長周期変異0.3d%以下の予備延伸糸を得ることはできない。しかも延伸加工したあと、織物の編物染色性が悪くなり、横筋の染めむらが発生する。
【0015】
本発明で採用する紡糸口金3の吐出口33の配列(図5参照)では、最も内側の直径(D1)と最も外側の直径(D2)との差が、D2−D1≦20mmに設定されている。D2−D1の値が20mmを超える場合、内側と外側のトウがそれぞれ受ける風の差異、即ちトウに含まれる単糸と単糸との間の中空率の差異及びそれらの物性上の差異が大きくなりすぎて、編物染色性が落ちる。前記最も内側の直径(D1)と冷却筒5の直径(D0)との差は12〜33mmとし、D1−D0の値が12mmを下回ると、トウ4が冷却筒5にぶつかりやすくなり、糸切れが発生して正常な紡糸ができなくなる。またD1−D0の値が33mmを超えると、送風による冷却効果が落ち、且つ紡糸口金3の最も外側の直径が(D2)の箇所のトウは冷却不十分のため中空率が落ち、糸切れが発生しやすい。
【0016】
トウのよりよい冷却効果を得るために、本発明で採用する冷却筒5の長さは15〜40cmを最適とする。冷却筒5の長さが15cmを下回ると、トウを充分に冷却することができず、癒着と糸切れが生じる。一方、冷却筒5の長さが40cmを超えると、冷却風が互いに干渉しあい、ウスタ−の長周期変異が大きくなってしまう。本発明で使用される冷却筒5は筒状をしており、複数層の繊維素、複数層の金属網、金属焼結フィルタ、セラミック焼結フィルタまたは複数層多孔板から作製される。冷却風は細い穴より口径方向に内から外へと放射状に均一に吹き出され、トウを冷却する。
【0017】
本発明では冷却風の風速は0.2〜0.6m/sが最適であり、風速が0.2m/sを下回ると冷却が不十分になり、糸の癒着と糸切れが生じ、それとともにウスタ−の長周期変異が大きくなり、中空率が落ちる。一方、風速が0.6m/sを超えても、ウスタ−の長周期変異を減らすことができず、即ちウスタ−の長周期変異の減少に明らかな効果がなく、またトウを冷却しすぎることが原因で、糸切れが起きやすくなる。
【0018】
本発明で用いる吐出口33は、紡糸口金3における配列区の密度(穴の密度)が1cm2あたり7〜15個とする。
穴密度は図5に示されるように、D2 とD1との間にある吐出口数をD2 とD1との間の面積で割って求めた数である。計算式は口数(D2 とD1の間)×4/π×(D2 2− D1 2)で示される。
穴密度が7個/cm2を下回る場合は、総吐出量を減らさないと本発明の意図する単繊維のデニールが0.3〜2.5dという条件を満たすことはできない。しかも糸合わせしてからでないと製品化できないので不経済である。一方密度が15個/cm2を超えると、単繊維の配列が密になりすぎるので、単糸と単糸の冷却程度の差が大きくなり、それにつれてウスタ−の長周期変異も増えてしまい、安定した紡糸ができなくなる。
【0019】
本発明に使用されるポリエステルチップの固有粘度(IV)は0.5〜0.7の間で、溶融後、中空の紡糸口金3から押し出され、紡糸、延伸、冷却、油剤を仕上げるプロセスを経て、最後に巻き取られて、ポリエステル中空予備延伸糸が完成する。でき上がったポリエステル中空予備延伸糸は破断点伸度が70〜180%、単繊維のデニールが0.3〜2.5d、中空率が25〜40%の間、ウスタ−の長周期変異が0.3%以下、スピンドルとスピンドルの間の熱応力変異が4%以下である。さらに伸撚り加工、空気加工(air texture)または図7に示したような直接紡糸延伸(Spin draw)するなど延伸加工を施すと、単繊維のデニールが0.2〜1.0d、中空率が25〜40%の、優れた編物染色性を持つポリエステル細デニール中空ヤーンが製造できる。
【0020】
【分析方法の説明】
a.中空率測定
市販の800倍率の光学顕微鏡で写真撮影し、さらに2倍に拡大コピーし、一回の測定で10個の断面を切り、鋏で中空部分とソリッド部分を切り離して重量を量る。
中空率=ソリッド部分重量÷(中空部分重量+ソリッド部分重量)×10 0%
b.スピンドル間熱応力変異分析
分析計器:Textechno Dynafil M Type DPG/M
分析条件:延伸比1.6 加熱温度150℃ 分析速度50M 分析時間 1min
各チーズからそれぞれケ−キを1つずつ巻き取り、上記方法で熱応力を分析し、計器でスピンドル間熱応力を算出する。
c.ウスタ−の長周期変異(uster half inert value; u% 1/2 inert)分析
分析計器:USTER TESTER 3
分析速度:400m/min 分析時間:2.5min
分析長さ:1000m
各チーズからそれぞれケ−キを1つずつ巻き取り、上記方法でウスタ−の長周期変異を分析し、計器でウスタ−の長周期変異を算出する。
d.単繊維のデニールの分析
トウを90周巻き取り、秤にかけ目方を量る。該目方をaグラムで示し、aに100を乗じたものがトウの総デニールbであり、さらにbを各トウに含まれる糸本数cで割ると、単繊維のデニールとなる。
e.破断点伸度強度の分析
分析計器:Textecho Type FPA/M
分析条件:分析長さ10センチ、伸び速度60cm/min、予荷重0.5cN/texとする。
強度は最大強度とし、それに対応する伸度が破断点伸度である。
f.織物編物染色性(woven fabrics dyability)判定方法
織物組織:サテン(Satin) 縦糸:75d/36fテクスチャードヤーン
縦糸密度:150本/2.54cm 横糸は本発明で製造した糸を使用し、横糸の密度はデニール数に合わせ調整する。
染色、仕上げ条件:分散性染料130℃×130min、染色、仕上げ後、乾燥させて、自然光のもとで横筋の色むらがないかをチェックする。
横筋色むらレベル判定方法
優良(○):自然光下において、染め生地表面の色の濃淡が均一である。
普通(△):自然光下において、染め生地表面に短い横筋の色むらがある。(長さ1cm以内)
横筋の色むら(×):自然光下において、染め生地表面に長い横筋の色むらがある。(長さ1cm以上)
g.熱湯収縮率分析
カセ機で糸を20周(20メートル)巻き取り、糸束の下に1g/denの荷重をかけ、次いでグラフ用紙に長さa(cm)を記録し、糸サンプルを適正な方法で梱包し、100℃の熱湯中に30分放置してから取り出し、再び1g/denの荷重をかけ、長さbを記録する。収縮率=(サンプル糸のもとの長さ−収縮後の長さ)÷サンプルのもとの長さ×100%。
【0021】
【実施例及び比較例】
表1において、本発明の実施例では放射型外方向送風装置(図3参照)を使用し、比較例1では横送風装置(図1参照)、比較例2では放射型内方向送風装置(図2参照)を使用した。実施例1で取得されたポリエステル細デニール中空予備延伸糸のウスタ−の長周期変異、中空率、スピンドル間熱応力変異はいずれも比較例1及び比較例2よりも優れ、さらに延伸加工すると、表2に示したように実施例1で製造したポリエステル細デニール中空ヤーンの編物染色性が良好となり、横筋の色むらは発生しなかった。
実施例2で、単繊維のデニールが0.8dのポリエステル細デニール中空予備延伸糸の製造条件が、無風ゾ−ン長さ8mm、冷却筒長さ35mmである場合、ウスタ−の長周期変異0.29%、中空率30%、スピンドル間熱応力変異3.4%のポリエステル細デニール中空予備延伸糸を製造できた。さらに延伸加工すると、単繊維のデニール0.52d、中空率29%の、編物染色性が優れたヤーンが取得された。
【表1】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の横送風冷却システムで作製した複数本細デニールポリエステル予延伸ヤーンを示した図である。
【図2】従来の放射型内方向送風システムで作製した複数本細デニールポリエステル予延伸ヤーンを示した図である。
【図3】本発明に係わる放射型外方向送風システムで作製した複数本細デニールポリエステル予延伸ヤーンを示した図である。
【図4】本発明に係わる放射型外方向送風システムにおける冷却筒を示した図である。
【図5】本発明に係わる放射型外方向送風システムで使用する紡糸口金の吐出孔の排列方法を示した図である。
【図6】本発明に係わる延伸加工用伸撚り機を示した図である。
【図7】本発明に係わる放射型外方向冷却システムで作製した複数本細デニールポリエステル延伸ヤーンの直接紡糸延伸を示した図である。
【符号の説明】
1 ポリエステル溶融体
2 紡糸ヘッド
3 紡糸口金
33 吐出口
4 トウ
5 冷却筒
6 オイルノズル
7 集束後のトウ
8 非加熱ローラ
8−1 加熱ローラ
8−2 加熱ローラ
8−3 分離ホイール
9 巻取機
10 予延伸糸ケ−キ
11 加熱ローラ
12 ヒ−タ
13 加熱ローラ
14 フイラメント
【発明の属する技術分野】
本発明は細デニールポリエステル中空フィラメントの製造方法及びその方法により製造された細デニールポリエステル中空予備延伸糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維は優れた加工性と編物染色性を持ち、しかも低コストであるため、3大合成繊維のうち最も汎用されている。ポリエステル繊維の製造プロセスは大まかに言うと、テレフタル酸とエチレングリコールを重縮合反応させてポリエステルチップまたは溶融体を作製し、溶融状態下で一定量を押し出し、計量、吐出してから、さらに冷却させ油剤を仕上げたあと巻き取って完成させる。前記プロセスにおいては、冷却作用がヤーンの物性及び均一性に大きな影響を与える。
【0003】
現在よく使われている冷却方法には、図1に示されるような横送風装置(Cross flow quenching system)、図2に示されるような放射型内方向送風装置(Radial out−to−in flow quenching system)、図3に示されるような放射型外方向送風装置(Radial in−to−out flow quenching system)がある。横送風装置(図1参照)ではトウ4が紡糸口金3より吐出された後、冷却風がヤーンの片側から吹きつけて冷却する。放射型内方向送風装置(図2参照)ではトウ4が紡糸口金3から吐出された後、冷却筒の内部を通過し、冷却風が周囲からトウを冷却する。放射型外方向送風装置(図3参照)では、トウ4が紡糸口金3より吐出された後、冷却筒の外部を通過し、冷却風が内側周囲からトウを冷却する。
【0004】
前記3種の冷却法のうち、最も良く使われているのは横送風装置である。放射型内方向送風装置及び放射型外方向送風装置はスフ(staple filament)の製造に使われることが多く、また一部工業用糸の製造でも使用されている。
ポリエステル繊維には多くのメリットがあるが、天然コットンやウール繊維と比べると柔軟性、保温性が劣る。そこで細デニールポリエステル中空フィラメントが登場した。その手触りは通常の太デニール中空ヤーンと違ってざらざらした触感がなく、しかも軽量で保温性に富んでいる。
【0005】
本発明は細デニール中空予備延伸糸の製造プロセスにおいて、溶融紡糸時の冷却送風法として放射型外方向送風装置を採用しており、取得した単繊維はデニールが0.3〜2.5d、ウスタ−の長周期変異(uster half inert value; u% 1/2 inert)が0.3%以下、スピンドルとスピンドルの間の熱応力変異が4%以下、中空率が25〜40%で、それをさらに伸撚り加工、空気加工(air texture)などによって延伸すると、単繊維(monofilament)のデニールが0.2〜1.0d、中空率が25〜40%になり、編物染色性の優れたポリエステル細デニール中空ヤーンが取得できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
軽量でありながら優れた保温性をもつという目的を果たすために、ポリエステル中空繊維で生地及び衣料品を作る方法は現在すでに普及している。ただし一般のポリエステル中空糸は単繊維のデニールが1.5dを超えると、手触りが荒く、しかも生地面が非均一に冷却されるために筋状になり、使用範囲が制限されてしまう。
【0007】
軽量で保温性がよく且つ柔軟性を具えた特徴を出すため、単繊維のデニールを下げ、中空率を上げる方法が考えられる。通常、単繊維のデニールを下げる方法には2種類あり、即ちポリエステル溶融体の総吐出量を一定にした上で紡糸口金の吐出口数を増やす方法と、紡糸口金の吐出口数を一定にした上でポリエステル溶融体の総吐出量を下げる方法が挙げられる。
【0008】
ポリエステルフィラメントの溶融紡糸時の冷却送風装置には、ほとんどの場合横送風法が用いられ、一部で放射型内方向送風法が採用されている。従って、細デニール中空予備延伸糸の溶融紡糸時の冷却送風法も前記2種類がメインである。しかし横送風冷却装置を使用するとトウの片面にしか風を送らないので、風を受ける面と風を受けない面の冷却程度の差が大きく、トウを均一に冷却することができない。特に紡糸口金の吐出口を増やす方法では冷却程度の差が一層大きくなり、しかも紡糸口金の吐出口が増加すると単位面積当たりの口数、即ち穴の密度も増えるので、その結果、冷却が常に不十分となり所望する中空率及び中空均一性を達成できなくなる。一方、ポリエステル溶融体の総吐出量を下げる方法では、生産性の低下を招きがちで、また製品にするとき2つのワンプライの繊維を糸合わせしなくてはならないので、2つの糸の物性の差により、染色トラブルが起きやすくなる。
【0009】
また、放射型内方向送風装置を使用する場合、冷却風の調整が難しく、風速が遅すぎるとトウの充分な冷却効果が得られなくなり、ウスタ−の長周期変異率の増加を招き、甚だしくは単本の糸と糸の間に癒着が発生し、紡糸が円滑にできなくなる。逆に風速が速すぎると、送風方向と反対方向の冷却風による相互干渉が起こり、トウが不安定になって、フィラメントの糸と糸とがぶつかりあい、生産性が低下し、さらにトウが細い冷却筒に入りにくくなって操作上困難が生じるため、細デニール中空ヤーンの生産には不利である。
【0010】
そこで、いかにして生産性を保ったまま単繊維のデニールを下げると同時に中空率を上げるかが、ポリエステル中空ヤーン製造業者にとって解決が急がれる課題になっている。これに対して、例えば米国特許第5,487,859号や欧州特許第0 860 523A2号などが開示されているが、米国特許第5,487,859号では冷却方法について詳しく説明されていないし、無風ゾ−ンの長さを2〜(12×(単繊維デニール)1/2)cmとしているのは、無風ゾ−ンが長すぎるため所望の中空率及びウスタ−を達成できない。 また前記方法で作製した製品の中空率は少なくとも10%で、所望値の25〜40%とは相当な開きがある。欧州特許第0 860 523A2号で使用された冷却法においては無風ゾ−ンの長さは10〜30mm、第1エリア急冷区の送風長さは80〜120mm、第2エリア緩冷区の送風長さは150〜350mmを最適としている。でき上がった製品の中空率は40〜80%で、後加工のあとで中空不変形性を有することにポイントが置かれている。
【0011】
放射型外方向送風装置については、米国特許第5,536,157号及び米国特許第5,866,055号が開示されているが、単繊維のデニールが1.1〜22.2dのポリエステル工業用糸の製造に用いられるもので、細デニールポリエステル中空糸の製造法には触れていない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の発明者は従来技術における製造条件及び冷却装置を詳細に検討した結果、特定の固有粘度及び融点を有するポリエステルポリマーを、配設した多重リング状配列(外側リング直径と内側リング直径の差が≦20mm)の紡糸口金に通してトウを均一に吐出させ、冷却風を内から外へと放射状に筒状の冷却管に至るまで吹き込み、巻き取って成形することにより本発明を完成させた。
本発明は、紡糸口金の単位面積あたりの生産本数を増加させ、製品の中空率及び各単繊維と単繊維との間の中空率分布均一性を引き上げ、単繊維のデニールを下げて、しかも製品の編物染色性が優れたヤーンを製造することができる。
【0013】
【発明の説明】
本発明は複数本の細デニールポリエステル中空予備延伸糸の製造方法を提供することを目的としており、具体的には、固有粘度(IV)が0.5〜0.7、融点が245〜265℃のポリエステルポリマーを原料に、前記ポリマーを加熱溶融し濾過した後、一定量で複数本の細デニールポリエステル中空予備延伸糸を押し出すものであって、
(a) 一定量の押し出されたポリエステル溶融体1を、多重リング状に配列された紡糸口金3(図5参照)の吐出口からトウ4を均一に吐出させ、且つ前記多重リング状に配列された紡糸口金3にある吐出口33は最も外側の直径をD2 mm、最も内側の直径をD1 mmとし、
(b) 吐出されたトウ4は、紡糸口金の下方3にある長さがLs mmの無風ゾ−ンを通り、さらに直径がD0 mm、長さがLq cmの円形冷却筒5を通り、前記冷却筒5は内から外に向かって放射状に送風される冷却風を供給し、前記トウ4に対し円形の冷却筒5の外側から0.2〜0.6m/sの速度で冷却風を送って前記ポリエステルポリマーのガラス転位温度(Tg)以下になるまで均一に冷却して集束させるものであって、
(c)前記D2、D1、D0、Ls、Lqについて、
(i)D2−D1≦20(mm)
(ii)12≦D1−D0≦33(mm)
(iii)2≦Ls≦8060×総吐出量(g/min)÷(本数)2(mm)
(iv)15≦Lq≦40(cm)、の条件を満足し、
(d)1800〜4000m/minの速度で前記トウ7を巻き取って完成させる、ステップを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明は、ポリエステル細デニール中空フィラメントの製造における放射型外方向送風冷却装置を提供することをもう一つの目的とする。該装置はトウに均一に風を受けさせることによって、均一なポリエステル細デニール中空プリドローフィラメントを製造できる。紡糸口金3の下方にある無風ゾ−ンの長さは2〜(8060×吐出量÷(本数)2)mmが最適である。無風ゾ−ンの長さが2mmを下回ると、冷却風が紡糸口金の表面温度に影響するため、生産性が低下する。一方、無風ゾ−ンの長さが(8060×吐出量÷(本数)2)mmを超えると、ウスタ−の長周期変異が大きくなり、風速を上げても所望する中空率25〜40%、ウスタ−の長周期変異0.3d%以下の予備延伸糸を得ることはできない。しかも延伸加工したあと、織物の編物染色性が悪くなり、横筋の染めむらが発生する。
【0015】
本発明で採用する紡糸口金3の吐出口33の配列(図5参照)では、最も内側の直径(D1)と最も外側の直径(D2)との差が、D2−D1≦20mmに設定されている。D2−D1の値が20mmを超える場合、内側と外側のトウがそれぞれ受ける風の差異、即ちトウに含まれる単糸と単糸との間の中空率の差異及びそれらの物性上の差異が大きくなりすぎて、編物染色性が落ちる。前記最も内側の直径(D1)と冷却筒5の直径(D0)との差は12〜33mmとし、D1−D0の値が12mmを下回ると、トウ4が冷却筒5にぶつかりやすくなり、糸切れが発生して正常な紡糸ができなくなる。またD1−D0の値が33mmを超えると、送風による冷却効果が落ち、且つ紡糸口金3の最も外側の直径が(D2)の箇所のトウは冷却不十分のため中空率が落ち、糸切れが発生しやすい。
【0016】
トウのよりよい冷却効果を得るために、本発明で採用する冷却筒5の長さは15〜40cmを最適とする。冷却筒5の長さが15cmを下回ると、トウを充分に冷却することができず、癒着と糸切れが生じる。一方、冷却筒5の長さが40cmを超えると、冷却風が互いに干渉しあい、ウスタ−の長周期変異が大きくなってしまう。本発明で使用される冷却筒5は筒状をしており、複数層の繊維素、複数層の金属網、金属焼結フィルタ、セラミック焼結フィルタまたは複数層多孔板から作製される。冷却風は細い穴より口径方向に内から外へと放射状に均一に吹き出され、トウを冷却する。
【0017】
本発明では冷却風の風速は0.2〜0.6m/sが最適であり、風速が0.2m/sを下回ると冷却が不十分になり、糸の癒着と糸切れが生じ、それとともにウスタ−の長周期変異が大きくなり、中空率が落ちる。一方、風速が0.6m/sを超えても、ウスタ−の長周期変異を減らすことができず、即ちウスタ−の長周期変異の減少に明らかな効果がなく、またトウを冷却しすぎることが原因で、糸切れが起きやすくなる。
【0018】
本発明で用いる吐出口33は、紡糸口金3における配列区の密度(穴の密度)が1cm2あたり7〜15個とする。
穴密度は図5に示されるように、D2 とD1との間にある吐出口数をD2 とD1との間の面積で割って求めた数である。計算式は口数(D2 とD1の間)×4/π×(D2 2− D1 2)で示される。
穴密度が7個/cm2を下回る場合は、総吐出量を減らさないと本発明の意図する単繊維のデニールが0.3〜2.5dという条件を満たすことはできない。しかも糸合わせしてからでないと製品化できないので不経済である。一方密度が15個/cm2を超えると、単繊維の配列が密になりすぎるので、単糸と単糸の冷却程度の差が大きくなり、それにつれてウスタ−の長周期変異も増えてしまい、安定した紡糸ができなくなる。
【0019】
本発明に使用されるポリエステルチップの固有粘度(IV)は0.5〜0.7の間で、溶融後、中空の紡糸口金3から押し出され、紡糸、延伸、冷却、油剤を仕上げるプロセスを経て、最後に巻き取られて、ポリエステル中空予備延伸糸が完成する。でき上がったポリエステル中空予備延伸糸は破断点伸度が70〜180%、単繊維のデニールが0.3〜2.5d、中空率が25〜40%の間、ウスタ−の長周期変異が0.3%以下、スピンドルとスピンドルの間の熱応力変異が4%以下である。さらに伸撚り加工、空気加工(air texture)または図7に示したような直接紡糸延伸(Spin draw)するなど延伸加工を施すと、単繊維のデニールが0.2〜1.0d、中空率が25〜40%の、優れた編物染色性を持つポリエステル細デニール中空ヤーンが製造できる。
【0020】
【分析方法の説明】
a.中空率測定
市販の800倍率の光学顕微鏡で写真撮影し、さらに2倍に拡大コピーし、一回の測定で10個の断面を切り、鋏で中空部分とソリッド部分を切り離して重量を量る。
中空率=ソリッド部分重量÷(中空部分重量+ソリッド部分重量)×10 0%
b.スピンドル間熱応力変異分析
分析計器:Textechno Dynafil M Type DPG/M
分析条件:延伸比1.6 加熱温度150℃ 分析速度50M 分析時間 1min
各チーズからそれぞれケ−キを1つずつ巻き取り、上記方法で熱応力を分析し、計器でスピンドル間熱応力を算出する。
c.ウスタ−の長周期変異(uster half inert value; u% 1/2 inert)分析
分析計器:USTER TESTER 3
分析速度:400m/min 分析時間:2.5min
分析長さ:1000m
各チーズからそれぞれケ−キを1つずつ巻き取り、上記方法でウスタ−の長周期変異を分析し、計器でウスタ−の長周期変異を算出する。
d.単繊維のデニールの分析
トウを90周巻き取り、秤にかけ目方を量る。該目方をaグラムで示し、aに100を乗じたものがトウの総デニールbであり、さらにbを各トウに含まれる糸本数cで割ると、単繊維のデニールとなる。
e.破断点伸度強度の分析
分析計器:Textecho Type FPA/M
分析条件:分析長さ10センチ、伸び速度60cm/min、予荷重0.5cN/texとする。
強度は最大強度とし、それに対応する伸度が破断点伸度である。
f.織物編物染色性(woven fabrics dyability)判定方法
織物組織:サテン(Satin) 縦糸:75d/36fテクスチャードヤーン
縦糸密度:150本/2.54cm 横糸は本発明で製造した糸を使用し、横糸の密度はデニール数に合わせ調整する。
染色、仕上げ条件:分散性染料130℃×130min、染色、仕上げ後、乾燥させて、自然光のもとで横筋の色むらがないかをチェックする。
横筋色むらレベル判定方法
優良(○):自然光下において、染め生地表面の色の濃淡が均一である。
普通(△):自然光下において、染め生地表面に短い横筋の色むらがある。(長さ1cm以内)
横筋の色むら(×):自然光下において、染め生地表面に長い横筋の色むらがある。(長さ1cm以上)
g.熱湯収縮率分析
カセ機で糸を20周(20メートル)巻き取り、糸束の下に1g/denの荷重をかけ、次いでグラフ用紙に長さa(cm)を記録し、糸サンプルを適正な方法で梱包し、100℃の熱湯中に30分放置してから取り出し、再び1g/denの荷重をかけ、長さbを記録する。収縮率=(サンプル糸のもとの長さ−収縮後の長さ)÷サンプルのもとの長さ×100%。
【0021】
【実施例及び比較例】
表1において、本発明の実施例では放射型外方向送風装置(図3参照)を使用し、比較例1では横送風装置(図1参照)、比較例2では放射型内方向送風装置(図2参照)を使用した。実施例1で取得されたポリエステル細デニール中空予備延伸糸のウスタ−の長周期変異、中空率、スピンドル間熱応力変異はいずれも比較例1及び比較例2よりも優れ、さらに延伸加工すると、表2に示したように実施例1で製造したポリエステル細デニール中空ヤーンの編物染色性が良好となり、横筋の色むらは発生しなかった。
実施例2で、単繊維のデニールが0.8dのポリエステル細デニール中空予備延伸糸の製造条件が、無風ゾ−ン長さ8mm、冷却筒長さ35mmである場合、ウスタ−の長周期変異0.29%、中空率30%、スピンドル間熱応力変異3.4%のポリエステル細デニール中空予備延伸糸を製造できた。さらに延伸加工すると、単繊維のデニール0.52d、中空率29%の、編物染色性が優れたヤーンが取得された。
【表1】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の横送風冷却システムで作製した複数本細デニールポリエステル予延伸ヤーンを示した図である。
【図2】従来の放射型内方向送風システムで作製した複数本細デニールポリエステル予延伸ヤーンを示した図である。
【図3】本発明に係わる放射型外方向送風システムで作製した複数本細デニールポリエステル予延伸ヤーンを示した図である。
【図4】本発明に係わる放射型外方向送風システムにおける冷却筒を示した図である。
【図5】本発明に係わる放射型外方向送風システムで使用する紡糸口金の吐出孔の排列方法を示した図である。
【図6】本発明に係わる延伸加工用伸撚り機を示した図である。
【図7】本発明に係わる放射型外方向冷却システムで作製した複数本細デニールポリエステル延伸ヤーンの直接紡糸延伸を示した図である。
【符号の説明】
1 ポリエステル溶融体
2 紡糸ヘッド
3 紡糸口金
33 吐出口
4 トウ
5 冷却筒
6 オイルノズル
7 集束後のトウ
8 非加熱ローラ
8−1 加熱ローラ
8−2 加熱ローラ
8−3 分離ホイール
9 巻取機
10 予延伸糸ケ−キ
11 加熱ローラ
12 ヒ−タ
13 加熱ローラ
14 フイラメント
Claims (4)
- 固有粘度(IV)0.5〜0.7、融点245〜265℃のポリエステルポリマーを加熱溶融させ濾過した後、一定量を押し出してポリエステル細デニール中空予備延伸糸にする細デニールポリエステル中空予備延伸糸の製造方法において、
(a)該一定量を押し出したポリエステル溶融体を、多重リング状に配列された紡糸口金の吐出口に通してトウを均一に吐出させるものであって、その多重リング状に配列された紡糸口金の配列において最も外側のリング直径をD2 mm、最も内側のリング直径をD1 mmとし、
(b)吐出されたトウをまず紡糸口金の下方にある長さがLs mmの無風ゾ−ンに通し、次いで直径D0 mm、長さLq cmの円柱状冷却筒を通過させ、該冷却筒は内から外に向かって放射状に吹く冷却風を供給し、該トウに対して円形の冷却筒の外側から0.2〜0.6m/sの速度で冷却風を送り、前記ポリエステルポリマーのガラス転位温度(Tg)以下になるまで均一に冷却するとともに集束させ、(c)このとき、前記D2、D1、D0、Ls、Lqについて、
(i)D2−D1≦20(mm)
(ii)12≦D1−D0≦33(mm)
(iii)2≦Ls≦8060×総吐出量(g/min)÷(本数)2(mm)
(iv)15≦Lq≦40(cm)、の関係を満足させ、
(d)1800〜4000m/minの速度で前記トウを巻き取って完成させる、ステップを備えることを特徴とする細デニールポリエステル中空予備延伸糸の製造方法。 - 紡糸口金の吐出口の配列密度が1cm2あたり7〜15個であることを特徴とする請求項1に記載の細デニールポリエステル中空予備延伸糸の製造方法。
- 取得された細デニールポリエステル中空予備延伸糸は、単繊維のデニール数が0.3〜2.5d、破断点伸度が70〜180%、ウスタ−の長周期変異が0.3%以下、スピンドルとスピンドルとの間の熱応力変異が4%以下、中空率が25〜40%の間であることを特徴とする請求項1に記載の細デニールポリエステル中空予備延伸糸の製造方法。
- 未延伸糸に予備伸撚り加工、空気加工(air texture)または直接紡糸延伸加工を施した前記延伸糸において、該加工により取得される単繊維はデニール数が0.2〜1.0d、中空率が25〜40%で、且つ前記延伸糸は破断点伸度15〜45%、ウスタ−の長周期変異0.3%以下であり、優れた編物染色性を有し、生地が平坦で整っていることを特徴とする請求項1に記載の方法で製造される細デニールポリエステル中空予備延伸糸。
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